>>552の個人的意見の補足
内政干渉(干渉)
「国家又は国家集団が他国に対して一定の行為をとるよう強制的に
介入すること。単なる助言・抗議・援助等は干渉とはならない。」
(有斐閣 法律学小辞典〔第4版〕152-153P)
不干渉の原則
「国家主権の効果として、各国家は、国際法に違反しない限り、
その内政及び外交関係を自由に処理することができ、
他国はそれに干渉しない義務を負う。」
(有斐閣Sシリーズ 国際法〔第4版〕105P)
違法なものとして禁止される干渉方法
「国際法上違法とされるのは、他国の国内管轄事項に命令的に
介入すること、すなわち他国を強制して特定の行動をとらせること、
またはとらなくさせることである。」
(有斐閣Sシリーズ 国際法〔第4版〕106P)
「首相が靖国参拝を止めれば、中韓の首脳は会談に応じるといっている」ことが、
違法なものとして禁止される干渉方法にあたるかどうか以下検討する。
国内管轄事項
「国際法の規律が及んでいないがゆえに国家の処理が可能な事項」
(有斐閣Sシリーズ 国際法〔第4版〕106P)
まず、「首相の靖国参拝」が国内管轄事項にあたるかが問題となるが、
単なる参拝に国際法の規律が及んでいるとは考えられない。
よって、首相の靖国参拝は国内管轄事項にあたるといえる。
>>563の続き
次に、「首相が靖国参拝を止めれば、中韓の首脳は会談に応じるといっている」
ことが、命令的に介入すること、すなわち他国を強制して特定の行動を
とらせること、またはとらなくさせることにあたるかが問題となる。
上記の主張に加え中韓が「首相の靖国参拝中止要求」をしていることは
公知の事実であって命令的に介入、すなわち他国を強制して特定の行動を
とらなくさせることにあたることは明らかである。
中韓の首脳が会談に応じないことにより靖国参拝中止要求が各方面より
主張された事実もまた明らかであり、間接的ながら特定の行動を
とらなくさせることにあたるとも考えられる。
以上により、
「首相が靖国参拝を止めれば、中韓の首脳は会談に応じるといっている」ことが、
違法なものとして禁止される干渉方法にあたるといえる。
また、政治的な圧力にあたるといえる。
>>564の続き
さらに、念のため政治的圧力の行使が命令的・強制的介入にあたり
違法な干渉となるかどうかの問題についても検討する。
政治的圧力の行使が違法な干渉となる場合
「政治的・経済的圧力の行使も、他国による主権的権利の行使を従属させたり、
他国の政治・経済・文化的体制の選択権を侵害する目的で行われる場合には、
違法な干渉となる(不干渉宣言〔国連総会決議2131(XX)〕、友好関係宣言)。」
(有斐閣Sシリーズ 国際法〔第4版〕107P)
「首相が靖国参拝を止めれば、中韓の首脳は会談に応じるといっている」との
政治的圧力の行使は、主権的権利の行使ないし政治・文化的体制の選択権を
侵害する目的で行われたものと考えられる。
よって、政治的圧力の行使が命令的・強制的介入にあたり違法な干渉となる
余地すらあるのではないかと考えられる。