判例解説スレ Part 1.1

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167法の下の名無し
《参考》裁判所法(上級審の裁判の拘束力)
第4条 上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束
する。

《参考判例》
昭和43年10月25日 最高裁判所第二小法廷 判決(八海事件〔第3次上告審〕)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9BCC0609D8D3C59D49256A850030AC08.pdf(全文)

<判示事項>
一 犯行と被告人らとの結びつきに関する原判決の事実認定に不合理な点があるとして刑
訴法第四一一条第三号により破棄された事例
二 破棄判決の破棄の理由とされた事実上の判断の拘束力の有無
三 破棄判決の拘束力を有する判断の範囲
四 証人の尋問終了後に作成された同人の検察官調書と刑訴法第三二八条

<裁判要旨>
一 犯行と被告人らとの結びつきに関する原判決の事実認定に不合理なところがあるとき
は(判文参照)、刑訴法第四一一条第三号により原判決を破棄しなければならない。
二 破棄判決の破棄の理由とされた事実上の判断は、拘束力を有する。
三 破棄判決の拘束力は、破棄の直接の理由、すなわち原判決に対する消極的、否定的判
断についてのみ生ずるものであり、右判断を裏付ける積極的、肯定的事由についての判断
は、なんら拘束力を有するものではない。
四 公判準備期日における証人の尋問終了後に作成された同人の検察官調書を、右証人の
証言の証明力を争う証拠として採証しても(原判文参照)、必ずしも刑訴法第三二八条に違反
するものではない。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27603&hanreiKbn=01

「なお、破棄の理由とされた法律判断は、その後法令の変更があれば拘束力を失うし、
事実上の判断も、新しい証拠資料が取り調べられれば、同様に、拘束力を失う」
(福井厚『刑事訴訟法講義〔第2版〕』393頁)。