熱く語って下さい
2 :
ふろの :2012/10/16(火) 03:31:50.35 ID:nB/MkPrP0
ありがとう。感謝。質問の生徒さん、いたらお願いします。
3 :
格下君たちだねぇ :2012/10/16(火) 03:34:28.38 ID:wQG3inV00
>>2 君はなんだかねぇ。。。。
自分が威圧的だと気づかないのかねぇ。。。。。
JUSTICEがたりないんだよ、JUSTICEが。。。
周りはとっくに気がついていることなんだよぉ。。。。。
君、膝がいたいよねぇ。。
理由は君にはまだ早いから教えないよぉ。。。。
4 :
ふろの :2012/10/16(火) 03:36:27.91 ID:nB/MkPrP0
早速来たか。まあ何にせよ反応は嬉しい。茶でも飲め。
5 :
ふろの :2012/10/16(火) 04:58:26.67 ID:nB/MkPrP0
すっかり寝てしまった。指導メールがたまっていると思うから見てくるよ。見てきた。 さて、別スレで「プラン分けて別料金を取らなきゃ何故ダメなのか?」という問題があったが、それに答えようと思う。 それは、学習の機会を生徒から奪うことになるからだ。安く均等に授業を提供する。これだけで最初のうちはいい。 けれどもそのうち、高いランクの大学を目指す子が出てきたとき、それだけだと不満が出てくることがある。そうした生徒側の欲求不満の状態を回避するための「別プラン」なのだ。 換言すれば、熱心な生徒や保護者の期待に応えるためでもある。 仮に安いプランの生徒さんがいれば、やはりそれなりの時間数あるいは、サービスを受けられても、それ以上は御勘弁を、でいいのではないかと思う。 もし、安いプランのまま、難易度の高い大学を目指したいなら、皆と同じ時間数や内容だと、無理が生じてくる。つまり、難易度の高い大学なら、料金が高くて当然にならないといけないのだ。(なぜかは解らないが、こんなところに抵抗感のある塾の先生はとても多い) いつか、国立医学部の話があったけど、あの仕事はとにかく大変の極みだ。 時間数や手間数ともに半端ないから、それ相応の手間賃を頂かないとやっていけない。自分の場合、オフ返上で生徒たちと、何日もホテルに泊まり込んでの指導となる。 以上のことは、飯屋で安い定食にするか、一品料理を何品もお好みでチョイスするのと同じ感覚だ。 どちらが割高になるかは、素人でもわかるだろうし、皆納得するというもの。 別スレにあった、レベルの低い生徒が高い生徒の邪魔になる、という塾長の不満(?)も回避できる。たくさん授業を取ってもらい、レベルの低い生徒を皆に追いつかせればいいだけのことだろう。これは保護者サイドの努力の度合いにもよる。 話をまとめよう。 結論として、我々は時間を切り売りする仕事なんだから、やはりその時間分の働きに応じて、頂くものは頂かないといけないと思う。 また、そうしなければ、塾自体の価値を下げることに繋がってしまうだろう。つまりは、舐められてしまうということだが、このあたりは、なんというか、なかなか説明が難しい。 こんな例を挙げてみよう。 高いランクの大学に受かろうとする生徒がいる。 一方で、低いランクの大学に受かろうとする生徒がいる。 それを、同じ料金で教えることは以下のようになるから危険なのだ。 「なぜ○○さんには手間ひまかけて教えているのに、私には教えてくれないのですか?同じ料金を払っているのに」 「いや、あなたは低いランクの大学だからこれくらいでいいの」 「私も同じだけみてください。でないと不公平です!」 「うーん・・・」 となってしまう。 だから、個別指導塾の個別料金プランは理にかなっている。時間数に応じて、加算すればいいだけだから。 しかし、それでは料金が青天井になってしまうから、それでは酷だという場合は、何か別のサービスを加えてあげるといい。 例えばそれが、今私がやっているメール指導だ。活字によるやり取り。これは全部無料にしている。 こちらの掲示板に質問が来ても、それは同じこと。 だから、一般の生徒さんの質問にも、いくらでも答えられるというわけ。 パンクしたらどうすんだよ! というご心配もあるかもしれないが、そこはなんといっても無料だから、ある程度のところで納得してもらえるという仕組みだ。(ということで、生徒さんからの質問、お待ちしています!)
6 :
ふろの :2012/10/16(火) 05:57:27.17 ID:nB/MkPrP0
自分の生活はこんな感じ。起きたら指導メールがやってくる。(指導メールとしているのは、質問だけではなく、単語のミス数や、速読英単語のミス数の報告データの場合もあるから) 以下、自分語りをするのは、それが誰かの参考になると思ってのこと。決してただの自慢話ではない。 自分だけプロフィールを書かされたことが別スレであったけど(今考えてもおかしいけどね、洒落でつきあったんだ) あそこで、指導科目を書かせる欄があった。 自分の場合は、全部の科目をコーディネートしている関係から、 「全部」 と書いた。もちろん、自分に物理やら化学やら解るはずもない。解説はその道のプロにやってもらえばいい。私の言う全部とは、どうやって勉強させれば合格するのか?ということだ。 例えば昨年は3人、国立医学部志望のセンター試験を担当したが、皆9割に達した。それはどうやって達成したのか? ここからのことは、企業秘密の部分に関わってくるので、なかなか詳しく書けなくて申し訳ないが、少しだけ話そう。 簡単に言えば、生徒が苦手とする科目に集中的に指導することのできるシステムを確立できれば、全体の得点は限りなく満点近く、あるいは満点にまで延びていくということだ。 ここが実は個別指導の最大の強味の部分で、イメージで語られている、一人一人大切にとか、わからないができたに変わるなどという、表面上の見方とはかけ離れた部分であろう。 つまり、真実はこんな感じ。 例えばここに50点の答案がある。これを50点しかない、と考えるか、50点もある、と考えるかによって随分とその後の動き方に差が出るのだ。 ・50点しかないのか、次頑張れよ。(一斉指導の限界) ・さてあと残り50点を、どこでどうやって取ろうか?(個別指導の真骨頂) この差は大きい。もし、生徒が優秀で自己マネジメントが出来るのならば、一斉指導でも問題ない。けれども、 一体ここからどうすりゃいいの? と嘆くレベルの生徒が圧倒的に多いのだ。また、それを見て見ぬふりをして通り過ぎる大人も本当に多い。もう、それは見てらんないくらいに多い。 だからね。塾の中に生きようとしないで、塾を集客スポットみたいに捉えてる先生を見るとね、なんというか、第一歩を踏み間違えてる気がするんだよ。 それでは、ギリギリのところで救える生徒も救えない。 自分がどっぷりと塾稼業に首まで浸かってないような先生の生徒は、指導機会を損失している可能性が高い。 自分のやってるメールによる24時間の指導体制が必要なのはこうしたスクランブルに対応するためだ。 「24時間指導」 その語感もあるのだろうが、ここでは反響が大きかった。衝撃だったんだろうなあ。考えたこともなかっただろうなあ。また、自分がそこまで出来ないという、引け目も感じたんだろうなあ。 (実践している人間がいるなら、挙手していいよ。そんなの誰だってやってる、みたいに言われるのは、それはそれで、発言者のレベルが測れていいから) メールというツールの発明が、受験指導に大きな革命をもたらしている。それに気づかない、あるいは知っていても実践していない塾講師は、一度考え直したらいい。
7 :
ふろの :2012/10/16(火) 06:40:27.66 ID:nB/MkPrP0
あと、あれだね。自分に対し、精神論が好きで、奉仕の心を持ち、逆に商業主義的なものを嫌っているのでは?というイメージを持たれていたけどさ。両者は相反するものではなく、連続しているものだと思うよ。 塾の先生はね、さっきも書いたけど、指導の中にこそ生きるべきなんだね。というか、自分達はそこにこそ生かされていると考えるべきなんだ。 というのがさ、自分がスポンサーである保護者から信頼されてるなと思うときは、物凄く生徒(=お子さん)に対して、親身に指導しているとき。自分がこの上なく頑張ってるときなんだ。まあ、保護者は実際には指導の現場にはいないから、その何らかの証拠が見えているときかな。 よく、保護者をつなぎとめるために、面談やる塾あるじゃない?気持ちは解るけど、効果は大したことない。 下手すると、あそこは口ばっかり、になりかねないからね。長期で見た場合、こうしたイメージアップ戦略は逆に顧客の信頼感を損ねる。また、恐怖心をあおってつなぎとめるなんて場合は、もってのほかだ。必ず中身がちゃんと、伴っていないといけない。 相撲の有名な格言に 「お金は土俵の下に埋まっている」 というのがある。 相撲道に精進しろ、お金は自然に後からついてくる、という意味だ。 我々はプロとして、こうした言葉にこそ敏感になるべきなんだと思っている。 ソロバンを弾くのもいいが、それ以上に塾の道(そんなものがあるかは知らないが)に精進すべきだ。順番を、そう、何を大切にするか、その優先順位を間違えないことが大切だ。
9 :
ふろの :2012/10/16(火) 11:42:05.95 ID:nB/MkPrP0
>>8 わお。そっちも紹介してくれたの?もうあれだね、自分の知り合いや友人以上に親切な人だね!嬉しいよ!
教室長だったあの当時(たった2年ほどだけど)いろんなことがあったよ。
いや、次何を書こうかわかんなかったんだけど、その頃のことを下らない読物にして書いてみようかな?ファンだなんてありがとう。こっちがファンになりそうだ。握手。
10 :
ふろの :2012/10/16(火) 11:52:16.38 ID:nB/MkPrP0
>>8 ジャスティス先生というのか。本当に彼が塾経営者なら、行ってみたいレベルだなあ。
別スレでも書いたけど、塾はさ、奇人変人の集まりだと思う。
なんだろう。教員を志したことのない奴等がそさ、はい、塾でござい。看板立てたからこれって塾だよね。
でも資格もなにもないけど。チラシ撒いたから来てね。
みたいなことするわけじゃない?誰か自演乙みたいに言ってたけど、塾経営こそ、最大の自演なんじゃないの?
ジャスティス先生は、どんな塾をやりたいのか?詩的な表現の中に、探りを入れてはいるんだけど、解らないな。
理由は、まだ自分には早すぎるんだろうと思う(笑)
11 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 13:47:27.39 ID:PgXZoERM0
熱血先生、記念age
12 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 13:51:24.26 ID:PgXZoERM0
>>10 熱血先生!相談にのって下さい!
僕の塾の塾長が、僕や親を宗教団体に連れて行って困っているんです。
しかも、親がそこに入っちゃって最悪!
周りの友達も入っちゃう子が多くって、肩身が狭いの
気持ち悪くって辞めたいんだけど、親がもうそこにぞっこんだから辞めれないよ
どうしたらいいの?熱血先生!
13 :
ふろの :2012/10/16(火) 14:14:59.35 ID:GCDOGswr0
自演と言ってる人は、ご親切な書き込みもまた自演と捉えているのだろう。 全てが自演、何もかも自演、もう頭が自演に持っていく回路に動いているんだろうな。自分にはもうかまわないほうがいいよ。そっちには行かないから。 しかし、自演でないことを証明出来ないのが匿名性の難しいところだな。 さて、思い出話書いていこうかな。 【GTO先生の思い出】 二年間の教室長時代と書いたけど、後半は本部からの指示で講師研修の役目を兼ねていた。 役目というのは、社長面接をパスして入社してきた先生に、授業の仕方や講師としての心構えを説く仕事だ。 いろんな先生がいた。 「塾なんて仕事、(高学歴の)自分には楽勝ですよ、ははは」と言いながら、クソ厳しい部長の営業研修中にスキを見つけて窓から逃げた国立大卒の先生、 研修を終え、せっかく授業に投入した直後に 「男の子と二人きりで個室で授業だなんてわたし・・ハレンチ過ぎて出来ません!」と逃げ出した40代の女の先生。(もちろん独身。ずっと女子校だったらしい) ・・まあ、本当によく逃げられたもんだった。(いつかこの研修自体についても詳しく書きたい) ということは、最初の社長面接自体に問題があったということなんだけど、当時は若かったのでよく解らなかった。とにかく、ろくな連中が集まらない。 まあ、今から思えば、塾の仕事は、当時は今では比べ物にならないほど、日陰者の仕事という印象が強かったけど。こいつ本当にやる気あんのか?みたいな人間が多くて、塾ってよっぽど、世の中的に舐められてる仕事なんだなーと、若者ながらに思っていた。 だから、私の厳しい(?)研修をパスしたのは、こんな状況だったこともあって、ある程度忍耐力の強い人間だけだった。ちなみに、中途採用ばかりだった。 GTO先生も、その中の一人だった。
14 :
ふろの :2012/10/16(火) 14:16:07.83 ID:GCDOGswr0
15 :
ふろの :2012/10/16(火) 14:39:43.27 ID:GCDOGswr0
GTO先生は熱血漢ではなく、クルマがGTOなだけだった。 私はこっそりGTO先生と呼んでいたが、 その後マンガの影響で、なんだかかっこいいので仮に藤森先生としよう。 当時、ファックス指導と個別指導の理系科目の先生が不足していたので、社長の鶴の一声で急遽採用された先生だった。
16 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:05:42.19 ID:GCDOGswr0
藤森先生はかなりの近眼で、C-3POみたいな分厚い丸いメガネをかけていた。 学生講師のヌルオが、あるときそれを指摘して教室の陰で大笑いしていた。 「ブッ!松ちゃん先生、藤森先生、あれ、スターウォーズに着ぐるみなしで出演出来ますって!し、C-3PO役で! 」 「お前、失礼な奴だなあ」 「くくく・・い、今から金粉買ってきていいスか?」 「金粉?・・本当に失礼な奴だなあ」 「か、顔だけ!顔だけッスよ!たぶん藤森先生なら、絶対やってくれますよ!」 確かに気が弱そうで、ヌルオが頼めばやってくれそうだった。 動き方も、どことなくぎごちなくロボットっぽかったが、まあ自分の中ではそれも個性だと思い、 「ヌルオ、間違ってもそんなことを言うのはよせ!金粉は却下だ!」 といいながら、笑いをこらえていた。
17 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:23:48.66 ID:GCDOGswr0
あるとき、藤森先生に初授業のチャンスがやってきた。 相手は、高3生の美少女だった。 藤森先生は、C-3POだった。 送り出したはいいものの、隠れ巨乳の竹子先生(既婚)と、藤森先生大丈夫かなあ?と心配していた。
18 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:27:47.81 ID:GCDOGswr0
あ、時間軸がずれてるのは擬装しているので、大目に見て下さい。
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 15:45:40.96 ID:gkEPW38R0
>>14 本当に怖くて詳しく書けないよ、、
遠いところに電車で連れてかれるんだよ、毎週
正座させられて、拝まされて、、、
変な話を聞かされるし
怖くて、眠れないんだ
受験どころじゃないよ、先生
20 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:48:12.85 ID:GCDOGswr0
そうだよなあ。 今まで確かにファックス指導はソツなくこなしていた。電話質問も、ちょっとぎごちないけど、ちゃんとやっていた。 しかし、実戦は今回が初めてだったのだ。女子生徒とのマンツーマン指導、さあ、どうなるかな?と思っていると、 「バン!」といきなり教室の扉が開いて、その女子生徒(ユメコとする)がトイレに泣きながら駆け込んでいったのが見えた。 竹子先生とおれは顔を見合わせて、ぎょっとした。 「松ちゃん先生。今の、ユメコちゃんだよね?」 「な、何があったんかな?ちょっと竹子先生、話してみてくれない?」 「わかりました」 おれは教室の方に行ってみた。
21 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:52:20.12 ID:GCDOGswr0
>>19 そうか・・それは大変なことになったね。
でも、自分も幼い頃、仏教の洗礼を受けてるから、
行為自体は普通の印象を受けるよ。
それより何か変わったことはないかな?
一番怖いのは、お金の問題だと思うよ。
借金してまでハマってるとかないの?
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 15:54:06.99 ID:a1bcfZMF0
ふろのさん酉つけましょう
23 :
ふろの :2012/10/16(火) 15:56:54.22 ID:GCDOGswr0
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 15:59:32.79 ID:gkEPW38R0
>>21 お小遣いから、毎月会費みたいなのとられるんだ
電車のお金も自分のお小遣いから出しなさいって、お母さんがいうの
行かなくなると、悪いことがおきて受験に落ちちゃうんだって
だから怖くてお小遣いから出して行っちゃうんだ、、
志望校もなんか紙に書かれて、決められちゃった
行きたくないんだ、その学校、、
25 :
◆ZnBI2EKkq. :2012/10/16(火) 15:59:58.31 ID:a1bcfZMF0
名前欄の所に、(#の後に好きな文字)を打ち込む これでなりすましができなくなります 例えば#aって打ち込むとこんな感じになるよ
26 :
ふろの :2012/10/16(火) 16:01:21.76 ID:GCDOGswr0
>>24 受験校を宗教団体が決めるの?
聞いたことないよ。ひどいね、信じられない・・・
27 :
ふろの ◆ZnBI2EKkq. :2012/10/16(火) 16:01:26.76 ID:a1bcfZMF0
名前も書きたいならこんな感じで、(ふろの#a)
28 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 16:02:29.62 ID:GCDOGswr0
29 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/16(火) 16:03:32.61 ID:a1bcfZMF0
できてるよ!
30 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 16:03:32.85 ID:GCDOGswr0
なるほど!ありがとう!
31 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 16:10:21.69 ID:GCDOGswr0
>>24 お小遣いかあ。そのうちもっと要求してくるよ。たぶん。
32 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 16:11:16.10 ID:GCDOGswr0
そろそろ授業の準備しに行きます。ではまた、休憩中にでも。
>>26 >>31 先生!明らかに対処法欲しがってると思うんだけど分析だけじゃないですか
>>12 ネタじゃないと信じてマジレスすれば
本来一番頼りになる肉親がそうだったら、こんなとこで助け求めてもしょうがないだろ
頼れそうな親戚か「児童相談所」いけ
34 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 17:14:57.66 ID:C2oEjy3O0
>>33 うーん、今は様子見だよ。よくわかんないもの。
子どもの小遣い程度で通わせてもらってさ、
お説教が聞けるわけじゃない?それに、お茶菓子くらい出るだろうし。まあリーズナブルだよね。
まあ、そのうちどうなるかわかんないけどさ。
ただ、宗教団体が受験校決めるなんて、もってのほか。
ありえない。
児童相談所も警察も、今の話の段階じゃ動けないし。
おれにどうしろというの?聞くしかないでしょ?
35 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 17:36:09.40 ID:C2oEjy3O0
>>24 じゃあ、迷える君にちょっとだけアドバイス。
実はさ、自分には信仰心に厚い人が、結構周りにいるのね。
宗教それ自体に問題を感じたことはないんだ。みんな良い人だし、実害ないし。
中にはそういうの毛嫌いする人間もいるだろうけどさ。
だから、信仰心のない君と、信仰心を持つご両親との「親子の問題」という気がするね。
一度話してみたら?児童相談所とか、事を無理に荒立てる必要はない。少なくとも今のところはね。
おれ、行きたくないよって、一度勇気出して言ってごらん?
自分も中学に上がる頃に拒否って行かなくなったよ?ごめん、そろそろ生徒が来るからこの辺で。
36 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 19:54:59.11 ID:C2oEjy3O0
「藤森先生!」 「ど、どうかしたんですかあ?松ちゃん先生?」 「どうかしたんですかって、それ、こっちが聞きたいです!なんでユメコちゃん、出て行ったの!?」 「んわ、わかりませんねえ。彼女、きゅ、急に飛び出して行ったものですからねえ」 「何かその〜、彼女に・・したとか?」 セクハラという言葉は、当時まだなかった。 「し、してませんよ、何も?」 嘘つけ、と思ったが黙っていた。 「ただ、じゅ、授業をしていました私・・」 嘘つけ嘘を、と思ったが黙っていた。 「じゃあ、全く何もしないのに、彼女が勝手に泣いて出て行ったと?」 「あ、はい」 「それって・・本当ですか?」 「はい。私気に障るようなことも言ってません。ただ、その、授業に関することしか・・ハイ」 「はあ?(それが本当なら、どういうこと・・なんだ?)」
37 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 21:56:10.35 ID:C2oEjy3O0
よくわからないまま教員室に戻ると、来客用ソファーにユメコちゃんと竹子先生が隣り合わせて座っていた。 どうやらさっきから竹子先生が慰めているようだが、ユメコちゃんはずっと下を向いているみたいだ。 「松ちゃん先生、ちょっと」 「はい」 我々は、面談室に入った。 「どうですか?彼女?」 「それが、さっきからずっと・・何にもしゃべってくれなくて」 「うーん、そうかあ。困ったなあ」 「あの、藤森先生がひょっとして・・何か・・なさったとか?」 言葉を選ぶように、竹子先生は言った。 おれは、藤森先生が言ったことをそのまんま説明した。 「それが本当なら、ふーむ・・あら?もう私帰る時間です!すっ、すみません、松ちゃん先生、あとはよろしくっ!」 おれはガクッとなったが、主婦の竹子先生には家庭の方が大事だった。
38 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 22:27:24.73 ID:C2oEjy3O0
スミマセン、生徒さんの送迎をしていますので、書き込みはもう少しあとになります。見ている人いますか〜?
見てるよ 竹子先生薄情だなあ
40 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 22:55:53.04 ID:C2oEjy3O0
>>37 見ていてくれてサンキュ!そう、薄情だなあと思ったよ。でも、この人は定時に帰るので有名だったんだ。
もう少しで帰ります。今、コンビニ。
41 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 23:21:53.48 ID:C2oEjy3O0
「ユメコちゃん?」 「・・・」 「あの、さ。黙ってちゃわかんないからさ。その、藤森先生に何かされたり・・」 「なっ、何もされてません!」 「はっ!?えっ?本当に?本当に何もなかったのね?」 「はい・・うぐっ、何も・・何もされて・・グスッ、ないですから。あっ、あの新しい先生は、わっ、悪くないん・・です・・悪いのは、わた、わたし・・・ひっく、うっ、うわあああんっ!」 大声で泣き出すユメコ。帰りがけの生徒が、じろじろこちらを見ながら通りすぎていく。
42 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 23:37:47.27 ID:C2oEjy3O0
おれは内心ほっとしながらも、どこか腑に落ちないまま、ユメコちゃんには面談室に入っておくよう指示し、再び教室へと戻った。 「藤森先生、今日はもう帰られて結構です。あとは僕がなんとかします」 「私、クビ、クビなんてことには?」 「なりません。だって、指一本触れていないんでしょ?」 「はい。それはもう」 「だったら大丈夫です。彼女も先生は何もしていないし、悪くないって言ってますから」 「そ、そうですか・・安心しました」
43 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 23:45:31.89 ID:C2oEjy3O0
藤森先生は、ほっとしたようにため息をついた。そして帰ろうとして、 「あ、あのう。タイムカードは?」 わが社はタイムカードを記録機に入れて帰る決まりがあった。そうか、今押したら早退になるのか。 「自分が押しておきます」 「わ、わかりました。では・・」 決まり悪そうに帰る藤森先生の後ろ姿は、今でも忘れられない。おれは再び面談室に戻った。
44 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/16(火) 23:54:38.68 ID:C2oEjy3O0
ユメコはおれを発見すると、立ち上がって、深々とお辞儀をして謝った。もう、興奮などしていない様子だった。 「先生、私は、とんでもないことをしてしまいました」 「と、とんでもないことって?」 「あの、新しい先生・・すみません、名前を教えてもらっていいですか?忘れてしまいました」 「藤森先生」 「ありがとうございます。その、藤森先生に、謝らないと・・」 「どういうことなの?」 「本当に言いにくいことなんですけど・・」 「うん」 「私、あの先生ダメです!ごめんなさい!傍にいるだけでも、鳥肌が立ってしまって」 そう言うとユメコちゃんは本当に震えだした。
45 :
ふらの代理 :2012/10/17(水) 00:25:11.01 ID:0q/Av0Jv0
当時、 アタシあのひとムリ無理無理っ と言う表現はなかった
46 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 00:31:32.67 ID:Xsr+8W5X0
「そうすると、この塾、辞めなくちゃいけないのかなって・・でも、私、この塾が好きだし、辞めたくないし、せっかく松ちゃん先生が探してきてくれたのに」 いや、探したのは本部なんだが。そして、面接したのは面接が大不得意な社長だった・・。 「私、どうしたらいいのかわからなくって、気がついたら涙がポロポロ出てきてしまって・・うう・・お、お母さんにも、人は外見で、は、判断しちゃいけないって、昔から言われてたのに・・」 そういや当時「キモい」という、他人を一発で全否定する、あの悪魔のような言葉は、まだなかった。 ユメコちゃんはまだ、震えている。 「それに、でも、あの人、ガイコツみたいで、なんか何考えてるかもわかんなくて・・ぐすっ」 ガイコツにC-3POか・・うむ、確かに遠くない。 「わかった。おれが新しい先生、つ、連れてくるから。しばらくは、そうだ!お、おれが数学やる!得意じゃないけど、出来なくもないし」 「ほ、本当に?」 「やるわっ!おれ!黄色チャート片手に、やります!」 「よ、よかった・・じゃあ、私塾辞めなくて、済みますね」 当時、黄色チャートはあった。というか、当時から超ロングセラー商品だった。 というわけでユメコちゃんは、最後は笑顔になって帰ってくれた。 問題は今後、女子高生に思いっきり拒否られた藤森先生の処遇をどうするかだな、とチャリで暗闇の中に消えて行くユメコちゃんを見送りながら思った。
47 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 00:33:49.71 ID:Xsr+8W5X0
>>45 おお、ナイス補足ありがと!「無理」も一発で他人を全否定出来る便利な言葉だよね!
48 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 00:53:04.82 ID:Xsr+8W5X0
翌日、おれは本部へと向かった。いきなりヤング教室長が直談判に来たので、社長はびっくりしていた。 「社長、かくかくしかじかです!なんとかしてください!」 「わかった、君。その、藤森君は今どこに?」 「教室でファックス添削しています」 「使えるのか?」 「使えますけど、使えない感じですかね」 「そりゃそうだな。おい、タイゾウ君」 「はい!お呼びですか?」 タイゾウ先生は、本部一の二枚目と呼ばれていた。当時、イケメンという言葉はまだなかった。 「藤森先生のことなんじゃが」 「ははっ」 「ゴニョゴニョ」 「ふんふん、ふんふん」 あとはよく聞き取れなかった。 「あー、そこの松ちゃん先生とか言ったな?君はもう教室に帰っていいから。理系の先生は、こちらでなんとかするよ。文系の君には数学は無理だろう?」 「はい、じゃあすみませんが、よろしくお願いします」 「うん」 おれは本部を後にした。
49 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 01:29:00.82 ID:Xsr+8W5X0
教室に帰ると、竹子先生(人妻)とウメコ先生(独身・崖っぷち)、それに渦中の藤森先生(C-3PO及びガイコツくん)が、黙々とファックス添削の仕事をこなしていた。竹子先生が自分に気づくと近づいてきて、小声で言った。 「お帰りなさい、なっちゃんから聞きました。藤森先生の件、大変でしたね」 なっちゃんは本部一の美人受付嬢で、今で言うと、仲里衣紗にクリソツだった。だから本部に行くのは、おれの密かな楽しみだった。 「そうか、なっちゃんから全部聞いたんですか。いや、今後の藤森先生の処遇がどうなるのか、まだわかんなくて・・」 「もう決まったみたいですね。次の部署が」 「ええ?そうなんですか!」 チラリと横目で藤森先生を見ながら、隠れ巨乳の竹子先生は耳打ちしてきた。ちょっとドキドキした。 そして、この女性社員連中も、全員あのいい加減な社長面接で入ってきたのだと思うと、ちょっと納得する気分になるのだった。 つまり、男の講師の面接のときは、きっとどうでもよかったんじゃないかな?
50 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 01:54:32.20 ID:Xsr+8W5X0
「私、聞いてびっくりしたんですよ!」 竹子先生は少し興奮していた。そして、このおれも竹子先生に耳打ちされながら、少し興奮していた。ウメコ先生が、ちらっちらっとこっちを見ていた。 「ど、どういうこと?」 「藤森先生、明日からなんと『外回り営業』なんですって!」 「え、営業ですか?本当に?」 解説しよう! 我がブラック塾の営業は、テレアポ部隊がキャッチしたご家庭を回って、半ば強制的に入会させる、悪徳な集団のことである! そして、基本インドアな講師がそこに回されるということは、すなわち、暗に「肩たたき」を意味しているのだった! (「リストラ」という言葉はまだなかった)
51 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:09:13.73 ID:Xsr+8W5X0
あーもう終わったなと、その時思った。すまない、藤森先生。転職、難しそうだけど、きっとうまく行きますように!と、おれは半ば祈るような気分に陥った。 「こっ、このこと、本人は?」 「まだ知りません。今から、本部で直接辞令が下されるらしいですよ。もうちょっとしたら、営業部長がこちらに訪ねてくるそうです。藤森先生を迎えに」 「そ、そうですか〜。じゃ、もう藤森先生ともお別れなんですね」 「そうですね。じゃあ私、お伝えしましたから」 そう言って竹子先生は、自分の机に戻っていった。
52 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:14:16.71 ID:Xsr+8W5X0
もうすぐクライマックスなんですが、まだ起きてる人いますか?
53 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:17:27.09 ID:Xsr+8W5X0
じゃあ、ちょっと休憩します。やり残した仕事もあるので。
起きてまーす どんなオチが待っているやら なにかしら藤森の逆転劇があるのかも
55 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:25:53.09 ID:Xsr+8W5X0
>>51 あ、まだ起きてるの?じゃあ、もうちょっとしたら再開するよ!逆転は・・乞うご期待!
56 :
54 :2012/10/17(水) 02:40:44.65 ID:0q/Av0Jv0
>>55 スンマソ
明日(今日だ)早いんで、続きを楽しみにしつつ一旦さいなら
センセもお疲れ様でした
57 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:44:27.28 ID:Xsr+8W5X0
営業部長は、それからしばらくしたらやって来た。 「松ちゃん先生、しばらく」 「営業部長、いつも研修ありがとうございます」 新人の二人に一人がいなくなる、地獄のような、だけどな。 「いやいや、それより彼は?」 「はい、あちらに」 「わかった、じゃああとは僕に任せて・・おうい、藤森くうん!」 呼ばれて藤森先生は、きょとんとしていたが、やがて面談室に部長と二人で入って行った。どうやら、ここで 辞令を下すらしい。 10分くらいして、二人は部屋から出てきた。藤森先生は、なぜかニコニコしている。で、近づいてきて、おれにこんなことを言ったの。 「松ちゃん先生!やりましたよ!私、栄転決まりました!」 「は?」 「一ヶ月の給料が倍になるんですよ!倍に!」 それゃ、成功報酬を合わせてだろ?きっと。生徒が入んなきゃ、たぶん今より悪いし、営業部長の叱責が厳しいらしい。でも、そのときは・・ 「お、おめでとう!藤森先生、よかったじゃん!」 と言うしかなかった。
58 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 02:45:23.40 ID:Xsr+8W5X0
>>56 ありがと!書くの遅くてゴメン!朝起きたら見てね!おやすみ!
59 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 03:11:36.94 ID:Xsr+8W5X0
その日から、藤森先生はいなくなり、一週間後、代わりにユメコちゃんの授業をしに現れたのはなんと、あのイケメンのタイゾウ先生だったのだ!タイゾウ先生、あんた理系だったのか。 「いや、自分経済学部卒なんで、数学はまあ得意なんですよ」 わお!自慢しても、全然イヤミじゃない!さすが二枚目は違う!そう思った。 タイゾウ先生は今度から週1回、ユメコちゃんの講座だけのために、わざわざ来てくれることになったのだった。もちろん、代わりが見つかるまでの間だったけど。 突如現れたイケメン講師に、ユメコちゃんは目が完全にハートになってるわ、女性講師はキャアキャア騒ぐわで、その日からその曜日は女性陣の気合いが入りまくりだった。その間、おれはほぼ空気だったことは言うまでもない。
60 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 03:21:12.00 ID:Xsr+8W5X0
そんなプチ騒動があったために、その後の藤森先生の消息については、誰も気にしなかった。タイゾウ先生がいる曜日は大フィーバー、いない曜日も、話題の中心は常にではないが、だいたいタイゾウ先生だった。 そんな時、おれは空気というか、うなずき係だった。やめなさいって。 なお、この時のタイゾウ来塾事件が、のちのウメコ移籍トラブル事件につながっていく。
61 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 03:28:37.87 ID:Xsr+8W5X0
ある日、どうしても気になって、タイゾウ先生に恐る恐る聞いてみた。 「あの〜?タイゾウ先生、その後、藤森先生はどうしていらっしゃいますか?」 「藤森先生はね、かなり変わったよ。あれから」 「と、言いますと?」 「営業マンとして、バリバリにやってるということさ」 おれの中で衝撃が走った。
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/17(水) 05:09:21.07 ID:sUhTsZPT0
記念age
63 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/17(水) 05:11:01.91 ID:zFuueJny0
藤多先生の強制リストラ事件は何時ごろ 出てくるんでしょうか? 例の法律違反の強制退去の話です。
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/17(水) 07:39:35.01 ID:ji3c9qQz0
全俺が注目したw
ドラクエ10の狩り場の空きを狙って早起きしたらメンテだったw
>>63 さん、筆をいそがせちゃだめよw
面白そうだから、はしょることなく、スレ主さんのペースで書いてもらいたいw
塾の先生って、若いつうだけで女子高生にもてる時期あるのに、C3POすごいなw
65 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 07:47:12.14 ID:Xsr+8W5X0
「ええッ!?つ、通用しちゃったんですかッ?営業の仕事に」 「ああ、通用してるんだよ。立派にね」 タイゾウ先生は爽やかに笑ってそう答えた。 「実は、元々彼は営業マン志望だったんだよ。それが、理系科目の担当が足りないという君の希望で、無理矢理講師に押し込めたってわけ」 「え?そ、そうだったんですか・・知らなかった」 「ふらっと出ていっては、何日かに一件、必ず契約をとってくる。不思議な人だよ」 あの藤森先生が、一軒一軒外回りをこなしている姿を思い浮かべた。あの実直な彼が、玄関先で営業する姿は、それはそれで人の心を打つのではないかと思った。 ある日、それからもう一度だけ藤森先生に出会ったことがある。久し振りに会った彼は、終始ニコニコして、ファックス添削をしていた頃のぎごちなさは、微塵もなかった。 「松ちゃん先生じゃないですかあ〜?お元気ですかあ?やっぱりボクは、外が好きなんですよねえ」 生き生きしながら、自分にはこれが天職だということ、特に小学生の営業が得意で、玄関先で宿題を一緒に解いてやると、子どもも母親も、とても喜んでくれるのだという話をしてくれた。なるほど、それが彼の営業テクニックなんだな。なんか納得した。 最後に、営業で稼いだお金で、愛車GTO のマフラーを交換したのだと嬉しそうに語ってくれた姿が、今も印象に残っている。 ・・以上です。途中寝てしまった。ゴメンナサイ。読んでくださった方々、ありがとうございました。ではおしまい。
66 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 07:49:10.77 ID:Xsr+8W5X0
>>63 リストラはなかった。いや、意外でした。スンマセン、気づいたらメール添削しながら寝てた〜!
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/17(水) 07:51:30.95 ID:ji3c9qQz0
おもしろかったw G3P-Oだから子ども受けするのか!w 映画のほうもちびっ子に人気だったしw あのG3P-Oは、イギリスの鎧をまとった騎士をメタモしたらしいよw だから騎士道精神にあふれたガイコツなんだよw またそのうち何か書いてくれよなw
68 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 07:53:12.54 ID:Xsr+8W5X0
>>64 サンキュ。待たせてゴメン。当時は自分も全くモテなかったよ。
69 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 07:58:37.13 ID:Xsr+8W5X0
>>67 ありがとう!何か思い出したら、また書くよ!今回も書きながら、いろいろ思い出してしまった。
実はチャンスがなくて書けなかったけど、藤森先生の愛車GTOには、一度だけ乗せてもらったことがある。死ぬかとおもうくらい、速かったよ。走り屋だったんだよね。
70 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 13:50:10.16 ID:xuQQpOJv0
少しずつ書いていきます。また、明日の明け方までの予定。なんか思い出した今書いとかないと、永久に忘れそうな気がして。 【研修の思い出】 いい加減な社長面接をパスして、入社してきた連中が送り込まれてくる、社員研修制度、通称「松ちゃんの穴」。 当時24歳の自分に研修される身に、今の自分がもしなったら、本当に腹が立つかもしれないな。 若造教室長にいろいろ教え込まれるために、他塾から移籍のベテランなど、新入社員(全員が中途採用)が、何週間かにいっぺん、ゾロソロやってきた。 この「松ちゃんの穴」の研修期間に決まりはない。全てのテクニックをマスターしたら、全20教室のうち、どこかに配属が決まる。まあ、早ければ早いほど喜ばれたが。だいたい、2ヶ月目には皆、一人前にはなっていったと思う。 なんであんた若いのにそんな役目を?という疑問が湧くかもしれないが、自分はその塾には18の時からいたから、誰よりもこの塾限定の個別指導のテクニックについては熟知していた。 つまり、何故に自分が研修センターみたいなことをやらされたかと言えば、我が「ブラック塾」の重役連中は、 ・・たぶん面倒くさかったのだと思う。 1対2、1対4、1対8、少人数一斉、自分はいろいろやった。その仕組みは独特で、今自分がやっている塾の指導スタイルの基盤になっている。 (このテクニックについては、質問があればいつでも受け付ける。興味がある方は絡んできて欲しい。まあ、作中でも言及することになるから、わかるかもしれない) とまあ、そんな感じだった。 その日もいつものように、新入社員リストが自分の机の上に置かれていた。
71 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 15:12:33.94 ID:xuQQpOJv0
「え〜と、原先生。35歳。一流私立大学卒業か。大学時代はラグビー部に所属・・」 「お茶、ここに置いときますね!」 「あ、しげ子先生、ありがとう」 この頃は、のちにエロエロ攻撃に走るしげ子先生とも、まだ仲が良かった。 「今日、新しい先生が来るんですね!」 「うん、そうなんだけどさあ・・」 「どうかなさったんですか?」 「うん。なんかね。みんな、いい大学出てんのに、こんなブラック塾なんかに来るんだなあって」
まあ結果オーライだったとは言え、ともすれば一人のブサイク青年の人生に大きな影響を与える所だった訳だ。 それ考えるとユメコと言う女子高生は鬼畜だな(!?) 美少女女子高生はこわい。。。 これが小・中学部の女子だったら「面白い顔した先生」くらいで、屈託なく付き合っていたんだろうがなあ
73 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 15:30:07.76 ID:n+1yXAy30
>>72 書き込みありがとう!反応があると嬉しい。
いや、本当に書きながらそう思ったよ。女の子怖いなと。彼女、お姫様状態だったから。
企業塾、しかもお客様第一主義のところだったから、
あの人パス!
