かつて『沈黙の艦隊』という漫画が日本で大ブームとなった。
これほど『アメリカになりかわりたい』
という願望が素直に表現された作品もめずらしかったので強く印象に残っている。
話は壮大な嘘の積み重ねというか、めちゃくちゃなのだが、
作者のかわぐちかいじは読むものをぐいぐいひきこむ並々ならぬ力量を持っていて、
どのページからも娯楽という興奮のスパイスを抽出できた……という風に私は記憶していたのだが、
今ちらっと読み返してみたら自分が記憶していた以上にはちゃめちゃくちゃなのに驚いた。
私は一時期批判文を書いた事があるのだが、
それでも長い事読まないでいる間におぼろげになった部分を 『美化』していたらしい。
本質はアメリカに対する罵詈雑言である。
それ以上でも以下でもない。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/8412/geodiary.html
お話は日米合同で最新鋭の原潜を建造することからはじまる。
秘密乗組員は全員日本人だが所属は合衆国の第七艦隊。
しかし海江田艦長率いる乗組員は、完成した原潜を『やまと』と勝手に改名、
処女航海に出ると合衆国を裏切って逃亡する。
追撃する米軍は『このジャップめ』と日本人に対する蔑称を連呼。
とにかく過激にカタをつけようとする。
対する海江田艦長は、包囲された海のど真ん中で、原潜『やまと』は独立国であると宣言、
『やまとは独立国であるからして、国際法にのっとって周囲十二海里の海域が認められる。
その領海を侵犯しているのは合衆国であり、やまとが友好国と認めない限り
攻撃権はこちらにある』とわけのわからない事を言う。
この漫画のめちゃくちゃを数え上げたらきりがないが、
最初に遭遇するカルチャーショックともいえる強烈なめちゃくちゃである。
この私物化された原潜を理想世界実現の礎として描くのが漫画のおおまかな方向性である。
海江田は米艦を返り討ちにしつつ、やまとはどこにも属さない世界の軍事警察国家となり、
友好的な国とは契約を結ぶといい、手始めに日本と契約を結ぶと言い出す。
このあたりが見え透いていてとても胸が傷む。
日本政府は表面上はすったんもんだやりながらも物資を供給したり
逃亡を助けたりして支援する側にまわる。
それを米国に責められると、『建造費も開発費も日本が出した』と
子供のような言い訳をし、『第七艦隊所属はわが国の議会が認めたことではない』と、
これまた論点があさっての方角にずれた対応をする。
この日本の支援でやまとは行く手を阻むもの(主に米国艦隊)を次々と破壊していく。
さらに再び連携プレーを米国に責められた日本は、
『やまと』は独立国であるからしてわが国とは関係ない、と言い出す。
しかしここで驚いては甘い。
その舌の根も乾かぬうちに、やまとに国際的な注目と脅威がせまってくることをみてとった日本側は、
見るものを完全に呆れ圧倒させるような、ものすごい主張をし始める。
『合衆国は日米安全保証条約に基づいてやまとを護るべきだ』
独立国じゃなかったのね(笑)。
第一、やまとを撃沈、ないし屈服させようとした米国の人命・軍備の被害は半端ではない。
『理想の実現のためには何万トンの血も油も流す』
海江田の台詞である。
ついでに、追撃艦のひとつにはなぜか
『合衆国大統領になることを約束されたサラブレッド』も乗り込んでいたりする。
その男は弟との共同作戦でやまとを追いつめようとするが、
海江田艦長は相手が誰かも知らないのに、二つ艦の動きから、
『合衆国にとって失いたくない人材がどちらかに乗っているに違いない』と判断する。
そして海江田は『合衆国の栄光になるべきはずの男』が乗っている艦を方を
『意図的に選んで』撃沈する。
根底を流れる思想がとても野蛮である。
これが『変な漫画』という感じのマイナーな扱いか、
ギャグとして受けとめられたならまだ納得がいくが、
連載が続いていた当時は、日本の大衆に熱狂的に迎えられた。
