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専守防衛さん:
自衛隊刑務所の編制は、その任務の特殊性もあり、平成12年までは50年近くも続いた旧来の態勢のままであった。しかし、平成13年、新たに予想される多様な任務等を考慮して態勢変更が行なわれ、新たな編制となった。
従来の自衛隊刑務所は、矯正部の下に陸上課・海上課・航空課を有する陸海空の共同機関として設置され、基幹部分の多くを陸上自衛隊が受け持っていた。それは、従来は海・空の犯罪自衛官が、その人員比そのままに少なかったからである。
しかし、近年海・空自衛官の犯罪が増えてきたため、これを分離し、新たに陸上自衛隊刑務所・航空自衛隊刑務所・海上自衛隊刑務所が設置された。各自衛隊刑務所の所長に法務省からそれぞれ文官が出向してくることは従来と同じである。
従来の自衛隊刑務所研究部は、ハーグ条約・ジュネーブ条約等にかかわる捕虜の取扱い等の研究を行なっていたが、この態勢変更により陸上自衛隊研究本部に吸収された。現在、6課13室と呼ばれている室が、この刑務所関係の研究を行なっている。
この捕虜・条約関係の研究は陸上自衛隊が担任することになったため、海・空についてはその研究機能がない。ただし、各自衛隊刑務所には「研究課」が残され、矯正教育に直接かかわる研究は、陸・海・空それぞれが小規模に研究している。
各自衛隊刑務所の基幹部分は、所長の下に企画室・総務部・矯正部・研究課等があり、それぞれの事務を担任する。
陸上自衛隊刑務所の場合は、従来と同じく実働の活動体を持たぬため、矯正教導連隊が実際の矯正教育支援を行なう。
矯正教導連隊は陸上自衛隊刑務所長の指揮下にあり、教導連隊長は従来のように陸将をもって補職される。陸・海・空に分かれたたため、矯正教導連隊は陸のみに組織される。
海・空の場合は犯罪人の人員比が増えたとはいえ、絶対数が陸に比して少ないので、矯正部の中に第1〜第4矯正課と警備課が設置されており、これが実際の矯正教育を行なっている。海・空の矯正部の各課長は1佐である。