の一声で、こういうことは結構あった。
自分のところは、まだ何とかなったから良かったけど、
営業部長は独断で、バッサバッサ首斬りしていたらしい。
74 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 15:35:54.50 ID:n+1yXAy30
「松ちゃん先生も、いい大学出られてるじゃないですか?」 「おれ?おれは、全然だよ」 しげ子先生は某私立大学、自分は一応国立大学卒ではあったが、偏差値は変わらないくらいだった。 「だってこの人、大手電気メーカーだよ?何しに塾なんて来るのかな?」 「なぜ辞めたのか、気になりますね」 その日の午後イチに、その元ラガーマンは現れた。
75 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 16:14:51.70 ID:n+1yXAy30
「あの、こちらでよろしかったですかね?私、本日より研修を受ける原と申します」 原先生は、身長体重ともに超大型。しかし・・どことなく気弱そうな人だった。 色黒で、そう・・イメージしてもらうとすれば、モノマネの山本高広を黒くして眼鏡をかけさせた感じ。元ラガーマンという割には、柔らかな印象だ。 「あ、はい。こちらですよ。松ちゃん先生、原先生お見えになりました!」 「はい!どうぞ」 その日は、確か大学がなかったのか、午前中からしげ子先生と、友達の設楽りさ子(現・三浦)似の女子大生しかいなかった。ウメコ先生と竹子先生は、本部研修で留守だった。 ファックス添削の手を止めて、原先生を奥の部屋でDM発送業務をしていた自分のところまで連れてきてくれた。 「あ、こんにちは。改めまして、研修を担当する松ちゃんです」 「わたくし、本日よりお世話になります、原と申します。よろしくお願いいたします」 「どうぞ、散らかってますけど、お掛けになって下さい」 「はい」
76 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 16:29:36.08 ID:n+1yXAy30
「・・大きな教室ですねえ」 「はい、ここは20人入る教室です」 「私に授業なんて出来るんでしょうか?」 「えっ?」 おれは耳を疑った。 「いや、実は営業職でこちらの会社を志望したんですが、どうも講師として配属されるみたいで、不安なんです」 「!?」
77 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 16:50:32.33 ID:n+1yXAy30
「あの〜、それはひょっとして社長の・・」 「はい、社長に『君は高校時代、理系の科目は何が得意だった?』と聞かれて、つい『物理です』って申しましたら・・即講師として採用になってしまって」 しげ子先生が、お茶を運んできてくれた。もちろん、会話内容に対し、そば耳を立てているのは言うまでもない。つまり、なかなか立ち去ろうとしない。 「原先生、ひょっとして初めて本部にいらしたのは・・」 「はい、昨日の午前でした。いや、学習塾ってこんなにスピード採用なんだなと」 いや、そうじゃない。そうじゃないんだよ原さん! 例の社長のデタラメ採用だったんだよ!あんたは知らないだろうけど。 男性社員だったから、またテキトーに選んだんだ。 でもって、翌日から直ぐ講師になれると思ってる。 さらに、一流大学卒業して物理が得意なら、物理講師として雇えると単純に思ってるんだよあの人! だいたい、18から35なんて・・ブランク半端ねーじゃんか、そんなの! 「は、原先生は、どうだったんですか?」 「はい?」
78 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 16:52:43.54 ID:n+1yXAy30
読んでる人いますか?今から支度して、授業に出ます。続きは休憩中か、深夜になりまーす!
この一連の話の中で、何よりも不思議なのは 社長 だな。 よくそんな感覚で塾会社の社長が務まるな、と。
80 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 17:05:38.73 ID:n+1yXAy30
>>79 おっしゃる通り。全く別畑の人間で、講師経験はもちろんなし。ブラック会社というよりは、トンデモ会社だったよ。
81 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 17:10:17.61 ID:n+1yXAy30
>>78 いい忘れた。読んでくれてありがとう!励みになります
82 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 19:31:44.64 ID:n+1yXAy30
「おかしいと思いませんでしたか?」 「それは、なんと言いますか、講師職の方が基本給が上でしたし、正直、自分にでも出来るのかなあって」 「ふーむ。そんなに物理が得意なんですか?」 「いやあ、勉強し直さないといけません。出来るとた思ったのは・・こちらの社長さんが、あまりに『君なら出来る!』っておっしゃったものですから、ついその気になって」 やっぱりか・・学生でも出来る仕事だから、社会人なら尚更出来ると考えているんだな。 「わかりました。原さん・・いえ、原先生とお呼びしましょうか」 「はい。なんだか先生だなんて恥ずかしいな」 「今日から私が生徒になりますから、私に物理を教えてみてください」 「ええ?素人の私が、先生に教えるんですか?」
83 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 19:33:06.38 ID:n+1yXAy30
あれ?最初から原先生って呼んでるなあ。しまった。でも気にしないでね
84 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 20:01:59.95 ID:n+1yXAy30
「いえ、もう原先生は素人ではありません。少なくとも私にとっては今日から先生です」 「え?でも、先生はどうみても先生じゃないですか」 「うーむ、やりにくいですか?」 「はい、最初からはちょっと・・」 「そうですか、まずは指導の仕方を教えるので、いつも 私が生徒役をやるんですよ」 「あの、私がやりましょうか?」 割り込んだのは、しげ子先生だった。
85 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 22:23:06.33 ID:n+1yXAy30
「え?しげ子先生が?ファックス添削はどうしたの?」 「今日はもう終わりました。授業まで暇なんです。さっきからお茶汲みしかしていません」 そうか、立ち去ろうとしなかったのにも、次の仕事の指示を欲しがってたんだな。 「いや、これは・・おれの仕事だしなあ」 しげ子は、少し黙っていたが 「先生、毎日深夜までお仕事なさってるの私、知ってます。たまには、私に頼ってくれていいんですよ?」
86 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 22:50:42.12 ID:n+1yXAy30
と、殊勝なことを言った。 でも、おれはこの女のこんなところが苦手だった。 「でもなあ・・」 「先生、手伝わせて下さい!私、やってみたいんです!」 しげ子は、実はただやってみたいだけだった。 「そんなの、ダメに決まってるだろう!」と言おうとしたら、原先生が割り込んできた。 「あの、この女性は?」 「しげ子先生です。うちに1年ほど勤めている、学生講師なんですけど」 「しげ子と言います、よろしくお願いいたします」 「可愛い方ですね。生徒さんかと」 「まあ♪」 しげ子は可愛いと言われて嬉しそうだった。前にも言ったが、しげ子は今で言うと「ゆうこりん」に多少似ていた。 「私、しげ子先生となら、緊張しないで出来そうです」
87 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 22:57:41.00 ID:n+1yXAy30
スミマセン、明日の朝食の買い物に行ってきます。読んでる方、いますかあ?
88 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/17(水) 23:03:55.57 ID:n+1yXAy30
あと、30分したら戻ります。読んでる方、しばしお待ちを
時々覗いてるぞ〜 >明日の朝食の買い物 ? って、奥さん作ってくれないのか?
90 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 00:04:38.07 ID:8uZB+TmK0
原先生は研修講師に、ヤング教室長のおれより、ピチピチの女子大生講師しげ子を指名した。 「ええ!?」 「ウッフッフ、やりましたねー・・松ちゃん先生、ここは・・私にやらせてもらえますよね?」 ぐっ・・原先生も、期待するような目付きで、おれを覗き込むように見つめている。 「・・わかった。は、原先生がそうおっしゃるなら・・やってみても・・いいよ。特別に」 「ほ、本当に?」 「仕方ないだろ。原先生は超初心者だからな・・少しでも、やりやすい方がいい」 「ありがとうございます!」 しっかし、なんでこんな仕事やりたいんだ?しげ子は。 「ただし!条件がある。研修が終わったらしげ子先生は、必ずその日の内容を報告!つまり、各指導システムのどこまで出来るようになったか、その日の終わりに、必ずおれに見せること!」 「了解です!」 「原先生?」 「はい!」 「このことは・・くれぐれも、他言無用で」 「はい、す、すみません。私のために」 「う〜、やたーっ!じゃあ、原先生!ノートと筆記用具を持って、102の教室に集合!」 「はい!よろしくお願いいたします」 軽い敗北感を覚えながら、おれはDM発送の仕事に戻った。
91 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 00:07:08.95 ID:8uZB+TmK0
>>89 いや、朝食の材料買ってきたんだよ。で、今1個書いたじゃん?
そしたら、醤油と海苔がないと言われた。また買ってくる。
92 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 00:16:51.03 ID:8uZB+TmK0
>>89 覗いてくれてありがたい、一人じゃ萎えそうだった
94 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 00:39:26.65 ID:8uZB+TmK0
>>90 毎日!うわあ、ありがとうございます!今回は結構長編なので、明日も続くかもです!
95 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 01:15:04.02 ID:8uZB+TmK0
うちの教室の壁は薄い。 いや、壁というよりは、ただのパーティションだった。だから、DM作業している103教室と、研修中の102教室は、樹脂ボード一枚で隔てられただけで、声は筒抜けだった。二人の声が聞こえてくる。 「原先生、まずは1対1指導のシステムから教えますね?」 「え?しげ子先生、確かこの塾は、1対2の指導からじゃあなかったでしたっけ?」 「そうですけど?」 「だったら、1対1の指導の仕方を教えるのは、無意味では?」 「あら?じゃあ、原先生は、1対2の個別指導の経験があるんですか?」 「ありませんよ。あるわけないじゃないですか・・見ての通り、超初心者ですから・・」 「だったら、まずは1対1から教えます」 「なるほど、わ、わかりました」
96 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 01:25:26.06 ID:8uZB+TmK0
「1対1指導で一番大切なことって、一体なんだと思います?」 「一番・・そりゃ、指導が解りやすいことじゃないですか?」 「他には?」 「他に?・・思いつきません、す・・すみません」 「ンフフ、そうでしょう〜?私も最初はわかりませんでした。松ちゃん先生から教わるまではね」 「そ、それが大切なことなんですね!」 「そう、これが解ったら、今日は合格でいいです!」 「え?何だろう?・・大切なこと?教えて下さい!」 「それはですねえ〜」 「それは?」
97 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 01:48:54.70 ID:8uZB+TmK0
そ、それはなんなんだ?おれ、そんなこと教えてない・・ぞ? 「それはですねえ〜」 「それは?」 「うーん、教えてあげよっかなあ〜♪どうしようかな〜♪」 「お願いします!教えて下さい!しげ子先生!」 「知りたいですか?たぶんこれができたら、一流の先生になれますよ?」 一流?おいおい、そりゃ、オーバーすぎるってもんだろ? 「はい!知りたいです!」 「わーかりましたっ!実は、一番大切なことは!」 「一番大切なことは?(ドキドキ)」 「今私がやったことだったんです!」 なに!? 「はあ?・・も、もうなさったんですか?」 「ハイ。私からは今日はここまで。松ちゃん先生!これでどうですかあ?研修終わりましたけどお!」 あ、なるほどそういうことかあ!
98 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 02:10:48.72 ID:8uZB+TmK0
「いや〜見事だったよ〜、しげ子先生」 「ありがとうございます!でもちょっと強引だったかな?エヘヘ」 「な、なんのことですか?強引とか?今したことって、まだ何も教えてもらってないじゃないですか?」 おれは、しげ子の作戦に感心しながら、原先生に向かって言った。 「しげ子先生が、今日原先生に教えたかったのは、『勉強したいという心』を持たせることだったんですよ」 「勉強したいという心?」 「そう、簡単に言えば『知りたい!』と、生徒に言わせることでした」 「あ!そう言えば私、さっき『知りたいです!』ってしげ子先生に言っちゃいました!あ、なるほどなあ〜、しげ子先生、天才ですね!」 「エヘヘ〜、強引だったですけどね〜」 「そう、今のはズルい。でも原先生、1対1個別で大事なことがわかって良かったですね。私も今日は合格でいいと思います」 「はい。でも、松ちゃん先生。それは、すべてのシステムにも共通して言えることなんじゃないでしょうか?」
99 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 02:19:24.29 ID:8uZB+TmK0
おれは首を横に振りながら答えた。 「いいえ。1対1個別には、決定的に他のシステムとは異なる性質があります。このシステムの欠陥と言ってもいいくらいの」 「1対1のシステムに欠陥?最高じゃないですか、マンツーマンシステムですよ?きっと一番よく解るはずじゃ」 「それは、他のシステムでもむしろ共通しているところです。集団一斉指導でも解りやすい先生はいます」 「そ、そうか。じゃあ一体、その欠陥とは?」
100 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 02:23:40.72 ID:8uZB+TmK0
次の松ちゃん先生の、台詞が答えの部分になります。皆さんも考えてみてください!ふろの
101 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 10:32:47.08 ID:8uZB+TmK0
「それは『自分の他には生徒がいない』ということですよ」 「はあ?それがどうして、1対1個別の欠陥なんですか?」 「家庭教師や個別では『競争心が芽生えない』とか、『教えすぎ』とか巷では言われていますが・・」 「そ、そんなことを言われてるんですか」 「はい。でもおれは、そのどちらでもないと考えているんです。個別の弱点は」
102 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 10:39:57.14 ID:8uZB+TmK0
「と、言いますと?」 「特に1対1個別になると、全部自分で受け止めなくてはならないんですよ。予習をしなくてはならない、授業は一生懸命聞かなくちゃいけない・・そのすべてを、誰かの見よう見まねではなく、全部自分からコントロールして、やらなくちゃならなくなるんです」 「なるほど、やる気のない子なら、それらはしんどいと言うか、出来ない?と?」 「はい」 「おお〜・・」 原先生の顔からは、明らかに驚きの表情が読み取れた。 しげ子はうなずきながら、さっきから黙って聞いている。
103 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 11:02:34.52 ID:8uZB+TmK0
「と、いうことは・・1対1個別は、自立心の旺盛な子ども以外は無理・・?」 「はい、その通りです。ただ、私がこの塾に生徒として入ったとき、創業者の方に言われたことがあるんです」 「創業者?それは、社長さんのことですか?」 「いえ、もうその方はいません。亡くなりました。今の社長は外からやってきた二代目です。前社長が亡くなる直前に託したんでしょうね、今の社長に。自分、当時まだバイトの身で、気づいたら代わってたって感じでした」 「そうなんですね」
104 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 11:10:18.52 ID:8uZB+TmK0
「おれが高校時代に、その方に言われたのは、『個別指導の最終目標は、先生がいなくなることだ』ということでした」 「先生がいなくても勉強出来るようにならなくてはならない、ということですか?塾なのに、先生がいなくなるって、大胆なご意見ですね」 大胆なご意見・・当時流行ったフレーズだ。CMかなんかの。 「おれは、この地域で、初めての個別指導の生徒でした」 「初めての?それはなんで解ったんですか?」 「言われたからです。その社長に。お前が初めての生徒だって。ひと昔前はまだ個別指導なんて何にもなかったでしょ?」
105 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 11:23:41.73 ID:8uZB+TmK0
原先生は、少し上を向いて考えてから言った。ちょっとポカーンとした、やや驚いた表情で。 「そう言えばそうですね。じゃあ、松ちゃん先生は、この世界の生き証人じゃないですか!」 おれは、生き証人と言われてびっくりした。 「そんな大げさなものじゃないけれど、でもシステム作りには、協力したほうだと思いますよ。サンプルとして。例えば学生さんが教えることになったときは、必ず生徒役で使われていましたから・・」
106 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 11:39:58.66 ID:8uZB+TmK0
原先生が、それでようやく腑に落ちたという表情で言った。 「あ!だからさっきは・・私が先生で、松ちゃん先生が生徒役に?」 「はい、その時からの延長なんですよ。私が生徒役になり、先生を育てていく。しげ子先生もずっとそれを見ていますから、自分もやってみたくなったんでしょう」 「エヘヘ〜スミマセン」 「いや、あれは納得したなあ。自分から進んで何かを知りたい、まずそう思わせることが、個別指導では一番大切なんですね」 おれは、原先生の人の良さに感心した。確かに社長が言う通り、この人なら出来るようになるかもしれない。
107 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 11:42:48.26 ID:8uZB+TmK0
ちょっと間挟みます。このあたり、説明が多くて、読みにくかったらスマソ
108 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 12:16:44.38 ID:8uZB+TmK0
「まあ、あとはコストの問題かな?1対1個別は、コストがかかる割に、効果的でないので、当塾では行われていないんですよ」 「なるほど、コストのほうはまだよくわかりませんが、効果的でない・・そっちはよくわかりました。生徒にかかるプレッシャーが、一人だとやたら大きいんですね?」 「1対2からは、自分以外の生徒がいますからね。後から入った生徒が、以前からいる生徒の真似をするだけで済みます」 「なるほどなあ、長男と次男の関係みたいですねえ」 しげ子も感心した様子で言った。 「原先生、頭いいなあ。吸収早いですよ。さすが一流私大卒ですねっ!」 「いや、そんな・・」 原先生は照れ屋だった。 「私なんか、なんで1対1がダメなのか、よくわからなかったですから。授業持たされて、案外多人数のほうが上手くいくって知ったのは、随分経ってからでしたね」 こんな感じで、初日の研修は終わった。原先生は、その後DM作業の仕事を、我々の授業の間、手伝って帰っていった。その作業は大きな身体に似合わず、とても丁寧だった。
109 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 13:21:53.70 ID:8uZB+TmK0
研修が終わり、廊下に出てみると、設楽りさ子(現・三浦)似の女子大生が、ぽつんと立っていた。 「私、感激しました!私も塾に勤めたくなっちゃいました!」 「ええと、ごめん、君の名前は?」 新人で、まだよく把握してなかった。 「トウコといいます。先週から、しげ子に・・あ、しげ子先生に連れられてファックス添削に来ています」 ファックス指導の講師募集は、営業部長の仕事だった。ファックス部門は、教室面積が広いこの教室でたまたま行われている。 女の子は正直、顔で選んでるだろ!くらいに全員可愛かったよ。 「ここの塾の募集は、やってらっしゃらないんですか?」 「え?トウコ先生は4年生だから、もう就職決まってるんじゃないの?」 「それが・・しげ子先生と違って、私はまだ決まっていなくて」 「そうかあ、大変だなあ。でも、塾は・・やめといた方がいいかな・・」 「え?なんでですか?」 「それはね、ゴニョゴニョゴニョ・・」 「えっ?そんなに条件悪いんですか!?」 おれと原先生は苦笑いしていた。しげ子は黙っていた。
110 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 13:43:55.82 ID:8uZB+TmK0
「だから、やめといた方がいい。教室長はまだまだ大変になる」 「え?それはどういう・・」 「松ちゃん先生、実は今ものすごく大変なんだよ」 しげ子がまた割って入ってきた。この子の性格のイメージは、今で言うと吉高由里子に似ているかも。苦手なんだよね。 「いいよ、言わなくて」 「昨日は全然寝てないはずですよ。だって、DMの季節だもん」 「DMって、そんなに大変なんですか?」 「何千通もあるの、この教室の担当なんだよ。松ちゃん先生、昨日からの勤務時間すごいですよね?」 「ああ・・17時間労働が、最近は当たり前なんだよね」 言わなくていいことを言ってしまって、少し後悔した。
111 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 14:27:06.58 ID:8uZB+TmK0
「まあ、おれが作業遅いのもあるけど、これ、バイトに任せちゃダメって言われてるの」 原先生が恐る恐る聞いてきた。 「あの、それはひょっとして、人件費削減という観点からでしょうか?」 「そう、まあ教室長はズバリ、雑用係なんですよ。よく言われているけど。教務はあくまでもサブとして、控えているだけなんです」 「では、私は?」 「原先生は高校部門の理系の先生だから、当社の給与体系からしたら、恐らくトップクラスの給料では?そのうち、各教室を回って、引っ張りだこになりますよ」 「経験がなくても、高い給料がもらえるんですか?」 「一応、そうなっていますが、ひょっとしたら、安く買い叩かれているかも・・ですね。いや、すみません、今のは言い過ぎました!」 「いや、いいんです。だったら・・きっとそうでしょう。そこまでの金額ではなかったんで。まあ、私の場合は仕方ありません」 「ま、彼らからしたら、現在の理系担当講師が少ない現状からしたら、先生のような新人は、渡りに船だったんじゃないかなと思います。きっと頑張れば金額も上がりますよ」
112 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 14:33:14.06 ID:8uZB+TmK0
「だといいんですが」 「すみません、気休めにもならないようなことを言ってしまって」 「いえいえ、昨日今日入ったばかりで、こんなこと言える身分ではないですし」 「あの・・!」 口を開いたのは、トウコ先生だった。
113 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 15:26:21.68 ID:X69O/p3U0
そろそろ授業の準備になります。また、休憩とかに少しずつ書いていく感じです。 所々フェイク入ってます。実際にはこれらの登場人物以上の人数がいました。
114 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 16:47:38.96 ID:X69O/p3U0
スミマセン、たびたび。ふろのです。実は、ちょっと2件ほど、執筆仕事(参考書の仕事)が入りそうで、ひょっとしたら、ペースがかなりダウンしてしまうかも。 1件だけならなんとかなると思ったんですが、今さっき2件目のチャンスが舞い込んできて・・楽しみにしてくれた方、本当にすんません。
お疲れさんでーす じっくり待ってますからご心配なく
116 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 17:29:59.05 ID:X69O/p3U0
>>115 スミマセン、なんかね。いろいろ仕事してまして、たまーに、こんなふうに思いがけないことがあるんですよね。
117 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 18:52:09.73 ID:X69O/p3U0
>>98 これ、以下のように書き直しました。気に入らなかったので。(ここを書くとき、実はものすごく眠かった)
「いや〜見事だったよ〜、しげ子先生」
「ありがとうございます!でもちょっと強引だったかな?エヘヘ」
「な、なんのことですか?強引とか?それに、『今したこと』って?結局のところ、一体なんだったんです?」
しげ子は少しイタズラっぽそうな目つきで言った。
「ええ〜?今のわからなかったんですかあ〜?」
「ま、まだ何も教えてもらってないじゃないですか?」
おれは、しげ子の作戦にちょっと感心しながら、原先生に向かって言った。
「原先生、しげ子先生が一番最初に教えたかったのは、生徒に『勉強したい気持ち』を持たせるということだったんですよ」
「勉強したい気持ち?」
「そう、簡単に言えば『知りたい!』と、生徒に言わせることでした」
原先生は、思いついたように大きな声で言った。
「あ!そう言えば私、さっき『知りたいです!』ってしげ子先生に・・言っちゃいましたよね・・」
「ピンポ〜ン、そうで〜す!その通り!」
しげ子は少し調子に乗っていた。
「うーん、なるほどなあ〜、しげ子先生、頭良いですねえ〜!」
「エヘヘ〜、いやー、ちょっとだけ強引だったかもですけどね〜」
「だいぶ強引だろ!」と言いたかったが、それはやめにしておいた。
生徒にやる気にさせる、とはよく言うが、それは具体性に欠ける。
そんな絵空事より、実際に「もっと知りたい!」と生徒に言わせることができたなら、それは教育現場にとっては最高の状態なのだ。
そういうことは、自分も上からよく言われていたし、バイトの子達にも、よく言って聞かせていたものだった。
しげ子はそれを、実践してみせたというわけだ。やや、問題があったにせよ。
「そう、今のしげ子先生のやり方はズルいかもね。『知りたいですか?』って言われたら、『知りたいです!』って、誰だって言うものだろ?」
「・・はーい」
しげ子は少しシュンとなった。
「でも原先生、1対1個別・・つまり個別指導の基本中の基本としては、今のは特に大事なことだったとは思いませんか?」
「はい、思います。とても」
「素晴らしいです、先生。今日の研修は合格でいいと思います」
原先生は、安心した顔つきをし、やがて、でもちょっと疑問があるというような感じでこう聞いた。
「はい。ありがとうございます。・・でも、松ちゃん先生。これって、これから先すべての教育システムにも共通して言えることなんじゃないでしょうか?」
「と、言いますと?」
「だって、1対1個別に限ったことじゃないじゃないですか?きっと、1対2、1対4・・それから少人数、それらだって『知りたい!』と思わせることが一番大事なんじゃないですか?」
確かにそれはそうだろう。ただし、おれが考えているのとは、少し違う。これは「優先順位の問題」なのだ。他のシステムと、1対1とでは、まるで異なる何かがあるのだ。
118 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 20:50:40.58 ID:X69O/p3U0
「松ちゃん先生、その、私にDM作業・・手伝わせて下さい!」 「え?トウコ先生まで、手伝ってくれるの?わ、悪いよ、というか、これ、自分の仕事なんだよ。君達には手伝わせられないやつで・・」 「人件費の問題・・でしょ?」 「あ、ああ」 「なら、私・・お給料なしでやりますから!」 こ、この子は、健気に真心から言っているのが伝わってくる!くう〜しげ子のやつとはえらい違いだ・・。 「いいんだよ。人件費を抑えたいのは、会社なんだから。つまり、これはおれと会社の問題なんだよね」 「でも、あまりにも酷すぎます!こんなの!」 心に染みるなあ〜この一言。今から思い返しても。 全国の教室長諸君にも、聞かせてやりたかったぜ・・。
119 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 21:34:43.02 ID:X69O/p3U0
「こうしている間にも、手伝ってもらえばいいじゃん!」という声が聞こえてきそうなので、補足。 ファックス添削は、時給制ではなく、枚数に応じた歩合制でした。
120 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 22:43:06.19 ID:X69O/p3U0
トウコ先生からの申し出もなんとか断り、おれはDM作業に戻った。もちろん、今日から配属の原先生と一緒に。 夕方近くになり、ウメコ先生と竹子先生の女豹コンビ(命名者・ヌルオ)が帰ってきた。 助かるな。授業までの短い時間とはいえ、4人なら作業がはかどる。 ウメコ先生が原先生に最初に気づいた。 「あら、新しい先生?」 「はい、わたくし、原と申します」 竹子先生も近づいてきて、言った。 「あら、私のダンナより大きいわ」 「1メートル85あります」 会話はそれだけだった。まあ、男前ではないもんな。原先生、この二人はパスしとけ。 ただ、次の日の研修の打ち合わせもしなくてはならなかった。 なんせ、しげ子がまた「どうしてもやりたい!」と言い張るので。 でも、今日みたいに女豹コンビのいない時間帯となると、午前中しかない。やつらは噂が大好きだからな。 講師は午後出勤が普通。教室長も本当はそうだが、大人の事情により・・以下略。 となると、主に午前中に割り当てられているファックス添削はしげ子先生ではなく、トウコ先生に主力になってもらうしかない。 早くDM発送を終わらせて、午前中のファックス添削も手伝わないと。 女豹コンビと原先生がDM作業をしている隙に、しげ子とトウコ先生を廊下に呼び、午前中のファックス添削のことを打ち合わせた。しげ子が腕組みをしながら、考え込むように言った。 「だったら、もう一人追加かなあ・・」 歩合制だから、人件費は一定だった。つまり、一番早く添削出来るやつが一番儲かる仕組み。まったく誰が考えたんだ? 「誰か心当たりがあると助かるな(おれが研修すれば、解決するんだがな)」 トウコ先生が提案してきた。 「私の一年下に、面白い子がいるんです。イラストを描くのが趣味の・・」 「イラスト?」 「はい、どうでしょうか?添削にイラストを添えたら、生徒さんも喜ぶのではないでしょうか」 その発想は、おれにもしげ子にもまるでなかった。 「その子、連れて来れる?」 「はい。大丈夫だと思います。電話、貸してもらえますか?」 トウコ先生は、当時流行り始めたシステム手帳を取り出すと、教員室の電話からその子の家にかけ始めた。 「あ、もしもし、私、同じサークルのトウコと申しますが、・・さんいらっしゃいますでしょうか?」 当時、ケータイやスマホはもちろんなかった。家電という対比させる言葉も。家電は家電品のことだった。
121 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 23:12:56.03 ID:X69O/p3U0
しばらく離れます。淡々と書いていく感じになりましたが、いかがでしょうか?
122 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 23:18:00.41 ID:X69O/p3U0
なんか、色々なことを思い出しますね。もう20数年以上前のことを。こんなことって、あるんだなあという感じです。みなさんにもオススメします。半生をフェイクを交えながら小説化するの。 前に、ケータイで「俺様店員」というのがあったけど、あれは面白かったなあ。
123 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/18(木) 23:32:30.84 ID:X69O/p3U0
塾関係者のみなさんから見たら、私の24歳の頃の話なんて他愛もないでしょうが、私は書いててものすごく懐かしいんですね。 ブログでやれ という声も聞こえないフリをしていますが、公式ブログで書けるような内容でもないし、こちらが一番適しているような気がします。 ちょっと小説は中断ぎみになるかもですが、小説部分をネタにしたおしゃべりなら、テキトーにできるかもしれません。
興味深く読んでます 確かに塾などの公式ブログでは書けませんね
125 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 00:30:30.09 ID:Vdcx/TmD0
箸休め的にちょっと書いてみましょうか? まず、この小説の舞台となった、ブラック塾。その地域では老舗の個別指導塾でした。 自分、今はかなりかけ離れた感じの指導体制の塾をやってるんですけど、若い頃は、かなりそこでお世話になりましたね。 指導理念を感じない現代と違って、若手講師もちゃんと教育をしている実感はありましたね。 だから、17時間労働も生活の一部だった。ハードワークはその頃からの習慣です。あ、残業代もそれなりにちゃんと出ていました。 システムに関して。当時は1対2が主流でした。18歳のときに初めて試験的に1対1を任されて、ものすごく緊張したのも、今となっては懐かしい思い出ですね。 FC個別なんて、影も形もない時代の話です。 今、生徒が目の前にズラーッといるのが当たり前ですけど、少しは緊張しないといけないのかな。 松ちゃん先生、というアダ名はもちろん「某テレビ小説」から拝借したものです。そこから竹子先生、ウメコ先生と流用が続いたわけです。この二人、仲がいいのか悪いのかで言ったら、悪かったです。 前回登場の藤森先生は、セールス部門に行っても異質でしたね。 最初はベテランの営業マンについて回っていたときは、やはり風貌からか「使えなさそう」みたいに言われてたんだけど、一人立ちしてからは、トップになったこともあるくらい、化けたそうです。 そのベテランさんも悔しがってました。(このベテランの営業マンも、そのうち出てくるかも知れません) 原先生は本当に作中同様、気さくな良い方でした。彼のエピソードを書くときには、そのまま声が聞こえてきそうで、心が洗われるなあ。まだ書きますので、これくらいで。 しげ子は、ほんと、エキセントリックな女の子でした。第一話(というか、安価を踏んでしまって急遽書いたもの)では、多少健気で暗い感じで書いちゃいましたけど、本当は第二話以降のしげ子が本当です。 第一話のラストは流れ的に悪者にしちゃいましたが(眠かったので)、あんなことがあっても、最後まで仲は良かったです。 お互い結婚してからグーゼン、地元のラーメン屋で一度だけ会いましたよ。挨拶を交わしたくらいで、向こうもこっちもパートナーがいたから 「松ちゃん先生!」 「ああ!しげ子じゃん!」 「この近くに住んでるんですか?私もなんですよ」 「そうなんだ。またね!」 みたいな感じの会話だった。でも、自分がその後すぐ引っ越したから、それっきりになりました。 ヌルオは、今から考えたら良いやつだったな。作中とは違って、最後はケンカ別れみたいな感じだった。 竹子先生との不倫の件も、本当はあんなにどぎつくなくて、純愛に近かった。(小説らしくするために細部は変えてありますので悪しからず) 新キャラの美人女子大生トウコちゃんも、今はもう中年ですよ。どんなオバサンになっちまったんだろ? みなさん、今はまったく交流はありません。あったら例え半ばフィクションでも書けないよ。(間違っても名乗り出ないように) 実在した方々が、キャラクターとしてこうして登場すると、今の自分も、誰かにとってはキャラクターの一人なんだろうなと思いますね。 そしてきっと、そのどなたかにとっての、懐かしい思い出になっているのでしょう。いや、なってたらいいな。
126 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 00:31:46.59 ID:Vdcx/TmD0
>>124 ああ、良かった。読んでくれてる人、いた!ありがとうございます!たまに書き込んでくれたら喜びます。
127 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 01:19:21.32 ID:Vdcx/TmD0
翌日の朝。この日は本当に慌ただしかった。 始業時刻45分前の教室には、すでにしげ子が来ていた。 言い忘れたが、こいつはファックス以外の時間は、時間給。ファックス添削で稼げなくなるくせに、研修には積極的。 いや、もちろん時給は出す。事務員としてだが。 すぐにトウコ先生が現れた。でも、連れてくるはずの女子大生は見当たらない。早目に来るよう指示したのに。 「すみません、彼女、迷ってるのかも。困ったなあ」 この時代、ケータイはない。 「そう言えば、彼女、名前なんていうの?それから、出勤曜日は?」 「タメコさんです。月曜日と木曜日なら、午前は空いてるそうです」 「大学は大丈夫なの?まだ3年生でしょ?」 「なんか、イラストが描けると聞いて、休んでくるみたいなこと言ってました」 「おいおい、そりゃあマズイだろう」
128 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 07:01:54.94 ID:Vdcx/TmD0
「スミマセン、遅くなってしまった。こちらで、はあはあ、いいんですよね?」 タメコ先生は走って来たようだった。やはり道に迷っていたみたいだ。小柄でちょっと丸顔の女の子で、貧乳。(当時そんな言葉はなかったが。「まっ平ら」とか言ってたかな) うちの会社にはいないタイプだ。急遽増員の許可は得ていたが、営業部長なら面接をパスさせていたかな?今で言うと宮崎あおいみたいな感じだった。 「タメちゃん?」 「あ、トウコ先輩、おはようございます!後ればせながらやってきました。みなさんスミマセン、タメコと申します。 タメちゃんと呼んで下さい!いやーそれにしても、立派な建物ですね!塾って聞いてたんで!ビルだとは思わなくて!いやー、ビルだったかあ!塾って最近はビルの中なんですねー!」 早口言葉のように一気にまくし立てた。はあはあ言いながら。 (この子・・おしゃべりなんだな) それがタメコ先生の第一印象だった。しげ子はただただ圧倒されていた。 その後もおしゃべりは続き、わずか10分以内の間に、彼女が7人兄弟姉妹の4番目という、微妙なポジションにいること、彼氏がかなり年上の社会人であること、 自分は英文科で英語が得意であること、さらに、父親をすでに亡くしていること、 そして、大学を出たら母親や兄夫婦たちにすっかりお世話になった家を出るつもりで、今はバイトをいろいろ掛け持ちしており、今日のようなお話は大変有り難いということまで。 あ、出席は代返を頼んでいるから、安心ですとも言っていた。 さらに「これ!どうぞ!」と言って手渡してくれた履歴書の封筒はしわくちゃだった。 さすがに代返はマズイだろ?と思ったが、おれはこの子に好印象を持った。これはこの子なりの自己紹介なのだ。
129 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 07:19:45.90 ID:Vdcx/TmD0
ここまで書いて気づいた。自分、これまでアシスタント講師を雇うことがよくあったが、大抵は女性だった。この頃の影響なんだろうな、きっと。
130 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 08:13:08.36 ID:Vdcx/TmD0
早速、ファックス添削の説明に取りかかる。タメコはウンウンうなずきながら、真剣に聞いていた。 「まずは見よう見まねで良いから、ひとつやってみようか」 「あの、私イラスト描いていいって言われたんですけど、本当にいいんですか?」 「解説が解りやすくて、しっかり書かれているなら問題ないと思う。小学生が面白がるようなのがいいな」 「あ、大丈夫です。自分、絵本とか自作するのが好きなので」 作業に入ると、人が変わったように、だまって黙々と打ち込む姿に、おれとしげ子はびっくりした。トウコ先生は、横目で気にしながら、自分の取り分のファックス枚数を確認していた。 言い忘れたが、ファックス添削は小学生と中学生がしげ子らアルバイト講師、高校生が我々社会人講師(松・竹・ウメトリオと研修中の先生)の担当だった。 出来るだけ、学校から帰ってくる前に届けてやりたいということで、小学生は早目にこなし(他には主婦のスタッフもいた)、中学生と高校生の分は、夕方までにじっくりやろうという決まりを作ってやっていた。 だから、しげ子とトウコ先生が引退する来年は、どうしようか?それが最近の悩みの種だったのだが、 「来年も?来ます来ます!授業は曜日によってはたぶんほとんどないので、ぜひやらせて下さーい!」 まだ一枚も出来ていないのに、来年の話まで決まってしまった。(ここには登場しないが、近所の、主婦の方とか、ファックス担当者は他にもいた) 「出来ました!イラストも入れてみました!」 「あ・・可愛い!すごい、タメちゃん、可愛いねこれ!」 「いえいえいえいえ〜そんなあ♪」 トウコが言うように、オリジナルのイチゴのキャラクターが「よく見直さなきゃダメだよ」とダメ出しをしている絵柄だった。これは・・使えるな。 「よし、上出来!ペースも早いし、問題ないかも。うちは一枚ごとの歩合制だけど、学生はその日来たファックスをみんなで均等に分けてもらうから、ケンカしないようにね?」 「大丈夫です!あ、このお仕事、楽しいかも!」 そのときドアがガチャリと開き、原先生が出勤してきた。
131 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 08:50:31.24 ID:Vdcx/TmD0
「あ、おはようございます。あ、こちらは新人の方ですね?わたくし原と申します」 「あ、私も新人のタメコと申します。よろしくお願いいたします。タメちゃんと呼んで下さい」 「た、タメちゃん、ですか?わかりました。じゃあタメちゃんよろしくお願いいたします」 案外気が合う二人であった。 「じゃあ、原先生!昨日の続きやりましょうか?今日の研修は、1対2指導のやり方ですよ」 「はい、しげ子先生、今日も研修お願いいたします」 しげ子が原先生を引き連れて102教室に向かって行った。 それを見てあっけに取られたかのように、タメコ先生が言った。 「しげ子先生って、あんな大きな先生を研修するなんてすごい!」
132 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 12:13:24.60 ID:Vdcx/TmD0
いやー。今回は例外中の例外なんだよ、と説明するのもなんだか面倒だったので、そこは流しておいた。 しばらく観察&添削チェックしたあと(チェックには社員講師の判子を押す)、 ファックス添削は二人に任せ、おれは103号室に向かった。 DM作業もまだまだ終わりが見えない。早く郵便局に行きたいよ。くそー。 教室に入ると、しげ子の大声が聞こえてきた。 「だからあー、そこはもっと簡単に説明してもらえませんか?そんな長話を勉強できない子が聞けるわけないんですから!」 「いやあ、これでも簡単なように丁寧に説明しているつもりなんですが・・」 原先生もしげ子の迫力にタジタジ(死語)だ。 「いやいやいや、原先生、いいですか?理想的な1対2指導って、どんな指導かわかります?」 「え?出来るだけかみ砕く感じ・・かな?」 「・・アウトです。まずはおおざっぱに」 「おおざっぱ?それで・・いいんですか?」 「もーちろん!やってみますか?」 「お、お願いします」 しげ子の即席授業が始まった。今日は何をしでかすことやら。 「ここにイチゴがあります。ミカンもあります」 「はあ、イチゴとミカン」 「イチゴは8個、ミカンは9個です。じゃあ、ノートにそれぞれの絵を描きましょう!」 「え?絵を?わ、わかりました。描きます」 「じゃあ、私は隣の教室の松ちゃんのところに、いってきますから、帰ってくるまでに描いといて下さいね?」 「は、はい」
133 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 12:28:07.47 ID:Vdcx/TmD0
ど、どういうことだ?しげ子は何をしてるんだろ? などと考えていたら、教室のドアが開いて、しげ子が入ってきた。小声で話すしげ子。 「少しだけ手伝いますね。時給発生してるし」 「あ、ありがと。どう?原先生?」 「今、やってること、先生解ります?」 「いや、なんで絵なんか描かせてるんだよ」 「へへーん、タメちゃんからヒントを、もらいましたよ私」 「イチゴの絵に何かヒントがあるのか?」 「絵自体にヒントはないですよ。あるのは・・集中力かな」 「集中力・・確かにタメちゃんの集中力はすごかったな」 「でしょ?あれですよ!あれ!」 「いや、それと原先生とどんな関係があるんだよ?」 「ふふん、松ちゃんにも解らないかあ、ふっふーん。じゃあ・・ちょっと見てて下さいね」 そのとき、隣の教室から声がした。 「しげ子先生ー、出来ました!」 手を止めて立ち上がるしげ子。 「じゃあ、ちょっと行ってきます!」 ニコニコしながら出ていった。男二人を翻弄している状況を楽しんでいるようだ。ちっ、小悪魔め。
134 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 12:31:31.98 ID:Vdcx/TmD0
また少し離れます。間が空いている時間は、ネオチです。スミマセン。読んでる人いますかー?長い話ですが、当時の塾の状況を楽しんでくれたら、嬉しいです。 ファックス添削やってる塾って、今はないですよね?
