573 :
法の下の名無し:2009/09/29(火) 09:31:16 ID:MgPKSon/
>>572 ざんげさん。私はそんな物言いはしません。ジュリストは読もうが読むまいが自由ですよ。
574 :
ざ:2009/09/29(火) 10:58:51 ID:5GNUa6Ce
575 :
法の下の名無し:2009/09/29(火) 11:20:58 ID:MgPKSon/
最近の法学教室の演習で隣接する敷地の所有権を主張するのか境界の確定を主張するのか
という問題があったと思うのですが、何月号か情報出していただけませんでしょうか。
自分でも探しているのですが。
576 :
法の下の名無し:2009/09/29(火) 12:29:02 ID:ajAea9iz
「【外国人参政権】・【人権侵害救済法案】に断固反対します」の
署名が、「署名TV」で始まったぞ。
期間が短いから、出来るだけ沢山
拡散してくれ。
現在、俺のパソコンではリンクを付ける事ができないので、
付ける事が可能な奴は、
「署名TV」と検索して
宜しく頼む。
577 :
法の下の名無し:2009/10/01(木) 23:02:56 ID:TggWr3PS
>572
そうするとジュリストの論文の筆界の定義は
「隣接した土地の地積によって導かれる限界線であって、
うまく重なり合っているもの」っていう訳ね。
不動産登記法との関係はどうなるの?その地積って所有権の面積?
登記上の面積?
578 :
法の下の名無し:2009/10/02(金) 13:43:50 ID:tID3xeJW
>>577 自分の土地を実測した面積です。ところが登記上の面積には現代の技術から見れば誤差がある
ということです。「筆界とは地積に導かれる限界線」ということばは、土地測量技術を法律家が
知らない以上、数学的な技術などを熟知した専門職(土地家屋調査士)に委ねていると解釈して
います。
特集
580 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:02:09 ID:SqQksEAj
ジュリストバックナンバーから要約をまとめてみました。
2009年10月15日号「日本における国際法」より。
「アヘン戦争と徳川幕府」
日本は中華帝国に連なるものであり、西欧諸国の国際法は「万国公法」によってのちに知ることに
なる。しかし、国内法に比べて国際法が、国家間の勢力均衡の上に成り立つ脆弱なものであること
をも思い知るのだ。1840〜42年のアヘン戦争でイギリスが勝利したことが何を意味したであろうか。
イギリス>清朝中国>李氏朝鮮≧徳川日本、という図式が明確になったのだ。
明治維新を迎え、日本はアジアの弱者連合を組むか、西欧に並ぶ近代化を進めるかの選択を
せまられ、明治期の大半を不平等条約の撤廃に費やすことになった。
日清戦争・日露戦争勝利後に、韓国の保護国化・併合へと進むが、日本側は韓国併合が国際法上
正当であるかどうかにこだわっている。保護国化は少なくとも違法ではなかった。
韓国併合も事実上は強制であったが、形式上は「任意性」を貫いたのだ。列国との外交交渉によって
あらかじめ反対を封じ込め、日本は韓国と任意の併合条約を結んでいるのだ。
ここで幕末維新以来、文明国化を進めた日本は帝国主義国の立場を確立したのだ。
「国際連盟脱退」
日本が国際連盟を脱退したのには国際法上の理由があった。そもそも、幣原喜重郎は
第一次大戦後、国際連盟に加盟したくないということをほのめかしていた。日本は常任理事国
としての責任も負わされる。日本は多国間の協調外交に慣れていなかったのだ。
さて、問題は満州事変だった。すでに中国の現状維持の取決めを行っていた日本は、満州事変
を主導した石原莞爾もこれを尊重せざるを得ず、満蒙領有論から、新国家独立論へと後退していた。
満州国を独立させたのだ。これに対して国際連盟で非難決議が出されても、日本は反対したという
事実だけでは国際連盟脱退にまでは至らない。
当時、日本は熱河で中国と武力衝突をしており、この中国との武力衝突が国際連盟規約に触れて、
経済制裁を受ける可能性が濃厚だったのだ。この経済制裁を受けることを回避するために、
日本は国際連盟を脱退したのだ。
日本はあくまでも国際法の研究のもとに行動していたのだ。
581 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:02:59 ID:SqQksEAj
「満州事変前夜」
以前、第二次山東出兵は辛亥革命以来の日中軍事衝突だといったことがあるが、この
居留民保護目的の軍事衝突も、国際法上の誤解を招かないためにも不戦条約を批准
しなければならなくなった。第一次大戦後に西欧で広まった「民族自決」が中国でも
確立したのだ。
ここで、もし中国統一運動が「満蒙」権益の回収にまで波及したらどうなるだろうか、
というのが日本の重い課題となったのだ。
ロンドン軍縮条約は、民政党が美濃部達吉・佐々木惣一という東西の学者の理論を
背景に統帥権干犯問題を乗り越えた。また、民政党は選挙でも圧勝を納めて、軍縮反対論
を封じ込めたのだ。
この状況に対して行動をもって異を唱えたのが関東軍の満州事変だったのだ。
関東軍は満蒙地域における現地軍だった。政党内閣制ではこの地域を守ることはできない
という判断だった。
満州事変は1933年5月に塘沽停戦協定の成立で一応落ち着いたが、軍部の大陸志向と
中国ナショナリズムには妥協点がなかった。1937年3月に日中全面戦争が起こる。
