【高校生?】陸自少工出身者集まれー2【公務員!】

俺が16の時だったな。
冬の休暇の時だった。
休暇中に生徒の１次試験があったので地連訪問を兼ねて激励に逝った。
もちろん制服着用で。
そこの駐屯地の担当の方は偉く喜んでくれたな。
昼の休憩時に受験者に挨拶してくれって言われたからそれまで時間があった。
その時が、あの人との出逢いだった。
21歳の陸士長でマチルダさんみたいな感じの人だった。
広報の仕事をしていると言っていた。
駐屯地を色々案内してくれて一緒に昼食を食ったな。
俺は生まれて初めて、肉親以外の女性と2人っきりで食事をした。
その人に「生徒さんは」って言われる度に「ニュータイプは」って言われてるような気がした。
俺は最初その人の前で自分の事を「自分は・・」って言った。
その人は「階級が上の者であっても女性に対しては、「自分」なんて言わないで欲しいわ、僕か俺の方が好き」って言われて、ときめいちまったな。
「少工は大変でしょう」って聞かれたけど「そんな事ないですよ、普通の高校みたいなもんじゃないですかね」って答えたら。
「強がらなくていいのよ、あそこが大変な所だって事は有名だから、がんばってね」って言われて完全にテンパった。
「少工では、目上の者に対する礼儀は厳しいみたいだけど、君は女の子に対する礼儀はなってないみたいね」ときたもんだ。
随分前の事だから、後は何話したか覚えてねえ。でも、あの人の笑顔は忘れられねえ。
駐屯地の営門まで送ってくれたなあ。
「君が3曹になるまでには、私も陸曹になれるかしらね、結婚して辞めてるかもしれないけど、また何処かで逢いたいわね、素敵な陸曹になってね」って言ってくれた。
そこで握手して、お互い敬礼して別れた。
その人の敬礼してる姿は、正にマチルダさんだった。
それから、あの人には２度と逢ってない。
いつまでも俺より上官であってほしい。
帰りの電車の中で俺は呟いた
「マチルダさーん」