『凄い』『緻密だ』『リアリティの上に大胆な構想をぶちあげ、
理想世界の建設を描いた未曾有の漫画』
エトセトラ。
その現象を、私はとてもおもしろいと思った。
なぜみんなこの漫画の矛盾に気づかないのか。
最初の矛盾はもちろん、契約不履行の裏切り行為であり、
軍備の私物化であり、
自分が正しいという開き直りであり、
『攻撃されたから』ということを盾にした殺戮行為であり、
そして、話し合いの欠如である。
大上段に構える海江田。
そこからの矛盾はまさに矛盾のオンパレード。
その矛盾を素晴らしい理屈と勘違いする愛読者。
それは多分、都合のいいことだけしか見ていないからだと思われる。
都合のいいこと、それは。
日本がアメリカの傲慢をメタクソに叩き潰すこと。
であろうと思われる。さらに言うなら、
アメリカになりかわりたい。
という素直な欲望。
それをサポートするための理屈なら、どんな矛盾があろうがすんなり受けいれてしまうのだ。
『アメリカをやっつける快感』を、
『理想世界実現という大儀に感動した快感』と勘違いしているのである。
アメリカも偽善的な娯楽作品を作ったりしているが、ここまでめちゃくちゃなのはない。
傲慢・強引・独善的と思える相手の欠点。
それをさらに輪をかけた手段でお返しする。
とても素直である。
そういう意味で『沈黙の艦隊』は、世界を解析したものではなく、
ましてや米国を論評したものでもなく、
その異常なまでの評価のされかたによって、
我々日本人に流れる血の一部を解析した作品であるということが
計らずも判明したような気がする。
いまだ2GETS
自分で2getして、更に3以下も長文を続ける。
しかも、ネタにはカビが生えている。
駄スレ、ここに極まれりだな。
>>1よ。
どーーーしても『沈黙』ネタがやりたいんなら、ここではなく漫画板にでも逝って、
自分で2getしたり、やたらと長文でつなげようとせずに謙虚にいけ。
10 :
専守防衛さん:04/02/24 23:34
漫画に熱くなんなよ しょせん紙とインクなんだよ
11 :
専守防衛さん:04/02/25 00:14
>>1-7、マジレスしてあげよう。
その漫画をあと百回読め。
なんというか、ワラッタヨ
13 :
専守防衛さん:04/02/25 01:08
>>1 >これほど『アメリカになりかわりたい』
>という願望が素直に表現された作品もめずらしかったので
そうか?全くそうは思わなかったが?
なにか嫌なことでもあったのか?
14 :
専守防衛さん:04/02/25 01:37
発刊当時、日本には一方的な"ジャパンパッシング"に対する草の根レベルの"怨み"が渦巻いていた。
おとり捜査による、日本企業狙い撃ち産業スパイ事件。
低俗な日本製品ブチこわしパフォーマンス。
卑劣なテクニックによる、特許訴訟と賠償請求。一方的なアメリカ製品押しつけ。
強圧的な防衛負担と「おもいやり予算」の要求。
対米不信の一つのピークにあった時だから、老若男女右左問わず広く国民にウケたのも当然であろう。
現在の環境で論じても、意味は無いと思う。
15 :
専守防衛さん:04/02/25 01:44
というか、そもそもこの漫画ってそんなにむちゃくちゃだったかな
>>1 確かに戦闘(=殺戮)場面はあったが、
そんなのこのテの漫画や映画じゃあ当たり前だ。
なんか内容を取り違えていないか。
16 :
専守防衛さん:04/02/25 10:17
感想文なら学校でいくらでも書いてるだろうにw
ナニマジレスシテンダヨ
放置すれば良いのに。
突っ込み入れ始めたら最後は一行ずつ引用するハメになるぞ。
まあいいや。
外交の詭弁と漫画のアラを混同してるぞ。
>>1
18 :
専守防衛さん:04/04/04 20:32
はっきり言って笑えるね
19 :
専守防衛さん:04/04/04 21:28
面白いじゃん。さすがに潜水艦で50ノットはないと思ったが。
21 :
専守防衛さん:
>>1-7 実社会で友人と呼べる人は何人いますか?
一度数えてみて下さい。