1930年代の「東亜新秩序」は、アメリカ主導の国際法秩序と大陸の現実の間でのバランス
を取る試みだった。しかし、日中全面戦争の下ではその目的は果たせない。
日本は東南アジアへの「南進」をすすめ、「大東亜共栄圏」を構想する。これは、ヒトラー政権下
の広域国際法をモデルとしたものであった。第一次大戦の戦勝国への挑戦としてヒトラーが
構想した理論だったのだが、この決着は日米戦争による決着を待たなければならなかった。
582 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:05:14 ID:SqQksEAj
ジュリスト2009年11月1日号「変わる農業法制・農業政策」より。
俺が大学のボクシング部で「追いコン」をやった時に、農水省に入省が決まっていた先輩が
「お米を食べてください」といっていたのだが、これはあながち的外れではないのだ。
昭和40年にカロリーベースで食料自給率が70%だったのが、現在では40%にまで
落ち込んでいる。背景には食生活の高度化が上げられる。高温多湿のわが国にとって米は
風土に適した農産物であるが、畜産物の消費が進むようになり、たとえ国内で畜産されている
ものでも、飼料が輸入されていれば自給していることにはならない。さらに、菜種や大豆
から出来る油脂なども、広大な敷地が必要で、わが国には適合しなかった。また、農産物
の内外価格差が自給率を下げている。ウルグアイラウンドで国内農業を守る手段が関税以外
になくなり、農産物の自由化が進んだことから、広大な農地面積を持つアメリカなどに
押されることになった。また、わが国の国内での農地面積も4分の1がキャピタルゲイン目的
で失われていたのだ。これが現在の自給率低下の要因である。
日本の農地に関する法律は変貌しつつある。今までは耕作者が土地を所有するのが望ましい
とされ、所有者以外のものが耕作する場合は標準小作料を払うことになっていた。戦前の
豪農のように、土地を小作人に耕させてぼろ儲けすることがなくなっていたのだ。
しかし、たとえば食品会社が地方に農地を持って農作物を生産することなどを念頭に法改正
がなされた。住友化学などは早くも農業への進出の意向を示しているそうだ。
しかし、農村社会のあり方に影響を及ぼしてしまうので、進出する企業の重役に必ず農作業
従事者をおくことを求めており、農村社会との調整役を企業の上層部に入れるのが好ましい
とされている。
農業への理解は組織でも重視されており、そもそも食料自給率に関しても、戦時中の
「米・麦・イモ」の生活ができるのならば食料自給率は100%達成が可能だという事実も
認識しておく必要がある。
583 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:06:02 ID:SqQksEAj
農地法というのはなんであろうか。一言でいうと農地の「権利移動統制」「転用統制」を
行うものだ。権利の移動とは農業への新規参入者を統制することを意味し、いわば農業の
「入り口」を統制するものだ。一方、転用とは、農地が農地としての役割を終える場面を
統制するもので、いわば農地の「出口」を統制しているのである。
農地法とはそのようなものだ。
基盤強化法は、別の趣旨の立法で、世界規模で食糧難が起こることを念頭に、国内の農業
生産力を強化しようという立法なのだ。
今の日本の農業政策で理解すべきはこの点であろう。
「耕作放棄地(遊休農地)対策」
耕作放棄地が埼玉県ぐらいの広さにのぼるとよく言われるが、この問題は食糧供給の基盤
を失うことを意味するだけでなく、雑草が繁茂し、通風や日照を悪化させたり、病害虫の
温床になったり、さらには産業廃棄物の捨て場となってしまったりする。
これらの耕作放棄地が生じる原因としては、高齢化・離農が進む一方で、これに代わる農地の
引き受け手がいないこと、土地条件が悪いこと、鳥獣被害を受けてしまったこと、などが
挙げられる。
これらは基盤強化法で対応することになっていたが、今回の改正で農地法に移管された。
一般の遊休土地利用に対する行政の介入と異なり、かなり強い介入権限が農地法で与えられ
ているが、民間人の所有による土地であることから、権力を行使することに抵抗もあり、
なかなか難しい問題となっている。
584 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:06:50 ID:SqQksEAj
ジュリストの農業の特集を読み終えました。確かに水田に関しては戦後40回の生産調整
(減反政策)が行われています。しかし、米価が非常に低い水準になってしまい、自民党は
経営所得安定化政策というのを行いました。生産調整に関しては石破茂農水大臣が異論を
唱えるなど、非常に自民党の農業政策は複雑化して、自民党農林族は民主党の切り崩しに
あいました。基本的に食管法は90年代に廃止されましたが、下流の部分では自由化された
ものの、生産の現場では全体主義的に動いていたようです。
民主党は2007年の参院選以来、戸別所得補償制度をうたい文句にしてきましたが、その
実情は抽象的で、市場価格での販売と、農家の所得補償、ということしか分かりません。
政策を行うのなら「米市場」で限定的に行うべきで、麦や大豆の市場にまでこれをもちこむ
べきではないという論文を読みました。
民主党はカロリーベースの自給率ではなく、生産額ベースの自給率という概念
