読んでて笑えたのでつくってくれ。
概要:普通科中隊の中隊本部の毎日を、淡々と描く。
主人公:佐藤准尉(先任) 鈴木曹長(補給陸曹) 田中士長(給養係付)
あらすじ:定年間近の准尉の目を通し、自宅のローンに苦しむ鈴木曹長や陸曹
候補生試験に受からない田中士長などの葛藤を描き出す。
たまにある中隊検閲や戦闘団検閲をはさみながら、中隊本部の日常
業務が圧巻である。
ネタの発端
■ 防衛における女性差別 ■
http://society.2ch.net/test/read.cgi/jsdf/1044494214/ のレス番80辺りから
某中隊の一日
「うぉ〜い、通学ばかりせずに演習行かんかぁ」
「まぁまぁ小隊長、卒業した暁には全身全霊自衛隊に捧げる所存でごじゃりますので、んじゃそゆことで」
(ドピュ〜!)
今日も中隊は平和であった。明日も中隊は平和なのだろうな(笑)
4 :
◆pvU9/kjiWQ :03/07/30 12:04
あぼーん
6 :
第1話 「転入者」1:03/08/02 16:35
8月2日
中隊長以下7名の転出者の引っ越し支援も無事終了。惜しまれつつ去ってい
く者も、影でぼろくそ言われてた奴も表向きは「ご苦労様」「ありがとうござ
いました」と声掛けつつ去っていった。我が1中隊には、来春の連隊改編をに
らんでの人事か、幹部1名、准曹3名、陸士1名と−2名の補充だ。そのうち
陸士は、来春の任満退職をにらんだ異動者なので戦力とはいいがたい。
来週中には、転出者も全員掌握できそうだ。出戻り1名以外面識はない。新中
隊長 石田3佐は、比較的常識ある人物との情報を人事幹部から聞いているが
こと指揮官の人物評は当てにならない。指揮官交代に伴う取扱主任検査も、指
定品目だけでいいことになり、補給の鈴木曹長もかなり負担が少なくなった。
中隊の補給係は俺も経験したが、そんなに難しくなかったと記憶していたが、
元銃剣道のエース 鈴木曹長にとっては苦痛このうえないようだ。元武闘派も
すっかり肥満し、中隊の若い者たちから「ローンソルジャー」と言われている
だけの親父である。私もそうだつたが、陸曹になってからも戦技だけやってい
ると潰しがきかなくなる見本である。2・3曹には「反面教師」でしかない。
今度の転入者で、気がかりなのは北方からの出戻り瀬野1曹だ。
転出したときは3曹で、周りでは「身売りされた」「人身御供だ」とも噂されて
いたが、実は私は知っている.本人の希望だったことを…
「最前線部隊(当時)に行って、自分を鍛えてみたい!」と中隊長に直訴し、喜
び勇んで雪深い北海道に転属してはや10年、1曹に昇任してるということは…
それなりに活躍したということか。早速面接をしてみることに
「ひさしぶりだな〜瀬野!元気だったか?」
「お久しぶりです。まぁそれなりに元気ですよ」
「向こうでは何やってたんだ?まさかずっと臨勤じゃ無いだろう?」
これが一番の不安だった。北方ではスキーのできない隊員は、どうでもいい勤務
にまわされることが多いと聞いたからだ。
「普通でしたよ、演習行って訓練して…」
「スキーは?大丈夫だったか?」
「最初の年は苦労しましたが、やったらどうにかなるもんです」
どうやら私の心配は杞憂に終わったようだ。「頑張れよ」と声をかけて面接は
終わった。
「先任、どうだった?瀬野1曹は…」同じく心配だったのか運幹が聞いてくる。
「どうやら問題は無いようですな、一安心です」
「そうか…」安堵のため息「よし!ほかの転属者も頼むわ」まぁ気軽に言って
くれる、いつものことであるから気にしない。
これで新体制がととのった、来年の改編時期まで何も無ければいいのだが…
8 :
第2話「中隊長要望事項」:03/08/11 01:05
着任式も近年希に見る早さで終わった。連隊長による新中隊長の紹介、中隊
長の所信表明そして巡閲・・・入隊以来何度経験したろうか。前任者は、CG
S出のBだが、余り人格者とは言えなかった。ほとんど部隊経験もなく、検閲
等では、運幹が起案した命令を朗読するだけで特に実員指揮とか言えることは
していないと言える1年4ヶ月であった。あまり部隊勤務に対する情熱もなく
隊員の服務指導にも取り立てて方針を示すことなくことなかれだった。こんな
人が連隊長やるのかな・・・まあ、パッとしてないから師団長はないだろうけ
ど・・・とぼんやり考えながら中隊長の初度巡視に同行している俺だった。
新中隊長の要望事項「努力」か・・・・なかなか努力できない、しない者がい
ますけど中隊長お手柔らかに・・・・。
期待あげ
10 :
第3話「改編の嵐」1:03/08/23 11:44
中隊の充足率は、ここ数年確実に低下している。特に、来春の改編に向けて
三月に19名出たのがでかい。後方態勢移行のため、整備特技持っている者は
片っ端だった。となりの中隊では、自動車整備の専門学校卒業の1士まで取ら
れた。それって、自衛隊の特技か・・・?「来春から、ナンバー中隊6コに
なるのに大丈夫かな」入隊同期の隣の中隊の小隊長 神原2尉が麦茶飲みなが
らその特徴のあるだみ声出しながら俺しかいない事務室に入ってきた。「おっ
精強 2中隊の対戦車小隊長暇そうですな」、結局連隊にいまも残ってるのは
俺と神原だけだ。奴は、驚異的早さで昇任しSLCもトップで出た切れ者だ。
「おっ 先週司令部で聞いてきた話だが、特科と戦車減らすのは部隊だけで人
間は7割方残るらしいぞ」初耳だつた。神原の妹は、WACで今は師団司令部
付隊に勤務している。そいつの旦那も、付隊所属で司令部1部勤務している。
神原の「司令部から」と言う情報はほとんどそこがニュースソースらしい。
「大砲撃ちや戦車乗りだけの小銃小隊なんて様にならんだろ」ははなるほど、
師団改編で、残留を希望する他部隊の隊員の受け皿になりそうだと言うことか
・・・。以前、7師団が機械化から機甲化になる時、大量に普通科隊員が3コ
の戦車連隊に流れて、大変だつたと言う話を聞いたことがある。
11 :
専守防衛さん:03/08/26 01:56
さらに期待あげ
12 :
専守防衛さん:03/08/26 02:24
これ面白いからage
13 :
専守防衛さん:03/08/26 04:46
続きはまだかなぁ〜〜
14 :
専守防衛さん:03/08/26 16:44
age
15 :
第3話「改編の嵐」2:03/08/26 18:43
「先任、陸士の数減るって本当すか?」浅黒くずんぐりしたいかにも九州
男児然とした今田3曹が神原2尉と入れ替えで事務室に入ってきた。「おっ
今日は代休だったな」「そうですよ 今は業務隊輸送班のエースですから」
今田は、大学を中退して補士で入隊した。今でこそ、補士制度は定着して陸
曹の供給源となっているが1〜3期は概して素養も低く中隊にも四名来たが
ちゃんと陸曹として働いているのはこいつだけだ。陸曹教育隊も前期中隊長
賞 後期教育隊長賞だったな。九州で入隊してあえて、地元以外でやつてみ
たいとこつちにに来て、3曹になってからも「臨勤も経験ですから」とみん
ながいやがる輸送班勤務も承諾してくれた。幹部になっても、陸曹のままで
も中隊の軸になってほしい奴だ。「陸士の数か・・・わからんな また来月
には新兵来るけどな・・」「そうすか・・・なんか業務隊の連中の話だと来
春の改編見越していろいろあるみたいだし・・・・」実際俺もよくわからん。
ただ、このままでいられないのは事実だが・・その日の1500 命令会報
で1科に言った時、改編の足下を感じざる得ないことを庶務幹部から聞かさ
れる。「1中と3中の先任は残って」付配置まで半年切ったがおよそ50代
には見えない庶務幹部 宮本2尉から飛んでもない爆弾を投下された。
16 :
専守防衛さん:03/08/26 19:02
これイイ
17 :
専守防衛さん:03/08/26 20:45
やっぱりネタは戦闘職種のNo中隊でないとだめでつか?
当方後方支援職種の中隊長Drで文書・部隊補給・配車といろいろやらされました(w
今の職業も某民間会社で文書兼部隊補給兼給養でつ
民間もしんどいわ〜
18 :
専守防衛さん:03/08/26 20:50
19 :
専守防衛さん:03/08/26 21:30
禿同
20 :
専守防衛さん:03/08/26 21:42
輜重輸卒ガ兵隊ナラバ蝶々蜻蛉モ鳥ノ内
21 :
専守防衛さん:03/08/26 21:53
登場人物にバリバリの生徒or曹学の若手2曹か3曹が欲しいような。
22 :
第3話「改編の嵐」3:03/08/26 22:18
「1中はどうなった?」「はあ・・」何言ってるんだこの人。3中の付准尉
の池田曹長が割ってはいる。「3中はダメですよ。絶対に。」池田は39歳
と若い。曹学で重迫中隊に来たのがまだ最近のような気がする。彼は、自衛
隊三世で、彼の親父も3佐でつい数年前に定年になったばかりだ。1曹にな
ってすぐに富士学校に助教として三年いたが、曹長昇任とともに連隊に戻っ
てきた。普通科部長から、連隊長に「幹部になるには部隊にいた方がいいだ
ろう」との電話での電撃人事だ。しかし、温厚な池田が語気荒げているのは
なんだろう・・・・。「宮本2尉 なんのことです?」探ってみるか・・・。
「あれ、前の中隊長に聞いてなかった?」何のことだ・・・・。「じゃあ、
3中はいいよ」「頼みますよ 本当に」長身の池田は何事もなかったように
1科を出る。廊下で副連隊長とでかい声で話している。ことさらに、ゴルフ
の話なんかしやがって・・・。「すいません。前中隊長からは何も・・・」
「あっそうなんだ。いいよ。まだ調整のための調整だから」何のことだ・・
来春の改編がらみか・・「あのさ、一般論としてナンバー中隊にWACって
問題あるかな」「職域解放の範囲なら問題ないでしょうね。庶務幹部、女
の子の話ではないでしょ。」なんだ。いったい・・・。「はは、バレバレか」
「これオフレコね 来春の改編で特科の一個大隊分の人間丸々来るんだよね
。それでさ、実際どんな奴来るかわかんないけど病人や訳ありがそうとう流
れてきそうなんだよね それでね・・・」宮本2尉の話を要約するとこうだ。
23 :
専守防衛さん:03/08/27 21:02
期待age!!
24 :
専守防衛さん:03/08/27 21:36
はじめまして珊瑚で〜す。珊瑚はオナニー大好き!
「指で広げて」とか「バイブ入れて」とか命令されると
おまんこがグチョグチョ。中指を入れながら、親指で
お豆をこすると、もう手がヌレヌレになっちゃうよ^^
いつもシーツまでマン汁のシミができちゃうぐらい
超気持ちー^^オナニー中毒!?ってもたまに
思うけど、気持ちいからしちゃうの^^」
とかカキコしてる間にしたくなっちゃった(笑い)
こんな私は
http://www.gals-cafe.comにいるよ。
珊瑚のオナニー見て一緒に気持ちよくなろうね
25 :
専守防衛さん:03/08/30 01:25
age
26 :
専守防衛さん:03/08/31 14:21
続きはまだでつか?
27 :
第3話「改編の嵐」4:03/08/31 23:44
投稿者は金曜まで帰宅しません。
金曜には投稿するそうです
28 :
専守防衛さん:03/09/01 00:51
保守しとこう・・・・
29 :
専守防衛さん:03/09/02 01:31
保守保守。
30 :
専守防衛さん:03/09/03 01:02
水曜。
31 :
専守防衛さん:03/09/03 04:13
金曜日が待ちどうしぃ・・・
32 :
専守防衛さん:03/09/05 01:10
ホシュ。
今夜あたりカキコあるかなぁ〜。期待揚げ。
>>24 ハマグリの吸い物とかアサリの味噌汁が食べたくなった。
34 :
専守防衛さん:03/09/05 19:23
期待∩゚∀゚∩age
35 :
第3話「改編の嵐」4:03/09/05 19:32
庶務幹部は、1科長の密命をうけ人事幹部とともに師団改編で受け入れる
隊員特に・・・服務上問題ある隊員の受け入れ先について色々と水面下で動
いているらしい。特科連隊が、特に問題視しているのは幹部2・陸曹17・
陸士7としているが、実際はどうなのだろう・・・。付准尉としては、1名
も欲しくないのが心情だ。結局、俺には具体的打診はない。しかし、池田の
あの勢いから相当問題隊員を押しつけられそうなのかな?
そんな事を思いつつ連隊本部隊舎を出た。後期教育中の新隊員が機関銃を携え
ハイポートしていく様子を脇を見つつ事務室に戻って行く俺だった。そして、
三日後、改編準備室内に庶務幹部が人事調整係を兼ねる人事発令通知を見るこ
とになる。
36 :
第4話「死闘!FTC」1:03/09/05 19:54
「先任、主MOS軽火器だよね?」中隊長から朝礼後突然質問を受けた。
なんだろう・・。「そうですけど・・何か」中隊長の顔から、あんまり
悪い話ではないようだ。「うち(1中)が、急遽FTCに行くことにな
ったよ、先任にも参加してもらうよ」詳細については、その日の午後、
中隊長室で聞くことになる。要約すると、師団内でFTCに参加した部隊
が軒並み惨敗であり、師団として成果を出したいという師団幕僚長の意向
があること。テレビ局の取材があること。そして富士学校の全面バックア
ップのもと一ヶ月の事前訓練をして乗り込むこと・・らしい。俺は、小隊
陸曹としてTESCに参加したことはあるが、FTCには参加したことは
ないし、50になり付准尉になった時点で参加することはないと思ってい
たし今もそう思っている。「中隊長、自分が小銃小隊長やるより瀬野、東
山とか橋口とか1曹クラス使った方がいいですよ」「先任、だめなんだよ
先任じゃないと・・・・」俺の関しない所で俺・・・准尉 佐藤克也は激
闘に巻き込まれていくことになる。
37 :
第4話「死闘!FTC」2:03/09/05 20:26
「イラク戦争でもそうだけど、火力なくして機動無しですよ。普通科の悪
口言いたくないけど、今までやってきたような機動訓練と突撃だけではダメ
なんですよ。」連隊3科の前を通ると見たことのない濃緑の識別帽をかぶつ
た3佐がソファーに深々として座って、3科長や運用訓練幹部達に機関銃の
ような早口でまくし立てている。廊下からも、科長以下のいやそうな顔が識
別できる。さて、1中がFTCに参加することに伴う臨時勤務や特別勤務の
変更のため1・3科に寄ってきてわかったことだが、かなり急のことらしく
なぜ1中なのか、ほとんど知らないのが事実のようだ。ただ、陸幕広報から
のFAXがひっきりなしに1科や広報班に着ていることから、テレビが噛む
のは本当らしい。ただ、異様なのは本来戦闘団を組む時来る戦車大隊3中隊
や特科の3大隊からは誰も参加しないと言うことだ。「佐藤大変な編成とる
な、1中」各中隊の通信庫の前で同期の神原2尉に会った。同期と言っても
新卒入隊の奴は、46歳で俺よりも若い。AOCに、入校予定で来春まで帰
ってこない。「何が?」神原は声を抑えつつ「今回の関係部隊は戦車も特科
も施設もだけどな、助っ人だぞ。師団からは1名も出ねえぞ」「・・・」何
の事かわからない。「師団長と富士学校長が防大の時の仲のいい同期で同郷
そして職種も同じ特科なんだけどよ、FOとか戦車小隊長とかに現職の教官
を助っ人として1中につけんだとよ。おいおいおい・・・大変だぞ。何かあ
んな」神原の言う大変さについては、日をおかず知ることになる俺だが今は
残暑の中にも秋を感じるような風を心地よく感じる余裕を持っていた。
38 :
第4話「死闘!FTC」3:03/09/06 21:19
「一ヶ月の準備訓練は、小隊以下の機能別訓練を2週間、中隊以下の火力
と機動の連携訓練を一週間そして中隊訓練と言う名の総合訓練を一週間と言
う内訳。週末には、天幕監視以外の者は帰ってくるから。心配する必要なし
」運幹 乾2尉が終礼でこう告げたことにより少し方向が見えてきた。実際
教育入校や長期入院そして通学者と言った訓練未参加人員は馬鹿にならず、
迫。対戦と言った小隊には2・3中からの支援により編成せざるおえない。
テレビ局が、ドキュメンタリー風の特番にしたいと言う意向から、隊員を数
人単位でインタビューを受けていた。まず、全員にインタビューして特に注目
する隊員を絞るらしい。
39 :
専守防衛さん:03/09/06 21:19
なんか始まったみたいだどー
40 :
専守防衛さん:03/09/06 21:50
この人朝雲とかに連載するといいんじゃないか?
41 :
専守防衛さん:03/09/06 22:09
37>
富士学校の校長は普通科で出身だす
42 :
専守防衛さん:03/09/07 07:25
41>
架空の小説なんだからいいんじゃない
43 :
専守防衛さん:03/09/07 09:55
新展開期待あげ!
44 :
第4話「死闘!FTC」4:03/09/07 10:37
FTC・・・北富士に模した地形と言うことで師団管内にあるK演習場にあ
る総合訓練場が機能別訓練で使用する。そのための偵察か。高機動車2両で近
県にある演習場に向かう中で、ウトウトする俺だ。「朝、4時出発はきついね
」迫小隊長の井坂2尉がまずそうにタバコを吸っている。この人の禁煙宣言ほ
どあてにならないものはない。中隊長以下、小隊陸曹クラスまで総動員だ。い
つのまにか、師団特命演習と言う仰々しい名前で呼ばれることになったこの事
前訓練だが、陸上自衛隊全面バックアップと言うだけあって訓練に伴う後方関
係は、かなり無理が利くらしく、空包・食事・宿泊及び燃料はこっちの言った
事がほぼ通ってしまう。演習場には、師団3部の運幹と連隊連絡幹部の曽田1
尉が待っていると言うことだが、実際はそれ小型だけでも10余両駐車してい
た。我が中隊に「災厄」をもたらすことになる悪魔の3人衆・・・・後日、そ
う呼ばれた・・・もそのなかにいたこともその日にはわからなかった。先日、
3科で火力戦闘の重要性を説いていた富士学校特科部 宇多野3佐、FTCの
勤務経験のある普通科部 嘉門2佐 そして機甲科部 佐貫1尉彼らの言動に
振り回される悪夢の日々が今日から始まる。
45 :
専守防衛さん:03/09/07 12:56
今の話が終わるまでは、新しい話の書き込みはできなさそうだな・・
まぁいいや、面白いからageとくね
仕事の関係で、週末しか投稿できないとのことです。
他の方の迷惑なるようなら別にスレ立てると投稿者は申
しております。
45さん、特に含むところないので書き込んでください。
自分も週末オンリーなので、まぁぼちぼち書き込みます。
いくつか暖めてるアイデアが・・
48 :
専守防衛さん:03/09/14 08:56
ライター氏来ないな。ヤマにでも入っているのか?
49 :
専守防衛さん:03/10/09 23:26
期待あげ
50 :
第4話「死闘!FTC」5:03/10/09 23:43
「だから、なんで突撃しようとするかな」宇多野3佐は、ゆうに180
はありそうな体躯を震わせながらそして妙に明瞭なしゃべり方をして幹
部職以上の研究会で自論たる「火力最重視論」を蕩々としゃべっている。
従来の・・・・入隊以来やってきた訓練はここ数週間完全に否定されて
しまい准尉の俺どころか、BOC終わったばかり2小隊長の岬3尉も完
全に自信消失気味であり、曹士全員にもその停滞感は伝播しつつある。
確かに特科の教官にガタガタ言われたくないと言う気持ちはあるが、我
々の訓練は、明治以来の銃剣突撃からあまり進歩していないのではない
かと言う疑問が、中隊長以下中隊内に少なからずあるのも事実だ。来週
には、「連隊長の指導する中隊訓練」と言う練度確認があり、それに対
して師団は幕僚長そして3部長が視察に来る。そこで、大事件が発生し
中隊の方向性が定まることになる。
51 :
専守防衛さん:03/10/29 14:56
北井揚
中隊当番のらくろ編
「おい当番、茶を持ってこい!」
「ただいま行くであります。」
「遅い、貴様何しておるか。我輩の爪の垢でも煎じて飲め。」
「ハッ、ただいま爪の垢を煎じて持って参りました。」
「こんなもの飲めるか、お前のやうな奴はかうしてくれる。」
「キュウ。」
これ書いてるのNAの香具師だな。
54 :
第4話「死闘!FTC」6:03/11/15 20:20
「これ、班長以上携行ね」連隊4科補給幹部 渡1尉は、でっぷりした体
を揺らしながら事務室に段ボール箱を持って入ってきた。市販されている廉
価版のGPSだ。誤差10b以下で座標が出るやつだ。確か連隊3科だった
か、4中隊にもいくつかあったな。レンジャー錬成・養成で使ってたな・・。
「イラク関連で、防衛庁がサンプル購入した奴借りたよ・・・行くかどうか
も怪しいしな イラク」渡1尉がそう言っている中、人事係で趣味登山の
坂本2曹が段ボールから一個取ってまじまじと触っている。「かあー、いい
の買ったな やっぱりこれくらい官品でやってくんないとね・・」火力と機動
の連携と言っても特科、重迫そして81迫のFOが戦死すると砲迫火力が途絶
するケースが多い。GPSを各級指揮官に持たせて観測者がいなくても精度良
好な火力・射撃要求をしようと言うことらしい。「班長以上 自習室集合」運
幹の声が廊下に響き渡る。明日は、駐屯地内の西地区訓練場での視察だ。
55 :
第4話「死闘!FTC」7:03/11/16 10:15
FTCができてから富士地区では今まで絶対見ることがなかった北方や西方
の部隊の車両を見る機会が増えた。関東圏にあるうちの部隊にとっては富士は
ホームだが、九州の部隊とかにとってはアウェーってとこかな・・・。今週は
まずFTCの研修がある。通常3佐クラスの分析官によるブリーフィングなん
て通常の参加部隊ではありえない。うざったいことにテレビ局が終始つくので
隊員もよき「自衛官」を演じるようになった。去年の中隊検閲後の講評では、
・・・雨天のためしょう舎内だったせいか・・・居眠りする隊員が散見され副
連隊長からお小言を頂いたが・・全員がメモ帳広げているこのブリーフィング
はマスコミ効果だろうな・・・笑。さて、密着するテレビ局と同系列の雑誌社
と軍事関係専門誌だけの取材も、陸幕広報の売り込みのせいか気がつけば、1
0前後の媒体の取材を受けている。どうも、この訓練はできレースなのではと
言うよりは、ドキュメンタリーとして成立させようとしている素振りを中隊全
員が感じ取っていた。
56 :
専守防衛さん:03/11/30 18:41
age
なかなか新しい話がUPされないんで、ここいらでちょっとageついでに書き込み
ます。
58 :
閑話休題:点検奮闘記!その1:03/12/22 19:01
桜も散って新緑萌えるある日のこと、連隊に衝撃的なニュースが飛び込んで
きた。
「防衛庁長官来隊!」予定では約3週間後とのこと。
さぁ連隊長以下各科幕僚たちは上を下への大騒ぎ、翌日からは清掃の嵐が始
まった。
汚い倉庫の壁を塗り替え(予算は各隊員から徴収)放置されてたツバメの巣
を撤去(中の小鳥は焼き鳥になったという噂…)1科の某幹部は国有財産の
桜の木の枝を「見苦しい」とバッサリ(後で部下のせいにしようとして大顰
蹙を買う)パニック状態は中隊にもおよんだ。
各部屋を見回った中隊長「テレビを隠そう」すべての部屋からテレビが撤去
された。営内者からは反発の声、しかし神の光臨の前にはすべての理屈が無
視された…
さて長官来隊を明日に控えた晩、唯一残された当直室のテレビから流れてき
たのは「某国が弾道ミサイルを発射」のニュース速報。その1時間後、部隊
当直から流れてきたのは「長官来隊中止」の一報…
そのあと1週間は隊員全員が灰になってしまったとさ…メデタシメデタシ
59 :
閑話休題:点検奮闘記!その2:03/12/22 19:16
新しい師団長がなぜかウチの連隊を初動視察の対象に選んだという話が
1科から流れてきたのは、その点検が行われる3日前の事だった。
「1科はいつもこれだ!」憤慨する隊員たち、まぁもとはといえば師団
司令部の1部が遅いだけなのだが…命令とあれば仕方なし、訓練をすべ
て中断し、各施設の一斉清掃が始まった。
師団長は「ありのままの部隊が見たい」と希望、そんなの見せれるわけ
がない。まぁそこそこキレイになり、視察受けの態勢は整った。
当日朝、1科庶務から「隊舎の窓のアミドは全部西に寄せよ」との通達
があった。「通達とか依頼って命令と変わらないよなー」と言われたと
おり西に寄せる。
当日午前前段、1科長から「何でアミドを東側に寄せてないの?」との
電話が先任にかかってくる。まぁ幹部の言うことだから…と東にアミド
を寄せる。
ラッパが鳴る少し前、今度は副連隊長から「なんでアミドを窓の真ん
中に寄せないんだ!常識だろ!」とのお言葉、常識と言われては仕方無
い、言われたとおりに真ん中に寄せる。
そして事前の連隊長点検「なぜアミドを端に寄せてないんだ?」…
その瞬間、その場に居た副連隊長・1科長以下イヤーな空気が流れた事
はいうまでもない。そして、隊員たちがその後1科をどういう目で見る
ようになったか、改めて説明する必要は無いだろう…
60 :
閑話休題:点検奮闘記!その3:03/12/22 19:31
年末点検を明日に控えたその日の午後、命令会報から帰ってきた先任は
なぜか浮かない顔だった。訓練陸曹が尋ねる「何かあったんですか?」
先任「乾燥室から洗濯物を無くせ、だと」
訓練「乾いてて放置してあるやつですか?」
先任「そう質問したんだ、そしたら副連が「全部だ」と言いやがってな」
訓練「乾いてないのも、って事ですかね?何のための乾燥室なんだろう…?」
仕方なく営内者に命令する、みんな首をかしげて「?」という顔をして
いる。しかし命令なら仕方ない、当日朝には乾燥室はカラになっていた。
そして点検が始まる、各部屋を回る連隊長に副連隊長以下幕僚たちがつい
て回る。連隊長が開放された乾燥室の前で足を止める
連隊長「乾燥室なのに洗濯物が無いが…隊員たちはちゃんと洗濯してるのか?」
中隊長「やらせております。点検のため昨日すべて回収させました」
連隊長「それでは乾燥室の意味が無いな、誰の指示かね?」
中隊長「副連隊長ですが…」
副連隊長「自分は乾いていない洗濯物まで回収しろとは言っておりません!」
………
それを聞いていた先任&訓練は思いっきり呆れかえった。不明瞭な命令
を下しその責任を負おうとしない、こういう士官のせいで日本は戦争に
負けたんだなぁ…と、改めて実感する先任であった。
テスト
(・∀・)イイヨーイイヨー
63 :
専守防衛さん:04/02/01 15:54
ageru!
WAわまさにそんなかんじ
65 :
専守防衛さん:04/02/02 00:01
わっく登場! 時は十二月 曹学の新兵がくる 中隊初のわっく。先任はあわてた。この子に何をさせよう 中隊長もあせった。「通信補佐なんかどうだ?」 嫌がる通信陸曹 大変だ 。続く 続きかんがえてくれ!
66 :
まいにちWACわく!その1:04/02/02 19:10
師走も近い11月のある日、中隊長の元にめったに見る事の無い連隊本部の人事幹部が入っていき、その後何時間も話し合いを続けていた…
「何すかね?」訓練Bの田浦3曹が怪訝な顔をする、佐藤准尉には何か嫌な予感がした…経験の浅い田浦3曹にはその気配が読めないようだ。
人事幹部が出ていって数分後、電話番の田中士長を残して中隊本部、そして各小隊長が集められた。
「何事ですか先任?」防大出の佐々木3尉がこれまた怪訝な顔をする。「さぁねぇ…」先任の声にも覇気が無い、嫌な予感はますます強くなっている。
「急に集まってもらったのは他でもない、わが中隊にWACが入ってくることとなった」中隊長の言葉にみんなどよめいた。
「確かナンバーには入らないのでは?」「今回が初だそうだ、我が師団はウチだけらしい」「営内班とかは?」「補職は?」「それをひっくるめて、今集まってもらったのだ」
中隊長にも苦悩の色が見える。真面目な人だから断りきれなかったのだろう…これからのことを考えると、先任の胃はまたキリキリと痛み始めた…
67 :
まいにちWACわく!その2:04/02/02 19:24
「まぁまずは、どんな子が入るのかを言っておこう」
そういって中隊長は、その新人の資料を読み始めた。さすがにナンバーに来るだけあってかなりのツワモノのようだ。
1等陸士:赤城龍子
昭和○○年12月8日生まれ
出身は横須賀、父親は海自の方面総監で、母親も元WAVEの看護師
叔父は空自の航空団長、3人いる兄もサブマリナーとF15パイロット、それと現役防大生という自衛隊一家の末娘だ
都内の有名高校を卒業後入隊、知能段階は当たり前のように「7」、新体力検定1級で極真空手2段
趣味はスポーツ全般、特に格闘技
普通科中隊への配属は本人の熱望によるものらしい…
「すごいですね〜」他人事のように田浦3曹が感心する。
「取りあえずだ、まずは補職配置を決めようじゃないか」中隊長が言った次の瞬間、各小隊長はいっせいに目を落とした…
68 :
まいにちWACわく!その3:04/02/02 19:33
「小銃小隊はちょっと…」第2小隊長の岬2尉が渋い顔をする、「やはりムリかね?」中隊長も予想してたようだ。
「なんせ寝るときとか雑魚寝ですからね、しかも穴の中で」すかさず迫小隊長の井坂2尉が「ウチもだよ〜」と口を挟む。
同様に対戦もアウト、となると…
「取りあえず中隊本部、これでいいかね?先任」中隊長が結論を下す。逆らうことは…不可能のようだ。
「それがいい!」「いや〜やっぱり本部だね!」「伝令欲しがってたでしょ?先任」勝手なことを言う小隊長たち。
「あぁ、また胃が…」「先任大丈夫っすか?」「とりあえず、係陸曹集合…」
69 :
まいにちWACわく!その4:04/02/02 19:44
「ウチは2人で十分!」「ウチで引き受けても困るよ〜」「新人に出来る仕事かい!」
15時から始まった係陸曹会議はもうすでに4時間が経過し、日もすっかり落ちてしまっている。
「しかし受け入れると決まった限りは責任がありますよね?」田浦3曹が助け舟を出す。
「じゃあ訓練で引き取れや」「それはできんな〜」訓練Aの中島1曹が言う。「訓練はけっこう動くよ、経験もいるしね」
議論は堂堂巡り、みんな疲れ果てていた。「取りあえず明日にしないか?」「いや、今日中に結論が欲しい!」先任もがんばる。
…さらに1時間後…
「連隊のWACは通信と衛生にしかいない、だったら通信でいいんじゃないか?」誰かが言った。
「それだ!」「そうだな」「それがいい!」みんな賛成のようだ。
「まっ待ってください!」通信陸曹の岡野2曹が叫ぶ「ウチだって体力勝負なんですよ?」
「無線でいいじゃねえか」「まずは部隊通信に行かせたら?」みんなかなり投げやりである。
「…仕方ありませんね、暫定的な処置ですからね!」半ばキレ気味の岡野2曹を尻目に、みんなスッキリした顔をしている。
これでうまくいけばいいが…先任には一抹の不安があった
70 :
専守防衛さん:04/02/02 19:58
昨日の騒ぎが嘘のように平穏な午前。しかし15時。1科長より中隊長が呼ばれたのだ。1科長「連隊としては赤城1士を小隊人員として使いたい!」中隊長「予定では通信補佐と言う予定ですが?」1科長「本人も、迫を希望しているらしんだよ」中隊長「・・・」
中隊長「ブチッ!?」何かが切れた! 「いったい連隊はうちに何をさせたいんだ!ワックが普通科と言うだけで勝負なのに、小隊でつかえだと!面白くない!今日はその話はなしだ!」と、どなり帰った。中隊事務所で、冷静になった中隊長は言った「俺はクビだろうか?」
「と〜と、切れちゃつたんすか、そりゃマズイっすよ・・・・・。」
心配しているのかおもしろがっているのか良く判らない表情で
中隊長室を指さす田浦3曹。
73 :
専守防衛さん:04/02/02 21:19
先任も暗い表情になる。「陸士や若い3曹が切れたって言うならなぁ・・・まさか、中隊長とはなぁ。」 先任の目線には、人事係の机があり、その机の上には、すました赤城1士の写真付き書類がおいてアッタ。
中隊長は連隊長より呼ばれた。話あいの末、通信補佐の位置でよいとなった。連隊長「まぁ、本人の意見が通らないのも、この組織だからな。あと、〜〜」何やら耳内していた。 中隊へ帰った中隊長は、すぐに先任を呼びつけ、連隊長の話をそのまま伝えた。内容はこうだった
75 :
専守防衛さん:04/02/03 20:55
(`⊃⊂´) 安panマンが怒ったら、多分こう
76 :
専守防衛さん:04/02/03 23:37
「くれぐれも、男関係だけは、問題ださないでたのむぞ。なんせ、とてつもない一家だからな。」だそうだ。溜息をついた
77 :
専守防衛さん:04/02/03 23:53
「さらに新たな問題が起こった。うちの中隊が予備自官補の教育訓練にあたることになった。」と中隊長
ざわめく中隊事務室。
78 :
スキップ・ビート:04/02/04 13:42
番外編・生活隊舎
「飯島士長〜、事務室で小耳に挟んだンすけど、今度ウチの中隊にWACが
来るらしいですよ!」ここは生活隊舎・談話室。連隊長の「鶴の一声」によ
り営内班が禁煙になって以来、喫煙者の溜まり場である。「何ャ〜!マジで
か!三島君、その情報はどっから仕入れたのかね?」三島士長は丁寧にプレ
スをしながら答える。「ダテに中隊長伝令やってませんよ。昨日、中隊長室
の掃除してる時に聞いたンすよ。事務室で中隊長が幹部やら係陸曹やら集め
て相談してました」飯島士長は先任士長だ。「昔さ、重迫にWACが居たけ
どさァ、ロクなもんじゃなかったぞ。演習ン時だって大変だろ?」飯島士長
は煙草を美味そうに吸いながら続ける。「それとも三島あたりがヤっちまう
かァ〜!?」そうなのだ、三島士長は「中隊の便利屋」と言われる様にドラ
イバー、通信、らっぱ、炊事、伝令などをその時の要望に応じてそつなくこ
なす陸士なのだ。つまりWAC赤城1士と任務を共にする可能性が高い・・
・。しかも入校やら支援やらで関わったWACとは何かしらのつながりを残
してくる様な男である。今年の初めにも、音楽祭り支援で一緒だったWAC
から年賀状が多数届いて中隊で話題になった事がある。「ま、来てからのお
楽しみですな・・・!」二人は若干淫靡な笑いを共有した。
こうして営内に住む陸士の間に「WAC来たる」の噂は広がっていったの
であった・・・。
生活隊舎編、不定期につづく・・・
そのころ師団司令部では
「というわけでお世話になりますがよろしく・・・。」がちゃん。
赤城総監と師団長は防大の先輩後輩の中である。
師団長がラグビー部で鍛えに鍛えられた4年が今の総監である。
以来幾星霜30年近い付き合いになる。
「そうか・・あの子もな。」
しばらく会っていないがどんな子になったのだろうか?
「母親はひょうばんの美人で仲間のアイドルだったからな・・。」
「はい・・・・・・・・わかりました。そうですか」がちゃん。
「先任・・・。」
「中隊長どうされました」
「師団長検閲が決まった、1週間後だそうだ。」
80 :
専守防衛さん:04/02/06 11:22
捕手安芸
81 :
専守防衛さん:04/02/06 17:46
検閲はつらかった。しかし、終わった。事故もなく そして、赤城1士が配属された・・・
82 :
専守防衛さん:04/02/06 17:52
そこへある女が一人訪ねてきた・・・
83 :
まいにちWACわく!その5:04/02/07 17:57
「WAC受け入れ命令」以来上も下もバタバタしてたが(キレた中隊長、通信陸曹の苦悩、ゲットを狙う「不穏分子」の存在)ついに、赤城1士の着隊の日を迎えた。中隊長は先日の「師団長点検」のことを思い出していた…
急な点検が決まって、3日間を「環境の整備」に費やした。生活隊舎は見ないとのことだった。この点検が赤城1士受け入れに絡むということは全隊員が薄々感ずいていた。
実際点検自体は数分で終わり、中隊長以上の幹部と師団長との懇談が連隊長室で始まった。
「連隊もまぁよくやってるねぇ」師団長が横に少し大きい巨体を揺らし発言する。「はっ、アリガトウゴザイマス!」これ以上はないというくらい背筋を伸ばした連隊長が答える。そうした雑談が10分も続いた後、やっと本題に入り始めた。
84 :
まいにちWACわく!その6:04/02/07 18:06
「ところで、今年の曹学の受け入れ準備はどうかね?」「はっそれはもう各中隊が準備を万端にしております!」
「急なWACの受け入れを快く引き受けてくれて助かるよ。赤城1士はどこの中隊かね?」
「ウチであります」中隊長が答える。幕僚や他の中隊長も注目する。
「そうか、全国でもナンバーにWACを受け入れるのは10個連隊しかいないのでな、よろしく頼むよ!」微笑みながら師団長が言う、幹部の微笑みには警戒が必要なことは中隊長も承知している。
「了解しました…」やや警戒しつつ答える中隊長。さらに師団長が続ける。
「赤城1士、いや龍子くんは私も生まれたときから知っている、彼女の父親とは懇意にしててね」目を細め懐かしむように語る。「よく兄たちとおもちゃの取り合いをしてたものだ、知ってるかね?彼女の上の兄は来年防大を卒業、陸に入ることが決まってるのだよ」
85 :
まいにちWACわく!その7:04/02/07 18:15
「ナンバーには本人の強い希望だそうだ、面倒を見てやってくれたまえ」……すぐさま返事をしない中隊長、一瞬の間を置き中隊長は意を決したように話し始めた。
「中隊配属された隊員は分け隔てなく面倒を見て鍛え上げます。赤城1士にも同様に接してよろしいのですね?」「もちろんだとも」「では、私の指導方針にお任せいただきます。問題となるような事があった場合以外、これからは口出し無用に願います!」
空気が凍りついた、幕僚たちは動揺し連隊長も言葉を失ってる…一介の中隊長ごときが師団長に対して意見する、高級幹部の頭では理解できない事態が起こってしまった。
ようやくフリーズから解けた連隊長が席を立ち話そうとする「中た…」それを傍らにいた副連隊長がひざを抑え制する「お待ちを」低くつぶやき師団長の方を見るよう目配せをした。
86 :
まいにちWACわく!その8:04/02/07 18:23
師団長が口を開いた「それはもちろんだ、師団長が一介の陸士の事に口を出すことではないな。これはあの子の父親と私個人の頼みと思って聞いてほしい」そうして師団長は席を立ち中隊長に向かい合う、そして軽く頭を下げて
「あの子のことを頼む、甘やかさずに一人前の自衛官にしてやってくれ。それは彼女の願いでもあるのだから…」中隊長も席を立ち頭を下げる「わかりました」
連隊隊舎前で幕僚と中隊長たちが師団長の黒塗りプリウスを見送る、そして解散となった。誰も中隊長には声をかけない。
さっきの件を叱責すれば師団長への背信行為になりかねず、激励すれば問題発生時に巻き添えを食らう可能性がある…という考えがあるようだ。中隊長は硬い表情のまま中隊に帰ろうと隊舎に入った、そのとき不意に肩をたたかれ振り返った。
87 :
まいにちWACわく!その9:04/02/07 18:33
「大見得を切ったな」副連隊長だった「ハラを決めましたからね」中隊長が答える。
フッと表情を和らげ副連隊長が言う「ロープ橋で泣いてたレンジャー学生が立派になったなぁ」「『鬼のレンジャー教官』は丸くなられましたね」同じく表情を和らげ中隊長が答える。
「私にできることがあれば協力しよう。一人の女の子を一人前の自衛官にする、やりがいのある仕事じゃないか!」笑いながら副連隊長が言う「どうせならレンジャーに入れてみるか?」「それは無茶でしょう…」
それ以来受け入れ準備は飛躍的に早くなった。営内班長は先任と訓練Bの田浦に任せることになり、営内の指導は本管・通信小隊の中村3曹に任せることとなった。中村3曹も曹学出身なので、なにかと助けてくれるだろう。
中隊の隊員にはセクハラ防止教育も行った。岡野2曹も教育資料をそろえ、受け入れ準備は考えうる限り万全を期して準備された。
そうして、受け入れの日がやってきた。
88 :
まいにちwacわくその10:04/02/07 18:38
もうネタが思いつかないのでこれで終わる。から。
89 :
専守防衛さん:04/02/07 18:45
すばらしい! 最高のストーリィだぁ!
90 :
まいにちWACわく!その10:04/02/07 18:47
曹学は後期教育を陸曹教育隊で行う、それから各部隊に配属されるのである。今回は本管および各ナンバー中隊に一人ずつ配属されることとなり、本管から1t半トラックで迎えに行くこととなった。
到着予定は1130。10分前から舎後にか各中隊の先任、営内班長等が集まっていた。
「時間通りに到着するかな?」先任が本管の先任・泉曹長に聞いている。「今のところ予定通りですね」まだ40代前半の泉曹長が答える。
一方、田浦3曹は中村3曹と何やら話している「よろしくね〜何せWACの班長て初めてだから…」「わかりました。ウチの若い子たちもいるから大丈夫ですよ!」少しふっくらした中村3曹が笑う。
「本管のWACは何人いるの?」「通信に陸士が2、陸曹が私だけ、衛生に今年入った子が2人、計5名ですね。全員私の班員です」「5人になるのか…大丈夫?」「大丈夫ですよ、経歴を見る限りしっかりした子ですし、真面目な子と聞いてますからね」
聞いてる?「聞いてるって?何か知ってるの?」「朝霞の助教から聞いたのです、同期がいるし曹学派閥は縦横の情報網が強いのですよ。ナンバーにWACが入る話も、9月には聞いてましたから。ウチに決まったのは11月らしいですけどね」
「へ〜」感心したようにうなる田浦3曹、「へぇ〜ボタンがあったら押してるなぁ」
91 :
専守防衛さん:04/02/07 18:47
すばらしい! 最高のストーリィだぁ!
92 :
まいにちWACわく!:04/02/07 18:48
>>89 ありがとう、君のように励ましてくれる声が僕をここまで支えてくれたんだ。
僕またがんばっちゃうから。
93 :
まいにちWACわく!その11:04/02/07 19:01
そうこうしてるうちに1t半が到着した。運転席から降りてきた隊員が後板を下ろす。
隊員たちが吐き出されるように降りてくる、赤城1士は…いた、WACの制服を着て荷物を下ろしている。衣納と衣装ケースがひとつのようだ、他の荷物は逓送されて、昨日のうちに部屋に運び込んでいる。
「山田1士、こっちだ!」「後藤1士、ようこそ本管へ!各中隊の先任が隊員を捕まえている。「赤城1士!いるか?」いないわけはないのだが先任が呼ぶ。
荷物を持った赤木1士が先任、田浦3曹、中村3曹の前にやってくる
「1等陸士、赤城龍子、ただいま着隊いたしました!」
荷物を下ろしそう叫ぶ
身長は160前後、体型は太ってはいないが痩せてもいない。拳には空手経験者らしく少し券ダコが浮かんでいる。
髪型は少し襟足にかかるくらい、当然黒髪、やや浅黒い肌は訓練の成果か?目は細く全体的には広末涼子に似ている。まぁそこまでかわいくはないが、普通科ではマドンナで通じるだろう。
全般的に健康的な感じで、エリート一族にありがちな嫌味さは感じられない。
「ようこそ!」先任が手を差し出し握手を交わした。「私は先任の佐藤准尉だ。隣が田浦3曹と中村3曹だ」
「よろしくな!」
「よろしくね♪」
こうして赤城1士は着隊した、波乱の幕開けになるのだろうか?
