長谷部『憲法』第三版 p.123
憲法上の権利の持つ複合的性格からすると,法人に認めることが許される
のは,そのうち公共の福祉を理由とする権利にとどまる。反面,個人の自律を
保障しようとする観点からは,むしろ強大な社会的権力たる法人からの自由を
個人に認める手段として,「人権規定の私人間効力」が重視されることになる。
松井『日本国憲法』第二版 p.325
日本国憲法を「政府」の基本法と捉えた場合,議論の組み立て方は
このアメリカの方が適切であるように思われる。従って,憲法が適用
されるのは,「政府」の行為に限られると考えるべきであり,憲法上の
権利の私人間適用ないし第三者効力という枠組み自体を放棄すべきである。