原油高で海自演習が中止の可能性…空自は低空飛行を削減
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080826-OYT1T00443.htm 長引く原油高の影響で、自衛隊も日々の活動の縮小を迫られている。
航空自衛隊では大量の航空燃料を使う航空訓練などを自粛しているほか、秋の「海上自衛隊演習」が1954年の自衛隊発足以来、初めて中止される可能性が出てきた。
「年度末を待たないうちに燃料費の予算が底をつくかもしれない」。
自衛隊内にはそんな声まで漏れ始めている。
今月24日、東富士演習場(静岡県御殿場市など)で実施された陸上自衛隊最大規模の実弾射撃訓練「富士総合火力演習」。
出動した戦車・装甲車などは約475台、ヘリコプターは約20機と昨年と同規模だったにもかかわらず、燃料費は約5800万円に上り、約1500万円も増加した。
防衛省によると、自衛隊の燃料費である「油購入費」の今年度予算は約1007億円。
昨年の予算編成段階では艦艇に使用する軽油を1キロ・リットルあたり約6万8000円と試算していた。
それが現在は8割近く上回る12万1000円にまで高騰し、航空タービン燃料も予定の7万6000円から12万5000円に跳ね上がるなど平均で6割も上昇している。
このため海上自衛隊は艦艇のエンジンの稼働数を減らす「減軸運転」や、燃料を大量に消費する沖合への出航を取りやめ、
港近くでの「停泊訓練」に切り替えているが、節約にも限界があり、「災害派遣など緊急出動の際に燃料切れの事態を招きかねない」(赤星慶治・海上幕僚長)状態。
そこで毎年秋、約4万5000人の海自隊員のほぼ全員が参加する「海上自衛隊演習」の中止に向けて検討を始めた。
空自でも、低空を飛行する戦闘航法訓練を大幅に減らした。
低空飛行は上空1万メートルを飛ぶ通常の航法に比べ、燃料の消費量が格段に増えるからだ。
10月には陸海空の持ち回りで3年に1度の「観閲式」が空自百里基地(茨城県小美玉市)で予定されており、節約をさらに徹底する方針。
訓練量を減らせば、やがては防衛力の低下につながり、従来通り訓練を続ければ予算オーバーは必至という事態に、防衛省の予算担当者は「目下の不安は今年度末まで燃料費が持つかどうかだ」と漏らしている。