94 :
まいにちWACわく!その12:04/02/07 19:17
「とりあえず荷物を置いて食事に行きなさい、中村3曹案内頼むよ」
「わかりました!」元気はいい。
「1300に中隊に来てくれ、中隊長の面接などがあるからね」「あと携行書類をちょうだい」田浦3曹が封筒を受け取る。
「じゃは頼むね中村3曹」「わかりました」そういって先任たちは中隊本部に向かって帰った。
「来ましたよ、これ携行書類です」田浦3曹が人事担当の倉田曹長に封筒を渡す。
「どんな体型だった?」補給の村上2曹が聞く「いきなりセクハラっすか〜?」「バカヤロウ!服の請求とかあるんだよ」
先任は中隊長室に入り報告している。
「そうか、来たか…」中隊長がつぶやく「どうだ?印象は」「特に問題は無いように思います。嫌味なところもありませんしね」先任が答える。「顔は?かわいいと思ったか?」「へっ?はぁ…私の年になると子供のようなものですからね。よくわからんです」「田浦に聞くか…」
中隊長室を出た中隊長と先任は、事務所に入り田浦3曹を探す。他の本部要員に質問攻めにあってるようだ。
「盛り上がってるとこすまんが…」中隊長が口を開く。「田浦、赤城1士はかわいいと思ったか?」若干26歳の田浦3曹は「ええ、思いましたが?」と答えた。
「そうか…」眉間に深いしわを寄せて中隊長が帰っていく。「何ですかね?」「色恋沙汰を警戒してるんだろうな」「はぁ…三島とか危険要素がいっぱいですもんね〜」中隊長の苦悩は続くようだ。
95 :
まいにちWACわく!作者:04/02/07 19:20
>91
どうもアリガトウゴザイマス。悪夢のようだった中隊本部勤務がこんなところで役に立つとは…
ちなみにこの中隊はかなり美化してます。実際は…
96 :
専守防衛さん:04/02/07 19:47
三島士長は隊員食堂に向かっていた。今日は連隊作業員として中隊から1名特命を受けていた。そんな目にとびこんで来た赤城1士 「悪くないじゃん」歓迎宴会が楽しみになった。
「中隊長、赤城1士です」と先任が言う。「おぉ、では、面接をしよう。先任、君も一緒に入室してくれ」 「私もですか?」と先任 「あぁ、中隊長室で服務指導、もろもろ指導してくれ」 「解りました」 と言い 面接は始まった。
<(T◇T)>うぉぉぉぉぉ!!!さいこーぅ具体的すぎるぅ|||||/( ̄ロ ̄;)\|||||||
「え〜と、え〜〜と中村3曹。あの〜〜さぁ、突き合ってる子といてるんか?・・・じつは・・」バキッ・・・・ドスン。
次の瞬間田浦3曹の体は壁に張り付いていた、中村3曹はこう見えても柔道三段空手道2段。高校時代は国体の常連選手だった腕前。並の男では力加減が微妙ところである。
「あ〜、ひでぇなぁ。いや、違うてば、違うでば。彼女だょ。彼女。赤城一士。」
「ごめ〜ん、なんのことかと思った。いきなりびっくりさせないでくださいよ。」ちょっと紅い顔して答える中村3曹である。
「知ってると思うけど、うちの中隊、三島士長とか馬鹿が多いだろ・・。だから先任やら中隊長やらみんな心配してんだよ。事が事だけに言いにくいし。」
「じゃ、聞いときますよ。朝霞の同期がなんか知ってるかもしれないですし。」
「有り難う、たのんますは。」痛む腕と肩を押えながら中村3曹と別れる田浦3曹。体は痛むが心の中で何かが変わった。
100 :
専守防衛さん:04/02/08 12:00
昼食を食べ終わった三島士長 まだ時間があったので生活隊舎へ行った。飯島士長がいる。「その顔は来たワックと対面したろ?」 三島はニコッとし「なんか、やりがいある気がするんですよねぇ」 おぉ〜!飯島以下の声援が三島の胸に響く。
101 :
専守防衛さん:04/02/08 13:07
赤城1士の中隊長面接が始まった。「君には、通信補佐としてやってもらうよ」一瞬、赤城1士の顔から笑顔が消えた気がしたが。嫌、気のせいだろう。すぐに「はい、頑張ります」と元気な返事が来た。
102 :
専守防衛さん:04/02/08 16:07
番外編 赤城一士のパパ 「うちの娘、自衛隊はいったよ。」 部下「はい、確か陸でしたよね?」「そうなんだ、色イロ心配あるが、水虫だけはならないでほしいよ」 部下「職業病らしいですからね、陸さんは」 赤城パパの夜は吹けていく 番外編 終わり
103 :
まいにちWACわく!その13:04/02/08 16:47
赤木1士が中隊長の面接を受けている最中、中隊本部事務所では…
「今のが赤城1士か、なかなか可愛いんじゃないか?」「空手2段には見えんな〜」いろいろ話が飛び交っている。
「たー坊!これは訓練だな?」倉田曹長が書類の中から検定記録簿を出す。「あ〜どうも!」田浦3曹が受け取る、「どれどれ…」
「体力検定1、腕立て伏せ102回の腹筋104回、3000mは10分33秒
体力検定2、斜懸垂89回の幅跳び5m10、ソフトボール投げは66mか…」
「化け物か?」少し驚いたように村上2曹が言う、「並の男じゃ勝てんな」
「おや、射撃も当たってますよ」これまた驚いたように田浦3曹が言う「初級検定、50点満点中48点、これはすごいな…」
「だがな、カタログスペックで自衛官は語れないからな」横で聞いてた倉田曹長は言う「高橋尚子でも夜中に20kgの荷物背負って30km歩けんだろ?高見盛だって山に入ったらただの的だからな」少しずれてるような気もするが、確かに一理ある。
「男女の差ってのはなかなか埋めれないですからね」田浦3曹が言う「GIジェーンみたいになれないかな?」
104 :
まいにちWACわく!その14:04/02/08 17:02
中隊長室ではまだ面接が続く。
「家族での心配事とかはあるかね?」「特にありません、みんな健康です」(家族での心配事はあるよ!ウチが…)先任は心で叫ぶ。
「初の普通科中隊WACだから、君も我々も戸惑うところはあるだろう。何かあったらすぐ先任か私、言いにくかったら中村3曹に言うんだよ」「わかりました!」
がちゃ…中隊長室のドアが開く。「じゃあこれからは田浦3曹に駐屯地を案内してもらうから、まだ食堂とWAC隊舎しか知らないだろうからね」先任が言う。「わかりました、案内します」田浦3曹が席を立つ。
「ちょっと田浦…」先任が耳打ちする「通信補佐に配属って言われて少しショックのようだ、フォローしてやってくれ」「フォローですか?」「『がんばれば迫にも行けるかも…』とか言ってくれたらいいよ」「わかりました」
そういって廊下で待っている赤城1士のところに行く「じゃあ行こうか!」
「ここが厚生センター、営業時間は朝の9時から夜の9時までやってるよ」
「ここが業務隊と諸隊が入ってる隊舎、貯金業務もここだからね」
「この辺一帯は連隊の駐車場、自訓に行くまではあまり縁がないかな?」
一緒に駐屯地を歩き案内する。
「あいたたた…腰が痛いや」「どうしたんですか?」「いや、ちょっとね。それより補職は通信補佐って言われたって?」「ええ、そうなんです…」やはり残念そうだ。
105 :
まいにちWACわく!その15:04/02/08 17:14
「まぁ仕方ないよ、みんなはじめての事だからどうしていいかわからないのさ」「それはわかります」浮かない顔だ。
「まずは部隊通信に行ってもらう事になると思うよ。無駄にはならない教育だから安心しなよ」少し微笑む田浦3曹。
「それにまずは頑張りを見せる事だよ。そうすれば迫でも小銃でもいけるさ!」肩を軽く叩く。「わかりました、頑張ります!」少し笑顔が戻る。
「じゃあ最後に通信倉庫に行こうか、岡野2曹って人が上官になるからね」
駐屯地の隅っこ、あまり目立たない場所に通信倉庫はある。一見安いプレハブだが、通信機材を入れているために見た目よりは頑丈である。
「岡野2曹いますか〜?」「おーう、田浦か」「赤城1士を連れてきました〜」
岡野2曹は椅子に座り、なにやら書類に書き込んでいる。「赤城1士です、よろしくおねがいします!」「岡野2曹だ、よろしくな。まぁ茶でも飲んでけ」
備え付けのポットからお茶を3人前入れる。「通信は希望か?」「…あ〜いえ、実は迫希望です」「迫なら通信も大事だからな、無駄な経験にはならんさ」
一服終わってから田浦3曹と赤城1士は中隊本部に帰ってきた。
106 :
まいにちWACわく!その16:04/02/08 17:29
「案内終わりました」「おう、ご苦労さん!じゃあ赤城1士、部屋に戻って荷物の整理とかしなさい。終礼時にみんなに紹介するから、1640には戻ってくるようにね」
「で、どうだ?元気になったか?」先任が聞く「大丈夫みたいですよ、前向きな子ですね〜」感心したように田浦3曹が言う。
「実際、中隊長は彼女を迫で使うんですかね?」「それも考えてるようだ、何か知らんが中隊長もハラを決めたって感じだな」師団長との一件は誰も知らない、連隊本部で緘口令が敷かれたようだ。
「明日は朝から連隊長への申告がある、制服を用意させないとな」
そして終礼…本部と各小隊ごとに整列し、係が連絡事項を言っていく。
「明日については午前中は射撃予習、昼からは整備と体育、以上です」田浦3曹が訓練指示を終わる。
「では先任」中隊長が促す。「では本日付で着隊した赤城1士を紹介します」先任が赤城1士を呼ぶ。
「本日付で配属されました赤城1士です、一日でも早く中隊の一員となれるよう頑張ります!」拍手を受け敬礼する。
先任は隊員たちの顔を見る。少し緩んだ顔、不満そうな顔、獲物を狙うハンターの様な目も見える。
(警戒は必要だな)そう先任は思った。
107 :
まいにちWACわく!その17:04/02/08 17:36
課業後…中隊長室に先任と田浦3曹が入り、ドアを硬く閉ざした。
「とりあえず一日目は何事もなかったな」中隊長が口を開く「まぁ第一段階はクリアしましたね」先任が続ける。
「まず明日は、被服や武器の交付があるな」「それと申告です、連隊会議室に0750集合ですね。中隊長と私が臨席します」「そうか、わかった」
一息入れて中隊長が口を開く「ところでだ、こないだから頼んでた件はどうだ?」
赤城1士の着隊前に、中隊長は「不穏分子」の割り出しを先任と田浦3曹に依頼してたのだ「だいたいわかったか?」
108 :
まいにちWACわく!その18:04/02/08 17:49
「では自分から、営内陸士の不穏分子は…」田浦3曹が報告する。
「まずは三島士長、危険度はハブ並です」二人ともうなずく「中央音楽祭り支援に出したら、次の年に5人ものWACやWAVEから年賀状がきたヤツですからね」先任が続ける。
「南は九州、北は旭川からだったな…」中隊長も呟く「正式な抗議も無いので、強く指導もできません」先任も渋い顔をする。
「次に坂本士長、飲み屋の姉ちゃんたちをナンパするのが趣味のようなヤツです」「前に営門前で、バーの姉ちゃんにグーで殴られてたな」
「ただ対戦小隊なので、接点は少ないですね」
「次に通信補佐でよく来る野尻士長と具志堅士長、接点が多くなりますから…」「二人とも彼女は?」「いません」
「とりあえず営内陸士はこんなところですね、あと彼女の同期となる1士2士連中ですが…」続けて言う
「10人の新隊員の内8人は彼女がいます。残る二人は松浦1士と須藤2士、ただこいつらは二人とも3小隊ですので接点は少ないです」
メモを置いて一息入れる「危険な連中は以上です。やはり三島が危ないですね」
109 :
まいにちWACわく!その19:04/02/08 17:59
続いて先任が言う「陸曹の不穏分子ですが…」
「まずは3小隊、井上3曹と坂本3曹ですね。井上はイメクラ好き、坂本はキャバクラ好きです」「つまり女好きって事だな?」
「井上は射撃指導係ですので、接点も少なくありません」井上3曹は3小隊のスナイパー要員である。
「坂本は車両整備に回ってます。こいつは大丈夫でしょう」
「次に黒瀬2曹、これまた飲み屋の姉ちゃんをナンパしまくってます」「借金はどうなった?」「何とか完済させました」
「とりあえず危険な連中は以上ですね」
110 :
20まいにちWACわく!その19:04/02/08 18:15
「黒瀬は1小隊だったな」「接点は少ないですね」…少し考え込む中隊長。
「不穏分子はわかった、あとだ…彼女が惚れそうな隊員というのはわかるか?」顔を見合わせる先任と田浦3曹「惚れそうな、ですか?」
「う〜ん、男と女の価値観は違いますからなんとも…」田浦3曹も困り顔だ。
「そうですね、営内陸士なら3小隊の鈴木士長ですね」田浦3曹が少し考えて言う「顔も悪くないですし、レンジャーですからね」
「まぁ真面目なヤツだから、つまみ食いみたいな付き合い方はしないと思いますよ。それに候補生試験の方もありますし…」先任が続ける。
「陸曹なら『アニキ』こと神野1曹ですね」3小隊の小隊陸曹・神野1曹は若干33歳。空挺レンジャーで射撃・格闘とも特級。
難病の妹さんの看護のために空挺から転属してきて3年、卓越した戦技能力と厳しくも優しい性格から「アニキ」と呼んで慕う隊員も多い。
「ただ危険度は全隊員共通して持ってますね。田浦だってそうですよ」先任が言う「え〜WACに興味はないですよ、しかもド官品ですし…」
そう言う田浦3曹だが、一瞬肩の痛みとともに中村3曹の顔が浮かぶ。あわてて首を振り幻影を追い出す。
「どうした?」先任が聞く「いえ、なんでも…」
「まぁとにかく、・処置不穏分子は早めに発見・処置が必要だな」中隊長が言う「我々のEEIは、『不穏分子は誰か?その行動は?』だ」
「わかりました」「了解です」二人が答え、会議は終了となった。
111 :
20まいにちWACわく!その21:04/02/08 18:23
「しかし3小隊の名前ばっかりあがりましたね」と田浦3曹「まぁ若い連中ばかり集めてる小隊だからな」と先任。
「何か理由が?」「10年位前の中隊長の方針でな、『1,2小隊を前衛に、3小隊を遊撃隊として使う』と決めたんだ」
「だから若い佐々木3尉が小隊長なんですね」納得したように田浦が言う「そういや佐々木3尉も危険要素だな…」先任が呟く。
「さて、俺は帰るわ」先任が帰り支度を始める「今日は早いですね?」「重迫と本管の先任と飲みに行くのさ、情報収集だよ」「あ〜なるほど…」
「じゃ、お疲れさ〜ん」先任が事務所を出て行く「お疲れっした〜、自分ももうすぐ帰ります」
112 :
まいにちWACわく!その22:04/02/08 18:35
隊内クラブ「一番星」は、営門のすぐ横にある。平屋1階建てで座敷の宴会場とテーブル、カウンター席に分かれている。
そのカウンター席で先任と本管先任・泉曹長と重迫先任・飯島曹長が並んで座っている。
「WAC来たらしいのぅ、どんな感じや?」広島弁で飯島曹長が聞く。すでに目の前には空になったジョッキがある。
飯島曹長は50歳、四角い体と四角い顔を持ち「千人しばいたから先任になった」と豪語する武闘派である。
「これから苦労しそうですね」メガネを中指で持ち上げて泉曹長が聞く。日本酒をチビチビと舐めるように飲んでいる。
泉曹長は41歳、情報小隊〜連隊2科〜師団2部〜方面調査隊と、ずっと調査畑を歩いてきた。髪を伸ばせば「市役所の職員」で通じる風体である。
113 :
まいにちWACわく!その23:04/02/08 18:53
「重迫にもWACいたよね、どうだった?」先任が聞く「あんまりよくなかったのぅ、うちは二人入ったんじゃ」飯島曹長は苦い顔をする。
「二人っちゅうのは助け合える事もあるんじゃけど、一人が堕落したらすぐもう一人も落ちるんじゃ」
一日限定10個の「馬刺し」を食べつつ先任が聞く「どんな風に?」
「一人は頑張ろうって気があったんじゃ、率先して仕事も覚えようとしとったしな」すでにジョッキ3杯目だ。
「でもなぁ…もう一人が舐めたヤツでな。弾は持てないし有線張らせたら草で手を切ったと大騒ぎ、射撃もヘタクソで書類をやらせたらミスの連発。ありゃひどかった…」
「そんなにか?」「でも努力しようとしちょったら、鍛えてやろうとも思うけんね。あいつは『女だからできな〜い』とハッキリ言いやがった!」ドンと机を叩く。
「もう一人もそんな考えに感化されてな、結局任期満了で辞めていったわ」「二人とも?」「いや、舐めちょったヤツは師団司令部に行きやがった」焼き鳥を口に運ぶ。
「容量ばっか覚えやがって…もうWACなんざいらん!」「声がでかいよ…」先任がたしなめる。
「WAC云々より、個人の資質の問題かもしれませんね」じっと話を聞いていた泉曹長が言う。
114 :
まいにちWACわく!その24:04/02/08 19:02
「本管には今もWACがいるね。中村3曹には世話になるよ」熱燗を注いで先任が言う。「いえいえ、たいした事もできませんで」
「本管のWACはどうなんじゃ?問題ないんじゃけぇうまくいっとるんやろな?」飯島曹長はすでに真っ赤である。
「ええ、まぁウチも受け入れたときはごたごたしましたがね」「例えば?」「そうですね…古手の陸曹が少し甘やかしたのです」酒を舐める泉曹長。
「甘やかした?」「えぇ、キツい指導もなしで…上の陸士長連中は明らかに不満顔でしたね、『俺たちのときと違う!』って」
「今はどうなの?」「通信にWACが入った後に中村3曹が曹学で入ってきまして、泣き言ひとつ言わず部隊通信の教育を終わらせたのです」
「それで意識が変わった?」「ええ、我々も彼女たちも…結局は人によるんですよ、男も女も代わりませんよ」
115 :
まいにちWACわく!その25:04/02/08 19:16
明太子チーズポテトをつまみながら泉曹長は続ける「赤城1士でしたか?真面目そうな子でしたね」「あぁ、真面目だな。血もあるのかね?」
「やはり赤城海将の娘さんでしたか」「知ってるのか?」「元々はP3-Cの乗員で、情報調査のプロですよ。一度勉強会で公演してました、自衛隊屈指の情報の専門家です」
「なんでぃ、先任が3人もそろって湿気た面だなぁ!」ビールを持ってきたのは「一番星」マスターの権藤店長である。
権藤店長は81歳、自称「沖縄戦の生き残り」で「玉音放送を特攻機のコックピットで聞いた」という「ルバング島の生き残り」である。まぁ全部ウソだろうと言われているが…
警察予備隊からずっと自衛隊に在籍し、定年を迎えてから20年以上クラブの店長として働いている。
「先任がそんな面しちゃあいけねえや、部下が不安がっちまうぞ!」ひゃっひゃと笑う権藤翁「ワシが満州で馬賊と戦ってた時なんざぁ…」
「こないだはビルマでえげれすと戦ってたと聞きましたが?」泉曹長は真面目&冷静だ。「おぅ、武勇伝ですか〜」面白がってはやし立てる飯島曹長。
そんな騒ぎをよそに先任は考える(個人の資質か…)
116 :
まいにちWACわく!その26:04/02/08 19:22
同じころ、WAC隊舎屋上…
「もしもし、信ちゃん?」(龍子?元気〜?って今朝別れたばっかりだったよね)同期で同じく普通科中隊に配属された清原信江1等陸士だ。
「どう?配属先は」(だめだめ!「女が何しに来た」ってみんな顔に書いてあるんだもん、龍子のほうは?)「ウチは普通かな?でもやっぱり通信だったよ…」
(それは仕方ないよ〜私なんかいきなり「業務隊に臨時勤務」とか言われたの。あったまきちゃう!)「それはひどいね〜」
117 :
専守防衛さん:04/02/08 19:52
アイタッタッ 頭がズキズキする 「二日酔いだな」と、一人ぶつぶつ言いながら、先任は机に座った。田浦3曹が、「先任?体調でも悪いですか?」と聞いてくる?「二日酔いだよ。」本部の要因が一同に先任を見つめる 「おはようございます」元気な声で赤城一士が現れた
118 :
専守防衛さん:04/02/08 19:59
ぼちぼちと中隊の朝礼時間になるにつれ、隊員が来る 最重要(危険?)人物の三島も来ている。先任は、痛い頭をおさえ、三島の行動を黙って見ていた。以外にも、赤城一士に挨拶されても、不愛想な態度だった。考えすぎ?と先任は少し安堵感に浸った
119 :
専守防衛さん:04/02/08 20:08
三島は少し安心と。思った矢先。しかし、3小隊の面々が赤城を取り囲んでいる。それを見て、頭を抱える先任に中隊長が「とりあえず少しの間様子を見よう、家族があのような人達だ。肝の座った奴じゃないとくどけないさ。 先任の体から酒が消えた(気分)にさせた一言だった
120 :
専守防衛さん:04/02/08 20:38
今までの中で一番面白い普通科中隊だね イイネー 頑張れ 毎日枠枠さん
121 :
専守防衛さん:04/02/08 23:46
番外編 ぱぱ編 昨夜、娘から電話が来た。「私、大丈夫よ」と赤城 「そうか?早く慣れて自分の道をきめるんだぞ」とぱぱ 本当は異性関係について聞きたい。が、ぐっとこらえる。どこかで、幹部一家の娘に手だす(遊びで)隊員なんていないだろ と鷹をくくっていた。
122 :
専守防衛さん:04/02/08 23:46
番外編 ぱぱ編 昨夜、娘から電話が来た。「私、大丈夫よ」と赤城 「そうか?早く慣れて自分の道をきめるんだぞ」とぱぱ 本当は異性関係について聞きたい。が、ぐっとこらえる。どこかで、幹部一家の娘に手だす(遊びで)隊員なんていないだろ と鷹をくくっていた。
123 :
専守防衛さん:04/02/08 23:46
番外編 ぱぱ編 昨夜、娘から電話が来た。「私、大丈夫よ」と赤城 「そうか?早く慣れて自分の道をきめるんだぞ」とぱぱ 本当は異性関係について聞きたい。が、ぐっとこらえる。どこかで、幹部一家の娘に手だす(遊びで)隊員なんていないだろ と鷹をくくっていた。
124 :
専守防衛さん:04/02/08 23:55
スイマセン 2チャン素人なのに、思わずカキコしたら、同じの三個も入りました。許して下さいね。
125 :
スキップ・ビート:04/02/10 00:36
番外編・生活隊舎
「押〜忍、あ、またゲームやってますね!」ここは生活隊舎、飯島士長の住む居室である。
「お、これはこれは三島クン。」飯島士長はゲーム画面を見ながら答えた。中隊にWACが
来て2日目の夜、思った程の混乱もなく、いつも通りのまったりムードである。「なんかお
もしろい事でもあったか?」 「飯島の旦那、赤城チャン情報で面白いのがありまっせ」三
島士長は妙に芝居がかって言った。「なに調子よく赤城チャンなんて言っちゃってんだよお
前は!で、情報って?」 「赤城ちゃん、とりあず通信で使うみたいなんですけど、本人は
実は迫でやりたいらしいですよ」飯島士長はゲームを中断した。ゲームは「戦国無双」であ
る。「何ャ〜!ウチの小隊に来たいってか!?しかしそれはそれで面倒くせーな・・・」ど
うやら喜び半分、心配半分の様だ。やはり重迫のWACを知ってる人間は、WACだからと
いって素直に喜べない。「まァ通信とかで一緒になると思うンで、探りを入れてみますよ」
「そうだな」飯島士長はゲームを再開した。しかし三島士長は内心では赤城チャンの事を恐
れていた。そうなのだ、精強過ぎるのだ。三島士長は後方戦技は何でもこなすが、射撃を除
く戦技はからっきしダメだった。飯島士長は画面を見ながら言う。「しかしよ、ヤマ行って
隣にWACが居たら燃えるよな?」三島士長はニヤリとしながら、「夜の半装填ですか?」
二人はまた淫靡な笑いを共有した。こうして営内の夜は更けていくのであった。
生活隊舎編・不定期につづく・・・
126 :
スキップ・ビート:04/02/12 20:44
自分でわき道にそれさせといてナンですが、「中隊本部」の話が最近無いので、是非最初の
方に書き込んでいた方にまた書いて欲しいです!あれに感動し自分も書き込んだワケですし。
是非、ゼヒお願いします!!
127 :
実は、ワックを配属させました:04/02/12 21:40
本当、とても面白い話になってますね。自分から話ふっておいて、言うのもなんですが、想像した以上です。続編期待してます
128 :
まいにちWACわく!その27 :04/02/14 16:11
「申告します!1等陸士・後藤喜一以下4名のものは…」連隊会議室で昨日着隊した4名の曹学の申告が始まった。といってもものの10分程度で終わるものだが…
参加してるのは連隊長以下幕僚の面々、各中隊の中隊長に先任たちである。
二日酔いでまだくらくらする頭で整列・不動の姿勢はかなりつらい。同じ会議室には昨日一緒に飲んでいた泉曹長と飯島曹長の顔も見える。
泉曹長はまったく平気なようだ。相変わらずの冷静な顔ですまして立っている。
飯島曹長はつらそうだ。かなり飲んでいた結果、先任と同じように頭痛に悩まされているようだ。
連隊長の訓辞が始まる、官僚的なところのある連隊長は話も長い。
「…諸君が一日でも早く連隊の一員になれるよう我々も最大限の努力をする所存である…」(ウソつけ!)中隊長の心の叫びは誰にも聞かれなかったようだ
129 :
まいにちWACわく!その28:04/02/14 16:26
「さて、申告も終わったし…」先任の机の前には、作業服に着替えた赤城1士がいる。「今日は物品の交付があるからね」
「ハイ!…まずは何したらいいですか?」「とりあえず、戦闘装着セットかな?東野1曹!」補給(戦闘装着セット担当)の東野1曹を呼ぶ。
「準備は出来てますよ」東野1曹は迫出身の49才、そろそろ業務隊で楽隠居を…が口癖である。
「サイズは5Aだね」「いいと思います」補給倉庫で服を渡す。「ためしにこの戦闘外被を着てみてくれ、できれば丁度であって欲しいんだが…」
「少し大きいかな?」「ならいいや、下に着込むからね。業務隊にも在庫がそれしか無くてね…」渋い顔をする東野1曹。
「あとは鉄帽、弾帯、弾のう、背嚢…」次々と物品を渡していく。「無くさないように管理は厳重にね、武器と同じ扱いだからね。あと注記をしっかりするように、今日中に階級証とかも縫い付けるんだよ」
130 :
まいにちWACわく!その29:04/02/14 16:37
次は武器だ「小銃は89式、曹学だから扱い方は知ってるよな?」火器陸曹の高木2曹が言う。軽火器出身の37才、最近太ってきた腹を気にしている。
「わかります」「じゃあチェックをしてくれ、異常は無いかどうかね」慣れた手つきでスライドを下げ、薬室が見える状態で銃を渡す。
「特に異常ありません」「そうか、ところで赤城1士は器用か?」「?」
「武器だけにブキようだと使えないからね〜」「………あははぁ…」愛想笑いをするしかない。
「小銃受け取った?」先任が聞く。「ハイ…」疲れたように言う赤城1士、「どうしたの?」事務所にいた田浦3曹が聞く。
「いや、ちょっと…」「どうせまた高木の親父ギャグ聞かされたんだろう?」さすがに先任、読みがいい。
「またか〜」「いいかげん止めりゃいいのに…」「愛想笑いするから癖になるんですよ」同意したように中隊本部の面々がうなずく。
131 :
まいにちWACわく!その30:04/02/14 16:58
「じゃ、今日は被服の縫い付けとかやってきなさい。夕方から駆け足だから体育服装で集合ね」「ハイ!」
少し静かになる中隊本部「明日の1800から中隊本部で赤城1士の歓迎宴会をやろうと思うんだが、みんな参加できるか?場所は『一番星』だ」先任が声をかける。
「私はOKです」人事の倉田曹長が言う
「私らは全員いけますよ」補給の3羽ガラス、鈴木曹長と東野1曹と村上2曹が言う
「田浦、いけるか?」「自分は行かないといけませんね」「じゃあ訓練もOKですな先任」中島1曹が言う
「ちょっと書類が遅れてて…今日明日は残業しますんで」渋い顔の給養、川井2曹が言う
「そのかわり、田中を出します」「僕は懐具合が…」給養付の田中士長は渋い顔だ。営外陸士は安い給料で大変である
「行きましょう!酒飲みはサケられませんからね〜」親父ギャグを飛ばす火器、高木2曹。誰も相手にしない
「先任のおごり?違うのか…まぁいい、行きましょう」車両の水上1曹が答える
「ところで中隊長は?」田浦が聞く「曹士だけで楽しんで来い、だってよ」「赤城本人は知ってるんですか?」「これから言うさ、問題無いだろう。本管の中村3曹も呼ぶか?」
少し考える田浦3曹「そうですね、いざって時は連れて帰ってもらわないと…」
132 :
まいにちWACわく!その31:04/02/15 16:45
その日の夕方、田浦3曹は駆け足を終えてトレーニング場(といっても鉄棒と腹筋台、砂場と鉄アレイがあるだけ)にやって来た。
赤城(さて、少し筋トレでもするかな?)少し体をほぐして鉄棒の位置まで来た田浦3曹は、そこで赤木1士を見かけた。「おや、筋トレ中かい?」と声をかける
「ハイ!班長も?」「ああ、事務でもやっぱり体動かさないとね〜まだ26だしね」そう言いつつ鉄棒にぶら下がる。横を見ると赤城1士も鉄棒にぶら下がっている。そして…
「フンッ!」と気合を入れて懸垂をはじめる、1回2回…10回やってしばらくぶら下がってから降りてくる。田浦3曹は呆然としてそれを見ていた…
「すごいね…」ボソリと言う「もっと鍛えたいです!」屈託のない笑顔でそう答える赤城1士、肩を回して腹筋台に向かう。
(こりゃ迂闊に手を出したやつはえらい目にあうな…)田浦3曹は少し安心した…
133 :
まいにちWACわく!その32:04/02/15 17:01
「ところで先任から宴会の件は聞いた?」柔軟体操をしつつ聞く「はい、明日ですね?クラブですよね?」腕立て伏せを終えて赤城1士が答える。
「うん、岡野2曹と中村3曹も誘ったよ、ところでまだ未成年だよね?」「はい。あと1年と3日で二十歳です!」「もうすぐ誕生日なんだ?お酒は飲める?」「少しなら…」
柔軟を終えて立ち上がる「じゃあ大丈夫だね、飲みすぎには注意してね」「ハイ!…あの〜少し聞いてもいいですか?」ちょっと上目使いで質問してくる。
「なに?」「今週末の休みは外出できますか?」ちょっと心配そうに聞いてくる
「まぁ今いる1士2士連中も最初の週は外出させてたからいいんじゃないかな?何か用事が?」「はい、中村3曹と本管のWACの皆さんが、宴会開いてくれるそうなんです」ちょっと嬉しそうに顔を赤らめて言う。
「そうなの?よかったね〜じゃあ僕からも先任に言っておくよ」「ハイ!ありがとうございます!」疲れも見せず元気に答える。
「じゃあ風邪引かないようにね」「お疲れ様でした〜!」
134 :
まいにちWACわく!その33:04/02/15 17:19
「…それでは、赤城1士の今後の活躍を祈念して…かんぱ〜い!」「かんぱ〜い!」ガチャンとグラスの合わさる音がする。
翌日1830、クラブ「一番星」の座敷席で歓迎宴会は始まった。上座には先任と赤城1士、机に並んでるのは鍋に刺身、揚げ物少々という定番ものだ。
「まぁまぁまずは…」「…ささ、どうぞどうぞ…」座敷のあっちこっちでビールが注がれていく「さぁ、今日はおごりだからいくらでも飲んでね」先任が赤城1士のグラスにビールを注ぐ。
「先任、未成年にあんまり飲まさないでよ〜」中隊本部のNo2、倉田曹長が声をかける。「あんまり飲めないかい?」先任が一応といった感じで聞く。
「父とか兄たちに少し飲まされてましたから、ちょっとなら大丈夫ですよ」二口ほどビールを飲み赤城1士が答える。
「確か海自の人だったよね?」「ハイ、一応総監なんてやってます」何も気にせずサラッと口にする。「なんでお父さんのとこに行かなかったの?」刺身を口に運びつつ先任が聞く「あ〜俺も聞きたいと思ってたんだよ」横から顔を出したのは田浦3曹だった。
135 :
まいにちWACわく!その34:04/02/15 17:48
「そうですねぇ…私は陸海空どこでもよかったんです」赤城1士は続ける「海自にいったらイージス艦に、空自にいったら戦闘機パイロットを目指すつもりでした」
「やる気満々だねぇ…」先任が感心したように言う「じゃあ特に陸希望じゃなかったんだ?」田浦3曹が串カツをつまみつつ聞く。
「そうですね…もしかしたら父と叔父が気を遣ったのかもしれません、叔父も空自の団長なんてやってるんです」「身内を入れると贔屓してしまうからかな?」「どっちにしろ曹だから、接点はあんまりないんですけどね〜」
「普通科中隊熱望だったらしいね。やっぱり最前線に行きたかったの?」「ハイ!やっぱり自分を試してみたかったのです」
「何のお話ですか?」中村3曹がやってくる「赤城1士の普通科志願の理由さ、知ってた?」田浦3曹が聞く「えぇ、前に少し話してましたよ。頑張ってますよね〜」
「ありがとうございます〜!」少し酔ったのかハイテンションだ「大丈夫?金曜の晩もあるんだから無理しちゃダメよ?」中村3曹がたしなめるように言う、まるでお母さんのようだ。
「まるでおかあ…ウグッ!?」思わず口を開いた田浦3曹の口を先任と倉田曹長がふさぐ。怪訝な顔をする中村3曹「なんでもないよ、なぁたー坊?」倉田曹長がニヤリと笑う。
「お前の言いそうなことはわかるさ、新兵のお前を鍛えたのは誰だったと思う?」耳そばで倉田曹長はささやく。
「おっ、盛り上がってるのぉ」ビールを持ってきたのは権藤店長だ「お〜べっぴんさんが2人も!やるのぅ先任」先任の肩を叩きつつひゃっひゃと笑う。
「昭南島の芸子さんを思い出すわい」「こないだ満州って言ってたじゃない」すかさず先任が突っ込む。
(昭南島ってなんですか?)赤城1士が聞く(シンガポールの事だよ、権藤さんは元軍人らしいんだ)倉田曹長が答える。
わいわいがやがやと宴会の夜は更けていく…
136 :
専守防衛さん:04/02/16 00:32
質問よろしいですか? 普通科は中隊単位で宴会しないとですか?
137 :
専守防衛さん:04/02/16 00:34
おもろい
138 :
スキップ・ビート:04/02/16 20:46
中隊単位でやる時もありますよ〜。
まァでもあんまりないかな。
139 :
専守防衛さん:04/02/17 15:09
人が多くて、会場探しだけで、しんどいのが本音です
中隊単位の宴会はだいたい
「忘年会」
「新年会」
「定期異動者お疲れ様でした宴会」(3月と7月)
「定期異動者いらっしゃい宴会」(4月と8月)
ぐらいが定番です
141 :
まいにちWACわく!その35:04/02/21 17:44
翌日…冬晴れが宴会で二日酔いの中隊本部を直撃する、こんな日は暖かい日差しも恨めしい…
そんな中、赤城1士の「通信陸曹補佐」業務が始まった。
「まぁまずは、うちにある資材の事を覚えていってくれ」二日酔いでフラフラになりつつ、岡野2曹が教育を始める「これは1月から始まる部隊通信の教育の予習でもあるから、しっかり覚えるようにな」
そう言って倉庫の中に入っていく「まず普通科中隊の通信は、FM無線と有線が主になっていく…」
一方、中隊本部では…
「あ〜腹いてぇ…トイレ行ってきます」田浦3曹が腹を押さえてトイレに駆け込む(昨日の刺身にあたったかな?)そう思いつつ個室に入る
(ふ〜すっきりした…)出すものを出してすっきりしたその時、誰かがトイレに入ってくる音が聞こえた。その音は小便器の方に向かっていく。
続いてまた誰かが入る音、後から入ってきた人物が声を出した「おぅ、お疲れ近藤曹長」声からすると迫小隊の井坂2尉のようだ。
先に入っていたのは迫小隊の小隊陸曹、近藤曹長のようだ「お疲れです小隊長」という声が聞こえた
しばらくの沈黙、近藤曹長が口を開く「あの赤城をウチに入れるって話があるというのは本当ですか?」「…ああ、そういう話もあるらしいよ」自信無さげに小隊長が言う。
30代と若い井坂2尉に比べて近藤曹長は40代後半、どちらかというと近藤曹長が小隊内でのイニシアチブを取っている。
「女なんか要りませんよ、断ってくれよ小隊長」「いや、しかしだね…」「俺の部下に女が来て何させるんですか?ふざけた事されちゃ困るんですよ!」かなりきつい口調だ。
水を流してジッパーを上げる音が聞こえる「いいですか、断れないんなら私が中隊長に言いますよ」そう言い捨てて近藤曹長はトイレから出て行った。
「はぁ…」ため息をつく井坂2尉、そうしてトイレから出て行った。
(…こりゃあまずいなぁ…)ケツを拭きながら田浦3曹は考えていた…
142 :
まいにちWACわく!その36:04/02/21 18:01
「そうか…」先任が渋い顔をする。
田浦3曹はトイレから帰るなり、先任を日中は使わない当直室に呼んでさっきの件の話をしたのだ。
「まずくないですか?」「そうだな…まぁいつか出る話だとは思っていたがな」腕を組みう〜んと唸る。
「とりあえずこの話は他言無用だ、いつか時機を見て中隊長に話すよ」「わかりました」
先任が事務所に帰ってきたとき「お〜ちょうどよかった、先任電話だよ」と村上2曹が電話の受話器を持ち上げた。
「はい、かわりました佐藤です」(どうも恐れ入ります、戦国茶屋の田中です…)中隊宴会の会場となる「戦国茶屋」からだった。何かの調整事項のようだ
この地域には中隊規模の人員を収容する宴会場が3つある。3店がしのぎを削っているために料金はかなり安い。
しかし、もし2店が潰れて1件だけになると料金が跳ね上がる恐れがあり、そのために各中隊の先任が「公平に3店を使うよう」調整をしている。
「じゃあ21日に、人数は128名です、少し変わるかもしれませんが…」(わかりました、では…)
143 :
専守防衛さん:04/02/24 19:24
21日 課業終了 赤城は外での宴会の為、風呂を早くすませ、化粧をしていた。ふと、自分の顔を見て 「外に出たら女の子ぽくいかなきゃ、うん合格、合格」と一人照れながら一人事を言った。宴会場へは、飯島士長が案内してくれる。と先任に言われた。「初めて話しするなぁ」
144 :
専守防衛さん:04/02/24 19:33
PX 「飯島士長、おまたせしました」と元気よく言うと飯島は「町に出たら俺達の階級は言わないでね、なんか恥ずかしんだ」と言う。なるほど「はい、わかりました」と笑顔で答える。あれ?けど俺達?視界には飯島一人。不思議に思っていると「おまたせ〜」見ると三島だった
145 :
専守防衛さん:04/02/24 19:38
タクシーの中で三島は赤城を見て「化粧すると可愛いね、けど仕事の時は控えめにね。」とアドバイスしている。赤城は、少し照れながら、「はい」と、一言。事実、飯島、三島がおどろいているのだ。こりゃ今日の宴会、狼が騒ぐぞ。三島の中で何かが騒ぎだした。
146 :
専守防衛さん:04/02/24 19:44
三島の気持ち 「う〜ん可愛いなぁ、こりゃ唾つけとくのも損はないぞ。と、なると、今日は狼どもから、三島を守るふりをしっつ、さりげなく、先輩の振りをし・・・よし!あの作戦だな。楽しみだな」
147 :
専守防衛さん:04/02/24 19:47
飯島の気持ち「なんだか、元がいいんだろうなこの子の顔は、こりゃさらに化けるな。三島も行きそうだが、俺も少し技みせて・・・嫌々、親父の事考えると手だせんわなぁ。ふぅ〜」
148 :
専守防衛さん:04/02/24 19:51
赤城の気持ち 「今日を利用して迫の人と仲良くなろう、三島士長に可愛いって言われたから、多分人受けは、悪くないと思いたいなぁ、けど、ワックを嫌な人も多いかな?今からこの二人と少しでも慣れなきゃ」
149 :
専守防衛さん:04/02/24 19:56
三人の思いを乗せタクシーは宴会場へ到着した。「さぁ〜飲むぞ〜行こう赤城クン」と三島 あっ!赤城クン!?「ごきげんなんですね〜」と、飯島と赤城が笑顔で言いながら、宴会場の扉がひらいた 「いらっしゃいませ〜」・・・ 宴会が始まった
150 :
スキップ・ビート:04/02/25 11:58
番外編・生活隊舎
「中隊の宴会ン時に残留って切ないですよね・・・」ここは生活隊舎、迫小隊の営内班である。
「な〜!しかも今日はあのWACも来ンだよな」柳沢士長と河原1士はボヤキながら「みんなの
ゴルフ4」をやっていた。「下っ端はつらいっスね」「・・・・・」部屋の中にコントローラー
を叩く音だけが響いていた。こういう時は誰かが割りを食うとは分かっていても、文句を言いた
くなるものだ。「自分、ハタチの誕生日なんか消防隊勤務でしたよ」河原1士は若手にありがち
な愚痴をこぼした。「お前、俺が打つ時に話しかけるんじゃないよ・・・まァ自衛隊ってのはそ
ういうトコだからさ。俺なんかアレよ?年越し警衛よ?」 「うわ〜、それキクなァ〜!しかし
柳沢士長、なんかだんだん喋り方が三島士長っぽくなってきましたね」三島士長と柳沢士長は同
室であった。さらに「みんゴル」も三島士長の私物なのであった。「そう?同じ部屋だしな。そ
ういや三島士長ハリキッテたな」 「あ〜WACが来ますもんね〜!」柳沢士長は時計を見た。
点呼まであと10分だ。「そろそろやめっか。でもな河原、三島士長って酒飲めねーンだぜ。」
「え〜!そうでしたっけ!?普段から酔っ払ってるみたいなのに!」PS2の電源を切りながら
河原1士は言った。柳沢士長は外被を着ている。「しかしこんな人が居ない日くらい点呼なくて
もいいのになァ」 「ホントですよね〜」二人は部屋を出た。点呼場所は当直室前である。
こうして営内の夜は更けていくのであった・・・。
生活隊舎編、不定期につづく・・・・
151 :
専守防衛さん:04/02/26 19:21
「かんぱ〜い」ワイワイガヤガヤ 宴会が始まって30分 赤城1士の周りには、大量の男が群がっている 「こうなることは予想してたが〜」中隊長が嘆いている 「中隊長、どうぞ」 「おぉありがとう。」三島だった 「三島は確か飲めなかったな?」「はい、ジュースで」
152 :
まいにちWACわく!その37:04/02/27 11:26
宴会(忘年会&赤木1士歓迎会)会場はそこそこの広さだった。テーブルは全部で10個、ひとつのテーブルに12〜3人がついている。
立食でバイキング形式、飲み放題で3300円は破格の値段だ。
約1時間半の予定の宴会は、中隊長の「羽目をはずし過ぎないように!」という言葉で始まった。もうすでにその言葉は無力化しているようだ…
くじ引きで席は決められ、赤城1士の左右に倉田曹長と田浦3曹を(くじを仕込んで)配置してある。が、あまり効果はないようだ…
とほほと頭を抱える中隊長のもとに、危険人物の三島士長がやってきた。
「ジュースだけだと間がもたんだろ?」「まぁ周りが騒いでるのを見るだけでも楽しいですよ」そういって赤城1士の方を見る。
「行かんのか?」「今は人が多すぎますからかえって邪魔っす」やはり行く気はあるようだ。
「…そうか、まぁ羽目をはずさんようにな」渋い顔で中隊長が言う。
153 :
まいにちWACわく!その38:04/02/27 11:39
「大丈夫とは思うんだが…」眉間に深いしわをつくり中隊長がうなる「あの子の両親のことを知っていれば、そう簡単に手は出さんだろ」
「それはなんとも言えませんね…」そう答えたのは先任だ「若い陸士には『将軍の娘』なんて気にならないのでは?もし手を出しても処分が下るわけでもないですし…」
「…甘かったか?」「まぁ、しばらく様子を見ましょう。倉田と田浦もいますしね」
その赤木1士の周りでは…
「ビールはいける?」「普段何してるの?休みの日とか〜」「趣味は何〜?」「これおいしいよ!」まるでアイドルのようだ。
「もうちょっと散れオマエラ!」「未成年だから、あんまり飲まないようにね」倉田曹長と田浦3曹が孤軍奮闘している。
当の赤城1士は少し酔っているようだ「もう少し位ならいけますよ〜」笑顔で答える。
やっと一段落ついた「人気者だな、主賓は大変だね」倉田曹長が声をかける「はい!楽しいですね〜」本人は呑気なものだ。
フライドチキンをほお張る田浦3曹に、3小隊の井上3曹が声をかけてきた。
154 :
まいにちWACわく!その39:04/02/27 11:50
「ご苦労さんやな〜」肩を叩きながら井上3曹が言う。田浦3曹と井上3曹は新隊員、自訓、陸教すべて同期という「腐れ縁」の仲だ。
「まあな、班長だからな」「まじめやな〜」そう言いつつ田浦3曹の肩を揉む。
「よう、赤城クン!俺のこと知ってる?」「え〜っと…神野1曹でしたっけ?」「アニキはあっこにおるやん!俺は3小隊の井上や、よろしくね〜」大阪弁でまくし立てるように話す。
「何しにきたんだ?」怪訝な顔で田浦3曹が言う「つれないな〜同期の絆を深めにきたんやん」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」倉田曹長が席をはずした。
「からむなって、酔ってんのか?」「ええやん、数少ない同期やろ〜?」田浦3曹は井上3曹にからまれている。
赤木1士が独りになった瞬間、誰かの目が獲物を狙うように光った…
155 :
まいにちWACわく!その40:04/02/27 12:00
「よう、赤城クン!」そう言って近づいてきたのは、やはり三島士長だった。
「どう、飲んでる?」「少しですよ〜三島し…さんは?」「ここでは階級でもいいよ、まわりは自衛官ばっかりだからね」
そういって身を寄せる「まぁまぁ、飲みなよ」「いただきます、三島士長は飲まないんですか?」「俺は飲めなくてね〜」
そういってさりげなく肩に手を回す「さぁさぁ、飲んで飲んで〜」まだ誰も気づいてないようだ「あっちょっと…」赤木1士は少し嫌がる素振りを見せる。
「まぁまぁいいからいいから…」そう言って手に力を入れた三島士長、だが次の瞬間…
156 :
まいにちWACわく!その41:04/02/27 12:14
コップを置いた赤木1士は一瞬にして三島士長の腕を取り、あっという間に腕を後ろにとって間接を決めて決まった!
「も〜三島士長ったら冗談ばっかり〜!」赤木1士は笑ってる。三島も照れ笑いしてるので冗談のように見える。しかし…
(あれって決まってるんじゃないか?)そう気づいたのは佐々木3尉だ。全中隊隊員が見ているが、やはり武道経験者は(おや?)という顔をしている。
佐々木3尉も防大の拳法部出身である。あと空挺でCQBを学んだという噂の神野1曹、格闘徽章を持つ迫小隊野村2曹、その他何人かはやはり気づいているようだ。
「決まってますね」騒ぎに気づいた中隊長に佐々木3尉が耳打ちする「少し力を入れたら折れますよ、三島も笑いが引きつってきてます」確かに汗までかいている。
「…まぁいいだろう、いい薬だ」ニヤリと笑い中隊長が言う「そうですね、まぁしかしたいしたもんだ」先任も感心したように言う。
三島士長はやっと開放された「やられたな〜」顔は笑顔だが、そう言う目は笑っていない。
「へへ〜」と言いつつ笑う赤城1士、頭を照れたように掻く「ウーロン茶でも飲みます?」そう言ってビンを差し出す。
157 :
まいにちWACわく!その42:04/02/27 12:22
ウーロン茶を注いでもらいそうそうに三島士長は退却する「さすがやな〜」近くにいた井上3曹が感心したように言う。
「柔道やってたん?」「いえ、空手です。あと、合気道も少し…」「赤城は格闘技が趣味なんだ」田浦3曹が言う。
そうこうしてるうちに宴会終了の時間が近づいてきた「宴もたけなわではございますが…」閉めの音頭は運用訓練幹部、森永1尉だ。
「今年一年お疲れ様でした!かんぱ〜い」「かんぱ〜い」無事宴会は終わった。中隊長も内心ホッとしているようだ。
「二次会行きますか〜中隊長!」先任に声をかけられる「おぅ、じゃあ行こうか」
158 :
専守防衛さん:04/03/01 14:02
スナック道端 ここは、自衛官で持っている店である 「ママ、田浦さんから二次会の電話」そう言うのは若いルミである店員在籍数六名、みな ほどよく若い 店が広く多い人数可
159 :
専守防衛さん:04/03/01 14:06
「赤城1士も行くかい?」と田浦3曹 「はい、行きます」と言うと先任が顔をのぞかせ「おいおい、大丈夫かぁ?」「大丈夫です、少しでも早く慣れたいですから」「そうか、無理しないようにな」
160 :
専守防衛さん:04/03/01 19:02
三島も道端にいる。飯島が調子よく「飲みましょう」と、張り切る 先任も嬉しくなり「いくぞ〜!」と猪木ばりの声を出す 当初は行く気は無かったが。「二人の勢いが。」と後に語った 。一行は道端へ向かう 主に本部要因と、独身曹士 若者達の興味は、赤城だった
161 :
専守防衛さん:04/03/02 20:33
道端で盛り上がり中 ルミちゃんお乳揉まれてる〜 揉んだのは三島く〜ん 赤城ちゃん少し軽蔑の目〜 けれど、赤城ちゃん少し三島の事見直しちゃう事件があったダニ!それが三島のテクなり〜
162 :
専守防衛さん:04/03/02 20:39
三島を見直した赤城、帰る時は、来た時と同じく、飯島と三島と3人で帰ったなり〜 赤城少し飲みすぎでふ〜らふら 三島は優しくせっする 赤城も少しど〜きどき なぜなら道端での出来事あったから その出来事については謎に包まれたまま宴会は終わる
163 :
専守防衛さん:04/03/02 21:57
次の日 先任と中隊長は・・・ 二日酔い
165 :
専守防衛さん:04/03/03 18:30
中隊本部ただいま、恋愛小説になりそう!
166 :
専守防衛さん:04/03/04 19:00
尾も白い
167 :
専守防衛さん:04/03/15 18:52
本日、三島は補給係支援な。田浦3曹が言う 「わかりました」と素直である
168 :
専守防衛さん:04/03/19 00:15
明日は中隊本部で駐屯地の枯れ葉集めします。と先任が言った。皆、びっくりした。そして次の日
169 :
専守防衛さん:04/03/19 07:21
次の日、大雨が降っていた。しかし、自衛隊 作業します。赤城一士も驚きます。田浦3曹が微笑みながら、「雨だから、作業無いと思ったか?」「いえ、これが当然です!」と気合い込めて言うやっぱり、ワック教育楽な所あったんだな。そう思う赤城だった
170 :
専守防衛さん:04/03/19 09:52
たかが、枯れ葉集め、されど、枯れ葉集め。と言う事で皆、文句言わず、15時までやりました。赤城は寒さに震え、青い顔しています。女の子です。冷え性なのです。田浦3曹は心配した目で見ています
171 :
まいにちWACわく!その43 :04/03/20 16:41
最後の落ち葉の山を資材運搬車に積み込み、とりあえず作業終了となった。雨も小降りになってきたが、作業が終わってからはれてもなぁ…と内心思う中隊本部の面々であった。
「ふ〜終わった終わった、みんなお疲れさん!」作業の長に当たった補給・東野1曹が言う、(赤城はどうかな?)田浦3曹はチラリと横を見る。
赤城1士は震えながら手に息を吐きかけている、雨衣はずぶ濡れだが新品なので染み込んではいないようだ。
「お疲れさん、疲れたか?」声をかける「少し…でも大丈夫デス!」少し苦笑いする
「落ち葉とか雑草って、雨を吸い込んで重くなるからな。明日あたり腕がパンパンになるぞ」「今日が金曜でよかったです、雨も上がりそうだし…」空を見上げて赤城1士が言う。
「週末は何するんだ?外出簿には実家って書いてあったけど?」とんぼを肩に担いで歩きながら田浦3曹が聞く
「今晩は前に言ってた飲み会です、日曜までいったん実家に帰って荷物とってきます」
「例の親父さんはいるの?」「いえ、母と祖父母と弟だけです」ゴミ袋を持って赤城1士は答える
「そっか、確か電車で1時間くらいだったな。気をつけてな」
172 :
まいにちWACわく!その44:04/03/20 16:55
「先任、終わりましたよ」事務所に戻ってきて東野1曹が報告する「おぅ、お疲れさん」先任が書類から顔を上げて答える
「次からはもっと作業員取ってやりましょうや、受け持ち業務も止まるからまずいんだよね」車両・水上1曹が渋い顔をする
「すまんな〜1科が急に言ってきたもんでな、各小隊も急に人が出なかったんだよ」申し訳なさそうに先任が答える
「先任、赤城はこの土日に実家に帰るようです」先任の机に向かい田浦3曹が報告する「そうか、まぁ構わんだろう」
「あと今晩はWACだけの飲み会だそうです」「そうか…」「ちょっと本管の中村3曹に、男関係の探りを入れてもらいますね」「そうだな、まぁ心配はしてないがな」
田浦3曹は脱いだ雨衣を廊下に掛け帽子をかぶる「じゃあちょっと通信小隊の倉庫に行ってきます」
通信倉庫は駐屯地の隅っこにある、無線機の手入れをしていた中村3曹を呼び出す
「…というわけで、探りを入れてもらっていいかな?」「わかりました、でも皆さん心配性じゃないですか?」少し呆れ顔の中村3曹が言う
「俺もそう思うんだけどね、中隊長よりもっと上が心配してるみたい」ぼんぼん顔の連隊長が思い浮かぶ「社会人なんだから大人扱いすればいいのに…」
「自衛隊って過保護なところがあるからね、問題を気にしすぎてるのかな?」「そうですねぇ…」
若い二人には昔の自衛隊がマスコミからどんな目にあってたかよく知らないようだ
「まぁ頼むわ」「わかりました」
173 :
まいにちWACわく!その45:04/03/20 17:26
ショットバー「アーティラリー」は駐屯地に程近い駅前にある。店名が示すように元自衛官が経営する店である
店長は某地対艦ミサイル連隊を任期満了退職、その後亡くなった父親の居酒屋をショットバーに改造した。お洒落な店内と自衛官割引が利くのとで、若い隊員には好評である
「かんぱーい!」店の奥のボックス席でカチャンとグラスが合わさり、WACだけの飲み会が始まった。
通信小隊からは中村頼子3曹、東間理沙士長、村瀬香織士長
衛生小隊からは橘ゆきえ2士、中森秋絵2士
そして主賓の赤城龍子1士である
「もう何日も顔をあわせてるのに宴会って、なんかヘンな気分よね〜」東間士長が言う
東間士長は無線班所属の22歳、173センチの長身はよく目立つ。連隊の誰かと付き合ってるらしいが、その現場を見たものはいない
「まぁバタバタしてたからね…」か細い声で村瀬士長が言う
村瀬士長は同じく22歳で信務班所属、身長153センチのずんぐり体型である。彼氏はいないらしい
二人とも中村3曹の同期である
「この時期って忙しいんですよね?」橘2士が聞く
今年入隊の橘2士は19歳、身長が149センチしかない「見込み入隊」である。普通科に配属され最初はビクビクしてたが、最近は慣れてきたようだ
「自衛隊が忙しいなんてろくなもんじゃないわね〜」ドンとジョッキを置いて中森2士が言う
中森2士は連隊独身WAC最年長の25歳、168センチのすらっとした体型であり、シャバでの職歴も多彩でホステスもやったという噂がある。師団衛生隊に彼氏がいるが破局寸前だそうだ
174 :
まいにちWACわく!その46:04/03/20 17:44
わいわいがやがやと飲み会は続く
「今日は落ち葉拾いだったんですよ〜これも忙しいっていうのかな?」赤城1士が言う
「ウチは廊下とかの清掃やったよ、年末休暇前に点検があるからかな?」橘2士はウーロン茶をすする
「毎年同じ事やってるからねぇ、こんなんで税金使っていいのかしらね」東間士長はサラダを独り占めしている
「それが自衛隊だもん、2曹教なんてもっとひどかったのよ〜」中村3曹はカクテルを一気に飲み干す
「服務の2曹教ですか…通信小隊は何で仙台に行くんですかね?」年下でも先輩だから、中森2士は敬語で聞く。飯の数は当然ながら優先されている
「あそこにしか普通科とかの通信の教育してないから…」か細い声で村瀬士長が言う
「で、赤城はどうすんの?」中森2士が聞く「何を?」「陸教よ、部隊通信出たら仙台なんでしょ?」「そうとも限らないわよ」横から中村3曹が言う
「一応は小銃か軽迫モスになるのよね?」「そうです、できればそのどっちかで行きたいですね」「男ばっかしなのに…怖くないの?」恐る恐るといった感じで橘2士が聞く
「ウチは家族も男ばっかりだもん、大丈夫!ユキは気にしすぎよ〜」赤城1士は明るく言って酎ハイを飲む
175 :
まいにちWACわく!その47:04/03/20 18:03
「で、その男はどうなの?」中村3曹が聞く「へっ?何がですか?」キョトンとした顔をする赤城1士
「ナンバーなんていったら独身の若い男ばっかりでしょう?いい男とかいないのかな〜てね」中村3曹が探りを入れる
「あたしも聞きたいな〜」「どうなの龍ちゃん!」「それは興味あるわね…」「あさり放題だもんね?」みんな興味津々のようだ
「う〜ん、まだ中隊に入ったばっかりだからねぇ。それに今は彼氏作る気無いしね。まずは仕事を覚えなきゃ!」
「まじめねぇ、ホントにいないの?ほら、ウチに入った曹学の子は?」東間士長の言うのは曹学同期、後藤1士の事のようだ
「あの情報の大きい人?」身長185センチの後藤1士は、橘2士には巨人に見えるらしい
「喜一ちゃんですか?アイツとはあわないです!」「何で?けっこうカッコいいじゃない、たくましいしね〜最近の若い人は細いのばっかりだから」中森2士はお気に入りのようだ
「彼とは格闘技の話をよくしたんですけど…」後藤1士は「プロ格闘家」を目指していたらしい「でもアイツったら『格闘技は体格で勝負が決まる』なんて言うんですよ!」
「それはでも事実の一つじゃない?」柔道家でもある中村3曹は冷静だ「結局あの古賀選手だって、無差別では優勝できなかったんだし…」
「格闘技の技術って、体格差を克服するために生まれたものだと思うんです!」熱く語り始める赤城1士、みんな苦笑いしてる
「まぁまぁ、男としてみたらカッコいいんだしいいんじゃない?」タバコをくわえて中森2士がなだめる
その様子を見て中村3曹は思った(彼氏は当分できそうにないわね〜)
176 :
スキップ・ビート:04/03/22 21:13
番外編・特別勤務
「あっつー元気ィ〜?」ここは消防車の中である。三島士長は消防隊勤務に上番していた。
「元気ですよ〜!三島士長は調子はどうですかァ?」電話の相手は上田敦子、青森の某部隊
のWACである。三島士長と上田1士は音楽祭り支援で一緒だったのだ。「おう、あっつー
が居なくて寂しいよ〜」三島士長は運転席と助手席の間に足を投げ出しながら答える。顔に
は淫靡な笑み、口には楊枝をくわえていた。「まァた調子のイイ事言ってますねー!みんな
に同じ事言ってんでしょ〜」「いやいや、あっつーだけよ、ホント!そういやウチの中隊に
WACちゃんが来たンだよ!」消防隊の前を横切る隊員がチラっとこちらを見た。三島士長
は気持ち座席にちゃんと座りながら答えた。消灯時間が近づいてきたので、外出から帰って
くる隊員が増えてきたのだ。「あー危ないなァー、三島っち狙ってるンじゃないの〜?」三
島っちというのもフザケた響きである・・・「いやーそれがちょっと精強過ぎてねー。自衛
隊の香りが強すぎるンだよな〜。おれは目下、もう1回音楽祭り支援に行く事が目標であり
ます!」相変わらずのC調である。「チアリーダーのひらひらミニスカートが忘れられない
だけじゃないんですかァ〜?」上田1士もC調だ・・・「わははは!あっつーのミニがね!