を導入して、生鮮野菜などの生産を刺激しようとしました。しかし、市場価格の下落で
生産額ベースの自給率は低下する羽目になりました。
非常時に「米・麦・イモ」に依存するという国策を取る以上、生産額ベースでの自給率
(民主党は食糧自給力と言っています)という概念はナンセンスだとジュリストに書かれて
いました。
ついでに、農業が日本の労働市場で果たしてきた役割を語りたいと思います。
1980年代までは、田舎から上京するという表現で言われたように、農家が近代化する日本の
産業の労働力をどんどん供給してくれました。しかし、それ以降は、農家に労働力を供給する
力はなくなり、また、不況時に労働力を吸収する力もなくなっていたのです。
結局、日本は「失業者」という名の労働力のプールを不況時に行っているのです。
企業人としての「長期蓄積能力活用型」の労働者、専門分野を持った「高度専門能力活用型」
の労働者、パート的に扱う「雇用柔軟型」の労働者、の三種類に分かれたのです。
この構造が、労働者供給能力を農業が失った今の日本の労働市場なんですよ。景気がよければ
働けて、悪ければ失業するなんてことは高度成長期にはなかったのです。
585 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:12:27 ID:SqQksEAj
ジュリスト「日本における国際法」補足
「東郷平八郎と海事国際法」
1894年、日清戦争開戦直前に英国の商戦を撃沈した東郷平八郎は、英国留学中に海事国際法
を学んで、これに習熟するようになり、この戦闘においても詳細かつ具体的な海戦法規の知識を
もとに、当該船舶に対して停船・臨検の要求を行った後、これに従わないためその撃沈を決断した
が、その戦闘行為が当時の国際法上正当な行為であることを確信していた。
イギリス世論は激昂したが、国際法の権威であったウェストレーキとホランドがタイムズ紙
(1894年8月1日)にその撃沈が国際法上正当であるとする論評を掲載したことで、事件は落着
している。
日本でも海軍大学校の第一期(1890年卒業)の軍事教育において国際法は重視され、
軍事科目の750点中100点が割り当てられていたが、時代が下るにつれ、その比重は
低下していった。それが日本の悲劇の一因ともなっている。
大正・昭和と時代が下るにつれ、戦略・戦術、特に図演教育が重視され、国際法や外国語
は軽視されていった。大正7年には国際法は2000点中50点にまで下がり、昭和3年には、
戦略・戦術・戦務・戦史の配分時間1446時間に対して、軍政264時間のうち国際法は
わずか34時間であった。語学教育に割かれる時間も同様に低下していった。
586 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:14:25 ID:SqQksEAj
・「韓国との大陸棚協定」
1974年締結・1978年発効。北部協定においては竹島問題を回避し、南部大陸棚協定の
共同開発区域は、韓国の自然延長の主張を入れて、中間線から日本側に設定された。
また、漁業暫定措置法(1977年)では、旧ソ連の200海里水域設定に対抗して、旧ソ連の
日本沿岸での漁獲を規制したが、それまで日中韓の漁船が入会って操業していた西日本の
海域には200海里水域を設定せず、また、中韓の漁船については暫定措置法の適用から
除外している。
日中韓の間では排他的経済水域の境界画定はなされていないのだ。
・「北朝鮮の不審船」
領海あるいは排他的経済水域(EEZ)を徘徊する漁船を装った北朝鮮の工作船に対して、
漁業法・EEZ法に基づいて立ち入り検査を行うために停船命令を発するものの、それら船舶が
検査を拒否して逃亡するのを追跡した事例が、不審船問題である。東シナ海では銃撃戦となり
不審船が沈没している。不審船は漁船を装って領海またはEEZを徘徊しているがゆえに
「違法操業漁船」ではなく「不審船」と呼ばれたことからすれば、これを漁業法上の検査忌避で
追跡することが適当であるかという議論も生じた。のちに、「領海などにおける外国の船舶の航行
に関する法律」が制定されたひとつの理由でもある。
・「中国調査船の特異行動」
中国調査船が沖ノ鳥島周辺に設定されたEEZについて、岩はEEZを持たないのではないか
として、その効力を争うために周辺海域において調査船による調査を日本の同意を得ずに実施
したことを言う。EEZの海洋科学調査については沿岸国の同意が必要である。軍事調査に
ついては明文の規定はないが、中国は自国周辺のEEZについても、軍事調査を実施する場合
には沿岸国の同意を要求している。日本は軍事調査であれば同意を要求しないが、中国調査船
の調査が、軍事調査であるか海洋科学調査であるかが明示されないため「特異行動」と呼んで
中国に対して抗議を行っている。
587 :
法の下の名無し:2009/11/21(土) 14:22:08 ID:f/1G5Mok
・「貿易摩擦・守りから攻めへ」
GATTはウルグアイラウンドを経て1995年にWTOへと発展的に解消したが、
日本はGATTの紛争処理に関しては1980年代まではとにかく逃げの一手だった。
アメリカなどがとにかく紛争処理の段階で日本を叩いておこうという姿勢だったのだ。
これらの一連の事案では日本は連戦連敗だった。1989年にSPF加工材関税に
関するパネルでカナダを相手に日本の主張が全面的に認められ、これに勇気づけられた