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 13:24:48.22 ID:2qvejedZ0
命令違反。スレの私的占有。稚拙な恫喝。 これらは全て犯罪行為だ。 何か言いたいことはあるか?
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 13:25:19.75 ID:2qvejedZ0
うんこがもれそうです。
137 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 13:47:33.87 ID:Vdcx/TmD0
了解。残念だけど、決まりなら仕方ないね。
138 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 13:59:10.97 ID:Vdcx/TmD0
いずれ削除されると思います。仕方ないね。決まりなら。
139 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 14:10:23.20 ID:Vdcx/TmD0
犯罪行為?なら、警察が来るのか。覚悟するよ。 その前に、自分の罪名を教えてほしい。 ならば君のは脅迫行為になるし、何より表現の自由を侵害してるよ。 それでもやめろというなら、それなりの覚悟が必要だよね。お互いに。 自分は、あなた方のスレに立ち入らない代わりに、別スレを立てるよう、取り引きをした。自分はそれを忠実に守っている。 あなたもおとなしく守ったらと思うよ。自分がおとなしくしているうちにね。 それとも、また乱入してほしいのかな?自分は、今はその気はないけどね。 あなた以外の方々のご意見も聞いてみたいな。
140 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2012/10/19(金) 14:10:53.93 ID:Vdcx/TmD0
うんこはもらさないほうがいいかな。
へんなのにわざわざマジレスしなくてもいいよ
いや
>>136 ←
>>140 の話でなく、
>>135 ←
>>139 の事ね、そもそも。
>命令違反
め、命令ってどこの組織よ>犯罪
何の法律の何条に違反したのよ
それよりじじい先生、sage進行でいった方よくね?
掃除しないといけないから、もう少し待ってね
バッチリなってる
145 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 14:55:47.97 ID:2qvejedZ0
赤保留でも全然当たらん 自分が見た中では、ゼブラでも4回中2回当たり AKBフラッシュと超絶かわいい両方出て サプライズボタンでもはずれるとかどんだけだよ 今6連続単発なんだけどもう金がなくなりそうだ
146 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 14:56:38.35 ID:2qvejedZ0
スネ毛剃ってる男は気持ち悪いと思いますよ なんか男性のひげみたいにぶつぶつになっていて、それだったら剃らないほうが よっぽどいいと思います。 まずハーフパンツを履かなかったらいいと思いますけどね。剃る前に。
147 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 14:57:16.86 ID:2qvejedZ0
【格下げ】 ◆大和証券キャピタル・マーケッツ ・シャープ(東1:6753)―投資判断 3→4、目標株価 180→100円 【目標株価引き上げ】 ◆クレディ・スイス証券 ・ジェイアイエヌ(JQ:3046)―投資判断 OP継続、目標株価 2100→2700円 ◆ゴールドマン・サックス証券 ・グリー(東1:3632)―投資判断 中立継続、目標株価 1360→1400円 ◆みずほフィナンシャルグループ ・明光ネット(東1:4668)―投資判断 中立継続、目標株価 760→850円 【目標株価引き下げ】 ◆ゴールドマン・サックス証券 ・ミクシィ(東マ:2121)―投資判断 中立継続、目標株価 175000→170000円 ・サイバエージ(東マ:4751)―投資判断 中立継続、目標株価 190000→180000円 ◆クレディ・スイス証券 ・ファーストリテ(東1:9983)―投資判断 UP継続、目標株価 12900→11700円 ◆三菱UFJモルガン・スタンレー証券 ・旭ダイヤ(東1:6140)―投資判断 OP継続、目標株価 1081→923円 ◆ドイツ証券 ・丸紅(東1:8002)―投資判断 Buy継続、目標株価 700→650円 ・三菱商(東1:8058)―投資判断 Buy継続、目標株価 2000→1600円 ◆JPモルガン証券 ・ANA(東1:9202)―投資判断 Neutral継続、目標株価 260→190円 【新規】 ◆JPモルガン証券 ・日本航空(東1:9201)―投資判断 新規Over、目標株価 新規5000円
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 14:59:31.56 ID:2qvejedZ0
男も女も正義に命を捧げる兵士らしさだけあればいい。 全ての人間が軍に組み込まれ啓蒙されなければならない。 完全な管理国家だけが不毛な個人間の闘争を除去できるのだ。
あああ sage進行の必要に気づくのが遅かったみたいだ・・・
151 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/19(金) 15:08:24.30 ID:2qvejedZ0
鉄板に油を多めにしいて温めて、ネタとタコと天かすと紅ショウガとネギをふりかけ さらにその上にネタをしき、数分待ってからひっくり返し、丸くなり良い色がつくまで転がす。 それで最後に油をかけてカリッとしたら完成。
「あっ、出来てるじゃないですかあ」 「いえいえ、下手な絵ですが。お恥ずかしい」 「じゃあ、この絵を元にして、足し算と引き算の文章題を、それぞれ一つずつ作って、ノートに書いてみて下さいね!」 「は、はい。合計二つ作ればいいんですね?」 「はい。そうです!じゃあ、私はまた松ちゃん先生のところに戻りますから!」 ハハーン、なるほどなー。しげ子の作戦が読めてきたぞ。
しげ子がまた戻ってきた。 「どうですか?松ちゃん!」 「いや、なかなか見事だったよ」 「へっへーん!」 「だがしかし、今日は簡単に合格点はあげられないな」 「へ?どうしてですか?」 「今日は原先生が自分で気づかなくてはね。今の1対2個別指導の極意に・・」 「えーっ!私がタネアカシするつもりだったのに・・」 しげ子は自分自身で種明かしがしたくてたまらないように手足をジタバタした。 「気持ちは解るが・・いや、でもイチゴのイラストを描かせたのは、ナイスアイデアだったね」 「うふふ、タメちゃんのおかげです。でも、もしかして『描けません!』なんて言われたらどうしようかと思いましたけど・・」 「あとは・・原先生に期待だな」
「先生!出来ました!」 「はーい、原先生、ちょっと待っててねえ〜」 それからしげ子は小声でおれの方を向いて言った。 「じゃ、先生。また・・聞いてて下さいね」 「わかった。絶対答えを言うなよ」 「わかってますって」 再びしげ子は102教室へと戻っていった。 果たして、原先生が気づくかどうか。おれは少しドキドキしながら待った。
「原先生、どうです?今日の内容、解りましたか?」 「はい、一つは8たす9は17と、もう一つが9ひく8・・」 「んもう、ち、が、い、ま、す!今日の研修の中身ですよ!」 「は?あ、ああ。今日の研修のポイントが何であるか?ということですか?」 「そうです!1対2指導のコツのことです!」 「いえ、まだよくは・・」 (ガタッ!) 隣の教室で、イスから半分ずり落ちるしげ子が想像できた。 「あ、あのですねえ ??い、いいですか?まず、落ち着いて・・今日先生はまず、何をなさいましたか?」 「何をって、イチゴとミカンの絵を描きました」 「あってます。そのとき私はどうしていましたか?」 「どうして?いや、いらっしゃらなかったですね。こちらには。だから、『わからない』が答え・・かな・・違いますか?」 確かに。 「いや、あってますが、なんていうか、私っ!わざといなくなったんですよ!」 「わざと?」 「そこを想像してください。それが答えになります」 「うーん、わざと?うーん・・」
もうダメだ。アウトだ。おれは踏み込むつもりで、廊下に出た。特殊部隊の切り込み隊長よろしく、おれはドアのノブに手をかけ、呼吸を整えた。 と・・その時! 「あっ、解りました」 原先生の声が聞こえた。 「うわっ、解りましたか!?では解答をどーぞ!」 「はい・・」 おれとしげ子はゴクリと唾を飲んだ、と思う。たぶん。 「しげ子先生が出ていったのは、実は私に作業をさせたかったから?」 「そうです!」 「だったり、イチゴとミカンの絵を描かせたのは、それが、簡単な作業だったからですね?誰でも出来るような・・」 「そうです。描けないなんて言われたら、どうしようもありませんでした」 「なるほど、今ので完全に解りましたよ」
だったり→だったら
「では、解答をお願いします」 「はい。まず、しげ子先生が、出ていかれたのは、もう一人の生徒をみなくてはならない。今回は1対2個別ですから、私にずっとは張り付けない・・」 その通り。 「そのためには、まず導入として、一人目の生徒にはある作業に従事してもらわなくてはならない。そうすることで、二人目の生徒さんのところに行く時間を確保出来る。それがイチゴとミカンの絵を描かせた意味・・」 その通り。 「かつ、一人目の生徒が集中力をずっと保つためには、二人目の生徒にも、やはり同様の短い解説をし、さらに演習させる材料を渡したあと、すぐに一人目の生徒、つまり私のところに『戻ります!待ってね!』と、予告をすることも忘れない・・」 細かいな。 その通りッ。 「私は大人しく待っていましたが、先生が来るのが正直、待ち遠しかった。ほんの少しの間でも。つまり、私に先生を必要だと思わせることに成功しています。これは、1対1個別の時には味わえなかった感覚でした・・」 そこまで細かく・・ そっ、その通りッ!! 「さらに、一人目の演習できるものを再び手渡して指示し、またすぐ戻る。そして二人目の生徒にも、同様の演習できるものを渡す。この繰り返しが1対2個別の指導ポイントではないでしょうか?以上になります」 「は、はい・・私は、いいと思います。松ちゃん先生!これでどうでしょうかあ?」
夕飯の買い物に来ています。夜になります
おれはその声を聞くと、ドアを開けた。 「いや、素晴らしいと思いました。合格です」 「やったー!原先生、すごいよ!」 「いやあ・・ほっとしました。ありがとうございます」 「特に素晴らしかったのが、1対1指導にはない、複数指導のコツを理解してくださっていた点です」 しげ子も満足げにうなずいている。 「ありがとうございます」 「それから、しげ子先生」 しげ子は誉めてもらえるとおもって、ニコニコしている。 「はい!」 「昨日といい、今日といい、原先生に生徒役になってもらうという発想、おれはよかったと思う」 「はいっ、あ、ありがとうございます!」 「しかし、それでは足りないものがある」 しげ子はびっくりしたような真ん丸い目で、おれを見た。 「えっ?足りないもの?それは・・何ですか?」 「うん、それはね、原先生はあくまで先生であるということだ。つまり、君のやり方では、いつまでも原先生は先生役になれないだろ?」 ポカーンとしながら、しげ子は言った。 「あ・・忘れてました。そっか!」 「わ、忘れてたのか」 おれは、その場でずっこけるしかなかった。 「はい、私、1対1個別や1対2個別のシステムの違いを気づいてもらうのに必死で・・」 「そうだ、それは文句ない。1対1は、教えてもらうことが前提になるため、生徒側の意欲によるところが大きい指導。だから、生徒の意識が低いと失敗しやすい指導」 二人は神妙にうなずいた。 「1対2になると、他の生徒がいるために、先生の存在が大きくなり、先生を求めるようになる。これが1対1にない部分。これは、よく気づかれたと思います」 「私はそこまで考えなかったなあ」 しげ子は感心して腕組みをしている。ちょっと偉そうだ。 「また、1対2個別指導の、先生の指導ターンと生徒の演習ターンを交互に繰り返すことで、複数指導が可能になるというテクニック・・」 「そこまで理解できたら、十分だと思うけどなあ・・」 「いや、ところだが。それだけでもし、実戦投入したら、原先生はパニクってしまうだろうな 」 原先生は驚いたように、聞いてきた。 「実戦と理論上の指導テクニックには、何らかの差がある・・ということでしょうか?」
「それは、実際にやってみたらすぐわかります」 「はあ、そうなんですか・・」 「しげ子先生!」 「は、はい」 「ちょっとやってみないか?君とおれが生徒役になろう」 「え?私と先生が同級生役ですかあ?うふふ♪やだなあ」 「ふ・ざ・け・な・い」 「・・はあい」 「あの、いきなり二人に物理を教えるというのは・・」 「いえ、やるのはさっきの算数の問題でいきましょう。これは練習ですから」 「わ、わかりました」
「あ・・」 おれはふと、時計にチラッと目をやった。 「残念だが、今日はやめとこう。昼休みになってしまいそうだから」 「あーあ、もう11時20分かあ、仕方ないなあ・・原先生、こりゃ明日だね、明日試してみようよ?」 しげ子は原先生に対して、すっかりタメ口になってしまっている。後で厳重注意だなこりゃ。 「はい・・でもなんだか・・気になりますねえ・・本番に、今日気づいたこと以上に気をつけることがあるのかな・・」 「大丈夫!先生はカンペキでしたから!あっ、そうだ!自宅で練習してきたらいいじゃないですか!まだ時間はあるんだし!」 「は、はい。そうします・・予行演習してきます」 おれたち3人が廊下に出ると、トウコ先生とタメコ先生が、やはりそば耳を立てていた。 「お、終わりましたよっ!ファックス添削。そ、それで見てもらおうと・・ね、トウコ先輩?」 壁にへばりついていたタメコ先生が、慌てて言い訳に走る。トウコ先生は、なんだか心配そうな顔つきで、おれに聞いてきた。 「あの・・なんなんでしょうか?原先生が失敗するかも知れない理由って?」 「ん?明日だよ、全ては明日わかることだ」 「はい・・でも・・明日は、私出勤日ではないんですけど、見ててもいいですか?」 「ああ、いいけど?」 「あ、ありがとうございます!」 すると、タメコ先生がいきなり地団駄を踏み始めた。 「かあーッ!明日は、代返頼めないんだよなあ・・体育の再履修があるんですよ、私!くう〜、見たいッ!見たいです!明日も、原先生の研修授業ー!あー!」 タメコ先生は、この塾にすっかり馴染んでいた。この子は・・ひょっとすると、化けるかもな。 翌朝。午前10時。 教員室には、しげ子とおれと原先生、それにトウコ先生が集まって輪になってミーティングしている。 「では、早速今日の研修を始めます。102教室にしげ子先生が『生徒1・ランコ役』。103教室におれが『生徒2・タケシ役』で入ります。教材は昨日と同じ!」 「はい!」 二人同時に返事。気合いは十分だな。あとは、原先生次第だが・・。 〜102教室〜 「しげ子先生・・いや、ランコちゃん、お願いします」 「はい先生、よろしくお願いします」 「では、問題です。イチゴが8つ、ミカンが9つあります」 「はい」 「はじめにね、このイチゴとミカンの絵を描いてみようか」 「はい・・(ん・・何かおかしいな?)」
すみません、教育相談者からの電話対応(いじめ関係)をしています。今日はこの辺りで失礼します。
165 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/10/20(土) 01:57:11.42 ID:ccQur48e0
〜103教室〜 103教室には、おれ(タケシ)と、トウコ先生がスタンバイしていた。 「やあ、タケシ君、はじめまして。原と申します」 「こんちゃーす」 おれはタケシに、その時なりきっていた。 「タ、タケシ君?」 「あい」 「これ、描けるかな?イチゴが8個とミカンが9個あってね、イチゴとミカンの絵を描いて欲しいんだけど?」 「あーい」 「(ホッ)じゃあ、先生隣の教室に行ってくるから、出来ましたら呼んでください」 「先生!」
「な、なんだい?タケシ君?」 「イチゴの絵って、どんな風に描いたらいいんですかあ?」 その時、隣からランコちゃんの声がした。 「先生ー!出来ました!」 原先生が隣からの声に答える。 「今からすぐ行きまーす!」 おれはもう一度聞いた。 「先生、イチゴの絵の描き方がよくわかりません!」 原先生はちょっと躊躇していたが、やがて言った。 「あ、ああ。大丈夫。タケシ君なりに自由に描いたらいいよ。下手でもいいから」 「わかりましたあ!」 「じゃあ、出来たら呼んでください」 「あい!」 「先生ー!出来ましたけどー!まだですかあ?」 再び、ランコちゃんの呼ぶ声が聞こえてきた。原先生はかなり急いで教室から出ていった。バタン!と扉が勢いよく閉まった。
〜102教室〜 原先生が中に入ると、ランコちゃんは怒った顔をしていた、と思う。 「先生ー、遅い!」 「ごめんごめん、どうかな?描けたかな?」 「はい、描けましたー」 「おっ、いいですね。では、次に足し算と引き算の文章題を合計2つ作って下さい」 「はーい!(ん?やっぱり何かおかしい・・)」
「はい!・・・先生、私もう出来ちゃいました!」 「え?もう?」 「だって、簡単だったんだもの・・」 まあ、そりゃそうだ。小学校低学年の算数だからな。 「じゃあどれどれ?・・ん、二つともあってるね。じゃあ、次の問題に行こうか・・」 「はい・・」 「次の問題は、赤いおはじき6個と、青いおはじき8個があります」 「はい・・」 「そうだね・・・これも、絵を描いてみようかな?」 「わかりました。赤いおはじき6個と、青いおはじきを8個ですね?」 「はい、よろしくね」 「先生!」 その時、102教室のドアを開けて入って行ったのは、トウコ先生だった。
しばらく離れます。再開は夜になります
「原先生!しげ子先生!松ちゃん先生が!」 「なに?松ちゃん先生が、どうかしたの?」 「どうかされたんですか?」 トウコ先生が恐る恐る口を開く。 「はい・・それがその・・寝てしまって・・イチゴを1個描いたところで・・」 「ええーッ!」 ここから三人の緊急ミーティングが始まった。しげ子がまず、最初の口火を切った。 「これは、松ちゃん先生の作戦だわ、きっと」 「作戦?と言いますと?」 「松ちゃん先生はきっと寝てなんかいません」 「狸寝入りですか? 「はい、こうやって原先生に、ダメ出しを出しているだわ。でも、こういうことは、今までの研修ではあまり見かけなかったけど・・」 「ええ!?だ、ダメ出し・・ですか?」 原先生はガックリ肩を落としたようだ。 「そうだわ!トウコ先生。教室から松ちゃん・・いや、タケシ君のノート、急いで取ってきてくれない?」 「はい!」 原先生がしげ子に尋ねた。トウコ先生が 「タケシ君のノートに、何かヒントが?」 「私のカンに狂いがなければ、タケ・・いや松ちゃん先生は、ノートにヒントというか、メッセージを残しているはず・・今のダメ出しの・・」
トウコ先生が→なしにしてください。消し忘れました
しばらくして、トウコ先生が102教室に戻ってきた。 「も、持ってきました!」 「ありがと、どれどれ?・・・こ、これは・・」 「な、なんという・・上手い絵なんだ・・」 そこに描かれていたのは、完璧な写実主義で描かれた、セザンヌ先生も真っ青のイチゴの静物画だった。 しかも一個だけしか描かれていない・・ 「ど、どうも集中して何かなさっているとはおもったんですが・・」 「ハハーン、わかったわ。これで。今日の研修内容はこれね!」 「この、イチゴの静物画が?」 「そう。そしてここからの謎解きは、原先生一人にやっていただきます!」 「わ、私だけで?なぜですか?」 「いや、だってノートの端に・・」 そこには、こう走り書きしてあった。 ※ここから先は、原先生一人に謎解きしてもらって下さい。タケシより 「そ、そのまんまじゃないですか・・」 「ぐぬぬ〜、松ちゃんめ・・私達がミーティングしているのを知って書いたのね」 「私がさっき行ったときも、手だけVサインしてました・・」
「せ、宣戦布告ね。いいわ、だったらやってやろうじゃないの!」 原先生が慌てて制止するように言った。 「ダメですよ、しげ子先生。これは私一人への試験なんですから。私一人で解かなければ、それはズルになります」 「でもねえ・・ヒントがこのイチゴの静物画だけじゃねえ・・」 二人が腕組みをしていると、トウコ先生が何かひらめいたように発言した。 「ねえ、皆さん。これはどうかしら?松ちゃん先生は、謎解きは一人でやるようにと言ってるけど、私達に『何か聞いちゃいけないとは、言ってない』と思うの」 「そ、そうだわ。どんな名探偵や刑事だって、関係者に聞き込み調査をしないなんてことはない・・原先生?私達に質問して、情報を聞き出して下さい!!」 「私が・・探偵に?」 「そうです。先生が個別指導の謎を解くんです!!」
原先生は、少しの間黙っていたが、やがて静かに口を開いた。 「わかりました・・やらせて下さい」 「うしっ!どんどん聞いてきて、先生!」 「私も、見てきたこと、何でも話します!」 「ありがとうございます、皆さん。ではまず、しげ子先生。今からする質問に、率直に答えていただけますか?」 「い、いいわよ?」 「はい、では・・私の授業、正直どうでしたか?」 原先生は、ストレートに聞いてきた。 「ど、どうでしたか?って、普通の授業だったと思うけどなあ。シナリオ通りだったと思う」 「はい。私も、そのつもりでしたし、上手くいったとおもってました」 しげ子は下を見つめたまま、口を開けた。 「でもね、不思議だったの・・何かしら、違和感を覚えたのよ、原先生の授業に。私のやったときとは違う・・」 「先生のとは違う?」 「そう、ごめん。でもそれが何かは解らなかった」 「わかりました。ありがとうございます」 原先生が静かに目を閉じ、やがてもう一度聞いた。 「いや、しげ子先生、私が質問したのは、そんなことではありませんでした」 「な、何?」 「私の授業、楽しかったですか?」 「ええッ?先生の授業が?」 「はい。私、昨日と一昨日のしげ子先生の授業、実は楽しく過ごしたんですよ。ワクワクして。だから、私も真似事だけでもしたいと思って、やってみたつもりだったんですけど」 しげ子は、黙っていたが、しばらくして首を横に振りながら、口を開いた。 「ううん、どうってことない、普通の授業だった。ワクワクは、ごめん。しなかった」
原先生は、ため息をつきながら、しかし自信に満ちた明るい声で言った。 「やっぱり、そうでしたか・・でも、今ので一つわかりましたよ!」 「な、何がわかったの?」 原先生がゆっくりと、そして言葉を噛み締めるように、静かに答えた。 「はい。まず最初に、残念ですが、私の授業はつまらなかった。だからワクワクしなくて、しげ・・いやランコちゃんは違和感を感じ、タケシ君は寝てしまったんです。そしてその原因は・・」 「その原因は?」 ゴトッ。 二人が椅子から身を乗り出す様子が想像できた。 「・・まったくのシナリオ通りだったからです。二番煎じというか、ただの棒読みになっていた可能性があります。 いや、というか、間違いなくそうだったでしょうね。 昨日分析して、たどり着いたシステムに、私は忠実であろうとしただけでしたから。 だから・・私の授業には、人を惹き付ける魅力が、正直なかったと思います。それは『ただの模倣だったから』ではないでしょうか。・・いかがでしょう?」 しげ子がトウコ先生に指示を出す。 「先生、松ちゃんに聞いてきて」 「は、はい!」 しげ子がやってきた。おれは顔を机に伏せたまま、OKのサインを出した。 「あ、あってたみたいです」 「よし、次ね!松ちゃんが起きてくるまで、続けましょう!時間は?」 「まだ1時間ほどあります!」 「さあ、先生。次のポイントに移りましょう」 第一関門は突破した。 「は、はい。次は・・そうですね。では、今度はトウコ先生」 「はい!」 「先生はいかがでしたか?私とタケシ君の授業をご覧になっていて、何か感じたことは?」
>>171 ダメ出しを出しているだわ→ダメ出しをしているんだわ
ま、当時ダメ出しという言い回しはなかったんですけどね。少なくとも私は使ってませんでした。
ご覧になってる方、いますかー?
いますよー
>>178 ありがとうございます!長い話でごめんなさい。まだまだ原先生編、続けます!
トウコ先生は、考えていたが、やはり思い出したように口を開いた。 「原先生は、タケシ君に・・やりにくそうにしていました」 「え?」 「ごめんなさい。私はそう感じました。分析も多分、できるけど、それはルール違反になるからしません。見たままを答えました」 「わかりました」 原先生は、すぐ次の質問に移った。だいぶこの「探偵業」にも、慣れてきたようだった。 「それでは、もう一つ。これは、今のご発言で何となくわかってきたのですが・・」 なんだろう?何がわかったんだ? 「タケシ君から、イチゴの絵を描く時に質問がありましたよね?」 「は、はい」 「あの時、私は・・ 迷っていました」 「迷って?」 「はい。あの時、タケシ君はイチゴの絵をどうやって描けばいいか、しきりに聞いてきました」 「はい」 「私は簡単に考えていました。イチゴの絵を描くなんて、誰でも出来るじゃないか、と」 「はい」 「でも、それはそうではありませんでした」 二人とも、次の原先生の言葉を静かに待っているようだった。そして、このおれも。
「そのことに、実は・・私は気づいていました。この子は確かに態度は悪いけど、本当に『イチゴの描き方が解らないんじゃないか』って」 「・・・」 三人とも、黙ったままだった。 「ところが、そんなとき・・私はランコちゃんの『出来ました!』声を聞きました。私の言い付けを忠実に守ってくれる、健気に私を必要としてくれている、ランコちゃんの声を・・」 原先生の告白は続いた。そして、彼がしゃべらない少しの間には、重い沈黙がその場を支配していた。 「それで、私は・・聞き分けのよくないタケシ君を見捨て、聡明なランコちゃんと授業する方を、選んだのです。そして彼には『好きにすればいい』と・・」 「先生、やめてよ、そんな言い方・・」 原先生は、しげ子の制止も聞かず、尚も告白を続けた。 「ところが、そうではありませんでした」 「・・・」 「実際に見捨てられたのは、実は・・私の方だったのです」 「・・・先生、もういいよ」 「よくありません!私は、タケシ君にきっと、見透かされました!お前は、おれを見限った。勉強の得意な生徒の方へ行った!と。・・そうではなく、私は、あの時、あの瞬間・・タケシ君のそばにいてやり、一緒にイチゴの絵を・・描いてやるべきだったんです」 しげ子がたまらず、叫んだ。 「もういいよ!・・松ちゃん先生!こんな告白、私聞きたくないよ!こんなことを、い、言わせるために・・」 しげ子は最後の方は、言葉に詰まっていた。
その時、廊下に出ていたおれは、102教室に飛び込んだ。 「原先生、その通りです。今日の試験は合格です」 「合格?合格なもんですか!私は、先生の研修で気づいたのです。生徒は皆、一人ぼっちだと。孤独だと。だから、そばにいてやる必要がある。それなのに、私は生徒を一人ぼっちにしてしまった・・そう、タケシ君を」 おれは首を横に振った。 「よかったじゃないですか・・タケシ君など、元からどこにもいませんよ。これは、現実のお話ではありませんでした。だから・・まだ本当のチャンスは、いくらでもあります!現実のタケシ君たちを助ける本当のチャンスが!」 「チャンス?」 「そうです。これは、練習でした。今後どんな生徒が来ても、原先生が、実に公平に、生徒を助けることが出来るようにするためのね。そしてこれが、昨日の段階では、まだ先生に伝えられなかった部分だったのです」 しげ子が口を開いた。もう我慢ができないというふうに。 「原先生、ごめんなさい!私達、実は全部知っていたんです。これは、原先生を困らせるための、全部松ちゃんが考えたシナリオだったんです!」 「シナリオ?まさか・・?」
ちょっと休憩します。いやー、疲れました。この場面。
トウコ先生が、そこで口を挟んだ。 「本当なんです・・昨日の晩、松ちゃん先生から二人の自宅に電話があって・・そこで、松ちゃんが一番簡単なイチゴとミカンの絵を描く場面で、いきなり挫折してしまうこと、それから、原先生に絵の描き方をしつこく質問しまくること、さらに・・」 しげ子がさらに割って入った。それは、まるで贖罪をするかのようだった。 「わ、私が、そのタイミングで先生が現れるまでずっと、大声で先生を呼ぶ役をすることも・・全部・・先生に失敗させるための、ワナだったんです・・ごっ、ごめんなさい・・うう・・私・・」 泣きじゃくるしげ子に対し、原先生は、強く否定しながら言った。 「そんな、ワナだなんて・・あり得ませんよ。これは、松ちゃん先生が、心から私を育てるためにしてくださった『最高の試験』なんです。そして・・私はその試験に不合格だった。 ただ、それだけのことです。そんな声にも惑わされず、私はタケシ君を導かなくてはならなかった。だから!しげ子先生は、何も悪くない!私が上手く生徒を導けなかっただけなんです。安心して下さい」 それから、トウコ先生が静かに語り出した。 「今さら、こんなこと言うのもあれなんですけど・・もし、原先生がやりにくそうにはせず、もっと丁寧にタケシ君と接していれば、オブザーバーの私が、そこで合格の札を上げる手はずになっていました。その時点でパーフェクトだったからです」 原先生はうなずきながら聞いている。 「でも、そうはならず、次のシナリオに突入しました。 それが・・松ちゃん先生がイチゴの絵を大きく一つだけ描いて居眠りをし、原先生に対し、反抗的な態度を取るという、先ほどのシナリオだったんです。私が102教室に入るタイミングも、全て松ちゃん先生の指示通りでした」 原先生が、もう落ち着いたようにこう言った。 「そうだったんですね。いや〜、私は、あの写実主義的なイチゴの絵を見た瞬間、顔にパイをいきなり投げつけられたかのような、変な気分でしたよ。ははは。 なんて見当違いな方向へ、生徒を導いてしまったのか。自分でも、びっくりでしたね。 そして講師側の、ほんの少しの手抜きが、生徒さんの貴重な勉強時間を奪うことになってしまうという恐怖を感じました」 我々はその独白を黙って聞いていた。 「でも、あの上手過ぎる絵には・・本当に参りました。あれでハッと驚いて、目が覚めましたから。やられたと。正直、予想外でした」 おれは黙って聞いていた。 「でも、松ちゃん先生にあんな絵の才能があるなんて知りませんでしたよ。ひょっとして美大でも、目指されたことがあるんですか?」 「いや、あの絵を描いたのは、実はおれじゃないんですよ」 原先生は、あっけに取られたような顔を一瞬だけして、そして言った。 「ええっ?あ、まさか・・ひょっとして?まさか?え?」
そして、キョロキョロ辺りを見回しながら、誰かを探していた。 「タメちゃんが・・来ているんですか?」 原先生以外の三人は全員、プッと吹き出した。 昨日タメコ先生から「タメちゃん」と呼ぶように言われたことを忠実に守っている姿が、いかにも原先生らしくて、なんだか微笑ましかったので。 「いや、タメコ先生はいませんよ。このノートに描かれたイチゴの静物画は、どうしても自分も原先生の研修に協力したいと願い出た彼女に、昨日の晩、おれが製作依頼したものです。 再履修の科目をほうっておかれて、こっちに来られても・・困りますからね」 「そうかあ、そうだったんですね」 原先生は、イチゴの絵を手に取って見つめている。おれはさらに話を続けた。 「彼女に、今回のイチゴの絵を描かせるのは、ちょっと気が引けましたが・・わけを話すとタメコ先生はこう言って快諾してくれましたよ」 原先生は、興味深そうにおれに聞いてきた。 「それは・・どういう?」 「たとえ、原先生がこの絵を見ることになっても、先生はおれの思惑通り、何かに気づくんじゃないかってね。だから、この絵は原先生への、きっといいプレゼントになるんだと、一生懸命描いてくれました」 原先生の顔が、急にぱあっと明るくなったふうだった。そして最後にしみじみとこう言った。 「なるほど、それで全てわかりましたよ。私がこの絵に驚いたのは・・それは、彼女の真心に対してだったんですね」 おしまいです。ご覧になって下さった皆さん、ありがとうございました。この「原先生研修編」を僭越ながら、全国の若手塾講師の方々に捧げます。ふろの
中年ですが、ためになります。
>>186 ありがとうございました。中年の方々にも感じていただけるなら、それこそ本望です。
なんといいますか、現実の世界でも、生徒の指導について、若手の頃から共に考えて、胸が震えるほどにお互い感じながら、日々反省するような仲間が、私は欲しかった。 しかし、個人塾という立場では、そうはいきませんでした。塾長は孤独です。今回の書き込みでそういう仲間に出会えたらという気持ちでここにいます。
こんなにドラマチックではなかったし、謎解きの要素なんてなかったけれど、原先生は一番熱心に研修をした最高の先生でした。 それからなぜかエキスパートの道は選ばず、大変な教室長の仕事に就きました。望めばなれたはずなのに。その後ご病気になり、残念ながら退職されました。大変な仕事でしたから。しかし、一緒に闘った仲間でした。 しげ子が私の代わりに講師研修を面白がってやっていたのも事実です。そこから今回のアイデアが膨らんでいきました。 すぐ熱くなるのは、彼女のよい面でもあり、欠点でもありましたが、生徒指導に対しては一番実直な方でした。 イチゴのイラストと静物画で今回の話のキーマンになった、新人のタメコ先生は、イラストが本当にものすごく上手でした。 兄弟の数や生い立ちはフェイクを入れていますが、健気ないい子でした。友人としても当時よく飲みに行きました。一番先生に向いていたかな。 私の独立時にも手伝ってくれました。作中と違い、私が職場で女性講師に対し、女性を意識することはなかったです。それくらい大変な場所でした。 内定待ちだったトウコ先生はその後、大会社の秘書の内定をもらいました。卒業してからも一度遊びに来てくれましたが、優秀な方でした。 私の研修では、当時から生徒は公平に扱うよう、気の回し方に特に気を付けてもらいたいと訴えていました。 優秀な生徒は、一人ぼっちの出来ない生徒のために、少しの間くらい待てばいいのです。 出来る生徒は手をかけず先に進ませ、出来ない生徒のケアに回る。集団が強くなるには、そうしたほころびをなくすことが一番なんです。 もちろん、ここで多くの方々が書き連ねているように、最初からそういう生徒を寄せなければいいだけの話かもしれません。 しかし、塾の先生が、底辺の生徒を育てないで、一体誰が育てるのか?その問題はそれでは解決されません。 確かに、出来ないと評判の生徒を抱えると、それだけでその地域では噂が立ちます。 しかし、私は独立してから、縁があって、やってきた生徒を無下にして、儲けたいと思ったことは一度もありませんでした。 この時期の教室長という大変だけど、ある意味気楽な?立場と、そこで味わったいろんな経験が、今の私の在り方に大きく影響したと考えています。 こうしたことは、今から振り返ってみると、上司ら大人よりも、私は学生講師からの方が、多くのことを学ばせてもらった気がします。 しげ子の涙や、トウコ先生やタメコ先生の心の温かさに触れたことの方が、私には優秀な上司のアドバイスよりも価値がありました。 当時、こんなにドラマチックなことはなかったけれど、若者であった我々は、大人が出来なくなった問題に真剣に取り組み、子どもたちの目線で、教育を語り合ったものです。 こんな子が来たけど、どうしたらいいか、どちらを優先したらいいか、など、よく相談相手になりました。 しげ子とはよく意見が対立しましたね。私はこうみたい!でも、社の方針や月謝の問題でそんなことは出来ない、いや、それでもやるべきだと。 そうした、今はもう消えてしまった、若い講師達の声にならない声が、今回は聞こえてきたような、そんな気がするお話でした。
授業も一段落つきました。今後の予定について。 今度は1対4個別の様子を、今度はしげ子を主人公にして描こうかなと考えています。 楽しみにしてくださっている方、今しばらくお待ちください。 書いていて、講師研修用のテキストみたいなのを作ろうかなと考えています。
【しげ子の特訓】 世の中には、何事も適当に済ませようとするタイプの人間と、何事もとことんまで追求してやろうという人間がいる。 今回のしげ子の特訓の様子を見ると、その分類が難しくなるのではないかと、ひょっとしたら思われる方もいるかもしれない。いないか。 つ、つまり言いたいのはだ。徹底的に教え込む1対2個別に対して、 1対4や、それ以上の人数の個別指導とは、そうした「手抜きの要素」を含んだ、とても微妙な立ち位置にある個別指導スタイルと言わざるを得ないということだ。 しかしながら、こうした少人数型の個別指導を体感した、他塾からの移籍組ベテランは、次のような名言を残している。 「少人数型の個別指導は、講師のマネージメント能力が試される指導だ」と。 つまり、「適当に」と「とことんまで」という相反するベクトルの仕事を、同時にやりこなせる人間にならないといけない、ということらしい。 まあ、難しく考える前に、わがブラック塾が誇る熱血学生講師、しげ子先生のある1週間の特訓の様子をご覧に入れるとしよう。 「いやだいやだいやだ!」 「まあまあ、しげ子君・・」 しげ子が手足をバタバタさせて、いつもの地団駄を踏んでいる。 「できませんようっ、こんなの、もう!この塾の社長、ほんっと、アタマおかしいんじゃないですか?」 当たってる。 「まあまあまあまあ、しげ子君!その〜今回の新システムをこなせるくらいの優れた人材が、君の部下にいないかって、営業部長に頼まれて、僕には君しか思い浮かばなかったんだよ〜」 「まあ!そんなあ、私が?ウフッ♪・・って、なるわけないでしょーがっ!」 しげ子にこの手の腹芸は通用しなかった。
「それって、来週のこの時間帯出勤のバイトが『私だけ』って話じゃないですか!」 「なんでッ、大変な思いをしてまで、一度に生徒を4人も見なくちゃなんないんですか?しかも?本社の役員や教室長がいる前で実演て・・」 「た、頼むよ!そこをなんとかっ!」 「あのですねー、さっきから言ってるように、私は生徒2人だけで、精・一・杯・で・す・か・ら!それに・・時給も変わんないわけですよねえ?塾の方は売上だけ上げて?あほくさ・・」 使われる立場の人間の見事な正論だった。 「そ、そこを、な、なんとか・・」 「松ちゃん、私・・今まで松ちゃんを、同じ仲間だと思ってやって来たけど、所詮は会社側の人間ですね!・・私、嫌いになりそうですよ、先生のこと!」 「き、嫌ってくれていいよ」 当時「社畜」という言葉はなかった。 ・・とまあ、こんな感じでその日、しげ子とおれはいつもの教員室で押し問答をしていた。 このままでは、おれは明日の本社会議で、先週正式決定したばかりの社運を賭けた新システム「スパイラル個別」を動かせない、無能な研修係の烙印を押されてしまうだろう。 それはつまり、会議中にお茶を運んできてくれる本社ナンバーワン受付嬢なっちゃん(仲里依紗似)の目の前で、おれが無能野郎になることを意味していた。それだけは避けたい。しげ子が次の質問攻勢に出た。 「だいたい、だったらなんで松ちゃんがしないのよ?」 やっぱりそうきたか。 「おれは、ほら、一応教室長だしさ。こういうのはね、バイト講師なら誰でも出来るというのを実演して見せないと、意味がないから・・」 「うーん・・納得行かん」 「えーとさあ、じゃあこうしようか。やっぱり条件が変わらないのはおかしいから、営業部長に時給アップは明日打診しておく」 「どうせ50円アップとかでしょ?」 鋭い。 「だったら、い、1週間後のそのプレゼンのあと、晩飯に、や、焼肉をおごる!」 しげ子の眉毛がピクッと動いた。 「・・本当に?・・焼肉?」 「あ、ああ、仕方・・なかろう」 おれは、最後の切り札をとうとう出してしまった気がした。 しげ子は日頃から暇さえあれば「くう〜焼肉行きてー」とか叫んでいる、そんな、どこにでもいる女だった。いないか。
>>192 一行目と二行目の間に台詞
「うっ!」
を入れ忘れました。
〜研修初日(水曜日)〜 「しげ子先生、よろしくお願いいたします!」 「・・・うん、よろしく」 ダメだ。全然意欲的でない。 「あのさあ」 「・・・」 「昨日の本社会議、上手くいったよ。ありがとう」 しげ子は窓の外を眺めている。 「・・いいよもう。今日はちゃんとやるから。もう、早くやろ・・」 「しげ子先生のおかげだと、営業部長も感謝してた」 「ふうん・・そうなの」 「それがな、まだあるんだ。話の続きが」 「・・・」 「タイゾウ先生がお前の実演、楽しみにしてたぞ・・」 「・・タイゾウ先生?」 しげ子がピクッと反応した。 「それにタイゾウ先生、おまえがいかに美少女か、会議でみんなに宣伝してたぞ?」 「先生、早く新システム『スパイラル個別』完成させましょう!タイゾウ先生のために!」 最後のは嘘だった。 しかし、藤森先生の一件以来、タイゾウ先生効果は絶大だった。よし、これでスイッチが入ったな。 (ドサッ!) 「これ、なんだかわかるかな?」 「何って、それ全部、ウチの中学生のテキストじゃないですか」 「そう、5教科全部持ってきた。今からこれを、スパイラル個別で、そのうち4教科を、4人の生徒に教えてもらう」 「へ?・・ええーッ?」 「では生徒さん達、どうぞーッ!」
「こんにちはー!しげ子先生ー!元気出していきましょー!」 「今日から6日間よろしくね、しげ子先生」 「ご無沙汰しています。私なんかで、よろしかったでしょうか?生徒役なんて・・」 入ってきたのは、タメちゃん、トウコ先生、そして今日だけ特別ゲストの原先生だった。 「あ、みんな・・今日は仕事終わりじゃないの?それに原先生は、今はもう教室長では?」 おれは簡単に経緯を説明した。 「昨日電話したら、みんなしげ子に協力したいってさ。最初はおれ一人で4役しようとしてたんだけど」 次に、タメちゃんのマシンガントークが始まった。 「しげ子先生の人柄の勝利です!いつもファックス添削でお世話になってるから、たまにはっ!私たちも協力できたらなーと思いましてー! あ、原先生は今日だけ。前回の研修でお世話になったからって、特別に教室を離れる許可をもらったんだよ!ね?先生!」 「そ、そうなんです。バイトの先生に任せてきました」 タメちゃんがほとんど説明したので、原先生の説明は短くて済んだ。 「がんばろ?私たちがついてる」 トウコ先生が畳み掛けるように小さくガッツポーズした。しげ子はもうウルウルしている。 「わっ、私、がんばるよ!もう・・やるしかないって、今ようやく観念した!本当は、私なんかで大丈夫かなって、不安で不安で・・ううっ、ぐすっぐすっ」 「泣かない泣かない!」 タメちゃんがハンカチを差し出した。おれは開会宣言よろしく言った。 「面子がそろったところで・・それでは!『スパイラル個別』の基本システムを発表します!」
しばらく休憩してきます。日曜の深夜だし、読んでる人いるかなー。
いますよー
それから、おれは会議で承認されたスパイラル個別の概要を読み上げた。 「スパイラル個別は1対4個別(1回2時間3500円・中3の場合)と1対8(1回2時間2500円・中3の場合)の二種類とする。従来の1対2個別(1回2時間4500円・中3の場合)に、料金面で参加出来ない家庭向けに提供する。尚、講師の研修担当者は松ちゃん先生とする」 しげ子が聞いた。 「これだけ?」 おれが答えた。 「これだけ」 みんな目が点になっていた。そして同時に叫んだ。 「ええーッ?」 トウコ「これって、でも、お金のことだけじゃないですか?」 しげ子「システムって、教える方のシステムじゃないの?だったら私、今日何すりゃいいのよ?」 原先生「月謝だとお一人おいくらになりますかね?」 しげ子「えーと、中3で1対2だと月謝18000円のところが、1対4なら14000円、1対8だと・・わ、10000円で済むの?生徒のご家族にしてみればお買い得だわね」 松ちゃん「いや、塾側の先生一人1コマあたりの売上で比較してみてくれないか?そちらに今回のスパイラル個別の本当の意図が隠されているから」 タメコ「電卓持ってきたー!えーと、1対2が36000円、1対4が56000円、1対8が・・は、80000円・・うわっ!なにこれ・・多い・・よね」 原先生「これが、スパイラル個別に移行したがっている理由なんですね。1対8の売上がすごいことになってませんか?」 松ちゃん「先生一人あたりの収益で考えたらね」 トウコ「じゃあ肝心の教え方は?」 松ちゃん「特に変えないつもりでいたらしい。とにかくグルグル回って教えろと、スパイラルの名前はそこから来てるんだな。それに、質が落ちても多少はしょうがないとのことだった。理由は、安いんだから・・だそうだ」 しげ子「いや、それだけでは肝心の教わる側の成績が全然上がらないよ!松ちゃん、私、どうやって教えればいいの?」 松ちゃん「だから、それを考えるために、今日はこうして集まってもらったんだ。人数が多くても、成績が伸びる個別指導をみんなで考えるためにさ」 沈黙が流れた。しげ子が言った。 「そんなの無理に決まってる!松ちゃん、なんでこんな無茶な仕事引き受けてきたのよ?アタマついてるの?」
>>197 ありがとうございまーす!ずっと書いてましたー!まだ書きまーす!