あ、今度写真送るからね〜」三島士長の軽〜いおしゃべりは続く。こうして特別勤務の夜は
更けていくのであった・・・
特別勤務編、不定期につづく。
177 :
専守防衛さん:04/03/23 07:27
178 :
専守防衛さん:04/03/31 01:40
そろそろ続きを見たくなってage。
作者は遠州か何かか?
179 :
専守防衛さん:04/03/31 07:18
「彼氏はいませんよ」と中村3曹は田浦にこっそり報告した 田浦から先任に、先任から中隊長に。少し、ほっ、とした中隊長は週間予定表を見る今日は月曜日 週末、木曜日には会計検査かぁ・・・
180 :
専守防衛さん:04/03/31 16:55
事務所でも会計検査準備に大忙しだ。とくに、給与係 先任や通信係に「この時だけ、赤城を下さいよ〜」なんて言って泣いたふりをしている。と、先任「赤城を支援にだしてもいいが、いいのか?相手は大幹部の娘だぞ、どうせ、誤魔化す為の書類作成、破棄要因だろ?」
181 :
専守防衛さん:04/03/31 17:01
「そうだった」と給与係は、赤城獲得をあきらめた。そして、「三島は?あいつなら前に一度・・・消防か。」とがっくりしている。その日の終令 「営内者、これから飯食い行け!」どなる、給与係がいた
182 :
専守防衛さん:04/04/04 13:30
会計検査は無事終わった。連隊本部で特に問題無しで通った為、中隊まで回らなかったのだ。これで少しは、一息付けるなぁ 中隊本部一同、口を揃えて行っている
183 :
専守防衛さん:04/04/04 16:29
平穏な日が続く 赤城も通信の仕事を少しずつ覚えているようだ。ある日中隊のミーティングをした。各小隊陸曹より、「演習時期も終わり次は戦技です。来週より毎朝、天候に左右されず、駆け足、10キロ行きましょう」と意見がでた
184 :
まいにちWACわく!その48 :04/04/05 18:03
会計検査も終わり、あとは年末休暇とその前の「年末行事」を待つだけとなった。
やる気満々の小隊陸曹たちが「毎朝10km駆け足」を中隊ミーティングで提案してきた
「ここ数年、隊員のレベルが落ちてきてるように思うんですよ」迫小隊、近藤曹長が口を開く「やはり毎朝の駆け足くらいはしましょうや」
うんうんとうなずく小隊長たち、中隊長も乗り気のようだ。だが先任は少し渋い顔をしている
(過去何回も「朝の間稽古」を実施したが、数ヶ月でいつの間にか自然消滅してるんだがなぁ)勤務の都合・行事や演習・その他いろんな理由で、やっては消えやっては消えの間稽古だった
「そうだな、新年明けてからはじめるか!科目はまた検討しよう」中隊長の鶴の一声でミーティングは終わった
185 :
まいにちWACわく!その49:04/04/05 18:13
「ま〜た訓練計画作らないと…」と愚痴をこぼすのは訓練・中島1曹である「まぁまぁ、何とかなりますよ」フォローするのは田浦3曹である
先任は何か書類とにらめっこをしている「先任、どうかしました?」「いや、年末行事での支援人員差出の依頼なんだが…」依頼といっても連隊本部が出す文書だから、実際は「命令」と同じである
「え〜と、会場準備・撤収にP×3、来賓受付にS×2うち1名は上曹、接遇に…WAC×1?」目が点になる田浦3曹「赤城以外に誰がいるのかねぇ…」と先任はため息をつく
毎年この連隊では年末行事と称して体育館で軽い演芸&カラオケ大会なるものを企画している。ローカル芸人や隊員有志のかくし芸(?)カラオケでの高得点者には商品も出る
部外の協力者を招待することもあるので「接遇」というのはそれだろうと思われる
186 :
まいにちWACわく!その50:04/04/05 18:22
「一般命令を見る限り、接遇は広報班を除いて全部WACですね」田浦3曹が般命文書を見ながら言う「全部で3人ですね、いつも接遇はWACを使うようで…」
「配属されたばかりのあの子には、こういうところは見せたくなかったんだがなぁ」先任がしみじみ言う「こうやって若い隊員のやる気が減っていくんだよ」
「でも三島なんか嬉々として雑用してますよ?」「あいつみたいなのは例外だよ…まぁ各部隊に一人はいるんだけどな、雑用ユニット」
「まぁ愚痴ってても仕方ない、あの子には終礼時に言っておくよ」そう言って先任はお茶をすする
終礼時…「とまぁピンポイントで依頼が来た、事前教育が前日にあるから参加してくれ」そう言われた赤城1士の顔は少し曇ったようだった
「はい…どんな事をするんでしょうか?」困ったような顔(実際困ってるのだろう)をして聞いてくる「詳しくは中村3曹とかに聞いてくれ、私も行った事はないからね」「わかりました」
187 :
まいにちWACわく!その51:04/04/05 18:36
「う〜ん、接遇ねぇ…」WAC隊舎の一室で中村3曹は腕を組む「赤城1士も接遇なんだ…私もなのよ」と言ったのは通信小隊・村瀬士長である
「後はだれですか?」「橘じゃなかったかな?中森だとキャバクラみたいになるって言ってたような…」と言ったのは東間士長、衛生の2士二人は別室である
「接遇って言ってもお客さんとかOBの人とかにお茶とか出すだけよ、難しくはないわね」そう中村3曹は言う「ただ…」
「ただ?」「OBの人とかってちょっとヘンな人が多いのよ、特にお酒が入るとね…」そう言ってため息をつく
「ヘンな人って?」「なんかちょっとした事で急にキレたりとか、やたら威張ったりとか、すぐに昔話を始めるとか…」「うわぁ、タチ悪そう」顔をゆがめて吐き捨てるように東間士長が言う
「もともとOB会ってのは、自衛隊を退職してから一般社会でうまくやっていけない人が多いのよ。だから過去の栄光にすがりたがる…」「栄光なんてあったのかな?」
「無くてもここに来たら、昔の部下や後輩に威張れるからね。優越感に浸るには絶好の場所よね」「…最っ低」目がきつくなる赤城1士
「でも赤城、怒っちゃダメよ。一応お客様なんだからね」「我慢できるでしょうか…」
188 :
まいにちWACわく!その52:04/04/09 23:13
そんなこんなで年末行事当日、接遇要員の3名は1科広報室に集合した
「じゃ、今日はよろしく頼むよ」広報班長・杉山准尉が言う。取りあえずは行事が始まる前の控え室でのお茶だしがある
「何人くらい来るのかな?」お茶の用意をしながら橘2士が言う「15人って予定表には書いてあったわよ」お茶請けを準備しながら村瀬士長が答える
3人とも浮かない顔だが、一番顔に出てるのは赤城1士である。普段の明るい雰囲気とはまったくの別人のようだ
控え室に来賓たちが入ってきた。父兄会や「励ます会(どういうネーミングだ?)」の関係者数人と、残りはOB連中だ
189 :
まいにちWACわく!その53:04/04/09 23:27
だいたいの人たちがにこやかに談笑する中、ソファーにふんぞり返って座っている人間もいる。どうやらOBのようだ
「おいそこのWACよ、酒は無いんかい」爪楊枝を咥えた60代と思われるバーコード禿げ・太鼓腹のOBが村瀬士長を呼びつける
「すいませんこちらではお出ししてません…会場のほうで出ますので」丁寧に頭を下げて答える「…フン、女はこれだから…」ボソッと呟く太鼓腹
その様子を見ていた赤城1士の顔色も変わる。思わず一歩を踏み出そうとしたとき「お茶のお代わりいただけますか?」横から妙齢の婦人に声をかけられた
「あ、はい」気勢をそがれ素直にお代わりを持ってくる赤城1士。ご婦人は品のよさそうな70代、父兄会の関係者のようだ
「ありがとう、男ばかりの普通科では大変でしょう?」そう声をかけるご婦人「はい、でも希望ですから…」
「私の時代は婦人自衛官も少なかったのよ、今は女性自衛官と言わないといけなかったのかしら?」そう言って小首をかしげる「WACでいいと思いますよ」お茶を出しつつ赤城1士が答える
そうこうしてるうちに年末行事が始まった「では、会場へご案内します」杉山准尉が来賓を連れて行き、広報室に静けさが戻った
190 :
まいにちWACわく!その54:04/04/09 23:36
「まったく…頭にきますね!」そう怒ってるのは橘2士だ。背の低さと顔立ちから「怒ってる」より「すねている」感じだ
「こんなものよ、OBなんかまともに相手にしない方がいいわよ」冷静な村瀬士長だが、顔は明らかに不機嫌だ
「…」無言なのは赤城1士、怒っているようだがさっきのご婦人も気になるようだ
「や〜ご苦労さん。後は行事が終わってからだね、来賓の方たちがここで談笑されるからね。この後もよろしくたのむよ!」空気を読まないのは1科長だ
「取りあえず行事でも見てくるかい?」「私は何度も見てるからいいです、赤城たちはどうする?」村瀬士長が尋ねる
「じゃ、取りあえず行ってきます」「私も行ってきます」二人とも行くようだ「じゃあ行事が終わったらまた来てくれ」
191 :
まいにちWACわく!その55:04/04/09 23:51
体育館の台の上では、ちょうど隊員によるカラオケ大会の真っ最中だった。みんな酒が入ってるせいか、けっこう盛り上がってるようだ
まぁもっとも、誰も歌なんか聞いてはいないようだが…
「あら?後藤くん歌うみたいよ」台上を指差し橘2士が言う。情報小隊の曹学・後藤1士が台上で長淵剛を熱唱している
「アイツね〜けっこう目立ちたがりなのよね、陸教でもさ…」赤城1士はやや呆れ顔だ
後藤1士の熱唱が終わり、カラオケ機の採点が始まった「さぁ何点でしょうか?…46点!ざんね〜ん」司会のおどけたような言い方にみんなドッと笑う
「あら〜駄目だったね」橘2士が残念そうに言う「ただ怒鳴ってるだけじゃない?歌じゃないわね」赤城1士は冷静&辛らつだ
192 :
まいにちWACわく!その56:04/04/10 00:06
なんだかんだで年末行事も終わり、赤城1士たちは広報室に帰ってきた
「来賓の皆さん酔ってるだろうから、あんまり真剣に相手しないようにね」村瀬士長が二人に言い含める
しばらくして、来賓たちが談笑しつつ帰ってきた。みんなけっこう上機嫌である
「あの時の演習では…」「三島由紀夫の決起演説の時なんて…」「安保の時はな〜…」どうやら思い出話に花が咲いているようだ
何人かは帰ったようだが、OBを中心にまだそこそこの人が広報室で話している
「この隊舎も昔はぼろぼろだったのになぁ…」「昔の訓練場が倉庫になっとった!悲しいのぅ…」杉山准尉は聞き役に回っている
「おいコラ、何ぼさっと立ってるんだ。さっさと酒注げや!」さっきの太鼓腹が空き缶をまとめていた3人のところにやってきて捲し立てた
「申し訳ありません、もうお酒は…」村瀬士長が答えたが「あ〜?言い訳か!女はこれだから…」またブツブツと言い始める
193 :
まいにちWACわく!その57:04/04/10 00:16
赤城1士がキレた「女だからなんだと言うんですか?」コブシを握り太鼓腹の前に立つ。かなり怒っているようようだ
太鼓腹は少し迫力に押されたようだが、すぐに文句を言い始める「なんだぁ?お前みたいな小娘がオレに反抗するのかぁ?てめぇ何様だ!『上官の命令』に服従せんのか!」
「あなたは上官ではないし、礼儀も知りません。まともに人間扱いしたくもないですね!」負けじと言い返す赤城1士
さすがに回りも騒ぎに気づき、広報室はシンとなった。村瀬士長も橘2士もオロオロしている。杉山准尉も席を立ったが、間に割って入れないようだ
「手前らみたいな女が偉そうに普通科に来るってに我慢ならん!ケツでも触らせとったらいいんじゃ!」そう言って右手で赤城1士の尻をなでるように触った
「!」さすがに我慢の限界、赤城1士の右正拳突きが放たれようとした!
194 :
まいにちWACわく!その58:04/04/10 00:25
赤城1士の拳は、横から伸びてきた手によって止められた。太鼓腹は声を失っている
「…いいパンチじゃのぅ」横から手を伸ばしたのは、隊内クラブ「一番星」オーナーの権藤店長だった
「権藤店長…?」赤城1士はキョトンとした顔をしている、太鼓腹は目を見開き「ご、権藤1曹…」と驚きと恐怖の入り混じった顔をしている
「小倉!このボケ!行軍もろくに歩けんかったてめぇが偉そうに普通科を語るな!」権藤店長の拳が太鼓腹=小倉の頭を直撃する
「す、すみません…」「すまんですむか!この自衛隊の恥さらしが…このボケ!」さらに5,6発の拳が叩き込まれる
「もう引退されたかと…」「てめぇみたいなボケを放っておけるか!さっさと帰れ!」ケツに蹴りを入れて広報室からたたき出した
195 :
まいにちWACわく!その59:04/04/10 00:32
「すまんかったのぅ、あいつは昔から性根が腐っててなぁ」権藤店長はすまなそうに赤城1士に謝った
「いえ、そんな…」恐縮する赤城1士「危うく暴力事案を起こすところでしたから」
「や〜権藤1曹!元気ですか?」「権藤助教!お久しぶりです」何人かのOBが権藤店長に挨拶する「おぅ、元気だったか」そういう権藤店長もうれしそうだ
「あら権藤さん?お久しぶりです」先ほどの上品なご婦人が挨拶する「やぁ東雲1尉、まだまだお若いですな〜まだ看護婦を?」
あっという間に権藤店長の周りは人でいっぱいになった。それを見て赤城1士は思う
(こういうOBの人もいるんだぁ…)
196 :
専守防衛さん:04/04/10 15:12
赤城は不思議に思った 自衛官って何をしたら、いいのだろう? 元看護婦の1尉 今だに人望ある店長 その店長の一活で立ち去ったセクハラ親父 接待で一日の仕事を終わった私 飲んで歌っての隊員・・・
197 :
専守防衛さん:04/04/10 15:19
早く、演習を経験したいなぁ この日ほどそう思った事はなかった。接偶も終わり、中隊に帰ると皆、少し紅い顔して、「お疲れさん」と声を掛けてくる 先任が「終礼後少し話しあるから」と言われた 多分、さっきの話だろう 終礼が終わった
198 :
専守防衛さん:04/04/10 15:26
先任と中隊長室に入り 「赤城、短気はイカンゾ」と初めから言われる すいませんとなんども言い 中隊長室をでる 少し落ち込んだ赤城 と、そこで「よっ!どした?元気ですか〜?」と肩をポンと叩かれる 後ろを振り返ると三島だった
199 :
専守防衛さん:04/04/10 15:32
よく見ると私服来ている。「三島士長、どうしたんですか?」「消防隊今日の朝、下番してなぁ、代休なんだよ、それよりどした?なんか、元気ないんじゃないか?」赤城は笑いながら、そんな事と言うが、言うだけ惨めさが増してきて、涙を流していた 「赤城?」
200 :
専守防衛さん:04/04/10 15:40
「なんか悔しい事あったんだな?」「・・・」何も言えない赤城 「自衛官してると、そんな日の1回、2回はあるんだ、赤城チャン今日外出か?」「ハイ、一応・・・」「中隊の若いの、落ち込んだ時、心の清掃出来る場所あるんだ 俺は最近使ってないけど 申し送るよ。」
201 :
専守防衛さん:04/04/10 15:44
夜 赤城と三島の運転する車に乗っていた 三島と二人で外出は嫌だったので橘や中森にも声掛けたが二人とも残留だったのだ しかし、心の洗濯場にも興味がある 赤城は覚悟を少しもち 三島の車に乗ったのだ
202 :
専守防衛さん:04/04/10 16:02
到着。上星空 下夜景 「うわ〜」「どう?元気出そう?」「ハイとても!申し送り、確かに!」と興奮してる。三島は笑い「ごめん、実はここ、中隊で知ってるの俺と赤城だけ、俺、雑用多いだろ 今は平気だけど昔は、嫌でさ」落ち込んだ時、ここに来てたのだと教えてくれた
203 :
専守防衛さん:04/04/10 16:07
「自転車でも20分でこれるよ」と三島 赤城は満足している 「くしゆん」と赤城 やはり冬 寒いのだ 三島は「おぉ、大事な戦力に風邪引かせちゃ大変!」といい着ていたジャンバーを赤城に掛けてあげた・・・
204 :
専守防衛さん:04/04/11 16:19
帰りの車の中で・・・「三島士長は優しいんですね」「そう?」と三島 「はい、噂で、全国のワックのアイドルとか、今ならなんか解ります」三島は苦笑いしている 「今日はありがとうございました」グー 腹がなった
205 :
専守防衛さん:04/04/11 16:23
赤城は照れながら「落ち着いたらお腹へっちゃったみたいです〜」 「よし、ご飯食べ行こう、パスタは好き?」 「はい」「よし、旨い店あるんだ!いくぜぃ」と張り切る三島だった
206 :
専守防衛さん:04/04/11 16:31
パスタ屋 ミスト お洒落な店だった 楽しそうに、カップル達が食事している 赤城と三島もはたからみると二人もカップルに見えるだろう 窓際に座りパスタを食べてる二人を眺めていた人物がいる 田浦三曹である
207 :
専守防衛さん:04/04/11 16:35
月曜日 「三島〜」呼ぶのは田浦である 「はい、なんです、またまさか臨勤ですかぁ?」と皮肉ぽく言う 「違うよ、金曜日の話しでな、ここじゃなんだから、排煙室行くか」「あぁ、あの話かな?なら大丈夫ですよ」
208 :
専守防衛さん:04/04/11 16:39
「大丈夫?なのか?」と心配そうに聞く田浦 「はい、あの時は優しい先輩自衛官ですから、これからも多分、そんな感じですよ」田浦は少しとまどい「じゃあ付き合ってる事はないんだな?」「はい」田浦は安心顔になった
209 :
専守防衛さん:04/04/11 16:44
「そうか、わかった。それじゃ話変えるが、年明け、うちの師団の記念行事の支援で一名、うちにあたってる、三島頼むぞ」「え〜っ、やっぱりそんな話すか〜しかたないなぁ」と三島は、困った顔するふりをするが気持ち笑っている 師団の作業 さてどんなワックがくるやら〜
210 :
まいにちWACわく!その59 :04/04/11 18:36
「…だそうです」「そうか…まぁ一安心だな」「やれやれ、中村3曹からの情報がなければどうなっていたか…」
週明け月曜日、中隊長室で額を合わせる中隊長、先任、田浦3曹の3人
「まぁ客観的に見たら、いい先輩になるんでしょうな」先任が言う
「ただ、その先輩が『あの』三島だってこと、そして相手が『あの』赤城だってのが問題なんだ」中隊長は渋い顔だ
あの日、課業外に中村3曹が「赤城が誰かに誘われたみたいなことを言っていた」と陸士から言われたと、田浦3曹に連絡してきたのだ
「まさか…」と思い三島の外出をチェックすると…まさに同じ日に外出していた。あとは駐屯地周辺の「自衛官ご用達」の店を片っ端からチェックしたのが田浦3曹であった
「しかしよく見つけたな」「はっ、この辺はあまり店が無いので何とかなりました」中隊長から評価され胸を張る田浦3曹
「なんなら2科に推薦してやるよ」とは先任の弁「勘弁してください…これ以上事務はちょっと」頭をかく田浦3曹であった
211 :
まいにちWACわく!その60:04/04/11 18:47
明日は連隊長の年末点検、各中隊も清掃に忙しい。もちろん中隊本部も例外ではなく…
「そろそろ床磨くぞー」「まってくれっ!まだ書類が…」「あ〜パソコンの電源が〜!」「スマン、引っ掛けた!」…とまあこんな調子である
「だいたい年末の忙しい時期に、事務所の点検まで入れるのが間違ってるんだ!」とブツブツ言うのは東野1曹、みんなも同じ意見だが、命令だからどうしようもない
赤城1士は通信倉庫の清掃中、岡野2曹と一緒に有線機材や通信機をキレイに見えるように並べ替えてる
「見栄えだけ整えておけばいいのさ、点検なんてそんなもんだよ」「いいんですか…?何かテキト〜なような…」赤城1士は少し戸惑っている
「陸教ではきっちりやったろ?でも実働部隊でイチイチみっちり清掃してたら、時間がいくらあってもたりないんだよ」そう言いつつ無線機の埃をハケで落としていく
少し困惑した顔の赤城1士(自衛隊ってこんなんでいいのかなぁ…)
212 :
まいにちWACわく!その61:04/04/11 18:55
「こんなんでいいのよ」キッパリと中村3曹は言い放った「やる事はやる、休むところは休む、それが自衛官の心得よ」
「でも見てくれだけってのは…」「見た目すらキッチリできない組織は、結局仕事もろくにできないのよ。それに規律を守るという意味では、清掃も重要な部分だからね」
WAC営内班には今日は中村3曹と赤城1士しかいない。明日の晩からの休暇に待ちきれずみんな外出したようだ
「で、明日はどうするの?」「営内班に人がいれば、通信庫で立戒してくれって言われました」
「じゃ、明日は通信庫ね。ここまで清掃しても点検は一瞬だからね…」「そうなんですか?」「ビックリするわよ〜」
213 :
専守防衛さん:04/04/11 19:04
予備自受け入れ中隊である 訓練の中島 田浦、そして先任は赤城の問題もひと段落ついたので、あらためて この事について考えてみた まずは、被服や宿泊の部屋(補給だろ) 次は訓練場所(訓練だな)移動手段で車両だろ あとは・・・飯と武器だな
214 :
まいにちWACわく!その62:04/04/11 19:10
さて当日…連隊長の点検は午前中、昼からは連隊終礼をやってから休務になるらしい
「早く帰れるなぁ、いいね〜」岡野2曹は喜んでいる「家族サービスされるのですか?」赤城1士が尋ねる
「そうさ!いや〜娘がやっと立てるようになってねぇ…」事後30分、延々娘さんの話が始まってしまった…
ジリリリリ…倉庫の電話が鳴り響く「そろそろ連隊長来られま〜す」誰かの声にみんな反応し、それぞれの配置についた
「私はどうしたらいいですか?」「連隊長が前に着たら姿勢を正して氏階級を言う、それくらいかな?」
「きょうつけぇ!」倉庫の担当である4科補給幹部が号令をかける「通信機材庫!」場所の報告をする
連隊長を先頭に各幕僚がぞろぞろついてきている、そして各部屋をのぞいて回る
赤城1士のいる倉庫に入り、腕を後ろに組みながら「う〜ん」とか言いつつ部屋を見回る。そして赤城1士の前に来た
「はい、赤城1士!」姿勢をただし大声で叫ぶ「…」2,3回うなずいただけで踵を返し倉庫から出て行った
時間にしてわずか10秒しかなかった
「おわり〜」ドカっといすに座り、岡野2曹はネクタイを緩めた「これだけですか?」赤城1士は当惑している
「こんなものさ、連中も暇人じゃないしな」「昨日1日の清掃はいったい…」
「まだマシさ〜陸幕長の時なんか1週間清掃し続けたんだから」平然と言い放つ「…」何か言いたそうな赤城1士だった
215 :
専守防衛さん:04/04/11 23:43
年が明けて、訓練始めは、寒い中上半身裸で、隊内6キロ走がいつもの習わしだが、今年はワックがいるのでみんな迷彩シャツを着ている しかし、やはり寒い 本部要因からはブーイングもでるそんな日の午後 中隊長以下主要な職務はMMをした
216 :
専守防衛さん:04/04/11 23:49
内容は予備自訓練隊受け入れについて 日程については一月から三月 月2回 一週間の予定で計六回 「落ち着く間がないなぁ」先任は胃が痛くなる 「じゃ、各係、要因はたのんだぞ!」中隊長の激の元、皆やる気はあるようだがやはりいい顔はしていない
217 :
専守防衛さん:04/04/17 10:05
明けましておめでとう! と寒風吹く中、中隊長の挨拶で始まった新年 訓練初めは六キロ走 上半身は迷彩Tシャツ 下迷彩ズボン 半長靴 雪は無いとはいえ寒い さすがは1月 そんな中 補給 東野 支援、三島の二名お汁粉を調理していた
218 :
専守防衛さん:04/04/17 10:18
威勢良く歩調を数得る声が聞こえる そんな中お汁粉組二名は 東野「三島〜なんでお前走ってないんだ?」三島「俺すか?明日から師団の記念日支援なんで、除いてもらったんです、風邪引いたら大変ですからね」 「田浦との取引か?」「いやだなぁ、取引だなんて。話合いですよ」
219 :
専守防衛さん:04/04/17 10:25
そんな中、駆け足を終え皆戻って来た 皆、寒そうな顔をしていた 特に目立ったのは赤城だった 体力こそ、へたな男に負けないものの、さすがは女の子 冷え性気味なのか 少し青い顔をしている
220 :
専守防衛さん:04/04/17 10:50
暖かいとこ食べてなぁ!東野の声で着替えを終えた隊員達はみな、お汁粉に飛びつく 「暖まる〜」と言う声がそこらから飛んでいる さて、次は予備自受け入れだな 中隊長が先任に一言伝えた
221 :
専守防衛さん:04/04/17 12:43
次の日 三島は田浦が運転する小型車に乗り師団司令部へと旅立った( 赤城が寂しそうな顔をしたのは気のせいだろうか?)なんて事を感じながら運転している 等の三島は、相当変な期待しているようだ
222 :
専守防衛さん:04/04/17 12:51
「田浦3曹、師団の記念日って事は当然師団勤務の子達はもちろん・・・」「おい!行く前から何余計な心配してんだ!仕事だからな!判ったな!」「判ってますって〜ただ、気になるんだよなぁ〜師団長以下のメガネにカナッタ僕の恋人達よ〜」駄目だこりゃ 田浦はこう思った
223 :
まいにちWACわく!その63:04/04/17 15:15
(やれやれ、まったく三島は…)ハンドルを握りつつあきれる田浦3曹であった
(今さらながら思うよ。赤木がこいつの毒牙にかからなくてよかったなぁ)「何考えてるんや?」後ろから声をかけたのはさっきまで寝てた井上3曹である
「いや、何にも…」「同期やないか〜隠し事はわかるで!」この勘の鋭さがスナイパーの所以か
それでも「何もない!運転させろって…」と田浦3曹は答えた、昨日の課業外のことを思い浮かべながら…
224 :
まいにちWACわく!その64:04/04/17 15:16
「赤城〜ちょっといいか?」終礼が終わり国旗が降りた後、田浦3曹は赤城1士を呼び出した
「はい?何かありました?」「来週から部隊通信だったな、コレ貸してあげるよ」そういって差し出したモノは、普通科通信のバイブル「普通科通信必携」だった
富士でしか売ってない「資料」だが、訓練はなぜかこういうモノを隠し持っている
「部通なら絶対に役に立つから持って行きな」パラパラとページをめくる赤城1士「…わ〜これはいいですね、ありがとうございます!」そう言ってピョコンと頭を下げる
「よかった、少し元気になったか?」少し笑って田浦3曹が尋ねる「年末は元気なかったからなぁ」
「そんな事は…あったかも」照れたように答える「自衛官って何なのかな〜ってちょっと思っちゃったんですよ」
225 :
まいにちWACわく!その65:04/04/17 15:18
二人は隊舎の外にある自販機コーナーの前まで移動してきた「はいコーヒー、実家に帰った時、お父さんとかはいなかったの?将官の人なら答えが出ると思うけど…」
「父は付きあいがあるとかで…地方総監ってけっこう名士らしいんです」コーヒーを口に運びながら赤城1士は答える「そのかわり兄たちは珍しく勢揃いしましたけどね」
「新年明けましておめでとうございます」ここは赤城家のお座敷、12畳くらいある部屋も祖父母・母・兄3人・弟1人が入ると狭く感じる
「いや〜久しぶりに全員そろったのぅ、なぁ婆さんや」上座に座る祖父・龍太郎はさっそく日本酒を飲んでいる
「おじいさん、龍彦がいませんよ」祖母・えつ子はおせちを口に運ぶ
「龍彦さんは忙しいみたいで…ま、『亭主元気で留守がいい』とか言いますけどね〜」母・純代はご飯をよそう
「正月早々仕事とは…偉くなんてなるもんじゃねぇなぁ」刺身をほおばるのは長男・赤城純一2等海尉である
「潜水艦乗りは正月に仕事無いの?そんなわきゃ無いわな〜俺たちだってアラート待機してるんだから」次男・赤城翔次郎3等空尉はお代わりのご飯を受け取る。F15パイロットらしく筋骨隆々だ
「ま、お互い忙しいという事で…エビフライいただき!」箸を伸ばすのは防大4年生の3男・赤城三吉である
「あ〜取ってたのに…」影の薄い4男・健四朗は高校1年生、兄たちと比べておとなしい文才肌である
正月早々大騒ぎの赤城家の面々だが、なぜか龍子は食が進んでいなかった
226 :
まいにちWACわく!その66:04/04/17 15:18
「どうしたの龍子?食が進んでないわよ」母が声をかける「食わんのか?なら頂こう」純一が皿の上の肉二手を出す
「…ねぇ兄ちゃん、仕事に疑問を持った事って無い?」肉を取る手を見ながら龍子は尋ねた
「疑問?」母と3人の兄が同時に尋ねた「疑問って?何かあったの?」母が尋ねる「オレはまだ学生のみだからわかんね〜な」三吉はエビフライをかじりながら言う
「ちょっと部隊でいろいろあってね…自衛隊の仕事って何なのかな〜?って思ったのよ」
「そりゃ『この国の平和と安全を守るため』だろう?潜水艦に乗ってたらこの国の平和なんて薄っぺらいモノだってのがよく分かるぞ」「例えば?」「それは言えん…」サブマリナーは口が堅い
「空だって同じだよ。ソ連は無くなったけど、やばい国はいくらでもあるからな」翔次郎はおせちに手を出している
「う〜ん、そういう事じゃなくって…普段の掃除とか点検とか、行事の支援とかって意味があるのかな?ってね」上手く言えないがなんとか説明する
「そりゃ〜あるんだろうな。俺たちには縁がないけどな」「そうそう、だから防大に入ればよかったんだよ」「…幹部ってそういうモノなの?」
「昔は士官と下士官と兵士なんざしっかりわけられていたからのぅ」横から祖父が口を挟む「ワシなんか『海軍少佐』ってだけでモテモテじゃったわい!」ひゃっひゃと笑う祖父・龍太郎
「そういえば外地ではよく遊んだそうですわね〜」そうつぶやくのは横にいた祖母・えつ子である。声は穏やかだが、目が笑っていない
「まだ配属一ヶ月でしょう?これからいろんなモノを見て考えたらいいんじゃない?」母・純代の一言が一番参考になるようだった…
227 :
まいにちWACわく!その67:04/04/17 15:19
「…と言う訳で、あまり参考にはならなかったです」空になったコーヒー缶を捨てて赤城1士はふぅっと息を出す「幹部と曹士ではやっぱり違うんでしょうか?」
「そりゃそうだろうね。特に海空は専門職の人が多いし…海自なんて風呂まで幹部と曹士でわけられてるからね。ウチにもあるけどあんまり使ってないからなぁ」田浦3曹は夕焼けを見ながら答える
「まぁお母さんの言う事が一番合ってると思うよ。オレだって2士の頃は同じ事を考えたからね」「いずれわかる日が来ますか?」「それは保証できないけど、自分なりに納得して仕事ができるようになればいいんじゃないかな?」
「とりあえず来週からの部通で頑張ってみなよ」「ハイ!頑張ってみます」少し元気に答える
228 :
まいにちWACわく!その68:04/04/17 15:28
「…絶対なんかヤラシイ事考えてるやろ?」まだ追求を続ける井上3曹「そりゃ井上もだろう?師団司令部の周りは都会だから風俗多いもんな〜」
「うらやましいんか?」「別に〜ほら、着いたぞ」師団司令部のある駐屯地の営門をくぐる「何度きても思うけどさすがにデカいなぁ」感心するのは三島士長だ
「よし、外来はここだな。じゃあ売られた羊さんたち、頑張ってくれよ!」激励(?)の言葉をかけ田浦3曹はもと来た道を帰っていった…
「帰りました〜先任!」田浦3曹が帰ってきたのはちょうど6時過ぎだった「おぅ、お疲れさん!」残っていたのは先任だけだった
「ちょうど今から中隊長と飲みにいくんだが、田浦もどうだ?」「いや〜帰ってきたばっかりなんでご勘弁を…」
「そっか、まぁお疲れさん!」そういって先任は帰っていった
229 :
まいにちWACわく!その69:04/04/17 15:35
邸内クラブ「一番星」は新年早々から営業している。さすがに客はまばらだが、店長には余り気にならないようだ
「新年明けましておめでとうございます」そう言いつつ先任は中隊長のコップにビールを注ぐ
「いやいや、今年もよろしく頼むな。4/四は忙しいからなぁ…」どうしても暗い話になってしまう
ちょうどそこへ権藤店長がやってきた「おや中隊長、先任もいるのかい。あけましておめでとう!」そういって焼酎片手にテーブルまでやってくる
「あけましておめでとう店長」中隊長が挨拶する
「や〜店長、年末行事ではうちの若い子が世話になったね。お礼を言わんといかんな〜と思ってたんだよ」そういって先任も挨拶する
「ん、まぁな…」いつもと違う店長の雰囲気に二人は「?」と顔を見合わせた
230 :
まいにちWACわく!その70:04/04/17 15:35
焼酎をあおり店長が口を開く「なぁ、普通科のWACってのは客寄せなのかい?あの子は宴会の時に見た限りでは、かなりやる気満々だったんだがなぁ」
そういってコップを置く「部隊での女の子の扱いが難しいのは知ってるが、あんな仕事をさせるために雇ってるわけではないだろう?」いつになく真剣なまなざしに中隊長も先任も圧倒される
「ちょうどWAC一期生の人が来ておってが呆れとったぞ『自衛隊は退化してますのね』ってなぁ…」年末行事に来ていた東雲(元)1尉の事だ
先任が口を開く「しかし1科からの命令だったから…それに雑用も大事なのは店長も知ってるでしょう?」「確かに、だが若いモンのやる気を削るってのはいかんじゃろう」「それはわかりますが…」
聞いていた中隊長が口を開く「私は陸士の時、演習場の宿営地の便所に落ちた車の鍵を拾わされた事がありますよ。あの時は辞めてやろうと真剣に思いましたが…」そう言ってビールを一口飲む
「雑用も訓練も事務処理も、すべてこなしてこそ汎用性のある普通科ですからね。あの子もわかってくれるでしょう」
「訓練させるのか?あの子に何をやらすんだい?」「迫…で使えればいいのですが」少し考える権藤店長「大丈夫じゃろう、体力はあるんじゃろう?最近の迫撃砲は軽いからのぅ〜ワシが満州にいた頃は…」
いつもの与太話が始まり、中隊長も相手をするのに苦労している
それを横目で見ながら先任は一抹の不安を抱えていた…
231 :
まいにちWACわく!その71:04/04/17 15:36
次の週、赤城1士の部隊通信教育が始まった。中隊からはもう一人、対戦車小隊の山崎士長が参加している
「今回は体力面に関して、赤城より山崎の方が心配だなぁ」運幹・森永1尉が心配するように、山崎士長は少々肥え気味体型なのである
「だからあの二人がくっつく事はあり得ないと思いますよ」田浦3曹はこう断言した。ここは中隊長室、いつもの3者会談である
「そうか、ところで田浦」中隊長が口を開く「通信に知り合いはいるか?今回部通に絡んでる人間でだが…」
「履修前同期の金田3曹がいます。すでに話はしていますので…」「さすが早いな。部通での状況によって4月からの配属を考える予定なのでな」中隊長が感心したように言う
「やはり迫、ですか?」田浦3曹が尋ねる「そのつもりだが何か?」
田浦3曹は横目で先任を見る(例の近藤曹長の件(>141)、言ってないんですか?)
先任も目で答える(まだなんだ…)
「田中士長、入ります」ノックの音とともに給養付・田中士長が入ってきた「中隊長、お客さんです」
「お〜そうか、じゃ解散だな」そういって3者会談は終わってしまった…
232 :
まいにちWACわく!その72:04/04/17 15:37
寒い中、赤城1士の部隊通信教育は進んでいった
「まぁ学生には1士から3曹までいるわけだが…」厚生センターの喫茶店で額を合わせるのは田浦3曹と通信小隊(部通助教)・金田3曹だ
「その中でも彼女は結構やってる方だと思うがな。中村の再来みたいだな」
眼鏡をかけた金田3曹は顔だけ見れば大学生のようである。が、首から下はまるでラグビー選手のようである。本人曰く「有線は首から下が命!」だそうだ
「無線機の取扱や学科に関してはトップに近いな、有線も中の上ってとこだ。むしろあの山崎ってのが問題かもなぁ…」紅茶をすすりつぶやく「そんなにか」田浦3曹が尋ねる
「ナンバーは通信をなめてるのか?体力勝負だと何度も言ってきたのに…あれじゃあ159ドラム1缶もたんぞ」
もっとも有線の隊員を泣かせる器材の一つ「JRL-159/u」は重さ30kgを超える有線ドラムであり、徒歩で有線の回線を構成する場合はこれを二人で持ちかなりの距離を走らなければいけない
「だいたい通信が楽な仕事と思ってるヤツが幹部には多すぎる…」「わかった、わかったから押さえて押さえて…赤城は159ドラム持てるのか?」
「あの子はいけるよ、ただやっぱり1缶が限界だな。男と女は基礎体力が違うからな」「ま、そこは仕方ないさ。ありがとよ〜ここは奢るよ」
そういって田浦3曹は領収書を持って席を立った
233 :
まいにちWACわく!その73:04/04/17 15:38
「あ〜もう、指がヒリヒリする…」夜のWAC隊舎に赤城1士の叫びがこだまする。部隊通信の課題の一つ「結線」をしている
「課題作り?大変ね〜でも慣れたら指の皮が厚くなって作りやすくなるわよ」横から指南するのは中村3曹である
「中村3曹は何で今回助教に来なかったんですか?」指を動かしながら赤城1士は尋ねる「来てくれたら楽しかったのに…」
「順番だから仕方ないわよ、それに助教も大変なのよ〜そこ、銅線が切れてるわよ」さすがにめざとい中村3曹である
「…この携帯電話全盛期に有線ってのも不思議ですよね」少し手を休め赤城1士はペットボトルのお茶を飲む「ず〜っと昔から変わらない技術なんですよね?」
「そうねぇ…部隊通信の教育を受け始めた人はみんな言うわね。でも電子戦の話とか聞いたでしょう?無線では完全にカバーしきれない部分があるのよ」
それからずっと結線を作り続けて、やっと今日の分が終わったようだ「ふ〜疲れましたぁ…目がチカチカします」
「お疲れ様、まぁとにかく今は教育を受ける事ね」「わかってます、毎日結構楽しいですよ〜他中隊の人とも仲良くなれますしね」
部通学生は全部で12人いる。各中隊から派遣されてくるので、知り合いを作るいい機会でもある
「誰か気になる人はいるの〜?」横から東間士長が口を挟む「ん〜いません、今は教育が大事デス!」キッパリと否定する赤城1士であった
234 :
まいにちWACわく!その74:04/04/17 15:39
「…」先任の机の前で仁王立ちしているのは迫小隊の小隊陸曹・近藤曹長である「なぜウチなんだ?承伏できませんな!」
事務所にはいや〜な空気が漂っている…
田浦3曹の報告を受け中隊長が「4月から赤城を迫に入れる予定である」と迫小隊の小隊長・井坂2尉に告げてから10分後である
「いや、あのね近藤曹長…これは命令だから…」後にいるのは井坂2尉だが、蚊の泣くような声である「理不尽な命令には不服を申し立てる権利と義務があります」近藤曹長は全く意に介さない
「何が不満なんだ近藤?あの子は曹学だからしっかりとモスもあるんだがな。むしろ即戦力じゃないか?」先任がたしなめる
「即戦力になると?たかが1士じゃないですか、しかも女に何ができますか!」近藤曹長の四角い顔が赤く染まる
何事かと事務所をのぞき込んでいたのは3小隊の小隊陸曹・神野1曹である「まぁまぁ近藤曹長、使ってみないとわかりませんよ」後からたしなめるように言う
「…そりゃ何だ、迫なら女を使ってもいけるだろうって言いたいのか?あ?」
端整な顔立ち&182cmの高い身長&胸に光る空挺レンジャーの徽章は無用な敵を作る事もある。今回はまさにそれだった
「いや、そんな事は言ってませんが…あの子なら体力も」
「空挺レンジャー様のお墨付きか!てめえらからしたら迫は楽な仕事だろうよ!」さすがにこの発言には神野1曹もカチンときた
「空挺とかは関係ないでしょう!迫が楽な仕事とも言ってません!」そう反論する神野1曹、少しテンションがあがってきてるようだ
「いってるじゃねぇか!てめぇ何様だ?たかがバッタが迫を語るんじゃねぇ!」
「バッタだと…花火屋のあんたらこそ何様だ!」こうなると売り言葉に買い言葉だ。周りも止めにはいる事ができない
ついに近藤曹長の手が動いた「てめぇ…」そう言いつつ右手で神野1曹の襟首をつかむ
神野1曹も左足を引き拳を握る。横にいた田浦3曹が止めに入ろうとしたそのとき
「やめんか貴様らぁ!!!」ドアの方から中隊長の一喝する声が飛び込んできた
235 :
まいにちWACわく!その75:04/04/17 15:40
事務所にツカツカと入ってきた中隊長はにらみ合いを続ける二人の間に割って入った
「小隊陸曹が衆人環視の元でハッスルしてどうする!考えろ!」と一喝した。二人はにらみ合いを続けつつ、渋々といった感じで離れていった
「井坂、ちょっと中隊長室に来い。田浦、佐々木を呼んできてくれ」そう言って中隊長はきびすを返した。事務所を出る寸前で振り返り、近藤曹長と神野1曹に向かって言った
「今度、こういう騒ぎを超してみろ。一生礼文島で飯炊きやらせるからな…!」
中隊長室に入り井坂2尉がドアを閉める「あの、中隊長…」何かを言いかけるのを手で制し椅子に座る「ま、仕方ないさ。気を落とすな」そう慰めの言葉をかける
「下手したら1年単位で変わる小隊長より、長年部下を見続けて監督してきた小隊陸曹の方が権力を持ってしまうのは仕方がない話でな。ただどこかでけじめはつけんといかんぞ」
「…わかりました…」少し自信なさげに答える。そのときドアをノックする音が聞こえた
「佐々木3尉、入ります」そう言って入ってきたのは第3小隊長・佐々木3尉だ。若干25才にもかかわらず、なぜかいつも自信満々の顔をしている
「ウチの神野1曹が揉めたようで…申し訳ないです」全然申し訳なさそうに井坂2尉に言う「まぁ井坂も佐々木もちょっと座ってくれ」中隊長に促され、二人は応接用のソファーに座った
236 :
まいにちWACわく!その76:04/04/17 15:41
現場にいなかった佐々木3尉に概略の話を説明する「う〜ん、そこまで反対するとは…近藤曹長は何かWACに恨みでもあるんですかね?」佐々木3尉はポツリと疑問を口にする
「小隊陸曹があそこまで言い切ったら、迫で使うのはしんどくなるだろうな」とは中隊長の弁「…確かに、後々の事を考えますと…」井坂2尉も同意した
「と言うわけで佐々木、おまえの所で彼女を使ってみないか?」一瞬の沈黙「…えっ?」
「彼女の能力は男子隊員と比べても比較的高いレベルにあると言える、モスもあるし本人も戦闘職を希望している。何より神野が彼女を高く買っているんだ。どうだ?」
「しかしウチはゲリラ的な動きをする事も多いのですよ。大丈夫ですかね?雑魚寝どころの話では無くなりますが…」
「その点は彼女も覚悟の上だろう、本人も断りはしないと思うぞ」
「ウチは若い連中が多いから、下手な事をするかもしれませんよ?」
「まぁ確かに3小隊は血気盛んな若者が多いのも事実だ、だがおまえと神野で押さえたらその点は問題無かろう?」
「そうですね…神野1曹がしっかり押さえてるので訓練中や演習中にバカさせる事はありませんが…」
「どうだ?悪い話ではあるまい?」
佐々木3尉はその明晰な頭脳でいろいろと考えていた
(ここで彼女の一族に名前を売っておけば、けっこう出世の足しになるかも…あきらめていた「将」に手が届くかも)
(いや、もしヘマしたら?一生をふいにするんでは?)
(でもダメもとってのもあるしな…それにもしかしたら陸上自衛隊で初の試みになるかも…)
(それに命令だしな、いざとなったら突き返せばいいし。それにあの子の能力にも興味あるしな…)
「わかりました、ただしもし使えないようなら中隊本部にお返しする事になります。それでもよろしいですか?」
「もちろんだ、じゃあ頼むぞ!」
237 :
まいにちWACわく!その77:04/04/17 15:42
「…といわけで、3小隊配属を検討しているのだがどうだ?」その日の課業外、中隊長室で中隊長と赤城1士が面接をしている
「ハイ、もちろん喜んで!」赤城1士は一も二もなく同意した
「ただし、使えないとわかれば中隊本部に戻る事になる、いいね?」「ハイ、頑張ります!」「よし、じゃあ後で佐々木の所に顔を出すように」そう言って面接は終わった
そのころ、中隊本部…「えぇっ!マジですか…」「思い切った事するな〜」「まぁ近藤があれではなぁ」「自衛隊始まって以来じゃないか?」
みんな口々に「赤城1士3小隊配属」の事を口にしている「大丈夫なんですかね?」先任に尋ねるのは田浦3曹だ
「まぁ幹部の話し合いで決まった事だからな」そういう先任も首をひねっている「よりによって3小隊か…」
「…と言うわけで、部通が終わったらオレのとこに配属になるからね」「ハイ!よろしくお願いします!」佐々木3尉と赤城1士の面接は、普段は使われない調理室でやっている
傍らには神野1曹もいる「期待してるぞ」そう言ってほほえむ神野1曹
「ウチは知っての通り『遊撃』もしくは『ゲリラ』的な使い方をされる事が多い。だから体力錬成は継続してやるようにね」佐々木3尉が注意事項を言う
「地図は読めるか?女性は苦手だと思うがこれも必須だ。あとはロープワークだな、これから大変だぞ」神野1曹も後を継いで言う
「ハイわかりました!」「よし、まぁ今は部通を出る事を考えるようにね」そう言って面接は終わった
「…こうは言ったが大丈夫だろうか?」佐々木3尉が神野1曹に尋ねる「こればかりはやってみないとわかりませんな」現場の人らしく神野1曹は冷静に答える
「ま、オレは大丈夫と思いますよ。来年度はCTもありませんしね」「ボチボチ鍛えられるという事か…」
238 :
専守防衛さん:04/04/17 16:26
そんな中三島は一人、奮闘中だった。支援四日目 多部隊から支援来ている中には新隊員前期の同期もいる。今夜は隊員クラブで支援組若手で飲み会である ワックも数名いる 三島はコーラを飲みながら、酒を飲む同期やワックに負けないくらい盛り上がっている
239 :
専守防衛さん:04/04/17 16:36
綺麗顔のWACが一人いる 青木3曹(曹学でなったばかり)、司令部勤務 通信職種。三島の一番のお気に入りである 三島「青木サンは綺麗ですね〜、俺、普通科だから女性自衛官って知り合う機会が無くて、青木サンと知り合えて嬉しいな」絶好調である
240 :
専守防衛さん:04/04/17 16:41
青木「青木でいいですよ〜まだ三島サンより自衛官歴短いですし、年下ですし、今回の作業でも色々助けて貰ってますから。あと、綺麗ってありがとうございます・・・」三島「いゃあ、女性には優しく接しなさい、男の常識でしょ」
241 :
専守防衛さん:04/04/17 16:49
隣にいるWAC白山3曹(29才、体格にも貫禄あり)「じゃあ三島くん私にも優しくしてくれる?今日は酔いすぎたのよ、オンブして隊舎まで連れてって」三島「え!俺も酔ってますから〜」白山「コーラで?」三島「あっ!しまった?」こんな調子で盛り上がっている
242 :
専守防衛さん:04/04/17 16:55
青木3曹・・・ 本名青木治美 現在21才 彼氏いない歴 そろそろ一年 性格 奥手で人見知りするタイプ こんな青木が初めて彼氏を作ったのが通信学校の陸候後期教育だった 彼氏は北海道の部隊である 教育が終わるとともに彼は青木からさって行った
243 :
専守防衛さん:04/04/17 16:58
3曹になったと同時に通信大隊より司令部勤務となった 半ば彼に捨てられたと言う感もあり、男ぎらいになりかけていた時の司令部勤務はよかった まわりはおじさんばかりで変に言いよう人も無い 気持ちは寂しくなってはいたが・・・
244 :
専守防衛さん:04/04/17 17:04
そんな中、三島と知り合った 自衛隊以外の話題も豊富で楽しませてくれる そして以外に仕事も出来る そして優しい 三島も気にいっているようだ? 飲みが終わりWAC隊へ帰る途中 白山が「青木〜、三島君を結構意識してるんじゃない〜?」と聞いてきた
245 :
専守防衛さん:04/04/17 17:11
青木は顔が赤くなるのに気づいた と言っても暗いし酒も入ってるのでバレはしないだろう。しかし白山は変化を見逃さなかった「図星見たいだね携帯の番号は聞いた?」「いえ、まだです」 白山はニコッと笑って「ハイこれ、隊舎行ったらかけてあげな」
246 :
専守防衛さん:04/04/17 17:57
青木はすかさず三島に電話をした 今までの色々の話をした。青木には三島が頼もしい年上の男に見えた。「明日一緒にご飯でも、えと、外出出来るんですよね?」 三島「出来るよ、それじゃ、明日は青木さん、三島さんで」次の日二人きり外出をした・・・
247 :
スキップ・ビート:04/04/21 19:33
番外編・外出
「やっぱオレは<人狼>が一番好きだね!」ここは娑婆のとあるスターバックス。三島はコーヒーを
飲みながら言った。「あ、三島サンもですか!?私もあれ好きなんですよォ」青木はアニメが好きな
女の子であった。偶然にも三島の趣味と一致している。映画の話から発展したのであった。二人とも
暗い話がお好みの様だ。「あのラストシーンは良かったなァ・・・」しみじみと三島は言いながらチ
ーズケーキをつついた。「三島士長ってなんか可愛いですね。お酒は飲めないし煙草は吸わないし。
パチンコとかもやらないンですもんね〜あ、あと甘いモノも好きだし!なんか普通科っぽくないです
よね。女の子みたい!」人見知りする青木としては珍しく饒舌である。「女の子かァ〜!そう言われ
ると複雑だな〜。まァ普通科っぽくないってのはよく言われるケドね」三島も久々にマニアックな話
が出来て嬉しそうだ。「でもこのスタバのチーズケーキとスターバックス・ラテの組み合わせはオレ
の中では最強なンだよね!」カロリーは高いがいい雰囲気である。パっと見はとても自衛官のカップ
ルには見えなかった。青木が言う「前に付き合ってたカレとは映画の話なんて出来なかったから、な
んか凄く嬉しいです。周りにも話が合う人があんまりいなくて・・・なんだか似たもの同士って感じ
がします!」三島は少し真面目な表情で言った「鏡は悟りの具にあらず。迷いの具なり・・だぜ?」
「あ〜!<イノセンス>ですね〜!!」なかなかイイ感じである。こうして二人の初めての外出はマ
二アックな会話が続くのであった・・・。
外出編・不定期につづく・・・
248 :
専守防衛さん:04/04/21 20:56
「では、行ってくるよ」中隊長は岡野2曹は師団記念日参加の為、記念日前日に司令部に向け出発した。帰りは三島を連れて帰る。「あいつは問題なくやってるかな?」と中隊長 岡野は「大丈夫じゃないですか?」と気楽そうである
249 :
専守防衛さん:04/04/21 21:13
「終わった〜!」田浦は予備自訓練の書類をすべて終わらせた。時計を見ると午後九時 明後日から予備自の召集訓練受け持ち中隊 中隊として初めてである。「明日が師団記念日、明後日から召集訓練 ばたばただなぁ」と一人言を呟く・・・
250 :
専守防衛さん:04/04/21 21:21
師団記念の日 中隊長は式典に参加しDr岡野2曹は三島が泊まる外来へと車を走らせていた 「三島〜迎えに来たぞ」「・・・」三島はいない 「なんだよ、今日は作業無いって言ってたのに!」無駄足だったが荷物がまとまっているので、外来駐車場で待つ事にした
251 :
専守防衛さん:04/04/21 21:25
しばらくして・・・「三島さん、あの・・・その・・・」女の声が聞こえる 岡野は(ん!三島さん?)窓から外を覗いてみる 立っていたのは、三島と制服姿のワックである (に、してもただならぬ感じだな)岡野は出るに出れず困っていた
252 :
専守防衛さん:04/04/21 21:31
「ん?どしたの?青木ちゃん」 「あの・その」この表情を見て告白だなと三島は思った、岡野もそう感じていた。岡野は気まずくなり(出るに出れない・・・)三島の気持ちは・・・後で語られる話である。その時ピリリ〜 携帯がなった
253 :
専守防衛さん:04/04/21 22:09
「中隊長です、岡野2曹、三島は捕まった?式典、会食も終わって帰れるんだ、迎え来てくれ〜」と、電話の音に三島と青木も反応し、「あっ、岡野班長」と三島 青木は少しがっくりしている 「おっ、三島」と岡野はとっさに眠い顔をした
254 :
専守防衛さん:04/04/21 22:15
「いゃ〜よく寝たよ〜ふぁ〜」といかにも寝起きを装う岡野 「三島、準備はいいか。荷物、車に運ぶぞ!もう、中隊長が帰るって言ってるんだ」「了解!荷物まとまってます」と荷物搬入が始まった
255 :
専守防衛さん:04/04/21 22:25
その夜 「じゃあ、告白する瞬間に三島は帰ったわけ?」と白山 青木は少し元気なさそうに「いえ、チャンスはあったんです、ただ、なかなか言えなくて」落ち込んだ青木を見て「よし、今日は飲むよ!」と白山女二人、夜の酒場へと足を運んだ こうして師団記念日は無事幕をとじた
256 :
専守防衛さん:04/04/22 06:59
面白い。
257 :
専守防衛さん:04/04/24 00:29
「どいつもこいつも」思い出した。
イイ!!
