542 :
法の下の名無し:2006/02/17(金) 11:22:04 ID:p0fi2ZAu
大学で、民法175条・民法施行法35条と法例2条の関係につき、
近代市民法原理を踏まえて述べなさいってレポート出たんですけどどういう風に
書いたらいいんでしょうか?
法学科ではないのでそこそこの素人答えでいいのですが
543 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 17:11:35 ID:2ms+Fz+x
>仮に地役権又は所有権としてその代表の名義によって登記した
>としても、入会及び入会「集団」(団体というのは不適切)
>自体の得喪にかわりはない。
入会収益権の有無は、登記とは関係ありませんが、
登記を入会収益権の明認方法として利用することはできます。
登記簿に共有名義人として名前を記載しておれば、土地の所有権について
問題が生じたときに、連絡が入ります。
入会収益権は、入会活動を条件としている入会団体が多いですが、
当事者全員(入会権者全員と登記名義人全員)の合意形成が認められれば、
入会活動を条件としない入会収益権を設けることは可能です。
しかし、入会活動を条件としない入会収益権は、一般的ではないので、
その土地に明認方法を設けずに、入会活動を止めていると、
善意の第三者との問題において、入会収益権を放棄したものとみなされます。
入会活動を止めて、かつ、何の明認方法も設けていないことは、
信義則上、入会収益権を放棄する意思表示とされているからです。
善意の第三者と認められる条件が、実際にその土地を見て、明認方法が無いことと、
登記簿に記載されている者を意見を聞いて、不信な点が無いことですから、
共有名義人として名前を載せておれば、相手方の善意を否定できるのです。
544 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 17:30:56 ID:2ms+Fz+x
>入会権は旧慣使用権に転換できない。
補償金などを支払って、入会権者全員の同意を集めれば、
理論上、入会権と旧慣使用権の交換はできます。
ややこしいのが、「入会権」と呼ばれている旧慣使用権と、
「旧慣使用権」と呼ばれている入会権があることです。
旧慣使用権は免許なので、議会の決議さえあれば、廃止できます。
たとえ、その権利が「入会権」と当事者間で呼ばれていたとしてもです。
入会権は私権なので、入会権者全員の同意さえあれば、
議会の決議が無くても、通常の土地取引の手続きで廃止できます。
たとえ、その権利が「旧慣使用権」と当事者間で呼ばれていてもです。
では、何を基準にどちらかを判断すればよいかというと、
・入会権は私権なので、普通財産上にしかありません。
(何かの間違いで行政財産になって、公用が敷かれたまま放置していると消滅します。)
・旧慣使用権は免許なので、行政財産上にしかありません。
(旧慣使用権の発行自体が公用なので、普通財産上にはありません。)
545 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 17:33:14 ID:2ms+Fz+x
546 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 18:09:32 ID:2ms+Fz+x
Aさんが所有する土地について、「この土地を売らない。」という契約を、
Bさんと結んでいたとしましょう。
Aさんが勝手に、悪意のCさんにその土地を売ったとき、Bさんが裁判に訴えても、
その土地はCさんのものとして判決が下ります。
一般に「物権は債権を破る」と呼ばれているものです。
この例を挙げて、温泉権債権説を否定する意見が多いですが、それは誤りです。
温泉権というのは、永久の期間の使用権の代金を前払いで払っているのと同じ状況です。
例えば、英会話スクールに1年分の授業料を支払ったのに、英会話スクールが
夜逃げしたとしましょう。
英会話スクールが夜逃げすることを知っていながら、英会話スクールの財産を
譲り受けた場合は、その財産を譲り受けるという契約は、信義則によって、
無効となる場合があります。
同様に、温泉権が有ることを知っていながら、その土地を譲り受けた者は、
信義則によって、売買契約を無効とされる可能性があります。
無効とされるよりは、債権継承のほうが良いと、土地を譲り受けた者が主張
していたならば、温泉権の債権を継承する形で双方が納得させる判決が出る
ことが考えられます。
もし、土地を譲り受けた者が、温泉権相当の損害賠償をすると主張し、
その賠償金を供託しているような場合ならば、信義則による保護が外れるから、
温泉権は保護されないことになります。
この点の説明が、上記サイトには足りないと思います。
547 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 18:21:42 ID:2ms+Fz+x
温泉権に似たものに、温泉入会権というのがあります。
温泉入会権とは、温泉の利用を内容とする入会収益権です。
「代表者の定めの無い権利能力なき社団」である「温泉入会団体」が
所有している土地が、温泉入会地です。
入会権については、説明がメンドクサイのでさっきのサイトを見てください。
548 :
法の下の名無し:2006/04/30(日) 18:22:19 ID:2ms+Fz+x
549 :
法の下の名無し:2006/05/06(土) 23:46:33 ID:VrjpPoch
>>544 旧慣使用権は免許
初耳ですなぁ〜
それはあなたの思い込みでは!
