ペルー政府はチリ政府にフジモリ引き渡しを要求している。
しかし、ペルーの国内法廷での裁判には以下の問題があると私は考える。
(1)フジモリの大統領による上からの自己クーデター(アウトゴルペ)
当時、大統領による上からの自己クーデター(アウトゴルペ)を直接に
罰するペルーの国内法がなかったと推定される。
(2)大統領による上からのクーデター(アウトゴルペ)を直接罰する
国内法の欠缺により、フジモリの直接命令の存在が疑われる無理な被疑
事実の起訴もあり、しかも、直接命令の存在の可能性の高かった日本大使
公邸人質事件で投降したゲリラの殺害の実行者の軍人の不処罰が確定
したので公正・公平な裁判が期待しにくい。
(3)巨額の不正蓄財疑惑については、フジモリの不正蓄財が事実と
しても、その金はコロンビアの反政府ゲリラへ第三国の兵器売却仲介に
よって得た金のみである可能性が高く、ペルーの公金横領でない可能性が
あり、その場合、管轄権の問題が生じる。
(4)フジモリのペルーへの引き渡し・裁判は、大規模な民衆のフジモリ
支持デモやストライキが起きれば国軍によるクーデターを誘発する危険が
ある。
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私は以前は日本政府の国籍法不正運用からフジモリを日本からペルーに
引き渡すべきとの説を唱えていたが、今年7月にコロンビアに引き渡すべき
との説に変更した。
http://masanori-asami.hp.infoseek.co.jp/JP/Fujimori_J/Fujimori_J.html 今、更に専用の国際刑事法廷設立提唱するのは、ペルーでの裁判・収監に
クーデターの危険がある事の考慮と検察の証明責任が国際法の方が
国内法より緩やかで、「民主主義体制の破壊」という問題や「人道
に対する罪」を裁くのに好都合だからである。なぜなら、国際法の
場合、緊急時以外で民主主義体制を破壊すればそれによって生じた
殺人・拷問等の個別犯罪は直接命令なくても最高権力者の犯罪と
みなしうるからである。