258 :
専守防衛さん:04/04/24 08:55
(・∀・)イイ!
ほしゅ
260 :
専守防衛さん:04/04/27 18:25
続きを頼む
261 :
まいにちWACわく!その78:04/04/29 20:07
「よ、おかえり」師団司令部から帰ってきた井上3曹に声をかけたのは田浦3曹だった「どうだった?売られた先は」
「ん〜まぁいつも通りやな。それより…」いつになく真剣な顔をする「赤城がウチに来るんやって?マジな話なんか?」
「あぁ、こないだ…」事務所であった近藤曹長と神野1曹の話をする「…というわけでな、営内班長も神野1曹に変わったぞ。オレが補助に付くのは変わらないんだけどな」
「そんな事があったんや…」井上3曹はそうつぶやき頭を掻く「あれ?反応薄いな〜てっきり『オレが班長になって、夜の個別指導をやったるわ〜!』とか言うと思ったのに」
「あのなぁ…」ちょっとあきれ顔だ「オレがそんな風に見えるかぁ?」「見えるけどな」きっぱり断言する田浦3曹
場所を自販機前のベンチに移す
「そりゃWACが来るってなったら冗談でも『ウチに来んかな〜?』とか思うわなぁ。でもマジで来るってなるやろ?こっちの訓練や仕事に絡んでくるんやから真剣になるわな」
「真剣に考えてるのか?」「そりゃあなぁ…」コーヒーを一口飲む
「例えばトイレは?寝るとこは?どこまでの事ができるんや?生理とかもあるやろ?問題点は山積みやぞ。そこまで考えとるんかいなぁ、ウチのボンボン小隊長は…」
「悲観視しすぎじゃないか?あの子の能力は高いぞ」「能力だけの問題や無いと思うが…ま、命令なら従うんやけどな」空になった缶を投げ捨てる
「とにかくあの子の部隊通信が終わってからやろ。いつもの事やけど様子見するわ」「そうしてくれ、考えすぎは健康によくないぞ」
262 :
まいにちWACわく!その79:04/04/29 20:08
クラブ「一番星」では3小隊のメンバーが6人ほど集まって飲み会を開いている
「いやいや、予備自が終わってホッとするよ。あいつらの射撃訓練に付き合うのは命がけだからな〜」そうぼやくのは3小隊のbRである片桐2曹だ
片桐2曹は39才、3小隊の中で最年長である
「そんなに危険なの?」そう聞くのは佐々木3尉だ「危ないですよ〜弾を装填した銃を右に左に振り回すわ、安全装置をかけずに銃を肩から外すわで…」
「ま、お疲れ様だね」そう言ってビールを注ぐのは神野1曹だ
「ホントに元自ですかね?危ないなぁ」と呆れるのは鈴木士長だ
レンジャー鈴木士長は現在陸曹候補生を目指して猛勉強中である
「ま、頭数合わせだからな」たこ焼きを突くのは小野3曹、体育学校でレスリングをしてた経験があり、そのせいか丸太のような腕をしている。そのパワーを生かして小隊では「不朽の無反動砲手」で通っている
「は〜危ないさぁ、そんな人らに援護射撃とか頼みたくないなぁ」そうつぶやくのは具志堅士長だ
沖縄出身の具志堅士長は母親が米軍の黒人とのハーフだったらしく、少し浅黒い肌をしている。名前通り(?)ボクシングでインターハイ出場の経験がある
「ところでだ、例の件はもう聞いたかな?」佐々木3尉が口を開く。「例の件」とはもちろん赤城1士の事だ
「何させるんですか?」と聞くのは片桐2曹「無反動の副砲手?使えるかなぁ…」とは小野3曹だ「いや、通信手じゃないかなぁ〜」とは具志堅士長だ
「具志堅、当たりだ。当初は小隊長通信手で使う予定だ」と神野1曹が言った「具志堅もついに班復帰だな〜」鈴木士長が嬉しそうに言う
「しかし使えるのかね?俺達全員WACと一緒に演習なんて経験無いぞ」そう心配するのは片桐2曹だ。陸士時代が長かったために年の割には階級が低いが、よく上の二人を立ててサポート役に徹している
みんな同様に考え込んだ顔をしている、普段は馬鹿話をしていてもやはり現実問題となると扱いが変わるようだ
「まぁ、まずは彼女の部隊通信教育が終わってからだな。それにクーリングオフも効くから心配すんなや!」少々たとえは悪いが神野1曹がこう言ってまとめる
しかし顔には出さないが、一番不安なのはその神野1曹であった(ホントにうまくいくんだろうか…)
263 :
まいにちWACわく!その80:04/04/29 20:08
中隊でのそんなこんなの心配をよそに、赤城1士の部隊通信教育は順調にそのカリキュラムをこなしていく
そして3月頭、教育の最後を飾る「総合野営」が始まった
「…と言っても1夜2日なんだがな。最初の日の午前中に移動、午前〜午後にかけて無線傍受、午後から有線構成、晩に断線状況、翌朝に小銃中隊の突撃に合わせた追随構成、そして状況終わりだな」
そう説明するのは通信小隊の金田3曹、聞いてるのは田浦3曹だ「結構本格的じゃないか?」「だから各中隊から支援を貰うんだよ」
最後の追随構成のために2コ小銃班、そして食事等の管理要員で各中隊から支援人員が出ているのだ
「ウチからは小銃班に5名、管理にオレを含めて2名来てるよ。そうそう、井上もいるぞ」「アイツが?うるさいんだよなぁ…」
田浦3曹と金田3曹、そして井上3曹は陸曹候補生同期である「まぁまぁどうせ明日までなんだからさ」
車で2時間ほどかかって近くの演習場に到着した。管理要員は廠舎に泊まれるようになっているので、田浦3曹たちはさっそく荷物の卸下を始める
「じゃ、オレは学生どもを見てくるわ」そう言って金田3曹は学生たちの所に向かった
264 :
まいにちWACわく!その81:04/04/29 20:10
『…こちら00、電あり筆記用意、送れ』無線機から流れる電報に学生たちは耳をそばだてている。12名の学生はそれぞれ4人ずつ3コ班に分かれて、各組ごと行動している
「こちら02、001の電了解終わり」電報を取り終わり各班に付いている助教に電報用紙を渡す「できました、金田助教」そう言ったのは赤城1士だった
「ん、貰おうか」そういって用紙を受け取る。武闘派でもやはり女の子、丸っこい字が少しかわいい感じがした「よし、次は1430から有線構成!159とリールの27を用意しておくように」
「はい!」学生たちが返事する「それまで食事。レーションはおいしくないがちゃんと食べておけよ」
「…けっこう早口だったよな?」「いや、あれくらいなら…」「雑音が多くて…」食事をしながらさっきの電報の件を話している
赤城1士を含む「第2班」は、本管の情報小隊の若手3曹である冬木3曹、通信小隊の新兵である森1士、そして山崎士長と赤城1士である
「まずは159の徒歩構成か、最初が一番キツいのって運がいいな」そうニヤッと笑うのは冬木3曹だ「あとがキツい方がいやだからな」
レンジャー助教でもある冬木3曹には1夜2日の状況など屁でもないようだ
「次は車両構成かJDR−8(小型のドラム)の徒歩構成ですね」そうつぶやくのは森1士、大卒で補士として入隊した彼はちょっと線が細く頼りなく見える
「…あんまりおいしくないなぁ」そうぼやきつつレーションを平らげたのは山崎士長だ
「…どうした赤城?元気ないな」普段は明るく元気な赤城1士だが、今日に限ってはなぜか普段より無口だ。それを心配してか冬木3曹が尋ねる
「いえ、大丈夫です」そういう口調にも元気があまり感じられない「ホントか?無理はするなよ」釈然としない顔をしながらもねぎらいの言葉をかける
その様子を見ていた森1士は、小便と称して金田3曹と冬木3曹を人気のないところに誘い出した
265 :
まいにちWACわく!その82:04/04/29 20:12
「彼女、生理じゃないですか?」森1士は開口一番ズバリと言い放った「…そうなのか?」「そうかもしれんな、でもどうしてそう思う?」金田3曹と冬木3曹が尋ねる
「全くのカンですが…僕の彼女も生理の時はあんな感じなんです」
「だが今まであの子がそんな風になったのは見た事無いぞ?」
「山ですし、今日は特に冷えますから」「う〜ん…」そう言って二人の陸曹は押し黙る
「確か衛生のWACが救護員で来てたよな?中森だったかな?」と金田3曹が思いついたように言う「そうですね、一応言っておいたほうが…」と冬木3曹も同意する
「冬木、言ってきてくれ」「え〜オレですか?やっぱり助教の口から言った方が…」「そんな女の子の前で『生理』だなんて…」意外とシャイな金田3曹
「あの子なら経験豊富そうだから大丈夫でしょ」とは森1士の弁だ「じゃあ森、言ってきてくれ。彼女とは同期だろ?」「…まぁいいっすよ、じゃあ言ってきます」
廠舎の救護所には衛生小隊の陸曹と中森1士がいた「姐さん、ちょっと…」同期の間から「姐さん」のあだ名で呼ばれている中森1士であった
「どしたの?」「いや、ウチの班の赤城が…どうも生理みたいでしんどそうなんだよ。でさ、様子を見ておいてもらえないかな〜と金田3曹が言ってたんだよ」
「そうなの?わかったわよ、まぁでもあの子は生理軽いからそんなに心配しなくてもいいわよ」あっさりと答える中森1士「そう?こればっかりは男にはわからないからね」照れたように頭を掻く森1士
「辛いわよ〜味わわせてやりたいわ」そう言ってニヤッと笑う中森1士であった
266 :
専守防衛さん:04/05/01 17:25
素晴らしい!
267 :
◆BVEsk6CQSs :04/05/01 18:37
思わず読み込んじゃいました。続きが気になる。
んでもってとっても勉強になります
268 :
まいにちWACわく!その83:04/05/02 02:09
2班の有線構成が始まった。冬木3曹と森1士で159ドラムを持って森の中を歩いていく。その後から付いてくるのは山崎士長と赤城1士だ
(あいたた…お腹痛いなぁ)そう思いつつ有線を縛着していく赤城1士、やはり森1士の予測通り生理中のようだ。傍目から見ても動きがよくないのがわかるらしい
「よし、半分来たな。じゃあ交代だ」金田3曹が指示を出す「山崎と赤城、ドラムを持って前進だ。…赤城?いけるか?」心配そうに聞く金田3曹
「ハイ、いけます!」キッパリと言う赤城1士だが、やはり金田3曹には不安のようだ「無理はするなよ」と声をかける
(意地になってるのかな?危ない兆候だな…)
カラカラカラ…冬の静かな森の中をドラムが回転する音がこだまする、雪こそ無いがやはりかなりの冷え込みだ。みんな着込んでいるので動きにくそうだ
山崎士長と赤城1士は身長差もあまり無く、二人でうまい具合にドラムを保持している。だが…「…わぁ!」赤城1士が足を滑らせた拍子に山崎士長がドラムを落としてしまった
「あぁ、ゴメン!」「…いえ…」やはりちょっと不機嫌なようだ
そんなこんなで徒歩構成が終了、電話機を使い交換に連絡する「…次はJDR−8だ、いったん戻るぞ」連絡を終えた冬木3曹が班員を引き連れていく
一人で持てるドラムJDR−8はその構成距離も短く、その分構成時間もあっという間に終わる。そして最後の「車両構成」までの間に休憩する事となった
269 :
まいにちWACわく!その84:04/05/02 02:10
「ふぅ…」廠舎近くに設置された交換所に帰ってきて、さっそく一服つける森1士「あと一本か〜楽勝だね!」と明るく言う「そうだね…」やはり元気のない赤城1士
そんな時、左手に赤十字腕章を巻いた中森1士が通りかかった「やってますね!差し入れですよ」そう言って冬木3曹に乾燥梅肉を手渡す
そして道ばたの石に座っている赤城1士の隣にやってきた。そして顔を一目見るなり「何日目?」と小声で尋ねた
「3日目…だからあと少しだよ」そう答える赤城1士「無理しちゃダメよ、あとあと班のみんなに苦労をかける結果になるんだから」そう諭す中森1士。確かに症状が悪化して後送することになれば、同じ班員が迷惑するだろう
「引くのも任務のウチよ」「うん、でも大丈夫!ホントにダメになったらちゃんと言うから…」
通信小隊の1t半が帰ってきて、いよいよ車両構成の時間だ。荷台に固定してあるリールに159ドラムを乗せて、いよいよ構成が始まった
「今回も役割分担は交代する。車に乗ってドラムの速さの調整をするブレーキ手と、車の後を走り有線を縛着する縛着手だ」そう金田3曹がいい、まずは山崎士長がブレーキ手をする事となった
車は小走り程度のスピードで進んでいく。ドライバーは通信小隊のベテラン陸士だ
3人は道ばたの木や電柱、草などに次々と縛着していく。慣れてないとすぐに車に置いて行かれるため、かなり素早い動作が要求される
「ん?」車のすぐ後を走る冬木3曹が後方を振り返る、すぐ近くに森1士が有線を縛着している「赤城は…?」少し離されているようだ
「ドライバー、スピード落とせ」車に同乗していた金田3曹が声をかけると、1t半は歩くスピードくらいまで速度を落とした
そうして赤城1士が追いついてきた「やっぱりしんどいのか?いつもならこれくらいは楽勝だろ?」「すみません、ちょっと遅れて…」少し息が荒い
「着込みすぎじゃないか?そんなに寒いか?」外被の上からでもわかる着込みようだ「あんまり着込むと動きが鈍くなるぞ。そろそろ交代だしブレーキ手に付きな」金田3曹が声をかける
「まだ大丈夫…」「いや、完全にバテる前に休んだ方がいい。回復が遅れるからな」そう冬木3曹が言い山崎士長を引きずりおろす
「…」確かに冬木3曹の言うとおりだ、内心悔しいが仕方なく車に乗る赤城1士だった…
270 :
まいにちWACわく!その85:04/05/02 02:12
学生たちが廠舎近くに業務用天幕1号を建てる、通称インディアンテントとも言われかなりの人数が宿泊可能だ
当初は「赤城は別に…」という案だったが、本人の希望により同じ天幕に泊まる事となった
「ま、どっちにしろ服も脱がないし、オレも泊まるしな」廠舎で食事を取るのは金田3曹、田浦3曹、そして井上3曹だ
「夜中に状況作るんやって?」そう聞くのは井上3曹だ「この寒いのに…」
「そうでないと訓練にならないだろ?でも赤城は体調悪そうだったなぁ…さっきもメシをあんまり食べなかったみたいだしな」と田浦3曹「せっかく腕によりをかけて作ったのに…」
「生理らしいんだ、女にしかわからん辛さだからどうしようもないんでな」と金田3曹「そうなのか?」「それはしんどそうやなぁ」
「あまり無理はさせたくないんだが、本人にも意地があるからな」「そりゃあこの状況で泣きは入れれんわなぁ」井上3曹が同意する
「まぁ何とか明日の朝までもってくれればいいんだがな、じゃあオレは行くよ」そう言って席を立つ金田3曹
「心配通りやったなぁ。ホントにウチに入れて大丈夫なんやろか?」「珍しく心配性だな、まずは挑戦あるのみだろ?『誠実・真剣・挑戦』さ!」新しく作られた「誇り高き陸上自衛官の心得」を引用する田浦3曹
「『真剣』やない『献身』やろ?大丈夫か訓練陸曹…」突っ込む井上3曹だった
天幕内はストーブの熱気で少し暑いくらいだった。日没まで構成しててクタクタの学生は、もう全員が熟睡している。明日は5時に起きて追随構成の準備に入る予定だ
12時を少しすぎた頃、「ピーッ」と天幕に笛の音が響いた
271 :
まいにちWACわく!その86:04/05/02 02:13
「起床!」そう言って金田3曹はみんなを起こす
「たった今、有線が切断された。これから各班で断線箇所を発見、修復をせよ。早くしないと寝る時間が削られるからな!」
2班は最初に森の中を張った線が切られたようだ。冬木3曹と森1士が構成先から、山崎士長と赤城1士が交換所から断線箇所を手探りで探していく
「線を引っ張って手応えがなかったら断線を疑うんだぞ、明かりはあまり使うなよ」と金田3曹。ただ今日は月が満月に近く、葉っぱの少ない森の中は想像以上に明るかった
二人は無言で有線を手でもって探っていく、赤城1士が先行し山崎士長は後からついて行っている。そして…「あれ?」赤城1士は小さく声を上げた
目の前には冬木3曹がいた「無かったですか?」そう尋ねる「あぁ、そっちも?」どっちも断線箇所がないまま合流してしまった。とその時「あったよ〜」と言う声が赤城1士の後から聞こえた
「ほら、ここだよここ」そう言う山崎士長の持つ手には、確かに切れた有線があった「…見逃してました」顔を赤く染めて赤城1士が言う
「まぁまぁ、そのためのバディーだから。さてチェックするか…」そう言って冬木3曹は電話機を繋ぎ交換所へチェックの電話を入れた。断線が1カ所なのを確認後に接続、これが手順だからだ
青のフィルターで弱められた懐中電灯の明かりを頼りに接続を終わらせて2班は天幕に帰ってきた。どうやら一番乗りのようだ
「一番に見つけたんだから上出来だよ、さぁ明日も早いから寝ようか」そう言って冬木3曹は横になり、5秒後にいびきをかき始めた
そんな中赤城1士だけが、少し悔しそうな顔をして毛布をかぶっていた…
272 :
まいにちWACわく!その87:04/05/02 02:14
翌朝5時…追随構成の準備のため、学生たちは全員起床した。3班を2つに分けて他の班に合流させ、1コ班6名編成となった
攻撃発揮位置には支援要員が準備を完了していた「0630攻撃開始、各班は中隊長から離れないように!」中隊長役の陸曹は鉄帽にしろテープを巻いている
「おはよう赤城、よう寝たか?」声をかけてきたのは井上3曹だ「少し…」小さな声で答える
「そっか、置いてかれんように着いてくるんやで?」そう言って井上3曹は前に走っていった
0630…日が上がり始め、やっと人の顔が判別できる明るさになってきた「攻撃開始!」中隊長役の陸曹が指示を出し、各隊員は道路沿いの林に沿って進んでいく
攻撃目標は小高い丘の上にあるトーチカで、2コ班が西と北から攻撃をかけるシナリオである。仮設敵も数名準備されており、陣地を構えて待機している
「前方に機関銃陣地!これ以上前には進めません!」前方に出ていた班員が中隊長の所まで報告にくる「よし、射撃支援を依頼しよう」そう言って電話機を取る。傍らには肩で息をする冬木3曹と森1士の姿があった
赤城1士はどうやら遅れているようだ、支援射撃中に追いついてきた
「大丈夫か?」冬木3曹が聞く「はい、行けます!」そうは言うが息が激しくなっている「まぁとにかく少し休みな」班員たちはそれぞれ警戒に付き息を整える
「突撃支援射撃終了5秒前…3,2,1,今!」そう中隊長が叫び、各隊員がトーチカに向かって突入していく
「よし、行くぞ!」冬木3曹が言いドラムを持つ、班員たちも立ち上がり走り始める
トーチカまでは少し急な原っぱで、もう有線を縛着していく必要はない。冬木3曹たちを援護する形で班員は坂道を駆け上がる…二人遅れが出ている、山崎士長と赤城1士だ
「ほら、行け行け!」後から追い立てるのは金田3曹だ、攻撃開始以来妙にハイテンションである
有線が追いついた時には、各隊員がトーチカを占拠し全周警戒の配置に付いていた。さっそく電話機をつなげ中隊長に差し出す
「こちら中隊長、トーチカ占拠しました!」と報告、なにやら指示を受けている。そして電話機を置いた中隊長は「状況終わり!」と嬉しそうに叫んだ
273 :
まいにちWACわく!その88:04/05/02 02:15
「よ〜し状況終わり、各人武器装具の点検!」金田3曹が2班の班員を集め指示を出す
特に以上もなく電話機を使い金田3曹が報告する、そして「30分休憩したのち有線の撤収にかかる、それまで休んでおくように」と班員たちに指示を出す
「ふ〜終わった終わった…」冬木3曹が腰を下ろす「いやいや、状況開始はこれからですよ。撤収のね」とは森1士の弁だ
赤城1士は木にもたれかかりため息をつく「どうしたんや?」そこに声をかけてきたのは井上3曹だ
「いえ、ちょっと疲れました…」珍しく弱音を吐く赤城1士「相当堪えたみたいやな、これからもきついぞ〜ついてこれるか?」「…やるしかないです!」少し意地になったように答える
「ま、ボチボチ頑張り〜な」そう言って井上3曹は立ち去っていった…
有線の撤収が終わり、演習場を出発したのは14時を少し回った頃だった。中隊の高機動車を運転するのは田浦3曹、横には井上3曹だ
「やっと帰れる…でも帰ったらまた書類が山積みなんだよなぁ」そうぼやく田浦3曹であった
「…」井上3曹が珍しく押し黙っている「どうした?」田浦3曹が尋ねる
「不安材料が残ってもうたな」「ん?彼女の事か?もっと前向きに考えたらどうだ?初の状況で緊張してたからとかさ」
「でもなぁ…こればっかりはどうしようもないやろ?体力云々の話やないからなぁ…」そう言って前を走る1t半を見る。そこには荷台で熟睡している赤城1士の姿があった…
274 :
まいにちWACわく!その89:04/05/02 02:36
「疲れた…」駐屯地に帰ってきて終礼が終わり、営内班のベッドに倒れこんだ赤城1士はそう一言つぶやいた
「あら、お疲れね?」そう言うのは中村3曹だ「そんなにハードだった?」
「いえ、彼女『あの日』だったので…」そう言うのは中森1士だ。心配で部屋まで見に来たようだ
「そうだったの?」尋ねる中村3曹「…弱いところを見せちゃいました〜」泣き言を言う赤城1士「情けないとこ見せちゃったなぁ…」
中村3曹が頭をひねる「そう?気にすることないわよ」顔を起こし赤城1士がきょとんとした顔をする「そうですか?」
「そうよ、体に何かハンデのある人なんか自衛隊にはたくさんいるんだから」「?」「例えば…中隊に腰を痛めてる人っていない?」
身を起こし考える赤城1士「そういえばいますね。よく訓練なんかも免除されてる人も…」「でしょ?あとは膝とか首とかね。そういう人たちと私たちが生理になるのってどこが違うのかな?」
考えた顔をする赤城1士、さらに続ける中村3曹「赤城はちゃんと最後まで訓練をやり遂げたんだから、最初から何もしない人たちに比べたらはるかにマシよ。自信持ちなさい!」そういって肩をたたく
「…ハイ!」少し元気が戻った赤城1士であった
275 :
専守防衛さん:04/05/02 09:51
池袋に中隊本部って名前のラーメン屋あるYO!
略して中本。。。
276 :
専守防衛さん:04/05/02 23:10
277 :
専守防衛さん:04/05/04 01:41
夜の中隊本部編 田浦3曹は下宿として、使用するコーポアミバ(月四万円)205室でテレビをみながら一人、ビールを飲んでいた (思えば、俺が訓練B、上番してから、大変な事が多いなぁ)などと考えながら TVではエンターの殿様と言う若手芸人が腕を競う番組をやっている
278 :
専守防衛さん:04/05/04 01:47
最近、流行の元プロレスラー ダッチャ石末の伝説パァト21(歌はかま)のカスタネット漫談も終わりになった時、中隊の先任 補給 通信の各陸曹より電話が来た 内容は 今から一緒に飲むぞ と言う内容だった
279 :
専守防衛さん:04/05/04 13:16
田浦は飲む誘いを断った そして・・・ 夜が明けた 夜の中隊本部編 完 引き続き本編をお楽しみ下さい
280 :
まいにちWACわく!その90:04/05/05 12:32
そんなこんなで3月下旬、山崎士長と赤城1士の部隊通信は無事終了「特技認定通知、初級部隊通信553…」人事の倉田曹長が二人のジャケットに書き込む
「無事終わりましたね」と田浦3曹「これからが大変だろうなぁ…」と先任「ま、とりあえずは来月からだな」
3月下旬の定期異動。運幹の森永1尉ほか10名が転出、幹部1名を含む7名が転入してきた。任期満了退職は4名「−14の+7だから…トータルで−7だな、戦力減だな…」と頭を抱えるのは先任だ
「運幹は岬2尉が付くんですね、新しく来た石田2尉が2小隊長か…」と田浦3曹「何にせよ東野がいなくなったのはきついな」とぼやくのは訓練Aの中島1曹だ
補給の東野1曹は「楽隠居」の夢が叶い業務隊へ転属となった「でもあの人の事だから、楽隠居はできないでしょうね」と田浦3曹
そして3月末のある日の終礼…「4月1日昇任者の紹介を行います」先任が言い赤城1士を含む数名が前に出てきた。中隊長が一人一人に階級章を手渡す
「曹学や補士は一般隊員より早く昇任する、それだけに責任も重大だ。これからも精進するように!」と中隊長が締めくくる
そして終礼後…「よっ赤城士長!」田浦3曹が声をかける「明日付けですけどね〜」ちょっと嬉しそうに答える赤城1士。二人は自販機の前に移動してきた
「襟にマークがあるから曹学ってのはわかるけど、それでも士長になったんだから責任も増えてくるよ」「そうですね〜でも満期金は無いんですよね」そう言って苦笑いする
「その代わり昇任が約束されてるから…まぁ一般で入って陸曹になるのが一番おいしいかもしれないけどね。オレがそうだったのさ〜」「いいなぁ…」
「そういやお金は大丈夫?借金とかしてないよね」ちょっと心配になり尋ねる田浦3曹。最近は借金に関する話が厳しくなり、指導も厳重に…との指示も来ている
「大丈夫です、もう貯金も50万くらい貯まりました〜」「そっか、なら安心だな。また通帳とか見せて貰うね」そう言って田浦3曹は缶を捨てて立ち去っていった
281 :
まいにちWACわく!その91:04/05/05 12:36
そして4月1日、新しい年度が始まった。まずは連隊朝礼、そして中隊長の年計、期計の教育だ。連隊朝礼では連隊長が「今年も頑張ろう」と決まり文句を言って終わった
そして中隊の教場で、年計・期計教育が始まった
「まずは年度の大まかな計画を達する」そういってプロジェクターに計画表を映し出す
「今年は秋に他の連隊のCT、そして年明けに方面のYSがある。よって中隊検閲は7月に実施する。知っての通りCTは無い」誰かが小さい声で「やった」とつぶやく
「あとは…中隊検閲は『対遊撃』だ。山中に潜むゲリラの発見・殲滅が任務となる。各人しっかりと錬成するように!」そう言ってパソコンを操作する
「次は細部計画、運幹頼むよ」そう言って岬2尉にバトンタッチする
「この4月から運幹に上番しました岬2尉だ。何かと迷惑をかける事になるかと思うがよろしく」そういって軽く頭を下げる
そして指示棒を持ち説明を始めた
「まずは4月、桜祭りと#1野営だ。#1野営は射撃メインで、LAM・84RR・軽迫の射撃を実施する。それから5月、#2野営は同じく射撃メインだ。行軍から掃討に移る行動を錬成する。6月は連隊の持続走大会、そして演習場整備。合間を縫って中隊錬成野営も実施する」
そしてパソコンを操作する
「7月は中隊検閲の#3野営、8月上旬に軽迫・ATM射撃の#4野営。これは長いぞ、10日くらい富士にこもるからな。9月は他中隊の検閲の#5野営、そして連隊の銃剣道大会…」
そうして来年3月までの予定を説明していく「…以上で終わる、何か質問は?」無いようだ(何人かは寝ているようだ)「よし、ではこれからは各小隊の指導時間とする。15時から駆け足、わかれ!」
282 :
専守防衛さん:04/05/09 08:56
「ところで、毎朝駆け足する話やっぱり消えたな」こう話するのは新補給陸曹の林2曹である 林は3小隊の分隊長から補給についた。支援に来ていた三島は「助かりますよ!林2曹、あまりその話して、また再燃させないでくださいね」
283 :
専守防衛さん:04/05/09 09:03
「若い奴がそんなんでどうするんだ!」と後ろから激が飛ぶ。三島は恐る恐る後ろをみると人事の倉田曹長だった。「いゃ〜すみません」と三島は照れ笑いをしていると「三島、お前、そんなんで、2次は通らないぞ!」
284 :
専守防衛さん:04/05/09 09:12
へっ?とした顔で「2次?候補生のですか?」と三島が聞く。「そうだ、噂だがな、お前今回、凄く点数よかったようだぞ、詳しくは11時に中隊長から話あるから」林が「やったな!」と三島を軽くこつく 三島は呆然としている
285 :
専守防衛さん:04/05/09 09:22
「なんか不満そうな顔してるな?」と林が三島に問うと「いえ、あの、自分、今年度限りの自衛隊生活って思ってたんで、教範一度も開いてなかったんで、驚きすぎました、確かに今回、覚えてた所多くて楽なテストと思ってたんですが。」
286 :
専守防衛さん:04/05/09 09:23
「なんか不満そうな顔してるな?」と林が三島に問うと「いえ、あの、自分、今年度限りの自衛隊生活って思ってたんで、教範一度も開いてなかったんで、驚きすぎました、確かに今回、覚えてた所多くて楽なテストと思ってたんですが。」
287 :
専守防衛さん:04/05/09 09:30
時間になったので中隊長室に行き話を聞いた そこで連隊での順番の発表があったが。三島は二番目だった。周りは驚いているが「俺は一番信じられない」などと、言動が定まらないほど驚いている
288 :
専守防衛さん:04/05/09 09:36
「教練や体力検定錬成は各営内班長にさせて、面接は俺や先任、倉田曹長が面倒見るからな、2次までの2週間全員合格させるつもりでがんがんいくぞ」と気合いの中隊長で早速午後からとりあえずで面接を錬成した
289 :
専守防衛さん:04/05/09 09:46
その日課業終わって 中隊長と先任と倉田と事務所で話をしていた 「今日の面接はどんな感じだった?」と中隊長が聞くと先任と倉田は顔を向き合わせ「三島を鍛え直さなきゃならんすよ・・・」とため息をつく 中隊長が詳しく聞くと内容はこうだった
290 :
専守防衛さん:04/05/09 09:56
「三島以外は、特に問題ないでしょう、なぜ三島が問題。今日した質問に今まで一番記憶にある仕事は?としたんです。そしたらあいつ各支援で過去なら音楽祭り、最近は師団記念日と。また、」今回受かったのは本当に運だけのようで、教範関係の奴は全滅で
291 :
専守防衛さん:04/05/09 10:10
中隊長は納得する。しかし「面接が多少駄目でも体力検・」と口を濁す 「他は文句ない体力自慢が受かってますが、三島だけが見劣りします」と先任 「ひっくり返させない為には?」と聞かれ「外禁、錬成でどこまで・・」と、先任は答える 次の日三島は外禁を告げられた
292 :
まいにちWACわく!その92:04/05/09 12:42
「…?」3科から帰ってきた田浦3曹が事務所に入ろうとしたとき、すれ違いざまに三島士長が出てきた。何か顔にすだれがかかっているような感じで、声を掛け損なった
「どうしたんですか三島は?」事務所に入り中島1曹に聞く「2次が終わるまで外禁だってさ、体力練成だと」
「それは…2週間でどこまで伸びますかね?」「それは…ま、大変だな」先任に目をやり中島1曹は答える。視線の先には文字通り頭を抱えた先任と倉田曹長がいた
「それはともかくウチの仕事だ、まず何があるかな?」そう中島1曹が尋ねる「そうですね、まずは…」そう言って書類の山を引っかき回す
「今週金曜に新隊員の入隊式、同じ日に連隊本部山中准尉の定年退官行事、土曜の晩から駐屯地の一般開放、日曜には桜祭りです」「桜祭りの勤務は?」
書類を読み上げる田浦3曹「増加警衛に…」人数を数える「さすがに接遇はありませんね」赤城士長はもう接遇には使わない方針のようだ
「2次受験要員とかも外さないとな」頭をかく中島1曹「三島は使えませんね」
「あとは中隊の焼鳥屋か…調理要員は?」「オレだよ!」そう言ったのは高木2曹「もう菌検索は終わってるよ、インフルエンザは出なかったよ〜」「縁起でもない…」と呆れたのは田浦3曹だ
「おいおい…中隊予算がかかってるんだ、コピー代も欲しいからしっかり売ってくれよ?」とは中島1曹だ
書類が多いためコピー機を支給される海空に比べ、陸上自衛隊の大部分の部隊はコピー代を中隊隊員から集めている。「私物パソコンの管理」と並ぶ悪習の一つだが、改善される予兆すらない
そして15時になった。体力の衰えが気になる田浦3曹は(今年度はできるだけ走るようにしよう)とジャージに着替えて隊舎前に出てきた。すると…
「おや、田浦3曹も走るの?」佐々木3尉と3小隊の面々が輪になって準備体操していた「一緒に走ろうや〜」と声をかけてきたのは井上3曹だ。赤城士長も一緒に体操している
(断る理由は無いな)そう思い田浦3曹は体操の輪に入った
293 :
まいにちWACわく!その93:04/05/09 12:43
駐屯地の周り、駆け足コースをゆっくり走る。持続走要員の若い連中が何人かピッチを上げて走り去るのを横目に、佐々木3尉たち主要メンバーはペースを崩さずに走る
「あ〜しんどい、訓練に上番以来サボってたからなぁ…」少し息を荒げ田浦3曹がつぶやく「言い訳やな〜」と横を走る井上3曹が言う
「ハァ…赤城、どうだい3小隊は?…ハァ、ハァ…大丈夫か?」「今の田浦3曹よりは大丈夫かと…」苦笑いして赤城士長が答える。少し汗をかいているが、まだまだ余裕のようだ
「次の野営でLAMの射手になったんだよな?」横から片桐2曹が声をかける「3小隊割り当ての…ハァ…演習弾ですか?」そう答える田浦3曹「まだ実弾には早いだろう」とは佐々木3尉だ
「縮射弾はありますけど、実弾は初めてです!」嬉しそうに言う赤城士長「一回撃てば充分、2度撃ちたい代物じゃないな」と小野3曹、毎回84RRを撃っている小野3曹はもう飽きているようだ
「ハァ…的に当てたら何か…ハァ…おごるよ」「ホンマか?オレも撃つんや〜しかも対戦車りゅう弾」とは井上3曹だ「陸曹は…ハァ…除外!」呼吸を乱しつつ力強く答える
「よし、ペース落として〜」神野1曹が声をかけ、全員ペースを落としてサーキット場に入る。整理体操を具志堅士長の統制で終わらせて、各人の筋トレとなった
鉄棒にぶら下がり懸垂をする田浦3曹、みんな思い思いの場所で体を動かしている。腹筋をしている赤城士長に、体の大きい若い隊員が声をかけている「よう、赤城!」「おや、喜一ちゃん元気?」
曹学同期の情報小隊・後藤士長のようだ「なんやデカいヤツやな〜」「彼が後藤士長か…噂通りデカいな」と井上3曹と田浦3曹がひそひそと会話する
294 :
まいにちWACわく!その94:04/05/09 13:10
やはり同期には普段見せない顔をする、なにやら楽しそうに話す赤城士長と後藤士長「…中隊はどう…」「次の演習に…」
それを見ている田浦3曹に井上3曹「やっぱり同期の絆だな」「俺たちみたいやなぁ」「…それはどうだろう?」
サーキット場ではどこから持ってきたのか、神野1曹がパンチンググローブを持って具志堅士長のパンチを受けている
さすがに元インハイ出場は伊達ではなく、鋭いパンチを何発も繰り出している
「やるかい、赤城?」神野1曹が見ていた赤城士長に声をかける「じゃ、少しだけ…」そういって神野1曹の前に立つ「お手並み拝見だな」
パン!といい音が鳴り響く、空手らしく直線の突きが多い。軽やかに左右に動き、何発もの突きをグローブに叩き込んでいる
「…ほ〜」「意外といい動きだな」「なかなか…」傍から見ている3小隊や他の中隊の面々が感心している
「すごいね、うかつに手を出すなよ?」田浦3曹が隣に立つ井上3曹に言う「俺はああいう野蛮なことはせんからなぁ」そう答える井上3曹
「なかなかやるじゃないか」感心したように言う神野1曹「喜一ちゃんもすごいんですよ」そう言って近くで見てた後藤士長を呼ぶ
「おぅ、でかいな…君が後藤士長か、やってくかい?」「どうも、よろしくです」そう言って後藤士長もパンチを繰り出す。体格が大きいため、一発一発が重たそうだ
「よし、もういいだろう?手が痛いよ」苦笑いして神野1曹が言う「やるね〜君もボクシングを?」そう言ってきたのは具志堅士長だ
「いえ、総合格闘技の方で…」「じゃあレスリングとかもするのか?」そう聞いてきたのは小野3曹だ
「いやいや、やっぱり拳法だろう…」と横から口を挟むのは佐々木3尉だ。そうして格闘技経験者たちの格闘談義が始まった
「つきあってられへんな、先上がるわ」そう言って立ち去る井上3曹「俺も上がるよ」と田浦3曹も後から付いていく
「井上は格闘技経験は?」田浦3曹が聞く「あらへん、スポーツもろくにしてへんからな」
「普通科には珍しいな」「ええねん、俺にはこれがあるから」そう言って右手人差し指を曲げる「射撃だけが俺の技や、これだけは負けるわけにはいかへんからな」
「そうか、技が無い俺よりはましだよ…じゃあな」そう言って部屋に帰る田浦3曹と井上3曹であった
295 :
まいにちWACわく!その94:04/05/09 13:41
「宣誓!われわれは…」体育館で新隊員たちが宣誓を読み上げていく。今日は4月隊員の入隊式だ
桜も咲き晴天に恵まれたこの日から、彼らの地獄の日々(大げさ)が始まるのだ
「でももう2名辞めたらしいですよ」入隊式が終わって事務所に帰ってきた田浦3曹が言った「最近はすぐに辞めさせるからな、いいことなんだか…」と先任
「今日は13時から山中准尉の定年退官行事、集合は1250です」田浦3曹が先任に伝える「そうか…山中さんもついに退官か…」
駐屯地メインストリートの桜並木は、ほぼ9分咲きの桜で鮮やかに染まっていた。道路の両端に各中隊が一列に並んでいる
「これは…何するんですか?」赤城士長が隣の田浦3曹に聞く「定年退官者の見送りだよ、いい日に定年になったな〜」桜を見上げながら田浦3曹が答える
駐屯地のスピーカーから「蛍の光」が流れ始め、定年を迎えた山中准尉が連隊長のエスコートで歩いてきた、みんなが拍手で迎える
「お〜佐藤、先に隠居させてもらうわ!」列に並んでいた先任に向かい握手をする「お疲れさまでした!」先任もがっちりと握手を返す
正門前で万歳三唱を唱え、警衛の捧げ銃を受けて山中准尉は去っていった…
「…」「どうした赤城?」なにやら考えた顔の赤城士長に田浦3曹が声をかける
「いえ…あの人は30年以上自衛隊にいたんですよね?満足だったのかなぁ…」「さぁ?それは人それぞれだからね。でもよかったんじゃないかな?結局戦争も起こらなかったしね」
「それは…」「いい事だよ、俺たちが何か仕事する時は誰かが不幸になってるんだから。俺たちは給料泥棒と呼ばれるのが一番幸せなんだよ」
「…へ〜」「…なんてね、新隊員の時の区隊長の受け売りだけどね」そう言って頭をかく田浦3曹であった
296 :
専守防衛さん:04/05/09 19:57
その日の午後後段 教練をしている。ここでは三島はまずまず むしろ1、3選抜がかかる、若手の方がへたである。それを見ていた先任と中隊長「二週間もあれば矯正され、見れるだろう、教練は問題ない。やはり」「はい、三島ですね」
297 :
専守防衛さん:04/05/09 20:02
「イテテ、完璧筋肉痛だなぁ」と痛がる三島に飯島士長が「ワックキラーも形無しだなぁ」とケタケタ笑いながら言っている その言葉に反応し「あっ、そうだ、電話しなきゃ」と携帯片手に消えて行った
298 :
専守防衛さん:04/05/09 20:08
ちゃら〜ん。携帯が鳴る「はい、今晩は、青木です」「三島だよ〜遅くなってごめん」 「いえ、電話来ただけでも、嬉しいです」三島の電話の相手は記念日支援で知り合った青木と言うワックだった 「青木ちゃん、ごめん!」
299 :
専守防衛さん:04/05/09 20:12
三島と青木は今週土曜日趣味の事で遊ぶ予定だった「実は各カクシカジカで遊ぶの無理なんだよ」青木は「おめでとうございます、頑張って下さい私、合格祈ってます、試験終わったら・・・私、三島さんに会いにいきます、お疲れ様会しましょう」
300 :
専守防衛さん:04/05/09 20:16
三島は嬉しかった。応援してくれる人がいる。それが女性であり自分ごのみの顔 青木も三島を多分気にいっている 嫌、間違いない 記念日の日別れ際、口を濁していたのは、あれは、告白に違いない
301 :
専守防衛さん:04/05/09 20:22
三島から告白しようかと思ったが、青木は3曹 三島は士長 自衛隊にいるうちに付き合うのは疲れそうだ。さらに少し遠い駐屯地にいる事を考え止めたのだ。あの時青木が躊躇せず、告白してたらどうだったろう?そう考える日も多くあったが・・・今では懐かしい思い出だった
302 :
専守防衛さん:04/05/09 20:27
「俺、試験、頑張るよ。その為には、今から、やらなきゃ!挫けそうになったら、声、聞かせてくれるかな?」「私でよければ、時間気にしないでいつでも。」と青木 「ありがとう、頑張るよじゃ、試験後会おう」と電話を切る 顔をパンと叩き机に向かう三島だった
303 :
専守防衛さん:04/05/09 21:25
その頃・・・ 先任の家 「はぁ〜」と溜息を付く「な〜に、溜息なんか」と奥さんに言われる。「嫌なぁ、なんか仕事に悩み多くてなぁ、無事定年なるんだろか?」「まぁまぁ、あまり悩まないではい、ビール」グビッ、プハー 旨い。
304 :
専守防衛さん:04/05/09 21:31
「はい、つまみ」と奥さんがもって来たのはブリの煮付けだった 「出世魚か・・・」まぁ悩んでもしかたがない その日先任はビール瓶二本飲んで寝たのだ。 家庭の先任編 完 引き続き本編を楽しみ下さい
305 :
スキップ・ビート:04/05/10 11:06
番外編・外止め・・・
「しかしこのオレに外止めは死刑宣告に等しいよなァ〜!」ここは三島の住む
営内班、三島は柳沢と「Zガンダム」で遊んでいた。「ホント、2週間くらい
じゃ体力は変わンないっスよね」 「だろ〜?だいたいオレは陸曹ンなるなら
2任期終わってからって決めてンだよね・・・あっ、シールド取れちったよ」
三島はネモ、柳沢はハイザックで対戦していた。「シールドの無いネモ、恐る
るに足らず!・・・なんで2任期終わってからなんスか?」 「この野郎、ミ
サイルランチャーばっか撃ちやがって・・・いや、やっぱ満期金だろ。あとオ
レは音楽祭りの支援に行かにゃならんのだ」二人ともジョイスティックを使っ
ているあたり、このゲームのやり込み具合を表している。「やっぱ陸士の方が
行き易いんですか?・・・あ、そろそろ点呼っスよ」 「そろそろ止めっか。
この前は陸士が多かったからね。ヤナギ君、点呼終わったら飯買って来てくれ
よ」外被を着ながら三島は言った。その時スピーカーから音楽が流れてきた。
「なんだコリャ?」柳沢は天井を見上げる。「あァ、<スターシップ・トゥル
ーパーズ>だな。永嶋士長が当直だろ?自衛隊に長く居るとなんでもアリにな
るから恐いよ・・・」永嶋士長は飯島士長と同期で先任士長だった。音楽が小
さくなって、「1中隊、点呼ォッ!!」と聞こえた。「狂ってますねェ!」柳
沢は嬉しそうに言った。「全くだ」こうして営内の夜は更けていくのであった
外止め編、不定期に続く・・・
おもしろい!
3級賞詞を挙げたい位だ。
307 :
専守防衛さん:04/05/10 23:32
毎日ワクワクさんとスキップさんあとは何人で書いているかわからないけれど、とても楽しい。ちなみに普通科の話なんでしょうけど1、2、3勝隊て何が何なの? 普通科よくわからない。
308 :
専守防衛さん:04/05/12 19:21
4月22日 土曜日 田浦3曹 下宿にて エロビデオを見ている。村村〜 このビデオの子、中村3曹に似てるな 村村〜 「給料もらったしたまにはは外でるかぁ〜」村村〜土曜日編 終わり
309 :
専守防衛さん:04/05/15 04:14
この話、漫画化してほしい!
310 :
専守防衛さん:04/05/15 11:56
四月も終わりに近い 先任は休暇前の服務教育の為の資料を揃えていた。 「師団では前年飲酒運動が多いなぁ」とつぶやく 「本当だ、凄い」横から口を挟む田浦3曹 なんかすっきりして見える。「うちは大丈夫かな?」と言う先事件は起きた
311 :
専守防衛さん:04/05/15 12:02
事件の内容をつげる電話がなる 「スピード違反 国道501号線で33キロオーバー」先任は一瞬青ざめた 「うちの中隊ですか?」と聞く 電話の先は「嫌、本管だよ」と 先任の顔に安堵の表情がみなぎった
312 :
専守防衛さん:04/05/15 12:41
事件を起こしたのは本管の陸士長だった そいつは今回の陸候の一次を通過していた。情報は一気に連隊をかけ巡る「あの人らしいよ」「ウッソー、あの人今回3連続で一番の本命だったのに、もったいない」
313 :
専守防衛さん:04/05/15 12:46
それを聞いた中隊長。「笑い事ではないが。うちの三島にさらに運が巡ってきたな」と一言 中隊本部でも皆口を揃えて言う「運がきた、三島に運が来た」さて、2次試験は連休明け一週目 どうなることやら
314 :
専守防衛さん:04/05/15 12:48
315 :
専守防衛さん:04/05/16 09:04
赤城の声が響く「右向け〜左!あっ!訂正、右むき〜!あっ!」「はい、やめ!」ここは駐屯地グランド 試験を控えた三島らが、教練の練習をしている 赤城もすぐに朝霞などに行く事もあり実験的に分隊長動作わさせてみた
316 :
専守防衛さん:04/05/18 16:23
連休も終了し。運命の試験日。です
317 :
まいにちWACわく!その95:04/05/18 19:58
事務所からでも分隊教練の声が聞こえてくる「あ〜失敗…慌てるからダメなんだよな」と田浦3曹がつぶやく
「やっぱり若いと力が入るからな。もっと冷静に周りを見る事ができたら失敗なんかそうそうしないんだが…」同じく先任もつぶやく
「で、今回はどうですかね?」「受かりそうな人間か?」お茶をすすり先任が答える
「まず鈴木は90%受かるな。あいつは学科も5番だったし2次の課目でも全く危なげない…何より中隊長が押してるからな」3小隊「レンジャー」鈴木士長の事だ
「次は田中…もういい加減受かってもいいだろう、次の演習も不参加だよな?」「で、自分が中隊長ドライバーです。あいつもいいかげんカミさんにいい知らせを持っていってやらないと」
「れいの奥さんか…」「そうです、例の『かなた』さんです…」そう言ってクスクスと笑う田浦3曹、先任もつられて笑う「田中かなた…か、回文だもんな〜」
「あとはどんぐりだな、三島は当落ぎりぎり…」ため息をつく先任「それは仕方ないです。でも今回受かったら赤城と一緒に入校ですもんね〜気合いも入るでしょうね」と田浦3曹
訓練Aの中島1曹が「後期だけだがな」と突っ込む「そう!知らなかったんですよね…」と頭を掻く田浦3曹
「こないだ2次の練習をやってる連中に『受かったら半年赤城と一緒だぞ』ってハッパかけたんです。まさかWACは朝霞に行くとは…」う〜んとうなる田浦3曹
「おかげで『嘘つき』って言われました。いやいや知らない事ばっかりで…」
「合計5万4千とんで52円!」と突然、給養の川井2曹が叫んだ「!…何ですか?」田浦3曹が怪訝な顔で振り返る「こないだの桜祭りの純利益だよ!今までで最高かもな」
先任が嬉しそうに言う「赤城を客引きに使ったのが成功だったか?」
318 :
まいにちWACわく!その96:04/05/18 19:58
時はさかのぼって4月あたまの日曜日…
駐屯地が一般開放され、民間人のお客さんが多数やってきて花見をしている。自衛隊の駐屯地は隠れた桜の名所なのである
そんな中、隊舎の調理室に田浦3曹と赤城士長がいた
「…頼むよ、赤城」「でも…恥ずかしいです」「大丈夫だって、お願いだから…」「…わかりました」そう言って作業服の上を脱ぐ赤城士長…
「…お〜似合うね!」先任が入ってきた赤城士長を見て嬉しそうに言う。田浦3曹に頼まれ、赤城士長は後に「祭」と書かれた派手な法被を着ていた
「ちょっと派手じゃないですか…?」恥ずかしそうに肩をすくめる赤城士長「目立ったら勝ちさ、派手に頼むヨ!」そう後から来た田浦3曹が言う
「じゃ、高木2曹の所に行って手伝ってきてくれ」そう先任に言われ、赤城士長はタタッと駆けだしていった
「さて…あと何人か売り子を確保してきてくれ」そう先任が言う「わかりました」と言って田浦3曹も駆けだしていった
営内に戻り手の空いている陸士を何人か連れて、中隊の焼き鳥屋までやってきた「いらっしゃ〜い!」明るい声が響く。赤城士長が客引きをしていた
「何だ、嫌がっていたのにノリノリじゃない」苦笑いする田浦3曹につられて笑う赤城士長&若い陸士たち
「よぅし、おまえらさぁ働け!」手を叩き若い連中にハッパをかける田浦3曹
こうしてみんな客引きを頑張り、今までの祭りで最高の売り上げを記録したのだった…
319 :
まいにちWACわく!その97:04/05/18 19:59
「ふっふっふ…半年分のコピー代が浮いたぞ」先任が売上金を見てほくそ笑む「なんか、人相悪いっスよ…」ちょっと引く田浦3曹
「まぁこれも赤城のおかげって訳で…アイツが真っ先に客引きに頑張ったから、若い連中も乗ったんですよ」そう言うのは川井2曹だ
「戦力になってきましたね」嬉しそうに言う田浦3曹。その戦力はグランドで号令調整に声を張り上げている
「まわれ〜みぎっ!」「まわれ〜みぎっ!」
「ささげ〜つつ!」「ささげ〜つつ!」
グランドの端と端に別れて2次受検者が声を張り上げている。「号令調整」と言われる「声を出す訓練」だ
グランドには他中隊も展開、訓練している。砂場で走り幅跳びをしてる中隊、駆け足組もいる。彼らが全部ライバルなのだ
「さて、ちょっとパジェロの点検してきます。明日から演習なんで…」そう言って田浦3曹は立ち上がった「たった4日の演習か〜こんな時期に…」中島1曹がぼやく
明日からGWの前日まで射撃演習だ「田浦、休暇証は演習に行く前に書いていけよ!」そう先任が言った
320 :
まいにちWACわく!その98:04/05/18 20:00
ポン…ポン…とLAMの縮射弾が300m先の的に向かって飛んでいく。ここは演習場内にあるRR射場だ
3人の射手が並んで縮射弾を撃っている。赤城もいる、命中率はあまりよくないようだ
「縮射装置は重いからな」双眼鏡で的を見る中隊長が言う。頭の鉄帽に赤白の「射場指揮官」覆いを被している
「持ちきれませんかね?」そう言うのは田浦3曹、同じく双眼鏡で的を見て採点している「土嚢があるから依託すればいいのに…」
「怖がってるんじゃないか?力が入ってるな。あれでは演習弾どうなるか…」そう心配するのは神野1曹だ。「安全係」の青い覆いを被っている
「110mm携帯対戦車弾」通称「LAM」は使い捨ての対戦車火器である。本体自体が弾薬のため練習には「縮射弾」と呼ばれる小さい(それでも18mmはある)を撃って練習する
縮射弾を撃ち終わり次は実弾射撃。井上3曹は対戦車りゅう弾、それ以外は演習弾だ。その前にしばらく休憩となった
「どうだ?調子は」田浦3曹が赤城士長に声をかける「やっぱり緊張しますね〜」そう言って笑う
「緊張すると弾がどこに飛ぶかわからないからね、気をつけてね」「ハイ!」「当たったら何かおごるよ、何がいい?」
少し考えて「同期を2人呼んでもいいですか?『アーティラリー』で飲み会おごってください!」
「え?う〜ん…わかった!」男に二言はない、とばかりに胸を叩いた田浦3曹であった
そして本番…赤城士長は2射群だ。全部で4射群あり、最後は井上3曹一人だけで鉄板の的を撃つ。まずは第1射群の射撃をみんなが見学する
「射手、目標正面の的!立ち撃ち第1…」射撃係幹部が号令をかける、そして全員がLAMを肩に担いだ「射撃用意!1的から撃て!」射撃係幹部が号令をかける
「後方よし!」射手が後を確認して安全装置を解除する。そして一瞬の間をおいて…
321 :
まいにちWACわく!その99:04/05/18 20:00
ドン!