旧慣使用権=公権
入会権=私権
ではないでしょうか?
免許証のある旧慣使用権の事例があったらご教示願います。
550 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 19:47:50 ID:pVzj8oXb
旧慣使用権は、免許・許認可の一種で公権です。
免許証は発行されていませんが、
旧慣使用権を持つ者の名簿は役所にあります。
免許・許認可であるかどうかと、
免許証書・許認可証書を発行するかどうかは、
全く別の問題です。
免許証書を持つから権利が有るのではなくて、
免許保持者名簿に名前が載っているから権利が有るのです。
名簿のほうの記載が取り消されれば、免許証書は単なる紙切れです。
551 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 19:53:27 ID:pVzj8oXb
旧慣使用権を持つ者が請求した場合、
地方自治体が、例えば「旧慣使用権権利者証書」なるものを
発行することは可能です。
後々に紛争が生じないように、証拠として証書を発行することは、
地方自治体の裁量として可能です。
552 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 20:09:28 ID:pVzj8oXb
ちなみに、当事者が「旧慣使用権」と呼んでいる権利が、
実は、法律上は共有入会権だったという例はしばしばあります。
登記名義が行政だからといって、旧慣使用権とは限らないということです。
行政名義の共有入会地とは、行政と入会権者の共同出資の
”代表者の定めの無い権利能力なき社団”が、所有している土地です。
権利能力なき社団の登記名義人は、構成員の全員合意さえあれば、
誰を当てても良いことに判例ではされているので行政名義でも可能です。
553 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 20:43:21 ID:pVzj8oXb
入会権の条文には「慣習による」と書かれているので、
民法がいうところの「慣習」を強行法規が覆せるくらいの
何か凄いものと考えておられる方が多いようです。
しかし、日本の民法でいうところの「慣習」とは、
「意思表示における慣習」と言って過言ではない意味しかありません。
イギリスでは慣習法によって支配されていると言われますが、
イギリスで「慣習」という言葉で表現されている範囲は、
日本の民法では、権利濫用、公序良俗、信義則などの規定で扱われてる部分
を含みます。
日本の民法が「慣習」という言葉で表しているものの範囲は、
法学の講義で「慣習法による支配」というときの「慣習」の意味よりも
かなり狭いのです。
554 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 20:57:12 ID:pVzj8oXb
入会権の条文にある「慣習」とは何かと考えるとき、
まずは、入会権者の間で漠然と「慣習」と呼ばれているものを、
権利濫用、公序良俗、信義則の各規定と、
当事者の意思表示によって構成できないかと考えるべきなのです。
なぜなら、入会権者のいう「慣習」には、それら3つの規定が扱うべき
範囲を含んでいるからです。
それで構成できないものが発見されれば、法学上の大発見ですが、
今のところ、そのようなものは発見されていません。
555 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 21:09:31 ID:pVzj8oXb
具体的に何が権利濫用になるかは、広い意味でいう「慣習」ですが、
民法の条文の中でそれを取り扱っているのは、権利濫用の規定です。
具体的にどのような場合に、信義の確立が成立するかは、
広い意味でいう「慣習」ですが、
民法の条文の中でそれを取り扱っているのは、信義則の規定です。
民法92条の慣習規定が扱っている「慣習」は、意思表示の方法
についての慣習のことです。
556 :
法の下の名無し:2006/08/12(土) 21:18:41 ID:pVzj8oXb
以上のことを踏まえると、
入会権規定の「慣習による」とは、
「最近20年くらいの出来事を、当事者の意思の合致という視点から、
その行為の時における意思表示の解釈によって処理しましょう。」
という意味と考えるのが妥当でしょう。
(権利濫用、公序良俗、信義則の規定は、入会地にも当然に適用され
るのですから。)
557 :
きんぴら:2006/08/12(土) 22:17:22 ID:7VYLaPjs
