在日コリアンは憲法上の日本国民なのだが

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2320つづき
要するに,治者と被治者の自同性の要請のもと,法制度上「国民」をどうやって補足するのが合理的か,という問題になる。

ここで,国民画定の基準としては,現行の国籍法の帰化制度で対応すれば十分だ,という立論はあり得る。
(しばしば言われる「選挙権が欲しければ,帰化すればよい」という説)
しかし,現行国籍法の,帰化要件は,「それを満たさないと帰化が許されない」というもので,
最終的な帰化の可否は,法務大臣の(完全に)自由な裁量であるかのような規定ぶりになっており,司法審査も
及ばないかのようである。
しかし,「国民」として認められるか否かは,選挙権の有無など国民主権の根幹に関わるものであるから,
行政権による広範な裁量が認められるべきがらではなく,また司法審査の対象とされるべきものである。
また,帰化に際しては,従前の国籍を放棄すべき義務が課されるが,当人が重国籍を切実に望む場合にこれを
強制することに果たして合理的根拠があるのかは,別途考慮されなければならないであろう。
(例えば,当人の出身国の国籍を放棄するとなれば,その後,出身国との関係で不利益が生じる可能性もある一方,
それを強いなければならない立法事実が果たして明瞭に説明されているかというとやや疑問がある。)
いずれにせよ,そういう意味では,現行国籍法は,当該人(潜在的国民)が,法制度上も「国民」として扱われることを
不合理に制限するものとして,違憲であると考える余地もあると思われる。

なお,残る問題は,国民主権(民主主義)としての問題ではなく,
ナショナリズムの問題と
既存の国民の「既得権」ないし「既得権意識」と,国民としての扱いを求める潜在的国民の
調整の問題であろうと思っている。

以上,駄文スマソ。