【戦慄シリーズ】自衛隊刑務所の真実【第6巻】

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52専守防衛さん
特別法廷との関係

周知のとおり、日本では憲法の規定により特別裁判所を設置できないし、行政機関が終審として裁判を行なうことが出来ない。このため、当然、軍事法廷ないし軍法裁判というものが日本にはない。
ここで出てくるのが、「では、自衛隊刑務所が存在することと矛盾するのではないのか?」との疑問である。
しかし、この疑問はあまり的を射ぬものである。というのも、裁判の結果、刑が確定した被告人をどのようにその刑に服させるかという事項は、軍事裁判の有無とは全く関係がなく、行政上の実施事項に過ぎないからである。
自衛官が犯罪を犯した場合、一般の裁判所で裁判を受け、判決を受ける。これはなんら一般の民間人と異なることはない。
ここで、裁判について考えてみればわかる簡単な理屈がある。
裁判の判決主文は、「被告人ナンノダレベェを懲役10年に処する」と書かれるのであって、「被告人ナニガシソレノスケを府中刑務所における懲役10年に処する」と書かれる訳ではない。
つまり、裁判で確定したことは、そののち行政機関に引き渡され、行政によって忠実に履行されるのみであるということだ。
検察・裁判所のほか、法務・司法諸機関は、拘置中の被告人が一般人であれば一般の刑務所に送り、拘置中の被告人が自衛官であれば、まことに淡々と自衛隊刑務所にこれを送致するのみなのである。
その部分に法務上の空隙を生じさせず、円滑に事務を行なうことと、起訴・判決・服役等からその終了までの司法的一貫性を保つためにこそ、自衛隊刑務所の所長は法務省からの出向文官をもって補するのである。
なぜ自衛官だけが独自の自衛隊刑務所に送り込まれるのかというと、自衛官が一般人と違った技能を持ち、時として(表現は悪いが)破壊・殺人などの技術を持ち、また独特の組織構造の中で練成されていることなどから、
一般人と同じ刑務所で服役させるのは刑務所の規律を保持する上からも適当でないからである。
また、厳しい生活に馴染んだ自衛官を普通の刑務所で服役させても教育刑としての厳しい効果が上がりにくいという配慮もある。これについては従来からまったく議論のないところである。