公務員を背任罪、横領罪、もう少し立ったら反逆罪とかで訴えよう。
558 :
法の下の名無し:2006/08/13(日) 20:01:58 ID:rmrauRR6
総会が開かれないことを理由に,
入会団体が”代表者の定めの無い権利能力なき社団”ではないという説が
ありますが、それは誤りです。
総会が開けれなくても、団体の規約で定めた利用方法に従って、
入会団体の所有地を利用するならば、
たとえ総会が開かれなくても、法人としての性質を失っていないから、
それは”代表者の定めの無い権利能力なき社団”であるといえます。
559 :
法の下の名無し:2006/08/13(日) 20:03:31 ID:rmrauRR6
入会団体が、各世帯の戸主によって構成されていることを理由として、
入会団体が”代表者の定めの無い権利能力なき社団”ではないという説が
有りますがこれも誤りです。
入会団体が各世帯の戸主によって構成されているという状態は、
”代表者の定めの無い権利能力なき社団”の規約が加入条件として,
「各世帯の戸主に限る。」と掲げている状態と同じです。
560 :
法の下の名無し:2006/08/13(日) 20:21:21 ID:rmrauRR6
入会権者であった世帯の戸主が亡くなった後、その子孫が戸主を
引き継いだ場合において、入会団体がその加入を拒むことは可能でしょうか。
入会団体が”代表者の定めの無い権利能力なき社団”であるとすれば、
規約を全構成員の合意で変えれば、加入を拒むことはできます。
判例によれば、「入会慣行」と俗に言われているものは、構成員の全員の合意
があれば変えられることになっていますので、やはり加入を拒むことはできます。
加入を拒まれた子孫が、これに対抗するためには、
入会団体への加入を予約する債権(入会権の予約権)を、
入会団体から発行してもらっていたと主張するしか方法がありません。
それでも、入会団体は、その者の加入を拒むことはできますが、
正当な理由が無ければ、債務不履行で賠償金を受け取ることはできます。
このような理論構成を行わずに、慣習だからという理由だけで、
加入させるよう迫っても、訴訟で勝つことはできません。
561 :
法の下の名無し:2006/08/13(日) 20:45:55 ID:rmrauRR6
行政名義の入会地が、行政と入会権者の共同出資の
”代表者の定めの無い権利能力なき社団”だとすると、
「行政と入会権者が一同に出席する総会はいつ開かれるんだ?」
という疑問が寄せられることがあります。
総会が開かれなくても、双方の間で一度合意が成立した規則に従って、
利用がなされ続けているならば、総会が開かれなくても、
法人としての性質は失われていません。
「行政名義の入会地の入会団体に行政は参加していないぞ。」という疑問も
しばしば寄せられますが、そこで言っている「入会団体」は、
本来の入会団体ではありません。
行政と入会権者によって構成されている”代表者の定めの無い権利能力なき社団”
(本来の入会団体)を、仮に「入会団体A」とします。
行政名義の入会地の入会権者のみで構成されている団体(通称「入会団体」)を、
仮に「入会団体B」とします。
「入会団体A」は、行政と「入会団体B」の共同出資の”代表者の定めの無い権利能力なき社団”です。
「入会団体A」の総会は、ほとんど開かれていませんので、団体としての実感は湧きませんが、
確かに存在しています。
「入会団体A」の取り決め(規則)で、「入会団体B」の収益の範囲が決められており、
「入会団体B」の規則で、入会権者個人の収益の範囲が決められているのです。
入会権者の中には、「うちの入会団体は明文で決められていないから、
そんなことは知らないし、拘束される覚えは無い」という人もいるかも知れません。
そういうときは、各自の収益権の範囲について民事調停を起こして、
調停調書で明文化することによって、後々の紛争を避けることができます。
563 :
法の下の名無し:2006/10/26(木) 01:31:43 ID:C/dhPQRa
質問です。
私有地(墓地ではない)に立てられた墓及び地蔵があります。
墓は明治中期に、地蔵は戦後に建てられたものです。
墓の方はその当時墓地もなかった開拓地だったので、勝手に立てたものと思われます。
その隣には村落墓地から公営墓地に変わった墓地があります。
当然、その私有地は墓地の認可を得ていません。
その私有地の所有権が第三者に移りました。墓地とも地蔵とも関係のない第三者です。
その新所有者が、墓の祭祀継承者(子孫)や地蔵祭祀継承者に対し、移転を求めてきた場合、
移転しなければなりませんか?また土地の使用料は払わなければならないでしょうか?