日本は、ECの部品ダンピング規制をめぐる紛争で始めて紛争付託を行い、1990年
に日本の主張を全面的に認めたパネル報告書が採択された。これが日本のWTO紛争
処理制度に対する姿勢を決定付けた。日本は他国の貿易制限的措置を対象に積極的に
紛争付託を行うようになり、現在に至っている。このような紛争では「守り」の紛争
での勝率は1割であるが、「攻め」の紛争での勝率は9割にも上ることがわかっている。
・「みなみまぐろ事件とは何であろうか」
1999年にオーストラリアとニュージーランドが、日本のみなみまぐろ漁獲に対し、
資源状況を危殆に曝しているとして国連海洋法条約に基づいて仲裁裁判所に提訴
すると同時に、漁獲差し止めの暫定措置を国際海洋法裁判所に求めた。
暫定措置に関しては認められたが、本案である仲裁では、「みなみまぐろの保護に
関する条約の解釈適用」に関する紛争であり、国連海洋法条約の解釈適用に関する
紛争ではないとされて、仲裁裁判所に管轄権はないという日本の主張が通り、わが国
が逆転勝訴したのだ。しかし、暫定措置が一時的にでも認められたことから、
オーストラリアとニュージーランドは一定の目的を達しており、「仲裁裁判所の
管轄権に一応の根拠」があれば国際海洋法裁判所の暫定措置が通ってしまうという点
を巧妙に突かれていた点はわが国にとってもいい学習になったとされる。
別冊
589 :
法の下の名無し:2010/01/24(日) 08:48:02 ID:ZxZmINps
ジュリスト 2010年1月1-15日号(No.1392)
【特集】民法の現在――債権法改正・成年年齢引下げ
T 債権法改正
◇〔座談会〕債権法改正をめぐって――企業実務の観点から●道垣内弘人(司会)●池本誠司●潮見佳男●中原利明●松岡久和●森脇純夫●安永耕一郎●渡辺達徳……4
◇〔座談会〕債権法改正をめぐって――裁判実務の観点から●加藤雅信(司会)●高須順一●中田裕康●房村精一●細川 清●深山雅也……46
◇債務不履行・約款●山本 豊……84
◇契約各則――売買・役務提供●高橋 眞……93
◇法律行為法・契約の成立および消費者法●平野裕之……101
◇責任財産の保全●片山直也……111
◇弁済・債権回収●中舎寛樹……120
◇債権時効●松久三四彦……128
590 :
法の下の名無し:2010/01/25(月) 17:25:21 ID:mGPh3tDZ
214 :氏名黙秘:2010/01/14(木) 18:36:04 ID:???
債権法改正をめぐって―裁判実務の観点から(ジュリスト2010年新年号65頁)
「改正検討委員会のように「引き受けていなかった事由」という言葉に変えた場合に、
いままでの判例のどの部分が変わり、どの部分が生きるのかという疑問が生じます。
いままでと実質上変わらないのだったら、何で言葉を変えるのかという疑問も生じます。…
「壊れていないものを修理するな」という格言は、私は、実務家として、あるいは
かつての立法担当者として、正直に言って大変共感を覚えます。」
591 :
法の下の名無し:2010/01/25(月) 21:47:22 ID:i4oVzAfu
>>589 新年合併号の中舎寛樹論文から3つほどまとめてみました。
「差押と相殺」
問題は債権者−債務者間に存在する「受働債権」だ。債務者の自働債権による相殺の期待
があり、一方この受働債権が差押えられることがある。
これが「差押えと相殺」の問題だ。
●検討委員会案
まず、弁済が禁止された債権でも相殺に供することができる旨を規定した上で、相殺ができない
場合として、@差押え後に自働債権を取得した場合、A差押えの申立て後に悪意で自働債権
を取得した場合を揚げ、法定相殺に関して無制限説をとることを明らかにし、相殺できる権利を
最大限に尊重している。しかし、このことと差押えの処分禁止効を回避するために行われる相殺
は別問題であるとし、自働債権の期限の利益喪失条項ないし相殺予約の効力を原則として否定し、
例外的に双方の債権が「特定の継続的取引」による場合には差押え債権者に対しても対抗
できるとしている。
●研究会案
@差押え後に自働債権を取得した場合だけでなく、A差押えの時点で受働債権の期限未到来
の場合、B自働債権の弁済期が受働債権の弁済期よりも後の場合にも相殺が禁止されており、
制限説の立場を採用するものとなっている。しかし、期限の利益喪失条項などの約款の効力は規定
されていない。
●差押えと相殺という問題においては、無制限説か制限説かということよりも、約款の効力を
認めるか否かが問題である。約款の存在なくしては、相殺に担保としての機能を付与することが
出来ないからである。たとえ無制限を採用しても、約款の効力を否定するならば、差押債権者
による取立てがなく、漫然と自働債権の弁済期が到来した場合に相殺できるに過ぎない。
592 :
法の下の名無し:2010/01/25(月) 21:48:23 ID:i4oVzAfu
「債権の準占有者への弁済」
たとえば、銀行に親の通帳と印鑑を持って行ってカネを引き出した場合に、銀行は「印影の照合」
などを適切に行う限りにおいて払い戻しは有効である。とされている。
現在の判例・学説は「債権者のなりすまし」「受領についての無権限」「証書等の偽造・盗難」を
問わず478条(免責)を認めている。
●検討委員会案
合理人を基準として、債権者の外形を有していると判断される者および債権者以外の者で
受領権限を有していると判断されるものに対する弁済を「正当な理由」によって免責する。
