判例解説スレ Part 1.1

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160法の下の名無し
平成18年6月20日 最高裁判所第三小法廷 判決(山口母子殺人事件)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060620163659.pdf(全文)

主 文
原判決を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。

理 由
 検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は量刑不当の主張であって,刑訴
法405条の上告理由に当たらない。しかしながら,所論にかんがみ職権をもって調査す
ると,原判決は,下記1以下に述べる理由により破棄を免れない。
 なお,弁護人安田好弘,同足立修一は,当審弁論及びこれを補充する書面において,原
判決が維持した第1審判決が認定する各殺人,強姦致死の事実について,重大な事実誤認
がある旨を指摘する。しかし,その指摘は,他の動かし難い証拠との整合性を無視したも
ので失当であり,本件記録によれば,弁護人らが言及する資料等を踏まえて検討しても,
上記各犯罪事実は,各犯行の動機,犯意の生じた時期,態様等も含め,第1,2審判決の
認定,説示するとおり揺るぎなく認めることができるのであり,指摘のような事実誤認等
の違法は認められない。
 1 本件事案の概要及び原判決の要旨
 (1) 本件は,当時18歳の少年であった被告人が,白昼,配水管の検査を装って上がり込
んだアパートの一室において,当時23歳の主婦(以下「被害者」という。)を強姦しよ
うとしたが,激しく抵抗されたため,被害者を殺害した上で姦淫し,その後,同所におい
て,激しく泣き続ける当時生後11か月の被害者の長女(以下「被害児」という。)をも
殺害し,さらに,その後,同所において,被害者管理の現金等在中の財布1個を窃取した,
という殺人,強姦致死,窃盗の事案である。