以前FC個別指導塾にアルバイト講師として働いていましたが 塾側は親に1対1よりは1対2、1対3を薦めるんですよね 料金安く済みますからーって でも親側からすると複数のほうが費用対効果は悪いんですよね にもかかわらず講師の負担が大きくなるので それに疑問を感じてその塾でのバイトを辞めてしまいました 読んでますがんばってください
>>200 すみません、書くと言いつつネオチしてしまいました。
そうですか、いや、退職理由が鋭いですね。きっと良心的な先生でいらっしゃったんだと思います。
1対3をスタンダードにした方は天才だと思いますよ。悪い意味で。利益率がハンパないですからね。鵜飼いですよ、彼らの感覚は。
「仕方ないだろ?社命なんだから」 おれは、この料金システムの致命的欠陥について、正直なところ、まだよく解っていなかった。 人件費を抑え、代わりに利益率が良いのは、会社側からすれば良いこと。そんなふうにしか考えられなかった。 今から思うと、若手社員の、それが限界というものだった。そう、鉄砲玉のような存在だ。しげ子が諦めたような表情のまま言った。 「もういい。せっかくみんな集まってくれてるんだし。だけど松ちゃん、責任取って。まずは松ちゃんがお手本見せてよ。でないと私、どうしていいか本当にわかんないから」 「あ、ああ。じゃあまず、おれがやってみるよ。じゃあみんな、適当なテキストを取って席についてもらえますか?」 タメちゃんは英語、しげ子は数学、トウコは国語、原先生は理科をそれぞれチョイスした。
おれはちょっとしてから、ある何かに気づき、慌てて訂正した。 「いや、ちょっと待ってください。それだと練習になりません。今のは無しにしましょう」 「え?それ、どういうこと?」 しげ子が当然のような質問をしてきた。おれはすかさず言った。 「今、みんなが手に取ったテキストは、恐らくそれぞれが得意としている科目のものだと思う」 「それが、どうかしたの?別にいいじゃない」 「いや、それだとダメだ。みんな、隣り合わせの人とテキストを交換してみてくれないか?」
「あ、私ー、す、数学だけはダメなんです!!ちょっと誰かまた交換してくれませんか?」 タメちゃんが悲鳴のような声を上げた。 「私、国語ですか?わ、わかりました。普段はバイト講師の仕事ですけど、やってみます」 今や教室長の原先生も、理系だけに国語はしんどいみたいだな。 トウコは理科、しげ子は英語になったが、二人ともあまり得意な感じではないような顔つきだ。これでいい。 「そうか、なるほどね。みんな得意な科目なら、スムーズに行き過ぎて、質問なんて出ないままスラスラ解き切っちゃうもんね」 「いや、本当はみんなプロなんだから、どんな科目でもスラスラ解けなくちゃいけないんだけどな」 ウチの塾での学生講師の採用基準点は、 ・中学5科目が教えられること。 ・中学受験や大学受験は、1科目以上教えられること。 だった。これがネックとなり、タメちゃんとトウコはまだファックス専門だった。 「じゃあ、まずは前回のイチゴを思い出しながら、例題からスタートしてみよう。国語は漢字と重要語句の学習から」 1対2の個別指導でも、まずは講師の時間確保がセオリーだ。それは1対4になっても変わらない。 しかしそこから、各人の解説をどうしていくか?それが今回の重要なポイントだった。 実は、この1対4個別については、従来からメニュー表にはあるにはあった。ただし、それは少人数でホワイトボードを背にし、同一科目を半ば一斉に指導していくというスタイルだった。 ちなみに1対8も同様だった。ついでに少人数一斉とは、最大20人が定員だった。どこが少人数なんだかよくわからなかったが。 ところが、今回のスパイラル個別は違う。各人バラバラの科目を、学生講師が一人一人回って教えることを求められていた。まさに社運を賭けた新システムだった。 会社側は、これを新人研修で実現させようと考えていた。しかし、これには会議でも反対意見が続出した。 これは社会人なら、ひょっとしたら何とかなるかもしれないが、学生講師には出来ないのではないか?という疑問だ。 しかし、生徒募集や講師募集、及び研修担当責任者の営業部長(塾によっては教務部長兼務の立場だろうか)が、この不安を払拭するかのように、こう発言したのだった。 「この新システムには、各教室長の研修を義務付け、これに合格した学生講師だけが実施出来るものとする。学生講師には特別手当として、1時間当たり100円の給与増とする。 尚、来週の会議では、松ちゃん先生の研修した学生講師による模擬授業を実演する。これを参考にして、今後は各自の教室でも研修を行ってほしい」と。 これにはおれも驚いた。果たしてそんなことが出来るのか。しかし、これによって反対意見も静まり(恐らく教室長としての面子の問題だろう)、来週のプレゼン、つまりしげ子の実演を見てからの最終決定となったのである。 給与増については、しげ子の一言が取り入れられた格好だった。50円でなくてよかったな、しげ子。
「よし、では出来た生徒から、手を挙げて先生を呼ぶこと。質問もオーケーだ」 普通、ここで生徒から質問なんて来ない。 もし、質問するとしたら、やる気満々の生徒か、もしくは、お調子者かのどちらかだろう。 また、普段は質問する生徒でも、体調や気分によって質問しない場合がある。 だから、個別指導の講師に求められるのは、どんな場合でも「気配り」なのだ。つまり、丁寧な見張り役なのだ。 今、目の前の生徒が何をしているのか?これをしっかりと把握できていれば、例え1対4でもなんとかなる。 前回の原先生が、自分にイチゴの絵を描かせるときに、なかなか戻らないで自分に隙を与えてしまった。あれはよくない例だ。 まあ、あれは教室をまたいで実施という、作戦内容に基づくものだったけれど。 今回は同じ教室に4人同時に指導する。今みたいな仕切り板はない。いわゆるオープンスペースだ。 トウコ先生から、声が上がった。 「先生、できました!」 「どれどれ?お、浮力の問題か」 「はい、例題の解説を見ていたらわかりました」 「そうそう、物体が浮いているときの浮力は、物体の重さのことだからね。なるほど、君はやり方さえアタマに入ればどんどん出来るみたいだね?」 「ハイ!」 「0.6N・・よし、あってるな。やるじゃない!さすがはトウコさんだ」(筆者注・問題はすべて現在のものを使っています) おれが大きなマルをつけると、トウコ先生はニッコリ微笑んだ。満足そうだ。 おれはその表情を見届けると「じゃあ、この問題も解いてみよう」と次の問題文を一通り読み上げ、きっかけを与えてやる。 あとは、生徒に任せる。一問一問読み上げる必要はもちろんない。少しの「気配り」さえあればいい。 こうして「出来る生徒」については、どんどん問題を解かせて、その子なりのペースを作る。問題数をただこなすだけでも、生徒の経験値を上げてやることだから、それは成績向上につながるし、十分意味があるのだ。 下手に解説なんてしなくてもいい。誉めてやり、先に進ませるのだ。 もし、グダグダと解説すれば余計なお節介になるし、逆にペースを落とすことになる。 ただ、出来すぎる場合は「塾なんて不要」となるから、このトウコ先生のような生徒には、多少難しめのテキストを別に準備する必要があるかもしれない。 問題を読み上げる途中で、しげ子と原先生から手が挙がったが「ちょっと待っててね、しげ子さん、原君の順番に回るからね」と予告する。 すると生徒は安心し、大人しく待っててくれる。長くなるようだと、次の課題を先に与え、暇をもて余すのを避ける。おれは原先生に向かって言った。 「原くんは、次のページの『徒然草』の口語訳を先に見ておくと、あとで問題が解きやすくなっていいぞ!ちょっとやっといてくれるかな?」 「はい!わかりました!」
さて、次はしげ子の番なんだが・・おや? 始まって5分経つが、タメちゃんのノートはまだ白紙のままだった。これはまずい。 「しげ子さん、ちょっと待っててね。タメちゃんがピンチみたいだから」 「はい、大丈夫です」 しげ子に断りを入れて、タメちゃんの横に座る。 「タメちゃんどう?難しかった?」 「うん、先生、私ー、本当に数学が苦手で、ごめんなさいッ!全然できなくて・・」 「いやいや、謝ることないよ。一次関数の問題だね」 「はい、全部忘れちゃってて・・」 「心配ないよ。まずさ、このy=2xのグラフあるでしょ?」 「はい」 「これ、イミわかんなくていいからさ、ちょっと写してもらってていい?その間に回ってくるから、出来たら待っててね」 「ハイ!わかりました!」 タメちゃんがおしゃべりで助かった。こういう生徒は、対話をしっかりしないといけない。でないと本当に「ほったらかしの状態」になってしまう。 ずーっと出来ないし、ずーっと黙ったままだと、ただ机についたまま2時間を無為に過ごすことにもなりかねないのだ。気配りは本当に大切だ。 「しげ子、お待たせ。どうよ?英語」 「ま、わかるけど、英語得意なわけじゃないからさ、例えばこの I go to school by bike every day. の to school の位置がね、どこに入れたらいいか、いつもナゾなんだけど。指導するときもさ、なんでby bike や every day が先じゃダメなのかなって・・」 「ひょっとして、雰囲気で覚えてる感じかな?語順を」 「・・そうかも知れない。生徒にも教科書丸暗記させてるしね」 「わかった。実は副詞の語順には決まりがあってね。『バー譲二』で覚えてごらん?」 「なにそれ?『バー譲二』?」 「そうそう、山本譲二経営のバーな。島木譲二でもいいぞ」 「は?島木?誰それ?」 「まあいいや。つまりね、副詞は『場所・状態・時』の語順が基本なんだよ。その頭文字を取って『バー(場)・ジョウ(状)・ジ(時)』なわけ」 「あ、本当そうなの?やってみる・・えーと、わ、本当だ!すごい!なにこれ?」 「これで解いてみて。またなんかあったら来るわ」 「ありがと、先生!」 よし、いっちょあがり。次は原先生の国語だな。 おれは、トウコ先生とタメちゃんのノートをちらっと見てから、特に問題がないことを確かめると、原先生の机の横に座った。
島木譲二なつかしすぎワロタ うちは大受メインだが、いつだったか今の高校生に 大阪名物パチパチパーンチ!ってやっても全く通じなくて寂しかった (そりゃ当たり前)
「待たせてしまったかな?」 「いえ、大丈夫です。先生のアドバイスで、結構『徒然草』解るような気がしてきましたよ」 「本当?それはよかった。古文は先に口語訳を読むのが鉄則なんだよ。まずは現代語で実感してみること、これが大切なんだ」 「なるほど、勉強になります」 「さて、じゃあノート見せてね。まずは、おっ?漢字と語句の問題だね。・・・ええと、これは『得失=とくしつ』と読みますね」 「あ、それでよかったんですか。普通に『とくしつ』でよかったんですね」 「ああ、難しく考えすぎたかな?じゃ、申し訳ないけど、これがバツ。こちらは意味の問題だね。『なほざり=おろそかにすること』・・お、これはマルだ!えーと・・うん、あとは大丈夫みたいだね。一問ミスだけだ、やるじゃん!」 「よかった。ほっとしました」 「うん、じゃあ、今度はさ、さっき読んでもらった徒然草の口語訳を参考にして、問題やってみようかな?」 「はい!やってみます」 こんな感じで2周回ったところで、無事終了とした。 「じゃあ、これでおれの模擬授業は終わり。しげ子、どうだった?」 「いや、松ちゃん先生やっぱ凄いよ!みんなに声かけまくっててさ!先生の言う『気配り』が大事だってこと、ほんとよくわかった!」 「それはよかった。参考になったならさ。場を持たせるには『声かけ』は大事だよ」 「私、今になってようやく一次関数が解ったような気がします!」 「いや、まだy=2xだけだけどね。でも苦手意識が消えたみたいでよかった」 「途中で先に予習出来る題材を、さりげなく渡すところなんか、さすがプロだなあと思いましたね。やってても不快ではありませんでしたし」 「生徒は、意味があると思ったら、どんな演習課題でもやってくれますよ」 「私、学校とか塾の先生の目の前で、こんなに集中して勉強したの生まれて初めてかも。例題だけ渡されて、少し声かけしてもらっただけなのに・・」 「出来るなと思ったら、どんどん先にさせるのも方法の一つだってこと。もちろん、詰まったら指導するところだったけど、その必要はなかった。 先生が邪魔をしてはいけないからね。あとは、みんなでリラックスして勉強出来たし、仲間がいるというのもよかったのかも」 こんな感じで生徒は全員、満足したみたいだった。 さあ、次はしげ子の番だ!
>>207 そこ反応?いや、ありがとうございます。譲二で次候補出したら「譲二」だったんで。拝借しました。島木譲二さん、最近見かけませんね。
ふろのです。今から授業(リアル)やってきます。松ちゃん先生に負けないように(笑)
結果から言うと、その日のしげ子の模擬授業は散々だった。 原先生の授業では、先生から口語訳のミスを指摘されるし、 トウコの理科の授業では、浮力自体を理解できていなかったし、 おれの英語の授業では、文法自体は問題なかったが、bikeを最後までオートバイだと勘違いしていた。 一番ましだったのは数学で、一次関数をy=2x+4をタメちゃんに理解させることに成功した。 しげ子「つ、疲れた割には実りが少なかったかも・・ごめん、せっかくみんな集まってくれたのに・・」 松ちゃん「うーん、しげ子の場合、教科研究が根本的に足りんな。どうせ授業直前の予習だけでなんとかしてきたんだろうな」 しげ子「ギクッ」 原先生「しげ子先生に、いきなり4教科はしんどかったのでは?私も最初は何週間か教材研究の時間が必要でしたし・・」 しげ子「うう・・時間がないかも・・」 トウコ「でも、ちゃんとみんなを回って教えることは出来てたと思うよ。そりゃ、解説はボロボロだったけど」 しげ子「ボロボロ・・うう」 タメちゃん「あれ?こんなの演劇と一緒じゃない?たった1日、演じ切ればいいと思うけどな〜ダメかな?」 松ちゃん「タメちゃん!それじゃ、意味合いが変わってくるよ。システムとして、学生講師みんなが使えないといけないわけだからさ」 原先生「ちょっと待って下さい先生。学生講師の皆さんにとっては、その日その日が『公演日』みたいなものと考えたらどうですか?」 おれはその原先生の一言で腑に落ちた。そしてこう言った。 「あ、そう割り切ればいいのか!毎回。どの学生講師も毎回その日行われる授業を『公演日』だと考えて、ただその日のために演じ切ればいいんだ!」 原先生がその後を続けた。 「そうですよ!私もそうでした。何回も同じことを別の生徒に教える度に、授業は上手くなってきました。 ですから、今日の内容と同じ内容を、明日も明後日も やれば6日後のプレゼンには間に合います!」 おれはさらにひらめいた。 「いやー、おれもわかりましたよ!先生。つまりこの練習みたいなことを学生講師が今回のように6日間、毎日『予習』としてやり込んでくれたら、一週間後の授業に間に合うわけで・・」 「ちょっと待った!」 その時、「ちょっと待ったコール」をかけてきたのは、しげ子だった。 「ごめんなさい!・・じゃなかった、いや、それだと学生講師が『一週間丸々授業の予習にかかりきり』になりらない? 人数の少ない1対2ならともかく・・そんなの理論上は出来ても、実現は不可能だと思うけど?それとも、お二人は学業を学生におろそかにさせてまで、それを要求しますか?」 トウコがそれに続いた。 「そ、そうよね。考えてみたら、4人別々の教科を例えば週3日行った場合、12種類分の予習をしなくてはいけなくなりませんか? 今までなら、半分の6種類で済んでいたものが。これはこれまでの倍の負担を講師に課することになりますよ?そんなの、みんな辞めていきます!」 正論だった。まさに「使う側の論理」だったことを、おれも原先生も思い知らされ、それからすぐ反省した。 「すまん、しげ子。ちょっと現実的でなかったかもしれない」 「ううん、会社が考えることもわかるのよ。だけど、今の予習だってギリギリなんだからさあ・・」 「そうだよなあ。それが学生の本音だよなあ」 タメちゃんが思わずこぼすように言った。 「でも・・しげ子先生、私に教えてくれた数学はカンペキだったじゃないですかあ?どうですかね?ほら、学生は社会人の先生みたく、経験もないんだし、いっそのこと1教科だけに絞って教えればいーんじゃないかなーって?」 トウコが後に続いた。 「私もその意見に賛成です。各教室に各教科担当のエキスパート学生講師がいて、スパイラル個別には、その教科を勉強したい生徒が、それを得意とする学生のところに集えばいいんじゃないでしょうか?」 一見、トウコの意見は正論のように見える。しかし・・
なりらない?→ならない?
おれは言った。 「いや、ダメだ。そんなに沢山の学生は確保出来ない。それだと、1教室に最低でも5人はエキスパートが必要なわけだろ?学生はほら、辞めていくサイクルが短いじゃないか? もし一人欠員が出来たら、それを埋めるのにどれだけ大変になるか、考えてごらんよ。ほら、しげ子、こないだの藤森先生の件でそれはわかっただろ?」 「そうだったよね。あの時は、タイゾウ先生が来てくれたから、なんとかなったけど・・」 なんだかとりとめのない話になってきたのと、授業時間が近づいてきたので、その日の研修は終わりになった。 原先生が最後に、しげ子に頑張れとエールを送って去っていった。
〜研修2日目(木曜日)〜 予習の負担増という問題点を解決出来ないまま、おれたち3人は研修2日目に突入した。今日の特別ゲストは、なんとタイゾウ先生だった。昨晩おれが泣きついた結果、営業部長が取り計らってくれたのだった。 どんより曇った表情の我々を見てから、タイゾウ先生はしげ子に言った。 「しげ子先生、私の話を聞いてくれるかな?」 「はい!なんでしょうか?」 「これは、私個人としての意見なんだけれども、昨日の松ちゃん先生からの報告を受けて考えたんだが、私はこのスパイラル個別というシステムは、確かに講師のスキルを問うような過酷なシステムだと思うよ」 しげ子は黙って聞いていた。
「このシステムの問題点を、君たちは学生の、予習負担増と結論付けたわけだが・・ぼくは申し訳なないが、松ちゃん先生らしくないと思う」 タイゾウ先生は、そう言うと同時に、今度はおれの方を向いた。 「え?おれらしくない?どういうことですか?」 「誰よりもハードワークなはずの君が、しげ子先生に『大変だからあきらめよう』なんて言うのが、ぼくは信じられないんだ」 「し、しかし彼らは学生ですし、学業に負担がかかるようではいけないと・・」 「いや、だから今日ぼくは来たんだ。今のこの、まさにスパイラルな状態には、何か『抜け道』があるはずだと考えてね」 「抜け道、ですか?」 「ああ、模擬授業はもちろん、今のままでも成功するだろう。それに、昨日はミスを連発したと聞いたが、少しの間違いくらいはなんとかなるだろう」 なんだ?タイゾウ先生は何を考えているんだ?
しかし、今回のことで噴出したとはいえ、アルバイト講師の予習時間の問題というのは、この業界の抱える永遠の課題のように思えた。 きっと世の中の塾の先生の中には、授業の予習を授業以外の場で負担するのは、塾講師としての務めだとして当然視する人が大勢いると思う。 そして、生徒の人数が増えれば、予習もまたそれに応じて負担すればいいだけのことと、あっさり言ってのけてしまう人も。それでお金をもらっているのだからと。 けれども、それは熟練した我々だから言えることなのではないのか? 学業を生活の中の主体とする学生に、プロのレベルまで要求するのはおかしいと、おれと原先生は昨日、学生たちとの対話を通じて結論付けたのだ。 それのどこがいけないのか? その時のタイゾウ先生の態度は、自分の目には、そんな大人の自己都合のように映った。
タイゾウ先生は、そんなおれの胸の内を、見透かしたかのように言った。 「誤解はしないでくれよ。ぼくは、何も12コマの予習を無理にさせようとか、そういう発想ではないよ」 「では、どんな方法があると?」 「だから、今日はそれを君たちと考えるためにやって来たんだって、さっきも言ったろう?『抜け道』とは、システム自体をいじることに他ならない」 「システムを?いじる?」 「ああ。いじるんだよ、授業のやり方自体をね。その中のアイデアの一つが、『テストゼミ形式』だ」 「テストゼミ形式?テストゼミって、テストだけ受けさせて、後で一斉に解説するやつですよね?」 「ああ、もちろんこっちは個別指導だがね。そしてこの案の大事な点は、生徒の来塾時刻をズラすことにある」 おれたちの中に衝撃が走った。しげ子もトウコもタメちゃんも、そしてこのおれも。 思わずしげ子がつぶやくように言った。 「そんなの聞いたことない・・」 「ああ、そしてこれが、学生講師にもマネージメントしやすい秘策だと自分では思っているよ」
>>214 おれたち3人→おれたち4人
でしたね。数え間違えました。
「生徒の来塾時刻をズラす理由について話そう。ぼくはね、個別指導の時間帯には『平穏』と『波乱』の二種類があると思っている」 「二種類?ですか?」 「そう。この二種類が交互にやって来る。君たち、松ちゃん先生が昨日1対4の模擬授業をやっているのを見たんだろ?どう感じた?」 タメちゃんが最初に口を開いた。 「いやー、びっくりするほどでした。4人の間を行ったり来たりで、なんていうか、待ってるのが気にならないんです。しっかり教えてもらえるし、 変な言い方かもしれないけど・・ウン、なんだか『楽しい感じ』がしました!」 「ふんふん、なるほど。君は生徒として、この授業に向いているね」 タイゾウ先生は目を細めながら言った。トウコも言った。 「私も初めての体験でした。先生がいるのが気にならないんです。自分で一生懸命机に向かっていると、いつのまにか先生が横にやって来てくれていて、チェックしてくれたり、励ましてくれたり・・ それでどんどん進んで行くんです。私にはそれが『楽しかった』です」 「ほう、君は優秀な学生だね・・それを楽しめるのが才能だ」 タイゾウ先生は、今度は目を丸くして言った。次はしげ子の番だ。 「私は・・この中では先生の授業を一番見てきた方だけど、1対4になってからも相変わらず凄いなと。生徒にストレスを感じさせない気配りが上手というか・・さすがだなあと。 授業内容に関しては、知らないことを教えてくれる知識の源?みたいな感じで、色々聞けて個人的に『意味がありました』」 「ありがとう。君が松ちゃん先生を慕っているのがよく伝わるよ」 「え?いや、慕っているとかそういうのでは・・」 「いやいや、きっと松ちゃんも同じ気持ちだよ。君を頼りにしているからこそ、こうして新システムの開発に君を指名したんだ」 「そ、そうかな・・」 しげ子がおれをチラッと見た。おれは知らん顔をした。 「本部にいる人間としては、心強い限りだ。君たちのように、授業時間以外に出てくるバイト学生なんて聞かないからね」 「結構、私たちにとっても、この塾が居場所になっている部分はあります」 「いや、しげ子先生が指名された理由がよくわかるよ。松ちゃん先生がうらやましい。何より注目したいのは、みんなの発言の中に『楽しい』『意味がある』というキーワードが入っている点だ。 そして、一言で感想が終わらないのは、何かを感じさせる力が松ちゃん先生の授業にはあるんだな。それを突き止めれば、きっと、このスパイラル個別を成功に導ける」 みんなの中に、少しの明るさが出てくるのを感じた。 「さっき、ぼくは『平穏』と『波乱』の話をしたけれど、松ちゃん先生は、この『波乱』を見極めるのがものすごく上手いんだよ」 トウコが聞いた。 「波乱というのは、生徒に何か異変が起きた・・ということですか?」 「そう、それだ。君はなかなか鋭いね。それには、生徒をよく観察しなくちゃいけない。まずノートをチェックしたり、生徒の目を見たり、姿勢を見たり、鉛筆の動かし方まで。 そこから、生徒が今どんな状態にあるのかを見極めた上で、彼は動いている。単に机の間を行ったり来たりしているわけではないことは、君たちにもわかったはずだ」 みんなウンウンうなずいて聞いている。
「自分が考えているスパイラル個別は、この『波乱』の状態に気付きやすく、そして対処しやすくすることが目的なんだ」 しげ子がすかさず聞いた。 「それが来塾時刻をズラすことと、どう関係が?あ、まず時間をズラすことは、その時間帯にテストをするということであってますか?」 「うむ、そうだ。まず4人のうち2人が来塾。まず30分間のテストを受ける。テストだから、本来ならば手出しはしてはいけないよね?」 「はい」 しげ子は真剣な顔でうなずいた。手ではメモを執っている。新システムのアイデアを頭に入れようとしているのだろう。 「ところが、ぼくが考えているテストゼミは、ただのテストじゃない。君たちのやった模擬授業で言う『例題演習』のロングバージョンなんだ」 「というと?」 「例題演習なら、演習中にいくらでも助言出来る。解答を片手にね。もう一人は、相変わらずテストをしている。ほうったらかしにならずにね。だってその時はまだ『テスト中』だからね」 おれは驚いて言った。 「なるほど、テストなら誰もが納得します。むしろテスト中に質問をする方がタブーですからね」 「そう、だから『波乱』の状況にも対処しやすい。ピンチの生徒はそこで助けられる。昨日の話で言えば、トウコ先生が先に進んでいる間に、タメコ先生の面倒をみるようなものだ。しかも、それは、学生諸君の予習の負担をも減らすことにもなる」 しげ子が驚いた表情で聞いた。 「そ、それはどういう方法で?」 「うむ。簡単なことだよ。テスト中に『予習に代わること』をすればいいのさ。生徒が解らないときに、君たちが同じように解らない場合が一番困るわけだよね?」 「はい」 「解答を持っているとは言え、それだけでは解き方が解らない場合など、あるんじゃないかな?」 「はい」
ふろのです。大きい洗濯物を洗いに、コインランドリーに行ってきます。
授業になってしまいました。夜になります
タイゾウ先生は続けた。 「そこで解らなくて困ったときに、オブザーバーの講師に登場してもらうんだ。これは松ちゃんら教室長の役割となる」 「なるほど!教室長はサブとして控えているわけだから、問題ないんだ!」 「ああ、これで学生が予習を完璧にしなくても問題はない。もちろん何もしないのはご勘弁だが、負担に感じなくて済むだろ?どうかな?しげ子先生」 「ハイ、いつでも松ちゃん先生が後ろにいるなら怖いもの無しです!でも、例題演習中に机を離れてもいいんでしょうか?」 「指導時間中ではないから、先生が仮に離れても問題ないだろう?」 おれは感心して言った。 「なるほど、ここでもテストゼミ形式が効を奏しているわけか!」 「そう、まだテスト中だからね。そして、君たち学生講師は、松ちゃん先生ら教室長に聞くなどして、そこで次の『授業タイム』のための『即席の予習』をするんだ。つまりミーティングだよ。 これは君たちを見て思い付いた。見た目が悪い?なあに、誰も困らないよ。だって二人がかりで一人の生徒のケアをしているんだもの。保護者は最後に教室長が指導の責任者になっているとわかっているから、むしろ歓迎してくれるだろう」 「その通りだと思いますね」 そして、30分後に後半の2人がやって来る。 その時は前半の2人はテストが終了し、採点&解説タイムに入る。 後半の2人はテスト開始だ。別室でテストをしている。 今度は忙しいぞ。実質上ここで初めて1対4指導になる。 ただし、別室でテスト中なんだから、見た目には1対2に見える。 つまり、1対2指導、いや、教室長が控えているから、2対2指導として宣伝出来るんだ。『生徒2人に先生2人が指導します』とね」 「つまり、私たち学生講師は後半のテスト中は、指導の時間が出来た時に、見回るだけでいいんですね」 「そう、だから後半の生徒には、手のかからないトウコ先生タイプの生徒を、できるだけ配置しておくんだよ。逆に前半には、タメコ先生タイプをね。 これは教室長の配置能力にかかっている。もし、後半の生徒に『波乱』が発生した場合、松ちゃんにヘルプを頼めばいい」 「おれの仕事かあ」 「30分の指導時間が終了したら、前半の生徒はまた次のテスト。後半の生徒の採点&解説タイム・・この繰り返しでスパイラル個別の終了だ!」 「なるほど、これなら私たちにも出来るかも!」 「拘束時間は2時間半になるが、バイト代が増えると思ってくれたら助かる」 「もちろん、こっちの方が嬉しいですよ!」 「君たちは、松ちゃん先生らベテランの真似をしなくていい。 生徒と一緒に一生懸命考えてあげるだけでいいんだ。先生ではなく『仲間』の役割が、このスパイラル個別の君たちの役割だと思ってくれ」
しげ子が最後に聞いた。 「仲間・・ですか?」 「ああ、仲間だ。前にぼくが言った松ちゃん先生から感じた何かとは、それは生徒と先生、さらに言えば塾と顧客という、かけ離れた立場ではない、同じ『仲間としての意識を持つこと』だった。 それが今回のシステム構築の最大のヒントとなった。先生同士がミーティングをし、出来ない生徒を親身になって助け、出来る生徒には勇気づけながらどんどん進ませる・・これらは全て『仲間』のイメージだ」 おれはさっきからしびれっぱなしだった。 タイゾウ先生は、ただ誉めてくれているのではない。 我々に「がんばれ」と言ってくれているのだ。 最後に、タイゾウ先生のアイデアをまとめてみると、以下のようになる。 ・学生講師の予習負担減 ・オブザーバーの設定 ・生徒の性質で、前半後半の配置を考慮 ・2対2指導での宣伝効果 ・2対2によるチェック体制の強化および指導の客観化 いや、ここまで考えられているとはね。しかも、たった1日で。 本当、恐れ入った。 「君たちより少しは年上だからね。たまには、何かの役にも立たないと」 タイゾウ先生は、最後までクールだった。
今日は寝ます。見ているひと、ありがとう、おやすみなさい
おやすみなさい
研修が終わると、タイゾウ先生がおれに近づいてきて、ボソッとこう言った。 「実はこれ、学生たちには言うなって言われてるんだけど、平倉部長が何年も前からずっと考えていたアイデアなんだよ」 平倉部長とは、営業部長のことである。 「ええっ!じゃあ、さっきのタイゾウ先生が1日で考えたってのは・・ウソ・・ですか?」 「あんな複雑なもん、ぼくが1日で考えられるわけはないだろ?覚えるのに必死だったくらいさ」 さっきのおれたちを勇気づけてくれた言葉もそうなのか?と思い、おれは少し残念な気分になった。タイゾウ先生が話を続けた。 「なぜかはわからんが、松ちゃん先生にだけは本当のことを教えておけと。あとの社内メンバーには、その代わりに絶対に秘密にしておけとのことだ」 どういうことなんだろう?おれには全くわからなかった。その時には。 「このスパイラル個別のアイデアを知る者は、平倉部長と、ぼくと君たちしかいない。そしてもう一つ、このアイデアは、今日、ぼくと君たちの中から生まれたものだということになっている。いいかい?これは絶対に秘密だからね」 〜研修3日目(金曜日)〜 その日の特別ゲスト?は、なんと平倉営業部長とナンバーワン営業マンの浜口さんだった。 ところで、今日はタメコ先生はいない。いよいよ大学の欠席日数がヤバくなっていたのだ。 そのため、全体練習は最終日となる月曜日にやろうということになっていた。 今日からは、しげ子の苦手な理科や国語(特に古典)の教科特訓に充てる予定で、おれはプリント作成の準備をするつもりで出勤していたが、いきなり上の二人が訪ねてきたのだった。 精悍な顔つきのナンバーワン営業マンの浜口さんが、まず我々に挨拶する。 「えー、営業部の浜口と言います。皆さんの噂は営業部でも聞こえてきます。模擬授業のためとは言え、大変素晴らしい活動で、我達の部内での評価も高いです。 特に、今朝本部のタイゾウ先生から報告を受けた、スパイラル個別のシステムについては、素晴らしいの一言です。 学生講師の人件費が多少高くなるとは言え・・いや失礼、しかし、これだけの短期間の間に、よく考えられたものです」 丁寧な言葉遣いで、我々を讃えてくれた。 学生二人は少し、ニヤニヤしていたかもしれない。真相を知るおれだけは、黙って前を向いていた。 浜口さんは、そんな我々を見てか見ないかうちに、こう続けた。 「しかし、大変残念なことに、本『スパイラル個別』の企画案に、重大な欠陥が見つかりました。大変申し訳ないのですが、本件は恐らく中止廃案の運びとなります」 3人とも、何を言われたのかわからず、その場にポカーンと立っていた。 やがておれは少し苛立ちながら、口を開いた。他の二人は下を向いて暗い顔をしている。 「え、ちょ、ちょっと待ってください。昨日タイゾウ先生まで来られて、スパイラル個別は、ようやく完成の陽の目を見ることが出来るかもしれないんです!それをいきなり・・」 おれはチラッと平倉部長の方を見た。平倉部長は、無言のまま前を見据えている。フォローはなしか。 くそっ、どういうことなんだ。 「は、廃案だなんて・・せめて、我々のプレゼンを見てからにしてもらえませんか?」 「いや、あなた方の活動は全く関係ないんです。あなた方は本当に素晴らしかった。だから本当に、これは何と言いますか・・いや、ごめんなさい、少し説明しますとですね・・」 「浜口君、私から話そう」 スパイラル個別の影の生みの親、平倉営業部長が、困惑している浜口さんをそう遮ると、それからゆっくりと話し始めた。
ちょっと出掛けてきます。また、夜になります。読んでる方、いますか?ちょっと待っててください
あと、すみません。報告をひとつ。 先ほど出版社に電話したところ、次の新しい書籍の執筆が正式決定しました。あと、来週までには改訂作業を済ませなくてはならず、いよいよ追い込まれた格好です(笑) しばらくはチビチビ書くか、つまらぬことを並べるだけになるかと思います。なんとか、しげ子編を先に終わらせたかったのですが・・ 本作中のスパイラル個別指導は、ある時期実際に稼働していました。ひょっとしたら似たようなことをなさっている、あるいは、なさっていた塾さんもあるかもしれないですね。 そして、現実に稼働していたために噴出した問題点が、本作中の浜口さんが問題視した部分なのです。 すでにバレバレの伏線を貼ってあるので、お暇な方は最初から読み直して、コッソリ当てて下さい(笑) すでにピンと来た方は、塾経営にどっぷり首まで浸かった方だと思います。
伏線を貼ってあるので→伏線を張ってあるので
「皆さん、実は浜口君の言う通り、スパイラル個別には重大な欠陥が見つかってしまった。それは・・」 固唾を飲んで見守る我々。それにしても、何故平倉部長は、自身で発明した企画をわざわざ廃案にしてしまうのだろうか? 「それは、そもそも我々の単価設定のミスジャッジにある。つまるところ、それは低価格路線プラス相当数絶対確保という、このままでは茨の道に足を踏み入れてしまう可能性があると、まあ、そういったことである」 しげ子が耳打ちする。 (このオッサン、な、なんて言ってんのかわかんないんだけど?) (オッサン言うな。黙って聞け。後で翻訳する) 「このままでは売り上げは恐らくは横這い、あるいは下降線を辿る見込みすら可能性として危惧されている。 当初、先の問題を回避するため、営業サイドとしては、外回り部隊、テレホンアポインターを含む更なる営業部員増員を視野に検討していた。 ところが、この度市場調査の結果、顧客側の望みうる多様な選択要素の中に、新企画1対4個別が合致しておらず、入会数上昇は見込めない上、単価も安いとなれば、1対2個別との食い合いに発展するだろう。 すなわち1対2個別の営業活動の邪魔になる可能性もあるということだ。 さらに、1対2個別との差別化についても、当初の企画段階では、安価にかつ手厚い指導の実現が目的であったが、 低所得者層は、すでに通信添削教材ならびに大手一斉指導の低価格コースへの選択が既に常態化しており、我々の入り込む余地なしと判断を下すに至った訳である。 つまりこれは、個別指導のターゲット層が、中間層から富裕層にかけての、家庭教師にない魅力を個別指導に感じている層に限定されているということである。これは研究の余地があるところであるが、恐らく相当数の生徒確保には至らないであろう。 すなわち、現時点でのスパイラル個別は、残念だがそのいずれにも合致していないため、廃案の可能性が高いのだ」 つまりはこういうことらしい。 1対2個別ほど魅力的に見えず、かつ料金が安いというスパイラル個別は、消費者の選択肢の中には入らない。だから最初からなかったことにしよう、と。
そして、おれは二人に聞いた。 「下手に募集して集まらなかったら、単価が安い分儲からない、ということですか?」 浜口さんが答えた。 「そうです。その危険性は極めて高いでしょう。皆さんの努力やアイデアは見事だが、一般には認知されにくいと思います」 トウコがここでなんと、口を挟んできた。 「こうしたらどうですか?1対2個別は世の中に認知されているんですよね?」 「そうですね。それは皆さんもよくご存知のはずです」 「だったら、そこを逆手に取ればいいんじゃないでしょうか?」 なんだ?トウコは何を考えているんだ?