この場合、地役権というものはこの墓に及ぶものでしょうか?そして、墓に地上権は
存在できるのでしょうか?
よろしくお願いします。
564 :
法の下の名無し:2006/11/28(火) 17:55:16 ID:NVYo06Y1
地役権の内容は?
565 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 20:18:10 ID:ElfBUtpV
>>563 墓石及び遺灰は動産です。
物体を継続的に置いているの過ぎません。
土地の所有者から撤去を求められれば、撤去しなければなりません。
また、土地の所有者は、所有権に基づく管理権によって撤去し保管することができ、
撤去及び保管の費用を、墓石及び遺灰の所有者に請求することができます。
566 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 20:34:17 ID:ElfBUtpV
一般に「墓地権」と呼ばれるものは、墓石を置かせてもらうというサービスの
提供を受けるための債権です。
土地の特定の区画に対して権利を有するものではないので、墓石を置く区画
の変更を墓地管理者から求められれば、特別な事情の無い限り拒否できません。
墓地権は、永年にわたるサービスの対価を前払いしているので、土地所有者が
変わったからといって、新しい土地所有者が、墓地権を有する者に対して、
無償で立ち退きを求めることは、信義則により認められません。
もちろん、駐車場のように1ヶ月契約の墓地であって、1ヶ月契約であることが、
看板等で明認できるならば、駐車場と同様に無償で立ち退くことになります。
567 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 20:54:04 ID:ElfBUtpV
>>563の件についてですが、勝手に立てたものと思われるということですので、
墓石を置くというサービスの提供を受ける債権である「墓地権」はありません。
無断で物体を置いているという状態です。
定期的に参っているものがあるならば、墓石に対する所有権は保持している
可能性があるので、所有権に基づく土地支配権により、墓石を撤去及び保管し、
その費用を請求することができます。
参っているものがいないならば、単なる不法投棄ですので、処分して問題
ありませんし、墓石を置いた者に対して、処分の費用を請求することができます。
墓石によって、土地を時効取得できるかという問題がありますが、
住んでいるわけではないので、おそらく認められないと思います。
墓石で土地が時効取得できるならば、古タイヤやドラム缶の放置でも土地を
時効取得できることになります。
都市計画等で墓地を撤去する場合に、新聞等で公告することになっていますが、
これは、永年にわたるサービス対価の前払いについて、その払戻の権利を放棄
するのかどうかを慎重に見極めるためのものですので、勝手に墓石を置いた場合
は、この対象にはなりません。
568 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 21:07:22 ID:ElfBUtpV
「慣習」について論じてみようかと思います。
法例第二条は、「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサル慣習ハ法令ノ規定ニ依リテ
認メタルモノ及ヒ法令ニ規定ナキ事項ニ関スルモノニ限リ法律ト同一ノ効力ヲ有ス」
とあります。
「法令ニ規定ナキ事項ニ関スルモノニ限リ」ですので、法例第二条がいうところの
「慣習」は、民法その他の法律の条文で説明が可能なことを除くということになります。
何が権利の濫用にあたるかや、何が信義に反するかといったことも、広い意味では、
「慣習」に含まれますが、法例第二条がいうところの「慣習」には含まれないということです。
実際、民法制定後に、法例第二条の「慣習」のみを根拠とする判例はありません。
569 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 21:11:38 ID:ElfBUtpV
強行法規は、立法府が「公の秩序又は善良の風俗」を確立するために設けたもの
であるので、強行法規に反する慣習は、法例第二条によっても認められません。
570 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 21:21:30 ID:ElfBUtpV
民法第92条は、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、