債権者の帰責性は「正当な理由」による総合判断の考慮要素として位置づけられる。
●研究会案
債権者の帰責性を独立要件としているが、上記の3つの事例などを通じた統一要件である点で
検討委員会案と共通する。
●批判
学説は478条を限定的に解釈するものから、拡大利用しようとするものまで多岐にわたっており、
見解の一致がない。
帰責性を独立要件ではなく統一要件にしたほうが妥当であると思われるが、様々な利害状況が
あり、類型化の作業が求められることになると思われる。
●類型化の例(検討委員会案)
「債権者のなりすまし」(支払人の善意・無過失)
「受領についての無権限」(権限のある債権者の帰責性の要求)
「証券の所持人の場合」(正式な債権者による、支払人の悪意・重過失の立証)
などが研究されている。
593 :
法の下の名無し:2010/01/25(月) 21:49:37 ID:i4oVzAfu
「時効について」
時効制度の存在理由をどのようにとらえるかは、規定や制度趣旨の説明の仕方が変わってくる
だけでなく、規定の解釈・適用範囲に違いをもたらす場合があり、立法論においても、時効の
要件・効果、援用権者の範囲、時効の配置などに関わってくる。
●推定説(訴訟法説・検討委員会案)
債権時効は弁済者を債務不存在の立証の困難から救済する制度であるが、実際に存在する
債権も時効にかかるのはこれを回避する制度設計の難しさからやむを得ず認められるに過ぎない。
●権利消滅説(実体法説・研究会案)
弁済者を債務不存在の立証困難から救済するだけでなく、存在する債権であっても時効にかかる
ことを正面から認める。もちろん、債務は履行されるべきであるというのが原則であるから、時効は
一定の時間経過を要件としてその例外を認める制度であるということになり、そのような例外を認め
権利者保護よりも義務からの解放を優先させる正当化根拠として、「権利の上に眠るものは保護
しない」などと言われてきた。
●検討委員会案について
提案要旨の説明では、「曖昧化」から生じる負担と危険からの解放という理由付けが随所に見られる。
これはヨーロッパ契約法原則(PECL)などを参照したものと思われる。
援用権者に関しては、債務者のみということになりそうであるが、現行民法が保証人や物上保証人
に援用を認めている。しかし検討委員会案ではこれらの人は時効の利益をもつのみとなる。
また、債務者がいわゆる時効完成後の承認をしたときは、それが援用権の放棄の意図がなくても、
援用権を喪失させるとしている。
●推定説への批判
端的に言うと、権利の永続性を認めることになるのではないかということである。信義則や権利濫用
によって権利の永続性を個別に否定するのであれば法的安定性の点からも問題がある。
現行時効制度は権利消滅説(実体法説)に基づくものである。
594 :
法の下の名無し:2010/01/25(月) 21:53:34 ID:i4oVzAfu
>>593は、◇債権時効●松久三四彦……128
からの要約です。
「現行時効制度は権利消滅説(実体法説)に基づくものと考えるが、そうであるならば、
民法改正に際し、推定説に基づく時効制度に改めることは、
現行時効制度の大きな転換点となる。
今、そのような転換が求められているのか、
そのような社会の要請があるのかも問われることになろう。」
松久「債権時効」ジュリスト1392号
銀行法務21、2010年1月号、原
時効期間満了の効果
「主債務者の時効期間が満了しても、保証人・物上保証人等は、
時効利益の享受の意思表示はできないという案も提案されている。
しかし、価値判断として、保証人・物上保証人等に時効利益の享受の意思表示を
認めなくてよいのかは、なお検討を要する。
実務的には、無資力の債務者が債権者と結託するリスクもあろう。」
ジュリスト2010年1月号127ページ
債権の無因性について
「検討委員会案では、債権の消滅の冒頭に、債務の履行イコール弁済であるという
趣旨の規定が設けられている(3.1.3.01)。…
しかし、そのような提案がなされる基礎には、一人計算の提案に象徴されるように、
債権の消滅は決済問題にほかならないという発想があるのではなかろうか。…
このように債権を原因関係から切り離す方向性は、
個性のない金銭債権を主たる対象として念頭に置く場合にはじめて是認されるものであるように思われる。
民法の規定が金銭債権だけに特化したものではなく、また金銭債権も無因債権として存在しているのではない…」
中舎「弁済・債権回収」
江頭コメント
「債権法改正の基本方針3・1・6・11は、
通常の連帯債務にも免除の規定を置かない点で問題ではないか。・・・
たとえば、社外取締役が責任限定契約を結んだ場合、絶対効がないと、
免除された自己の負担部分について、社外取締役が他の役員から求償されるおそれがでてくる。
社外取締役がさらに会社に求償できればよいが、会社が倒産していると、予想外の事態となる。
アメリカの場合は・・・訴訟上の和解に絶対効を与えたことになっている」
法律時報2010年1月号
599 :
法の下の名無し:2010/02/08(月) 18:35:01 ID:ZnyS+Y73
ジュリスト 2010年1月1-15日号(No.1392)
【特集】民法の現在――債権法改正・成年年齢引下げ
T 債権法改正
◇〔座談会〕債権法改正をめぐって――企業実務の観点から●道垣内弘人(司会)●池本誠司●潮見佳男●中原利明●松岡久和●森脇純夫●安永耕一郎●渡辺達徳……4