危険性→可能性
「この塾の1対2システムを、すべてスパイラル個別にしてしまうのです。そうすれば人件費を抑えることが出来、かつ単価はそのままで済みます。 さらに、2時間から2時間30分に指導時間が増えるわけですから、相対的にこれは値下げになるんじゃないでしょうか?」 浜口さんが苦笑交じりに言った。 「ずいぶんと大胆なご意見だが、それだとまず既存生から退塾者が続出するでしょう」 「私は、それはないと思います」 「その根拠は?」 「それは、1対2個別よりも、このスパイラル個別が優れたシステムだからです」 「優れた?その証拠は?」 「それは、この私です。そして、授業を実際に受けた我々学生全員です」 え?まだスパイラル個別の検証は行ってないぞ?月曜日に初めてするんだから。 「え?もうスパイラル個別を受けてみられたんですか?」 「はい、松ちゃん先生に。皆さんが来る前に」 嘘だ。何をシッチャカメッチャカを言ってるんだ!あの聡明なトウコ先生が!もうダメだ。 トウコを遮ろうとした瞬間、しげ子も言った。 「はい!間違いなく、私たちはスパイラル個別を受けています。松ちゃん先生に!」
なんだ?しげ子も何かに気付いたらしいな。 「どういうことかね?タイゾウ先生からの報告では、スパイラル個別は来週月曜日に、初の研修をし、きたる火曜日のプレゼンにギリギリ間に合うと聞いていたが?」 平倉部長が口を開いた。そうだ。それが真実だ。しかし、しげ子はキッパリと言った。 「いいえ、ここまで聞いて、皆さんまだわからないんですか?このスパイラル個別の真の意図が?」 「真の意図?それはどういうことでしょうか。これは今までの報告にはない・・ひょっとして新たな要素が、スパイラル個別にはあるということでしょうか?」 浜口さんが堪らず質問を飛ばした。
「はい、その通りです」 「それは、何だね?」 平倉部長が不思議そうに聞いた。トウコが話を続けた。 「まだ、お気付きでないんですか?私、さっき、2時間から2時間半に指導時間が増えたと言ったんですよ?」 そうだ、何かに違和感を感じていたが、それだ。 しかし、どういう意味なんだ? 「最初から2時間と決まっているのがおかしいんです。我々の拘束時間が2時間半に増えるなら、その間に生徒に来てもらえばいいんです。 最初のテストの間は後半の生徒からの質問タイムに充て、最後の後半の生徒の解説時間には、前半の出来のよくない生徒の復習に充てるんです」 本部の二人は唖然としている。しげ子も続けて言った。 「これは、昨日のタイゾウ先生のご提案の後から、私たちだけで考えたアイデアです。今日来たら、松ちゃん先生にも伝えようとしたんですが・・お二人が先に来てしまって。 でも・・これならお得感がありませんか?ほら、もちろん、2時間のままでもいいんですよ。自習みたいなもんなんですから。それは・・サービスということで。ウン、そこは生徒さんに選んでもらいます。部活でどうしても早く来れない生徒さんもいますし・・」 おれが口を挟んだ。 「もし、部活で遅くなるその子には、希望する場合に限り、教室長が帰宅する直前までの30分、延長を認めましょう。他の教室長も、最年少のおれがやるならやらざるを得ないでしょう。なんせ、面子がありますから」 「わ!松ちゃん先生、いいんですか?」 「そのラストの時間帯、どうせ報告書やDM発送くらいしか、仕事はない」
続きは今夜になります。よろしくお願いいたします。
いつも楽しく読ませていただいてます。 この業界の酸いも甘いも知り尽くしていると思われる熱血先生に質問です。 去年東京に行った際の話です。 とある高校を通りかかったんですが、名前は分からなかったんですけど校門には 都立国立高等学校 と書いてました。 はあ? 意味分かんなくないですか?? たぶん私立じゃないんでしょうけど、いったい国立の高校なんですか、都立の高校なんですか どっちやねん!?もしご存知でしたら教えて下さい
たぶんそれ「くにたち」高校だよ 東京に国立(くにたち)市ってところがあるから 一説では国分寺と立川の間にあるから それぞれの頭文字をとって国立って名前になったとか
「ただしだ。全ての生徒をスパイラル個別にするというアイデア、それは浜口さんが言ったように、荒唐無稽だ」 しげ子がぎょっとして、おれに訊ねた。 「ど、どうして?」 「時間割だよ。確認したらわかる」 当時のブラック塾の時間割は A16:30(15:30)〜17:30の、小学生補習の時間帯(浪人生や在宅生も) B17:30〜19:30の主に中学受験と部活のない中・高校生の時間帯 C19:30〜21:30の主に中・高校生の時間帯 の3つに分かれていた。 何かに気付いたしげ子が、半ば驚きながら呟いた。 「ああ!そういうこと・・か」 すかさずトウコが聞く。 「どういうことなの?」 「ダメよ、ここの塾は・・この教室は座席数が沢山あるから良いんだけど、都心部の教室が狭いところは・・」 そこで浜口さんが割って入った。 「今しげ子がおっしゃった通りです。床面積の少ない教室は、座席数ギリギリで回しているところもあります。したがって、座席数の少ない教室では、2時間半に及ぶ、昨日のスパイラル個別案は、基本的にCの時間帯しか取れないのです」
>>239 ああそうかそうか!でへっ
ありがとうございました
それではアニマル浜口を説得し、スパイラル個別制度の立ち上げを願いつつ
続 く
>>238 立川に彼女がいたので、その話は知ってました。つか、自分も国立市の名前の由来を聞いて唖然としましたね。阪神、東名みたいなものだったんですね。
読んでくださってありがとう。
それから、自分は自分の見てきたことしか書けません。
このスパイラル個別も、そんな中の一つです。営業サイドからの打診で、試した校舎もあったようです。
>>239 フォローありがとうございます。隙間の時間にチビチビ書いていきますので、ゆっくりですが、また覗いて下さい。
>>241 ありがとうございます。さて、どうなるのか・・結末を楽しみにしてください。もうそろそろクライマックスです!
そうなのだった。 物理的に机の数が足りなければ、どんなシステムも実現しないわけで、いくらそのアイデアが素晴らしかろうと、まさに机上の空論でしかない。 しげ子とトウコ、経営側の空気を吸うことのない学生講師二人に、座席数のことまで考えることはさすがに不可能だった。 せっかく生徒のことを考えて、常に4人いるニューアイデアまで披露したのにな、お二人さん。 きっと、平倉部長は現在の1対2個別とスパイラル個別(自分が考えた2時間半型)の共存を目論んでいたはずだ。 それは、AとBの時間帯に1対2個別を、Cの時間帯にスパイラル個別を配置させるしかないからだ。 開始時刻をずらすことが出来、かつ座席数を確保することの出来るのはCの時間帯にしかなかったわけだ。 つまり、19:30または、20:00スタートのいずれかしか、選択の余地はもともとなかったんだな。 あれ?ちょっと待てよ。それでも・・やっぱおかしい。 床面積がとてつもなく広いウチの教室はともかく、 都心部の教室のように、座席数に上限があるのなら、この料金体系は根本からミスってることになるぞ? 仮にCの時間帯にスパイラル個別を実施し、机が満席になっても・・ 座席数の上限がある都心部の教室なら、売り上げは上昇しないどころか、逆に半分近くにまで下がってしまう。 そしてそれは平倉部長自身が最初に言った通りのはずだ。 であるなら、なぜ? 平倉部長は、わざわざ廃案になるのをわかっていて、おれたちにこんな手の込んだ真似をさせたのだろうか。 ただの凡ミス?それとも・・?
>>240 浜口さんの台詞
しげ子が→しげ子先生が
その平倉部長が、トウコとしげ子を見ながら言った。 「学生講師のお二人、ええと、名前は・・」 「トウコです」 「し、しげ子です!」 「さっき、トウコ先生としげ子先生、お二人が言っていたことで、質問したいんだが、少しよろしいかな?」 「はい、何でもどうぞ」 「わ、わかる範囲でなら・・」 「うむ。まず、君たちはスパイラル個別をすでに受講した、と答えていた。それはどういう意味かね?」 そうだ。それはおれも聞きたかった。
しげ子が慌てた口調で言った。 「あ、あれは嘘をついたつもりはないんです。たぶん、トウコも・・」 「はい。私たちは確かにスパイラル個別を、初日の研修の時に、松ちゃん先生から受けました」 「何?松ちゃん先生、一体君は何をしたのかね?」 不思議そうに尋ねる平倉部長。おれは要領を得ないまま答えた。 「いや、その・・自分なりに1対4指導をやってみただけなんですけど・・」 「なに?従来型のか?」 「いや、違うんです。その、怒られるかも知れないんですけど、自分今までずっと内緒で、1対4や1対8の少人数指導を、ホワイトボードを使わずに、全部個別指導型で教えてたんです・・」 「何?1対8もか。いや、しかしそんなことが出来るのかね?」 「で、出来ます!やろうと思えば。やろうとしなければ出来ないですが」 「ふむ・・面白そうだ。ぜひやってみてくれないか?」 「え?今?ここでですか?」 「浜口君、どうかね?時間はあるかね」 「はい、今日は夕方から一軒、アポ済みの家庭訪問がありますが、それまでは。それに・・私も興味がありますし」 「よろしい。では、松ちゃん先生、やってみてくれたまえ」 これは、ちょっと大変なことになってしまったと、その時思った。
今日はちょっと疲れましたので、早く寝ます。更新を待っていて下さった方、いないとは思いますが、いたらスミマセン。 ひょっとしたら、思ったよりもう少し長くなるかもしれません。 では、おやすみなさい。
今日は朝から家の掃除をしていました。今夜更新になります。
251 :
ふりょの :2012/10/26(金) 16:14:32.60 ID:lM4OkpqZ0
ダイニングルームの掃除をしています 楽しみにして下さっている皆さん、今しばらくお待ち下さいませ
TEST
今は商品発送の仕事中。
今日はオフなんだけど、家のこととかちょっとした仕事とかあって、なかなか暇が作れませんでした。
てす
電話相談中です
なかなか続きが書けなくてすみません。あと、30分くらいで終わります
合間に書いてますが、この時期は過去問を意識的に多用しています。模試なんてくそくらえです。過去問や類題でガンガン鍛えた生徒が合格します。
そういう話をしていました。偏差値なんて関係ないと。
>>259-260 そうかぁ!そうだったんですね。
センターまでもう日数2桁、
京大工学部(物理)の二次まで3ケ月になっちゃったけど、なんか勇気づけられました!
でも、ふろののアニキ、
模試とか過去問『以前に』そもそも基礎のできてない科目あれば、ヤッパ終わてます!?(涙
俺1〜2年ん時サボッてた数学がまさにそれなんすよ〜
二次関数とかは最近やっと仕上げたけど、
数列と行列の区別が付かないんですよ
(へ?おんなじようなもんじゃん?)
ふろののアニキの塾行けば、その区別付けられるようになりますか!?
>>261 マセマがいいです。数学は。あれを基礎からやって段階上げていくことですね。
ちなみに京大は守備範囲外です。スミマセン。京大二次にノウハウのある専門の塾をお勧めします。
私のところは、センター試験対策9割が売りの塾なので、
主に国公立医学部対策やセンター利用私大の方が多いですね。お役に立てずごめんなさい。
263 :
261 :2012/10/27(土) 00:40:44.99 ID:P2oY9v/7O
マセマ出版?よ〜し。 やさしいアニキ!ありがとーございました
「わかりました。では、平倉部長も浜口さんも座席について下さい。・・しげ子先生!」 「はい!」 「お二人に筆記用具とノートの代わりになるものと、それから教材を用意して。なんでもいいから!」 「ウフフ、じゃあ・・私が苦手なやつ、皆さんに渡していいですか?」 「なんでもいいから!」 「はーい♪楽しみ楽しみ〜っと♪」 理系出身の平倉部長には国語。浜口さんは文系っぽいから数学かな? 予想通り、戸惑うゲストの二人。浜口さんが小さな声でおれに言った。 「私、数学ダメなんです・・お、お手柔らかに」 「大丈夫です。どんな問題が来ても、ゆっくり解説しますから。適当にリラックスしてやってみて下さい」 それから、1対4個別が始まった。いつものように、例題から解くスタイルだ。ここでスピードに差がつく。 順調な生徒を先行させ、励まし、苦戦中の生徒を手厚くみる。 トウコは苦手なはずの理科が、やはり例題だけでスラスラ解けるみたいだった。前回とは違い、中3理科だが、物おじせず頑張って解いていた。 平倉部長の国語も、もちろん危なげない。おお、中学生なら立ち止まるような難しい漢字と語句がスラスラ埋まっていく。 この辺りはさすが元ベテラン講師だった。 やはり問題なのは予想通り、しげ子(英語)と浜口さん(数学)だった。 「松ちゃん先生、スミマセン。私やっぱり・・数学忘れてます(ガックリ)」 「浜口さん、これは二次関数の応用問題ですね。三角形の面積を求めるやつか・・いきなりこれは・・し、しんどいですよ」 おれはしげ子をジロッと見た。しげ子は舌をペロッと出しておどけてやがる。こいつ・・謀ったな。 「浜口さん!全然大丈夫です。まずは、ノートに二次関数だけのグラフを書いてもらえますか?あとでまた解説を付け足していきますから」 「え?二次関数だけの?わかりました!それなら出来ます!」 こういう複雑な応用問題は、ショートステップ式に、少しずつ分断して解くに限る。 それから平倉部長のノートチェック。 「平倉部長、そのページが終わったら、次のページの詩を暗記しておいて下さい」 「あ、暗記かね?」 「はい。短いですし、その方が解きやすくなります。あとで一行ずつよんで鑑賞しますから、それまでなさって下さいますか?あ、そうだ。対句になっているのは、どことどこか?少し意識しながら読むのをお勧めします」 「わかった」 もう平倉部長は暗記に夢中だ。対句のところも、もう小さく印をつけている。こうした分析が当たり前になれば、詩は読みやすくなるし、想像させるような問題もある程度たやすくなる。 もし、部長が中学生なら詩の部分は満点、もしくは満点近く取れるだろうな。 予め分析が出来ていれば、例えば「この詩の表現技法は次のうちどれか?」なーんて問題は、一発だ。 そしてそれは何行目と何行目なのかも全部先回りして知っていることになる。そこから、作者の意図まで詳しくびっしり書ければ、テストの予習としては問題はない。あとは、オリジナルの問題をノートに書いてやろうか。 トウコの理科も相変わらず順調だ。例題で暗記に成功している様子。基本問題も出来てるみたいだな。 「あってるぞ。ここまで全部」と、小声で言うと、トウコは一瞬ニッコリして、それから少しほっとしたようにため息をついた。それからまた、カリカリと問題を解き始めた。次は早くも実戦問題だ。 そうそう、水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性だ。そう、だからマグネシウムとは反応せず、アルミニウムと反応する、フェノールフタレイン液の色は「赤」。・・おお、出来てる出来てる!例題の暗記が完璧だと、問題は簡単なんだ。もちろん、次の応用問題にも役立つ。 さあ、お次はしげ子だ。自分も苦手な関係代名詞をチョイスしてやがる。一応はフェア精神でやっているようだな。
明日はまた早いので、まだ書けそうですが寝ます。おやすみなさい。
今年のセンター出願者、対前年で1万5千人増 まあ今年の18歳人口自体が4万増だからやむを得ん 厳しい戦いになるやも知れんが受験生みな、バストを吸い尽くして欲しい もとい、ベストを尽くして欲しい FCふろの校も合格率100%目指してがんがれ
>>267 ありがとう。でも、ウチはFCではないよ。
「どうした?しげ子、頭抱えて?」 「私、激しく後悔しています!中学生英語の最難関、か、関係代名詞を選んでしまったことに・・!」 「うん、これで実戦配備されていたこと自体、恐ろしくならないか?」 「はい、まだ私、中3生をみていなかったからですね・心から・・反省しています、私・・なんてダメな先生なんだろ・・松ちゃんと歳もそんなに変わらないのに・・ぐすっ・・ぐすっ・・うう!」 ダメだ。自分で自分を追い込んで、すっかりテンパってしまっている! 幸い、他のみんなは集中して頑張っているので、気に留めていないみたいだ。 おれはしげ子を廊下に連れ出し、耳打ちした。 そう、誰にも聞かれないようにだ。 「泣くな。大丈夫だ。そのための新システム『スパイラル個別』じゃないか」 「へ?・・ぐすっ・・だってあれは・・ぐすっ・・廃案になるんじゃ・・ぐすっ」 「いや、まだあきらめたらダメだ。いいか、これはきっと何かのテストだ。ここで頑張ったら、また何か変わる。きっと・・」 「ほ、本当に?」 「ああ、おれにまかせとけ。さ、そろそろ席に着こう」
初日の研修と同じように、それから2周して1対4個別の実演を終えた。 結果としては、トウコ先生は20分足らずの間になんと4ページも進んでいた。前回よりもさらにのびのび出来たようだ。表情も明るい。ミスした部分はほとんどなく、かなりの上出来だ。 平倉部長は、詩を一編、ほぼ暗記したあと問題を解き、満点を獲得。さすがにほっとしたような表情だ。まあ理系だったとは言え、元ベテラン講師だから、面目を保った格好だ。 この二人は順調だった。 最初は悪戦苦闘だった二人も、無事終了した。 しげ子は関係代名詞の主格が理解できたのと、主語自体が先行詞になる場合「頭でっかち」な英文になることを初めて知ったようだ。一体、どうやって大学に受かったのか?謎である。 浜口さんは、二つの関数の交点座標の求め方をまずはマスターした。そこから、本来なら三角形の面積を求めるのだが、最後までのやり方を説明したところで、今回は終了。最初は全く何をやればいいのか忘れていたわけだから、これでも十分ステップアップ出来ただろう。
それから、浜口さんが笑顔で感想を述べてくれた。 「いやあ、勉強になりました。わからない問題が、一人のプロ講師のお陰でわかるようになることの価値を、今日は改めて認識しました。 それから、4人全員をなんとかして引き上げようという気配り、心から感心いたしました。松ちゃん先生、本当に良いものを見せていただき、ありがとうございました」 おれたちは、期待していた。これでスパイラル個別導入を再検討してもらえないかと。 「しかし、このやり方での導入は不可能だと思いました。これは、松ちゃん先生くらいのレベルがないと残念ながら実行は不可能であると・・」 やはり、ダメだった。そりゃそうだ。商品に魅力がないと、バッサリ斬られたアイデアだもの。
どういう着地を迎えるのか気になります。
>>272 拙い小説モドキなのにご注目感謝。ヒント=まだ回収してない伏線があります。
平倉部長も口を開いた。 「では最後に、学生講師のお二人にご質問してよろしいかな?」 「は、はい!」 「これのどこが、タイゾウ先生の考えたスパイラル個別なのか・・はて、私にはわからなかったのだよ。これは、今も浜口君が言ったように、松ちゃん先生の実力あってこその教え方ではないのかな?」 浜口さんもうなずいて聞いている。すぐにトウコが答えた。 「いいえ、私たち、昨日の研修の後、気づいたんです。これを思い付いたタイゾウ先生は、松ちゃん先生の1対4授業をご覧になられたから、ひょっとしたら、あのスパイラル個別を思い付かれたのではなかったのかな?と」 「・・もっと詳しく教えてくれますか?」 平倉部長が身を乗り出すのが見えた。
「と、言うと?」 トウコが続けて答える。 「はい、松ちゃん先生の1対4個別は、タイゾウ先生版スパイラル個別のミニチュアなんですよ」 「ミニチュア?」 「はい。あれからしげ子先生と話してて気づいたんですが、例えば、タイゾウ先生の場合だと、30分もある最初のテスト時間が、松ちゃん先生の例題演習の場合は5分間くらいですよね?」 「ふむ、なるほど」 「それから、30分毎にテストと演習を切り替えるのではなく、生徒の間を何分間か、あるいは数十秒単位で回ってみたり、そのままじっといていたり・・とか」 「ふむ、要するに松ちゃん先生のは、オンとオフのサイクルが短いスパイラル個別・・ということかな?」 「はい。それも、4人いる生徒のうち、よく出来る生徒については、解説をあえてしなかったりすることもあります」 「先ほどの模擬授業で言えば、私とあなたの場合だな?」 「はい、その通りです。つまり、スパイラル個別のテスト時間という完全ノータッチの時間で、もう片方のグループの解説をやりくりするのではなく、 4人同時に教える中でも誰かに演習させることで、時間を作り出す・・つまり、4人同時にみている場合でも、上手く『手を抜いている』んですよ。松ちゃん先生は」 「手抜きか・・君はあれを『手抜き』だと言うのかね?」 「はい、でもその『手抜き』のお陰で、あまり出来ない生徒の解説の方に多くの時間を割くことができ、逆によく出来る生徒は先にどんどんページを進めることが出来ます。 これって、時間の使い方がものすごく上手くないですか?生徒さんはほら、さっきの私たちのように、きっと全員満足するはずですし」 皆、感心して聞いている。確かにそうだったと。 「平倉部長は、さっきの詩の暗記のとき、いかがでしたか?手を抜かれた気持ちがしましたか?」 「いや、そんなことはない。あれは合理的だと思ったよ。問題が解きやすくなり、大変納得できた。だから私には必要な時間だった」 「そうですよね。わかります。演習させるにも、意味を感じるか感じないかで、生徒の意欲も違ってきますよね」 「君こそ、どんどん先に進めていたが?」 「私も平倉部長と同じで、全く気になりませんでした。たぶんこれって、時間のサイクルが短いからではないかな?と思うんです」 「サイクルが短いから・・なるほどな」 「それから私、ここのバイトに来るまで、塾なんて行ったことなかったんです」 「ほう、塾には行かなかったのかね」 「はい、中学校までは親が教えてくれていましたから。高校生になっても、一人でやれてこれたので。でも、私はひょっとしたら、損をしていたのかな?とここに来てみて思いました。 誰かと一緒に勉強する。それって、励みになるんです。だから私は1対2よりも、正直に言って先生や仲間同士で勉強できる、スパイラル個別の方に魅力を感じます」
それから、平倉部長は一呼吸置き、それからしげ子の名前を呼んだ。 「しげ子先生」 「はい!」 「あなたの発言の中に、一点だけ気になることがあってね」 「それは・・なんでしょうか?」 「うむ、我々に対して言った『スパイラル個別の真の意図』とは、どういうことかな?」 そうだ。あの大袈裟な言葉の裏には一体、どんな意味があったのか。 「あ、あれは私、ただ認めてもらうのに必死で・・」 「それだけかね?」 「い、いやあ・・私、上手く言えなかったと思うんですけど、私みんなとずーっと何時間でも勉強できたらいいなって、途中からずっと思ってたんです・・」 訳がわからないというようなジェスチャーをしてから、平倉部長が再度聞き直した。 「と、言うと?」 「はい、あの時私たちが言ったように、全員がスパイラル個別になったらいいなとか、もっと長く勉強できたらいいなとか、いろんなことを前の日にトウコ先生と話してて・・」 「ふむ」 「それは、生徒同士だけじゃなくて、えっと、私たち学生講師や松ちゃん先生らベテランの先生もいてくれたら、みんなきっと安心して勉強できるだろうなあって・・」 確かに、個別指導の教室長の仕事は、特に教室運営に重きを置かれている。 自分も高校生の一部の授業に出ていたが、ほとんどは竹子先生やヌルオら、高校生まで指導出来る講師に任せていた。 「なるほど、よくわかったよ。つまり、しげ子先生は『塾の仲間と長時間勉強する会』の設立を望んでいるんだね?」 「はい、トウコ先生も最後の方にチラッと言ってくれたけど・・私なら、それがダントツ一番目の理由に来ます! 一人じゃ何にもやる気しないタイプなんで・・ この塾の『仲間たち』とたくさん勉強したい、それから学生講師だけじゃ心配だから、ベテランの先生のフォローも欲しい。 ・・こんなのって、欲張りでしょうか? 私は、それに自分もそうだからかも知れないんですが、学生講師に全て任されるのは、精神的にちょっとキツイです。なんというか、責任が重すぎて・・」 なるほど、確かにそうだ。いつから個別指導は学生講師の専売特許になってしまったのだろうか。 安上がりな講師に任せ、一円でも儲けたい、それは企業だから当然の話なのかもしれない。 だがしかし、一方で指導の質を下げてしまうのは果たしてどうなのか? もし、学生講師のフォローアップが随時可能なシステムがあれば、良心的な講師が、自らの指導の質について、一人で悩むこともない。それから、面倒をみる生徒の人数が増えることで、経験も積ませることだってできるだろう。 これはこの物語の舞台である、20年以上前のことではなく、ごく最近、人から聞いた話なのだが、 医師や看護師の医療ミスを「一切おとがめなし」にするから、どんな些細なことでも隠さないで報告させるシステムを、ある病院が実験的に実施したところ、 細かな医療ミスの報告は増えはしたが、大きなミスに繋がる前にそれらの報告が上がったために、結果的には命に関わるような重大なケースはほとんどなくなったという。 我々の教育の現場でも、学生講師が結果的にいい加減な教え方をせずに済むためには、学生の苦手な分野を教室長や他の講師が自由にフォローすればいいのだ。 そのために、講師同士が生徒指導に際して、柔軟な対応の出来る、このスパイラル個別のシステムこそ、実に有効だと、おれは密かに考えていた。 平倉部長は、考え事をするように腕組みをし、やがて口を開いてこう言った。 「生徒が仲間として競い合い、わからないところは学生講師やベテランがカバーする。それは私もいいなと思う」 学生たちの顔が一瞬、明るくなる。 「だが、廃案は残念ながら、決定事項だ。これは変えられない。しかし・・」 おれたちは次の言葉を、固唾を飲んで見守った。
「こちらの教室限定の、特別コースとしてなら検討しよう」 「え?いいんですか?そんなの?」 おれが思わず聞いた。 「ただし、2時間半は中途半端だから、開始時刻を19:00にして、22:00までの最大3時間枠とする。 座席については、この教室ならたくさんあるから、C の時間帯だけとすれば、もちろん困らないだろう。 長時間学習は、学生の先生達からの先程からの希望だし、もちろん3時間丸々というのは希望者だけでいい。 最低2時間以上参加してもらえばいいだろう。 従来と同じ時間枠でも、教室長のフォローがあるとすれば、保護者からのクレームはつかない」 浜口さんがメモをとりはじめた。平倉部長のシステムに関する説明はなおも続く。 「それから、料金は1対2個別と同額の月謝18000円に設定する。そして広告には『1日1教科、最大3時間まで学習可能。少人数2対4指導のスタイルで、生徒4人に2人の先生がフォロー』と、銘打つのが自然だろう。 そして、テストの時間を半分の15分にし、以降15分ごとに演習と解説を繰り返す」 なるほど、これならテストゼミっぽくならずに済む。演習と解説を短いスパンで繰り返す、おれの1対4個別に近くなる修正案だった。 「以上の改善策でスパイラル個別は、より長時間に、よりフォロー重視+ナチュラルな個別指導体制を目指す。 1対2の学生講師のみによる従来型と、 2対4の教室長のフォローつき、 どちらの個別指導スタイルがいいかは、生徒とそのご家族が決めることだからな。このアイデア、君はどう思うかね?浜口君?」 浜口さんは、とったメモを見ながら言った。 「全校舎統一チラシには盛り込めませんが、ローカルルール、つまり、こちらの教室内での人件費削減策としてなら、営業部としても問題はないかと思います。 対外的にも、料金が変わらないから、食い合いにもならない。 いや、これならいけるかも・・。 教室長が常時フォローに入れるかが、私の中では問題だったのですが、それは先程の松ちゃん先生の『手抜き』の授業を見て、考えが変わりました。 あれなら、一度にたくさんの生徒をフォローできます。まあ、松ちゃん先生だけなら1対8も可能なんでしょうけど、それは現段階では、学生講師にはとても無理でしょうしね・・。 けれども、従来の1対2と、松ちゃん先生がフォローとして入る2対4・・この二つが存在することで、むしろニーズの幅が広がるのではないかと。他社との差別化にもなるでしょうし。 この地域だけの独自チラシを撒きましょう、テレアポ部隊にもその旨伝えます!ひょっとしたらCの時間帯の売り上げが、飛躍的に伸びますよ、これ!」 そうだ。座席数がふんだんにあるこの教室なら、学生講師一人につき、1対2と価格の変わらない生徒が、倍の4人来るわけだから、売り上げは単純に考えて「倍額」にはねあがる。 学生二人も、信じられないという顔つきで叫ぶように言った。 「あ、ありがとうございますっ!」
夢のようだ。 学生講師と教室長が、本部からの指示ではなく、独自性のある講座として展開出来るなんて。これまでのブラック塾では考えられなかった。 無論それは、ビジネスとして成立するか否かがカギとなるとしてもだ。 おれは、平倉部長がなぜ廃案の本部通達を、わざわざ直接届けに来てくれたのか、その理由がようやくわかった気がした。 それは我々3人が、営業部内で発言力のある浜口さんをひょっとしたら動かせるのではないかと、期待したからではなかったか? いや、ひょっとしたら我々の校舎のみ実施のシナリオも、最初から平倉部長の中では出来上がっていたのかもしれない。 しかしそれは、永遠の謎だ。平倉部長も語りなどしないだろう。 「うむ、君たちの熱意に賭けてみようと思ってね。この研修も、予定通り来週月曜までは続けること。君たちがまずは使い物にならなくてはな」 トウコがびっくりした顔で聞き直した。 「君たちって、私も、あの、スパイラル個別の講師として入っていいんですか?」 「ああ、唯一苦手な理科も、今日の調子ならすぐ克服出来るだろう」 「ありがとうございます!私、頑張ります!」 なんと、トウコ先生のデビューまで決まってしまった。これには、二人とも大喜びだ。さあ、来週までにどれだけ苦手分野を消せるかだな。二人には土日の宿題をたっぷり出さないといけない。 最後に平倉部長がおれの方を向いて言った。 「ところで、松ちゃん先生?」 「はい、なんでしょうか?」 「これで君は、毎日終業ギリギリまで、指導しなくてはならなくなったが、平気なのかね?」 おれは言った。 「いや、さっきも言いましたが、最後の30分は基本、本部への報告書とDM発送だけなんで・・。 あの、DMだけどこか別の教室にお願いするわけには・・え?無理?・・でしょうね・・はは・・」 おしまいです。読んで下さった方々、ありがとうございました!
さーて来週は 「ブラック塾の危機!ジャスティス塾が乗っ取り画策」 「〜新しい世界へ〜 平倉部長とタイゾウ、禁断の情事」 の二本で〜す また見て下さいね♪ ンッゴンッンッ
>>278 ジャスティス有名人なんだなあ。読んでくれてるみたいで嬉しいよ。二次創作はご自由にどぞ。
仕事がたまってるというか。火曜日にアシスタントの女の子来るから、そのときに片付けよう。 活字の仕事は、何回やっても気が滅入る。一人じゃ無理。 そういや、昨日は防衛医大だった。一人受けたんだが、どうだったのかな。
日曜は授業だった。 もうそろそろ寝たいんだが、寝れん。 それはセンターが近づいているから。 それはそうと、東進の模試難しかったみたいだね。
起きて洗濯をして今に至る。
>>282 たまってるから
火曜日に女の子呼ぶ!
ってυ奥さんにバレたら大変じゃありませんか?
>>285 仕事たまってる時はいつもアシスタントを頼むんですよ。それにおれ、もう若くないよ。
>>286 なんだそう言い事だったんですね
だってさ
>>282 何回ヤッても気が滅入る
とかさ、
一人じゃ無理だから女の子にアシストして貰う
なんて、このーっワガママ男!と、てっきり…
>>283 東進の模試って可能性判定の信憑性はどおなんですか?
何か母集団少なそうなイメージで
うちの学校は主に駿台と全統が全員強制で、後は選択のやつもあります。
第一志望はことごとくD〜E判定だったけどまだあきらめません
>>287 ごめん、東進はあんま詳しくない。でも、ウチの生徒の感触だと、地理、UBが難しかったみたい。
悪い模試は気にしないで、過去問や河合の黒本あたりで苦手科目を克服、全体を7〜8割レベルに安定させればあとは数学を満点か9割、理社に追い込みかけて全体9割を目指して下さい。
数学は現在65パーセントあればマセマ、なければ黄色チャートで弱点克服してからマセマのセンターがオススメ。
>>287 あとさ、現役生のE判定はお約束だから気にしないほうがいいよ。それより5〜6割の科目の弱点部分を割り出して、分野別問題集(センター過去問を使ってないのがいい)で消していくことだよ。
この時期6割台でも、全体9割ギリギリ間に合う生徒もいます。今もその話題で、保護者の方と話していたところです。
>>287 てっきりこっちこそ同業者かと・・現役生、頑張れ!まだ全然間に合うから!
なんと言うかすごく納得した だって英語がいくら得意でも上限は200点、地理100点物理も化学も100点。全体は900点のなかでどうやって満点、9割に近づけるか!! そしたらだよ、苦手科目のそれも苦手単元をつぶすことがムチャクチャ大事なって来すもんね ありがとうございました。頑張ってみます(≧▽≦)
>>292 すごい勢いだね。地理の満点は見たことないけど、昨年の生徒で、11月スタートの地理で本番89点取った人がいますよ。4割〜5割くらいからのスタートでした。
使用テキストは、山川出版社の詳説地理ノートです。
お陰様で移動中の電車の中で、短めの依頼原稿ひとつ完成しました。あなたの書き込みが励みになりました。感謝。
楽しく読ませて頂きました。 個別と言う形態は範疇外ですがそれでも非常にためになりました。
>>292 ご感想ありがとうございました!
一斉指導でも個別要素はありますし、作中のスパイラル個別は一斉の要素はあったと思います。生徒募集、大変な時代になりましたが、お互い頑張っていきましょう!