法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、
その慣習に従う。」とあります。
つまり、民法第92条がいうところの慣習は、当事者の意思推定における慣習
ということになります。
民法第1条第2項の信義則によっても、当事者の意思推定が行われるが、
信義則のほうは、「普段は明白に観念していないが、改めて問われれば、
当然、前提としてそのように考えていたはず。」という意味で使われる。
571 :
法の下の名無し:2007/04/28(土) 21:36:16 ID:ElfBUtpV
商品購入という法的観念を持っている人が、回転寿司で皿を取って食べると、
民法92条により、慣習による意思を有しているものと認められて、
寿司の代金を支払わなければなりません。
法的観念の無い外国人が同じことをしたときは、外面から法的観念が無いことを
うかがい知ることができなければ、信義則によって、購入の意思が推定されるので、
寿司の代金を支払わなければなりません。
572 :
法の下の名無し:2007/04/30(月) 13:36:21 ID:CDVL7E+A
一般に言う、いわゆる「墓地の購入」は、借地契約や地上権設定にはなりません。
「墓地の購入」は、永年にわたるサービスの対価を前払いすることです。
これは、慣習によるものです。(民法92条、信義則のどちらが適用になるかは個々の事例によりますが。)
もしも、借地契約や地上権の設定によって墓石を置きたいのならば、
「借地借家法が規定する借地権の設定により、墓石を建てるものとする。」又は、
「民法が規定する地上権の設定により、墓石を建てるものとする。」という特約を、
契約書に記載しなければなりません。
ただ単に「墓地の購入」だと、「永年にわたるサービスの対価の前払い」になります。
通常の「墓地の購入」契約は、永年供養料という書き方をしていることが多いようです。
「供養」はサービスですから、「永年にわたって供養というサービスをする料金」
ということになりますので、そういう意味からも、借地契約にはならないのです。
573 :
法の下の名無し:2007/04/30(月) 14:02:44 ID:CDVL7E+A
話を入会権に戻そうかと思います。
民法92条の慣習規定や信義則、権利濫用の規定は、法律行為全般について適用されます。
入会権の問題についても、当然に適用されますので、民法92条や信義則、権利濫用の規定
に反する入会慣習は、認められません。
また、入会慣習のうち、民法92条や信義則、権利濫用の規定によって説明できるものについては、
それらが適用されているものと考えるべきでしょう。
入会慣習から、民法92条、信義則、権利濫用の規定で説明できるものを除いた残りが、
入会権の条文が独自に定める「慣習」ということになります。
574 :
法の下の名無し:2007/04/30(月) 14:14:58 ID:CDVL7E+A
入会慣習から、民法92条、信義則、権利濫用の規定で説明できるものを除いた残りとは、
何があるのでしょうか?多分何もないと思います。
慣習を、人と人の関係で見ると信義則になりますし、裁判所が信義則を万能の道具
として使っている現状では、入会権の条文が独自に定める「慣習」など、
残るはずがありません。
575 :
法の下の名無し:2007/04/30(月) 14:38:30 ID:CDVL7E+A
共有入会地というのは、「代表者の定めの無い権利能力なき社団」の所有地です。
「代表者の定めの無い権利能力なき社団」とは、
民事訴訟法が規定する「代表者の定めの有る権利能力なき社団」以外の権利能力なき社団
のことであり、つまり、団体の財産を代表として自由に処分できる者が存在しない団体
のことです。
代表者の定めの無い権利能力なき社団は存在できるのかという意見がありますが、存在できます。
一度、権利能力なき社団となり、総有財産となったものは、全員合意等による解散手続きが行われない限り、
当然には共有に移行しません。
権利能力なき社団の運用が形骸化し、代表者が選出されなくなり、総会が開かれなくなっても、
過去に定められた規則に従って、構成員によって現に利用が為されているならば、
総有を保っているのであり、共有には移行しません。
最初から団体の定款が粗雑で、代表者や総会の規定が無くても、
団体として総有状態を構成するということで、全員の合意が成立していたならば、
団体の財産は総有状態に移行したのであり、共有ではありません。
576 :
法の下の名無し:2007/04/30(月) 14:49:43 ID:CDVL7E+A
世の中にペーパーカンパニーがあるように、「ペーパー権利能力なき社団」
というのも考えられます。
権利能力なき社団を自称していても、実質が、特定の者の財産と同一視できる場合
