2 合憲裁判の通常の方法
(1)入念な合憲裁判
(省略)
(2)簡単な合憲裁判
圧倒的に多数の合憲裁判では、最高裁判所は、違憲の主張に対して簡単な理由を付すのみ
で処理している。(中略)また、次の例のように、およそ違憲の主張への審査に立ち入らな
いで処理する場合もある。
いわゆる三行判決は、その典型例である。それは、「記録によって認められる本件訴訟の経
緯に照らすと、原審が所論の措置をとらなかったことに違法はない。右違法のあることを前
提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、採用することができない」(注2)
と、論述する場合である。
あるいは、次のような例も数多くみられる。「論旨は、違憲の主張を含め、独自の見解に立
って原審の右判断における法令の解釈適用の誤りをいうものであり、採用することができな
い。」(注3)
これらの判示では、憲法判断は無いに等しいのであるが、違憲の主張を排斥してはいるこ
とと、法律について一般的に合憲性推定の原則が働いていることを考慮に入れて、合憲裁判
の範疇に取り込むのが適当だといえる。
(注2) 最1小判平3・1・17税訴資182号31頁
(注3) 最2小判平8・7・12判時1584号100頁
戸松秀典『憲法訴訟』(有斐閣、平成12〔2000〕年)327-328頁より引用
(参考)
最高裁平成18年6月13日決定〔上告棄却決定〕(上告棄却決定について
>>719)
>第2小法廷は13日、「首相による靖国参拝は違憲」との理由による上告部分については
>「上告理由に当たらない」とだけ述べて棄却する決定を出した。(
>>52)
最高裁平成18年6月27日決定〔上告棄却決定〕(
>>764)
>「上告理由は単なる法令違反の主張で、上告が許される場合に当たらない」との
>決定理由を示した。(
>>272)