今日の改訂作業、無事終了しました。あす、編集部に送る予定です。 あとは、カバーデザインと、中身のデザインの改訂作業があります。こちらはデザイナー諸氏の腕比べです。つか、納得いくまでやります。
ということで、一段落したので小説再開します。今度は独立後の話です。 【スパイラル個別のその後】 その後、おれは会社を辞めた。 独立したのだ。実家が経営するアパートを教室に改造して。教室長生活は、約2年間だった。塾への奉公は6年間だったが。 1対8のニュー・スパイラル個別について、何回か企画書を書いて提出したが、採用されなかった。辞職した理由はそこにもある。 しかし、学生講師が入れ替わるのを機に、おれは一国一城の主になることを選んだ。作り上げてきたシステムは、新しい自分の塾でさらに改良しようと考えたのだった。 「先生、私を新しい塾で雇ってくれませんかあ?あ、もちろん無理なら無理って言って下さいね!でも、私なんでもやりますよ!時間も最近はありますしっ!」 と、電話で売り込んで来たのはタメちゃんだった。4年生になり、ヒマになったのだろう。 「ブラック塾はいいのか?」 「あそこは、松ちゃん先生やしげ子先生、トウコ先生がいない今、行く価値なんてありません!あ、先生知ってます?私たちの教室のスパイラル個別はタイゾウ先生が引き継いだんですって!」 「へえ。ていうか、スパイラル個別は今や6教室で稼働中だし、結構定着したから、誰がやっても大丈夫なんだけどね」 そう。あのあと、利益率の高いスパイラル個別は、床面積の広い他の5教室でも実施され、一気に広まった。研修はウチの教室で、おれが担当した。しげ子とトウコも、最後まで頑張ってくれた。浜口さんたち、元気かな? 「いいよ。タメちゃんだったら全然」 「ほんとですか?やったあ!じゃあ、ミスドのバイト断ってきますねー!」 「え?わざわざ他のバイト辞めることないでしょ?それに、この仕事、儲かんないかもしれないし。いつ潰れるかわかんないよ?」 ま、この時のおれの台詞は、とりあえず今現在まで実現されてはいない。幸いなことに。
「ま、とは言ってもね。始まって半年。まだ生徒も10人しかいないんだよ。だから、そうだな・・スパイラル個別の必要もないんだ。まだね」 「じゃあ、私の仕事、本当はないんじゃ?」 「いやいや、一人でやっててもね。気が滅入るばかりだから、タメちゃんに来てもらえるのは嬉しい。幸いにして教室も2部屋あるしね。またシステム考えたら電話するよ」 「ありがとうございます!でもー、松ちゃん先生の塾が出来たなんて、なんかすごいなあー!絶対に繁盛しますよ!」 この時の台詞は残念ながら当たらなかった。その代わり、毎年生徒募集にヒヤヒヤするだけだった。 「ところで新しい塾の名前、なんて言うんですか?」 「『レッド塾』だよ。ブラック塾に対抗してね」 タメちゃんは、自分が雇ってもらえるとわかって、安心して電話を切った。 実は、同じ商圏にはブラック塾の教室があった。そしてそこには、大学院に行ったヌルオがまだ勤務していた。 塾を辞める当日、教室にヌルオがやってきた。そのあと起こった竹子先生との一件で、違う教室に移動させていたヌルオが。 「松ちゃん先生、なんで塾辞めるんですか?」 「自分の塾を作りたくなったから、それに・・」 「それに?何です?」 「あの会社は信用できない」 「信用?」 「いや、これ以上は勘弁してくれ。いろいろあってね」 「そうですか・・わかりました。でも、そうなったらおれと松ちゃんは敵同士になります」 「ああ、そうだろうな」 「潰したら、ごめんなさい」 「うん。そうしたらまた生き方考えるよ」
その電話を切ったあと、最後の研修相手となった、30代後半の元個人塾塾長の多田さんが出勤してきた。 もちろん、今日が最後の研修日となる。その研修が終わったあと、おれは言った。 「おれ、今日で会社を去ります。このあと多田先生は教室長候補として、別の教室に配属されるはずです。本部からの指示があるまでは、この教室に来て下さい」 多田先生は、煙草に火をつけながら言った。 「松ちゃん先生、独立されるんですってね?」 「はい。実家を教室にしてもらいました」 「それはいい。どうですか?ウチにまだコピー機があるんですが、20万円でお譲りしますよ」 黄色くヤニで染まった、古ぼけたコピー機が想像できた。 「いや、もうファミリーコピー機買っちゃいましたんで。しばらくはそれでいきます」 多田先生はその後もコピーの売り込みを続けた。 最後は3万円まで価格を落としてきたが、おれは丁重にお断りした。よほどお金に困っていたんだろうな。 最後に多田先生はムッとしたように、おれにこんなことを言った。 「生徒には週何回来させるんです?」 「は?」 なんでそんなことを聞くんだ? 「ええ、3〜4回は来ないと成績は上がらないんで、そのつもりなんですが」 「ふうん、今の中学生は忙しいからね。週2回くらいしか来られないと思うよ。第一、週3回だと月謝が払えないし、そんなカネがあったら大手に行きますよ」 なんだ?何が言いたいんだ?この男。 「松ちゃん先生、悪いけどさ。今の時代に個人塾なんて、3年で潰れるよ。このおれだって6年しか持たなかったんだ。若いあんたは外の世界を知らない。だから、忠告しとく。・・3年後の身の振り方を考えたらいい」 おれはその言葉を胸に会社を去った。最後の会話相手が、彼だったので。
続きはまた夜になります。
タメちゃんから電話を受け取った次の日に、もう彼女はおれの目の前に現れていた。相変わらず行動力のあるお方だ。 「わあ、ここが先生の実家なんですねー!広ーい!走れますよ!この中!」 しげ子は2Kをぶち抜いたワンフロアの教室で、はしゃいでいた。パーティションで区切れば、もちろん2教室にはなる。 「いやいや、せいぜい17、8人くらい入ったら一杯になるよ。これくらいの面積なら」 机はその時、8つしか入っていなかったので、スペースがまだ半分くらい余っていたのだ。 「そっか、今日は何人くらいの生徒さん来るんですか?」 「今日は3人かな。高校生二人が試験中でお休み。あとは、風邪が一人・・」 その数を聞きながら、タメちゃんはちょっと驚いているようだった。そして、今更のようなことを言った。 「先生、本当に一人でやってるんですね!」 「生徒少ないだろ?ま、先生は今日で二人になったけどな」 タメちゃんは少しキョトンとした表情をしたが、急に明るい顔になって言った。 「え?本当に雇ってもらっていいんですか?私、タダでもやりたいくらいなんで!」 「大丈夫。ちゃんと時給は出すよ。もちろん、ブラック塾の時と同じ額をさ」 「なんだか悪い・・」 「その代わり、まだ本当に生徒さんがいないから、週1回だけとりあえず顔出してよ」 「わかりました!どうしても辞めさせてくれない感じのところがあったんで、じゃあそこを続けて・・こちらには週1で来ることにします!」 「うん、仕事が増えたら、また日にち増やせるよね?」 「もちろん!その時はこっち最優先で!」 この時には、何かの役に立つかな?くらいに考えていた。例えば自分が病気になったときの代講とか。その思惑は、その後見事に覆されることになる。
なるほど、代講も予定に入れて 生徒が少ない時期から人を雇っていくわけですか。 そこが覆されるとなると気になります。
>>302 この時は、代講より仲間がいたほうが有り難いというニュアンスでしたね。
でも、一人でやる気は最初からなかったです。人が人を呼ぶわけで、何かしら役立つだろうと考えていました。
単価がある程度高かったのと、始めたのが実家だったので余裕もありました。
新しい看板、新しく塾が出来たことをチラシで何回か告知すると、夏休みの募集前には17人ほどに増えていた。 一度に12〜3人も生徒が来ることが当たり前になり、当時の自分の「スパイラル個別能力」では、正直しんどくなっていた。 タメちゃんの就職先も、この時期には決まっていたと思う。地元の事務用品を扱う会社だった。二人で近くの小さな居酒屋で祝杯を上げたのを思い出す。 「タメちゃん、やったな!おめでとう!」 「先生!ボールペン買って下さいね!」 「ウチみたいな小さい塾が買ったって、大して貢献しないだろ?」 「いえいえ!今からレッド塾が大きくなったらですよ!」 なんて会話をした記憶がある。結局その約束は果たせないまま、タメちゃんはすぐ結婚退職していくんだけどね。 話を戻そう。生徒がちょっとだけ多くなり、タメちゃんの需要もその頃は増えてきていた。 でもタメちゃんがまともに使えるのは、中学生の英語と社会くらいだった。 自分も文系出身だし、教科はかぶってはいたのだが、外部から新たに知らない誰かを雇うつもりもなく、自分は中学生理系と国語、高校生の英語専門塾という形態で細々と運営していた。 そんなある日のこと、翌日の期末試験の音楽が心配だという生徒が現れた。 校歌を歌わなくちゃいけないから、校歌の練習をさせてくれという。しかも、歌詞をなくしてしまい、わからないと。 自分は違う中学の出身だったから、これには困ってしまった。
おれは迷わずタメちゃんに電話した。もちろん、当時は「家電」だった。家の人からタメちゃんにつないでもらう。 「あ、もしもし、タメちゃん?」 「あ、松ちゃん先生?なんですか?今日はまさか・・私の授業日じゃないですよね!?」 「うん、大丈夫。そんなんじゃない」 「わー、びっくりしたなあ!ヒヤヒヤですよ」 「ゴメン。実はさ・・タメちゃんて、朝日中だったよね?おれ、デコ山中出身でさあ・・かくかくしかじか・・」 「ふんふん、え?朝日中の校歌ですかあ!?ええっ!」 「いや、無理ならいいんだ、無理なら」 一瞬溜めるように間を置いて、タメちゃんが言った。 「私、朝日中の校歌をクラスで歌うとき、ピアノ伴奏してましたよ!」
おれは急いでタメちゃんに来てもらいたかったが、1時間ほど待ってくれ、ということだった。 に、してもだ。前代未聞の音楽の個別指導だ。もちろん料金なんてかからない。これは面白いことになったと思った。 そのうち、その生徒がポツリと言った。 「松ちゃん先生、おれの友達にも校歌が覚えられなくて困ってる奴いるんだけど、ちょっと行って呼んできていい?」 「いいけど、先生もうちょっとしたら来るぞ?」 「大丈夫。チャリですぐ迎えに行ってくるから」 そういうと、どこかに行ってしまった。おれは授業に戻ることにした。
しばらくすると、外が何やら騒がしい。 タメちゃんが来たのかな?と思って開けてみると、見知らぬ中学生が3人立っていた。 「ここ、レッド塾ですか?」 「そうだけど?君たちは?」 ウチの生徒に呼ばれて、やって来たのだという。みんな緊張した面持ちだ。 下の階段から、またぞろぞろ上がってくる音が聞こえてきた。見ると、ウチの生徒とあと・・えーと、何人・・いるんだ? 「先生、ごめん。3人に電話したら、なんだか部活の連中、みんな来ちゃって・・」 総勢8名。みんなバドミントン部の中1らしかった。しかも、男子ばかり。 「あ、い、いいよ!全然!ただし、住宅街だから、静かに・・な」 「はーい」 みんな気を遣ってくれて、返事も小さめだ。中1だけあって、まだまだ素直だな。 それから、ウチの生徒に声をかけた。 「えーと、幸男。明日歌のテストがあるって・・期末試験だろ?どういうことなんだ?」 「はい、それが・・時間が足りないとかで、ぼくたちのクラスだけ、筆記試験の後に歌のテストがあるんです!」 なるほど。 それから初めて見る子が、続けて言った。 「ぼくらは歌のテスト、来週なんですけど、歌詞がなかなか覚えられなくて・・あ、これ、歌詞カードなんですけど。えーと幸男くんがなくしたって、電話で・・」 「あー、これが?わざわざありがとうね」 おれは歌詞カードを覗いてみた。
なるほど、そうか。 これを手に入れるために幸男は3人の生徒に次々と電話をかけ、3人目でようやく歌詞カードをゲット出来たんだな。 それから、今日の校歌イベントが面白そうだってんで、みんなご近所同士、集まって来ちゃったってわけか。 まあ、いい。そろそろ授業も終わるし、それが終わってから、30分の間に校歌を覚えていけばいい。おれは歌詞カードを全員分コピーし、席に着かせた。幸男以外は全員、非塾生。辺りをじろじろ見回している。 そうして授業が終わりかけた頃、ようやくタメちゃんが到着した。 「皆さん!お待たせしました!歌詞もイラスト付きでバッチリ書いて来ました!」 あちゃー、そうか。タメちゃんはオリジナル歌詞カードを作ってきてくれたのか!それで1時間遅くなったのか。 ごめん、タメちゃん。実は・・ 「え?もうある?・・・いやいやいやいや、いーんですいーんです!気にしないで下さい!あ、でもイラストまで描いたんだけど・・いやいやいや、いーんです!」 みんな気を遣ってタメちゃんのカードをもらうことにしてくれた。ありがとう、朝日中バドミントン部1年男子諸君。
>>301 しげ子は→タメちゃん
でしたね。気がつかなかった。しげ子はなんだかナイスキャラだったので、そのうちまた教室長編に戻ったときに出します。
教育ゲームソフトの仕事が入ってしまいました・・・そちらのシナリオ(問題とサブストーリー)も書かなくてはならなくなりました。 昨日はプログラマーの方と打ち合わせ。今日は高校生の合宿でした。しばらくこのドンガメペース、続きます・・
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/11/04(日) 16:04:37.58 ID:IDe/+nlTO
熱血先生、助けて下さい! わたしだけじゃなくって、教えてくれてた 先生まで、変な宗教に入れられちゃって、、、 「困ったなぁ…、無理矢理で、」って言ってたんだけど 鬱病になって辞めちゃったんだ 私、怖いよ、、、
「じゃ、早速みんなで歌ってみよー!さんはい、『あかーつーきーのー♪』」 タメコが冒頭を元気よく歌ってみたが、誰も歌わなかった。 「むっ?」 タメコの顔に戦慄が走る。教室はしーんとしたままだ。 「お、お姉さんが優しく言っている間に、うっ、歌わないとーっ!」 こぶしを振り上げて力説しているが、ダメだ。まったく迫力がない。中学生はニヤニヤしたり、ぼーっとしたりしているだけだ。幸男が言った。 「無理だって、タメコ先生。誰もみーんな歌えないから、今日はここに来てるんだってば!」 「あ、それもそっか。んーとね・・じゃあみんな、まずは歌詞カードを10秒だけ眺めてみてくれる?」 ん?なんだ?歌詞を覚えていくのか?10秒だけで?
「タメコ先生ー、いくらなんでも10秒だけじゃ、全部の暗記は無理でーす」 そうだそうだと、みんな幸男に賛同した。おれも同感だ。 「だーいじょーぶ!さあ、10秒経ったし、みんな歌詞カードを閉じて!」 生徒たちは不服そうにカードを閉じた。これだけで覚えられるもんか。 「さんはい!あーかーつーきーのー♪」 「あーかーつーきーのー♪」 おお、歌えた!しかし、最初のフレーズだけ。音程も合ってる。 「す、すごいよ!みんな!この調子だよ!じゃあ、また歌詞カードを出してみてー」 ガサガサと裏返す生徒たち。目を皿のように動かして眺め回している。 おれは、いつかしげ子が言っていたことを思い出していた。 (タメちゃんの持ち味は集中力ですよ、あれがヒントです) そうか!これは、使えるかもしれない!今、タメコが思い付いてやっているこの方法なら、どんな暗記物でも、詰め込めるような気がするぞ!
おれは、思わずタメコに聞いた。 「タメちゃん、これ、どこで思い付いたんだ?」 「どこって?ここです」 「は?」 「松ちゃん先生のやり方を真似しただけですよ。ショートステップ解説です」 そう言ってタメコは軽くウインクした。 ショートステップ式の解説はわかるが・・え、そんなこと教えていたかな? 「さあ、10秒経ったよ!じゃあ、最初からつなげるよ!さんはい!あーかーつーきーのー、デーコーやーまーにー♪」 生徒たちは、またも完璧に歌い上げた。そして、気がつくと、一番の歌詞はすらすら歌えるようになっていた。 その間、わずか5分。 タメコの歌詞の暗記法はこうだった。 1 まず最初に10秒だけカードをみて、最初のワンフレーズかそれよりちょっと先だけを覚えさせる。 2 カードを隠し、ワンフレーズだけ、自分が歌った後に歌わせる。 3 成功したあと、また10秒だけカードを見せて、少しだけ先に進めさせる。 4 また一番最初から歌う。今度はさっきよりも先のフレーズまで、やはり自分が歌ってから、生徒に歌わせる。 5 1〜4の繰り返し。 ポイントはどんなに先に進んでも、やはり一番始めに戻ってから歌い直すこと。やや、音程をとるのに苦労した子もいたが、必ずタメコが歌った直後に歌うため、ほぼ大丈夫そうだった。 今度は二番だけをさっきのタメコのやり方で歌わせ、さっきの一番と繋げてみた。一回で成功した。 最後に三番も同様に行い、さっきのように一番二番とくっつけて歌った。少し、歌い間違いがあったようだが、やはり同じく最初から歌わせると、二回目には成功した。 「君たち!すごいな!」 「これ、松ちゃん先生が考えたんですかあ?」 幸男が聞いた。タメコがうなずいて見せたので、おれは思わず 「そうだよ。おれが考えてタメコに伝えた」 と、言ってしまった。生徒は口々にスゲースゲーと言いながら満足そうに帰っていった。
「詳しく聞かせてもらおうか」 「へ?何をです?」 「まず、その前に・・タメちゃん、おれたちは仲間だよな?」 「もちろん!」 「じゃあ、なんで嘘ついた?おれはあんなこと教えた記憶はない。そりゃ、あの場ではああするしかなかったが・・」 それを聞いて、タメコはきょとんとした顔をした。 「松ちゃん先生、私、嘘なんかついてませんよ?」 「は?」 「教えてもらって、私が実行している勉強法を、ただみんなに披露しただけです!」 「だから、それを教えてほしいんだ。短い校歌だったとは言え、わずか30分・・いや、25分の間に、あれだけの内容を全員が把握できるようになった。 上手くすれば、これは画期的な勉強法になるはずだ。だから、教えてくれ。頼む・・」 タメコは右手をぶんぶん目の前で振りながら、笑顔で否定した。 「やだなあ、松ちゃん先生・・教えてくれ、だなんて。それって『個別指導で一番大切なこと』ですよね。たぶん、しげ子先生なら『松ちゃん先生〜まだわかんないんですかあ?ふふふー』なんて言ってますよー、きっと!」 タメちゃんは、しげ子の声真似をした。少しだけ、似ていた。 「あのブラック塾で松ちゃんが私たちに教えてくれたことは、勉強することは、勉強を楽しむということでした。それは・・『わかりやすい授業』とかではなく、その場で『わかるようにしてから帰す』ということなんだって、私たち学生講師のみんなで話し合っていました」 「ああ・・」 おれの中で、あの原先生を囲んだ研修の日々が鮮やかに思い起こされた。1対2個別で、原先生としげ子が感極まったこと。 平倉部長考案の「スパイラル個別」を完成させようとして行った1対4個別では、営業の浜口さんまでが、数学が出来るようになったって、喜んでくれたこと、など。 そうか、なるほど。おれはすべてを察知した。 「私たちは、それを真似しただけなんです。きっと、松ちゃんにとってはもう当たり前のことが、私たちにとっては新鮮だったんです!」 そうなんだな。彼女たちは。 おれは、強くショックを受けていた。なぜかはわからないが、涙が自然にこぼれてきた。それは、自分が苦労して勉強の苦手な生徒たちをみてきたことが、彼女たちのおかげで、ようやく可視化されたような、なんだか報われたような、不思議な気分だった。 「わかった。わかったよ。今ので謎が解けた。つまりはこうだ」 タメコは泣きながら説明するおれを、それからずっと、ニコニコしながら見守ってくれた。 「つまり、さっきの校歌の練習で、最初の10秒は『例題演習』だ。そうだな?」 黙ってうなずくタメコ。 「それから『問題演習』に入っていく。しかし、そこである仕掛けがあった」 タメコは黙って聞いている。 「タメちゃんが歌うんだよ。一度、そこで」 タメコは黙っている。おれは、話を続けた。 「あれで、記憶したことが復習されるんだ。一緒に歌う子の中には、上手く歌えたラッキーなやつもいれば、残念だったやつもいる。でも、そんなことはどうでもいいんだ。失敗なんて気にならない。なぜだと思う?」 「まだ・・繰り返すチャンスが次にあるからです」 「そうだ、それだ。それが、次の10秒のことだ。そこで生徒には、また記憶する機会が与えられる。それがあのとき君が言った『ショートステップ式の指導』・・」 「松ちゃんから教わりました。その間に、私たちは別の生徒の解説をまたショートステップ式にして、また元の生徒のところに帰ってきます」 「うん、それだな。それは正しい」 タメコは誉められてにっこりしている。おれはそこで一呼吸置いた。冷蔵庫に行き、ミネラルウォーターを口に含んだ。 「その間に、生徒はもう一度『見たい』と、思うんだな。歌えたやつは、更なる成功体験を求めて、歌詞カードを見ようと思う。できなかったやつは、次のチャンスに賭けようと、それこそ必死になって見る」
「覚えてますか?」 「何を?」 「私ができなかった、y=2x」 「覚えてるさ。あのとき、グラフを描かせたんだ」 「そうです。知りたい気持ちが、私にグラフを描かせたんですよ。あのときは夢中でしたけど、あのあとしげ子さんたちと話し合ったとき、あれは松ちゃんの作戦なんだって、聞きました」 「作戦?」 「はい、しげ子先生は言いました。わからない生徒には、いつもああするって。だから私も原先生に『イチゴの絵』を描かせたんだって」 ああ、それはタメコがファックス添削で描いた、イチゴの絵だ。あれがヒントになって、原先生が絵を描き、原先生も気づくんだ。あれが「導入」なんだって。 「個別指導では、わからない生徒がどんどん、やってくる。複数指導でも、それは容赦なく。そのときに、長々と解説をしていたら、とんでもないことになる」 「それじゃ生徒が、さばき切れません!」 そう言って、タメコはいたずらっぽく笑った。そしておれの話に繋げるように言った。 「もちろん、それだけではありません。勉強の苦手な生徒さんは、わからなかったことがわかるようになると、うー、嬉しいんですよっ。なんだかっ! ・・学校でわからなかったことが、ここだとわかるようになる。私たちは、それを少しずつ紐解くようにして、ショートステップさせるんです!」 「わかるよ。しげ子が君にやってくれた。y=2x+4は、君を、わずかながらステップアップさせたもんなあ」 タメコはまたニコニコし始めた。 「ああいう、小さな成功体験を生徒にはどんどん、積ませるんだ。それが一番いいことだ。勉強がわからなくなったことで、一番苦しんでいるのは、生徒たちなんだ。その彼らに、徐々にでいいから、ステップアップさせる。するとね・・」 「すると?」 「うん、さっきの校歌だと、先生と同じように歌える自分を確認することになる。勉強ってのはほら、ゴールがあるもんだ。正解というゴールが。彼らには、ひょっとしたら長らく見えなかったところかもしれないけど」 タメコは黙って聞いている。 「彼らは、その時どうなるかって、先生とね。『同じになる』んだよ。英文訳も、数式も、それ以上の答えなんてないからさ。ということは・・」 「ということは?」 タメコは次の言葉を待っている。 「再現できるんだ!次もできる、別の時間、別の場所でもね。それが今の25分間なら、最初の1分間でやったことが、それまでの連続した再現によって! ・・つまりほら、君が何度も最初から反復させて、歌詞を繋げたようにさ!」 「あれは、そうです。私、一度に覚えられないから・・」 「おれは、あれを見てタメちゃんらしいなと思ったよ。そして、見事に全員が覚えた。きっと、明日も上手くいくはずだよ・・あれは、タメちゃんがそうさせたんだ!おれはあれでつかんだんだ。そう、最後の答えをな・・」
タメコはびっくりした顔をして、言った。 「私が?私はただ、自分がいつもやっているようにしただけです」 「そうだ!それが最後の答えだったんだ!大切なのは『実感』なんだよ!」 「実感?」 タメコは首を傾げた。 「そう、実感だ。おれはそれにも、今の今まで気づかなかった。つまり、講師の実感が生徒にそのまま伝わるか伝わらないか、これが個別指導では、最大の鍵の部分だったんだよ!」 おれは、原先生がしげ子に授業に魅力を感じなかったと 言われたときのことを、思い出していた。あれは原先生にとっても、自分にとっても、大きな教訓だったのだ、と。 「そうか、先生がまず実感していないと、生徒には伝わらないんですね?」 おれは、最後にこうタメコに話した。 「うん、そうなんだな。『先生』とは、先に生まれると書くが・・先に実感したことを、後から生まれて来るあいつら『生徒』たちに、同じように・・実感させてまわる奴らのことだったんだよ!」 「なんだか、すごいですね。それって」 「なかなか大変そうな仕事だろ?」 「いいえ、私は楽しんでやってますよ?」 タメコは最後までずっとニコニコしながら、聞いてくれた。 タメコもおれも、これから先、きっと誰かに何かを伝えていくのだろう。別の時間、別の場所で。別の誰かに。 それがおれたちが自分たちで勝手に決めた役目だから。 本当に大それたことを言うなら、おれはそういうのが、実は「教育の正体」なんじゃないかって、密かに思っている。タメコには、もちろん言わなかったが。 おしまいです。長らくお付き合い頂き、ありがとうございました。また、どこかでお会いしましょう。ふろの
お疲れ様でした リアルでも忙しそうなのに、こんな所でも活躍してすごい このスレはdat落ちしないよう私が守る! だから好きな時に随時戻って来て下さい きっとみんな待ってますよ
>>317 ありがとうございます。激励本当に感謝です。金曜日からの高校生の合宿指導が終わり、今新幹線の中です。
dat落ちって、どれくらいでそうなるもんなんですかね?
ようわからんのです。
それにしても、最近電子辞書で盛り上がっている某スレは良い雰囲気ですね。良い情報交換会になっているのではないでしょうか。
最後は、今日からのハードワーク(皆さんもそうだと思いますが)に備えるために、多少はしょりました。ごめんなさい。雑になってしまったことをお詫びします。
いつか全体を書き直したものを、どこかで発表できればと考えています。
また、予告した教室長時代のサイドストーリー的なものが書けたらなとか、講師研修向けに漫画化してみたいなとか、半ば趣味のシナリオ書きですが、考えています。
(漫画家さんは、1ページ1万円くらいでやってくださると思うので)
高校生のときは、コピーライターを目指したり、デザイナーを志したり、シナリオライターをやりたいとか、いろいろ考えていました。あと、ニューヨークで芸術家になるとかね。
大人になって時代が進み、こうした場を頂いて、読んで下さった方が何人もいらっしゃったことは「歌ってみた」みたいなものですが、自分としては満足のいく、私の中では大イベントでした。本当にありがとうございました。ふろの
補足です。タメコとは、連絡とたまーに取り合っています。年賀状程度ですけどね。小さな英語教室を自宅でやっているそうです。 教員免許がなくても、独立して小さな塾をなさっている、彼女のような「おばちゃん先生(おっさんも)」は、巷で活躍しているわけなんですよね。その方たちへのエールと思って、最終話は書かせてもらいました。
>>316 最初の1分間でやったことが→最初の1分間でやったこととか
>>320 あっ
彼女、以前個人塾ちょっと来いスレに来てたんだよ!
そろそろ隠居したいので塾の譲渡を考えているとの事でしたよ。
でも
このスレには紳士的な方はいらっしゃらないのですね、
と失望し消息を絶ちました。
子供はいますがまだ孫はいないそうです
それでは16時から授業がありますのでこれで
あぁそのレス見た記憶あります あの人がタメコさんだったのですか 電子辞書の話はわたしも某スレで意見を書きました わたしは紙辞書派ですね ふろのさんはどうお考えか、余裕があればお聞きしたいです というかあの議論の発端はテキストが電子化したら みなさん塾でも同じように教材を電子化するのか?という話でした わたしはそれでも電子テキストより紙テキストのほうがよいと思っていますが
タメコをどうやって特定したのか?うーん、謎です(笑) 私は実際に今、タブレットでスカイプ、ラインを使用した授業をしています。 さらに、タブレットやパソコンを使ったゲームを開発中ですので、私は肯定派になるのかな? でも、個人的にはノートにガシガシ書かないとダメです。テキストにマーカーで線を引かせたりしますしね。 だから、紙のテキストがなくなるなんて自分には考えられないし、ノート提出も写メやスキャンしたものを、タブレットにメールで送ってもらっています。 そうすれば、薄くて読めない場合を除き、実際の授業以上の利点、すなわち『その子のノートを携帯できる』という新たな利点が誕生してきます。 私の生徒には海外の方を含め、他府県の方が毎年40名近くいますので、タブレットを使った双方向授業は今や必然です。 ですから、個人的にはタブレットがもたらす利便性(携帯&移動可)と情報量(ゲーム含む)、インタラクティブの特性(メールや双方向授業)が、今までのアナログ的な指導を補完するものと考えたらいいんじゃないのかな?と思うのですが。
>>325 う〜む考えてますね〜
結局あっちのスレでも一部の冷静な人は指摘していた通り、どっちが絶対とかじゃなくて、活用の仕方だな
>>326 そうだと思います。私の場合は、ネットでどんどんやんないと、もう仕事がないから(本当に)、全国化したわけです。
今も北陸と関西の内部生からメール指導の依頼がきました。それぞれ国立医学部と早慶&marchの受験です。
さらに小学生からは、内部生の灘中受験と、新たに東大寺学園中の受験指導の依頼がきています。これは、中部と関西の方です。
それから、関東の方からは本日3件の問い合わせ。・・いや、募集シーズンですね。
でも、私のいる地区からは、応募数ゼロなんですよ。悔しいけど、これが現実なんです。
田舎なら、田舎なりの戦い方がある、もしそうならば私のようなインターネットを使った全国展開もアリだろうと。
上記のいずれの学校も、私には実績があります。実績があるから、お客さんがくる、それに応えようと努力することもできる。
なけりゃないで、その子とチャレンジする。それが本来自然な姿だと思うのですね。
だから、塾本来の根っ子は変わらないはず。
それが設立数年も経たないのに、実績を出すために毎年努力するのではなく、生徒集めのためにポスティングしたりチラシ撒いたり、というのはおかしいと。
その人がおかしいのかな?と思って見ていたけど、話聞いてると、時代がやはり悪すぎなんですよね。
でもね、「どうしたら、生徒が来るか?」では、もう生徒が来ない時代に、私はすでになっているのではないかと思いますよ。これだけネット上で情報が張り巡らされている時代ですからね。
あとは年齢かな?私はまだ40代ですが、この世界では「現場からの引退」を迫られる年齢だと思います。だから「じじい」なんでしょうけど。
そういう歳を重ねた時に、何か伝えられるスキルがあれば、まだまだ生き残れるかな?と。だから、若い人には目先でなく、将来を考えて活動して欲しいな。
タブレットで指導を、という方向でもがくのも悪かないですが、本筋はマンパワーのあるなしだと思います。
この先生がラインで指導をしてくれるなら、やりたい!これが本来の使い方ですよ。
逆にラインで指導をしますよ!新しい提案です!でも、教えるのは学生アルバイトです・・では、底が知れます。
なるほど 貴重なご意見ありがとうございました 海外や他府県など物理的な距離が原因でのメールやスカイプ等の利用は 一理あると思いますし便利そうですね
>>328 聞いて下さって私も確認できました。感謝です。
本筋はマンパワーというところはほんとそう思います 自分は30代前半で個人塾立ち上げて2年目になりますが生徒数は4人です たしかにたくさん来て欲しいけど、とりあえず目の前の5人の成績を上げることに 尽力したいと思います
「目の前の4人」でした 失礼しました
>>330 4人、そうです。わかります!私は最初は7人でした。でも、アルバイトしてませんか?私はしてましたよ。
その4人に手厚くしてあげたら、良いことありますよ!チラシより実績と紹介ではないですか?人柄に集まって来ますよ!
>>333 震災前(10年の夏)に立ち上げて震災があって被災して一度生徒が0になって
そこからひとり来てふたり来て三人目が来て
そしてそのうちのひとりの子からの紹介でまたひとり増えて4人という感じです
頑張りたいと思います
自分では11年に再スタートしたつもりなので2年目と思ってますが
10年から通算すると3年目になりますね
今来てる子の妹が来年来る予定になってるので(親御さんが通わせるとおっしゃってくれて)
今度はその妹の友達とかがいずれ来てくれればと思ってます
またアドバイス頂きたいと思ったら顔出しますのでお願いします
ふろの版ホームページあるある ・実績の紹介は必要(こだわる人はやはり多い。というか、その学校に実績があるかないかで問い合わせが来る来ないがあると考えてよい) ・塾長や講師の顔写真は必要(誰が教えているか。好みのタイプもありますしね) ・ネット指導は、今後一般化する(特にスマホでのスカイプやラインを使用した双方向授業を打ち出す必要あり) ・PC&スマホ向けの教育ソフト開発(現在も小さな教室ひとつぶん以上の売上があります) ・高い偏差値を目指す場合、単価は高くなるから、そこのコースを充実(これが以前は逆の認識だった。上位層を目指す生徒は人数が少ないから、仕事にならない。そのバランスが少子化で崩れた。もちろん、自分のスキルを磨く必要あり) 私は今、こんなふうに考えています。ふろの
>>334 やはり震災でしたか。私も関東で仕事をしていますが、影響がありました。来年こそはよくなってほしいですが。
親御さんの御言葉が、先生への信頼度の高さを物語っていますね。ホームページはお持ちですか?
電子辞書の回答がまだでしたね。 私は実は電子辞書派です。 あ、スマホでWeblio辞書ですけど。 多義語の中から意訳に必要なヒントをもらっています。 それでもダメなら知り合いのプロの翻訳家に質問します。
>>323-325 http://archive.2ch-ranking.net/juku/1343230083.html#142 ↑レス61から登場してる。451が最後のレスかな?
生徒指導の真摯なスタンスや、長文+連投でアツく主張する点などは、ふろの大先生そっくり?
反感も買った一方、支持者も付いた点も共通だね
ただ!ふろの先生との決定的な違いは、
口論がヒートすると毒づきが激しくなる事
怒りが後からふつふつと沸き起こる性格なのか?2〜3日後にいきなり遅レスの反撃したりする事
このオマケが付いた分、叩かれ方は先月のふろの先生の比じゃなかったみたい(苦笑)
ま、理念もしっかり持ってて、いい仕事をするオバハン先生にも感じたので先生とウマがあうかもよ!
タメちゃんかどうなのか知らないけど、時間ある時ぜひこの過去スレ読んでみて
>>339 わざわざありがとう。今読んだ。塾の安売りはよくない。たぶん彼女の場合、単価設定で躊躇して、労働に見あわない売上で意欲をなくしたんじゃないかな。
塾の譲渡については、看板がしっかりしている中堅以上が引き継ぐ場合、生徒はそんなに逃げないんじゃないかな?もちろん、オバサン塾長についてきた人もいるわけだけども。 でも、どうなんだろ?よそに行くとまた入会金がかかるから、案外そのまま残ってくれそう。 そうなると中堅塾には単価を据え置きにしても、単純計算で300は利益がある。3割増にしても400。 となれば余剰社員を一人置いて、投資は看板とリニューアル費用だけだから、引き継ぎはやはり魅力的。ただし、オバサンが買い叩かれるのは間違いない。買い取り額はいいとこ30万円かな。 オバサンには、月に10万円くらいで動いてくれる人材を見つけることをお薦めしたい。それから、都内ならもうチラシはさほど有効でないはず。 ホームページで年間100〜150くらい問い合わせがある。ソースは都内の知り合い複数の個人塾。
そのまま残ってくれそうな根拠として入会金がかかるからってのはどうだろう。 入会金は所詮一時金なので(←個々の家計の事情にもよるけど)むしろ月謝や、もっとスマートな事言えば塾の中身こそが判断の根拠として大きいような。 >月に10万円くらいで動いてくれる人材を見つけることをお薦めしたい 譲渡ではなく、、、ってことか グッドな助言だね!所帯持ちのおっさん教室長でなく主婦や独身で有能な人材を見つけられれば、うまく自分の裁量を発揮しつつ続けられたかも。 >ホームページで年間100〜150くらい問い合わせがある。 「アクセス数」じゃなく「問合せ」自体が? すすすすごい 負けた... いやあそれにしてもこのおばちゃん、見知らぬスレに乗り込んでさんざん叩かれて終わる前に、ふろのちゃんと出会っていれば、とつくづくw
>>342 確かに。最初のは正論だね。譲渡先の誠意が感じられないと、やはり引き継ぎは皆さんが言ってたように甘くないかな・・
年間アクセスは、その時お聞きしたら皆さん15000〜20000件くらいだそうでした。これ、ノートを、とってあったので間違いない。
それから、ブログと連動させるといいらしい。ブログは検索の上位に来るんだとか。それから、電話はフリーダイヤルが必須らしいよ。あるコンサルタントの方が言ってたんだと。
でも、ここの 皆さんには釈迦に説法かな。
だいたい1/100くらいの人がそこからアクションを起こすみたい。ピーク時で1/50だったかな。
でも、震災前のデータだから、今はどうなんだろ?
>>341 塾の譲渡の相場ってどのくらいのものなんでしょうか?
>>342 今まで聞いた額だと、多くて100万円くらいだったかな?さっきのオバサンより単価は高かったと思う。月謝15000円〜20000円くらい。
生徒数はわからないけど、きっと50〜60人規模だったんじゃないかな。だから、だいたい年売上の1/10が相場なんじゃないかと自分は思ってる。あと、無償譲渡も結構あるらしいよ。
>>343 年間15,000〜20,000件か
同一客の重複や競合他社のアクセスを割り引いたとしても相当のもんだなこりゃ
ブログやフリーダイアルと言った知恵もそうだけどそもそも、一般の親子が検索してホームにアクセスさせるきっかけ ≒口コミ も、じっくり醸成して来た方々なんだろうねきっと
よっしゃ、見習わねば
震災の後ってやはりこの業界も経営的な影響大きかったのか
確かに小売もサービスも一次二次産業もご承知の通りの状況だがさ
うちは関東だけど入塾者も(そもそも接触者も)前年比大きく100超えだからさ、ピンと来んな
んでも塾生の保護者様方のカネ回りの変化は何となく感じられるがね 笑
やはりどんな時代でも・財布が厳しくても『教育』(の必要性)てえのは皆さん別次元で考えて下さってるんだ
それはうちらにとっては誠にありがたいお話だ
っと勝手に解釈してるんだが 笑
>>346 いやいや、成功者のお話ですね。そのご実感の部分を書き込んで頂いて光栄です。
348 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/11/08(木) 00:07:29.10 ID:t7V8gWiAO
熱血先生、前に先生が作成依頼されたとか言ってた脳トレゲームやってみたいです! 探してぜーったい買いますので教えて下さい(^O^) ハードはDSですかWiiですか?それともモバゲやNEOとかの携帯SNS?
>>348 残念ながら、脳トレではございません。ただのCD-ROM教材です・・。
350 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/11/08(木) 00:29:25.93 ID:t7V8gWiAO
そうなんだぁ ああ言ったゲームだったらパッケージやゲーム内で作者の顔とか出てきたりするし、先生のお顔も見られるかなぁとの考えも実は少し^-^; 残念!失礼しますた〜
興味持っていただいてありがとうございます。話し相手の方が、最近はよくいらしてくれてありがたいです。しばらくは、こちらに居させてください。
ゲームの話ですけど、今度で3作品目なんですよ。プロデュースして。こないだ初打合せだったんですが、デザイナーは単なる教材にしたくない感じでね。 私は教材が面白くなればいい、という認識なのに対して、彼は面白くなければゲームではないから、そこは子どもの目線に立つべきだと。 ハッとしましたね。私が指導で気をつけていることでしたから。 子どもの目線・・立っていそうでそうでもないんだなと反省しました。
なるほど 大人が面白い、素晴らしいと思うものが 必ずしも子どもにとって面白いものではない・・・ということですね 私が指導に使う教材は子どもがやりやすいことを考えて選んでます 説明が少ないもの 文字が大きいもの ごちゃごちゃしていないもの こんなところです
>>354 テキストの選定は、個人塾ならではのものです。
私も勤務時代は好きに選ばせてもらっていましたが、コースによっては選べない場合(ファックス指導やテストコースは専用プリント)があり、苦労しました。
個人塾は、そのあたりのフラストレーションがありませんよね。ご意見、参考になります。
最近、問い合わせが多い。皆さんはどうですか?
そんな変化ないのでうらまやしい 今の時期なら3年生じゃないですよね? やはり1年より2年ですか?