◇〔座談会〕債権法改正をめぐって――裁判実務の観点から●加藤雅信(司会)●高須順一●中田裕康●房村精一●細川 清●深山雅也……46
◇債務不履行・約款●山本 豊……84
◇契約各則――売買・役務提供●高橋 眞……93
◇法律行為法・契約の成立および消費者法●平野裕之……101
◇責任財産の保全●片山直也……111
◇弁済・債権回収●中舎寛樹……120
◇債権時効●松久三四彦……128
600 :
法の下の名無し:2010/02/10(水) 20:54:51 ID:P/J4qBz4
601 :
法の下の名無し:2010/02/13(土) 15:58:12 ID:hlBsHRhE
「借金払いすぎてませんか?・司法書士はこれでメシを食っている」
@法律面
「利息制限法」で民事上高金利を規制する。
元本が10万円未満で年20%
元本が10万円以上100万円未満では年18%
元本が100万円以上の場合は年15%を超える利息の契約は、その超過部分を無効とする。
「出資取締法」で刑事上高金利を規制する。
一般的には年109.5%
業として行う場合は年29.2%を超える割合で契約をした貸主は「5年以下の懲役若しくは
1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科」する。
・この2つの法律を見てもらいたい。民事上違法(黒)でも、刑事上は違法でない(白)の領域
が存在する。これを「グレーゾーン金利」と呼ぶ。これを業界は「たまたま生じた隙間」であるとは
とらえていない。多くの貸金業者は、利息制限法の存在にもかかわらず、刑罰を課されなければ
問題ないという認識のもと、グレーゾーン金利での営業を継続している。つまり、この利息での
金銭の貸付のほうがむしろあたりまえなのだ。
A判例
昭和39年最高裁大法廷判決:過払い利息の元本への充当を認める
昭和43年最高裁大法廷判決:元本に充当してなお過払い金が残る場合に返還を認めた。
Bふたたび法律面
「貸金業法」(昭和58年成立)
「みなし弁済」(貸金業法43条)が認められ、Aの判例法理を立法で否定。
「債務者が利息として任意に支払った」(債務者は利息の支払に充当されることを認識し、自己の
自由な意思により支払えばよく、制限超過・契約無効を認識している必要はない:最高裁平成二年)
「みなし弁済」の要件として
「17条書面」・・契約締結時に交付義務のある書面
「18条書面」・・弁済受領時に交付義務のある書面の交付が求められる。
Cふたたび判例
最近の一連の最高裁判決は、上に述べた昭和39・43年の両最高裁判決で確立された判例法理
を覆した貸金業法43条の適用要件を厳格に解している。
法学教室2006年6月号・尾島茂樹
602 :
法の下の名無し:2010/02/13(土) 16:27:33 ID:hlBsHRhE
計算書類からどんな情報がほしいかという問題です。
上場企業は有価証券報告書というのを出して、情報提供した上で投資家から資金調達するが、
@不良在庫・不良資産、A金融資産、B子会社株式、C繰延税金資産、Dのれん、E不動産・
機械設備、F抱えている紛争、G工事進行基準、などを投資家は見ているそうだ。
「EDINET」有価証券報告書はここで公開されています。
http://info.edinet-fsa.go.jp/ ジュリスト2009年12月1日号・15ページ・武井一浩発言参照。
603 :
法の下の名無し:2010/02/13(土) 19:03:48 ID:hlBsHRhE
EDINETのコード一覧表がある。
たとえば危険だとされる航空関連では、
JAL「E04274」
全日空「E04273」
スカイマーク「E04279」
スカイネットアジア「E04280」
北海道国際航空「E04278」
などとなっている。
入力してみると実に興味深い情報が出てくる。コード一覧表のダウンロードをお薦めする。
604 :
法の下の名無し:2010/02/14(日) 00:19:34 ID:rGE4cbxV
>>593は、◇債権時効●松久三四彦……128
からの要約です。
605 :
法の下の名無し:2010/02/16(火) 20:53:13 ID:B1CiEzLm
606 :
法の下の名無し:2010/02/20(土) 10:38:16 ID:7e5zvjFX
「ボトムアップ式の政策決定」
事件は現場で起きている、ではないが、行政上の様々な問題を発見するのは下級機関である。
そこが主管課となって、局の総務課長・審議官・局長・官房の関係課長・官房長。事務次官などの
意見を聴取して、主管課の第一次案をまとめることが多い。次いで、局の総務課、官房文書課と相談
し、協議する関係課を決定することになる。そして、関係課の職員を招集して会議を開き、主管課は
第一次案を説明し、質疑応答を行う。関係課の職員は、それぞれの課に第一次案を持ち帰り、課内で
検討し、第一次原案に対する質問と意見をまとめ、書面にして主管課に提出する。主管課は関係課
からの質問や意見を斟酌して、第二次案をまとめ、再度、会議を招集するのが通例である。
このプロセスは、関係課の疑問が解消され、賛成が得られるまで反復される。このプロセスにおいて
主管課と関係課の間で、了解事項を覚書にまとめることも少なくない。
このプロセスで同意が得られない場合は、当該局内の関係課であれば当該局の総務課、局外で
あれば官房文書課に調整を依頼する。以上のような統合的・分立的調整を経て、関係者間の合意が