には、権利能力なき社団とは認められません。
「代表者の定めの無い権利能力なき社団」は、代表者が存在しなくても、
団体として総有状態を構成するということで全員の合意が成立しており、
全員合意による規則によって利用がなされているのであるから、
「ペーパー権利能力なき社団」とは別物です。
577 :
法の下の名無し:2007/05/01(火) 20:47:56 ID:GQXNe9YS
(568の補足)
法例2条は「法令ノ規定ニ依リテ 認メタルモノ及ヒ」なので、
民法92条や信義則、権利濫用の規定で扱う「慣習」も、
日本語の解釈としては、法例2条が意味するところの「慣習」に含まれます。
しかし、民法92条や信義則、権利濫用の規定は、
法例2条の規定を補足するものではなく、独立して「慣習」を定義しているので、
法例2条の効力は、民法92条や信義則、権利濫用の規定が扱う「慣習」に対しては、
効力を及ぼしていません。
つまり、法例2条が有っても無くても、民法92条などの規定が扱う「慣習」は
効力を有するのであるから、それらは、法例第二条の作用によって効力を生じて
いる「慣習」の範囲には含まれないのです。
578 :
法の下の名無し:2007/05/01(火) 21:05:59 ID:GQXNe9YS
(567の補足)
勝手に立てられた墓石を撤去することが墳墓損壊の罪に当たらないかどうか
という問題についてですが、罪にはなりません。
墓石は自動車と同じく法律上は「物」に過ぎません。
自分の土地に不法投棄された自動車を解体撤去したとしても器物損壊罪にならない
のと同じく、自分の土地に勝手に設置され放棄された墓石を解体処分しても、
墳墓損壊の罪にはあたりません。
墳墓損壊の罪は、他人が所有している墓石を破壊した場合に適用されます。
放棄された墓石は、所有権を放棄しているので、処分することができるのです。
現に参拝者がいる場合は、所有権の放棄がされていない虞があるので、
所有権の放棄が確認できるまで処分はできませんが、移動させることはできます。
その際、墓石に一時的な分解が生じ、一部に破損が生じたとしても、
墳墓損壊の罪にはあたりません。
地面にタイヤが埋まった自動車をレッカー移動させる際に車輪の一部が、
意図せずして破損したとしても、器物損壊罪にはならないのと同じです。
579 :
法の下の名無し:2007/08/25(土) 20:34:37 ID:BGuP4Mg/
温泉権は債権である。しかし、信義則の働きによって、物権的な性質を示して
いるのである。
温泉権は、永年の期間にわたる温泉使用料の支払いを前払いすることによって、
取得される。(永年使用料の支払いを約したうえで、支払いの免除を受けた場合
を含む。)
債権は、土地の所有者が変われば、新しい所有者には対抗できないのが原則である。
駐車場の土地所有者が変われば、駐車場の利用者は、土地を明け渡さなければなら
ないのが原則である。
しかし、新しい土地所有者が、土地の取得前において、前納された駐車場利用料が
返済されなくなることを知っていたような場合は、信義則の働きにより、前納され
た駐車場利用料の期間は、当該駐車場を利用させなければならない。
温泉権は、永年の利用料を前払いしているのであるから、物権のように、
新しい土地所有者に対抗できるのである。
このとき、新しい土地所有者が土地の取得前において、当該土地に、温泉権が存在
することを知っていなければ、新しい土地所有者に対抗することはできない。
そこで明認方法の設置が必要となるのである。
580 :
法の下の名無し:2007/08/25(土) 20:41:20 ID:BGuP4Mg/
温泉権は「慣習上の物権」であると言われることがある。
温泉権は債権であるが、その性質ゆえに、物権に例えられることがあり、
「慣習上の物権」と呼ばれるのである。
上級の焼酎を高級ウイスキーに例えて「下町のナポレオン」などと呼ぶ
のと同様である。
いくら高級な焼酎であっても、区分としては、焼酎に過ぎないのであって、
ブランデーには成り得ないのである。
581 :
法の下の名無し:2007/08/25(土) 20:56:29 ID:BGuP4Mg/
温泉権は、「滌除」(「てきじょ」と読む)が可能である。
「滌除」とは抵当権の条文に見られる用語で、新しい土地所有者が
補償金を支払うことで、所有権以外の物権(抵当権)を取り除くことである。
温泉権は、使用料の永年前払いを根拠として、新しい土地所有者に対抗する
ものであるから、その損害分の補償を受ければ、根拠を失うのである。
もっとも、温泉業を営んでいる場合など、用意に手放すことができない場合や、
設備の移転に膨大な費用を要する場合は、権利の乱用として認められない。
投機目的で温泉権を有している場合においても、「滌除」が行われれば、