すさまじい轟音と衝撃が射場に鳴り響いた
射手の前後で煙が巻き起こり、その煙の中から青い弾頭部が飛び出してきた
5mほど(比較的)ゆっくりと飛翔し、羽を広げ300m先の的にすっ飛んでいった。そして…
「命中しましたね」双眼鏡を覗いていた田浦3曹が言った。弾頭部はベニヤの的を貫通し、後方の停弾提に突き刺さった
続いて2的、3的と続けて撃つ。結果は3発中2発命中だった「まぁ、悪くはないな」と中隊長も言う
次は2射群だ、赤城士長は2的「ふ〜」と息を吐き緊張をほぐそうとする
「まぁ堅くなるな、一発100万円を一瞬で消費するんだ。楽しんでこいよ」と田浦3曹が声をかける「ハ、ハイ」と笑う赤城士長だが、少し顔も赤くなっている
弾薬交付所でLAM本体と発射装置を受領する。本体を大事に抱えて射座に向かう(リラックスして…)そう自分に言い聞かせて射座まで歩く
射座に着きLAMをおろす、そして射撃装置のチェックを始める。安全装置と撃発の作動をチェックし、眼鏡を覗き以上の有無を確認する
「異常なし!」と射手たちが射撃係幹部に報告する。そして射撃準備の号令がかかった
弾頭部のプローブを伸ばし射撃装置を取り付ける。前方握把と肩当てを伸ばし一気に肩に担ぎ姿勢を取る。前方握把をしっかりと土嚢に依託し、眼鏡を覗き狙いを定める
300mの表示のある十字に的を合わせ、右足を前に出し姿勢を固める「準備よし!」
ずっと心拍数は上がっている。肩が堅くなっているのがわかる。指先にも力が入り震えがくる
(力を抜いて…呼吸を整えて…)赤城士長は今まで習った事を思い出すように、そして冷静になろうと呼吸を整えた
(楽しんで…そう、楽しもう!)そう思ったら少し緊張が解けたような気がした
「1的、射撃用意…撃て!」号令がかかる、隣の1的が射撃する。さっきとは比べモノにならない爆風と轟音が赤城士長を襲う
思わず身が固くなる、アドレナリンが吹き出してくるのがわかる気がした。次は自分の番だ…
「2的、射撃用意」号令を聞き後ろを見る「後方よし!」姿勢を固める。眼鏡の十字を的に合わせる。人差し指に力が入る…
「撃て!」号令を聞き引き金を絞る。引き金に手応えを感じ、撃発が落ちた
322 :
まいにちWACわく!その100:04/05/18 20:01
ごう!と体が衝撃を感じた。轟音よりすさまじい衝撃を受ける
眼鏡の前に砂埃が舞う。着弾は…?うっすらと的が見える
安全装置を条件反射のようにかけつつ、弾着の行方を見る…
「お、当たったな」双眼鏡を覗いていた中隊長がつぶやく「あ〜おごり決定か…」そう言いつつもどこか嬉しそうな田浦3曹
赤城士長の放った弾は的の若干下に命中した。ベニヤの的にきれいな穴があいていた
「は〜…」軽くなった本体部分を返納し、大きなため息をつく赤城士長「お疲れ、どうや?当たったか?」聞いてきたのは井上3曹だ
「ハイ!何とか…ドキドキしました〜」そう言って胸に手を当てる、顔もまだ赤い「次はオレや、1発200万を撃ってくるわ〜」そう言って井上3曹は射座に向かった
赤城士長が対戦車りゅう弾の見物に…と台上に上がった。田浦3曹が「命中したな、おごるよ」と開口一番に言う
「いいんですか…?ホントに」少し心配そうに聞く赤城士長「男に二言はない!」キッパリ言い張る田浦3曹「それよりも射撃見なよ、迫力あるよ」そう言って的の方に視線をやる
射座では着々と射撃準備が進められている。井上3曹がLAMを肩に担いだ、今度のは弾頭部がOD色だ。何か迫力を感じる…
「射手、射撃用意…」号令がかかる「後方よし!」後方を確認して安全装置を解除する
「撃て!」の号令とほぼ同時に対戦車りゅう弾は発射された。300m先の鉄板で作られた的に吸い込まれるように飛んでいく
着弾した!と同時に赤い炎とすさまじい煙が巻き上がる
1秒後…すさまじい爆音が聞こえてきた
「お〜」見ていた隊員たちから歓声が上がる「スゴイ!音が後からくるんですね〜」赤城士長も興奮している。顔を真っ赤にして喜んでいる
「まぁ口ばっかりじゃない、ちゃんと当てたな」そうニヤリと笑う田浦3曹であった
323 :
まいにちWACわく!その101:04/05/18 20:23
「まま、中隊長どうぞどうぞ…」田浦3曹がビールを注ぐ。演習最終日の晩、廠舎の中では宴会が始まっていた
衣装ケースを机代わりに、演習場近くのコンビニ「ぶんぶん」で買ってきた酒とつまみが並んでいる
「や〜アリガトよ、無反動もLAMも終わったな〜命中率も高かったし、言う事なしだな!」かなり上機嫌な中隊長だ
「何より不発弾が出なかった!いいねぇ〜無反動だけに無反応、なんてことにならなくて〜!」とダジャレを飛ばす高木2曹
「LAMは無反動とは違いますよ」冷静に突っ込む田浦3曹、ある意味一番堪えるリアクションだ
酒が進むと口も軽くなる。中隊長もかなりしゃべるようになってきた
「いや〜ホント、三島にはドキドキさせらっれっぱなしだな。アイツ受かるかね?」「先任たちが必死で鍛え上げてる最中ですよ」そうフォローする田浦3曹
「学科2番なのに不合格、なんてちょっと恥ずかしいぞ!でもなぁ…」ため息をつく中隊長。珍しく弱気だ
「人事は人ごと、ですからね〜」田浦3曹はそんなに深く考えてはいない
「…よし!GWも練習させるぞ!中隊本部持ち回りで教官してもらおうか!」「…!」顔には出さないが、心の中で(それは嫌です)と叫ぶ田浦3曹、だが中隊長は乗り気のようだ
「田浦、また計画作っておいてくれ!」もう止まらないだろう「…はいぃ…」がっかりと肩を落とす田浦3曹だった…
演習場の夜はこうして更けていった
324 :
スキップ・ビート:04/05/19 14:55
番外編・外止め・・・
「三島、司令部のマニア娘はどうなった?」ここは三島の住む居室である。
三島とマニア仲間の田島3曹は三島のベッドに座っていた。読んでいる本は
「イノセンス絵コンテ集」である。三島はゲームを中断した。「いやァ〜一
緒に外出して遊びに行く予定だったんスけどねェ・・・」TV画面では勇者
アーサーがパンツ一丁で佇んでいる。「外出できなくてもメールくらいして
ンだろ?そんなマニアな会話できる娘なんかそうそういないぞ」田島3曹は
半年先輩である。早稲田大学を中退して入隊した異色の普通科隊員だった。
三島と同じく普通科らしからぬ雰囲気である。「そっスね〜でももうちょっ
とパイオツカイデーだといいっスね〜!」 「綺麗な顔にデカイ乳、言う事
ないな」渋い声で田島3曹が言う。「さすが戦車殺しの田島先生、わかって
らっしゃる!あとはパイパンだったら言うことねーっスね!」 「三島・・
いーねー!!」やっぱり普通科だ・・・。三島は「大魔界村」を再開した。
この後も淡々と猥談に花を咲かせる二人であった。
外止め編、不定期につづく・・・
非常に面白いですね。これ。
ところで作者様はもしかして昔市ヶ谷におられました?
なんか登場人物に心当たりのある方がいたりしたので。
まぁ、単に自衛隊ならではどこにでもいるといった感じであるのかも知れませんが。
326 :
スキップ・ビート:04/05/19 21:30
ギクッ・・・
327 :
専守防衛さん:04/05/19 21:32
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
328 :
専守防衛さん:04/05/19 22:23
試験日 三島を初め、受験者、皆自身にみちあふれた顔をしている。重迫の神田士長は三島と同期なのだが。自信にみちあふれた三島の顔を見て驚く「三島、なんかかわったな〜」と神田が聞くと・・・
329 :
専守防衛さん:04/05/19 22:28
三島は「一次受かってから一番、努力したのは俺よ!特に連休なんてヒドいもんよ!思いだしたくもないけどな。けど、今日から外出出来るんだ、とりあえずはりきっていくぞぃ」と言う。「連休?お前とこも午前だけじゃなかった?」と神田
330 :
専守防衛さん:04/05/19 22:32
「あぁ、他の奴はな、なぜか俺だけずっと」と辛い連休を思いだす。連休編 始まり
331 :
専守防衛さん:04/05/19 22:44
四月29日 「じゃあ今日は終わり」と田浦が言う 皆、解散し始めた時、林2曹が来た。「おぅ、三島、午後は13時からな。ジャージでこいよ」と言う。三島はぽかんとして「へ?俺だけ?ですか?」当然とばかりに林も田浦もうなずく。青ざめる三島・・・
332 :
専守防衛さん:04/05/19 22:51
駆け足をし、筋トレをしたのち、体力検定科目を一人黙々とやらされる。今までも、筋肉痛に悩まされていたが。比べ物にならないくらい、痛かった。やめたかった。しかし、夜。青木を初め、各支援で知り合ったワックから、励ましの電話がかかり、元気がでるのだった
もしかして、1中?
334 :
専守防衛さん:04/05/19 23:07
30日 「あたっ!」起きると体が痛い。嫌になる。携帯で時間を見るとメールが1通。(頑張ってる三島士長を応援します、へこんだ時はいい場所知ってまっせ。パクリ屋赤城チャン(笑))俺はモテキャラ?と調子に乗り教練の練習を張り切りであった。午後 来たのは倉田だった。
335 :
専守防衛さん:04/05/19 23:18
倉田を見た三島はホッとした 人事が来た!午後は面接だな。と考えたのだ。しかし、甘かった 倉田曰く、「最近太ってなぁ、昔を思いだしてテンマイル行くぞ」と張り切り、実際走る その後は、体力検定科目 後面接 疲れている三島に倉田は「明日は岡野だぞ」と告げて帰る
336 :
専守防衛さん:04/05/19 23:23
体が限界に来ていた。風呂に入り、寝ても疲れが取れない。なんか、成果も上がってないような気もする 明日、岡野2曹に正直に言って軽くしてもらおう。決心する三島
337 :
専守防衛さん:04/05/19 23:35
次の日 午前を無事終わった。 岡野2曹がいる「じゃ、午後ジャージな」 「あの、実は・・・」話が話だけに中なか確信に行けない三島を尻目に岡野が「ここだけの話だけど、お前、師団記念の時のワックとどうなった?」と聞く 三島は驚き「えっ?」と、とぼける
338 :
専守防衛さん:04/05/19 23:40
「綺麗な子だったよな、あれなぁお前に告白する所だったと思うぞ」三島は驚きの顔で「え〜!あの時の会話聞いてたんすか!寝てたって?」「あぁ、あれな、あの状況で本当の事言えないだろ普通」三島は少し照れた顔になっている
339 :
専守防衛さん:04/05/19 23:44
その顔だと、まだ続いてるな?と岡野が聞くと三島はうなずく。「いいなぁ若いって。じゃあのワックの為にも今が頑張り所だな」と言われ。何も言え無い三島 結局、この日も連休特別訓練をしたのだった・・・
340 :
専守防衛さん:04/05/20 12:58
これ面白いよー。
なんかセイシュンて感じだねえ。
掲示板だから箇条書きみたいになってるけど、
ふくらませてまとめたらいい本にならない?
言ったらなんだけど
2ちゃんに埋もれさせるのは惜しいわ。
341 :
専守防衛さん:04/05/20 23:29
五月四日 三島の体も限界だった 今日の午前は何も無し、だった。外禁中の三島には関係ないが・・・ なぜなら三島には午後がある。今日は先任が来る 今のうちに体休めなきゃ ぐっすり昼寝する三島だった
342 :
専守防衛さん:04/05/20 23:33
「おい!三島、起きろ!おい!」その声に起こされる。ぼけー、と見て見ると先任だった ふと、我にかえる三島 「すみません!今すぐ着替えます!」と大声を発する 「いや、ゆっくりでいいぞ、今日は走らんから」三島はその言葉を理解出来なくポカンとしていた
343 :
専守防衛さん:04/05/20 23:38
「今日は面接の練習して、そのあと少し話しよう」いつになく、真剣な先任 三島はその顔をさっし素直は「ハイ」と言うしかなかった 。面接練習も終わりに近ずいた時「君は今、本当に陸曹になりたいの?」と真剣な顔で質問を受けた
344 :
専守防衛さん:04/05/20 23:42
正直話、悩んでいた三島 さすがに表情は暗い。それをさっした先任は、静かに、そして気合いをいれながら、先任の陸士時代の話をしはじめた。
345 :
専守防衛さん:04/05/21 12:14
先任の話を聞きながら、三島は筋肉痛で顔をゆがめそうになる。「痛いか?」「はい。」「まぁ、しかたがない。」と言ってまた、昔話をする。「昔は、5任期以上の先任士長が〜、で、早く陸曹になったもんじゃ〜、今は〜、先任士長と言っても〜」段々クドくなってきた
ネタを思いついたんですが・・・
書き込んでもいいのでしょうか?>>ALL
347 :
専守防衛さん:04/05/22 11:35
滅茶苦茶な設定変更さえしなければいいとおもいますが?
348 :
まいにちWACわく!作者:04/05/22 18:52
>346
特に問題はないと思います。ごちゃ混ぜにならないように一気に書き込んだら、読む人にもわかりやすいかと…
別の中隊ってことにしたら設定変更もありかと
観測斥候ということは特科のお人?
349 :
まいにちWACわく!番外編 佐藤士長の決意1:04/05/22 18:55
1972年2月…生活隊舎も無く売店も粗末だった駐屯地。日夕点呼を受けるのは将来の先任である佐藤士長だ
「…最近ちょっとたるんでねぇか〜おまえら?清掃もまともにできねぇで外出なんか…」当直・小倉3曹のネチネチとした話はまだ続く
「おい、佐藤…」点呼の列に並んだ佐藤士長に声をかけてくるのは同期の大村士長だ「アイツ、この寒いのにいつまで話続けんのかな?」
「しょうがないんじゃない?ああやって威張りたいから陸曹になったようなヤツなんだし」小声で答える佐藤士長
「お前もう任期満了で辞める気満々だもんな〜来月だっけ?」「そう、3月末さ。先任とかは『陸曹になれ!』の一点張りだけど」呆れたように言う佐藤士長
列の前では小倉3曹がまだ怒鳴っている「アイツみたいになりたくないしな。大村、お前は残るんだろ?」「あぁ、4月の試験を受けるよ。まぁやらなくても受かるんだけどね」
「おいおい当直陸曹さんよ〜消灯になっちまうんじゃないんですかぁ?」そうはやし立てるのは先任士長・久保田士長だ。5任期士長の久保田士長は小倉3曹より入隊が上である
「もう寝てもいいですかね〜」嘲るように久保田士長が言う、周りの陸士達も嘲笑を押さえる「…点呼終わり」顔を赤くして小倉3曹は去っていった
「あ〜あ、8班の連中はまたいびられるだろうな」部屋に戻りつつ佐藤士長は言う。8班は小倉3曹が班長なのである
「いやいや、明日の外出は『清掃の不備』を理由に不許可になるとかじゃねぇ?」大村士長も呆れたように言う
次の日、駆け足をする佐藤士長と大村士長たち「佐藤も残ればいいのに。まだ娑婆より気楽じゃねぇ?」大村士長が言う
「気楽だからいいってもんでもないだろ?それに立場サイアクだしな、今じゃゲバ棒振り回してるほうがヒーローじゃん。俺達は『体制のイヌ』だぜ?」そう言って呆れる佐藤士長
「いいじゃねえかイヌで、娑婆に出たら『企業のイヌ』だろ?」「どっちもどっちならかわいい姉ちゃんのいる方がいいぜ」そう会話しながら駆け足は続く
そのころ、長野県の山奥で何発もの銃声が鳴り響いた…
350 :
まいにちWACわく!番外編 佐藤士長の決意2:04/05/22 18:56
課業も終わり2士連中が班長たちの靴磨きに精を出している、佐藤士長らは娯楽室でオセロや花札、将棋などで遊んでいた
「よし、王手!待ったなしですよ〜」と大村士長「む…こりゃぁいかんな」そう唸るのは久保田士長だ
「勝ったら外出増やしてくれるんですよね?」「…まだ勝負は付いてない!」久保田士長がそう言って盤面をにらみつける
その時だった「非常呼集〜!残留者は集合!」当直士長が叫んで回る「ん〜、また小倉のボケかぁ?」そう言いつつ外被を着て廊下に出る久保田士長達
廊下に立っていたのは小倉3曹だった。だが何か様子が違う
「本日午後3時頃、『連合赤軍』の連中が人質をとって軽井沢の『あさま山荘』に立てこもるという事件が発生した」行列内からざわめきが起こる
「現在、警察が包囲中だ。だが、この事件を機に各地の活動家が事件を起こす可能性がある!」さらにざわめく班員達
「よって連隊は、当分の間『第3種勤務態勢』に移行する!全員外出は禁止、以上!あとは部屋で待機しておけ」そう言って小倉3曹は立ち去っていった
「おいおい、長野の話なのにこっちまで巻き添えかよ〜」「アカはろくな事しねぇな…」「デートの約束はどうなんの?」口々に愚痴を言う営内者たち
みんな娯楽室に集まりテレビをつける「俺達も出動…するのかな?」不安そうに言うのは大村士長だった
「なんだ大村?ブルってんのか?」そう言って笑う久保田士長「アカどもをボコボコにしたらいいんじゃねえか、簡単簡単!」そう言ってゲヒャヒャと笑い煙草に火をつける
すっと灰皿を差し出すのは佐藤士長だ「あ〜あ〜大変だな…もうすぐ任満なのに」そう言ってため息をつく
廊下からは3小隊の小隊長・権藤1曹の声が聞こえる。どうやら事件発生の一報を聞いて駐屯地に駆けつけてきたようだ
「小倉ぁ、今すぐ動ける人員は何名だ?」「えっ?それはまだ…」「それを調べるのが当直の仕事だろうがぁ!!さっさと行け!」小倉3曹の太鼓腹に権藤1曹の蹴りがヒットする音が聞こえた
「あのバカ、なにやってんだか…」久保田士長はニュースを見つつボソッとつぶやいた
351 :
まいにちWACわく!番外編 佐藤士長の決意3:04/05/22 18:57
次の日からは万が一の出動に備えての準備が始まった
「治安出動用の盾、木銃、催涙ガス弾、あとは…」「よし、これをトラックに積み込んでくれ」「防護マスクの点検は小隊ごと!」
着々と準備が進む「いいか〜柵の外から見えるところで準備するんじゃないぞ!あくまでもコッソリ準備だ」そう中隊長が言う
事件は膠着状態になってきている、日々の報道も変わりない。記者会見に出ている警視庁のお偉いさんも憔悴してる感じだ
「なんか一人殺されたんだって?」娯楽室で久保田士長が聞く「民間人が撃たれたらしいですよ」誰かが答える「へ〜警察の網を突破したのか、すげえな!」
その横で大村士長は落ち着かない顔をしている「俺達は…どうなるんだ…?」佐藤士長が答える「どうにかなるんじゃないか?考えすぎだろ?」
「お前はもう辞めるから…!」「おいおい、何をイライラしてるんだ?」「…すまん、しかしこんな事って…」首を振る大村士長
「ベトナムじゃもっと何人も死んでるんだろ?あっちは戦争だからな」「戦争なんて、俺達には関係ないと思ってたよ…」
肩をすくめ佐藤士長は言う「これが戦争か?俺達が出動する時は、もっとハードな事になるんだろうぜ」
報道のテレビ越しにも警察の焦りは伝わってくる「空挺の同期が『遺書を書いた』とかって電話で…」誰かが言っている
「俺達の出番だろうか?」「警察がやるんじゃない?」そういった会話が中隊内でも聞こえ始めた
そして2月27日、警察は「強行突入」を決意したようだ
352 :
まいにちWACわく!番外編 佐藤士長の決意4:04/05/22 18:58
「…というわけで、警察の突入に合わせてわが連隊の管内でも不審な動きをする団体がいる、との情報がある…」
中隊長が全隊員を前に話をしている「今晩から明日にかけて、中隊は30分以内に出動できる体制を維持する」
「そりゃ『寝るな』って事かな…」列内で誰かがささやいた
「わが日本国の平和と安定は諸君らの双肩にかかっている…」演説のように熱っぽい話し方になってきた中隊長、旧軍時代を思い出しているのだろうか…
「大村、大丈夫か?」佐藤士長が心配そうに聞く「…あぁ、何もなければいいな」やはり顔が青い。深夜1時、各小隊持ち回りで不寝番をしている最中だ
「オレは…こんなに臆病だったのかな?」そうつぶやく大村士長「…」佐藤士長は何も答えない、いや、答えられない
娯楽室の時計の針が回る音がする、交代まであと少しだ
「オレ、間違ってたよ。自衛隊は『気楽な職場』なんかじゃなかったんだな…」深くため息をつき大村士長は言う
「オレも間違ってたかもな。『体制のイヌ』じゃねぇ、俺達は『番犬』だよ。あいつらはヒーローなんかじゃねぇ、悪党だ。俺達みたいなのがいねぇといけないんだ、この国には…」
そしてさらに夜は更けていった…
「お〜行け行け!」「派手だねぇ…鉄球だよ」「この寒いのに放水だって!やられた方は悲惨だねぇ」テレビを見つつヤジを飛ばす。28日、突入の日だ
「今のところ何もなさそうだな、やっぱり60年や70年安保の時と違うな〜」そう言って笑うのは権藤1曹だ
そして夜…人質救出&犯人全員逮捕で突入は終わった。殉職者2名の報に娯楽室は静まりかえった
「死んだ…か」「覚悟はしてただろうけど…」
「自衛隊にとっても、いつか人ごとじゃなくなる日が来るかもな」そうつぶやいたのは大村士長だった
353 :
まいにちWACわく!番外編 佐藤士長の決意5:04/05/22 18:58
結局事件の後、『連合赤軍』の連中が行った凄惨なリンチ事件が発覚し、学生運動は急激に衰え始めていった
「やっぱり任満で辞めるのか?大村…」3月末、継続任用の手続きをした佐藤士長が言った「ああ、わかったんだ。オレは自衛官を続けられないってね」そう言って寂しそうに笑う
「…」「でもお前が残るから、中隊にはマイナスにならないよな」「そういう問題じゃ…」「どうして残ろうと思ったんだ?」そう大村士長が聞いた
「誰かがやらなきゃいけない仕事だって気づいたのさ、それに農家の四男坊のオレにはもう行くところがないからな」そう言って笑う佐藤士長
「オレは実家の工場を継ぐよ、これからは物作りの仕事が大事だろうから…」「そうか、がんばれよ!」
除隊式の日、5分咲きの桜の中を去る大村士長。佐藤士長は見送りもそこそこに、陸曹候補生になるためのなるための勉強に向かった…
「…そうして今、ここにこうしているのさ」そう言って先任は笑った「『命がけの仕事』の覚悟ができなかった大村は辞めた、最近の若い連中にその覚悟があるのかな?と思うんだよ」そう先任は言う
「…」三島は黙って聞いている「不景気だから人材はいくらでも入る、でも頭や体力だけで続けられる仕事かどうか、それは考えた方がいいな」そう言って先任は立ち上がる
「『陸曹になりたい理由』に生活を上げるヤツもいる、それは当然だろう。でもな、ホントにそれでいいのか、考える必要はあるだろうな」そう言って先任は去っていった
354 :
専守防衛さん:04/05/22 23:07
泣ける(T_T) 素晴らしい感動の話です。しかも、赤城1士登場からの話が面白すぎです。一人一人の人物にも親近感がなぜかあります。それでは。今後も期待してます
355 :
スキップ・ビート:04/05/24 19:29
番外編・外止め
「そりゃ先任には調子良く言っときますよ〜!」ここは三島の営内班、青森のお気に入り・上田
と話していた。「でも三島っちどうするの?陸曹目指して頑張るの?」三島っち・・・相変わら
ず軽いノリである。「そうだなァ、今回は見送ってもいいような気がするかも・・・でもまた体
力練成すンのめんどうなンだよね〜」ベッドの上で寝ながら話していた。筋肉痛がキツイ。
「まァたそんな事言って〜一気に行っちゃった方がいいンじゃないの?今回通っても音楽祭りは
来れるんですよね?」 「入校は来年のハズ・・・まァ音楽祭りはウチの中隊に支援依頼が来る
かわからんしね。なァーんつって連隊広報に根回ししてンだけど〜!」まったくこの男は・・・
「さすがは三島っち〜」まったくフザケタ会話である。「でもそんなに親身になってくれる先任
が居ていいですね!」上田もたまにはいい事を言う。「もし候補生になって支援に行けなかった
ら辞退しま〜す!」・・・台無しである。その後もどうしようも無い会話が続いたのであった。
「三島士長はホントWACの知り合いが多いっすよね〜」電話を聞いていた柳沢が寄ってきた。
「おっヤナギ君、おれはこの後中央音楽隊のお友達にも電話をかけにゃならんのだよ。また後に
してくれたまえ・・・あっ宮野ちゃ〜ん?」恐るべし三島!冗談と本気の境界線が分からない所
がこの男の魅力である。「この人、さっきはマジ顔で先任との事を語ってたのに・・・」柳沢も
呆気に取られていた。この後三島のアピールと調整は多方面に及んだという・・・。
外止め編、不定期につづく
356 :
専守防衛さん:04/05/24 20:41
357 :
専守防衛さん:04/05/24 22:45
五日、夕方 「あ〜あ、なんの為の連休だったんだ〜」 と田浦が叫べば「俺の青春返せ〜」と三島が叫ぶ そう、今日で連休は終わりなのだ。田浦が三島に「お前がそれを言うなよ!みんなお前の為になぁ」と言っている
358 :
専守防衛さん:04/05/24 22:49
「はい、感謝しています」とお調子物の三島。田浦は真剣な顔をし「しかし、ここ最近じゃ珍しい話だよ、1次受かって外禁なんて、俺以来じゃないか?」三島は驚き「田浦3曹も体力なかったんですか?意外だなぁ」と言う
359 :
専守防衛さん:04/05/24 22:53
田浦はあわてて「バカ、勘違いするな!俺らの時は当たり前だったんだよ。それに俺は体力も教練も面接も優秀だったんだぞ!」三島はニャニャしながら「自分でそこまで言えればたいした人ですね」さらにニャとしている
360 :
専守防衛さん:04/05/24 22:56
「そんな優秀な班長に指導された事を誇りとし、自信をもって2次受けます。無事終わった時はまた、音楽祭り支援行かせて下さい。」と、とんちんかん発言をする三島だった
361 :
専守防衛さん:04/05/24 23:01
田浦は、はぁ?とした顔をし、「早くも予定か?あのなぁ、今は支援より2次の事だけ考えろよ。お前の為に中本のほとんどの人が連休潰して出てきたんだぞ。」 「はい、感謝してます。本当です。」 「よし、それならいい」さらに話は続く
362 :
専守防衛さん:04/05/24 23:05
「よし、こうしょう。二次で三島がそれなりの結果をだしたら支援に名を入れるようにする、期待を裏切ったら、支援には絶対行かせない。よし、これで決定!じゃ俺は下宿に帰るぞ、じゃあな」三島はただ、呆然と立ち尽くしていただけだった
363 :
専守防衛さん:04/05/25 16:25
下宿に帰った田浦3曹編。休暇最後、下宿で一人焼酎を飲みながらネットをやっていた。1チャンネルと呼ばれるサイトを見ると自衛隊板がある。何げに見ると・・・ 軍事ドラマ「施設科中本」と言うスレがある。「面白い!」何か、共感を得た夜だった。
364 :
専守防衛さん:04/05/25 17:17
「なんかなぁ随分、うちと似ているなぁ、まぁ自衛隊はどこ行っても同じって事なんだろうなぁ」田浦をそこまで言わせる軍事ドラマ 施設科 中本の気になるスト〜リィを概略説明しよう
365 :
専守防衛さん:04/05/25 18:59
ドラマは2士WACが初配属されたばかりの施設中隊 中本を中心となっている WACを取り巻く騒動 中本に支援要因となっている陸士長のどたばた劇 中本要因の現在と過去のエピソード もちろん日常の訓練、業務、生活などのドラマなのである
366 :
専守防衛さん:04/05/25 19:04
施設の事がよくわからない田浦でも楽しく読める内容に親しみを感じた。多分、今の俺と似た苦労してる人が自衛隊には沢山いるんだろうなぁ そう思うと、自然と笑みがこぼれる田浦だったのである。次の展開が楽しみだ。 こうして田浦の長く、短い連休は終わった
367 :
専守防衛さん:04/05/25 20:04
「ば、馬鹿な。」
いきなり中国の戦闘機が攻めてきた。
最新型のSu-30MKKである。
圧倒的なその強さに仲間は次々に殺されていく…
バコーン ドカーン シュカーン
「うう…」
部隊は… 全滅した…
368 :
専守防衛さん:04/05/25 21:14
>>367 つまんないしー。
スキップビートみたいに気の利いたの書けよぉ。
369 :
ばっとかるま:04/05/25 21:39
「なんだ〜、こりゃ!」
連休最終日、点呼前の営内に柳沢の絶叫がこだました。
「いや〜、友達がバイトしている会社のソフトらしいんですが
たまたま帰省した時にばったり会っちゃってほとんど押し売りみたいに買わされちゃったんですよ」
久しぶりに実家に(と言っても電車で2時間ほどの所だが)帰省した川原1士は
営内にかえって来るなり柳沢にこのソフトを差し出し「ちょっとやってみませんか?」と誘ったのだ。
「しかしこのゲーム、バランスがめちゃくちゃだな〜。よく発売する気になったよな?だいたいなんだってこんな所に中共軍が出てくんだよ?」
三島のまめな営業電話を聞かされ続け、挙げ句の果てにこんなクソゲーを知らずにプレイさせられた柳沢は愚痴るように川原に言った。
「すいません。でもその会社、今マジでやばいらしくってそいつも困っているらしいんですよ」
川原はすまなそうに、しかし不幸を共有させたモノ特有の優越感に浸った顔をした。
370 :
専守防衛さん:04/05/25 21:44
キーン フーン
攻撃してきた戦闘機は去っていった。
数時間後、救援が来た。
「おお、大丈夫か?」
「ああなんとか、ありがとう。」
「ほかの仲間はどうした?」
「…皆死んじまった。」
「くっ、畜生が!」
自分は助けられたが何か気が抜けたような感じがした。
371 :
専守防衛さん:04/05/25 22:10
パシャパシャ ワーワー
多くの報道陣に囲まれた。
「今回、中国が攻めてきたのはどうしてですか?」
「戦闘機が攻めてきて何故対処できなかったんですか?」
「何故あなただけが生き残ってるんですか?」
「これは中国の宣戦布告でしょうか?」
一斉に質問をしてきた。
「答えてくださいよ!」
「・・・・」
何も言えなかった。この場がつらかった。
俺は走って逃げた。
372 :
ばっとかるま@火消し中:04/05/25 22:30
はっ、
柳沢はバネ仕掛けの人形のように上半身起こした弾みでを目を覚ました。
辺りを見回すと暗い部屋の中で軽いいびきが聞こえた。
「何だ、夢かよ・・・」
ほっとした柳沢はいびきのヌシ、川原をにらみつけ
「おまえがつまんねーモノやらせるから、変な夢見ちまったじゃぁねえか」
と独り言をつぶやいた。
午前2時過ぎ
とりあえず一息つくまで眠れそうにない。
柳沢は静かに部屋を出て喫煙スペースへと向かった。
当直陸曹に気付かれないようにそっと紫煙を吐き出す。
「ふ〜」
普段はあまり吸わないたばこだが精神安定作用は抜群だった。
その成果部屋を出たときは全身汗だらけだったが
今は逆に汗がひいてせいで背中がぶるりと振るわせた。
柳沢はたばこを丁寧にもみ消し、集積缶へ捨てるとかすかに覚えた尿意を解消するためトイレへ向かった。
中隊本部 状況外番外編 終了 引き続き本編をお楽しみ下さい
373 :
敵の搭乗する戦闘機:04/05/27 18:25
374 :
専守防衛さん:04/05/28 15:54
重迫の神田士長に連休の話をし終わり、「本当、なんかしらんけど、よくやったし、やらされたし。で、俺は音楽祭り支援行くからさ、悪いけど、いい結果残すから。」と、自信満々に語ったのだった
375 :
専守防衛さん:04/05/28 15:59
「うん?あっ、はぁ、まぁお互い頑張ろうや。」と神田が言った所で、「受験者集合〜」と、3科名前も知らない、曹長が叫んだ。三島の受験番号は3番 午前 教練。 午後、前段 面接。後段は受験者全員で体力検定
376 :
専守防衛さん:04/05/28 16:08
神田は午前、面接 午後後段 教練 だそうだ。「ただいまより〜」1番が早くも受験をしている。少し緊張もしてきている。「別れ!」と気合いの入った声が聞こえた時には三島の緊張は頂点に来ていた。「3番、三島士長」し〜ん 「三島士長!」2度呼ばれ気づく。「は、はい!」
377 :
専守防衛さん:04/05/28 16:18
状況付与者の所へ行った三島。付与者は初対面の1曹「緊張するなよ、外出でも考えてリラックスだ。」この一言が三島を救った。(今週末は青木ちゃんと会うんだ。知り合いワックの中で1番、好みだからなぁ。ん?音楽祭りも。うん、最低悪評さえださないとOKだろ〜行けるな)
378 :
専守防衛さん:04/05/28 16:22
試験を受かろうとする三島では無く、音楽祭り行くぞ!外出するぞ!と気持ちを変化させた三島。「あと二分」と付与者が言った時初めて、状況を確認し、構想をたて 試験に望んだ。「三島士長が分隊の〜」〜〜「別れ」と無事終わった
379 :
専守防衛さん:04/05/28 16:28
「うん、練習よりはるかに上手かったな」と、中隊長は言う「うん、うん」と中本主要メンバーが声を出してうなずく。「陸曹になりたくなったのかな?訓練陸曹、三島の代わりの中本支援要因新しく作るよ〜」と補給の林が言う 皆「うん、うん」と声を出す
380 :
専守防衛さん:04/05/28 16:34
「今回は冗談ですまない話だな、連休中、みんなの鬼教官ぶりが訊いたんじゃないか〜」と嬉しそうに語る中隊長に倉田曹長が「三島に付き合ってテンマイル走って、次の日筋肉痛になって。いやぁ苦労したかいありました!」と自信ありげに語る
381 :
専守防衛さん:04/05/28 16:40
そんなこんなで午後 三島は、面接をしていた。長所、短所は? なんで曹になりたいの? 得意な訓練は? など、聞かれ、三島は練習でやった通りの答えをだす。最後の副連の質問になった「三島士長、君の尊敬する上司は?またその理由は?」と聞かれた。
382 :
専守防衛さん:04/05/28 16:45
ん?(そんなの練習してないぞ?)三島は言葉に詰まった。(あぁ、音楽祭りが逃げそう)三島は小隊があまり好きでは無かったし、中本での支援をしてても、中本の要因の凄さをあまり感じた事が無かったのだ(やばいなぁ。適当な答えしか)「先任です」とつい言った
383 :
専守防衛さん:04/05/28 16:49
理由は「私に・」言葉が詰まる(先任を尊敬?外禁にさせた上、連休潰した人間のボスだよ、ありゃテロだ、泥棒だ)など、瞬時に思う (ん?テロ、そうだあの話だ!)
384 :
専守防衛さん:04/05/28 16:54
「以前、先任に先任が曹を目指した理由を聞きました。それ以来尊敬してます。内容はこうでした」と三島は連休に先任から聞いた浅間山荘の話をしそれに感動したと話たのだった。そして体力検定
385 :
専守防衛さん:04/05/28 20:45
「あのほら〜午後からやった3番の、え〜3だからみ・みポン!三島!彼の最後の話よかったよかったね〜」と副連が言うと胡麻擂り科長で有名な1科長 田村3佐が「あっ、副連隊長もですか〜私も感動しまして〜」と言う
386 :
専守防衛さん:04/05/28 20:52
それを見た3科長 『負けられない!』と思った「いゃ〜三島ですよね、さすがに副連隊長、お目が高い、彼は私も前から目つけてましてね〜」と胡麻すり 「ほう?どんな所を?」と1科長が意地悪そうに言う 「・・・」何も言えない3科長であった・・・
387 :
専守防衛さん:04/05/28 20:52
それを見た3科長 『負けられない!』と思った「いゃ〜三島ですよね、さすがに副連隊長、お目が高い、彼は私も前から目つけてましてね〜」と胡麻すり 「ほう?どんな所を?」と1科長が意地悪そうに言う 「・・・」何も言えない3科長であった・・・
・・・書き込んでみたい気持ちはありますが、皆さん凄すぎる。
もう少しROMってから、ネタを書くことにします。
389 :
まいにちWACわく!その102:04/05/30 14:37
「中国?」「そう、中国。正式には中華人民共和国」「いや、知ってますけど…」グランドの端で会話するのは田浦3曹と柳沢士長
試験の様子を見に来た田浦3曹に駆け足中の柳沢士長が声をかけてきたのだ
「で、その中国が攻めてくる夢を見たと?」「そう、河原のヤツが持ってきたクソゲーのせいだ」柳沢士長は田浦3曹より年上で入隊も古い
「でも何かリアルでな…」「ま〜警戒は必要でしょうけど、中国はそんなに心配する相手じゃないですよ」事も無げにさらっと田浦3曹が言う
「そうなのか?でも『朝雲』とかによく書いてるけどな…」「『EEZで調査船』とか言うヤツですか?」「そう、あいつら軍拡しまくってるんだろう?」
図版を持つ手を動かし、田浦3曹が口を開く「中国軍は200万人の軍隊といわれています。予備役を含むと1000万、自衛隊の約50倍ですね」「だろ?人海戦術だよな」
「でもその200万の軍隊をどうやって日本に持ってくるんですか?」「そりゃ輸送船とかを使って…」手で柳沢士長の発言を制し、言葉を続ける
390 :
まいにちWACわく!その103:04/05/30 14:40
「中国海軍のレベルは決して高くはありません。軍艦というのはその国の技術の結晶ですから、結局はそのレベルのモノしか作れないのです。軍艦の数は多くても火力は貧弱です」一息入れて続ける
「世界でも最強クラスの海上自衛隊からしてみれば、ただの動く的ですね。200万人が乗っててもみんな魚の餌です。輸送艦や飛行機に乗ってる内は、最強の兵士もタダの的ですからね」「しかし、資源を押さえられたら?シーレーンとか…」
「そんな事をしたらアメリカ、台湾、東南アジア諸国が黙ってませんよ。彼らにとっても死活問題ですから」「しかし…」「それに中国軍は一枚岩ではないんです」さらに続ける田浦3曹
「各地の軍閥というのもありますし、軍の幹部が企業経営してる事も多いのです。もし北京の中央政府が自分の利益を失う戦争を仕掛けたら、彼らはどう動きますかね?三国志の世界再びってとこですか」「群雄割拠か?」
「さらに日本を攻めている間、後方のチベットやウイグル族自治区が黙っているとは思えません。軍には彼らの民族も多く、反逆の機会を狙っていると聞きますよ。」
さらに続ける
391 :
まいにちWACわく!その104:04/05/30 14:43
「それに一人っ子政策の弊害で、下手に兵士を失うと後継者を失う一族の反発もあります。結局の所、中国はぜんぜん一枚岩では無いのです」「ほ〜」
「さらに日米安保があって沖縄に米軍がいる限り、中国は沖縄という橋頭堡を得られないのです。911以降米軍は沖縄から撤退する気はなさそうですし」「やっぱりアメちゃんか」
「米軍をさけて九州を攻めようとしても、待ちかまえているのはイージス艦を備えた海上自衛隊とイーグルを持つ航空自衛隊、そして精強西部方面隊です」「ふんふん」
「日本を占領できる戦力は、今のところアメリカしかないのです。自衛隊って意外と強いんですよ」そう言って笑う田浦3曹
「ま、少なくともあと20年は中国侵攻の悪夢は無いでしょうね。日本が中国に攻め入るのはあと100年は無いでしょうが…」
「じゃああいつら調査船なんか使って何してるんだ?」
「既成事実を作ってボチボチ領土を獲得するつもりでは?最近は日本政府も強気でうまくいってないみたいですが…」そう言って肩をすくめる「社民共産が弱くなりましたからね、世論工作も難しいでしょう。民主党もあんなんだし」
「マスコミの言ってることとは違うな〜」「マスコミなんぞケツの毛の先ほどの信用もありませんよ、この知識もネットで仕入れたんです」
「しかしずいぶん詳しいな〜」感心する柳沢士長「いやいや、2次の面接でよく国際情勢とか聞かれるでしょう?だからオレも勉強したんです、三島とかに教えないといけないから…」そう言って頭を掻く田浦3曹
「当面の的は中国より他中隊だな」急に後から声をかけてきたのは佐々木3尉だった
392 :
まいにちWACわく!その105:04/05/30 14:43
「お疲れ様っす!」二人が声をそろえて敬礼する
年齢では
柳沢士長>田浦3曹>佐々木3尉
だが、階級的には
佐々木3尉>田浦3曹>柳沢士長
という変わった組み合わせの3人だ
「どう?試験は」「ウチはだいたい分隊教練が終わりましたね、あとは体力検定…」田浦3曹が答える「この暑いのに、モデル要員がかわいそうだわ」柳沢士長がつぶやく
分隊教練の試験での分隊員、つまりモデル要員は各中隊から支援を出している。公平を期すために受検者とは違う中隊の人間が分隊員として動くのだ
「一日中歩いたり基本教練したりだもんな〜」田浦3曹の視線の先には、怠そうにしている赤城士長が見えた
「どこの中隊も新兵を主力に使ってるみたいだね」「そりゃ新兵は号令どおり素直に動きますからね、でもさすがに疲れてますね…」気温は25度を超え、真夏日といってもいいほど暑くなっている
5月の日差しは容赦なく作業服を着込んだモデル要員達を襲う「ちょっと様子見てきます」そういって田浦3曹はその場を離れた
「どうだ〜みんな!元気か?」わざと明るく振る舞う田浦3曹、しかしみんな生返事だ「暑いですっ…」ぼそりと答えたのは赤城士長だ
「まぁ後少しだ、がんばれ!」「この勤務を決めたのって田浦3曹ですよね…」誰かがぼそりと言う。みんなの視線が痛い田浦3曹であった
「ま、ま〜若い内の苦労は買ってでもしろって言うじゃない、ハハハ…」冷や汗をかきながらその場から退散する田浦3曹であった
うまい!懐の深さを感じる・・
394 :
まいにちWACわく!その106:04/06/05 14:38
試験もついに体力検定を残すのみとなった。公正を期すために全中隊の受検者約30名が一斉に試験を受けるのだ
候補生試験ではなぜか旧体力検定を実施する。課目は「50m走」「屈腕懸垂」「幅跳び」「1500m走」である
まずは50m走から始まった。全員がグランドに移動し、各中隊の記録要員や応援要員も一緒に移動する。田浦3曹も記録用紙やストップウォッチを持ってついて行く
「やっと命令会報が終わったよ、もうすぐ始まりかね?」先任もやってきた「ええ、今から50mです」そう答える田浦3曹
我が中隊の一番手は鈴木士長、大本命だけあって危なげなく50mを5秒9で駆け抜ける「さすがだな」「また1級取るんじゃないですかね?」
次は田中士長、記録は6秒7「まぁ許容範囲であうか」次は三島士長、記録7秒「…う〜ん、悪いな」「イマイチですね」
さらに何人か続き50m走は終わった
次は懸垂、鉄棒にぶら下がりあごを鉄帽の上に上げて、何秒耐えられるかを計測する。何人か一組となって実施するので、けっこう隣が気になるのである
「い〜ち、に〜い、さ〜ん…」踏ん張りすぎて脳の血管を切らないように、実施者は秒数を数えなければならない「ずっと思ってたけど、これは危ない競技だよな〜」先任が呆れて言う
ここでも鈴木士長がダントツ、記録96秒「さすがレンジャーだな」先任が感心する
田中士長は60秒「なんでキリのいいところで落ちるかな〜」田浦3曹が言う
三島士長は51秒「…何やってんだか」「でも、前回よりは上がってますよ」
395 :
まいにちWACわく!その107:04/06/05 14:39
続いて幅跳び、砂場に移動する「佐藤准尉」声をかけるのは本管先任・泉曹長だ「お〜様子見かい?」「ええ、やはり見ておかないといけませんからね」
本管は休暇前に本命一人が交通違反で落とされている「おかげで参りました…まったく」珍しく落胆した表情を見せる泉曹長「おかげで今回、ウチは若干不利です。心証が悪くなりましたからね」
受検者が幅跳びを続ける「ま、そうそう気を落とさなくても…」先任が慰める「WACの子も頑張ってるじゃないか」通信小隊・東間士長が2次まで進出している
「受かればいいのですがね、そうそううまくいくかどうか…」珍しく弱気の泉曹長であった
幅跳びの記録…鈴木士長6m30、田中士長5m02、三島士長4m83
続いて最後の種目、1500m走が20分間の休憩の後にスタートする
396 :
まいにちWACわく!その108:04/06/05 14:40
ピンポンパンポン…「本日1610より陸曹候補生2次の体力検定、1500m走が実施されます。業務に支障のない方は応援に参加されたい…」
駐屯地の放送を聞き多数の隊員がグランドに集結してきた。1500m走のコースはグランドと外柵沿いの一部を利用した一周700mのコースを使用する
「つまり2周と100m走るって事だな、1500mは長距離じゃなくて中距離の分野だから、集中力が大事なんだな」「そうですね〜東間士長はどうかな?」ゴール付近で会話するのは田浦3曹と赤城士長だ
スタート付近では佐々木3尉、先任、そして小野3曹が立っている「昨日の晩、しっかりマッサージしてやりましたからね〜筋肉痛は無いハズです」そう言うのは小野3曹だ。丸太のような腕がTシャツからはみ出している
「体育学校仕込みのスポーツマッサージ?」そう聞くのは佐々木3尉「そういう特技の持ち主がいるのは有利だな。薬も使った?」とは先任
「薬って…アミノ酸やらクエン酸、それに栄養剤ですから合法ですよ」呆れたように言う小野3曹「でもやっぱりドーピングみたいだ…」とつぶやく佐々木3尉
「位置についてぇ、用意…」パン!とピストルが鳴り、受検者が一斉に走り出す。歓声もわき起こる「前について行け〜!」「あご上げるな!」「腕振れ!腕振れ!」外野は好き放題言う
持続走訓練隊の要員が最初から飛び抜けて速い、格好も本格的だ。その後ろの集団に鈴木士長が付いている「鈴木〜前は気にするな!」田浦3曹が声をかける
その後に続くのは田中士長「田中、鈴木を追いかけろ!」そのかなり後に続くのが三島士長「三島!音楽祭に行きたくないのか〜!」
397 :
まいにちWACわく!その109:04/06/05 14:41
1週目が終わり先頭がスタート地点にやってきた。どこかの中隊がラップタイムを読み上げる「1分47、48、49、…」先頭は4分前半か3分台でゴールしそうだ
その後に鈴木士長のグループだ、しかしだいぶばらけてきている「2分20!21、22、…」赤城士長がタイムを読み上げる「鈴木は4分台でゴールしそうだな」
その後に田中士長が通過する「2分31!32、33…」少し苦しそうだ「このペースだと5分ぎりぎりか…」次に三島士長「2分45!46、47…」「これは5分30秒台かな?う〜ん…」
最後尾の東間士長が通過すると、コース周りの隊員が全部ゴール付近に集まってくる。もうすぐ先頭がゴールしそうだ「赤城、水を用意しておいて」「わかりました」そう言って野外机の上にコップを並べ、水を入れていく
歓声が上がった、先頭がゴールしたようだ。タイムは4分を切っているらしい「やっぱり持続走要員は違うね〜」感心したように小野3曹が言う「でも彼らを野外に連れては行きたくないな…」そうつぶやくのは佐々木3尉
「重量物を持ったりとかのタフさには欠けますからね」先任が同意したようにうなずく
鈴木士長がゴールした「4分42秒!」田浦3曹がタイムを書き込む「さ、歩いて歩いて…」赤城士長が誘導する「次来たぞ〜!」田浦3曹が叫ぶ
次にゴールしたのは田中士長だ「4分57か…5分切れたな」そして中隊の最後に三島士長が入ってきた「5分32、おいおい…」「でも前より速くなってるな」様子を見に来た先任がつぶやく
398 :
まいにちWACわく!その110:04/06/05 14:41
中隊が用意した机の周りに受検者達が休んでいる。整理体操をしている者、膝をついている者、倒れ込んでいる人に衛生が酸素マスクを持ってきている
「田浦、オレはどうだった?」息を切らせながら座っている田中士長が声をかける「4分57!5分切れましたね」そう言って親指を立てる田浦3曹
最後尾の東間士長が到着し、全員が集まっての整理体操となった。観客も全員が帰っている
先任や田浦3曹達も事務所に帰ってきた「いや〜やっと終わったな」嬉しそうに先任が言う「GWを潰した甲斐がありましたかね?」と田浦3曹が言う
「みんなのおかげでけっこういい成績が残せたな!」そう言って事務所に入ってきた中隊長「みんなもありがとう!GW分の休み、取れる時に取るようにな!」そう言って笑う中隊長
「そうそう休みが取れたらいいんですけどね…」そう呟く田浦3曹の机の上には、次の野営の計画書が乗っていた…
「ま、俺たちはともかく受検者には休みを取らせるか…」そう先任が言い、各小隊陸曹に休暇処置をさせた「後は中隊長の決裁だな」そう言って中隊長室に入った
「…というわけで休みを取らせようと…」「…そうだな、じゃあ処置を…」「…わかりました」
終礼後…帰ってきた受検者達を集めて先任が話をする「合格発表は6月の中旬、それまで服務事故とか起こさないようにな!」顔だけはまじめに聞いている
「それから…明日から日曜まで休暇になったから、ゆっくりと休むようにな」みんなの顔が一斉に笑顔になる
「休ませるってのはいいですね」事務所に戻った先任に田浦3曹が声をかける「そうだな。でも田浦、気をつけるようにな」「何をですか?」
「今の中隊長は事務所の要員や陸曹の意見をよく聞いてくれるが、人によっては『勝手に決めるな!』ってキレる中隊長もいるからな。よく人を見て行動するようにな」「そうなんですか?ケツの穴の小さい中隊長ですね…」
「ま、なんにせよ無事に終わってよかったよ。これで肩の荷が下りた…」「いえいえ先任、次の野営が待ってますよ〜」そう言って書類の束を掲げてみせる田浦3曹
各結節はあっても、中隊本部の仕事はず〜っと続く…
399 :
スキップ・ビート:04/06/05 19:24
番外編・外出解禁
「いやァ〜娑婆の空気はナンテ清々しいんだ!」候補生試験も終わり、三島と田島3曹は近所の焼肉屋「イムジン・リバー」
までの道のりをプラプラ歩いていた。「しかし外止めにしてまで訓練するんだから、中隊もよっぽど三島を陸曹にしたいみた
いだな」相変わらずの渋い声で田島が言う。「国家の暴力ですよ!監禁までするなんて!・・・なァ〜んて左の人達みたいな
事言ってみたりして」おどけてながら三島が言った。久々の娑婆の空気が軽い躁状態をもたらしているようだ。「ま、中隊と
しては雑用をこなせる<何でも屋>が欲しいんでしょうね」正確な現状認識である。「お前は嬉々として便利屋やってるから
な」 「そっスね〜、連隊だけで煮詰まってるより世界が広がるンですよ。あんな棒持ってヤーヤー言って喜んでるンじゃダ
メっすな!わはははは」三島は銃剣道をロクに経験していなかった。若年の合宿隊にも参加していないので、どうしても銃剣
道が優遇されるのに納得がいかなようだ。田島3曹がなだめる「まァそう言うなや。ほら着いたぞ!ここのユッケは最強だか
らな・・・ん?」入り口に何か貼ってある。「・・・クラブ・ザビ・・なんだろ?」三島は「ヤバイ」と思ったが田島3曹は
もう扉を開けていた。
400 :
スキップ・ビート:04/06/05 20:07
番外編・外出解禁その2
焼肉屋「イムジン・リバー」の店内は肉を焼く煙がたち込めていた。入り口にほど近い座敷に屈強な男たちが陣取っている。
2中隊の面々であった。2中隊は連隊内でも陸曹の発言力が特に強い中隊である。それは「レンジャーに非ずんば人に非ず」
という2中独特の不文律があるからだ。今日は2中隊の<ガンダムフリーク>を中心に、不定期に集会を開いている「クラブ
・ザビ」の宴会の日であった。ガンダムフリークとは言ってもザビ家への偏愛を信条とする、頑なな男たちである。その構成
員の濃さと、得体の知れぬ雰囲気を前に田島3曹は呆然としていた。と、そこへ稲村3曹が座敷からおりてきた。「おう!!
