■【合憲判決】 最高裁 【靖国参拝】■

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779法の下の名無し
 本件(>>1)は、安倍首相が、「内閣総理大臣」との肩書を付けて靖國神社の春季例大祭
に合わせ私費で5万円を負担して「真榊」を納めた事案である(以下「本件行為」という。)。
 本件で問題となるのは、政教分離との関係で、憲法20条3項の「国及びその機関」が
本件行為を行ったかである。
 まず、本件行為は、その行為自体としては、私人による神社・仏閣などへの寄付と何ら
異なるところはなく、個人の宗教的動機によってなされる行為であるといえる。
 また、本件行為を、安倍首相個人として行うことは、憲法20条1項の信教の自由によ
って保障されているところであり、靖國神社の教義内容等も上記信教の自由によって保障
されており、歴史的経緯等から特別な扱いを受けるものではない。
 そして、上記のとおり、本件行為は、個人の宗教的動機に基づいてなされる行為である
から、本件行為が、個別的な法令の根拠や閣議決定等に基づいてなされたものではない以
上、本件行為が外形的にも内閣総理大臣の職務行為自体を構成したり,職務執行の手段と
して行われたということはできない。
 ただ、内閣総理大臣の地位にある人物による行為は、一般の公務員とは異なり、内閣総
理大臣の地位にあること自体によって、職務行為に該当する行為ではなくても、単なる私
的行為に止まるとはいえない社会的影響力を生じうるものがあることは否定できない。そ
の行為が、国の行政活動と関連する場合にまで,すべて私的領域に止まる行為として内閣
総理大臣の職務と無関係であると解することは相当ではない。
 そこで、本件行為が国の行政活動と関連する場合といえるかであるが、一般に本件のよ
うな儀礼的な金銭の供与において、その肩書を明らかにすることは、私的領域においても
行われること(内閣総理大臣が結婚式に出席した場合など)であって、この点から国の行
政活動と関連するということには無理がある。また、「真榊」は安倍首相個人の私費から支
出され、公費からは支出されておらず、この点においても国の行政活動と関連するとはい
えない。以上のことから、本件行為が国の行政活動と関連する場合とはいえず、憲法上も
国の機関である内閣総理大臣による行政権の行使ではないことは明らかである。
 したがって、本件行為は、政教分離との関係で、憲法20条3項の「国及びその機関」
の行為とはいえないから、「違憲」ではなく、また、その余地もない。