損害を被ると言えるが、権利の乱用を根拠として保護されるかどうかは、
信義則の解釈によるものと言えよう。
582 :
法の下の名無し:2007/08/25(土) 21:12:31 ID:BGuP4Mg/
[温泉権類似の権利]
@温泉入会権
共有入会地に温泉がある場合、入会権者は温泉を利用することができるが、
これは温泉権ではなく、入会収益権である。
A部分的な土地所有権
1筆の土地のうち、温泉湧出口のある数平方メートルの部分のみを別の者が
所有している場合、温泉を利用する権利は、土地所有権によるものであって、
温泉権によるものではない。登記の不備によって生じる現象である。
B温泉地役権
温泉湧出口のある土地を承役地、旅館等の温泉利用施設ある土地を要役地と
する地役権。通行地役権の判例によれば、地役権は、実際に現地をみて存在
を確認できる場合は、登記がなくても対抗できる。
583 :
法の下の名無し:2007/08/26(日) 13:39:58 ID:4xEsSOSS
>>580-582 なるほど!!
物権に例えるのが、法例2条の慣習な訳か。
飲み屋で「下町のナポレオン下さい。」というと、「下町のナポレオン」が出る慣習と同じか。
そんなことだろうと思った。法体系に欠陥なんて滅多にないと考えるのが普通。
ところで、ウィキの泥試合は収束するんだろうか。
実務的には、債権と構えて、信義則で防御したほうが安全そうだが。
物権と思って、債権だったりすると被害が膨大だな。
584 :
法の下の名無し:2007/12/28(金) 12:48:53 ID:qN2TnF93
最近、温泉権と温泉環境権を混同した意見が目立つ。
温泉環境権とは何かというと、例えば、
南側に高層ビルが建って、日照が遮られたときは、
日照権によって、補償の請求又は差し止めができる。
これと同様に、温泉水脈の上流で開発が行われることによって、
温泉湧出量が減少したときは、温泉環境権によって、
補償の請求又は差し止めの請求を行うことになる。
これが温泉環境権であるが、温泉環境権を「温泉権」と呼ぶ場合もあるので、
混同が生じる。
585 :
法の下の名無し:2007/12/28(金) 12:57:56 ID:qN2TnF93
海面の埋め立てや干拓による環境悪化によって漁獲量の減少が生じたときは、
「漁業権による補償請求」や「漁業権による差し止め請求」と呼ばれる訴え
が起こされる。
これらは厳密には、「漁業権に基づく漁業環境権による補償請求」や、
「漁業権に基づく漁業環境権による差し止め請求」である。
公有水面使用免許である漁業権は、環境が悪化しても変化なく存在し続けるから、
漁業権に対する侵害ではなくて、漁業環境権に対する侵害になるわけです。
広島の厳島神社のように、土地扱いの海面で漁をしている場合であれば、
「土地所有権に基づく漁業環境権による補償請求」となりますね。
586 :
法の下の名無し:2007/12/28(金) 13:04:30 ID:qN2TnF93
温泉権は土地使用権なので、極論すれば温泉水脈が全く無いところでも
設定が可能です。全くの不毛の土地に永小作権が設定できるのと同じです。
温泉環境権は、環境権なので、温泉を現に利用している必要があります。
最初から日光が全く当たらない土地を購入したときは、
日照権を主張できないのと同じです。
587 :
法の下の名無し:2007/12/28(金) 13:17:31 ID:qN2TnF93
入会権と採草環境権を混同した学説も見かけます。
例えば、採草牧畜を行っている入会地の周囲に廃棄物処分場が出来て、
採草牧畜に損害が生じた場合は、「入会権に基づく採草環境権」によって、
補償の請求や差し止め請求ができます。
このため、「入会権=採草環境権」という誤った理解が生じます。
採草牧畜を行っている場合でも、土地所有権に基づいて採草牧畜を
行っている場合は、「土地所有権に基づく採草環境権」になります。
入会権は土地の使用権なので、入会権者全員の合意があれば、
廃棄物処分場を営むこともできるので、「入会権=採草環境権」という
理解は明らかに誤りです。
ただ、「入会(いりあい)」という言葉には、もともと採草牧畜という意味が
あって、漠然と「採草牧畜の権利」という意味で「入会権」という言葉が
使われることがあるので、注意が必要です。
588 :
齋藤:2008/03/24(月) 03:31:43 ID:k2jZAVBl
堤防沿いにある民家なのですが、家の横にテントを建て倉庫代わりにしていたのですが、
20年以上使っていましたが、最近になって土木事務所の人から撤去命令をされました。
20年以上建ててあった物の土地は、所有件が発すると本で見たことがありますが、
堤防などの河川敷は私の土地にならないのでしょうか?