三島じゃねえか!お前もガンダム好きだったな!もちろんこっち側(ジオン)だろ?一緒に肉食ってけや!」・・・声がかな
りデカイ。筋肉も隆々である。そしてレンジャーだ。三島は稲村3曹の恐ろしさを、新教の頃に身をもって体験していた。せ
っかくの焼肉を一緒には食いたくない、かといって普通に断れるハズも無かった・・・。どうする?田島が目で聞いてくる。
三島の脳が高速回転を始めた。「稲村3曹、自分はもちろんジオン側ですが、ランバ・ラル派なんです。ですからジオン・ダ
イクンには忠誠を誓いますが、この会に参加する程にはザビ家を愛していません」稲村は目を見開いた。万事休すか・・・?
しかし次の瞬間、満面の笑みを見せた。「そうか!じゃあしゃァねーな!参加したくなったらいつでも来いよ!」そう言って
稲村は座敷に帰って行った。「失礼しますッ」そう言って三島と田島は店を出た。「三島ァ、お前とっさによくあんな事言え
たな!」三島はニヤリとして「雑魚とは違うのだよ、雑魚とは!」この後二人は駐屯地からは少し離れた焼肉屋で腹を満たし
たのだった。
番外編、不定期につづく・・・
401 :
専守防衛さん:04/06/06 03:56
面白い!普通科の人間としてはかなり勉強になります。
期待挙げ
>>394の補足説明。
「体力検定1」「体力検定2」からなる現在の制度は、あくまでも「試行案」です。
昇任試験における体力検定は、公式に存在する「旧体力検定」が、唯一公式レコードになりまつ。
おもしろage
保守
406 :
専守防衛さん:04/06/27 20:36
WACわくさんどうしたのかな・・・・
スキップさんもよろしく!
407 :
番外編:田中士長の戦いその1:04/06/27 22:02
時はさかのぼって4月中旬…
陸士長・田中大介。年齢29才、主特技は小銃、現職務は中隊本部給与付兼中隊長ドライバー
所有特技は初級装輪操縦・けん引・初級部隊通信・らっぱ・補助担架と陸士の持つ特技のほとんどを持っている
入隊は飯島士長は柳沢士長より下、田浦3曹や井上3曹より上の季節隊員
高校卒業後電気店で働いていたが、バブル崩壊後の不景気であえなく倒産したために自衛隊に入隊した
当初は2〜3任期で満期退職の予定だったが、入隊前から付き合ったり離れたりしていた彼女と結婚したのを期に陸曹になる事を決意
給与付を命ぜられてから勉強をして3回1次試験を合格。今回が2次4回目のチャンスであり、年齢的にもラストチャンスと言われていた
2次不合格の理由は体力。決して極端に悪くはないが、最近の候補生のレベルでは少し見劣りしていた
今も体力検定科目の1500m走を計測しているが、鈴木士長を始め若い連中にはだいぶ先を行かれている。後ろに三島がいるのが救いか…
408 :
番外編:田中士長の戦いその2:04/06/27 22:05
「5分12!」田中士長のゴールに合わせて倉田曹長がタイムを読み上げる。先にゴールした連中が歩きながら深呼吸している
「もう少し頑張らないとな〜」少し残念そうに倉田曹長が言う「…長距離は…ハァ…苦手で…」息継ぎをしながら田中士長が答える
「持続走は努力次第で伸びる!あと少しで5分切れるじゃないか」「けっこう…ハァ…頑張ってるんですが…」「まだまだ!もうすぐGWだが、しっかり走っておけよ!」
一日の訓練を終えて家に帰る、近くの2DKで妻の「かなた」と二人暮らしだ「ただいま〜って言っても誰もいないか…」かなたはバイトに出ている。食事の支度をする田中士長
ご飯ができあがる頃、かなたが帰ってきた「ただいまっ!ご飯できてる?」セミロングの髪を後にまとめたかなたは玄関を開けるなりキッチンに飛び込んできた
二人で夕食を食べる、今日のメニューは豚肉のショウガ焼きにみそ汁、ゴーヤのサラダだ「今日はどうだった?面接なんて何年ぶり?」質問をするかなた、田中士長は「ん〜?あぁ…」と生返事だ
「ちょっと〜ちゃんと話聞いてよ!」少し怒ってみせる「疲れてるんだよ…」ボソッと言う田中士長、食事もあまり進んでいない
「若い連中と一緒に走り回ってるんだから…勘弁してくれよ」「まだ若いじゃない?30代でも体力ある人いるんでしょ?」「そういう人たちは例外だよ…」「そう?」首をかしげる
「オレなんて人に自慢できるモノが無いんだから…体力も戦技もさ」「…自衛隊の事はわからないけど、今の大介クンは私でも採用しないよ」妻の辛辣な発言に思わず顔を上げる田中士長
「だってさ、そんなイジイジした人が上司になったら部下の人がかわいそうだよ」「…」「体中からオーラが出てるよ『オレは負け犬です』ってね」
さすがにカチンときた田中士長「お前に何がわかるってんだ!毎日化け物みたいな連中と一緒に体鍛えて、後輩連中にも抜かれて働いてるのは誰のためだと思ってるんだ!」
「少なくとも『私のため』なんて言わないでよ、私はあなたが頑張るためのエサじゃ無いのよ」じっと田中士長を見据えて言うかなた
さすがに言葉に詰まる田中士長「…お前にゃわかんねぇよ…」ボソッと言って残りのご飯をかき込んだ
409 :
番外編:田中士長の戦いその3:04/06/27 22:06
今日は朝から分隊教練、昼には演習部隊が帰ってくる。また今晩は中隊長の面接かな…?とみんな考えていた
「GW中も午前中は2次試験の錬成訓練を行う」と先任から伝えられたのは昼の集合時だった「…!」みんなの顔が曇る
「教官要員は中隊本部が持ち回りで実施する」「あの〜先任?代休とかはどうなるんで…」みんなの心配事を口にしたのは三島士長だ
「あのなぁ…そんなの心配してて陸曹になれると思ってんのか!?」と補給の林2曹「はぁ…」不満そうな顔で答える三島士長
そんな二人を手で制して先任が言う「休日の錬成は2日で1日の代休をつける、試験が終わってからも休暇が取れるようにしてやるから…」
みんな不満そうだが仕方ないといった顔をする「頑張りましょうよ!」と元気なのは鈴木士長だ
家に帰る田中士長、妻のかなたにGWの予定が潰れた事を言う「…ふ〜ん、う〜ん…わかった、頑張ってね!」意外とあっさり納得する
「もっと不満そうな顔をすると思ってたけど?」「新隊員の時とかに残留とか訓練とかってあったじゃない?もう慣れたわよ」
「そういや地震で3種勤務がかかってデートの約束が潰れた時もあったもんなぁ」「あの時に一度別れたもんね、よく覚えてるわよ」
お茶を飲んで一息「頑張れるとこまで頑張ってみたら?バイトのシフトも変更して貰うから」「う〜ん、わかった…」
410 :
番外編:田中士長の戦いその4:04/06/27 22:08
暑い中、そしてみんなが休んでいる中で訓練する2次受検者たち「縦隊右へ〜進め!」各中隊の分隊教練の声がグランドにこだまする。どこの中隊もGWは錬成してるようだ
「やってて正解かもしれませんね」今日の面接の練習を担当する田浦3曹が言う「でも休みが欲しい…少しでも…」呟くのは三島士長だ
三島は何故か昼からも練習して(させられて?)いるらしい。身も心もボロボロ…といった感じの三島を無視し、田浦3曹は言葉を続ける
「田中士長はやはり自己アピールが苦手ですね、何か特技とか無いですか?」と聞く田浦3曹「…ピンと来ないんだ」言葉を詰まらせて田中士長が答える
「車両の距離はどうですか?もうすぐ2万Kmでしたよね?」「あと1000Kmもあるんだが…田浦は試験の時何にしたんだ?」
少し考えて答える「『要領がいい』って答えましたね。漠然としてていんですよ」「要領ね…」さらに考えて答える
「田中士長は事務所に長くいるんですから、『事務仕事は得意です』ってのはどうですか?」「事務?陸士がそんな…」「事務はバカにできませんよ、大変なのは知ってますよね?」
そう答えて今度は鈴木士長のところに向かう「鈴木はレンジャー出てるんだから…」と各人にアドバイスをしている
(田浦は頭がいいよな…)ぼんやりと思う田中士長
(昔からそうだった…指示だって一回聞いたらすぐ覚えたし、要領も確かによかったからな。井上には射撃があったし…オレは事務しかアピールできないのかな?)
411 :
番外編:田中士長の戦いその5:04/06/27 22:08
長いGWも終わり試験前日になった。体力検定科目は結局記録更新とはいかなかった
軽く走って汗をかき終礼に出る「じたばたせずに自分を信じろ!」とは中隊長の言葉だ
帰り支度をする田中士長に声をかけてきたのは3小隊の小野3曹だ「よう田中!ちょっとツラ貸せや」そう言って畳敷きの娯楽室に向かった
「体中痛いだろ?」娯楽室に入り小野3曹が言う「ええ、まぁ…」「よし、うつぶせになれ」「?」「ま、いいからいいから…」
そう言って小野3曹は田中士長をねじ伏せた「よし、まずは…」ふくらはぎに激痛が走る「!」「力抜けよ、よけい痛いぞ」丸太のような腕でマッサージを始めた
「よし終わり!」手をはたき立ち上がる小野3曹「…」田中士長は死んだようになっている。ドラクエなら「返事がない、ただの屍のようだ」と表示されるであろう
「あとな…」そう言って袋から何か薬みたいなモノを出す「これはクエン酸、こっちは…」どうやら栄養剤とかのようだ
「ちゃんと飲めば効果が出るからな」そう言って横になっている田中士長の前に置く「どうも…です…」かろうじて礼を言う
「礼なら中隊長に言いな、結構高い買い物だがあの人が自腹を切ったんだから」そう言って立ち去る小野3曹
しばらくしてから立ち上がる「…!」体が軽い、さすが体育学校仕込み…と感心する田中士長であった
412 :
番外編:田中士長の戦いその6:04/06/27 22:09
軽い体で家に帰る「ただいま」おいしそうなご飯のにおいがする「おかえり〜今日は定番だけどカツにしたよ!」
食卓に付く「敵にカツ…か」「定番すぎた?」「いや、いいけど…」そして今日あった中隊長の言葉や小野3曹の事を話す
「期待されてるんじゃない?頑張ってよね!」「うん…」「ま〜だ自信無いの?もう…今日は早く寝た方がいいわよ、私も早番だから」意外とあっさり言われる
「…」食事を済ましさっさと片づけをする妻を見て、田中士長は(オレって妻にも期待されてない?)と疑心暗鬼に陥ってしまった…
翌朝、6時に目を覚ます田中士長。もうかなたはバイトに行ってしまったみたいで気配がない「…おはよう」寂しく一人呟く
洗顔、歯磨きをすまし、通勤服を着てキッチンに入る「?」テーブルの上に朝食と手紙が置いてあった。手紙を開く
(頑張って!)そしてハートマークが描かれている
手紙を置き朝食を食べ始める田中士長、その目には生気が宿っていた…
413 :
番外編:田中士長の戦いその7:04/06/27 22:10
2次試験が始まった。まずは分隊教練、これはミスもなくクリアした。試験を見に来ていた田浦3曹が声をかける
「お見事です!幸先いいですね」「ん?ああ、今日のオレは昨日のオレと違うって事さ!」「…?」
次は面接「田中士長!名札がゆがんでますよ」そう声をかけてきたのは赤城士長だ「あぁ、アリガト」制服の名札をつけ直す
(この子が来る時は大変だったな…でもいい子でよかったよ)「?私の顔に何か?」「いや、何でも…」慌てて頭を振る
「頑張って下さい!一緒に陸教で特技課程受けましょう!」「ああ、行ってくるよ」
面接は連隊本部の会議室で実施される「受験番号14番、田中士長入ります!」基本教練通り会議室に入り、机の真ん中に座る副連隊長に敬礼する
「ん、まぁ固くならずに座りなさい」副連隊長が声をかける。試験官は副連隊長、各科長に人事幹部だ
1科長からは「誇り高き陸上自衛官の心得」に関する質問
2科長からは保全(特にインターネット関連)に関しての質問
3科長からは「訓練での留意事項」に関する質問
4科長からは「物品愛護」に関する質問
人事幹部からは「人事異動」に関する質問だった
(全部予想通り…さすが事務所の人たちは知ってるな)感心しつつ答える田中士長
414 :
番外編:田中士長の戦いその8:04/06/27 22:11
面接も終盤にさしかかってきた「じゃあ自己アピールをしてみてくれ」と副連隊長が言う(キター!)と思う田中士長
「私の特技は…この2年間近く勤務している中隊本部勤務であります」田浦3曹のアドバイス通り、中隊本部勤務をアピールする
「各訓練や勤務等で必要な事、準備の大切さなどを覚えました。陸曹になってもすぐに役に立つ知識を持っていると思います」
一気にアピールを終える(突っ込まれるかな?)との予想に反し副連隊長は隣の科長達とひそひそと話をする
「それでは最後の質問だ」副連隊長が姿勢を正し言う「田中士長、絶対に陸曹になりたいかね?」当たり前の事を聞く「ハイ!」
「何でだ?給料は言うほど高くないし、世間からの名誉も得られないぞ」身を乗り出しさらに続ける
「むしろ一部市民からは蛇蝎のごとく嫌われている、非常呼集がかかれば親の死に目にもあえないかもしれん、イラクでもわかるように、命がけの仕事でもある」
一息入れてさらに続ける「娑婆に出た方が楽かもしれんぞ、それでも陸曹になりたいのか?」
415 :
番外編:田中士長の戦いその9:04/06/27 22:12
一気に言い切った副連隊長、田中士長は少し迷う(え〜?生活のため?いや、そんな理由で陸曹になりたい訳じゃ…)
少し考える、そして…(そうだな、これが理由だな)
「自分には妻がいます、いつかは子供も生まれると思います。日本には、そして世界には自分のような家族が何億といます」
一息入れて続ける「その家族を一人でも多く守りたい、イラクでも東ティモールでも、そして日本でも…」
うなずく副連隊長「ま、もちろん生活のためもあるんだろうがな」「はい、否定はしません。でもそのためだけに陸曹になるわけではありません」
「よし、お疲れさん!退室したまえ」「ハッ!」そう言って基本教練どおり退室する田中士長であった
「ふ〜緊張した…」営外者室に帰りため息をつく(あれでよかったのかな?ま、終わった事を考えるのはよそうか…)
そう考え、昼食を取りに売店に向かった
午後の後段に体力検定、中隊全員でアップをする「面接で何を…」「分隊教練どうだった…」会話しつつ体を温める
「いいか〜明日の事は考えるな!全力でいけよ!」アップを監督する倉田曹長が檄を飛ばしていた
416 :
番外編:田中士長の戦いその10:04/06/27 22:13
連隊の受検者が全員集合して各競技の説明を受ける「もう何回も受けてるんだけど…」そう呟くメンツも多い
まずは50m走、記録6秒7「やっぱり鈴木が強いよな…」そうぼやく田中士長
次は懸垂、鉄棒に飛びつく「い〜ち、に〜い…」数を数える。20秒を超えたあたりから腕がプルプルと震えてきた
(アゴだけでも上げないと…)どんどん体は落ちてきている、何とか踏ん張ってアゴだけでも鉄棒の上にあげる
「ごじゅうろ〜く、ごじゅうひ〜ち…」(なんとか60秒まで…)「ごじゅうきゅ〜う、ろくじゅう!ろくじゅうい〜ち…」ドサッ…何とか60秒まで耐えた
(でも後で「キリのいいところで落ちた」とか言われるんだろうなぁ…)
次に幅跳び、何度も練習してタイミングも覚えた(5m超える!)そう自分に暗示をかけて助走を始める。踏み切り板にピッタリ右足が来た
(キター!)上に向かって体を伸ばす。右足で踏み切り勢いよく飛んだ(鳥みたいだ…)と一瞬感じ着地する
3科の計測員が記録を読み上げる「5m02!」(よしっ!)心の中でガッツポーズをする
あきらめの悪い受検者が3度、4度と飛んでいる「3度目以降はあまり意味無いんですよね」とは鈴木士長の意見だ。彼は余裕の6m越え、さすがである
417 :
番外編:田中士長の戦いその11:04/06/27 22:14
次に大詰めの1500mだ。何かと3戦技の一つである持続走は何かと注目されやすい
「と言っても一つの戦技ばっかりやってる隊員は使えないんですけどね、成績とか出やすいけど中隊本部としてはいりませんね」とは田浦3曹の言葉だ
とはいえある程度の成績を出さねば合格は難しい、中隊の受検者全員で体をほぐす
ピンポンパンポン…「本日1610より陸曹候補生2次の体力検定、1500m走が実施されます。業務に支障のない方は応援に参加されたい…」
「おいおい、応援なんてやめてくれよ〜」誰かのぼやく声がする。放送があってから暇な隊員がぞくぞくと集まってきた
「けっこういるな…」田中士長がぼそりと言った「これはなんかイヤですね」とは鈴木士長だ
スタート3分前、受検者がスタート位置に集合する。持続走錬成隊の要員はランニングパンツにシャツというやる気満々の格好だ。背中には「陸上自衛隊」と書かれている(恥ずかしくないのか…)と内心思う田中士長であった
スタート1分前、みんなの緊張もピークに達する。屈伸する者、太股をぴしぴしと叩く者、いろいろである
ついにスタート10秒前、自分の心臓の鼓動も聞こえてきそうだ。いっせいにみんな無口になる
時計をストップウォッチに切り替えスタートボタンを押す
「位置についてぇ、用意…」パン!とピストルが鳴り、受検者が一斉に走り出す
418 :
番外編:田中士長の戦いその12:04/06/27 22:15
歓声がわき起こる「前について行け〜!」「あご上げるな!」「腕振れ!腕振れ!」(好きな事言いやがって…)と内心思う
いきなり飛び出したのは持続走訓練隊の要員だ、相手にせず自分のペースを守る田中士長
(鈴木は…いた!)少し前に鈴木士長の背中が見える。黒字に白のレンジャー徽章がプリントされ、その上に「#○○RANGER」と書かれている
徽章の下にはレンジャー同期の名前がある。レンジャー訓練隊で作ったTシャツらしく「ここ一番の時はこれを着るんです」と本人が言っていた
筋肉痛は無い、昨日までの疲れが嘘のように体が軽い(小野3曹に感謝だな…)その小野3曹もギャラリーの中にいたようだ
調子よく飛ばす田中士長、1周目の後半まで鈴木士長の背中を追い続けている(このままいけるかな?)と思った瞬間、急に息苦しさを感じ始めた
(やばい!ペースを上げすぎたか…)そう思い少しペースを落とす。スタート地点が見えてきた、ラップタイムを読んでいるのは赤城士長だ
「2分31!32、33…」半分弱で2分半、5分ぎりぎりか少し越えるくらいのペースだ(もう少し…もう少し早く!)とは思うがなかなか足が前に出ない
鈴木士長の背中も遠くなった、300mは離されたか。呼吸も荒くなりアゴも上がる。誰かが「アゴを引け!」と言ったような気がしたが、もうそんな余裕はない
(あと400mくらいか…)コースは外柵沿いにさしかかる、学校帰りの小学生が笑いながらこっちを見ているが、田中士長にはもう外を見る余裕もない
(もう少しペースを落としても…頑張ったじゃないか、もういいや…)あきらめの心境になりペースが落ちそうになったその時
「がんばれ〜!」外柵沿いから妻のかなたの声が聞こえた、ような気がした
419 :
番外編:田中士長の戦いその13:04/06/27 22:16
(!…かなた?)目だけを外柵沿いに向けるが、すでに後ろの方になっているのか誰も見えない
(空耳?いや…聞こえた、はっきり聞こえた!)今までの呼吸の苦しさ、足の重さが急に楽になった気がした
外柵沿いを抜けてラスト200mは直線だ。鈴木士長がゴールするのが見えた
(よし、最後だ!残りの力を振り絞って…)残った力をフルに使い全力でダッシュする。後の事は考えず、首を振りよだれを流して全力疾走する
「止まらないで歩いて…こっちです!」いつのまにかゴールしてたようだ、赤城士長に連れられグランドに入る
先に入っていた連中が、歩いて呼吸を整えたり膝をついて休んでいる。田中士長もその場に倒れ込んだ
頭は真っ白になり呼吸も荒い、誰かが紙コップに水を入れてきてくれた。少し口に含んではき出す、少し呼吸が落ち着いたような気がした
最後の走者、本管のWACが入ってくるのが見えた(確か東間士長だったか…)これで試験は終わったらしい。受検者は数分後に集合のようだ
ふっと思い出したように時計を見る、ストップウォッチは7分になっていた(タイムはどれくらいだったんだろう?)ちょうど近くを通った田浦3曹に聞いてみる
「田浦、オレはどうだった?」持っていた図版に目をやり田浦3曹がほほえむ「4分57!5分切れましたね」そう言って親指を立てる田浦3曹
(そうか…5分切れたか)いままで達成できなかった目標に届いた、田中士長は満足感を覚えた
420 :
番外編:田中士長の戦いその14:04/06/27 22:19
全受検者が集合し整理体操をやって解散となった「試験結果の発表は6月!それまで事故等を起こさないように」人事幹部が注意喚起をする
中隊に帰ってきた、もうすでに終礼は終わっていたらしい「先任、試験終わりました」先任者でもある田中士長が報告する
受検者の前に中隊長がやってくる「全力を出したか?」と質問をする「ま、ここまで来たらあとは俎の上の鯉だ。ジタバタするなよ!」そう言って先任に交代する
先任が言う「合格発表は6月の中旬、それまで服務事故とか起こさないようにな!」もう耳にたこができるくらい同じ事を聞いた
「それから…明日から日曜まで休暇になったから、ゆっくりと休むようにな」やった!とみんな笑顔になる
「やっと休み、いや外出できる〜」と唸っているのは三島士長だ。この半月ずっと外禁だったらしい
(さてオレは…どうするかな)そう思いつつシャワーを浴びて中隊本部に入っていった
「お、お疲れさん!」残業していた先任が声をかける「ゆっくり休めよ、奥さんにも花束くらい買って帰ってやんな」とアドバイスを受ける
(そうか、花束か…)そう思い休暇証を受け取り帰路に就く。先任に言われたとおり近くの商店街で花束とケーキを買った
(そういやアイツ、今日来てたのかな?)1500mのラストに聞いたあの声、自分の妻の声を間違えるとは思えない(…ま、いっか)
今日くらいは難しい事を考えないで、今までいろいろ我慢して励ましてくれたかなたに「ありがとう」とでも言おう…そう思い家のドアの前に立つ
(この花束見たらどんな顔をするかな?)そう思いつつチャイムのボタンを押した…
番外編ー完
421 :
まいにちWACわく!作者:04/06/27 22:22
やっと復活しました、こんなんでいかがでしょうか?
いやーずっと楽しみに待ってましたよー
おもろかったですー
423 :
スキップ・ビート:04/06/30 00:24
>まいにちWACわく作者様
ちょっと気になったのですが、陸士の序列を整備しませんか?私が書いた中では
柳沢は三島の1年下くらいのつもりなんです・・・。
先任士長が飯島士長Mと永嶋士長Mで、真ん中あたりの序列が三島士長Mと思っ
ています。その半年上の季節隊員で田島3曹ATM、三島の1年下に柳沢士長M
で、更にその1年下に河原1士Mでどうでしょうか?まいにちWACわく様がほ
ぼ本編の作者だと思いますので、この他の序列は好きにして下さい(笑)私、ス
キップ・ビートはこれからもしょーもない番外編を書かせて頂きます。
424 :
専守防衛さん:04/06/30 00:32
君はパンピー・モンキー・べべ?
age
426 :
運行おおおお!!!!(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノファイヤーーー!!!! :04/07/01 18:49
うんこおおおお!!!!(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノファイヤーーー!!!!
うんこおおおおファイヤーーー!!!!
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| ←――――― |
|________|
糞スレ終了
427 :
まいにちWACわく!作者:04/07/02 22:44
>スキップ・ビート様
そうでしたか〜どこかに「飯島士長と柳沢士長は同期」みたいな事が書いてあったような気がしましたので…了解です
とりあえずこちらも整理してみます
飯島士長 序列↑
田中士長
田浦・井上3曹
三島士長
鈴木士長
具志堅士長
(1任期ほどの間)
赤城士長ほか新兵(河原1士など) 序列↓
自分の方はこんな所ですかね
番外編も楽しみにしてますよ〜
428 :
まいにちWACわく!その111:04/07/02 22:46
陸曹候補生試験も終わり、中隊の次の目標は「第2野営」へと移った。今回の野営の主目的は「迫撃砲、ATM射撃」と「連隊40km行軍」だ
中隊本部も準備に大わらわだ
「え〜っと…行軍参加者は…」パソコンで名簿を作成するのは田浦3曹
「使用する弾は…請求の書類を…輸送の調整は4科に…」いつもは親父ギャグを飛ばす高木2曹も真剣だ
「なんだかんだと仕事があるねぇ…ヒマが無いなぁ〜」ぼやくのは先任だ
外では迫小隊が訓練中だ「半装填よし!」などと叫んでいる
「出発は明日の朝0600、というわけで本日の終礼は少し早めの1600だ」先任が事務所の各係に連絡する
「相変わらず早いね〜」と嬉しそうに言う倉田曹長、今回は残留先任だ「明日の昼からさっそく演習場整備をするみたいでね、行軍が終わってからではしんどいからね」とは先任だ
演習場で訓練するたびに必要なのは「演習場整備」だ。内容は草刈り、側溝上げ、木の伐採等多岐にわたる「草刈り機は準備したからな、たっぷり刈ってきてくれ!」とは補給・鈴木曹長だ
「さて…増加食を取りに行くか、来てくれ田中、田浦」そう言って給養の川井2曹は席を立つ
各演習やハードな訓練等には正規の食事とは別に「増加食」と呼ばれるモノが付いてくる
訓練内容等によって中身は変わるが、菓子類からカップ麺にペットボトルなどなど種類は豊富だ。たまに「審査会」を開き、隊員からの意見も採り入れる
「お、今回はカロリーメイトか〜チョコ味好きなんですよね」とは田浦3曹「それとポカリ、まぁ定番だな」とは田中士長だ
「明日からかい?大変じゃのう〜」と笑うのは業務隊に転属した東野1曹だ「こっちも忙しくてな、なかなか楽隠居はできんわい」と苦笑いする
「残りは現地受領だな。さ、積み込んでくれ」そう川井2曹が言い、荷物を手際よくリアカーに積み込んでいく「配分したら後は各小隊に渡すよ」
そんなこんなで終礼「明日からの演習、ケガの無いように!今日はゆっくり休んでくれ。課業終わり!」中隊長が言う
「中隊長に敬礼!」運幹・岬2尉の指示が響く「かしら〜なかっ!」各小隊長の号令にあわせ、隊員の顔が一斉に中隊長に向けられる
429 :
まいにちWACわく!その112:04/07/02 22:47
演習準備の買い出しに来た田浦3曹「…行軍時にはウイダーを…飴も買っていくか」ここは駐屯地近くのスーパー「ニッショー」である
駐屯地に近く品揃えも豊富なこのスーパーは自衛官御用達の店でもある。今日も明らかにカタギじゃない連中がうろうろしている
短髪で背筋が伸びてガタイがいいのはほとんど自衛官である(オレもそう見られてるんだろうな…)ちょっとブルーになる田浦3曹であった
「田浦3曹!」懐中電灯の電池を選んでいた田浦3曹に声をかけたのは赤城士長だった「おぅ、買い出し?」「ハイ!田浦3曹も?」買い出し以外に何の用事があるのだろうか…
「何を買ったの?」「え〜っと…」赤城士長の買い物かごの中には、お菓子類やジュース類がいっぱいあった「そんなに食うのか…?」「多いですか?」恥ずかしそうに聞く
「正直言って今回の演習は行軍以外にやること無いぞ、特に小銃小隊はな〜」「そうですか?何か『射撃時の警戒』ってのに入ってたんですけど…」「それじゃあますます動かないな」
そんな会話を続け、買い出しも終わり駐屯地に帰る二人「オレは一旦下宿に帰るけどな」とは田浦3曹
「下宿っていりますか?」「そうだな…たまには一人の時間が欲しい時もあるのさ」「田浦3曹、実家は遠いんですか?」「まぁね、電車で3時間」「それは遠い…」
暗い夜道を二人で歩く「月は…11才くらいか。行軍時は満月かな?」空を見上げて田浦3曹が言う「月明かりですか?」「あぁ、重要だよ。あと日の出や日の入りとか…ま、これから覚えていくさ」
下宿の前に到着した「じゃ、ここが下宿だから」「けっこういいアパートですね?」興味ある目でアパートを見上げる
ふと(今誘ったら付いてくるかな?)と考える田浦3曹(この子は…男に対してあまりにも警戒心が無さすぎるな)
その性格が自身の強さから来るのか、男ばっかりの家庭から来るのかはわからない。が、あんまり警戒心を持ってないのは事実のようだ
(危ういな…自衛隊で逆によかったかもな)普通に会社勤めだったら、あっという間にホテルとかに連れ込まれるような気がした
(やめとくか…俺が大人にならないとな)そう思い直す田浦3曹「それじゃお疲れさん!」と言ってアパートに入っていく
「おやすみなさい!」そう言って去っていく赤城士長だった
430 :
まいにちWACわく!その113:04/07/02 22:48
演習当日の朝、営内者は0500起床だ「うぁ〜眠い…」半分寝ぼけた顔で洗面等を済ます。各車両のドライバーは一足早く隊舎を後にする
そして0600…「かしら〜なか!」中隊の朝礼をやって出発となった
「ウチが連隊の先頭を行く、営門通過は0615」岬2尉が細部指示を伝達する「着いたならば速やかに荷物の卸下、武器を優先します」
みんな聞いているのかいないのか、ぼ〜っとした顔である「…何か質問は?」し〜ん「よし、各車両ごと乗車、わかれ!」
朝焼けの中をディーゼル音が響く、隊舎の横の道に一列で停めてある中隊車両に隊員達が乗り込んでいく。先頭は岬2尉、最後尾に中隊長だ
岬2尉のドライバーは田浦3曹だ「さて、行きますか」ジープに乗り込みロータリースイッチを回しエンジンをかける田浦3曹、後部には無線機と林2曹が乗り込む
「パジェロならクーラーも効くのに…狭い!」ブーブー文句を言う林2曹「まぁまぁ、いつでも交代しますよ」苦笑いする田浦3曹
「さて、そろそろ出発だな」岬2尉が言う「わかりました」そう言ってウインカーを出す。後方の車両も一斉にウインカーが点灯する
「よし、出発!」ギアを入れクラッチをつなげようと左足を浮かせる「では、出ぱ〜…アレ?」前方に持続走訓練隊の監督が手を広げて通せんぼするように立っている
あわててブレーキを踏む田浦3曹、岬2尉がジープを降りる「今、訓練隊でタイム走してるんですわ、しばらく待っとってください」監督が言う
「ちょっと待って下さい!こっちだって命令に則った出発時間が…」抗議する岬2尉「そうは言ってもこっちも訓練なんですわ」聞く耳を持たないといった感じの監督
そうこうしてるうちに訓練隊の面々が前の道路を走り抜ける。後方を走る自転車の隊員がタイムを読み上げていた「もういいですわ、どうも!」そう言って監督は去っていった…
「こっちは連隊の般命に則って動いてるってのに…」ジープに乗り込んだ岬2尉が言う「まぁ彼らは一種の治外法権ですからね」呆れたように言う田浦3曹「じゃ、出発しますよ」
今度こそホントに出発だ。健康に悪そうな煙を吐き出し、ジープと後続の車両は駐屯地を出発していった
431 :
まいにちWACわく!その114:04/07/02 22:50
途中1度の休憩を挟んで、中隊は演習場に到着した。さっそく全員を集め中隊本部からの指示が始まる
「5号廠舎は中隊本部に1,2小隊、6号廠舎に残りの小隊、武器は…」細部指示を出し、宿営準備となった
さっそく荷物の卸下が始まる。陸士長以上は心得たモノで、全く無駄なく武器から宿営資材、個人の荷物までを下ろしている
「あの〜…」荷物の場所を指示していた先任に声をかけるのは赤城士長だ「私はどこに行ったら…?」当然ながらWACは別の廠舎に泊まる
「お〜そうそう、田浦〜!」先任に呼ばれて田浦3曹が来る「はい?」「赤城を案内してやってくれ」「わかりました」
「WACの宿泊場所はあそこに見える0号廠舎だ」田浦3曹が指す先には、少し新しい小さなプレハブが建っていた「本管のWACも来てるからね、一緒に泊まる事に…」
そこまで言った時、少し離れたところで甲高い怒鳴り声が聞こえた
「持ってきてないって〜!?何やってんだよ〜!」若い1士に背の低い曹長が怒鳴っている「普通は気を回して車に積むもんだろうがよ〜」どうやら何か忘れたようだ
「でも表示もなかったんでわからなくて…」「言い訳か〜?今から駐屯地に帰って取ってこい!」かなり無茶な事を言っている「今晩の酒が無くてどうやって宴会するんだ〜?」
「1小隊の小隊陸曹、木島曹長だよ」怪訝な顔で見る赤城士長に田浦3曹が言う「酒なんか買い出しに行ったらいくらでもあるのにね」
「言ってる間に宿営準備が終わりそうですね〜」呆れたように赤城士長が言う「あんまり『ジメジメ』にはかかわらへんほうがええよ」後から声をかけるのは井上3曹だ
「『ジメジメ』?」「そう、キジマやからみんな『ジメジメ』って言ってるんや。ジメジメしとるやろ?」
「しつこいからなぁ…」田浦3曹も言う「あんまり事務室から出てこないから、赤城はあんまり知らないよな?」「知らない方がええって〜今回は『3兄弟』がそろっとるわ…」井上3曹が眉をひそめる
「『3兄弟』?」赤城士長が聞く「今にわかるよ…」ため息をつく田浦3曹であった
432 :
まいにちWACわく!その115:04/07/02 22:52
宿営準備も終わり昼飯の時間となった。各人が駐屯地から持ってきたコンバット・レーションをほおばる
昼からは演習場整備、中隊の割り当ては…「トーチカ道のこの範囲、側溝から2mの草刈りです」岬2尉が地図を使い各小隊長・上級陸曹に説明する
各小隊の編成を崩して、中隊まとまって整備を実施する。高機動車や中型・大型トラックが整備範囲に向かう
現地に到着「では整備を始めます。草刈り機は陸曹以上で扱って…」整備の長になった(押しつけられた?)のは佐々木3尉だ
「集めた草は一カ所にまとめて、あとでダンプに積載して捨てに行くからね〜」と指示を出すのは田浦3曹だ。中隊本部で一番若いので、こういう作業ではよく出てくるのである
こういった作業に慣れた陸曹が草刈り機を扱う。エンジンの音が演習場に響き草刈りが始まった
ベテランの陸曹達は器用に木や岩をさけて地面スレスレを刈っていく、子供の背丈ほど成長した雑草が次々と倒れていく。回収するのは若い陸士達だ
「お〜い、あんまり草刈り機の近くに寄るなよ。小石とか飛んでくるからな〜」片桐2曹が近くで作業してた若い陸士に声をかける「は〜い」素直に場所を空け別の場所の作業に当たる
「何か順調だね〜」指示をする必要もない佐々木3尉はヒマそうだ。その時…
433 :
まいにちWACわく!その116:04/07/02 22:53
「うわ〜!」「危ない!危ないって!」「遠戸2曹、ストップストップ!」1小隊の面々が作業してた範囲で悲鳴が上がる
「!何事!?」佐々木3尉が悲鳴の上がった方向に向かう。近くで作業していた隊員も何事かと首を向ける
「危ないですよ遠戸2曹!」陸士に言われてるのは1小隊・遠戸2曹だ「どうしました?」やってきた佐々木3尉が声をかける
「え、あ、い、いや…その〜…」要領を得ない遠戸2曹「草刈り機の歯が地面を噛んで…」説明するのはそばにいた陸士だ
足元を見ると見事に地面がえぐれ土や小石が散乱している。草刈り機の鉄の歯も見事に欠けている「けが人は?」佐々木3尉が尋ねる「いません」誰かが答える
「あ、あい、いや…」遠戸2曹は金魚のように口をパクパクさせているだけだ「ここの草ならワイヤーで充分では?」やってきた田浦3曹が言う「鉄の歯は危ないですよ」
「も、もともとつ、付いてたから…」言い訳する遠戸2曹。みんな「…またか」という顔をする
「遠戸2曹は草を集める方に回って下さい、自分が草刈り機を扱います」田浦3曹が草刈り機を奪うように受け取る
その様子を見ていた井上3曹に赤城士長「3兄弟の2人目、『ジ・エンド』こと遠戸2曹や」井上3曹が言う
「作業をやらせたらあんな風になってまう、射撃やったら8習会で屋根を撃つ、ジープも2台ぶつけとる、終わってるやろ?」
「…陸曹ですよね」「しかも2曹や」「…何で?」赤城士長の疑問ももっともだ「ああいう人でも陸曹になってまう時代もあったんや…」ため息をついて井上3曹が言った
434 :
まいにちWACわく!その117:04/07/02 22:54
翌日、朝の5時。朝焼けの中集合してるのは軽迫の射撃時に演習場の警戒をする「警戒員」達だ
「では各人の配置は…」長は片桐2曹、警戒員は若い陸士達がメインだ。赤城士長もその中にいる「車両・人員とも通過はオレの指示を仰ぐように」そう片桐2曹が言う
「無線機もチェックすること…よし、では出発!」全員が高機動車に乗り込む、ドライバーは田浦3曹だ。演習場にある各警戒ポストに人員を配置していく
警戒員は演習場の出入り口と、射撃時に立ち入り禁止となる範囲に向かう道路に配置される。車両の通過等は「警戒長」に許可を受ける必要がある
「神野1曹の生存自活訓練、受けたかったな〜」後部座席でぼやくのは赤城士長だ。射撃に関係ない隊員は神野1曹の「サバイバル訓練」を受ける予定だ
「まぁまぁ、明日もあるから…」そう言って慰める田浦3曹「さ、着いたよ。準備できたら中継に連絡入れるようにね」そう言って赤城士長を下ろす
全員の配置が終わり、警戒長の高機動車は軽迫撃砲の射場に到着した。迫小隊は射撃準備に走り回っている「さて、一日何もなければいいがな〜」そう言って片桐2曹は無線機に手を伸ばす
「こちら警戒長、各人の配置状況送れ」無線で指示を流し、中継がそれを全員に伝える「第1ポスト、異常なし」「第2ポスト、異常なし」…各ポストが報告を寄せる。ところが…
「第5ポスト!異常の有無送れ!」なかなか第5ポストが出ない「こちら〜第5〜ポスト〜いじょ〜なし、送れ〜」かなり間延びした答えがやっと返ってきた
「…第5ポストって…」片桐2曹が声を低くして呟く「えぇ、彼です…」田浦3曹も呟いた
435 :
まいにちWACわく!その118:04/07/02 22:55
ドン!…ドン!と軽迫の射撃が続く。今のところ異常なく射撃は続く
「このまま何もなければいいな〜」片桐2曹が読んでいた週刊誌を放り投げて言った「ですね〜」文庫の小説を読んでいた田浦3曹も相づちを打つ
と言った瞬間、その「何か」が発生した
ザッ…無線機に電波が入る「こちら〜第5〜ポスト〜、普通の車〜1台〜入りました〜おくれぇ」高機動車の中が一瞬沈黙した
「…『入りました』?」田浦3曹がボソッと言う「こちら警戒長!入りましたとはどういう事か、送れ!」片桐2曹が無線機に向かって叫ぶ
「普通の〜車です〜おくれぇ」「民間車両であるか?送れ!」
「そのと〜りですぅ、おくれぇ」「…何故通した!送れ」
「用事が〜あった〜そうですぅ、おくれぇ」「…今後、車両を通す際は警戒長の許可を受けよ!送れ」
「りょうか〜い」ホントに了解したのか不安になる返答だ「まったく…田浦」「了解、第5ポストに向かいます」そう言って高機動車のエンジンをかける
436 :
まいにちWACわく!その119:04/07/02 22:55
第5ポストは演習場の外周沿いにある。万が一ここから入った車も、次の第6ポストで停める事ができる「お〜い、赤城!」第6ポストに到着し、片桐2曹が声をかける
「ハイ!」第6ポストは赤城士長が付いている「民間車両が入り込んだらしい、よく見ておいてくれ」そう指示を出し、さらに先の第5ポストに向かう
「…ん?あれじゃないですか?」田浦3曹が言う、こちらに向かってくるのは軽の4WDだ「止めて話してくるわ」そう言って片桐2曹が高機動車から降りた
道路の真ん中に立ち腕を振る片桐2曹、軽が止まり中から人が出てくる。少しずんぐりしてるが髪が短く体格がいい。片桐2曹はピンと来た(同業者?)
「私有車でスマン、演管の山田曹長だ」そう言って身分証を出す(やはり同業者か…)少し安心した片桐2曹だった
演習場管理班…通称「演管」または「演管班」と呼ばれる彼らは、演習場を管理する駐屯地の業務隊に所属している。その名のごとく演習場の管理が仕事だ
「何かありましたか?」「ちょっとここに行く用事が…」「ここなら…この道に回って下さい」地図を見て指示を出す片桐2曹
「了解、ところでこの先のポストの警戒員は大丈夫か?」やはり言われた…「簡単に民間車両入れたらダメだよ〜」そう言って笑いながら山田曹長は立ち去っていった
「…直接言ってやらんと気がスマン!」片桐2曹はかなりご立腹だ「行きます?第5ポストに…」「…あんまり長く外にいられんからな、帰るか…」
高機動車は射場に向かって走り始めた
ザッ「こちら第6ポスト、軽の4駆1両、乗車者は演管の山田曹長とのこと、目的地西の台、通してよいか、送れ」赤城士長から無線だった
「通してよし」返信を出す「了解」
「まったく…赤城の方がよっぽどしっかりしてるよ。どうなってんだ?あの小畑士長は…」片桐2曹がボソッと言った
「ま、オバQくんに期待しちゃあいけませんよ」「アイツを警戒につけたのはお前だろうが…」「他にいなかったんです…」申し訳なさそうな田浦3曹であった
437 :
まいにちWACわく!その120:04/07/02 22:57
「『ジメジメ』こと木島曹長、『ジ・エンド』こと遠戸2曹そして…『オバQ』こと小畑士長…」一息ついてビールを一口飲む田浦3曹
「以上3名を1小隊の『最悪3兄弟』もしくは『税金泥棒3兄弟』というんや」後を引き継いだのは井上3曹だ
演習も2日目になり、今晩は廠舎で小隊の飲み会だ。弾薬箱を椅子にして、テーブル代わりの衣装ケースの上にはビールにおつまみ等々が並んでいる
「ビールにおつまみ…レモン酎ハイは?」「ハイ!私です」赤城士長は女の子らしくビールではなく酎ハイだ
「さ、乾杯しますか」小隊長の佐々木3尉が言う「何に?」意地悪そうに片桐2曹が突っ込む「それは…行軍頑張ってねってことで!かんぱ〜い」
ビールの缶があちこちでぶつかって3小隊(+中隊本部1名)の宴会が始まった
「そういや田浦、本部の方はいいのか?」「昨日飲み会しましたからね、仕事もありませんし…」「ま〜ま〜いいやないですか!」そう言うのは井上3曹だ
「自衛隊には陸海空あわせて25万人の隊員がいるんだから、上から下までいろんな人がいるんだよ」さっきの話の続きを始める田浦3曹「組織である限り仕方ないんだけどね」
「や、でも皆さん何か特技があるんじゃ…」「いや、無いな。この3人のエピソードを語り始めたら朝まで続くよ。聞きたい?」「ダイジェスト版なら…」
438 :
まいにちWACわく!その121:04/07/02 22:58
「そうだなぁ…まずは木島曹長からだね」そう言って田浦3曹は一口ビールを飲む「あの人は元々連隊本部の1科にいたんだ」
「1科?」「そう、庶務とか人事の担当だね。あの人は最悪だったらしいよ…詳しくは当時連隊長伝令だった大沼3曹に」そう言って隣で飲み会をしていた迫小隊・大沼3曹に話を振る
「ん?ジメジメの話か…思い出したくね〜よ」大沼3曹は少し広がった額の汗をぬぐって答える「ま〜ま〜そう言わずに…」するめいかで買収する田浦3曹
仕方ないな…という顔をして大沼3曹が体を向ける「ま〜1科でも評判は悪かったな。幹部や上級者にはヘコヘコ、連本や各中隊の下級者には高飛車で…」そう言ってするめいかを囓る
「中でも書類関係に細かくてね。文章の発簡なんかも1科の仕事なんだけど、文書の書式が5mmでもずれてたらネチネチと説教たれてやり直しをさせるんだよ」「それは…真面目だとか?」赤城士長の発言に首を振る大沼3曹
「自分で作らないといけない書類をオレとかにふって、できあがったら自分が作ったように科長とかに持っていくんだよ。で、書類で何か言われたらこう言うんだよ」そう言って木島曹長のモノマネをして言った
「『いや〜大沼に作らせたんですが、やはりミスがありましたか。指導しておきます!』…ってね」フンと鼻を鳴らしビールを飲む
「『指導』って言葉は便利だよな。上官は何をしても『指導』と言えば無罪放免なんだから…」そう言ってため息をつく大沼3曹
「と言うわけさ、わかった?」赤城士長に聞く田浦3曹「その後連隊長の推薦もあり師団司令部へ転属。でも仕事自体できる訳じゃないから2年で追い出されて今に至る…てわけさ」
「…そんな人もいるんですね」ビックリしたように言う赤城士長「まだまだ続きはあるよ、次は遠戸2曹のエピソードを…」
439 :
まいにちWACわく!その122:04/07/02 22:59
「遠戸2曹と片桐2曹は新隊員同期なんだよ」そう言って片桐2曹に話を向ける「…同期って言うな」不本意そうな片桐2曹
「オレは入隊時ですでに20代半ばでな、アイツは高校出て1年フリーターをしてたんだよ。ちょうどバブルの真っ最中だったな」そう言って遠い目をする
「あの時の新隊員は凄かったぞ。右と左がわからなかったり自分の名前が書けなかったり…ヤンキー崩れもゴロゴロいたな。今の状況からは想像もできんだろ?」
うんうんとうなずく赤城士長「ま、その中ならアイツも普通だったわけだ。さすがに最初の実弾射撃で連発させたのにはビビッたが…」
「64式でですよね?普通は間違えないでしょう?」田浦3曹が言う「普通じゃないって事さ、まぁ他にも伝説はあるわけだが…」そう言ってニヤリと笑う
「行軍中に『足がちぎれる〜』って泣き出したり、ストーブにガソリン入れて危うく天幕を全焼させそうになったり、まぁとびっきりなのは…」グビッとビールを流し込む
「陸教で機関銃を入れたまま掩体を埋めた事かな?」ブッと酎ハイを吹き出す赤城士長「機関銃!?」
「ま〜時間が無いってせかされたんだろうな。で、パニクって機関銃を埋めちゃったと…」3小隊の面々も笑っている「ビックリしたやろな〜」と井上3曹
「オレはアイツより8期後に陸教に行ったんだが、その時点でも伝説になってたな」小隊の面々も口々に「オレも聞いた」「オレも〜」と騒々しい
「なんで陸曹になれたんですか?」もっともな疑問を口にする「そういうヤツでも陸曹になれる時代だったのさ…」そうため息をつく片桐2曹であった
「最後は小畑士長、彼はデカいだろ?」「ええ、180以上ありますね」「だから目立つんだよな〜アイツに関しては…同期の鈴木に語ってもらおうか」
440 :
まいにちWACわく!その123:04/07/02 23:00
「う〜ん…そんなに面白いエピソードは無いですよ」悩んだように言う鈴木士長「まぁせいぜい『半日の便所掃除』くらいですか」
「半日?」「うん、教育隊で点検のあった日にみんなで手分けして部屋とか公共場所の掃除をやってたんよね」どんな教育隊でもある話、だが…
「便所とか乾燥室、廊下とかを掃除してね。午前中で全部終わって班長が点検してた時に小畑がいない事に気が付いたんだよ」「いなかった?」
「うん、で、探してみたら…」一旦言葉を切る「朝イチで終わらせたはずの教場横の便所を一人で延々やってたのさ」教場は生活隊舎から少し離れている
「『何でこんな所にいたんだ〜』って聞いたら、『誰も〜やめろって〜言わなかったから〜』だって…」口まねが小隊に大受けした。全員大爆笑だ
「半日も…」「オレならお断りだね〜」口々に小隊の隊員達が言う
「ま、他の中隊とかにも伝説の隊員はいるんだがな。この3人が我が中隊の『3兄弟』さ」そう言って笑う田浦3曹「人によっては『妖怪』とか『特殊部隊』とか言うんや」後を引き継いで井上3曹が言う
441 :
専守防衛さん:04/07/02 23:10
終了?