昨日は6人の問い合わせがあり、浪人生(再来年の入試チャレンジ)、小5が2人、中1、高2、小1でした。残り数ヶ月でのチャレンジ組はいませんでしたが、私は毎年受け入れています。
再来年のチャレンジって、もう今年度の入試での合格は諦めてと言うことですか? だとするとそう言うケースは請け負った事ないので分かりませんが、余程その第一志望校に行きたいって訳ですね “ふろのマジック”wをもってしても、今年度入試には間に合わない位志望校レベルと実力に開きがあるのでしょうか
>>359 マジック・・・鋭いツッコミありがとうございました(*^^*)
一年ちょいかけるのは、本人の希望なんですよね。私のことはご存じの方なんですが、何しろまだ本人に会ってないので。残り時間で何とかなるのか不安なようです。
それにこれ、実は資金のかけ方にもよります。
やはり、短期間でやるとなると、一度にかかる費用が半端ではありません。合宿を組んで、カンヅメにさせるからです。
時間を一年延ばせば、費用は同じか、やや高めになります。
実力については、ゼロの状態とおっしゃっていましたね。この言葉通りに受け止め、今から実力をつけるとなると、 英語の9割で2週間から1ヶ月、数学2つの満点を最低でも5日〜10日長い生徒は1ヶ月かかります。 さらに国語で2〜3週間。(これは75%でOKとし、計算できる理系科目で得点させる) 理科2つはまだ分かりませんが、一から暗記するとなると、3週間は必要。満点または9割でいったんよしにして、得点の上がらない科目に移行。 社会1つは頑張れば2週間で85%はいきます。あとは直前まで、しらみつぶし。 これらを組み合わせていき、二次を含め、残りの数ヶ月で、さて果たして何とかなるか?は・・ご本人さんのペースと忍耐力次第になります。 さすがに一日に7科目いっぺんには勉強できないですからね。一日に組み合わせる科目数(数科目やると、人によっては頭がごちゃごちゃして、かえって逆効果)と、一日に時間出来る時間によるわけです。 私の仕事は、24時間メールに張り付いて、データをチェック。指示を出していきます。テキストの選定も 全て自分の仕事となります。
何となく見えてきました。 個々の生徒さんの弱点とその子の受験科目を、24時間メールで分析―フィードバックし続ける。 教科力アップの具体的な指導は講師に任せる部分も大きいが、ふろのさんは コーディネーター として力を注いでいるのでしょうね。 別スレからも貴方が仰ってきた短期間の学力アップ・合格実績もうなづけます。 それでも恐らくまだまだ種明かしは全てでではないのでしょうね。 私も悪戦苦闘して高3秋からの大逆転に成功したり、結局振るわなかったりと様々なケースを積み上げてきましたが 少なくともそれ程の知恵と工夫は(プラス24時間不眠不休の根性も)発揮できておりませんね...。 理論上、短期で効果を飛躍的に上げるのは可能なんだと分かっただけでもこれからの励みになります。 ありがとうございます。。。
>>362 長くなりますが、種明かしはいくらでもします。
しかし、実際にこれをやる講師が、果たしてどれくらいいるのか?
生活者としてではなく、協力者として日常を全うする人間が、果たしてどれくらい残っているのか?
この業界の人間の良心と捨て身の精神に、私は今後も訴え続けたいと思っています。
さて、今日の話をします。
浪人生の数UBをみてきました。
昼1時から、つい先ほどの10時過ぎまで。
その9時間の間に、70点の状態から91点まで上げてきました。おことわりしておきますが、私は現代文の講師です。ですからこれは、誰でもできるやり方です。
方法は単純です。
前回の結果71点から、失点の多い苦手2項目に着眼し、それを黄色チャートで攻略します。
そして、
・明らかにできるもの・・○
・できるかどうか、やってみないとわからないもの・・△
・間違いなくわからないもの・・×
この3つに問題を仕分けさせ、△の問題だけやらせます。
基本的には「見ただけで解かせます」。
どうしてもわからないときだけ、メモをとらせます。
今回はだいたいの数値ですが
○が200、△が140、×が20ほどでした。優秀です。
この仕分けだけで最初の3時間を使いました。
これができることが優秀なのです。私はそう思っています。
入塾の際にも、そこを見ています。
偏見のない人間。すなわち、成績がいくら悪くても屈託のない上等な人間を、自分のペアに指名します。
次にいよいよ、△の問題を解いていきます。初めてこのやり方でやらせる生徒でしたので、最初はメモばかりとっていましたが、2時間ほど経つと慣れてきて、メモをとらなくなりました。ここで夕食。
全体が終わったのは、9時過ぎ。そこから、過去問にするか、もう一度復習するかは、本人の判断に委ねます。
彼は過去問を選びました。それから1時間ほどして出た得点が、先ほどのものです。
間違えた2問は、×に類するものでした。
つまり、最初から手がつけられないと判断したため、他の問題に専念できたと、彼は言っていました。
ここまで種明かしすれば、もうおわかりでしょうか?
彼は制限時間内に、見ただけで問題の難易度を判断し、簡単な問題はメモをとらずに見ただけで解き、できるかどうかわからない問題だけ、メモをとりながらじっくりと解いたのです。
以上が、私のメソッドの種明かしです。
そして私はただ、彼と9時間の間、マンツーマンで付き合っただけなのです。
あ、24時間不眠不休は、さすがにありません。 枕元にケータイを忍ばせ、鳴ったら起きて質問に答えます。消防士に出来て、我々に出来ないことはありませんからね。仮眠ですよ。まあ、2時過ぎると、さすがにメールもほとんどなくなりますし。 24時間営業は、理論上ではなく、実践レベルで可能です。
>>363 難易度の仕分けと△部分の強化を9時間かけて行なったのって
初回の数UB過去問(?)で点数を落とした2分野限定だったんだよね?
どの分野かわからないけどまあ仮に三角関数とベクトルとしとこう
この二つの分野の設問については、難易度を見抜く・不明確部分をマスターすると言う2点を見事成し遂げたのは分かるけど、
91点(素晴らしい♪)取った2回目のテストも、当然UB【全体】の範囲だよね?
そうじゃないと初回テストと比較にならないしネ
で、僅かに2問落としたのはやはり最初にピックアップされた苦手の三角関数、ベクトル部分のみ、と。
って、裏を返せば!苦手2分野以外の設問は(図形も指数対数も)、初回・2回目とテスト立て続けにミスなくパーフェクトに点数取ったって事かい!
それがオデレ〜タ
ゴルゴ13のような精密な仕事をする素敵な浪人生君だなオイ
っつか突っ込み処がズレててスマソ先生
コメントありがとうございます。 おっしゃる通り、素晴らしい才能の持ち主です。 7割に行くまでも、同じことを何回もしてきましたから。コツコツと。
あ、もちろん初見の問題です。それから、苦手箇所はベクトルと三角関数でしたよ。
ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!
>>363 >初めてこのやり方でやらせる生徒でしたので、
↑
↓
>>366 >7割に行くまでも
>同じことを何回もしてきましたから。
適当な事おっしゃるお方じゃないとお見受けしますがこれは、い、い、い一体どっちなんですかい
>>368 し、大変失礼しました。いや〜混乱を招き申し訳ありませんでした・・
・メモをとらせないやり方→初めて行わせた
・苦手項目を消していく→何度も繰り返した
です。
今日も、別の二ヶ所で特訓やってます。早くもUBで92点が、出ています!
ぼくは卒生です。去年3年生の時は駒澤の英米文1個きりしか受けなかったんですけど、 正直な話ちゃんと対策してなくて、でも今年は結構頑張りました。 現代文も夏に東京の予備校の講習にいって、きちんとノートも取って後で復習したら論説文はけっこう読めるようになりました。 でも小説は前よりましになりましたがまだイマイチ分からないです。 親と話をして、二浪はできないのでたくさんの併願校も受けさせてもらえる事になりました。 先週テレメールというやつをもらって駒澤の願書を取りよせたけれど、ふつうの試験と別にセンター試験利用枠と言うのがあるのを知りました。 でも昨日聞いたのですが、それに出願するためには大学入試センター試験というものを受けなければならないそうです。 なのでそのセンター試験というのを申し込みしたいと思っているんですけど、どこに行けばうけつけてくれますか?
>>372 もうセンターの出願期間は過ぎてしまったよ。一般でいくしかない。赤本を頑張ってね。やり方教えようか?
こんな自分にわざわざお返事ありがとうございます。 ショックです!!でもさっき連絡をとれた後輩もおんなじ事言ってました。もう応募できないんですね? 高校といっても通信制で、去年先生たちとそんなに話をしてきた訳じゃないので、頼れる人がいないみたいな状態です。 赤本は買いました。でも姉はきそ力をつけてからじゃないと過去問入っても意味ないと教えてくれたので、確かに解こうとしてもすぐパンクしてしまう(とくに英語。。)なので、そうだよなあと思いました。 ただ夏休み冬休み帰ってきた時くらいしか会えないのでアドバイスをあてにしてられません。 しかも姉ちゃんはもともと自分には絶対ムリな所で理系学部(2年生)に入ってるほど頭がちがうので、 はたしてオマエ(僕のこと)のレベルに合ったアドバイスなのかズレてんのかも知れないぞ? と人に指摘されたこともあって、不安です。 先生のアドバイス!正直、ほしいです。でも、おいそがしい先生なんですよね?! だからご迷惑になるのは苦しいので先生のお仕事に差しつかえない簡単な助言だけでもとてもうれしいです。 よろしくお願いします。
375 :
>374 :2012/11/11(日) 21:47:47.65 ID:Ozv54aoP0
以前インターネットで質問したとき、情報詳しくないと答えようがないだろてさんざん怒られたので、思いつくこと書き足しますね? 英語は8月の河合塾全等模試で200点満点の35点で、偏差値は42でした。問題ごとでは、文法・語法だけは平均いきました! 学校ではSVOCとかって表現使わなかったから昔はすべてが混乱した(でも懐かしい思い出だ)。 でも今は不定詞も動名詞も分詞構文も頑張ってかなり分かりました。時制はまだ理解できない難しい問題にも当たる時あるけど、だいぶ見えて来たような。 なのに、なのに長文問題2問がひどくて。解答解説見て全訳を呼んでも、節と節がこう組み合わさって、この句がここに係って・・・とか言われてもその場でやーーと理解するのが精一杯で、自力で読みとる自信ない。 でもめげずに一文一文、文法とか考えながら読み解くよう復習のときは心がけてます。 あとそうだ、最後の英作文問題は零点でした。 国語は37点/200で、偏差値は38.4。うわー。 設問でみれば、評論文は平均に届きそう。小説と古文漢文問題は、はずかしくて言えない。古文は上の英語と同じような状態です。活用形も活用の種類も教科書でさんざん覚えたつもりだったけど、いざ文章の中で見抜けない、テストの答え見れば納得すんのに・・・・・・悔しい。 もっと前のマーク式の模試は、これよりかなりマシな偏差値とってました。 本当に思うままに書いちゃったけど!参考ならなかったら申し訳ありません。よろしくお願いします。
>>374 わかりました。話を整理しよう。
志望校の入試に必要な科目は?
忙しいのは、この業界の人なら全員忙しいから平気だよ
ふろの式の英単語のやり方は知ってる?
378 :
375 :2012/11/11(日) 22:32:59.26 ID:Ozv54aoP0
>>376 ありがとうございます!
英語100点、国語は(現代文古文のみ)100点、日本史B100点で300点満点です。
379 :
375 :2012/11/11(日) 22:34:46.22 ID:Ozv54aoP0
ふろの式?すいません!分かりません。どういうものですか?
自分は、勉強できなくて困ってる人間の味方だから、なんでも安心して聞いてね。 ただ、ここだと必然的に公開質問になるけど、それは問題ないかな?単語ミス数データも教えてもらわないといけないけど。
>>378 日本史は、山川出版社の詳説日本史ノートを用意しといて。
383 :
379 :2012/11/11(日) 22:41:45.65 ID:Ozv54aoP0
>>380 はいありがたいです。見られても特定される訳じゃないと思いますので答えさせて頂きますよ!
ただ、
自分はその、データとか取った事ないんで、自分でも分からなくて答えられないものとか出てきそうな予感
現代文と古文は、河合塾のマーク式基礎問題集を用意して。 古文はほかに、旺文社の文法全解更級日記をAmazonの中古で。あとは、助動詞表は、接続型別に分類されてる? 未然形接続型の助動詞なら、「る・らる・す・さす・しむ・ず・む・じ・まし・まほし」みたいに。 これで準備OKだ。
>>383 大丈夫。とりあえず、英語ができないのは単語数が足りないから、これを作ろう。ターゲットはない?なければ違うのでも構わないから、本の名前を
更級日記は鈴木由次著だよ。菅原孝標の女(むすめ)が作者だけど
387 :
379 :2012/11/11(日) 23:03:30.33 ID:Ozv54aoP0
わあありがとうございます。 日本史と国語のはインプットしました!アマゾンも利用できるんでなんとかします! 助動詞表は僕のそいう風に分類されてますよ。未然形は11種、連用形は七種、、、 英単語って大事なんですね〜 速読英単語 と言うのとシステム英単語と言うのをこころみて、挫折した事あります。 基本!長文に出て来た単語をその都度しっかりおぼえれと言われてきたんで、それに集中するようになってました。 ダメって事ですよね。 すみません親が帰ってきてしばらくパソコンから離れますが、また来ます。 本当に嬉しいです。親切にありがとうございま
>>387 ええとね、単語はまずシステム英単語の単語を1500やっていきます。
手元に準備ができたら、1-20までの単語の日本語訳を口頭でテスト。
間違えた単語は縦に
1-20
1
2
3
5
6
7
8
9
10
11
13
15
16
17
20
と、ノートに単語番号を書き出します。ここまでやってもらえますか?
あと、速読英単語は第4版?第5版?
あと、親切なんじゃないよ。君が聞いてきてくれたからだよ。
今日は来ないのかな?
>>387 です大変遅くなりました。ごめんなさい!
システム英単語かなり探したんですが、見つかりませんでした。
買ったのはたしか去年からおととしくらいです。
速読英単語のほうは、改訂第4版@必修編て書いてますよ?なんか違うんでしょうか。
>>388のテストってかわりにこの速読英単語の方でやってもいいですか!?
ただ、、、第一章 古典を読むというやつは20個の単語が取り上げられてますが、第二章行間への書き込みのすすめの見たら20じゃなくて41単語ありました。
今こっそりPCを立ちあげたんですけど見つかったらうちの親まじめに恐いので、いったん部屋戻ります。また来ます。ほんとうにすいません!
パソコンが見られないのかあ。しんどいね。 ターゲット1900を中古品でも手に入れられないのかな? 第4版? 1の英文のサイトトランスレーション よく理解すること、2、3の作家や2、3のテーマに対する、は より価値がある 表面的な知識よりも、多くの 多くの点、ひとつのお話の中の、は、めったに現れない あなたがそれを読むときには、初めて。 だから、あなたが若い間は、 考えなさい、本について、友達として 取り入れなさいそれらを、あなたが取り入れるように、ペットを あなたの家族の中に そして 費やしなさい、時間を リラックスしながら、それらと。 ここまでを日本語だけ、5回音読し、 それから英文を見て感想を下さい。
速読英単語は、ターゲットなどで覚えた単語の演習用に使います。 自分はそのターゲットの1-1500がいかに重要か、あちこち説いて回っている人間なので、それからそれてしまうと、私を起用する意味がなくなってしまいます。 わがままを言うようで申し訳ありませんが、単語単体型の参考書を入手して下さい。お願いします!
こんにちは。質問してよろしいですか? 先月あたりから学校からシャーペン使うなとセンターに向けてエンピツ慣れを指導されてますが、 『受験案内』見たら確かに解答マークはHB・H・Fのエンピツでとなってますね。 ただ実際センター本番で 「計算メモだけでなくマークもシャーペンでやったけど何も言われなかった」 と教えてくれた先輩も結構いるのです。 はっきり言って計算時にシャーペン、マークする時はエンピツ、といちいち持ち替える習慣が付くか 心配です。そこで戸惑って力発揮できなかったら。 ならば馴染んで来たシャーペンで全てを済ませたいとも思うんですがそれでも大丈夫でしょうか? とは言っても退場、無効食らったら今までのすべてが水の泡だし。
>>395 すみません、鉛筆しか眼中にありませんでした。もし、シャープペンシルなら、故障に備えるため、最低二本は用意しておいたらよろしいかと。鉛筆は10本用意するようにいつも伝えていました。
当日の注意事項なら、傾向が変わってないか、一通り問題を全部めくって確認するとか、マークミスに気を付けて下さい。
>>396 故障に備える
なるほど、ですね。
ご回答ありがとうございました。
今日はどんな書き込みが・・?
そうやって過去問9割まで仕上げていくってスゴいよね どこぞの宗教組織ばりの何時間も拘束の修行みたいだが (あらら言い方悪かった!) ただそれは信頼関係が確立してるからこそできるんだろね その生徒さん達、先生の事信じてなければまずそんなチャレンジしようとも思わなかったろうし逆も真なりだわな
で、気を悪くしたらごめん そう言った直前期の短期詰め込みって生徒さん皆“定着”してます? 本番までに、入れたモノが流れてしまってたりとか イヤ俺は苦手科目は言うまでもなく得意科目であろうともね 礎となるものを高2、遅くとも高3夏前までにインプットさせとかんとと思ってるスタンスで 今どきはマーチクラスでもナメてかかれん難易度だしね 自分の引き出しを整理して実戦で的確なもんをうまく出せるか それ以前に引き出し自体が少なけりゃ話にならん 引き出しの中身は時々確認(復習)しないと見当たらなくなっちまう 固めるもん固めた上での実戦力トレーニングの期間、必要なんだよねホントなら
>>402 きちんと詰め込んだ生徒は、実際にはそのまま本番でも全部9割かそれに近いくらい取って合格します。例えば昨年は法政に10月からセンター利用で合格しました。青学、明治はダメでしたね。医学部志望の3人も、11月以降に3人お預かりして、9割程度にさせました。
定着させるまで、教室かホテルにカンヅメにさせますからね。どこの赤本を解いても合格点に乗る感じになるまで。女性は基本無理ですけど、今年はご熱心な母親とホテルにカンヅメでやってる子がいます。
復習もさせます。例えば単語1500個は毎日テストさせます。社会と併せて4000項目は、2〜3日に一度確認テストさせます。ただし、国語だけは、時間との戦いになります。
おっしゃることわかります。信じてくれない生徒は辞めていきますから。先程のような直前生5人のうち、1人は辞めていきました。「修行」ですから、脱落者はやむなしというスタンスです。
>>402 詰め込んだ後のトレーニング、それ込みで送り出していると思っています。
しかしながら、高3夏前までにしっかりと実力養成する先生なら、それは生徒さんには頼もしい存在ですね。 そこから、定着化する時間と手順をお持ちのわけですから、私よりベテランの方かな?
>>403 ほう素晴らしい
それは本当に短期で実力がついた証しだね
しかしセンター利用もボーダーが高くなって個別以上に油断ならんよね
>>404 先生なら当然そうなんだろうな
こりゃまた失敬!
>>405 いやいや読ませて頂いたが先生には全くもって勝てんですわ
そりゃ1、2年次から来てくれてた生徒には、かの手順で徹底的に叩き込み?結果出して来たつもりだがね
でもやはり毎年高3の途中からどうしようもなくなり駆け込みって子は少なからずいるからね
そう言う、時間がないってパターンの生徒には
例えば得意で二次でも使う科目ならセンタ対策はスッパリ切るし、
不得意科目でセンタのみ受験科目は10月までに礎を固め、11月までに応用力、12月までに実戦力、
ってほらほらその分野は全然だめじゃねーか、再び基本に立ち返れとか
他の生徒達の“凝縮”バージョンなだけにバタバタだやね
大体こんなの一例であって現実は、個々の生徒の得意不得意、受験科目と配点、一次と二次配点バランス、皆違って来るから戦略も百人で百通り・・・
良くも悪くも、あり過ぎる位!やりがいある仕事をまあ続けて来られたってもんだ
>>407 早速の書き込みありがとうございます。先生の日々のご努力がひしひしと、まさにリアルに伝わってきました。私よりきっと沢山の人数を救っていらっしゃるのだなあ、という気がいたしました。心から立派だと思います。塾の先生はやはり偉大です。それを再認識いたしました。
私の場合、センターの苦手科目で、二次でも使う・・なんて生徒がほとんどですから・・親御さんにも頑張ってもらって、マンツーマンに近い形でセンター以降に合宿します。10日間くらい、足りないときはもっと。そこで二次でも通用するようにしないといけません。
まさしく、先生がじっくり育てられたような生徒さんに奇襲で戦わなくてはなりませんから。
叩き込む、この一言に凝縮されていますね。
さて、今日はどんな書き込みが来るかな?
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/11/16(金) 01:34:44.57 ID:8x4efRoy0
書くことも思い付かず恐縮ですが、いつも覗かせて貰っています
>>407 こうして書いて下さってありがたいです。ちょっとした会話でも、ないよりはあったほうが面白いじゃないですか。
この時期は夜中にメールや電話ばかりしています。生徒がメンタル面でピンチになるから。
ないよりは、あったほうがいいのです。ありがとう。
また安価間違えました。
読んで下さっている皆さん、ありがとうございます。 現在、合宿中です!
頑張ってください 身体を壊さないよう
>>415 ありがとうございます。もうすぐ終わります。疲れましたが、あなたの書き込みで吹き飛びました。明日は900キロメートル離れた教室で、また授業です!
移動中です。グリーン車で爆睡が基本です。
今、小説の第1話を書き直しています。
419 :
ふろろ :2012/11/21(水) 23:54:32.34 ID:vV0aUSf60
来月新潮文庫から発売の予定なのでみんな買ってね
>>419 書き直して、講師研修用の読み物にする予定です。
421 :
米倉涼子タソ :2012/11/23(金) 23:46:59.63 ID:pI7If5C+O
俺さ、ライティングは自信あるんだけど、リスニングがどうしても苦手で。 藁にもすがる思いで、一時期よく宣伝されていた英会話教材を注文しちゃったよ! 雑誌やTVであれだけ出てたんだから、うまく使えばきっと英語を極められるよね と信じたい。。。。 しかしコレって聴くだけで上達するんですかね!? おい英語教材よ、 なけなしの金でお前を買っちまった以上、もはやお前を信じて突き進むしかない。 頼むぜ! 家出のドリッピー
>>421 オーソンウェルズの?懐かしい。雑誌の広告だよね。睡眠学習マクラとか、セッチマとか、透視メガネとか、あとなんだ、ブルワーカー、ドラキュラの手が出てくる貯金箱?いろいろあったなー。
セッチマ。歯が白くなる練り歯磨きでしたよね?懐かしい 背が高くなるとか視力が良くなる教材(?)みたいなのも流行りましたね
>>424 私が覚えているのは体操みたいなののマニュアル本でしたね
英語の点出なかった子が182点出したよ。過去問で。
初めての海外旅行で “得意の英会話を今こそ役立てよう!” と張り切っていた日本人観光客。 しかしニューヨークの空港に降り立った途端、酷いめまいがして倒れてしまった。 通報を受け、医師が駆けつけて日本人に話しかけた。 "How are you!?" 日本人は、かすれる声で答えた… "I'm fine thank you, and you?"
【改 さらばブラック塾】 平倉部長考案(一部しげ子&トウコ)のスパイラル個別は、その後無事採用され、ブラック塾快進撃の原動力となった。 教室に一体感を与える独特の雰囲気が中高生を中心に大当たりし、1対2個別からの鞍替え組が続出。料金をほとんど変えない作戦は大成功だった。 チラシも効果があったようで、冬期講習を前に、おれの教室は過去最高収益をあげつつあった。その当時の人数の内訳は ファックス指導70名 少人数指導29名 1対2個別17名 スパイラル個別45名 と、計161名を擁する大教室に変貌していた。もちろんこれは、浜口さんや藤森先生たち、営業部の努力も大きかった。 上の表でもわかるように、平倉部長肝入りのファックス指導部門とスパイラル個別部門がずば抜けており、改めて平倉部長の力量に誰もが感服していた。 上記4部門を管理しているおれの教室「ハゲ山朝日教室」の評価は、本部や教室長達の間でもうなぎ登りだったらしい。もちろん、ヤング教室長のおれにも注目は集まった。 でも、実質的には平倉部長のアイデア通りに、自分は動いたに過ぎない。もちろん、そういう声もあった。松ちゃんは平倉の傀儡だと言われていたらしい。(唯一スパイラル個別は、タイゾウ先生と、この教室のみんなの手柄だと思われていたみたいだったが) だが、おれもその通りだと思っていたから、別に腹など立たなかった。平倉部長の良いと思ったら、旧部門から新スタイルの指導に切り替える判断力には、自分も大いに見習うものがあった。 例えば、こないだの平倉部長考案の1対4のスパイラル個別に触発され、新たにこんな指導法はどうかな?こういう時間配分ならどうなるんだろう?とか、色々考えるようになっていた。 そのうち、松ちゃんが平倉部長の指示を受けて、一体どんな指導をしているのか?ちょっと見てみたいから来てくれ、と、いろんな教室にゲストとして招かれるようになった。 ブラック塾では前にも言ったが、「ヘッドクォーター制度」と言って、一人の先生が各教室をぐるぐる回って教えるシステムが存在していたから、こういうのは別に不思議ではなかったのだ。 他の教室でスパイラル個別が開講した時、体験授業を代わりに任されたり、新規出店したときには無料テストゼミを開き、集客に一役買ったりもした。ただ、どこに行ってもその時仲良くなった生徒に 「この塾に入ったら、松ちゃん先生が教えてくれるの?」 と言われるのだけは辛かった。でも、おれはヘルプで来たなんて言えないから、「まだわかんないけど、おれもみんなの担当になれるよう、上に言ってみるよ」とウソをつくしかなかった。万に一つも、その可能性なんて、ないのに。
さて、そんな風に全てが順調そうに見えたとき、ウメコ先生(28)が竹子先生(26・人妻4年目。学生結婚だったらしい)から軽いいじめにあっていると訴えてきた。 いじめだと?はて・・そんなふうには見えなかったが? ただ、この当時の空気は、今からだと考えられないかも知れないが ?? オールドミス ?? と言って、アラサーは結婚していないこと自体が弱味だったのだ。「30代女子婚活中」なんて都合の良い言葉もない時代だった。 そうした中、竹子先生が何か傷つくようなことを言ってしまったのかもしれない。 事の発端はこうだった。ある日ウメコ先生が、泣きながらおれに言ってきたのである。主婦の竹子が 、自分の結婚生活を自慢してくるのだと。 おいおい、竹子先生は、夕飯のメニュー何にしようとか、ダンナの悪口しか言ってねーだろ?と思ったが、うーん、ひょっとしたら、竹子先生がそこで何か失言したのかもしれない。 色々と考えながら、おれはウメコ先生を面談室に呼び、細かく聞いてみたが、どう考えても竹子先生は「シロ」だった。 話を総合すると、どうやらウメコ先生には、既婚者の日常はなんだって自慢に聞こえるみたいなのだ。 とにかく彼女にとっては、「ダンナの世話があるから先に帰らなきゃならない」という立場の竹子先生が羨ましいのだった。 もう、こうなると被害妄想としか言えない。おれは出来るだけ丁寧な口調で言った。 「ウメコ先生、あの人はパートだから、あなたより早く帰る契約なんですよ。Bの時間帯に小学生の少人数をみているのはそのためです。1時間だけの指導ですからね。それに、給料も正社員のあなたの半分もないし、保険もないんです」 と言っても、自分が忙しい中平然と主婦特権で帰る竹子が気に入らないと。主婦特権て何だよ。 「ん〜わかりました。本部に話します」 とウメコ先生に言ったら、 すでに社長に伝えていたみたいだった。だったらなんなんだ、おれの存在は。 いや、要するに、彼女の希望は「ほんの1時間早く帰るだけ」なんだけどね。こうして書くと冗談みたいな話だが、これ、本当にあった話。 あとで解ったのだが、ウメコ先生はどうやら、早く帰ってショッピングが出来る竹子先生が羨ましかったらしい。 ?? ウメコ先生は次の日社長に呼ばれ、事情を聞かれた。 そこで食い下がったが、しばらくして却下された。 正式に却下されたんだから仕方ない。 しかしこのことは、わがブラック塾グループ内の噂になってしまった。 松ちゃんの管理している教室は、1時間早く帰らせろと社長に直訴する変な女がいると。 ところが数週間が過ぎると、なんとこの決定が覆された。なんでも本部の一部の人間がウメコ先生をいたく気に入ったらしく、 ?? なんと本部配属になってしまったのである。 ?? 本部の事務職なら、確かに1時間どころか、昼間勤務だからもっと早く帰れる。6時には退社出来る。 早番の社員講師(電話番兼務)は教室長以外はBの授業(午後7時半終了)が終われば報告書作成などの残務の後帰れるが、それでも8時は超える。 ?? おれは当時若かったのでよくわからなかったが、この件については、ウメコ先生には「枕営業」の噂があった。 ?? ターゲットとなったのは人事にも影響があるという世渡り上手なイケメン講師、そう、タイゾウ先生(31)だった。
なっちゃんには、部長か誰か手をつけちゃいましたか?
>>432 なっちゃんのその後については、何もわかりません。すみません。
タイゾウ先生は、受付嬢のなっちゃん(19)とも噂があったが、こちらも真偽のほどは定かではない。 とにかく、タイゾウ先生はどの女性スタッフにも人気があった。日常の気配りが利く、なんでも相談に乗る、誕生日を調べておいて、小さな花束を渡すなどサプライズ演出する、などのイケメンがやれば効果抜群のありとあらゆることを、全ての女性スタッフに対して実行していた。 さらに、タイゾウ先生には田舎に病気の母親がいて、都会には住んでいないこと、毎日の行き帰りは高速道路でクルマはソアラであること、母親の面倒をみるためにいつもは必ず定時で帰り、 ヘルプが必要な時だけ教室を回るということ・・そうしたギャップや感動エピソード、さらには講師としては特別なエース的存在であるということも、タイゾウ先生の価値を高めていた。 そう言えば、ウチの教室に来てくれていた何日間かも、完璧に仕事をしていた。あのイケメンでありつつ実直な姿に、女性スタッフは魅せられているのかもしれない。 また、一方で社長からも気に入られていたから、こうした噂は半ばタブーみたいなものだった。 イケメンとは何かにつけ、得をするものだ。 ある時、本部に研修に行ったら、教室勤務時代とは見違えるくらい、生き生きとしたウメコ先生がいた。 んでもって案の定、タイゾウにラブラブ光線も出まくりだった。さすがタイゾウ先生、女心を鷲掴みである。 でも、きっとただの片想いなんだろうな。枕営業が事実だったとしても。本部入り出来たのも、きっと社長のいつもの気紛れなんだろう。 しかし、ウメコ先生はきっぱりとおれに言った。 「私、あの教室のみんなには悪いけど、ここの方が自分に合ってるというか、毎日充実感があるの!仕事が楽しみの一つになっているというか・・」
今回の話にも、なっちゃんはほんの少しだけ出てきます。
そうか、本人が幸せならそれが一番だよなあ。それにしても、ここはいつ来ても華やかだ。とにかく女性スタッフがやたら目につく。ま、浜口さんや藤森先生ら営業マンが日中はいないせいもあるだろうが、とにかく女性スタッフにより運営されている職場という印象だった。 その後、ウメコ先生とタイゾウ先生の間に進展があったという話はついに聞かなかった。それもそのはずだ。スパイラル個別成功のお祝いに、浜口さんと二人で一度飲みに行った時に、おれはこんなことを教えてもらった。 「松ちゃん先生だから話すけど、彼ね、結婚してるんだよね。実は」 「は?」 おれは最初冗談かなんかだと思ってた。しかし、実家から高速道路使って通っていることも、定時に帰り、病気の母親の面倒をみているというエピソードも全部嘘で、 真実は郊外に持ち家があり、お子さんはすでに中学生だということまで判明した。年齢も31歳ではなく、37歳だった。 「でも、内緒だよ。知っているのは平倉部長と僕だけだから」 「うわ、なんでみんなには黙ってるんですか?ウメコ先生だって、今やタイゾウ先生目当てで本部に来ちゃったようなもんですよ?かわいそうですよ!」 「うん・・じゃあ少し話すけど、タイゾウ先生は社長のお気に入りだとみんなは思っているだろうが、そうではないんだよ。タイゾウ先生を連れてきたのは社長本人なんだ」 なんのことか、さっぱり解らない。社長がデタラメな面接をするのは知ってるけど。 「ど、どういうことですか?」 「ウチの社長はね、ホストクラブも経営してるんだよ。タイゾウ先生は、そこのナンバーワンだったんだ」 な、なんだって!?おれの中で何か大切なものが崩れた感じがした。 「つ、つまり、これは全部社長の指示?さ、策略?」 「そうなんだよ。前社長から引き継ぐことになった時、条件があったのさ。それは、今後人事は全て自分が引き受け、ブラック塾にトウがたってしまって使えなくなったホストをねじ込ませること」 「つまり、そ、それって」 「テレアポ部隊を含む営業部隊はね、藤森君を除いてほぼ全員元ホストなんだよ」 「ということは、浜口さんも!?」 浜口さんはそれ以上、笑って何も言わなかった。 「それより、松ちゃん先生も営業部の飲み会に一度来ないかい?みんなの中では、すでに伝説の存在だよ?スパイラル個別快進撃の立役者として」 「い、いや、遠慮しときます」 ホストに囲まれる自分を想像して、おれはゾッとした。 その日おれは、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がした。 ・・ということは、この塾は女たらしの集団てことかよ?そうか、だから原先生も藤森先生も、最初営業部からパスされたんだな。 いや、しかしどんな営業してるんだ、営業部隊・・。
「あれ?松ちゃん先生、ひょっとして、ホストの集団に囲まれて飲むの想像してる?」 図星だった。そんなところに出向いて、一体誰得なんだよ? 「え?違うんですか?」 「お忘れでないかな?営業部にはね、女性スタッフのテレアポ部隊もいるんだよ。もちろん、今回の話はそっちだよ!あ、本部からはウメコ先生やなっちゃんも来るよ! それから、君はまだ知らないかも知れないけど、新しく入った会計の山崎さんも。この子もなっちゃんと同じ学年で、確か20歳だ」 「なっちゃんは・・あれでしょ?タイゾウ先生と付き合ってるんじゃないんですか?」 ここで、浜口さんはニヤリと笑って言った。 「タイゾウ先生はそんなことはしないよ。絶対にね」 どういう意味かよく解らなかったが、おれは行く約束をしてしまった。 さて、話をわが教室に戻そう。 竹子先生はおれの教室に取り残された格好となり、それはそれで気に入らないらしかった。 竹子先生は当時、ダンナに満足していなかったのだろうか?大学野球部のキャプテンとマネージャーという、よくあるパターンで結ばれたカップルだったらしいが、今も大学時代のメンバーと草野球チームを組んで、週1回の練習と試合は欠かさず行っているとのことだった。 もちろん、日常でも仲間と毎晩のように飲んで帰る毎日だったらしい。 おかげで結婚4年目にもなるのに、子どもがいないのを悩んでいた。 それだからよくわからないが、イケメン講師のタイゾウ先生とウメコ先生がラブラブらしいとの噂に、一人でぶちギレていた。ただの噂だったが、真実を知るおれは何も言えなかった。 竹子先生は、なんであのババアが、と平気でババア呼ばわりしていた。2つしか歳違わないのにね。 それからしばらくして、学生講師のヌルオから相談事があると面談室に呼ばれた。(この面談室はよく使った。ウメコ先生から早く帰りたいとの相談を受けたのもここだった) 「なんだよ?話って」 「松ちゃん実はおれ、竹子先生にアタックされてるんだ。どうしよう?」 「ええ!?竹子先生はダンナがいるだろう?」 「だから困ってるんすよ」 「はあ?それひょっとして、お前もその気になってるってこと?」 「・・・竹子先生、ああ見えて隠れ巨乳なんスよ」 「隠れ・・ダメダメ!ダメに決まってるよ。不倫だろそれ?」 「うーん・・分かった。松ちゃんがそういうなら、やめとくよ」 しかし、不倫とか知ったように言っても、若者で独身者のおれには話が複雑過ぎた。話はそれで終わった。 そう、その時には。
次の日もおれはヌルオに面談室に呼ばれた。 「松ちゃん、聞いてくれよ。竹子先生に、買い物に付き合って欲しいって、呼び出されたんだ」 「夕方の休憩のときか。しょうがねえな竹子先生も」 「スーパーに行くんですよ、二人で」 「ダンナに飯を作るんだから、その買い物だろ」 「重いから持ってくれって、ねえなんなんですか?これって」 「ヌルオ、おれにはわからん」 「竹子先生にとっておれってなんなんだろう」 「さあ、なんなのかな?」 ヌルオの相談事は翌日もまだまだ続いた。 「松ちゃん、昨日の買い物の意味がわかったッスよ」 「どういうことなんだ?」 「スーパー行くじゃないですか」 「ああ」 「そうしたら、おれは荷物を両手に持ちますよね?」 「竹子先生がいっぱい買えばそうなるな」 「両手ふさがるじゃないですか」 「そうだな」 「腕組んで来るんですよ!竹子先生が!」 「なん・・だと?」 「んでもって、巨乳をグイグイ押し付けてくるんですよ!」 「で、お前はどうしたんだ」 「恥ずかしながら・・興奮してしまいました」 「なるほどな、それはそうなるよな」 「はい」 「ますますわからんな。このまま様子を見よう」 「ええ!?」 まったく相談になっていなかったが、当時若者だった自分には、この問題は荷が重すぎた。
次の日から、ヌルオは面談室におれを呼ばなくなった。 その代わり、竹子先生との買い物が日課になったようだった。 それからしばらくして、もうすっかり忘れていたのだが、浜口さん率いるテレアポ女性スタッフとの飲み会の日がやって来た。浜口さんはおれにニコニコしながら、行きのタクシーの中で言った。 「今日はみんな、松ちゃん先生に会いたくてウズウズしてますからね!」 「そ、そうなんですか・・な、なんだか照れますねえ」 しかし・・行ってみてビックリだった。 テレアポ女性スタッフの正体とは・・ ただのおばちゃん軍団だったのだ・・全部で十人くらいいた。 その中で一際目立っていたのが、リーダー格の二人。 デンゼルワシントンにカツラを被せたような、ガタイのいい斎藤さんという長身のベテラン(趣味はママさんバレー)と、 後から聞いたのだが、社長の愛人という噂の、サングラス姿がマイケルジャクソン似の珠子さんという人だった。 この強烈な印象の両エースが仕切ってくれているおかげで、わがブラック塾が成り立っているのだと思うと、おれはなんだか複雑な心境だった。 浜口さんはおれのあんぐりした表情を見て、ニヤニヤしていた。・・あんた、は、謀ったな!? そして、そのおばちゃん軍団を全て取り仕切っている人物こそ、ご存知タイゾウ先生だったのだ。 ここまで書けばもうお分かりとは思うが、彼女たちはほぼ全員、タイゾウ先生の「おっかけ」だったのだった。 おばちゃん軍団は、最初の方こそおれに興味津々だったみたいだったが、おれにホスト的魅力が全くなかったみたいで(当然だ)、やがてタイゾウ先生の方に群がって行ってしまった。 よく見ると、タイゾウ先生の側にはおれ以外にも若い男が何人かいた。きっと彼らは「現役」なのだ。 ハハーン、これでだいたい営業部隊の仕組みがわかってきたぞ。
なるほど ホスト軍団がその魅力でおばちゃん軍団を惹きつける つまりそれは子供を持った母親を惹きつけると同じところということか 自分が気に入ってる先生に子供を預けるってことでいいんですかね?
>>440 おお、ナイス推理!近いけど・・正解は続きで!