成立すれば、主管課は合意内容に沿って起案を行い、主管課の職員が起案文書を持参して、関係者
に面談し、その場で承認の押印を求める持ち回り方式により、決裁を得るのである。
このように、法令案の作成のような場合には、起案文書作成前における統合的・分立的調整が実質的
な意思形成プロセスであり、起案から決裁に至る過程は多分に形式的なものとなる。
俺は浪人時代に予備校講師から「官庁は若手の方が受験から間がないために法律に詳しい。そのため、
若手から法律案を起案して上に上げていく」と聞かされたが、上記システムの誤解に基づくもののようだ。
法学教室2007年6月号「行政組織法・公務員法」宇賀克也より。
607 :
法の下の名無し:2010/02/20(土) 10:43:16 ID:7e5zvjFX
「カネの心配は主計局に言え」
各省庁に横断的に管理機能を果たしている機関が存在する。
まず、法制面では内閣法制局が、閣議に付される法律案・政令案・条約案の審査などと通じて、
各府省に対して重要な管理機能を果たしている。組織機構の管理・定員管理については総務省
行政管理局が、職員の勤務条件の整備・任用・給与・不利益処分に対する不服申し立ての審査
などについては人事院が、予算については財務省主計局が、国有財産の管理については財務省
理財局が、それぞれ重要な管理機能を果たしている。
608 :
法の下の名無し:2010/02/20(土) 20:25:20 ID:/CkerJ1W
609 :
法の下の名無し:2010/02/20(土) 21:30:47 ID:ttbuKR8N
「内閣法制局」
成田頼明という学者が、横浜国大への任官を命じられたときに「法学部のない大学である」との
不満を言ったところ、内閣法制局も兼任させてもらえたそうだ。各省庁からの照会に意見書を
上層部に上げるのだが、真っ赤に修正されて戻ってくるという話をしていた。
さて、内閣法制局には、第一部から第四部までがある。第一部は法律問題に関して、内閣や
内閣総理大臣、各省庁への意見を述べる(意見事務)。しかし、第二部から第四部までは、
成田の言うように、法律案、政令案、条約案を審査し、意見を付し、所要の修正を加える、という
作業なのだ(審査事務)。
この審査事務は、一人の担当参事官が審査し、担当部長、内閣法制次長、内閣法制局長官の
決裁を経て、予備審査を終えた後に、各大臣から閣議請議がなされ、内閣法制局長官名で、
「請議のように閣議決定の上、国会に提出されてよいと認める」という公文書を閣議に上申するのだ。
法学教室2007年8月号「行政組織法・公務員法」宇賀克也より。
610 :
法の下の名無し:2010/02/21(日) 17:47:55 ID:sgV922ne
611 :
法の下の名無し:2010/02/21(日) 22:35:54 ID:vg/+b7E0
「外交機密費問題はマスコミの取材の成果?」
旧会計検査院法においては、政府の機密費が会計検査の対象から除外されていたが、
今の法律ではその除外規定はなくなっている。
つまり、会計検査院は、書面検査にとどまらず、常時または臨時に職員を派遣して各官庁
に実地の検査を行うことが出来る。必要に応じて帳簿・書類・その他の資料の提出を求め、
または関係者に質問・出頭を求めることが出来る。
これらの権限行使に従わないものには懲戒処分を下すことも出来るのだ。
検査報告は内閣に提出され、国会で審議されるが、国民への説明義務はないとされる。
さて、これらの権限を持つ会計検査院とマスコミ、どちらから「情報」は出てくるのだろうか?
法学教室2007年9月号「行政組織法・公務員法」宇賀克也参照。
612 :
法の下の名無し:2010/02/23(火) 09:59:29 ID:1/fCmqdH
「地方交付税の補助金化」
地方交付税は、地方公共団体間の財政力の不均衡を解消するための財政調整の仕組みである。
国庫補助負担金とは異なり使途が限定されておらず、9割以上の団体が交付されている一般財源
となっている。
財源は「所得税・法人税・酒税の収入額のそれぞれ100分の32、消費税の100分の29.5、
タバコ税の100分の25」を充てることとされている。
基本的に、各公共団体に交付すべき額は、基準財政需要額(一般的行政水準を実現するために
必要な経費)が、基準財政収入額(地方税等による収入見込み額)を超える額(財源不足額)だと
されている。この仕組みは、財政力の乏しい地方公共団体であっても、一定の行政水準を維持する
ことを可能にしたという功績がある。
しかし、何を基準財政需要額に算入するかについて、実際には国の政策判断の余地がかなりあり、
また、法律に従った施策の実施のために地方公共団体が行う課税免除、不均一課税措置による減収額
の基準財政収入額からの控除、地方債の元利償還金の基準財政需要額への算入処置などにより、
事実上補助金化し国による地方公共団体の政策誘導の手段として用いられてきており、地方公共団体
の自主性を損なってきた面があることは否めないとされる。
また、地方自治体が、法律や政令に定められた規模と内容を備えることを怠り、地方行政の水準を低下
させていると認める場合においては、国は「勧告」をすることができ、従わない場合は総務大臣が
交付税を減額あるいは返還を要求できるとされていて、この運用次第では、交付税はますます補助金
に近づくといわれている。
法学教室2003年11月号「地方自治法重点講義」宇賀克也より。