589 :
法の下の名無し:2008/04/11(金) 16:19:53 ID:G0LIaj86
レオパレス21に「システム料金」などで改善を要請へ
有名女優をコマーシャルに起用、一部店頭では「敷金、礼金、仲介手数料0円」などと表示、派手な宣伝で賃貸物件紹介を行っている「レオパレス21」が消費者に不利な契約を行っているなどとして、
消費者団体の「消費者支援機構関西(KC‘s)」(大阪市)が同社に対して改善を要請する申し入れを2月1日付で行った。同じく貸金業者の「ニューファイナンス」に対しても改善申し入れをして
いる。両方の詳細を4日からホームページ(HP)で公開している。
KC‘sの申し入れ書によると、レオパレスは「システム料金」の名目で初期費用として家賃1カ月分が必要なことを契約書に示している。
これについて「システム料金の実質は、入居契約の際の敷金または礼金と同じものと解され、趣旨や対価性が明確ではなく問題である」として、徴収をやめるべきだと申し入れている。
なお現在、同社のHP上では敷金・礼金・仲介手数料は不要の表記は見当たらないが一部店頭ではポスターなどで表示している。
このほか「退去時に徴収している基本清掃代、室内家具・備品の清掃料、騒音苦情の際の違約金」についても徴収をやめるか改めるよう申し入れた。基本清掃代とはワンルームで26、770円など間取りによって金額を設定して物件明け渡し時に徴収している。
騒音苦情とは近隣から入居者に対して苦情があった場合に、レオパレス側に違約金5、250円を支払わなければならないという。
これらは消費者契約法での不当な契約条項の使用に該当するため、改善を申し入れた。
昨年10月に同社に対して問合せ書を送付、回答があったが見解の隔たりがあったため1日の申し入れとなった。
同社からは回答期限の2月15日までに申し入れに対する新たな回答をするという連絡がKC‘s側に入っている。
http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802040212/1.php http://news4vip.livedoor.biz/archives/51126415.html レオパレスの問題点
・「鍵の交換代」は原則として民法上家主の負担なのを、社員が知らない。 民法606条に規定あり。
・ライフサポートは任意なのに、誰も任意だと知らない。
・保険の抱き合わせ販売は本来独占禁止法違反であり、火災保険等ならともかく、鍵を無くす可能性を感じる人「だけ」が入るべきだと、個人的には思う。
・使う気のないレオネットポイントを強制的に徴収する。 これも抱き合わせなので独占禁止法違反。
ただし、住人が強硬に法的に攻撃した場合、稟議の末返金となる「場合がある」(常に返金かどうかは不明)。
・気が付くと家賃が上がっている。納得の行かない人は借地借家法32条2項参照。
・不明瞭な理由で、下手をすると理由なく、金を取ろうとする。
・年会費制度を廃止しておきながら、勝手に引き落としを掛けることがある。
・退去時に、戦闘モードになって管理課の人間と論戦をする覚悟が要る。
・壁が異常に薄い。 ・騒音問題に対応してくれない。
・隣の住人の騒音に悩まされていて、精神科に受診した人すらいる。
・備付の家具・家電・レオネット等が壊れていることがある。・壊れていても直してくれなかったり、直すのに時間が掛かったりする。
・賃貸の場合、ルームクリーニング代を徴収しているくせに、シャワールームの鏡に水アカがたまってたりする。
・虫対策が必須。
590 :
法の下の名無し:2008/12/24(水) 00:30:48 ID:3+eWopnt
591 :
法の下の名無し:
発掘した