442 :
まいにちWACわく!作者:04/07/02 23:43
数日お待ちを…もう少し「山の飲み会」その後「#2野営編後半:連隊40km行軍」に続きます
443 :
専守防衛さん:04/07/02 23:48
面白かったっす。陸自の演習ってこんな感じなのか?
続きも楽しみにしてます。
444 :
スキップ・ビート:04/07/03 14:00
番外編・三島士長のマイペース
皆が宴会で盛り上がる中、三島は中隊本部の廠舎をシレっと抜け出していた。#2野営での三島の
役職は「中隊本部通信手」であった。生来の人見知りしない性格、妙に気が利く所を買われて中隊
長及び本部全般の伝令兼通信陸曹補佐として参加しているのだった。先程も持って来たウクレレで
「ホテル・カリフォルニア」を披露して本部のオジサン連中、特に中隊長に大ウケしていた。宴会
も半ばを過ぎた頃を見計らって、三島は外に出てきていた。とりあえず便所に向かうと、ちょうど
河原が小便をしていた。隣の便器につくと「あ、オス!」と言ってヒョコっと頭を下げてくる。
「おう、河原くん。宴会はどうかな?」三島が小便を始めると、河原は手を洗いに行きながら答え
る。「いや〜、ウチの小隊はよそと比べて食い物や酒がもの凄く充実してますよ!」その赤ら顔は
楽しそうな表情だ。「三島士長も遊びに来て下さいよ!」三島は手を洗いながら「まァボチボチ遊
びに行くわ」曖昧に答えて便所の外で別れた。三島は自分の小隊はちょっと苦手だった。普段でも
「吐くまで飲む迫小隊」などと言われている連中が、ヤマに来ておとなしくしているワケがない。
酒を飲まない三島にとっては、小隊に顔を出すのはあまり気の進む話ではなかった。ポケットに手
をつっこんで歌を歌いながらブラブラする。「♪し〜あ〜わ〜せ〜を訪ねて〜 わ〜た〜しは〜行
きた〜い〜♪」ちょっぴり孤独を感じたので電話をかける。相手は中央音楽隊の宮野ちゃんだ。彼
女は「ビートルズ信者」というのが共通点だった。しかし6回電話を鳴らしても出ないのであきら
めた。青木や上田に電話しようかとも考えたが、なんとなくやめる。ふと独り言を呟いてみる。
「男は時に、孤独でいい・・・」自分で言って笑ってしまった。歌の続きを歌いながら本部に向か
う。「♪イバラ〜の道も 凍てつ〜く夜も 二人〜で渡っ〜て行き〜た〜い〜♪」
こうして演習場の夜は更けていくのであった・・・
番外編、不定期につづく
445 :
専守防衛さん:04/07/03 14:03
士長の割には古い歌知ってますね。
446 :
まいにちWACわく!その124:04/07/03 21:55
飲み会はまだまだ続く「木島曹長や遠戸2曹はともかく、小畑士長は何で入隊できたんですかね?」もっともな疑問を口にする赤城士長
「どんなに試験の競争率が高くても、やっぱりああいう人間は入ってくるものさ。曹学だって…」言葉を切る田浦3曹「いたでしょ?」
「まぁいましたけど…」「そういうもんやって、入れる側のえら〜い人達は全然考えてないからなぁ」そう言って笑う井上3曹
「えら〜い幹部の皆さんかて変人多いで、前にどっかの特科の大隊長が露天風呂覗いて捕まったって聞くしな」
「…」家族のほとんどが幹部自衛官の赤城士長は複雑な顔をしている。その表情に気付いた田浦3曹が「…おい、井上…」と肘で突く「ん?何や〜」鈍感な井上3曹は気付かない
横で聞いてた片桐2曹が気を遣ってフォローを入れる「ま、組織っていうのはそういうものだよ。米軍から北朝鮮軍まで、国連から町中の中小企業まで、全員がスゴイ組織なんてそうそう無いさ」
「特殊部隊とかはどうなんですかね?」田浦3曹が聞く「ああいう所は選考の段階でかなり削られるからな、それでも『不良品』が混ざる事はあるだろうな」
「不良品って…」「工場とかの検品と一緒、必ず不良品が出るものさ。どんなに慎重にやってもな」片桐2曹は工場勤めの経験もある
「ところでその1小隊は何してるんですかね?」鈴木士長が言う「宴会するって言ってたよ」とは田浦3曹だ「若い連中は嫌がってたけど…」
「そりゃ〜イヤやろ、酒がまずくなるわな」と井上3曹「それもあるけど…」言葉を濁す田浦3曹「どうしたんや?」
「ジメジメのヤツな、若い連中から半強制的に宴会代取ってるんだよ、小隊会費って名目でな」「そうなの?」佐々木3尉が聞く「えぇ、で、若い連中は下働きとかでそんなに飲めないでしょう?」
「ん〜それはいかんな…」唸るのは片桐2曹だ「自分の飲む分だけ金出したらいいのにな」「かなり若い連中に鬱憤がたまってるみたいで…」ため息をつく田浦3曹
「そういうのを見るのがイヤだからこっちに来たんですよ」と田浦3曹、中隊本部は1小隊と同じ廠舎だ
「中隊本部はどうしてる?」「三島が盛り上げてるので問題ないですね」その三島に「後は頼む!」と言って逃げてきた田浦3曹であった
447 :
まいにちWACわく!その125:04/07/03 21:56
「ま、あれだな。『会社は選べても上司は選べない』ってやつだな」とは小野3曹だ。足下にはビールの缶が10本ほど転がっている
「お、何だ小野?オレは選びたくない上司だったってのか〜?」そう言って小野3曹にヘッドロックを噛ます神野1曹
「アイテテテ…いやいや、大満足っす!3小隊バンザイ!」ヘッドロックをふりほどきながら言う小野3曹。みんなも一斉に笑う
「じゃ、我がすばらしい3小隊に…乾杯!」佐々木3尉が〆の挨拶を行い、飲み会は終了となった
WACが泊まる廠舎に向かう赤城士長、外に出ると月がまぶしいくらいに輝いている
部屋に帰ると通信小隊の中村3曹、衛生小隊の橘1士がいた。二人とも雑誌を読んでいる「ただいま〜」そう言ってドアを開ける赤城士長
「おかえり〜飲み会どうだった?」「楽しかったよ、ユキは行かなかったの?衛生は飲み会してないのかな?」「1時間前に終わったよ〜」
寝具を出して寝る準備をする3人「明日歩くのは赤城だけね」と中村3曹が言う「えっ、そうなんですか?中村3曹は?」
「私はCPで無線手、一晩中ず〜っと無線機の前…」つまらなさそうに言って笑う「私はアンビ(救急車)に乗って最後尾を前進するよ〜」とは橘1士だ
「あら〜寂しいなぁ…」とぼやく赤城士長であった
448 :
まいにちWACわく!その126:04/07/03 21:57
翌日の午前中は行軍準備、背のうの整理や武器の脱落防止などをしている「背のうの荷物は重いモノを上に…」「雨はどうかな?だれか天気予報知らないか〜?」
井上3曹が携帯で天気予報を見る「晴れ時々曇り、降水確率30%か…微妙やな」それを聞いた神野1曹「雨衣準備しとけよ〜」
小銃の部品が落ちないように、各部品に黒テープを貼っていく「部品がポロポロ落ちる武器なんて怖いさ〜」とは具志堅士長だ「最初から落ちない用に作っとけってんだ」とは鈴木士長だ
雨の可能性があるので、銃口にビニール袋をかぶせてテープで巻く「ビニールあります?」赤城士長が言う「そこの箱にあるよ」と片桐2曹
「松浦、知っとる?」新兵(補士)の松浦士長に井上3曹が話しかける「何ですか?」「米軍とかは砂漠で埃が入らんように、銃口にコンドーム巻くらしいわ」
ちょっと引く松浦士長(…赤城がいるのにそんなデカい声で…)と目で合図する、が井上3曹は気付かない「そんなんを普段から持ってるってのがすごいわな〜」と大きな声で言う
後で聞いていた赤城士長、だが動じず「でもコンドームってネバネバしません?」と平気な顔で井上3曹に話しかける
「!」すっかり赤城士長の存在を忘れてた井上3曹「え、あ、そうやね〜」逆に女の子に言われると照れる井上3曹であった
449 :
まいにちWACわく!その127:04/07/03 21:57
昼からはゆっくり休憩(仮眠)そして1700,夕飯の時刻になった。みんな少し多めに食事を腹に入れる
1800に集合、岬2尉が全員の前でコースの説明を行う「SPは廠舎の入り口、演習場を出て部外の道を歩く。民間人とのトラブルは避けるように!」いつも言われてることである
「大休止は0100、村役場駐車場前だ。おにぎりの炊き出しがあるから期待しておけ。最後の2行程は演習場内を歩く、RPは同じく廠舎入り口…だが、我が中隊は予定通りこのまま訓練に入る!」
行軍終了後、演習場の一部を使いゲリラ掃討のための陣形を作る訓練を行う…それが今回の演習の目的だった「質問は?」無し「では中隊長…」岬2尉が引っ込み中隊長が前に出る
「一見いい天気だが、いつ雨が来るかわからん。準備はしておけ!ちょうどいい気温で月もまん丸だ」みんな空を見上げると、ほぼ満ちた月が空を照らしている
「いつも言ってる事だが今回も言う、脱落率0%を目標とする!以上」中隊長の話も終わり、中隊は行軍隊型に移行する
きょろきょろと辺りを見渡す赤城士長「どうした?」通りかかった田浦3曹が聞く「いや、例の3人はどこかな〜と…」「あの3人なら歩かないよ」「?」
木島曹長は安全係、ジープでよその中隊に付いていくわ、遠戸2曹とオバQは不寝番&廠舎監視、適材適所さ」肩をすくめて歩き出す田浦3曹であった
450 :
まいにちWACわく!その128:04/07/03 21:59
演習場の砂利道をモノ一つ言わずに数百名の人間が歩く、足音が山に響きかなり不気味だ。夕日を浴びながら演習場の外に出る
アスファルトの道は足の負担が大きい反面歩きやすい、月も明るく足下も見やすい。そして第1休止点に到着した
ここでも無駄な声は発さず、各人が休憩しやすい体型を取る「…赤城、靴ひもはゆるめた方がいいぞ…」後から神野1曹のアドバイスがあった
「靴擦れ等無いですか〜」衛生の救護員が各隊員に声をかける、彼らは休憩時間も忙しい「衛生の人たちは大変ですね」小さい声で前の鈴木士長に言う
「あぁ、普通科衛生は衛生科でも人気無いらしいよ」衛生小隊の隊員は教育を衛生隊で受ける、その時点で普通科を希望する人間は少ないらしい
行軍はまだまだ続く、ただひたすら歩くだけの時間…歩きながら寝る人間もたまにいる。ときどき前の人間にぶつかる音が聞こえる
そんな時…「雨?」少し雲が出てきて、ポツリと顔に雨が当たるようになってきた「…中隊長」先頭を歩く中隊長に声をかける岬2尉「わかっとる、次の休止点までは?」
すぐ後にいた田浦3曹が防水加工をした地図を広げる「あと約2kmですね、半分です」
「…よし、現在地で」「わかりました」そう言って岬2尉は手を挙げて中隊を止める「雨衣着用、5分以内!」すぐ後の隊員に伝え、1列に長く伸びた中隊に逓伝される
中隊が雨衣を着けている間、1コ中隊が追い越していった「抜かされたけどいいのかなぁ…」と赤城士長「びしょ濡れになったら体力の消耗が激しくなるからね」とは鈴木士長だ
5分後…雨は小降りになってきた「正解でしたね」と岬2尉「もちろん」中隊長がニヤッと笑い言った「よし、出発だ」
451 :
まいにちWACわく!その129:04/07/03 21:59
雨は2時間ほどで止んだ「にわか雨でしたね」岬2尉が言う「大休止点まであと少しです」とは田浦3曹
「よし、大休止点で雨衣を脱ごう」と中隊長
村役場前の大休止点に到着した「出発は0200!」岬2尉が指示を出す「マメ等ありますか〜」ここでも救護員は大活躍だ
おにぎりが各隊員に配られる「おいしいぃ〜」赤城士長もがっつくように食べている「食べられるだけマシだな、食欲もなくなったら危ないぞ」声をかけるのは神野1曹だ
「でも少し疲れました…眠いですよ〜」「もうすぐ夜も明けるからな、明るくなったら動きやすくなって体力の消耗も減る、それまで頑張れよ」そう言って他の隊員の様子を見に行った
0200…「各人、装具点検!」出発前に武器や装具を落としていないかの点検をする「異常なし」各小隊から報告が来る「よし、出発!」
夜明け前がもっともくらい時間である、月明かりがあってもさすがに暗い(眠い…)睡魔が赤城士長を襲う…ドンッ!前を歩く鈴木士長にぶつかった
「あ…スイマセン」ペコリと頭を下げる「寝てた?」少し笑う鈴木士長「何か考えたほうがいいよ」小声でそう言って前を向く
(何かか…何かって?)考える赤城士長(そう言えば田浦3曹は「筋を覚えた映画を頭の中で上映する」って言ってたなぁ)
何か映画を思い出そうとする赤城士長(眠気の覚めそうな映画…GIジェーン?ザ・ロック?プライベート・ライアンは…逆に眠くなりそう)
あんまり女の子の見る映画じゃないのがそろっている(う〜ん、ブラックホーク・ダウンとか…ウィンド・トーカーズなんかもいいかな?)
いろいろ考えて眠気も覚めてきた。辺りも少し明るくなってきている
452 :
まいにちWACわく!その130:04/07/03 22:00
明るくなってきた頃に演習場が見えてきた。隣接する駐屯地の給水塔が朝日を浴びて輝いている
演習場を少し歩き、廠舎に向かう道を歩く。が、中隊はさらに訓練を実施するのだ「我々はこっちだ」廠舎の前を通り過ぎ、訓練場所に向かう
(行軍してから訓練なんて…教育隊は甘いところもあったんだ)と思う赤城士長。周りの先輩方は当たり前のような顔をしている
訓練場所の西の台に到着、各小隊ごと背のうを集積して分散警戒をする「各小隊長は中隊長の位置まで」命令下達のため佐々木3尉も前進する
木にもたれかかり銃を構える赤城士長、ところが…(…あッ!)気付いたら銃口が地面に刺さっている(眠いぃ〜な〜)改めて銃を構える
「赤城、コレやるわ」その時井上3曹が声をかけてきた「?」渡されたのは眠気さましのガムだった「あと少しやで〜」「あ、ありがとうございます」ペコリと頭を下げる
佐々木3尉が帰ってきた「小隊は西の台の東側、この道路に沿って各人間隔10mで展開する。各班長は…」細かい指示を出す「それから荷物監視に1名残すんだが…」そう言って小隊員の顔を見回す
「誰か希望者は?」ゆっくり休めるのは確かだが、この場で「休みます!」とはなかなか言えない「じゃあ…あ」かぎしちょう、と言おうとして佐々木3尉は口をとじた
(WACだからって気を遣う必要は無いか…むしろどこまでできるか見てみるか)そう思い直した佐々木3尉「松浦、残っておいてくれ」と指示を出した
各小隊が1kmほど先の展開位置に向かい走り出す「たまには高機動車に頼らない事も必要だな〜」と言うのは片桐2曹だ。3小隊も展開位置に到着
手信号で各班ごと1列の横隊になって展開を始める。さすがに赤城士長も息が上がってる「大丈夫か?」声をかけるのは小野3曹、無反動砲を軽々持って走っている
「ハァ…は、はい」少ししんどそうだがまだいけそうだ「よし、あと少しだ!」
453 :
まいにちWACわく!その131:04/07/03 22:01
各小隊が展開し、いつでも前進できる体制を取った時「状況終了〜」の声がかかった「各小隊ごと人員装具の異常の有無を報告!」
3小隊も佐々木3尉の元に集まる「健康状態…異常なし、武器・装具…異常なし!いいね〜」
訓練を終え廠舎に帰ってきた中隊の面々。ふっと見ると小畑士長が鼾をかいてぐっすりと熟睡していた
たまらず田浦3曹が「こら〜!オバぁ!行軍もしてないのに寝るんじゃねぇ!」と珍しく雷を落とす
「武器手入れは昼から、それまで仮眠時間とする…別れ!」岬2尉の指示が終わり、やっと眠れる時間となった
ふらふらと廠舎に向かう赤城士長「大丈夫〜?」と声をかけてきたのは橘1士だ「も〜ふらふら…何してたの?」「なんかねぇ、1コ中隊だけ熱発患者がたくさん出て…」
どうやらあの抜かしていった中隊のようだ「雨衣着てなかったから、風邪もひくよね」「それだけじゃなくて…なんか道に迷ったらしいよ」小声でこっそりと言った橘1士
「道に迷った?」「うん、運幹が間違えたらしいよ」「…」片桐2曹の「不良品」発言を思い出す(幹部にもいるのかな…?)
454 :
まいにちWACわく!その132:04/07/03 22:01
昼からの武器手入れも終わり、演習も最後の晩を迎えた「飲み会は…しないか」3小隊に顔を出した田浦3曹が言った
「そっちは?三島が盛り上げてるんだろ〜?」「らしいですね、でも今晩はみんなダウンですね」神野1曹に言う田浦3曹
「そういや田浦?例の道を間違えた中隊、安全係は…」「えぇ、木島曹長です」ため息をつく田浦3曹「ジープの助手席でぐっすり…だったそうです」「あ〜あ…」
「他中隊から来てた陸士のドライバーの子に責任を押しつけようとして、少し揉めてるらしいですよ」「そりゃ〜そこの中隊も黙ってられんだろう?」「先任が頭を抱えてました…」
翌朝…廠舎の清掃も終わり、出発の時間となった「どう、疲れた?」出発までの時間に赤城士長に声をかける田浦3曹
「少し筋肉痛が…マメも痛いです」そう言って笑う赤城士長「でも行軍しかしなかったような気がします」
「そうさ〜野営って言ってもこういうのも多いよ。いつも状況にはいるわけじゃないし…でも次か7月には状況にはいるからね」「ハイ!楽しみにしてます」
(楽しみって…)苦笑いする(若いっていいねぇ)そんなに年でもないのに思う田浦3曹であった「そろそろ出発だぞ〜」誰かの声が聞こえた
駐屯地に帰り事務所に顔を出す本部の面々「よぅおかえり〜」倉田曹長が出迎えてくれた「何か…」「ありました?」先任と田浦3曹が同時に言う
「いや、何にも。平和なもんだったよ」そう言って笑う倉田曹長であった
455 :
専守防衛さん:04/07/03 22:17
456 :
まいにちWACわく!作者:04/07/03 22:28
>455
どうもですm(__)m
またしばらく間が空くかも…気長にお待ちください
地連ネタで番外編、やってもいいかな?
458 :
専守防衛さん:04/07/08 22:32
どなたか空自バージョンお願い。
459 :
専守防衛さん:04/07/09 01:25
上げ
460 :
赤城登場提案者:04/07/09 12:41
倉田曹長残留編 「1、1、1、2!」と新教隊員の声が聞こえる。新隊員かぁ・・・ 右を見ても左を見ても、人はいない事務室で一人物思いにふける。「あの中からうちに来るのも何人かいるんだなぁ」とつぶやき昔を思い出す
461 :
赤城登場・・・:04/07/09 23:59
今から、20年前 倉田2士 「おい!倉田!掃除が甘いぞ!」怒鳴られる倉田くん 先任士長の三島武市が怒鳴る。新隊員前期で施設科を希望していた倉田には毎日が地獄であった そんな時・・・ もう一人の先任士長 加賀美が倉田2士を連れ町の居酒屋へ連れて行ってくれた・・・
462 :
専守防衛さん:04/07/10 07:36
加賀美「おい、せっかく外出させたんだ!今日はとことん飲めよ!」倉田「はい!」でも?なんで俺だけ連れてこられたのかな?そんな疑問がある中、瓶ビールが運ばれて来た
463 :
専守防衛さん:04/07/10 07:51
居酒屋にて。「おまたせ、しました〜」運んで来たのは、20代前半だろう 若い娘サンだった 加賀美「おい、あの子どうだ?」倉田「はい?」どうだと言われ戸惑う 「かわいい感じな子ですね」
464 :
専守防衛さん:04/07/10 08:00
だろ?と加賀美 倉田、お前、あの子を誘えよ! 「えっ!なっ?なんですか?」加賀美はあわてて、「嫌、実はな、あの子を気に入っててな、だけども誘えないんだよ。でだ、少し酔ったお前があの子に絡む で、俺が止める で仲良くなる。と言う寸法だ」倉田 ・・・
465 :
専守防衛さん:04/07/10 13:31
結果は・・・ 加賀美の小細工の効果か?倉田の迫真の演技がよかったのか 加賀美と娘サンはデートをする事となったのだ。 こんな事をふと思いだしていると・・・ 「おい!おい!倉田!倉田曹長」と呼ばれる!はっ!と我に帰り事務室入り口を見ると・・・
466 :
専守防衛さん:04/07/10 13:37
定年をまじかに控えた4科の補給班長が立っている「どうしたんだ?ぼーとして。」「いえ、昔を思いだしていたんですよ。加賀美2尉」「奥さんは元気ですか?」 倉田曹長 残留編 終わり
467 :
残留編少し追加:04/07/10 18:45
日も西に傾き、そろそろ終礼の時間のようだ。新隊員達も列を作っている「ちゃんと横見ぃよ〜」「村田!前とずれてるんがわからんか!」助教達の声が飛ぶ
一時期甘くなった教育だが、最近の不景気でまた厳しくなっている。暴力は御法度だが、助教達はその迫力だけで新隊員達を従わせている
我が中隊からも支援助教が数名出ている。さてさてどんな連中が入ってくるか…
「倉田曹長、終礼しましょう!」自教に行ってる陸士が声をかける、残留者の長は倉田曹長なのだ「よし、終礼だな」
課業外、当直の倉田曹長は風呂場に向かう。夕方の涼しい風の中、風呂場前のベンチで新隊員連中が風呂上がりのジュースを飲んでいた
「よっしぁあ、勝った〜!」「あ〜くそ!3連敗…」数人でジャンケンをして、負けた者が全員分のジュースをおごる「ジュージャン」だ
(3連敗とは気の毒に…)新隊員の給料はそう高くない。まぁ使う機会も少ないのだが…倉田曹長を見かけ一斉に「ご苦労様です!」と敬礼する
「ん、ご苦労さん」答礼をして風呂場に入る倉田曹長
風呂場は2000まで開いてるので、新隊員はだいたい1930頃まで自主トレをしてから風呂に来る事が多い。風呂場の中も新隊員で一杯だった
(ほう…)イヤでも目に付く彼らの体を見て感心する倉田曹長(4月に比べて引き締まったもんだ)4月の当直の時に見たブヨブヨした体の新隊員はいなかった
「体重減ったぜ〜」体重計に乗り喜んだように言う新隊員、鏡の前でポーズを作ってみせる新隊員、割れた腹筋を同期に自慢げに見せる隊員もいる
(若い内はいくらでも鍛えられるからな…今のウチに頑張れよ)少し出てきた腹をさすり、倉田曹長は風呂場に入っていった
翌朝…今日は演習部隊が帰ってくる。めざましテレビを見ていた倉田曹長の元に「今から出発します」と田浦3曹からの電話があった
(さて…)倉田曹長は筆と墨と半紙を出す。そして…「『演習お疲れ様でした!残留者一同』…と」見事な達筆で書き記す
(コレを事務所前に張って…と)さぁまた明日から忙しい日々が始まるな〜と実感する倉田曹長であった
468 :
まいにちWACわく!その133:04/07/10 18:47
その日の夜…WAC隊舎屋上「もしも〜し、翔兄ちゃん?」赤城士長が電話をする相手は3人いる兄の真ん中・赤城翔次郎3等空尉である
(お〜久しぶりだな!正月以来か?)「GWに誰も帰ってこないんだもん、ビックリしたよ〜」(そりゃ仕方ねぇよ、仕事だもん)3人いる兄は誰もG実家に帰ってこなかったらしい
「ま、母さんは海に潜りに沖縄、爺ちゃん達は台湾観光、結局私と健だけだったけどね」(相変わらず元気な年より連中で…)
涼しい風が隊舎の屋上を吹き抜ける「それより兄ちゃん、部下に慕われてる〜?」(…いきなり喧嘩売ってんのか?)当惑した声で答える翔次郎
「いやいや、実はね…」演習中にあった出来事を話す「…部下に嫌われたらアレみたいになっちゃうよ。え〜と…そうそう『裸の王様』!」(オレはパイロットの中では下っ端だからな〜ま、確かに嫌いな上官はいるよ)
「やっぱり?」(どこにでもいるだろう?自分がそうならないように気をつけてるから大丈夫!こないだも整備の連中と合コンに…)
「へ〜」(それより何で俺にかけてくるんだ?純兄ちゃんや三吉は?)「純兄ちゃんは海の底、三吉兄ちゃんは久留米で入校中、連絡なんて取れないよ」
(そっか、まぁ曹士の階級も大変だろうな)「幹部は楽なの?」(そんな事は無いよ!ま〜でも不真面目にやればどの階級でも楽はできるんじゃね?オレはそのつもりはないけどな)
「ま、頑張ってね。1機100億だもんね〜F15って。落としちゃ大変!」(俺たちも一人あたま2億くらいかかって作られたパイロットだからな。要領なんてカマしてたら税金泥棒だぜ)
「やっぱり空はお金あるのね〜ウチなんてコピー代も自腹なのに…」ちょっと待遇の違いに納得のいかない赤城士長であった
469 :
専守防衛さん:04/07/10 18:48
.
470 :
まいにちWACわく!その134:04/07/10 18:48
電話は続く(龍子、幹部になる気は無いのか?)「幹部?う〜ん、まだ何とも…」(陸だと曹士なんて扱い低いだろう?専門職なんてそうそういないんだし…)
「それでもみんな優秀だよ。中には駄目な人もいるけどさ」(いやいや、そう言う事じゃなくて…捨て駒扱いされるのがオチじゃねえ?)
「捨て駒なんて思ってないけど?」(上がそう考えてると思うか?冷たいようだけど曹士はやっぱり組織の手足でしかないんだよ。取り替えの効くな)
「手足ってね〜みんな頭の付いてる人なんだよ!」憤慨する赤城士長(わかってるよ、でも司令部や幕僚の人たちがそう考えてると思うか?)「それは…」
部隊配属になって半年、今までもそういう扱いが無いとは言えなかった(やっぱりさ、組織の頭になるべきだよ。「現場がいい!」って曹学受けたのは知ってるけどな)
「…」(いろんな制度や納得いかない事だって変えるチャンスも出てくるぞ、「正しい事をしたかったら…」)「『偉くなれ』わかってるけど、現場で支える人も必要じゃない?」
(支えるのはお前じゃなくてもいいだろう?それこそ現場で力を発揮できる優秀な人たちに任せたらいい。そこまでの自信あるか?体力面では勝てないだろう)さすが幹部だけあって口がうまい
(現場を知ってさらに偉くなれば無敵だと思うけどな。どうだ?)「そんなの…まだわかんないよ」迷いはある赤城士長
(今ならまだ間に合うだろう?親父か叔父さんに頼めば防大くらいはいけるさ。ま、考えておいた方がいいぞ)そう言って電話を切る翔次郎だった
471 :
まいにちWACわく!作者:04/07/10 18:57
>ばっとかるま様
番外編まったくOKです!…と言っても自分が許可を出すようなことではないのですが
ばっとかるま氏は地連じゃーなので?
>458
空自編いいですね〜
「トップガン」のような戦闘機ものや「レスキューエンジェル」(マイナーかな?)のような正統派ドラマ…ではなく
地の果てにあるレーダーサイトの人間模様…とか面白いかも。ついでに海自編もありですかね?
またしばらく山に行きます…ではまた
472 :
専守防衛さん:04/07/10 21:57
7時間かけて全部読んだ!オモロイ!!!
兄ちゃん編(海・空)もキボンヌ。
>>468 赤城翔次郎って3尉でF-15乗ってるなら、航空学生出身でつね(^^ゞ
475 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 19:59
上げ
476 :
緑装薬4 ◆.4aL5K3vps :04/07/11 20:04
>471
おつ。
山ごもりで、パワーアップしてきてくれ(笑)
空自編、いいのぉ。
コンセプトわ、あんたの言うよーな奴ね。
マニャが読んでも、全然血沸き肉踊らないほど、ええのぉ(笑)
477 :
三島もう一つの趣味:04/07/11 20:44
外禁もとけ、2次野営も終わり・・・ 久しぶりの週末フル外 金曜日夜 さ〜て、今日は何しよっかな。「そうだ!こんな時こそ!」と車で一人出かけた そこについたのは、深夜2時 通常であれば、誰もこない場所である。しかし、今日は違っていた
478 :
専守防衛さん:04/07/11 20:51
三島が車で来たその場所とは・・・ 営業時間 昼11時〜13時 夕方16時〜19時 金曜 土曜は深夜1時〜3時 ラーメン おやっさん と小さな看板がある盛り場のラーメン屋である
479 :
専守防衛さん:04/07/11 20:54
実は、三島は隠れラーメン好き 雑誌 口コミ ネット その他の情報源をもとに、私有車を何時間でも走らせ、一人ラーメンを食べに行くことに時々生き甲斐すら感じていたのだ
480 :
専守防衛さん:04/07/11 20:59
おやっさんのラーメンは札幌ラーメン 寒い札幌 屋台で食べても常に熱い状態で食べれる事を考え太麺、豚骨ベースのスープに炒め野菜を乗せた味噌味 最近、少しずつ話題になっていたのだ
481 :
専守防衛さん:04/07/11 21:03
「らっしゃい!」威勢のいい声 周りの客を見渡すとさすがに皆、顔が赤い 「飲んだあとはここのラーメンだよね〜」サラリーマンが多い店の中にOLと思われる集団もいる「味噌ラーメンとチャーシュウ丼」といい席につく三島だった
482 :
専守防衛さん:04/07/11 21:15
ラーメンが来た うん。悪くない 贅沢を言ったら来るのは冬だな。などと思いながらもくもくと食べる。食べ終わり、車にもどり、三島ラーメンチェックリストを付ける う〜ん 総合で92点かぁ なかなか100点がでないなぁ
483 :
専守防衛さん:04/07/11 21:19
ふぁ〜 腹いっぱいになったら眠くなってきたな と言う事で三島は車の中で睡眠をとった
484 :
専守防衛さん:04/07/12 18:29
以前、書き込んでいた者ですが、長期出張から復帰したので、書き込み
再開してよろしいでしょうか?
>471
>番外編まったくOKです!…と言っても自分が許可を出すようなことではないのですが
週末あたりにぅpします
>ばっとかるま氏は地連じゃーなので?
まあ、そのあたりはご想像にお任せします(笑
486 :
専守防衛さん:04/07/15 22:12
田浦3曹下宿編 野営も終わり、一人下宿にて飲んでいる。やっぱり寂しい となると、近くのレンタルビデオ屋よりビデオを一人寂しく借りて来る生活が多いのだ・・・今日は少し違っていた
487 :
専守防衛さん:04/07/15 22:16
田浦の今日の武器 給料が手つかずで5月末まで残っている財布事情 赤城が同じ中隊でなければおそらく・・・な夜を過ごしていた?情事 それらがくみあわさり一人町に消えた
488 :
専守防衛さん:04/07/15 22:24
ラウンジ。ヨシコ ここは、普段、値もはり、中隊や連隊からは嫌われる飲み屋である。ただし女の子の数は多い そこに田浦は一人飲みに行ってみた。あわよくば・・・最後 女の子を誘う事を夢見て・・・
489 :
専守防衛さん:04/07/15 22:28
しかし・・・何もなく終わったのだった・・・ 時は土曜日 午前2時半 一人寂しく下宿に帰る田浦だった・・・ そして月曜日 先任と補給の林の2名の話だった 「田浦〜なんか顔がすっきりしてないぞ〜!」田浦編 完
>>471 遅ればせながら、乙です。
まだ戻ってきていないのかな?
ところで、細かなことですが、翔次郎兄ちゃん、空自の人だと「曹学」って
言い方はあまりしないのでは?
「曹候」って言い方の方が一般的だと思います。
妹さんの職場に合わせたのかも知れませんが、ちょっと違和感を感じたので。
491 :
専守防衛さん:04/07/22 20:29
月曜日 (うまいラ〜メン屋が無いなら自分で作るかなぁ)と考えながら朝礼場に向かう三島 (まずは、豚骨で・・・)など深く考えていた。それより少し前の事務室・・・
492 :
専守防衛さん:04/07/22 20:34
なんか曇った顔だなぁ〜などと先任に言われる田浦「・・・」 「まぁ、それはそれとして、2週間後に本管の何個小隊かが検閲だろ、それでなこんなのが来てるんだよ」と先任が差し出した書類 「検閲間における各臨時勤務交代要員差しだしについて」
493 :
専守防衛さん:04/07/22 20:38
田浦は目を通した。「うちからは、糧食に陸士二名ですか。」「そうなんだ、いつもならここで三島って言う名がでるんだが・・・今回はそうはいかないだろ。」 「まぁ、そうですね〜本人はなんて言うか判らないですけど〜」
494 :
専守防衛さん:04/07/22 20:44
「朝礼〜」当直が声をかける。田浦があわてて朝礼場に駆けると一人悩んでいるような三島とならんだ。「おぅ!おはよ!」と声をかける田浦に三島は「はい・・・」と何か元気がない。《何か変だ?悩んでるのか?》
495 :
専守防衛さん:04/07/22 20:49
朝礼が終わり、三島をよく見る田浦。《やっぱり悩んでいるようだな》「おい!三島!今日はどした?」それに対し三島は「いえ、なんでもないんです、ただ、豚骨か鳥か魚どれがいいか悩んでしまいまして・・・」三島の答えに、田浦はわけがわからず、呆然としたのだった
496 :
専守防衛さん:04/07/23 18:43
「多分ラーメンの話じゃないか?」そう、田浦に進言するのは倉田曹長である 《なるほどな、そう言われると・・・》 「なんだ、糧食に行きたくてラーメンの話なのかな?」なんて先任が横から口を挟む。
497 :
まいにちWACわく!その135:04/07/23 21:31
「ふ〜ん、幹部ねぇ…ま、選択肢は多い方がいいとは思うよ」「まぁそうなんですけど…」今日の中隊訓練は射撃予習、休憩中に話すのは田浦3曹と赤城士長だ
「確か防大は21才未満までじゃなかったかな?けっこう年齢的にシビアだよな」「現職の自衛官は23才未満だそうです」さすがに詳しい「まだ何年かあるんですけどね…」
「幹部ねぇ…でも赤城はやる気無いんだろ?」「あんまり魅力を感じないっていうか…父も桧町にいた時はつまらなさそうにしてました」桧町には数年前まで防衛庁本庁があった
「防大が女性を受け入れたのは最近だったよな…」ふと気になり愛用の「自衛隊手帳」をめくる田浦3曹
「平成14年度末の時点で、陸の女性自衛官は全部で7118人。うち5757名が医官や看護関係以外の隊員…」「以外と多いんですね」
「ところが幹部となると1170人中324人しか一般部隊にはいないんだな」「ほとんど医官や看護師ってことですか?」
パタン、と手帳をとじる「その324人もほとんどが会計とかだろうな。少なくとも普通科徽章は返上することになるだろう」横目で赤城士長を見る
「パイオニアになれる可能性もあるけどね。まぁ焦って決める事はないよ、流れに身を任せるのも手の一つかもしれないよ」「…」
「休憩終わり〜!」教官の佐々木3尉が笛を鳴らす
498 :
まいにちWACわく!その136:04/07/23 21:31
「もう何度も何度も言ってますが、もう一度言います」前に立つ佐々木3尉が言う
「『射撃は科学、考えれば当たります!』これを念頭に各人ごと練習!」そう言うと全員が2人一組を作り射撃予習を始める
「ええか〜勘とかで射撃が当たるヤツも確かにおる。でもな…」隊員の間を回って指導するのは井上3曹だ
「銃を固定できる姿勢を取って、照準を常に同じに、撃発時には呼吸を止めて、引き金をぶれないように絞る。これだけで絶対当たるんや!」と力説する
「アイツは言うだけあって当たるからね」と田浦3曹「珍しく真剣ですね」さりげなくひどい赤城士長「ま、とにかく練習しようか」「ハイ!」
伏せ撃ちの姿勢を取り引き金を引く赤城士長、それにあわせて田浦3曹がスライドを下げる「…どうだ?2発目以降が狙いにくいとかあるか?」「少し右下に…」「もう少し左肘を前にもってくるんだ」
相手が男なら体を触って姿勢を取らせる事もできるが、WAC相手だとそれもなかなか難しい(セクハラ対策ビデオでもやってたな…)赤城が来る前に見た教育用のビデオを思い出す
「赤城は体が小さいから、銃と体の角度をもっと近づける方がいいな。左肘の上に銃が来るように…」「こうですか?」姿勢を変える赤城士長(ん〜もうちょっと…じれったいなぁ)
この子ならたぶん少しくらい体を触ってもセクハラ扱いはしないだろう…と思ってはいるが、やはりべたべた女性の体を触るのは抵抗がある
「ん〜赤城、もうちょっとケツを前にするんや」そう言って横から手を出すのは井上3曹だ。赤城士長の弾帯をつかみ腰を持ち上げる「…よっと。どうや?」「ちょっと腰がしんどいかも…」「まぁ体格で損しとるからな。少しくらいは我慢や」
そう言って井上3曹は立ち去っていった
「…」「どうしたんですか田浦3曹?」立ち上がった赤城士長が聞く「ん、いや、何でも…」(アイツずいぶんあっさりと…)少しうらやましい感じもする田浦3曹であった
499 :
まいにちWACわく!その137:04/07/23 21:33
「そんな考え方は逆に失礼やろ?そもそも自衛隊に入る時点でそれくらいの覚悟はあると思うんやけどな」
その日の夕方、食堂で一緒にメシを食う田浦3曹と井上3曹「上の連中は過剰に『セクハラや〜』とか騒ぎおるけどな」
「そういうもんか?」「そうや、だいたい自分は昔から真面目すぎるわ」夕飯の鮭の塩焼きを箸でほぐしながら言う井上3曹
「逆にやで、『セクハラやから』ってちゃんと射撃教えんと戦争になって、その子がへたくそな射撃のせいで戦死したらどないすんねん」
みそ汁を一口すすりうなる田浦3曹「う〜ん、確かに…」「戦死ならまだマシやわな、生け捕りになったらどないな目に遭わされるか…」
ゴクリとつばを飲む田浦3曹「そうだな、俺たちは『軍人』じゃないから、ジュネーブ条約は適用されない可能性があるし…」
旧ソ連は自衛官に対し「ジュネーブ条約を適用しない」と公言してたそうだ
「教育するモンは責任があるんや。射撃に関してはオレは妥協する気は無いしな」「…」
少し教えられた気がした田浦3曹であった
500 :
まいにちWACわく!作者:04/07/23 21:35
山ごもりから復活しました。が、何かとバタバタしてまして…本格的な話はしばらくお待ちをm(_ _)m
>474
>490
そうなんですか?海空の事はよく知らなくて…勢いで初期設定したからなぁ
そう言う点でプロの小説家はすごいな〜と実感します
まぁ至らない部分は「脳内補完」してくれるとありがたいです
ちなみに陸では「曹候」と言うと「陸曹候補生試験に受かった人間」です
例えば鈴木士長が陸曹候補生試験に受かったら「鈴木士長」でもあり「鈴木曹候」にもなるわけです
と言いますか空自の曹ってどんなふうに昇任するんでしょう?