613 :
法の下の名無し:2010/02/23(火) 10:37:53 ID:1/fCmqdH
「補助金」
国庫補助負担金には、大別して、国庫負担金と国庫補助金がある。国庫補助負担金は特定財源である。
国庫負担金は、国と地方公共団体の双方が利害関係を有する事務について、国が共同責任者として
経費を分担するものである。義務教育職員の給与、生活保護などの普通国庫負担金、土木事業など
の建設事業国庫負担金、災害事業負担金がある。
また、国会議員の選挙や、国民年金の経費など、国の利害に関係ある事務を行うために要する経費に
関しては、国庫委託金が支払われる。
そして「補助金」であるが、特定の施策を奨励するために交付されるのが「奨励的補助金」、地方公共団体
が財政上特別の必要がある時に交付されるのが「財政援助補助金」である。
国庫補助金と国庫負担金は法律上は明確に区別されているが、交付手続きにおいては「補助金等に
かかる予算の執行の適正化に関する法律」において同一の手続き規範に服している。
国庫負担金・国庫補助金・国庫委託金を併せて国庫支出金という。
国庫補助負担金の弊害としては、国と地方の責任の所在が不明確であること。地方の自主的な行財政
運営が阻害されること。細部にわたる補助条件や、煩雑な交付手続きが行政の簡素効率化や、資金の
効率的な使用を妨げる。などといわれる。
また、補助事業の地方公共団体負担部分が地方交付税によって填補される場合があり、そのような場合
に自治体が、住民のニーズよりも、補助事業であるかという点を重視してしまうこともある。あるいは、
国庫補助金が各省庁で縦割りで交付されることから、地方公共団体の施策の総合性を阻害していること
も稀ではないとされる。
法学教室2003年11月号「地方自治法重点講義」宇賀克也より。
614 :
法の下の名無し:2010/02/23(火) 10:59:22 ID:1/fCmqdH
以前、ジュリストで以下のような記述を読んだことがある。
「生活保護の財源について考えてみたい。市町村の「法定受託事務」であるが、
このような義務的事業の費用は国庫負担金の裏負担が交付税措置されている。
しかし、交付税は一般財源であるものの、実体は生活保護という事業に充当せざる
を得ない。文字通りの「一般的」な財源ではないのである。
義務的事業であれば「基準財政需要額」に含まれ、補助金ではなく、一般財源として
交付税措置がなされるが、交付税・地方税の金額が増えることから「自主性」が
増すとは必ずしもいえないのである。」
この文章の解釈は非常に難しい。基本的に「補助金」でまかなわれていて、不足分が
補助事業として交付税で補填されている、とも読める。
あるいは、特定財源としての補助金ではなく、「基準財政需要額」に含まれていて、
地方交付税が支払われることもある、と解することも出来る。
これらの問題は「どのくらい生活保護受給世帯が出るか分からない」ことから生じる
のだろうか。北九州市が「ノルマ」を作るのもそこからくるのかも知れない。
616 :
法の下の名無し:2010/05/25(火) 01:38:35 ID:pZHDhH3X
久しぶりに法学セミナーみたらおどろきの連続
巻頭言は樋口陽一が連投しているし、
蟻川恒正のとても刺激的な連載が始まっているし、
小粥太郎さんの連載もめずらしい切り口でおもろいし、
上柳敏郎さんは、東大客員になっているし、
(上柳克郎さんの息子さんかな?)
民事法・刑事法で蟻川なみの連載が書ける人がいたらいいね。
>>616 > 上柳敏郎さんは、東大客員になっているし、
> (上柳克郎さんの息子さんかな?)
甥御さん。早稲田でやっていたはずなんだが、逃げられた?
>甥御さん
ドーモです。
小粥さんは東北三羽烏をとりあげるかな。
広中さんをどう紹介するかとても楽しみ。
620 :
法の下の名無し:2010/08/02(月) 21:29:37 ID:qURbyfuU
民法典はどこにいくのか──その1
法制審の議論にみる民法典改悪への懸念
法律時報8月号
51 :氏名黙秘:2010/08/18(水) 22:26:51 ID:???
ボアソナードは1873(明治6)年に不平等条約改正のため近代法典編纂を
急務の課題としていた明治政府によって司法省嘱託として招かれて来日。
日本の立法事業や法学教育に携わり多数の法律家を養成。
旧民法は当時台頭しつつあったイギリス法学派との対立に至り、結局日の目をみなかった。
とはいえ、旧民法の基本理念は、当時の裁判上で生かされ、
その後制定された現行民法典にも取り入れられている。
52 :氏名黙秘:2010/08/18(水) 22:46:36 ID:???
ボアソナードは、単に外国法を丸写しするような法律の起草には反対して、
日本の慣習法などを斟酌して日本の国情と近代的な法制との合致を重んじた態度で法典整備を進めるべきだと主張
53 :氏名黙秘:2010/08/18(水) 22:53:34 ID:???
加賀山先生のウエブに比較の表があったから、
眺めてみればいいんじゃないか。
54 :氏名黙秘:2010/08/19(木) 21:25:26 ID:ZPNZFqcn
暑いな
55 :氏名黙秘:2010/08/20(金) 03:49:11 ID:???
加藤(雅)先生の改正反対は、何というか迫力あるな
56 :氏名黙秘:2010/08/20(金) 06:13:42 ID:???
内田が一人で踊っている
9月初旬の債権法部会では贈与・売買などを審議する