つまり、彼女たちは、タイゾウ先生の忠実なる部下であるのと同時に、たぶんホストクラブの顧客なのだ。だから、今回の飲み会は、おれをダシにした「店」への巧みな誘導なのだ。きっと二次会と称して、このあとはそっちに移動するんだろう。 中には常連らしき人に混ざって、真面目そうな人もいた。でも、若い男にちやほやされて、顔はやや紅潮し、若さを取り戻しているような感じだった。 家に帰れば、小学校低学年くらいの子どもがいそうな、まだ30代半ばくらいの、整った顔立ちの人だった。 きっと、ああやって盛り上がった後に、半ばさらわれるようにして、お店に連れていかれるんだろうな。 せっかくテレアポで稼いだお金も、ホスト遊びで消えていくのだろう。それは、この営業部隊が、実質ほとんどコストをかけずに運営されていることを意味していた。 また、一次会?の会場には、テレアポ部隊のほかに一際若い二人の女性がいた。 我らがナンバーワン受付嬢、なっちゃんと、名前は・・えーと確か・・山崎さん。 この二人は明らかに浮いていた。特に山崎さんのほうは、おとなしい感じのショートカットの女の子で、隅の方に座ってレモンサワーだか、グレープフルーツサワーだかを、ちびちび飲んでいる。 なっちゃんはタイゾウ先生が気になるらしく、ちらちらとそちらの方を伺っていた。 浜口さんが気を利かせてくれたのか、おれは彼女たちの斜め向かいあたりに座っていた。 「紹介するよ。彼女は会計担当の山崎さん。このブラック塾の新戦力だ」 「初めまして。私・・山崎といいます」 「初めまして。松ちゃんです」
その時は名前だけの自己紹介だった。山崎さんは、今で言うと堀北真希にかなり似ていた。なっちゃんがタイゾウ先生の所に行き、浜口さんがトイレで席を立った後、山崎さんはおれの隣に座って言った。 「松ちゃん先生は・・なぜこんな所に?」 こんな所? 「この飲み会のこと?」 「いえ、ブラック塾のことです。どんな経緯でここに?」 ますますわからん。 「いや、普通に塾の先生になりたかったからだよ。高校の時に助けてくれたのが、先代の社長でさあ・・」 と話し始めると、 「普通に?・・普通に入った人もいるの?」 そう言うと山崎さんは、ホスト軍団の方と、おれをチラチラ見比べて、 「そうか・・そういうことね」 と小さく呟いた。何がそういうことなんだ? それから山崎さんは、さらに接近して、おれに誰にも聞かれないように耳打ちした。 「私、知らなくて。ごめんなさい。だったら・・逃げて・・ください」 「この飲み会のこと?」 「ううん・・ブラック塾から・・」
その時だった。 「遅くなりましたーっ!皆さーん!スパイラル個別ご成功おめでとうございまーすっ!」 「あ、皆さん・・初めまして。これ、花束です。考案者のタイゾウ先生と、松ちゃん先生に!それから、浜口さんたち営業部の皆さんに!」 「松ちゃん来たよ??!うわっ、誰よ?その女!?ちょっと・・近寄り過ぎじゃない?」 現れたのは、手に花束を抱えた、タメちゃんとトウコとしげ子だった。おれは堀北真希似の山崎さんに耳元で囁かれながら、しげ子の鋭い視線を目撃した格好となっていた。目に火花を散らしている。こ、怖い・・。 トイレに行ったと思っていた浜口さんは、きっと3人を誘導していたのだろう。歓迎した口調で言った。 「ようこそ、お三方。皆さんもスパイラル個別成功の立役者です!」 会場はワッと盛り上がった。おばちゃん軍団も 「ウチの娘になんなさい!」 「あんたらのお陰であたし逹生活出来てるよ!」 などと野次を飛ばしている。タイゾウ先生もご満悦の様子だ。おれは驚いて浜口さんに言った。 「き、聞いてませんよ、浜口さん!おれ!この3人が来るなんて・・」 「サプライズゲストですよ。わざと20分遅れてくるようにお願いしていたんです」 タメちゃんがちょっと怒った風に言う。 「でも、やり過ぎじゃないですかあ?私たち30分も裏口で立ってたんですよ?皆さんが来る前から」 「ごめんなさいタメコ先生。でも、やるなら意表を突かないとね。松ちゃん先生、びっくりしましたか?」 「そ、そりゃあもう・・」 「だったら大成功だし、ま、いっか!」 しかし、その意表を突いたサプライズのおかげで、しげ子は初対面の山崎さんに敵対心を燃やしてしまったのだった。 「あの、私・・」 「知ーってるわ。山崎さんでしょ?」 なんで知ってるんだ? 「なぜ?私の名前を?」 「あなたねえ、制服のまま来るのはいいけど、名札ぐらい外したらいいんじゃない?」 「え?・・あっ!」 なんと、山崎さんは名札をつけたままだったのだ。そっか、このタイトスカートにベスト、確かにウチの事務員の制服だ。しげ子はなぜか勝ち誇ったように、「へへーん」と言ってその場に佇んでいる。山崎さんはまた黙ってしまった。 そのあとの場の雰囲気は最悪だった。 タメちゃんは、デンゼルとマイケルに気に入られて、ワイワイやってるからよかったが、しげ子はビール片手に、ガツガツ無言で一人食い続けてるし、トウコはうつむいたままの山崎さんをずっと眺めていた。 時々、タイゾウ先生が気を遣ってくれたのか、若い男が入れ替わり立ち替わりビールを注ぎに来ていたが、ほとんど無視されていた。おばちゃん軍団は、相変わらずヒートアップ気味だ。 おれも山崎さんのことが気になっていた。 「逃げて・・ください・・」「ブラック塾から・・」 この言葉は、何を意味するんだろうか? 一次会が終わると、おれたちはタクシーを呼ばれて、帰宅した。いや、帰宅させられたのかもしれなかった。なぜなら、心なしか、浜口さんの口調が事務的になっていたので。 「皆さん、お疲れさまでした。今日はこの後、我々だけでミーティングがありますから失礼します」 山崎さんは、付いていくのが当たり前のように、二次会へと消えていった。
帰りのタクシーの中で、トウコが聞いてきた。 「そう言えば今日、ウメコ先生、いらっしゃらなかったですよね?」 「ああ、来るって聞いてたのにね」 そう言えばそうだった。どうしたんだろうか? しげ子も聞いてきた。 「あいふと何ひゃべってたのよう?」 ダメだ。ろれつが回ってないぞ。 「山崎さんのことか。別に、大したことじゃない」 「うほ。あらしにはわはる。あれは・・」 「あのあと、ずっと黙ってたわよね、あの子」 トウコも心配している。タメちゃんは寝てしまっていた。 「しげ子先生、トウコ先生」 「あに?」 「何でしょう?」 「今日の営業部との飲み会でわかったことがある」 「わはるよ。松ひゃん、だからわたひ、心配で。あの女・・・・スースー」 「私にはよく・・あ、しげ子先生も寝ちゃった」 おれはタクシーの助手席で、そのうち起こるだろう何かに怯えていた。きっとあの山崎さんは、その「何か」をおれにそれを伝えたかったに違いないから。 このことがあってからも、おれは相変わらずの教室長生活を送っていた。ただ、しげ子が自分のシフトを以前ほどには入れなくなっていた。嫌われたのかな? 1ヶ月くらいして、ヌルオが久しぶりに面談室におれを呼んできた。 「よう、どうだ?おれは様子見していたが」 「松ちゃん、様子見し過ぎてるよ!あのあとから、毎日買い物だったでしょう?おれら」 「ああ、買い物袋を提げて教室にもどるお前と竹子先生は、もうこの教室の風物詩になっている」 「・・そんな風物詩どころじゃなかったんですよ!実際は」 「実際はどうだったんだ」 「おれ、知らなかったんですけど、竹子先生クルマ通勤だったんですね?」 「ああ、ああ見えて(竹子先生は華奢な体型)、4WDに乗っているぞ」 「・・赤のラブフォーですよね?」 「よく知ってるじゃないか・・って、お前まさか」 「はい、次の日から実は買い物なんかしてなかったんです。おれら」 おれの中で衝撃が走った。
「ヌルオ、それどういうことだ?お前まさか…」 「はい。おれ、クルマの中で童貞卒業しました。童貞か・ら・の・・卒業」 ヌルオは尾崎豊に傾倒していた。 カラオケに行っても、尾崎しか歌わない徹底ぶりだった。 だからかは分からなかったが、いつも上はGジャンまたはダンガリー、下はGパンだった。 「そうか、いくら尾崎好きだからって、こんな時にまで真似しなくていい」 「はい」 当時としてはごく普通のファッションで、問題はなかった。 「そうか、あの竹子先生のラブフォーが、ラブホテル代わりだったとはな」 当時、ラブホという略語はなかった。ラブホと言えば普通にTOYOTAラブフォーのことだった。 「すんません」 「いや、大変なことになったな。しかし、なんだって今になっておれにそれを?」 「大学に彼女が出来たんす」 おい、それって。 「二股か。どうすんだ?それ」 当時、鬼畜などという言葉はなかった。 「はい、もちろん竹子先生にはダンナさんがいるし、自分は身を引きます」 「というか、竹子先生に飽きたんじゃないのか」 「それもあります」 当時、鬼畜という言葉はなかった。 「お前・・ひどいやつだなあ」 「自分でもそう思いますが、でも若いから仕方ないと思います」 「お前がか?それとも新しい彼女がか?」 「新しい彼女がです」 「つまりそれは?」 「竹子先生、巨乳というより、年齢から来るタレチチだったんです」 当時、タレチチという言葉はあった。 「彼女は?何カップなんだ?」 「・・・」 それは教えてもらえなかった。 「つまり・・今日の相談は、竹子先生と別れたいと?」 「はい、その通りです。どう切り出したらいいでしょうか?」 「初めて相談らしい相談になったな」
しかし、おれには腑に落ちないことがあった。 「ヌルオ、ひとつ疑問なんだが?」 「なんでしょうか?」 「お前ら買い物に行かず、本当はニャンニャンしてたんだよな?ラブホの中で」 当時は、ニャンニャンという言葉が存在していた。ラブホはTOYOTAラブフォーのことだった。 「はい」 「だったらなんで毎回、買い物袋を提げて戻って来てたんだよ?」 「それは・・」 「それは、なんだ?」 「それも竹子先生の策略だったんですよ」 「なん・・だと?」 「つまりですね、竹子先生にとって、ラブホはなくてはならない小道具だったんです」 ラブホはTOYOTAラブフォーのことだった。 「なんだって?」 「だから自分が持たされていた買い物袋、あれは・・」 このあと、さらに衝撃が走る。 「あれは?なんなんだ?おれが見た買い物袋は?」 「あれ・・毎回、同じ物だったんです」 「は?なんだって?」 「松ちゃん、覚えてます?おれが買い物袋を提げて、最初に帰った日」 「覚えてるよ」 「おれらが買い物に行ったのは、あの一回きりです」 「なん・・だと?」 おれの中で、この日最大級の衝撃が走った。 「あとは全部、ラブホに最初から積んであった、同じ買い物袋をただ毎回運んでいただけだったんですよ」 「・・こりゃあ、シャーロックホームズも刑事コロンボもびっくりだな」 当時、コナンくんはいなかった。ラブホはTOYOTAラブフォーだったが、実質的にラブホだった。
「話は分かった。しかし、驚いたな。竹子先生が最初から作り込んでいた計画的犯行だったとはな」 「はい。自分もびっくりしましたが、竹子先生の悪事の片棒を担いでました。面目ない」 当時の大学生は、今よりボキャブラリーが豊富だった。 「これからどうするかだな。竹子先生、相当お前に入れ込んでそうだからなあ・・」 「はい、困りました。もう離れられないというんですよ、僕から」 「やばいな、それ。かなり」 「はい」 しばらく考えて、自分はある決断を下した。 「この問題は、おれが解決する」 「松ちゃん、今回は本当にごめん!お願いします」 次の日、ヌルオを休ませて、おれは面談室に竹子先生を呼んだ。 「なぜあなたがここに呼ばれたか、わかりますか?」 「いえ、分かりません」 当時、携帯電話はなく、二人のやり取りは勤務先のここで行われるしかなかった。 「今日、ヌルオ先生、風邪でお休みなんですよ」 「みたいですね」 「買い物はいいんですか?」 「はいっ?」 竹子先生の声が若干、うわずって聞こえた。
「竹子先生、辞めたくないですよね?この塾」 「松ちゃん先生、もう・・分かってるんですね?」 昭和の女は、いさぎよかった。 「はい」 「ご迷惑をおかけしました。彼から聞いたんですか?」 「いえ、おれが後をつけました」 おれはヌルオのために嘘をついた。 「後を?あの駐車場に?」 「ちょっと、怪しいなと思いましてね」 竹子先生は終始冷静だった。 「私、途中から怖くなって・・だから彼にこんな関係はもうやめようと提案しました」 「は?」 「こんなことはよくない。夫にばれたら困ると。だから、途中で関係をやめようとしていたんです、だから・・」 竹子先生は冷静に嘘を並べ始めた。おれが知らないと判断し、後でヌルオと口裏を合わせるつもりなんだろうか。しかし、おれは怒らなかった。 「分かります・・その気持ち。でも、もういけません。これは。やめましょう。今ならまだ引き返せます!」 竹子先生がビクンとなった。ここで何か感じてくれたらと、おれは話を続けた。それに、まさか本当は「ヌルオはあなたに飽きたから別れるつもりらしいです」とは、言えるはずもなかった。 「教室長のおれにとって・・竹子先生も、ヌルオも、この塾では大事な戦力です」 「はい」 「ただ、ヌルオはまだ学生です」 「・・」 「でも、あなたは家に帰れば普通の幸せがあるじゃないですか?」 「!」 竹子先生の表情が、明らかに変わったのが見えた。 「もう、ヌルオはあなたに会わせない。隣町の別の教室に転属させます。生徒と一緒に。ヌルオは高校生担当ですから、たぶん問題ないでしょう。それでいいですか?」 「も、もちろんです」 竹子先生は観念したようだった。それを見てから、おれは一枚の紙をポケットから出した。 「じゃあ、念書を書いてください。もうヌルオに会わないと。彼にも同じ物を書かせます」 もちろん、ヌルオには書かせなかった。
「・・はい、このことは夫や本部には・・」 「もちろん、全て内緒にします。それに、ヌルオも外部に知られれば将来に関わりますしね。これはおれが個人的に預かります。でも、もしお二人にこの約束が守れなかったら・・その時には・・」 彼女はシャチハタで判子をついた。それを受け取りながら、おれは言った。 「あの買い物袋、毎回同じものでしたね」 「気づかれているとは知らず、恥ずかしいです。とにかく、ばれたくなくて」 もちろん、本当はヌルオに聞いていた。 「いや、もうやめましょう。その代わり、明日からも通常通り、来てくださいね」 「はい、本当にすみませんでした」 彼女は涙ぐんでいたが、おれは演技なんだと思った。 最後におれは、 「ダンナさんには、毎晩本当に夕食を?」 と聞こうとして止めた。それから竹子先生は、おれの予想通り、翌月急病ということで退職していった。 ヌルオはと言えば、転属先が気に入ったらしく、それになんとなく、おれに対しても気まずかったのだろう。卒業するまで、二度と戻って来ることはなかった。
異変とも呼べるにふさわしい出来事が起こったのは、竹子先生の退職した翌月のことである。 ウメコ先生が会社を辞めたのだ。 こないだの飲み会にも来なかったのは、やはり何かしらの理由があったのだ。今日の会議の冒頭で、それを知った我々教室長の間でどよめきが起こった。 けれども、ウメコ先生の退職理由が何であったのかは、本部を久々に訪れた我々教室長連中の、もちろん誰にもわからなかった。きっとタイゾウ先生にふられたんだとか、社長の愛人に召し抱えられたのだとか、てんで好き勝手なことを言っている。 しかし、おれだけはピンと来た。 新人にして、ブラック塾の秘密を握っているらしい、会計の山崎さん。この二人にひょっとして、何らかの繋がりがあるのかも知れない、と。 しかし、一教室勤務の自分には、それ以上はやはり計り知れないことだった。むしろ、これから先やってくるだろう災厄に対して、おれは一人で怯え続けるしかなかったわけだ。 おれは、こないだからの様々な出来事を一つ一つ整理することにした。 まず、この塾の母体は、別にある。それを教えてくれたのは、浜口さんだった。そう、例のホストクラブである。(ここには、今でもタイゾウ先生が深く関わっているみたいだ) それを率いる社長が、現在のブラック塾をも経営し、大量のテレアポと元ホスト特有の「人たらし能力」で、生徒を強引に確保し、教室を拡大展開しているのが、今の状況だ。 もはや郊外型の教室には、スパイラル個別専門の教室まで出来ていた。そこにも独自チラシを流し、テレアポ部隊が「今朝の新聞折り込みチラシ、ご覧になられていますか?」と、「ご挨拶」の電話をかける。 ここで体験に持ち込める場合や、詳しい説明をしに教育相談員(営業マンのことだ)が各地区を回っているとか、テレアポ部隊がコロコロとトーク内容を変えていく。そこから、 Aランク・・即体験に持ち込む(教室に来てもらう) Bランク・・自宅での教育相談(営業マンが家庭訪問) Cランク・・挨拶回りの許可のみ(営業マンが家庭訪問) に、テレアポ内容のランクを分ける。それはテレアポ部隊の給与に反映させる仕組みにもなっていた。 そして、その翌週には、浜口さんや藤森先生、それから元ホスト連中の営業マン部隊が、その学区全体を回り、テレアポ内容を踏まえた上でBランクとCランクの生徒をなんとか体験に持ち込むという、それはもう、見事な連係プレーを展開していたのである。 スパイラル個別が、その大幅な拡大路線の立役者となったのは、講師がこれまでの半分の人数で済み、かつ人件費も2/3くらいまでカット出来たからであろう。 さらに、生徒を次々と体験指導させる機動力が、スパイラル個別の採用によって以前より増すことが、ここまでわかってきたことだった。それは、以前紹介した、ここ最近のハゲ山朝日教室の躍進ぶりを見ればわかるだろう。 例えばかつてなら、体験のアポイントメントを取ったとしても、肝心の先生がいなかったりして、あと一歩のところで生徒を別の塾に奪われるという事件まで発生していた。それが、今はもうほとんどないのだ。 仮に講師が足りない状態が起こったとしても、まず本部からタイゾウ先生ら、ヘッドクォーターが駆けつけ、体験や当初の授業を開始する。(前にも書いたが、これにはおれも駆り出されていた) そこにもし、生徒が2人、3人、4人と増えたとしても、その間に新規の講師を採用し、研修を受けさせる時間を十分確保することが出来るのである。 これが1対2だと、いくらヘッドクォーターが間を持たせようとしても、3人来た時点で「体験お断り」となってしまい、先のように他塾に流れていってしまう可能性が高くなるのだ。 おかげで現在、その皺寄せが本部研修担当の平倉部長に来ているらしい。もちろん、このおれの担当する「松ちゃんの穴」研修もスパイラル個別採用以降、講師がひっきりなしにやってくる状況だった。 そして僅か数日で、実戦投入される。不満もあったが、これも上層部(社長)からの命令だから、逆らえるはずもなかった。 かようにして、拡大路線はやや、ひずみが生じたにせよ、なんとか上手く回っていると思っていた。その矢先の、本部事務員・ウメコ先生の退職事件であったのだ。 さて、これは何を意味するんだろうか?
事務や経理が逃げる会社は先がない、というお話かと読んでます。
などと考えながら、本部を後にしたおれは、信じられない光景を目にした。 信号待ちの交差点で、向こうから手を振る二人組がいたのである。 「松ちゃん先生ーっ!」 「ご、ご無沙汰してます・・」 しげ子と、や、山崎さん?なんで二人が? 信号が変わって二人が近づいてきても、おれは目をきょとんとさせるしかなかった。なぜ二人が並んで歩いているのか、全く意味がわからなかったからだ。 「しげ子。なんで、ここに?」 「松ちゃんの部下だもの。今日のスケジュールくらい、おさえてあるわよ」 「ま、そりゃホワイトボードの予定表に、今日は本部会議とは書いちゃいるが・・」 しげ子はニヤニヤしながら、ぽかーんとしているおれの顔を覗き込むようにして言った。 「あっちゃんのことでしょ?」 「あっちゃん?」 すると、山崎さんが手を小さく挙げて答えた。 「わ、私のことです。山崎明美・・あっちゃんと呼ばれてます。しげ子さんからは・・」 「そうそう、あっちゃん」 おれはまだ全然様子が掴めない。 「ちょっと、こんな往来じゃ誰かに見られてしまうよ。どっかその辺の喫茶店にでも入ろう」 二人を誘って、駅前の行ったこともない古い喫茶店に、とりあえず駆け込んだ。 「お、お前ら・・い、いつからそんな仲に?」 「あの飲み会の後からに決まってんじゃない。あれから、この子のことが気になってねー♪あっちゃん!」 「はい、今はもうお姉さんといるみたいで、しげ子さんにはよくしてもらっています」 「山崎さんが?気になって?」 おれと山崎さんが密着していたのを見て、激怒してたくせに。おいおい、一体どういうことなんだ? 「どういうことなんだ?しげ子?」 「ハハーン、やっぱ気づかなかったか」 「な、なんのことだよ?」 「あんなもの見せつけられたら・・誰にだって気になるものよ。普通はさ」 「あんなもの・・い、いや、あれは誤解だから!」 「何勘違いしてんのよ。あっちゃん、ちょっといい?」 「あ・・はい。どうぞ・・」 しげ子は、あっちゃんの制服のブラウスの袖を捲り上げた。無数の切り傷が、手首の位置にあった。 「り、リストカット?」 「そう。こんなことしてる子を、私が見逃すはずないでしょ?」 そうか、あの時しげ子がにらみつけていたのは、この傷だったのか。 「山崎さん、いや、あっちゃん。これは・・なんでこんなことを・・」 あっちゃんは、それから少し間を置いてから話し始めた。 「私やなっちゃんが、どうしてこの会社に来たか、ご想像つきますか?」 「ご想像って、どうせあの社長の面接だろ?」 「いいえ、違います。私の場合は、ホストクラブでの母親の借金を取り消す代わりに、連れて来られました。タイゾウ先生によって」
>>452 なかなか鋭いですね。そっちの話も考えましたが・・(*^^*)
455 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/01/10(木) 21:38:26.11 ID:VX59hySq0
センターまであと一桁注意報age
死んだか?
457 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/01/22(火) 17:33:58.87 ID:BXJcaUaKO
今日いっぱい辺りで大手各社のセンターリサーチ集計完了だろうな 平均点が40点位落ちててくれる事を祈るのみ....
センター大変でしたね。こちらも二次逆転の生徒が例年になく増え、毎日朝から深夜まで出ずっぱりです。 ふるいのかけ方が凄まじい感じですね、本当に。
ふろのさんお疲れ!
センター結果も
>>457 に近いものがあったなあ
うちもそうだけど今本当に大変な時期でしょうから、身体にも気配って
ここへの来訪も無理せずにね!
>>459 コメントいただけるとは思わなかったです。ありがとう。センターには魔物が棲んでいる、とはよく言いますが、今年は本当にそんな年でしたね。
予備校関係のスレを見たら、上位生以外はやっぱり厳しそうでしたし。
塾の先生とか、予備校の先生も人気商売だけど、こうした大きな流れに如何に抗うかはビジネスとは別問題。自分も最後まで抵抗したいと思います。お互い最後までがんばりましょう!
小説は暇になったら再開します。
ふろのさん、最近元気?
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/06/17(月) 21:36:39.83 ID:e+xAARy40
元気?
元気だよ。スマホを新しくしたら、書き込めなくなったんだ。
古いのを家のWi-Fiにつないだら、書き込めるようになったよ。
465 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/06/25(火) 00:32:29.45 ID:KxB+6bUp0
ということで一応あげとく。この半年は、(今もだけど)結構忙しかった。たくさんの文章を書いたし、仕事もした。来てくれて書き込んでくれた人、ありがとう。
ジャスティスとかいたな。まだいるのかな? まあ、この半年のうちにしたことを書いとく。 ・校舎を一つなくした。で、別のところに作った。 ・通信指導の生徒が増え、ある校舎を売上で抜いた。 ・本を1冊、ゲームを1つ作った。 ・ある先生に出会い、衝撃を受けた。 ・ある団体の設立に協力した。 こんなところかな。あと、消費税がヤバかった。
今後は、通信指導の需要が増えそうだ。都内から通信指導の申し込みがあったときには、驚いた。以前なら、リアル指導の方が圧倒的に好まれていたから。とうとう、家から出たくない受験生が出てきたか、そう思った。
都内には自分とこのグループの校舎が4つあるんだ。いくら東京が広いと言ったって、これまでは通信にします、なんてことはなかった。だから正直な話、驚いた。
ここには、また来るよ。見てくれた人はありがとう。残った仕事して寝る。明日も早いんだ。
470 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/06/25(火) 01:10:48.29 ID:AmroSOeIO
河野彰一祭り
471 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/06/27(木) 18:40:58.88 ID:1qg2EosvO
ふろの大先生復活記念age
472 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN ID:LEmxbVeY0
<丶`∀´>ウェーハッハッハ!
473 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/12(金) NY:AN:NY.AN ID:92cO/Kwy0
今年の夏も全国4ヶ所、講演&セミナーしに行きますよ!近隣の方、ふろのスレを見たとフリーダイヤルでお伝えください!見学者の方歓迎いたします!(東京・郡山・新潟・あと1ヶ所はすみません、私立高校でやるため非公開です)いや〜あと何年間できるのかな、この活動…
474 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/13(土) NY:AN:NY.AN ID:LyhZOhRg0
もう塾経営とかじゃないんだよ。ライフワークなんだよ。地元の子をみるのも、全国の子をみるのも。東京のセミナーは、北海道・愛知・京都・大阪など、他県からも参加者が来ます。みんなスカイプ指導の子達です。残された塾ライフを楽しみたいな。じじいだし。
>>473 >ふろのスレを見たとフリーダイヤルでお伝えください!見学者の方歓迎いたします!
暇あったら行ってみたいけど、特定できないのにどうやって電話番号を知ればいいのυ
ふろのさんが挙げてた語句を適当にピックアップして検索したけど…
金先生と組んで色々やってたヒ’塾って言うやつですか?
476 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:YWM8xAFP0
>>475 ヒ 塾は終わったよ。あんまり人気なくてさ。こんなんばっかだよ。何が当たるかなんてさ、やってみないとわかんないからさ。手数出すしかないよね。
477 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:YWM8xAFP0
あ、トリ忘れてた。スマソ。本人です!
478 :
475 :2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:rmLbTgGNO
>>476-477 レスありがとうございます。
良く分からないけど、ズバリ…
ふろのさん=山本ヒ○オ’先生
って事でよろしいですかね???
だってもし全然違う塾に『2ちゃんねるのふろのスレッド見ました』とか言ってセミナー見学申込みとかしてしまったら恥ずかしいからね 笑
479 :
ふろの :2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:J7xkVlYdQ
大丈夫。電話下さい(^^ゞ
480 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:J7xkVlYdQ
またトリ忘れてた。↑本人です。
481 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:NKY6i8Ko0
そそり立ったあなたのムスコを直ちに介抱する
482 :
475 :2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN ID:SoiIQ0gJO
>>476 >あんまり人気なくてさ。こんなんばっかだよ。何が当たるかなんてさ、やってみないとわかんないからさ。手数出すしかないよね。
「手数出す」はまあ・・・うん、よしとしよう。でも、「人気」?「当たる」?
えー!?経営色がプンプンの表現じゃないの
そんなの俺の知っているふろの氏じゃない!
去年の秋にこの2ちゃんねるの個人塾スレッドに颯爽と登場し、儲けるんでなく生徒を伸ばすモチーフと、それを実践する熱意が大事だと、若い衆?に喝を入れ捲ったあのふろの氏はどこ行っちまったんだああ
484 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN ID:CuiXGxp/0
>>483 経営以前の問題だよ。存在意義があるかないか。ヒ○○塾はニーズを外した、世の中のみんなには意味のない塾だった。それだけ。そういう失敗ってない?おれは理解されるまでえらく時間がかかった。手数出して、どうしたら受け入れられるか?いろいろやってきたよ。
485 :
ふろの ◆pMxEzE7OCs :2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN ID:CuiXGxp/0
あとさ、経営つっても、身の丈でいいんだと思ってるよ。自分には人をばんばん使って、生徒集めてみたいなことは出来ないし、もうあんまりしたくないのね。 自分の書いた物を読んでくれた人が、チラチラ来てくれたらいいと思ってる。あとは、有望な先生のプロデュースみたいな仕事も今後はやっていきたい。 今後の動き方はそんな感じになってると思う。見学者の先生を募集したのも、それが理由です。まだ誰からも電話ないけど。
>>478 です。
聞いておいて本当にすみません!かなり予定がキツキツで行けそうにもなくなりました(泣)
近いと言えば近かったんけどなー。
>>485 素晴らしい理念!
でもって楽天ブログの大逆転の受験国語最新情報の内容には、もっともっと心を響かされました
487 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/10/29(火) 01:37:36.47 ID:inm6flPh0
ふろのです。皆さんお疲れさま。私も現在、あちこち行って追い込み中です。この時期の入会者、地方セミナーの生徒さん、ともに少しですけど多くなってきました。 自分のクラスは近年、人数制限をしている関係から、大々的なキャンペーンは一切してません。知り合いの方から頼まれた生徒さんや書籍購入した方でぼちぼち埋まります。書籍購入した方だと、内容をご存じだから特にやりやすいです。 自分みたいな低偏差値の子をみる塾でも、やっぱり、結果を出すことが肝心ですから、バカみたいに生徒さんを入れるなんてことは出来ないのです。 教室のキャパとかでなく、その年の生徒さんのレベルを考慮して、人数調整しています。なんとか食えるので、これでいいのです。
結果を出すことが肝心。 ふろのさんの東京での合格率は?
ついにふろのさんが帰って来た! ここを忘れてなかったんですね?うれしいな
490 :
ふろの :2013/11/01(金) 14:12:55.07 ID:0F84zNJq0
>>488 自分の担当、各コース1学年5人までだから、少ないよ?
国立医学部コースの現役合格は4人中1人。だから25パーセント。まあ、厳しい世界だよね。今年のエール出版社の医学部合格作戦シリーズに載ってるから、それが証拠ということで。
中学入試国語クラスは4人中4人合格。偏差値下位(30〜40)からスタートして、55〜60近辺の中学に合格した。合格校は本人希望により非公開なので勘弁して。
>>489 前にログインしていたIDが使えなくて。それがきっかけで遠のいてしまった。
最近はさっきも書いたけど、外での仕事やスカイプの仕事が多いかな?
大学入試英語のセミナーでは、9年目にして初の京都大学合格(もちろん、私のメソッドを使ってくれた。今度、合格体験談が出版されます)が出たし、セミナー会場の塾さんのお役には立てたかな?と。
今はそういうところで貢献できたらと思ってる。つまり、ここもそんな感じ。もし、暗記で困っている生徒さんがいたら、ここに書き込んでもらってください!(*^^*)
>>488 >>490 合格率。考え方が難しいんだよね。
よく言われるのは母集団の問題で、生徒100人の塾で80%の所と生徒2人(!)で100%の所とは比較しようがないと言う事ですね。
ただ自分として常々考えているのはこの点ではなく、生徒個人の志望先と言う概念。
1、2年生の頃から切望していた第一志望校に合格した人は一体何%いるのか。
冬期直前期、センター受験後に志望を下げて合格したら合格にカウントして良いのか。
それが極端な例ならば、じゃあ変更時期が3年の夏期は、秋期は?
合格・合格率ってつくづく曖昧だと思う。
気持ちとしては生徒みんなに当初からの第一志望校に合格して欲しいし、それを図ってやっているが現実は・・・自分の無力さを呪うばかりだ
>>492 こちらの考え方としては、
・本人&保護者と第1志望校を決定し、第2志望以下を決定する。それらを目標に指導する。
・直前に変えても、第1志望は第1志望。
・記念受験はカウントしない。
ですね。
うーん、実力はまちまちだから、「本人の夢」までを考慮に入れたら、キリがないのではないですか?また、直前に志望校ランクを上げる
あ、首都圏中学入試で他のクラスと合わせたデータ、来ました。
第1志望の合格率…28人中20人合格で、合格率71.4%
第2志望までの合格率…28人中27人合格で、合格率96.4%
ごめん、途中で送ってしまった。 直前に志望校ランクを上げる ↓ 直前に志望校ランクを上げることもありますし。
>>492 でも、お見受けしたところ、地域密着で親身になって指導する方なんでしょうね。自分は直前生専門なので、素直に羨ましいです。お互いこれからのシーズン、頑張っていきましょう。
496 :
492 :2013/11/02(土) 01:33:32.32 ID:vl5v5CHW0
>>493 >直前に変えても、第1志望は第1志望
>「本人の夢」までを考慮に入れたら、キリがないのでは
そうなのかも知れませんね、ありがとうございます。
志望ランクを逆に上げた生徒もうちでも極めて少ないですけどやはりいますね。
あと特殊ケースとしては
センターで総点は当初の志望校のボーダーを思い切り下回ったしまったが、英・国だけ予想以上に高得点を取れてしまって
「自分の天職?はこれだったんだ」
と何かに目覚め(笑)自らの意思で私文に変えた理系生もいました。その“直前変更の第一志望校”の合格報告に来てくれた時のキラキラ輝いた目を見たら
「ああ本当に自ら好んであそこの文学部を志望して、心から喜んでいるんだな」
と確信でき、ホッとしましたね。
だって1年以上見て来た生徒でずっと医療系志望だったんですよ。
親御さんや塾に気を遣って文転していたなら、こちらとしても次の日から眠れない所でした。
いずれにしてもふろのさんのように割り切って明確な基準をしっかり設けた上で、合格率を算出すべきなんでしょうね〜。
497 :
492 :2013/11/02(土) 02:13:14.47 ID:vl5v5CHW0
>>495 地方のしょぼい所ですよ(苦笑)大受メインです。
しかし上まで読ませて頂く限り、逆に直前生を短期間で仕上げていらっしゃる事に敬服しますよ。
そうですね、頑張ります。お互い頑張りましょう。
>>497 お返事ありがとうございました。おそらく地域では貴重な高校生向け個人塾さんなのでしょうね。私も似たような存在でしぶとく生き延びています(*^^*)
ふろのさんにご質問です 数年後、早くて5年後ぐらいになると思いますが センター試験廃止の方向で進んでいます その際大学受験のコース?クラスはどのように展開されるつもりですか? 自分現在中学生対象(高校受験向け)の塾をやっています ゆくゆくは高校生浪人生向けのクラスも作ろうか考えていましたが 中学を落ち着かせてからと考えていて、おそらく数年後かなと思っていたところ センター廃止の情報が入ってきたので、プランを白紙にして考え直そうと思っています すでに大受をやられてる方の意見を参考に頂戴したいなと思い 質問させていただきました
>>499 いまのところ、情報が少ないので、試行テストが実施される段階でチェックしたいとは思っていますが、内容はさほど変わらないと考えています。足切りの仕方が変化しただけではないかな、と。面接、論文などについても、今の二次試験の対策と同様で問題なかろうと。
それよりは、我々個人塾は、さらなる少子化に対する対策を考えた方がいいのかな?と。
具体的には、上質なプレミアム感を出すとか、塾長先生の個性をとことんブログやホームページでPRなさるとか、個人塾に何らかの価値を見い出してもらえないことには生き残れないと思っています。
実績はもちろん、大事ですが、「誰を相手にするか?」ということが今後ますますポイントになるでしょうね。
高校生自体のレベルについては、国語の需要が高まりつつありますね。活字離れにますます拍車がかかっているようです。
また、長文をじっくり読み込めない、いわゆる「こらえ性」のない世代になってきた感があります。同様の理由から、社会科も出来ない子が増えています。暗記の量にも耐えられないのでしょうね。世の中が便利になりすぎました。
するとヨウヤクモンスター大ヒット!
>>500 お返事ありがとうございます
大受は参考になりました
少し様子を見ていこうと思います
少子化対策は早めに手を打たないとという感じですね
わたしの地域ではある中学校の中3学年は150人ほどなのに
中1学年は100人切ってますからね
近隣の塾とその少ないパイを取り合う形になりそうです
>>502 正直なところ申し上げて、今後の個人塾は、少ない人数でも生活出来る状態に持っていけるようにすることが大事なような気がします。そのためには、ある程度のお月謝をいただく必要があります。
それに、競合する相手に合わせ、単価を下げるのは最も危険です。
我々にしか出来ない部分をPRし、価値ある塾として認知されなくてはなりません。
真に必要なものだとわかれば、多少高くてもお客さんは来てくださいます。
個人塾が貴重なものになると、昨今の安売り中堅塾(月単価数千円〜)の濫立を見るたびに思います。 いや、小さな個人塾が再評価される時代はもうすでにやって来ているのかもしれない。 そんな中を生きている感じがします。 それは単に生徒数ではなく、保護者さんとの信頼関係とか、仕事内容とかを考慮した場合の話なんですけどね。 インターネット上のブログや、ホームページの作りでも、塾長さんの人となりや実力、実績は評価出来る時代になりましたし、 しっかり情報を与えて、まっとうに評価されるべきだと思いますね。
今いる生徒はどこ狙ってるの?そして、今のそれぞれの偏差値は? ブログの数学を1日で92点取ったとかすごいし。
>>506 大学入試?
数学の92点は確かにスゴかった。都内ホテルでの合宿かな?途中式も全部書いてあり、完璧にやっていたよ。青本だったかな?
国立はセンター8割から9割レベルのところ。医歯薬が今年は多い。
私立文系はmarchの依頼が多いよ。法政・明治あたりなら、頑張れば受かるからね。口コミで埋まるので、募集広告は出さない。だから、暮らしていけるくらいだよ。
でも、自分はみる生徒数が少ないからね。毎年各校舎5〜6人。脱落する子もいるけど、辞めさせたりとかはない。
地方セミナーで出会う子達の中には、まだセンター過去問5〜6割の子もいる。今日は連絡してくる子が多かったね。みんな不安なんだと思う。もちろん、直前までアドバイスするよ。
…こんな感じの仕事をしています。
>>506 あ、さすがに人数少ないから、個人データはかんべんして
>>504 確かに。
ひと言に突き詰めると 差別化 がポイントだね
>>509 そうそう。そうなんですよ。
自分の場合、やりたいこと、得意なことしか開業以来しておらず、専科塾的な色彩の塾に、いつのまにかなっていきました。(中学受験国語とセンター英語)
ですから、複数教科を取りたい生徒には、各教科指導に長けた方(数学博士号取得者や東大合格者を出すなど、既に実績がある方)を探し、採算度外視してお願いしてきました。
生徒を合格させるため、時には人数調整をしつつ、多少儲からなくても、実績を獲得するため必死にやりました。
20年やってきた結果、今は総合塾としても重宝されています。(私の国語を目当てにやってきたら、算数の先生も良かったので教科数を増やしたい、みたいな)
いちいち内容が濃いために、受験に関心の薄いライトな層は来なくなり、熱心な層にだけ好かれる塾になりました。
全統第3回で化学4割なかった生徒が、僅か3日間の合宿で7割5分超えてきた! 今日も別の生徒の数学の合宿をやってる。(今ちょうどテスト中) 最近は、自分の科目以外でも、こうして伸ばせるようになってきたよ。 合宿指導はオススメだよ〜。
数学のテスト、ダメだった…また再度トライ!(*^^*)
結局、今日は再度の対策を半分講じたところで時間切れ。ホテルに戻っていきました。今週末までに4割→7割にするのが目標です。ちなみに数UBです。
今度は社会科。50点台を85パーセントにする仕事。がんばろ。
ヨウヤクモンスターのパッケージ見て吹いた! あの、初心者向けRPGのパイオニア、昔の超大ヒットゲームにクリソツじゃないですか(笑) よくスク■ア・エ■ックスからクレーム来なかったですね(汗)
>>517 あれは、ドラクエフォントと呼ばれるフォントを使ってますし、パロディではあります。最初はドット絵でいきませんか?みたいな話だったんだけど、それはさすがにないかなと思って。内容はオリジナルですし、訴えられるとかはないでしょうね。
519 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2014/05/14(水) 03:16:46.49 ID:GKJuTjeP0 さて、ここでうれしいお知らせを一つ。 な、なんと! 陳の秘伝のスーパー英語マニュアル奇跡の要約メソッド2 絶賛発売中! 売り切れる前に広島へ急げ!