>476
有名なコテハンさんが来ましたね〜まぁお目汚し程度ですが楽しんでいって下さい
「週末にうpする」と言いながらアク禁でできませんでした
すいません
(夏ですなぁ〜)
>500
どーもです
空では「そうがく」と言うと「操縦学生」(現在の航空学生)を指す言葉だったので
「一般空曹候補学生」ができたとき「曹候」と略す様になりました
ちなみに陸では昇任試験に合格すると「陸曹候補性」として「陸曹教育隊」に行きますが
空は(海も)合格すると3曹に任ぜられ教育隊の初任空曹(海曹)課程に入校します
その他にも教育のシステムが陸海空で全く違うので志願者に説明するときはこれが結構面倒なんです・・・
>>501補足
●一般隊員・補士の場合
1月又は7月の1日に3曹昇任、その後、約3か月間の初任空曹課程の教育を受けます。
3曹昇任後、初任空曹入校までの期間はいささか中途半端で、空曹としての勤務
(当直空曹とか)に就くことも、通常はありません。
●一般空曹候補学生(曹候)の場合
2年目の1月から約3か月間の空曹候補者課程(空候)の教育を受け、3月の下旬に
3曹に昇任します。
503 :
専守防衛さん:04/07/30 07:27
あげあげあげあげ
504 :
専守防衛さん:04/07/31 04:27
期待あげ
505 :
まいにちWACわく!その138:04/08/02 17:37
次の日…朝イチから武器庫を開けて教習・検定射撃に向かう中隊一同。行く先は近くの山の中にある「極楽山訓練場」だ
極楽山訓練場は3km×2kmほどの広さの訓練場で、中にはレンジャーが使うロープ訓練場やヘリポート、それに屋内射場がある
いくつかの車両に分乗し前進を開始する
「あ〜耳栓忘れた!」「煙草のフィルターで代用したら?」「勝負しようぜ勝負!」「何点取ったら検定合格?」3t半の荷台は騒々しい
いつになくハイなのは、やはり「自衛官らしい=普通の社会人じゃできない」射撃訓練だからだろうか
口では「面倒くさい」とか「射撃後の手入れが…」とか言ってるが、やっぱりみんな射撃は楽しいのかな…とぼんやり思う田浦3曹であった
射場に到着、荷物を全員で下ろして射撃準備にかかる「前段勤務員は配置に…」「警戒旗を揚げてきてくれ〜」赤城士長ら新兵達も言われたままにパタパタ動く
極楽山射場には最新のセンサーが取り付けられており、監的が不要になっている。射撃結果は自動的にプリントアウトされるのだ
「ハイテクだねぇ…もう治痕紙の出番は無いのかな?」感心する先任。紙の的を使ってた時は穴をいちいちシールのような「治痕紙」で埋めていたのだ
506 :
まいにちWACわく!その139:04/08/02 17:38
勤務員が配置に付き、1射群が射撃準備を完了させた「射撃準備完了!」射撃係幹部の岬2尉が中隊長に報告する
「射撃開始!」中隊長の指示を受け射撃が始まった
タン…タン…ドームの中から発砲音が聞こえてくる「始まったね〜」交代係が次の射群を集め銃の点検をしている
「赤城は何射群?」中間姿勢の練習をしてた赤城士長に田浦3曹が声をかける「4射群です。田浦3曹は?」「オレは5射群、まだまだ先だな」
人数を節約する関係上、射撃に必要な勤務員を前段と後段に分け、前段で射撃した者は後段で勤務に就く…というのが一般的だ
ちなみに田浦3曹は後段の的操作である「2射群の薬莢回収員は4射群!」交代係が言う「あ、行かないと…」「気をつけてな」
射手1人には必ず薬莢回収員(コーチ)が付く。実弾の薬莢は100%回収なので、万が一にも無くさないようにするため
それから未熟な射手(新兵など)には、文字通りベテランの陸曹がクリックの修正や姿勢に関してコーチする事も多い
赤城士長の相手は…「…よ〜ろ〜し〜く〜ぅ」小畑士長だ「…は、はい」困った顔を隠すにも隠せない赤城士長であった
507 :
まいにちWACわく!その140:04/08/02 17:40
「おいおい、小畑のコーチに赤城が付くのか…」射場に入ってきた2射群を見て、岬2尉は思わず口に出して言う
「交代させます?」と聞くのは安全係に付く神野1曹だ「…他も全員陸士か。ま、小畑ならまだ大丈夫だろう」
弾倉に弾を込めながら赤城士長は小畑士長の顔を伺う(…)相変わらずのぼ〜っとした顔、身長180cm体重90kgの体はかなり大きく見える
(大丈夫なの?この人…)先輩ながら心配になる赤城士長だった
1射群の射撃が終わり、2射群の番になった「射手、銃弾薬を持ってその場に立て!」岬2尉の号令で待機場所から立ち上がる「射座まで前に進め!」
各人が自分の射座にやってくる「モニター確認」各射座には弾着を表示するモニターがある
「当初、点検射!射手伏せ撃ちの姿勢を取れ」弾着を確認し、標準の調整をするのが「点検射」だ。だいたい3発を3回撃ち調整する
「当初3発、射撃用意!…撃て!」号令がかかりしばらくして「パン」と派手な音が聞こえてくる
薬莢を受け取る網を持ち、赤城士長は油断無く構えていた(もし何かあったら…)銃を振り回したりされないように警戒する赤城士長
そんな心配をよそに小畑士長は3発を打ち終わる
全員が打ち終わったのを確認して「安全装置、銃置け!」岬2尉が号令をかける。安全装置をかけ、脚を立てて銃を置く射手たち
モニターにはすぐに射撃結果が表示され、監的を使うよりかなりの時間短縮となる。小畑士長もモニターを見るが、照星や照門をさわろうとしない
(?)赤城士長もモニターをのぞき込む「…!」モニターに映る的のど真ん中に3発、黒い点が見事に収まっていた
508 :
まいにちWACわく!その141:04/08/02 17:41
2射群とコーチが射場から出てくる「おぅ、お疲れさん。すぐに射撃準備だよ」田浦3曹が赤城士長に声をかける
「あ、はい」置いてある銃を取る赤城士長「…ビックリしました。小畑士長って射撃うまいんですね」ホントに驚いた…と言った顔で言う
「ん?あぁ…ああいうタイプは時々いるんだよ。昔から射撃はぼ〜っとしてる者ほど当たるってね」「そうなんですか?」「何も考えてないからかね?」昨日の佐々木3尉の言葉を全否定する田浦3曹
「体格もいいから銃を押さえ込みやすいしね。その点赤城は不利なんだよな…」銃の大きさは全員同じなだけに、体格の差はけっこう響くのである
「ま、教育隊では当たってるんだ。迷うと当たらなくなるから自信持ってね」「ハイ!」そう言って射場に向かう赤城士長だった
昼食の時間になった。駐屯地から食事を運んできたのは川井2曹だ「残飯処理が面倒くさいから残さず食えよ〜」と若い連中に言っている
「あの3点射ですか…あれで大失敗でした」残念そうな顔をするのは赤城士長だ「弾があっちこっちに…」
「散るんだろ?銃自体も64に比べると軽い上に、2発じゃなくて3発だからね」とは神野1曹だ
一般部隊で行われる中級検定では、最後に「脚使用の伏せ撃ち」がある。64式では連射にして射手自身が引き金から指を離す「単連射(2発)」だ
対して89式は「3発制限点射機構(通称:3点バースト)」があるため、引き金を引きっぱなしで3発を的にたたき込むのだ
銃自体が軽いのと(連射で銃が跳ね上がりやすい)弾数が増えた事から「64より難しい!」との声もよく聞かれる
「まぁ3点射で銃を押さえるコツはいろいろあるんだけどな…また帰ったら教えるよ」そう神野1曹は言う「はい、お願いします」
509 :
まいにちWACわく!その142:04/08/02 17:42
1500ごろに射撃も終わり駐屯地に帰隊した中隊の面々、射撃で使った資材をおろし各人の武器手入れの時間となった
廊下に毛布を敷いて、カチャカチャと小銃を分解・手入れしていく中隊の面々「どうだった?」「いや〜調子が…」「照明が暗くて照星が見えなかった」等々、今日の射撃の感想を言い合ってる
「お〜い、田浦」武器手入れをしてる田浦3曹に声をかけるのは井上3曹だ「どした?」「射撃結果見せて〜な」各隊員の射撃結果は訓練で掌握、運幹や射撃のコーチ等に見せてから各隊員に返すのである
「まずは運幹に…」「その運幹に頼まれたんや」井上3曹は射撃のコーチでもある「そうか、事務所のオレの机の上に置いてあるわ」
カチャカチャ…と89式小銃を組み立てる。最後の部品を組み込んで機能点検をする「連発…3点射…単発…そして安全装置よし!と」そして武器庫に銃を格納する
武器庫から出て事務所に入る。訓練の机に座ってるのは井上3曹、横に佐々木3尉だ
「大沼3曹は…弾着がまとまって…」「じゃあ選手要員に…伸びる余地がある人を…」だいぶ先の話だが、射撃競技会に向けての人選らしい
「お、邪魔かな?」事務所に入ってきた田浦3曹を見て佐々木3尉が言う「いや、いいっすよ。選手要員が決まったらまた教えて下さい」訓練として選手名簿を掌握したい田浦3曹である
「で、井上はどうだった?」ニヤリと笑いB5判の記録用紙を見せる「…伏せ撃ちと中間姿勢で49点!満点まであと1点かよ…」やはりスナイパー要員だけある
「ま〜こんなもんや、ゴルゴと呼んでくれや」少しお調子者ではあるが…
510 :
まいにちWACわく!その143:04/08/02 17:43
射撃も終わり終礼を待つだけとなった。とそこへ補給の鈴木曹長が話しかけてくる「おい、田浦…明後日に作業員5名取れるか?」
「5名?多分いけますよ。でも何で?」「新型半長靴の受領と交付なんだわ」「新型?」はて、半長靴が新しくなるのか…と頭をひねる田浦3曹であった
2日後…「よし、この箱を全部リアカーに積んでくれ」「は〜い!」作業員は各小隊から1名ずつ、新兵ばかりが集まっている「コレって何ですか?」作業員で来ている赤城士長が聞く
「新しい半長靴(戦闘靴)2型さ。赤城のサイズは取るのに苦労したんだぜ」と鈴木曹長「?」新型って何?と言う顔をする新兵たちであった
補給庫に箱を並べる「さて…サイズ26はそこに並べてくれ」そういって新型半長靴を取り出す「お〜」「へ〜」「これは…」新兵たちから声が挙がる
色は全体的に黒く、普通の登山靴のようなデザイン。靴先も本体と一体化しており、くるぶしと足首から上は布のようなモノが張られている
長さも普通の半長靴より10cmは短い「これが戦闘靴2型だ…持ってみな」「…重い!」持ってみて声を上げる赤城士長「中がすげーよ!ゴアテックスか?」誰かが言う
靴の上部まで防水性の素材が張られており、水がしみこまなくなっている「つま先が固いよ」つま先には鉄板が張られている
ひとしきり新兵たちが騒いだあとに鈴木曹長が言う「もう支給されてる部隊では評判いいらしい、まぁ噂だがな。さ、仕事してくれ!」
511 :
まいにちWACわく!その144:04/08/02 17:44
課業外…廊下に新聞を引いて受領した戦闘靴2型を手入れする赤城士長「まずは靴墨を…」支給された黒の靴墨を革の部分に塗っていく
全体にまんべんなく塗り終わったら、ウェスを使い墨をふき取っていく。そしてブラシをかけて靴を光らせる
「あ〜早速新型手入れしてるんだ?」そばを通りかかったのは衛生小隊の橘1士だ
「今日支給されたんだよ。ユキはまだもらってないの」「まだ…」「この子『サイズがない』って言われたのよ〜」と一緒にいた衛生小隊・中森1士である
「サイズ?」「うん…22.5なんて補給処にも無いって」残念そうに言う橘1士「タダでさえ服も装具も苦労してるのにな〜」
体格のいい普通科隊員を基準に作られている装備品は、身長148cm(見込み入隊)の橘1士には大きすぎるのだ「装具だって、弾帯に弾のうとか付けるでしょ?でも全部は付けられないのよね〜」
腰回りに付ける装具には弾倉を入れる弾のうや水筒、包帯を入れる救急品袋、銃剣も含めるとけっこうな量になる
さらに状況によっては折りたたみ式のエンピも付くので、(最近特に多い)やせ形の隊員は弾帯の内側にカバーを入れてまかなっている
だが、橘1士はカバーを付けても装具全部を付けるのは無理なので苦労しているのである
「補給班長は『何とかしてやる』って言ってたんだけどね」そう言って肩をすくめる橘1士であった
512 :
まいにちWACわく!その145:04/08/02 17:45
同じ頃…中隊の幹部室。各小隊の小隊長・小隊陸曹に係陸曹が集まっている「では、6月の勤務調整を始めます。まずは6月の予定から…」前に立つのは岬2尉だ
「6月始めに5日間の師団規模演習場整備、直後に情報・施設作業・管理整備小隊と3中隊の検閲があります」全員が配られた書類に目を落とす
「予定してました中隊錬成野営は…演習場が取れなかったので中止。ただし、極楽山訓練場で1夜2日の錬成訓練を実施します」ほぅ…と誰かが息を漏らす
「そして月末に連隊持続走競技会、距離は5km、コースは駐屯地内、参加範囲は基本的に全隊員。以上、大まかな6月の動きです」そう言って岬2尉は腰を下ろす
次に先任「6月の特別勤務等は事前に示したとおり、不都合等あればまた個別に調整します。それから…」ゴホンと咳払いする「6月前半の2週間、糧食班に1名の差し出しが来ています」
「それは何でですか?」質問するのは木島曹長だ「本管の検閲での交代要員だ。田浦、誰にするか決まってるのか?」書類から顔を上げる田浦3曹「三島を予定してます」
「む〜三島か…候補生も受かりそうだから小隊に返して欲しいんだがな」渋い顔をするのは近藤曹長だ「業務隊から『即戦力が欲しい!』と要望が…」困った顔をする田浦3曹
「泣く子と業務隊には勝てんよ、それに合格者発表もまだだしな。7月までは貸してもらうぞ」先任の言葉に笑いが起きる
「ま〜だ合格者わからんのですか?」と聞くのは神野1曹「人事班の口が堅くてね…」肩をすくめる倉田曹長であった
513 :
まいにちWACわく!その146:04/08/02 17:46
「演習場整備の参加者は基本的に中隊主力です。検閲支援は…」書類をめくる田浦3曹「補助官に各小隊長とドライバー、仮設敵に神野1曹以下3名、以上です」
「帰れないんだね…10日くらい連続で演習か〜」悲鳴を上げるのは佐々木3尉だ
「検閲支援に参加する人は頑張って下さい。代休も計画的に」とあっさり言う田浦3曹。そうそう簡単に代休が取れる状況でも無いのだが…
「あと急な話で何ですが、月末に方面の音楽祭支援があります」ざわざわとざわめく中隊一同「具体的な人員等は後日、1科から示されますので、心の準備をお願いしますね」
「見積等はあるんだろ?」そう質問するのは近藤曹長だ「そうですねぇ…中隊で15名くらいになりそうです」
「それくらいなら…」「主力じゃないのか…」安心したような声が漏れる
「支援に参加したら持続走大会は参加無し?」誰かが言う「いやいや、支援は土日で次の週の水曜日が大会です。もちろん参加っす!」力強く答える田浦3曹であった
514 :
まいにちWACわく!その147:04/08/02 17:49
「次、係陸曹から何かありますか?」岬2尉が言う「まず訓練!」
「先ほど田浦が言ったとおりです。持続走大会はドクターストップがかかってる隊員以外は絶対参加なので、体力錬成をしっかりと頼みますよ!」と訓練Aの中島1曹
「補給!」鈴木曹長が立ち上がる「新型戦闘靴を逐次行進してますが、一部隊員に旧戦闘靴の返納状況が悪い者がいます」後を継いで林2曹が言う
「戦闘靴の返納は墨を使わず靴を磨く、靴の底も水洗いして泥を落とす。各隊員にさらなる徹底をお願いします」
「次は…武器!」「え〜89式の銃床や握把部分、ここに油を付けてる人が散見されます。プラスチックが劣化するので油は極力付けないように!」と高木2曹
「まぁ顔の脂はしゃ〜ないですな」クスクスと笑いがおこる
「給養!」「前から言われてるのですが、営内者の喫食状況がよくありません。できるだけ駐屯地内で食事をするようにしてください」川井2曹は渋い顔だ
「もったいねぇよな〜タダメシならオレが食ってやるのに…」とぼやくのはローンに苦しむ鈴木曹長だ
「人事!」「保険の配当金が来月支払われます。時期については…」と倉田曹長が言う「当日不在の隊員については、代理人が受領して下さい」
「通信!」「7月の検閲でバトラーを使用します。全員にはわたりませんので各小隊は誰にバトラーを装着するか検討しておいて下さい」と岡野2曹
バトラー(交戦訓練装置)とは銃にレーザー発射機、各隊員に受信機を装着してより実戦的な訓練ができるように作られた装置である
「割当数は各小隊5〜10セットくらい、各小隊長と小隊陸曹は必ず付けるようになってます」
「え〜と、次は…先任?」先任が手を挙げている「もうすぐ陸教に行ってる木村1曹と藤井士長が月末に帰ってくるよ。二人とも優秀な成績らしいぞ」
木村1曹は上曹、藤井士長は初級陸曹課程からもうすぐ帰ってくる
「あと何かありますか?」岬2尉が言う。課業外な事もあり全員早く帰りたい、というわけで誰も何もないようだ「では中隊長…」
中隊長が立ち上がる「訓練最盛期となり非常に忙しくなってきている。隊員には逐次代休を取らせるのでそのつもりでな」全員の顔を見渡す
「7月には中隊検閲があるからな。各班長から小隊長まで隊員たちを盛り上げていくように!以上」
515 :
まいにちWACわく!その148:04/08/02 17:50
会議も終わり事務所に戻る面々「いや〜6月も忙しそうだね」と先任「訓練サイドで『訓練管理』があるんですよ…」と田浦3曹だ
「いつ?」「6月末、1/四半期末ですね」各期ごとに各中隊の訓練成果を3科がチェックして、次の期の訓練内容等を指導するのが「訓練管理(指導)」だ
補給関係は「現況調査」等でチェックされ、訓練関係は「訓練費」や「訓練管理」でチェックされる。なかなか気の抜けない中隊本部である
そう言いつつ机に座り仕事を始める田浦3曹、他の面々もなんだかんだで残業のようだ「なかなか楽にならんよ」と先任がつぶやく
先任も師団司令部から回ってきた「師団服務規律強化期間」の所見を書いている
「隊員の服務規律強化」のため年間何度か設定されるこの期間中は「敬礼・答礼・挨拶の確行」や「服務規律強化施策の実行」などが行われる
「て言うか幹部が率先して服務規律違反してるのに、現場部隊に何を守れと言うのかねぇ…」いつも同じ事をつぶやいてるような気がする先任であった
「最近そういう事があったんですか?」つぶやきを聞いた田浦3曹が聞く「知らないのか?GW前に師団司令部でセクハラだよ」と先任「セクハラ?」
ふ〜とため息をつく先任「あぁ、ま〜露骨にケツを触ったとかじゃないんだけどな」
「普通科部隊から転属してきた幹部が、庶務班の陸士WACに『お茶くみは女の仕事だ』みたいな事を言っちゃったんだよ」「それはあんまり良くないですね…」
「ま〜でもそのWACも大人げないよ。いきなり師団を飛び越して方面総監部に直訴したんだ」
516 :
まいにちWACわく!その149:04/08/02 17:51
同じ師団司令部内での告発なら、話を大事にせず内々の処理も可能だっただろう。それを方面総監部に持っていくとは…
「ま、内輪で話をもみ消されるのがイヤだったのかもな」「その幹部はどうなったんですか?」「『戒告』だったかな?」
懲戒処分の中でも「戒告」は一番軽いしょぶんだ。が、懲戒処分は一生その人の経歴に残る。しばらくの間は昇任も昇給もなく、事後の出世も危うくなる
「その幹部はずっと普通科で勤務して、中隊長として勤務してた時は3級賞状まで受けていたんだ」「そりゃスゴイ!なかなかいませんね〜」
連隊長を飛ばして師団長や方面総監から直々に表彰されるというのは、普通科中隊では滅多にない事である。つまりはその中隊長がどれだけ優秀であったかを物語っている
「部下にも慕われ上官からは信頼されていた野戦指揮官も、司令部でのたった一言で未来がパーって事だ。恐ろしい話さ」「…」
防衛庁はセクハラに関して、ほとんどの場合「言った者勝ち」のような処分を下している。過敏すぎる反応と現場でも言われているのだが…
「ま〜最初は心配してたんだよ。赤城が来る時はな」「そうでしょうね、でもいい子で良かったじゃないですか〜」気楽に言う田浦3曹
「ま、お前らもよくやってくれてるよ。まだ心配の種は尽きないんだが…」とため息をつく先任
(しかし普通科中隊最初のWACにああいう子を選ぶってのは…陸幕や方面総監部の連中もバカじゃないんだろうな)密かに思う先任であった
517 :
まいにちWACわく!その150:04/08/02 17:53
6月…ジューンブライドはあまり中隊に関係ないが、梅雨のシーズンであることは大いに関係がある
師団規模で行われている演習場整備、演習場内の廠舎は当然のごとく師団司令部や飛行隊・音楽隊等に取られている
普通科連隊や特科・機甲科等の野戦部隊は宿営地で天幕生活である。サッカー場の数倍はある宿営地に数千人が寝泊まりしている
演習場整備3日目、昨日は晴れたが今日は雨…天気予報では明日からは晴天続きらしい。でもあてになるかどうか…
(去年は「いつ梅雨明けしたかわかりませーん」なんて言いやがったからな、気象庁…)中隊本部の業務用2号天幕(通称:業天)の中で、田浦3曹は読書の手を休めぼんやり考えていた
先任は宅建の勉強中、後ろには…「…井上和香チャンかわいいな〜同じ井上とは思えんわ」「うわ〜やらしいカラダしてますね。井上3曹の好みのタイプなんですか?」
マンガ雑誌を読んでいる井上3曹と、(勉強のために)服務小六法を読んでいる赤城士長だ
「あの〜八尾駐屯地と八戸駐屯地ってありますよね?」「ん?あぁ」「八尾駐屯地業務隊も八戸駐屯地業務隊も略して『八業』になるんですかね?」
車両のバンパー等には部隊の略称が書き込まれている。例えば第11普通科連隊第2中隊なら「11普ー2」第6施設大隊本部管理中隊なら「6施ー本」などだ
「どっちも『八業』になるんですかね?同じってまずくないですか?」「まぁ東北と大阪やから会う事は無いと思うんやけど…田浦?どうなんや?」
「あのなぁ…」本を置き後ろを振り返る田浦3曹「お前らヒマなんか!?」
518 :
まいにちWACわく!その151:04/08/02 17:55
「お〜ヒマや、晩飯の調理開始は1500からでな。誰が俺らを炊事班に入れたんや?」と井上3曹「うんうん」同意したかのように頷く赤城士長
今回の演習場整備でこの二人は連隊全員のメシを作る「炊事班」に入っているのである「ホントは三島を入れたかったんだけど…」と田浦3曹
「三島は糧食班だろ?だから先代『雑用手』井上3曹を入れたのさ」井上3曹は三島士長が来るまで、ありとあらゆる雑用・臨勤をこなす「雑用ユニット」だったのだ
「じゃ、私は?」と赤城士長「若いモンの仕事だから…だろ?田浦」勉強の手を休め先任は煙草に火をつける
「まぁそれもありますし、やっぱり家庭科の授業とか受けてるかな〜と…」チラッと赤城士長の方を見る田浦3曹(調理実習でサンマを炭にしたことがあるんですけど…)とは言えない赤城士長であった
「で、どうなん?」と井上3曹が聞く「何が?」「いや、だからどっちが『八業』なんや?」「そんなの知らね〜…地の果ての話だからな」「八尾は大阪なんやけど…」「やっぱり地の果てだな」あっさり言う田浦3曹
「地の果てちゃうわ〜!日本第2の都市やぞ」「でも飛行隊の駐屯地ってだいたい田舎だよな?」「まぁそれは…実は八尾なんて行った事無いんや」と頭を掻く井上3曹
「ま、いつか行く事があったら確かめりゃいいよ」と先任「メシは何時くらいに上がる?我々で取りに行かなきゃならんからな」
先任たちはメシ上げや不測事態への対応のために残っているのであった「そうですね…1630ごろかな?今日はカレーですよ」と赤城士長「ところで先任は何してらっしゃるんですか?」
「宅建の勉強だよ、近いうちに定年だからね…資格が欲しいところでね」現実的な話をする先任(資料館の管理人とか、楽な仕事に就けたらいいんだけどね)と本音が出そうになるが、若い連中の手前グッと本音を飲み込む
「田浦3曹は?分厚い本読んでますね…」野外机の上に置かれてるのは福井晴敏著「終戦のローレライ」だ。実は読書好きな田浦3曹である
519 :
まいにちWACわく!その152:04/08/02 17:57
「今回の演習はヒマになると読んでたからね、もう何冊本を読んだか…」と言って肩をすくめる。よく見たら机の上に週刊誌、マンガ雑誌、パチンコ雑誌etcとたくさんの雑誌が乗っている
「とはいえパチンコ雑誌なんか読んでもね〜オレはしないからね」「オレもやけどな」同意する井上3曹
自衛隊にはパチンコ好きが多いが、珍しくこの二人はパチンコはしないのである「結局はこういう小説が一番時間がつぶれるのさ」
改めてCP天幕のなかを見る赤城士長
業天2号に作られた中隊CPは入り口すぐ右に机が置いてあり、机の前にベニヤ板が立てかけてある。そのベニヤ板には中隊の編成・日程表・無線網図・各種の命令指示文書・宿営地の配置図etc…が張られてある
机の上には携帯無線機・野外電話機・起案用紙に筆記用具などがそろえられている
入って真正面の柱にはベニヤ板がくくりつけられており、演習場の地図とその上にオーバレイが張られている。中隊の作業区域や段列などが青いグリースペンシルで書き込まれている
左側の机の上には食器や飯缶が逆さに向けておかれている。100名を超えるだけにかなりの量だ。天幕の奥には田浦3曹の野外ベッドと荷物が置かれている
「中隊長はどこで寝てるのかな?」赤城士長がボソッと言う「隣の業天2号に先任と田中士長、それに中隊長が寝てるよ」と田浦3曹。田浦3曹は一人で当直のようにCPで寝泊まりしている
「ま〜日中は交代してるしな、明日はオレも作業に出るよ」中隊本部の面々も交代で作業に出ているのだ
1430…「そろそろ戻りますか?」「そうやな、じゃ〜また来るわ」そう言って井上3曹と赤城士長は炊事場へ向けて出て行った「うまいカレー作ってくれよ〜」と二人の背中に先任が声をかけた
520 :
まいにちWACわく!その153:04/08/02 17:59
宿営地の外れに作られている炊事場は、一応コンクリート造りの建物である。電気も水も来ているので調理に困る事はない
「野外炊事の苦労に比べたら…なぁ井上3曹?」今演習の炊事班長である本管中隊(管整)斉藤曹長が炊事車の火加減を見ながら声をかける
「水も電気もありますし、なにより地面が水平なんがええですよね」と井上3曹「屋根も壁もあるから、雨が降っても気にならへんし…」
阪神大震災でも活躍した「炊事車(野外吹具一号)」は、野外で部隊の糧食を調理するための装備で大型トラックで牽引して移動する
還流式炊飯器6個と万能調理機を搭載しており、灯油を使ったバーナーにより炊飯のほか、煮物、炒め物、揚げ物の調理が可能である
ちなみに移動しながらの調理も可能という優れものだ
「お〜い、みんなご苦労さん!今日はカレーかい?」やってきたのは補給班長・加賀美2尉だ「おや班長!忙しい中ご苦労さんです。様子見ですか?」と斉藤曹長
何かと忙しい補給班長だが、時間を作って炊事班の様子を見に来たようだ「みんな朝早くから頑張ってくれてるからね。助かってるよ!」とねぎらいの言葉をかける
本隊と違う仕事をする炊事班やその他の支援業務は、どんな演習においても軽視されがちである
こういう演習場整備でも「俺たちは雨の中頑張ってるのに、炊事の連中は…」という感情を持っている隊員も(特に若い隊員や経験不足の幹部に)多い
各中隊に朝6時に食事を上げるには、炊事班が朝の3時や4時から飯炊きなどの調理を始めないといけない。そのほかにもいろいろ制約や仕事があるため、決して楽とは言えないのだが…
521 :
まいにちWACわく!その154:04/08/02 18:00
その点現場勤めの長い加賀美2尉はよくわかっており、炊事班や風呂炊きと言った支援業務の人間にもよく声をかけている
手と靴の裏をアルコールで消毒し厨房に入る「明日も朝は3時起きかい?頑張ってくれよ〜」各隊員の仕事ぶりを見ながら声をかける
その時、厨房の入り口に3人の陸曹が現れた「補給班長!ちょっとお話が…」一人が声をかける「それじゃ頑張ってくれ…どうした?」斉藤曹長に一言言ってから3人の元に向かう
4科の陸曹と見られる3人は一斉に話し始める
「3中隊からチェーンソーの替え刃を支給して欲しいと連絡がありまして…」
「師団の補給隊から燃料の見積りを早めに出して欲しいと言ってきまして…」
「戦車大隊がウチの給水車を一時借りたいと…」3人ほぼ同時に話し始める
「ちょっと待った!聖徳太子じゃないんだから…一人一人頼むよ」そう言いつつ加賀美2尉は立ち去っていった
その様子を見ていた赤城士長「うわ〜大変そう…」と呟く「4科業務は実際にモノと金が動くからな、大変なんだわ…」斉藤曹長が頭を掻きながら言う
「1科の仕事は人事とかみたいに未来の仕事、2科は情報っていう目に見えないモノ、3科は言ったら動く人を扱ってるけど…」言葉を切り雨空を見る
「4科の仕事は実物がある上に誰かが整備して運ばないといけない『モノ』を扱ってるからね。しかも貧乏な自衛隊だから…」そう肩をすくめて仕事に戻る斉藤曹長
(戦ったり動いたりばっかりじゃ無いんだ…奥が深いな〜)自衛隊の仕事の現実をかいま見たような気がした赤城士長であった
522 :
まいにちWACわく!作者:04/08/02 18:09
久しぶりの休みです。なぜ「月曜日に休み」なのか、わかる人にはわかるかと…
>501
>502
ご親切にどうもですm(__)m
なるほど…「操縦学生」で「操学」ですか〜しかし海空はまず階級が上がるんですね。陸から見ると少し違和感が…
保守
524 :
スキップ・ビート:04/08/04 18:41
番外編・臨時勤務
「えっ?カレー?あ〜、あんなモンはニンニクを多めに入れときゃみんな喜んで食べるンだよ〜ん」
ここは駐屯地糧食班、三島は休憩時間を音楽隊の宮野との電話に費やしていた。他の面子は喫煙所で
グダグダやっていたが、三島は一人糧食班の外に出てきている。「いやいや、方面の音楽祭りなんざァ
目じゃないのよ。多分らっぱ隊で出ると思うケド・・・おれが目指してるのは武道館よ武道館!ひゃ
ひゃひゃ!」三島の言う「武道館」とは11月下旬に武道館で行われる自衛隊音楽祭りの事である。
三島はその音楽祭りに連隊史上初の出演者として参加した過去があった。それまでは受付、警備、黒子
などの「裏方」で参加した隊員は数あれど、三島は出演者、それも「チアリーダー」として武道館の舞
台に立ったのであった。勿論その支援に来るのはWACばかりであり、(当然である。男ばかりのチア
リーダーなど誰も見たくない)男子隊員は6〜7人にしか満たない。三島はその「チャンス」を逃さず
に各方面に「魅力的な人脈」を築いたのであった。男所帯の普通科連隊において、この人脈はかなり衝
撃的なものだ。今電話をしている宮野は中央音楽隊の所属で、三島とはビートルズ信者というのが共通
点なのだ。「またカラオケ行こうね〜!え?64歳まで愛してやるっつーの〜」か・軽い・・・
こうして三島は休憩が終わるまで「ビートルマニア」な会話を楽しんだのであった・・・
番外編、不定期に気まぐれにつづく・・・
ばっとかるまです。
とりあえず以前に予告していた地連編、うpします
番外編・募集戦隊チレンジャー
演習場整備も終わったある金曜日、中隊終礼で命令を読み上げていた先任が顔を上げた。
「明日土曜日、新隊員の採用試験が行われる。解っているとは思うが残留者は駐屯地講堂と衛生隊には不必要に近づかないこと。以上」
課業後、たまたま同じテーブルで食事をとっていた田浦3曹に赤城士長が聞いた「新隊員てこんなに早く試験やるんですか?」
「ん?嗚呼、違う違う今回やるのは8月あたりに入る中途採用の連中だよ」「あ〜、そう言えば2士は一年中募集しているんでしたよね」
すると、少し照れた様に田浦が「実は俺も4月じゃなくって入隊は11月なんだ」「へ〜、そうなんですか?」
田浦の以外なカミングアウトにちょっと赤城が驚くと田浦は話題を変えるかの様に「もっと詳しい話が聞きたければ佐木班長に聞くといいよ」と言った
「佐木班長ってうち(3小隊)の佐木2曹ですか?」「そ、あの人一昨年まで地連にいたから詳しく教えてくれるよ」
明けて土曜日、赤城は同期の橘1士と共に秘密の花園WAC隊舎から出てきた。「今からで間に合うかな〜」「う〜ん、10時半からの上映なら大丈夫だと思うけど・・・」
「パレスまで30分かかるとして・・・、あ〜やっぱ車の方が便利だよね〜」「でも、駐車場に入れるまで時間かかるんじゃない?」「は〜、そっか〜」
”パレス”とは駐屯地最寄りの駅から私鉄で20分ほどかかるターミナル駅の駅前再開発によって作られた大型複合施設だった。
ターミナル駅はJRと大手私鉄が乗り合う為、その集客力を見込んでショッピングモールの他、シネコン、アミューズメントランド、中小規模のホールなど入っており
不況のさなか(いや、不況故、だろうか)週末ともなれば家族連れからカップル、若い女性でにぎわっていた。
そのかわり予想に反して車で訪れる客が多く、周辺の駐車場問題が深刻となってもいる。
二人はそこで映画を見るつもりの様だった。
やかましい・・・・いや、かしましい二人の会話は続く
「そう言えば中森さんが」中森とは橘と同じ衛生小隊の中森秋絵のことである。赤城達とは同期であるが
25歳で入隊したため赤城達から見ればずいぶん「お姉さん」である。中森自身が姉御肌な事もあって課業中でもない限り赤城達は”さん”付けで呼んでいた。
「中森さんがこのあいだ言っていた、エスニックのお店」「”ムーンウオーク”だっけ?」「そう!お昼そこにしない?」
そんな会話をしながら正門へと歩き出した。
いつもなら外出はもっぱら自転車だが今日は二人ともおしゃれをしているため駅まで徒歩で向かう。(と言っても歩いて10分くらいだが)
隊舎を出てすぐ二人は駐屯地講堂の前にさしかかった。
「不必要に近づくな」とは言われていたモノのWAC隊舎からだと正門へ出るのにここを通るのが近道なので仕方がない。
と、二人はほぼ同時に見慣れぬ男が講堂の入り口に立っているのに気が付いた。
男は赤城達の制服とほぼ同じデザインながら色は陸上の松葉色ではなく青を基調とした服を着ていた。
(空自の制服だ!)次兄翔次郎の制服姿を見たことがある赤城は一目でそれが空自の制服であることがわかった。(まあ、色遣いを見れば一目瞭然だが)
年の頃は20代後半だろうか?
肩にはこれまた陸とデザインは同じながら色違いの3曹の階級章を付け、腕には「地連」と書かれた腕章をしていた。
思わず二人は立ち止まり声をそろえて「お疲れさまです!」と挨拶をした。すると、その広報官はニコリと答えた「おはよう!」
「びっくりした〜。あたし空自の人って初めて見た」広報官に声が聞こえないだけの距離をとると早速橘がひそひそと話しかけた。「龍っちゃんは?」
「あたしは二番目のお兄ちゃんが空自にいるから・・・」「あ、そっか〜。でも、あんなに若い広報官もいるんだね」「ユキの担当だった人ってどんな人?」
「う〜んとね、たしか曹長でヒョロってした人」「あたしは反対だったな〜。1曹でドラえもんみたいな体した人だったよ」
と、そこで橘がニヤリと「でも、龍っちゃんの担当だった人大変だったんじゃな〜い?」赤城も笑って「そうかも、あんまり家に来たくなさそうだったし」
二人が正門に通じるその名も「正門大通り」に差し掛かると前からまたもや見慣れぬ男が歩いてきた。しかも今度は3人。
一人目は20代半ばらしく髪をそろえ、スーツ姿だった。おそらくサラリーマンをやっているのだろう。サラリーマンは赤城達を一瞬見たがすぐに正面を向きせかせかと歩いていった。
二人目は先ほどのサラリーマンとは正反対に金髪をスーパーサイヤ人の様にたてていた。格好も派手なTシャツにハーフパンツ姿。サイヤ人は赤城達に好奇(下心をプラス)の視線を浴びせ続けながらだらしなく歩いていった。
三人目はこれまた先ほど二人とはタイプが異なり、長く伸ばした髪を後ろで束ねた色白眼鏡だった。格好はシャツにジーンズ。赤城達にはおどおどした視線を向けていた。
3人が通り過ぎたところで今度は赤城が「なに?あれ?」と、つぶやいた。「受験生・・・だよね?」橘も3人のあまりのタイプの違いに驚いている様だった。
(田浦3曹もあんなカンジだったのかな〜)と、赤城は少し田浦に対する認識を変えた。
正門で警衛隊に敬礼し門を出ると、そこにはいかにも「地連のおじさん」っといった1曹(こちらは陸だった)が立っていた。ボードを持っているところを見ると、受験生をチェックしているらしい。
ちょうどまた受験生が来たらしく名前を聞いている。(タイプは二人目に近かった)
おそらく部隊にいれば小隊陸曹として陸士達を厳しく鍛えているはずの1曹が出来損ないのパンクみたいな若者に優しく話しかけているのを見ると、赤城達は少し悲しくなった。
道すがら「地連の人も大変だね」とつぶやく橘に赤城も「うん・・・」と答えるのが精一杯だった。しばらく歩くと橘は「映画・・・思いっきり景気のいいヤツにしようか」と、赤城に勢いよく問いかけた。
「そうだね!スカッとするヤツにしよう!」
赤城達の週末はまだ始まったばかりなのだ
週が明けて月曜日、
この日は初夏の陽気に誘われて草が勢いよくのびたおかげで中隊総出で草刈りとなった。
金曜日に田浦が行ったことを思いだした赤城は、休憩の時をねらって佐木2曹に土曜に見たことを話した。
「あ〜、そんなのいつものことだか気にする必要はないよ」佐木2曹は噴き出る汗を拭きながら言った。
「あんな連中のだって、バブルの頃に比べたらすっとましさ」「まあ、俺も人のことは言えないが昔は酷かったからね」「尤も不況だからって、黙っても人が集まると勘違いしている方面とか部隊に連中には参るけどね」
「人って・・あんまり集まらないんですか?」おそるおそる赤城が聞くと「集まらないって言うか、このご時世、フリーターでも何とか喰っていけるだろ、若いウチは」
「それに高在性が受験する9月はともかくこの時期だと春に進学したり就職したりした連中はまだ辞めていないからプラプラしているの自体少ないしね」
と、旨そうに麦茶を呑んだ
佐木2曹は一息つくと意外なことを赤城に言った。
「もし今後、臨勤でもいいから地連に話が来たら一回言ってみな。柵の中と違って世界が広がるぞ!」
「柵、ですか」赤城がクスリと笑うと、佐木2曹は「ああ、そうだよ。いいか、自衛隊って柵の中にいる限り良くも悪くも世間の荒波からは隔離されて生活しているんだ」
「特に営内者なんかは外出しなくっても生活していけるだろう。でも、昔っから娑婆はそんなに甘くはないんだよ」
「だからせっかく定年で再就職を見つけたのに自衛隊の癖がぬけなくてすぐ辞めたりするのも多いしな」
「CGSを出た幹部が一般企業に出向して1年くらい研修する制度だってあるだろ。アレだって世間を少しは知ってこい、ってことから始まったはずだぜ」
赤城は佐木2曹の言っていることに少なからずショックを受けた。(考えてみれば、ウチの家族ってみんな自衛隊だもんな〜。そんなこと考えたこともなかったな〜)
それを見た佐木2曹は笑いながら「あんまり深く考えるな。とりあえず赤城は仕事を覚えて一人前になる方が先だろう。まだ定年までに30年以上有るんだから。」
「まあ、そう言う考え方もある、ってことだけ今は知っておきな」
そう言われて少し気が楽になった赤城は「はい!そうですね」と、明るく笑い取り合えず今日の敵、伸びきった雑草へと立ち向かっていった。
地連番外編 一応終わり
534 :
専守防衛さん:04/08/05 16:17
ふぅ〜 臨時の臨時勤務 三島は18時を少し過ぎた時間に仕事を終え営内へと戻る 明日は休みであった と、すぐシャワーをあびる
535 :
専守防衛さん:04/08/05 16:28
シャワーを浴び私服に着替え、私有車を走らせる 今日は、青木と久しぶりのデート?だった。 待ち合わせの場所へ向かう。と、そこに1本の電話がなった。「もしもし・青木です。三島君、今日ね急な仕事で、会えなくなったの
536 :
専守防衛さん:04/08/05 16:33
さすがに師団で働いている人なんだろう 突然の仕事もあるだろう。 しかし、三島は少しへこんだ。休み前の夜、何しよう。と考えながら車を走らせた先は、いつか赤城を連れて行った事もある夜景の見る場所だった
537 :
専守防衛さん:04/08/05 16:41
さすがに穴場中の穴場だけあってひっそりとしている。 まぁ人なんていないだろう止まっ確信があるからこそ三島も来たのだが。しかし、よく見ると、時間が1だいある。その自転車の持ち主だろう、薄暗闇から独り自転車に向かって歩いて来ている
538 :
専守防衛さん:04/08/05 16:44
あれ? 三島し、三島さん? と、自転車の所有者は声を掛けて来た。その声にはききおぼえがある 「おぉ 赤城ちゃん どしたの?ひとりで〜」と言う三島は 少し考え「悩み解決したか〜?」と言った
539 :
専守防衛さん:04/08/05 16:49
赤城は「いえ、解決はしませんけど、ここで少しスッキリしたんで」と言う あえて悩みを聞かない三島 「そっか。そりゃ少しはよかった じゃ次は俺の番だからさ、少し、独りに浸ってくるよ」と三島は言い残し、夜景を見に行った
540 :
専守防衛さん:04/08/05 16:53
五分もたったろうか?三島は車に戻り、赤城を追いかけた。相手は自動車。すぐ追いつく 「へい!そこのねーさん おいらの車に乗ってかない?」 なんて言う三島に赤城も「え〜 私、家帰るだけですよ〜 変な事しないって約束するなら〜」なんて安っぽい劇のようなセリフをはく
541 :
専守防衛さん:04/08/05 16:56
結局、赤城と赤城の自動車は三島の車に乗った。さて、何をしよう〜 二人とも、明日が日曜日とあってトクガイ証をもらっている 悩む二人
542 :
専守防衛さん:04/08/05 17:01
ドウジコク 田浦の下宿 田浦「暇だぁ!」と独り叫ぶ さしずめ 下宿の中心で暇と叫ぶと言う世界だろう。しかし、本家 セカチュウは何万と言う人に届いたが田浦の独りごとなど誰にも届かない話のはずだった
543 :
専守防衛さん:04/08/05 17:06
しかし、届かないはずの声が、三島、赤城の2名に届いたのか?「ここ田浦さんの下宿」と三島が赤城に説明していた 偶然前を車で通ったのだ赤城も知っていたので「はい、前にここまで送ったんですよ〜」と話ていた 三島が 今から電話してお邪魔出来るかきこう!と言った
544 :
専守防衛さん:04/08/05 17:12
田浦の返事は大丈夫との事だった そして、ご飯を食べてるのは三島だけ と言う事で季節外れの鍋をすると言う事になった。しかも、闇鍋を 田浦を迎えに行き、三人別別に材料を買う 三島は果物類、田浦は正統派だろう 麺類コーナーをみている 赤城はお菓子コーナーの出入りが多い
545 :
専守防衛さん:04/08/05 17:15
田浦の部屋に行き暗くし、闇鍋をかいしする三人。そこから先は悲劇の連続であった しかし、三人は充分タノシメタようで、今度は正統派の鍋を!と誓い、幕を閉じた。
546 :
専守防衛さん:04/08/08 10:59
中本一つでここまで、盛り上がってるって、凄いです。続きを楽しみにしてます
>546
ネタはけっこうあるものです。自衛隊(特に普通科)の仕事は多種多様…
休み中なので新しい話はしばらくお待ちを
>ばっどかるま様
番外編楽しませてもらいました!
>547
どーもです
UPして読み返してみたら誤字脱字のオンパレード
いやはや、お恥ずかしい・・・
でも、いまでもああいう連中が平月の受験の主力なんですよね(ちょっと表現はオーバーにしましたが)
もちろんもっと「普通の」受験者もたくさんいますが・・・・・
皆さんも地連からの協力要請がありましたらなにとぞよろしく
また何か話を考えたらUPします
では〜
549 :
専守防衛さん:04/08/15 23:57
あげ
550 :
専守防衛さん:04/08/17 00:44
あげ
551 :
専守防衛さん:04/08/19 12:06
番外編・休憩中
三島は通信庫でボーっとしていた。ピンチヒッターで上番した糧食班勤務も終わり、中隊に
復帰したのだった。午後は通信整備に区分されていた。「うおーい、三島ァ。ジュージャンやろうジュージャン」隣の隣の部
屋で作業をしていた3中隊の通信陸曹、浅井3曹が声をかけたきた。浅井3曹とは連隊の通信
連中の飲み会、通称「トオレ会」でロック談義で意気投合した間柄である。しかし三島は違和
感を覚えた…「浅井3曹、ジュージャンじゃなくてジャンジューじゃないっスか?」浅井は怪
訝な顔で言う。「いや、ジュージャンだろ〜!」 「違いますよ!ジャンジューですよ!」三
島も譲らない。「絶対ジャンジューですよ!あ、平野!ジャンジューだよな?」通信庫の外で
喫煙していた3中陸士の平野は突然の質問に面食らったようだ。三島が話しの成り行きを説明
すると、「ジャンジューですね」と答えた。「ほら〜やっぱジャンジューですよ〜」得意気に
言う三島。「い〜やジュージャンだ!」浅井も粘る。「ちょっと通信小隊に聞いてみよう」本
管通信小隊の通信庫は各中隊よりモノが多いので、隣あっているもののドアを隔てた少し広い
部屋にある。「ちょっと聞いてくるわ!」そう言って浅井3曹は本管倉庫に消えた。「あの人
負けず嫌いだからなァ…」平野が呟く。「ぜってージャンジューだよ。世代の違いかな?」な
どと三島と平野が話していると、浅井が帰ってきた。何やら浮かない顔だ。「ほら、やっぱり
ジャンジューだったんだ〜!」三島が喜ぶと、浅井が言った。「ツマンネー事聞きに来るなっ
ておこられちゃった…」「……」
かくして「呼称論争」はうやむやの内に終わりを告げたのであった…
ちなみに「ジャンジュー」あるいは「ジュージャン」は浅井が負けた。
番外編、不定期に続く…
552 :
まいにちWACわく!その155:04/08/23 16:21
カタカタカタ…とキーボードを打つ音が聞こえる。中隊本部は今日も忙しい。1/四期末でもあり、もうすぐ中隊訓練もあるからだ
田浦3曹も机に積まれた書類を片づけていく「3日後には一夜二日の訓練があるってのに…仕事終わらないな〜」と珍しく悲鳴を上げる
極楽山で行われる「中隊錬成訓練」は部隊の進入→重要防護施設の防護行動→敵遊撃部隊の掃討の流れである。掃討は1〜3小隊、施設防護は対戦、迫はFOを各小隊に同行させて支援射撃を実施する
「しかしFEBAもObjも無いんだから変わった演習だよな〜」と先任は計画書を読みながら言う「これからは『対遊撃』の訓練がどんどん増えていくんでしょうね」と同意したように田浦3曹が言う
「ただいま〜」中隊の廊下に声が響く、検閲支援に出ていた人員が帰ってきたのだ「お〜お疲れさんです!どうだった…」先任が事務所を出て声をかけに行く
「帰ってきてすぐに演習か…仕事とはいえ大変だな〜」と呟く田浦3曹であった
2日後…事務所では錬成訓練の細部MMが行われている「…というわけで食事は全部戦闘糧食です。残飯等は埋めることなく後送して下さい」と岬2尉「地図はこのMMのあとに配布します。正規の地図ではないので事後の処理は各小隊ごと好きに使って下さい」と田浦3曹
中隊長が腰を上げる「次は検閲が待ってるからな、今回の訓練で仕上げないといかんぞ」
553 :
まいにちWACわく!その156:04/08/23 16:22
次の日…中隊の車両が駐屯地を出てぞくぞくと極楽山訓練場に向かっている「久々の状況さ〜楽しみだねぇ」と高機動車の中で言ってるのは具志堅士長だ
幌を外して偽装網をつけた高機動車に涼しい風が入り込んでいく。梅雨の中晴れかいい天気だ「赤城、高機動車の後部は酔いやすいから気をつけろよ」声をかけるのは検閲支援から帰ってきたばかりの鈴木士長だ
「?そうなんですか?」「ああ、高機動車は4WSだろ。だから後部が変に振れるんだよ」言われたとおりに体を少し前に向ける赤城士長
通学途中の小学生がこっちにむけて手を振ってくる。近所の子供は自衛隊車両を見慣れているが、やはり珍しいのには変わりがないようだ
訓練場に到着、中隊の隊員たちが下車して集合する「状況開始は0900、それまで各小隊ごと準備!」岬2尉の指示が飛ぶ。隊員たちは顔にドーランを塗り偽装を始める
「塗り方も今回はパターンが決まってるからね、右上から左下に緑、黒、黄色だよ」と神野1曹が声をかける。敵味方の識別のためにドーランの塗り方を統制しているのだ
そうこうしてるうちに状況開始の時間となった「状況開始〜!」岬2尉が大きな声で叫び、各小隊長が中隊長の下に集まる
小隊長が命令下達を受けている間、隊員たちは集結地で全集警戒を実施する
小隊長たちが戻ってきて中隊本部と施設防護にあたる対戦車小隊がまず前進する。その他の小隊は施設が襲撃されてから追撃するため、今はまだ集結地に残っている
「さて…まずは1班が警戒、残りは休ませていいいぞ」神野1曹が各班長に伝える。状況中とは思えないくらいのんびりとしてる3小隊の面々
「こんなにのんびりしてていいんですか?」当惑したような顔で質問する赤城士長「かまわんよ、休める時には休まないとな」とは片桐2曹だ
「ま〜状況って言ってもそんなもんやで。後々死ぬほど忙しくなるんやからな〜」と井上3曹に言われ、首をひねりながらも腰を下ろす赤城士長であった
554 :
まいにちWACわく!その157:04/08/23 16:22
何かの物音でふっと目が覚める、いつの間にか眠っていたようだ(あ〜もっとシャキッとしないと…)頭を振り周りを見渡す
木陰に高機動車を隠して林縁沿いに警戒要員が数人銃を構えている。それ以外の人は同じように寝ているようだ。ただ油断無く銃を持っているのはさすがと言うべきか…
ジープの助手席に座っていた小隊長が無線機のマイクを取り上げる「……了解!」力強い返事を返し「3小隊、前進用意!」と隊員たちに指示を飛ばす
数人の警戒員を残し各小隊が動き始める。中隊本部まで車両で前進して車両を残置、徒歩で攻撃開始線まで前進する想定だ
中隊本部地域に続々と入ってくる各小隊の車両を誘導するのは車両陸曹の水上1曹だ。各小隊の隊員たちが下車して歩き始めるのを見つつ田浦3曹は首をかしげる「変な想定だよな…」
(何で最初からこの地域を集結地にしなかったのか、1コ中隊全力で施設防護にあたれば襲撃の時点で敵を殲滅できるのに…)
『対遊撃』は自衛隊でも最近になって始めた訓練なので、実施する方もどこか不自然な想定になりがちである。それでも命令通りにやるしかないのが中隊の辛いところである
林縁沿いの道路に3コ小隊が並列、左から1,2,3小隊の配置で前進する。2小隊長が手を大きく挙げて前に振り、全隊員が前進を開始した
555 :
まいにちWACわく!その158:04/08/23 16:23
施設を襲撃して撃退された敵遊撃部隊は、南北に長いここ極楽山訓練場の「レンジャーの森」に離脱、これを各小銃小隊が捜索・殲滅するのが今回の訓練の想定だ
今回の想定では「銃器使用制限無し・発見し次第殲滅行動に移行」つまり「見つけ次第撃ってよし」となっている。ややこしい「正当防衛」や「緊急避難」は無し、という事だ
全隊員が横一列になり、南から北へと森を進む。ゆっくりと注意深く、あらゆる兆候、物音、不審物、ブービートラップ等を警戒、捜索していく
「慎重に…全身を神経の固まりにするようにな…」通信手として小隊長のあとを続く赤城士長に神野1曹がひそひそ声をかける
今回は検閲ではなく訓練なので、若い連中を鍛える目的もある。細かい指示やテクニックの伝授があちこちでなされている
「当然ながら銃撃戦は高い位置にいる方が有利だ…こういう丘を登る時は注意するように…」だまってうなずき慎重に坂を上る赤城士長
全体が止まり斥候要員が丘の向こう側を覗く。安全を確認してさらに前進する
手信号で休憩の合図が出る。小隊を二つに分けて警戒要員と休憩要員で別れて休憩する「ふ〜」腰を下ろしてリラックスする「休める時に休んでおけよ」と誰かが言うのが聞こえた
短時間で休むのには口では説明できないコツがある。コレばっかりは熟練の陸士長、古手陸曹にならないと難しい。わずか10分の休憩で小隊は前進を開始した
556 :
まいにちWACわく!その159:04/08/23 16:24
無線で報告を受けて地図上のオーバレイに小隊の線を書き込んでいく田浦3曹「ペースとしてはこんなもんですかね?」
ここは中隊本部の業天2号、中隊長は難しい顔をして野外用の椅子に座っている「このペースだと…少し遅いか?」そう言うのは岬2尉だ
「まぁ、相手がゲリラなら致し方ないのでは?」そう先任が言う「先任が若い頃はベトナム戦争のあおりでゲリラ戦全盛期だったそうですね」横から声をかける田浦3曹
検閲や状況となると意外にヒマな中隊本部、普段は警戒要員を出すが、今回は対戦が警戒に付いているのでますます仕事が減り気味だ
無線機から逐次部隊の状況が入ってくる、まだ敵との接触はないようだ。森を半分くらい行ったところで部隊は前進を止めて夜間に備えての防御態勢に入る
3交代で警戒するようにシフトを組み、部隊の前方に「痴漢防止用ブザー」を利用した罠を仕掛ける「これでよし…と」細いピアノ線を低く張り巡らせて片桐2曹が言う
「こういうのって官品なんですか?」その様子を勉強のために見ていた赤城士長が聞く「そんなわけないな、自腹だよ…」小さい穴を掘ってそこにもピアノ線を張る
「お父さんのところ(=海自)は予算に恵まれてるらしいけどね」「そうですかぁ?けっこう貧乏してたような…」
557 :
まいにちWACわく!その160:04/08/23 16:26
明るいウチに戦闘糧食を胃に収め、今は夜中の午前2時。細い月の明かりは森の中まで届かず「草木も眠る丑三つ時」はとても暗い
中隊本部の天幕も起きているのは田浦3曹だけだ「ヒマだ…」と呟く
今回の訓練では他中隊のレンジャー要員から数名の仮設敵を取っている。広い森の中で動かない数名の人間を捜すのは難しいなぁ…としみじみ実感している
同じ頃、警戒に付いている赤城士長。微光暗視眼鏡V−3をのぞき込み警戒している。最初のウチは物珍しさがあったが、狭い視界に緑一色の世界は意外と気分を悪くする
「微光」の名が付くように少しの明かりがないと効果がない。月明かりも小さい今の状況ではあまりよく見えないのが現実だ
(うう…気分が悪い…)何で一緒に警戒に付いてる井上3曹が「コレやるわ」と言ってV−3を貸してくれたのがわかった気がした
(この状況なら裸眼でいいんじゃないかな?)夜目が利くならV−3よりも裸眼の方がいい場合もある。実際、井上3曹はそうしている
(はずしちゃおうかな?…!)V−3に手をかけた瞬間、前方に何か動くモノが見えた
558 :
まいにちWACわく!その161:04/08/23 16:27
急な動きは逆に目立つ、動くモノを見つけて赤城士長は石のように固まった(敵の斥候?本隊?どっちにしろ知らせないと…)
しかし動けば敵に察知される。敵との距離は数十メートルか…(もう少し接近したらみんなを呼ぼう、でもその前に罠に引っかからないかな?)
そう思った瞬間、目の前の人影がバランスを崩すのが見えた。次の瞬間、痴漢防止用ブザーが鳴り始める「敵襲!」と横で叫んだのは井上3曹だ
たちまち何人か警戒線に入り応戦する態勢を取る「赤城!見えるか?」と聞くのは神野1曹だ「えぇっと…一人ぐらいしか」と言いかける
その言葉を待たずに「借りるぞ」と言ってV−3が取り上げられる「前方に2名、他は…無し!斥候ですね」後からやってきた小隊長に報告する
「そうですか…追跡は」小隊長が言う「数名を出しましょう、とりあえず中隊本部に報告を」
「中隊長!先任!3小隊が敵と接触しました」無線機に付いていた田浦3曹が報告する「どこだ?」弾帯を付けつつ中隊長が聞く
「ここです」と地図の一点を指す「斥候のようです、片桐2曹と数名で追跡中。本隊も前進させますか?」そこに岬2尉がやってきた
「せっかく敵が出てきたんです。追跡させましょう!私も前進します」そう中隊長に言う「そうだな…田浦、無線機を」そう言ってマイクをひったくる
559 :
まいにちWACわく!その162:04/08/23 16:30
結局深追いはしないという事で斥候要員も帰ってきた「実戦なら仕留められてると思うんだけどな〜」と片桐2曹がぼやく
付近住民との関係でここ極楽山訓練場では空砲が使えない。バトラーも前の検閲で使用しており今回は使えなかったのだ
「実際に見ないと敵がいるって感じがしませんでした…」ちょっとドキドキしている赤城士長であった
夜明け…明るくなると同時に中隊は前進を開始する。敵の斥候が来てるって事は、敵の本隊の位置も近い…そう考えているのか皆のテンションは高い
だがそれも10時くらいになると中だるみしてくる。実戦ならいつ飛んでくるかわからない実弾に備えて、緊張がとぎれる事など無いハズだが…
「実戦的な訓練は難しいよ。なぁ?」と中隊長が言う「確かに…難しいですね。対遊撃は特にですね」同意する田浦3曹
「空砲も使えませんしね」と相づちを打つ先任「やはり実戦を知る人がいなくなったのが痛いのかもしれませんね」
頷く中隊長「権藤さんにでも支援してもらうか…」
560 :
まいにちWACわく!その163:04/08/23 16:31
敵を発見したのは1小隊だった。小高い丘になっている地点に軽易な陣地を築いていた「これはあれだな…FOはいるか?」岬2尉が迫小隊のFOを呼ぶ
「野村2曹、現在地!」とすぐ後ろで迫小隊の野村2曹が声をかける「お〜あの陣地に落とせるかい?」「…座標が…現在地は…わかりました、小隊に連絡します」
そう言って無線機で座標等の細かい指示を出す「1035から3分間、一旦小隊を下げてください」そう岬2尉に言う「わかった、各小隊長!」そう言って細かい指示を出す
対遊撃に関しては敵を発見するまでが勝負。重火器を持たず陣地も軽易なゲリラ部隊は迫撃砲の前に無力である。最終弾落下と同時に1小隊が突撃
3科から支援に来た審判要員が「敵全滅」の判定を下したのはその数分後だった
「状況終了!」無線機で指示を出す田浦3曹「いつもこの瞬間は嬉しいですね」先任もため息をつく「そうだな…各小隊ごと異常の有無を報告させてくれ」と田浦3曹に指示を出す
「ここでモノを落としてたら洒落にならんな…」補給の林2曹が呟く。訓練が終わったのに這いつくばってモノ探しなんて誰もゴメンである
「3小隊異常なし、了解」全小隊から異常なしの報告を受ける「一安心だな…よし、撤収!」
561 :
まいにちWACわく!作者:04/08/23 16:50
アク禁喰らってましたorz
久々に書き込みました
なんか強引…てのは自分でも思ってますのでご容赦をm(__)m
562 :
緑装薬4 ◆.4aL5K3vps :04/08/23 17:34
今度、ここの作者さんたちでオフでもやったらどうかえ?(笑)
楽しそうだよぉ〜
563 :
専守防衛さん:04/08/23 21:22
緑さんも来てくれる?
夕方から今まで一気に読ませて頂きました。
遠く遠く離れた普通科部隊に勤務しているBFも、
こんな感じで仲間と頑張っているのかな思ったら、
少し幸せな気分になりました。
作者の皆様方、どうもありがとうございます。
今後も楽しみにしてます。
565 :
専守防衛さん:04/08/23 23:30
運命の日 6月20日編 陸曹候補生 内示受け
566 :
専守防衛さん:04/08/23 23:31
運命の日 6月20日編 陸曹候補生 内示受けをしてきた、中隊長
567 :
専守防衛さん:04/08/23 23:48
時間が11時ともなると小隊長、先任、人事などが少しャ純ワしだす。「結局どうなんですかね?」と、言う声がササヤかれる
どうなったか1番知りたいのは、俺なんだがなぁ と先任も、困り顔で会話をする
今日の朝礼時 中隊長より「本日は内示日である、結果がどうなろうと、終礼時に皆にたっする。なので、作業中に余計な事は頭にいれず、安全に留意すること」
こんな話になると、かたくなに、口を閉ざすのが中隊長なのを先任は知っていた。
568 :
専守防衛さん:04/08/23 23:52
人事の倉田が先任に言う「あんなに頑固な部分もあるんですね、中隊長には」 先任はうなずいた
そして、先任は現中隊長が上番し、半年位立った頃の出来事を思い出していた
569 :
専守防衛さん:04/08/24 00:02
当時、中隊の最先任士長に福永士長と言う隊員がいた。最近では、珍しく、5任期終了で満期退職をしたのだが
10月隊員であった福永 10月の満期終了までに就職を決め無ければならない。しかし、不景気も手伝ってか?
はたまた、バブル入隊の福永の知力が足りなかったのか?就職が決まらなかった。
そんな、セッパ詰まった状況にも、動じる事なく、普段通りの生活をする、福永に対し先任はよく、怒鳴っていた
570 :
専守防衛さん:04/08/24 00:05
怒鳴るのも三ドメだったろうか・ 半ば、呆れ返っていた先任 そんな時、「少し福永を俺のとこに預けてくれ」
571 :
専守防衛さん:04/08/24 00:20
それから、しばらくして、中隊長室に福永を呼び出した。 中隊長、福永の二人だけの話しである。
内容なのだが、福永は高校中退であった。就職先を探していたが、今この不景気のせいで、中卒はどこも採用したがらない で、現実をまの当たりにした、福永はすでにやる気が無い との事だった
中隊長は頷きながらただ、黙って聞いた。そして次ぎの日・・・
朝礼終了と共に福永を呼び出した。
一時間も立っろうか?
福永が中隊室から出て来た。その後、中隊長も出て来て、先任に「福永、明日から、就職メド着くまで休みやるから と一言、言い、中隊長室に戻った
572 :
専守防衛さん:04/08/24 00:29
その日から三週間後、福永が就職決まった。
その事を報告に来た福永。皆に感謝の言葉を言っているが、一人だけ別格な人物がいる。もちろん中隊長である
その光景を先任は疑問を感じ、不思議そうに見ていた。
(休みをくれる話しの他に何かをしたんだろう?)あとで、聞いてみよう。と考えていたのだ。
福永は満足そうな撫槐、その日事務室をあとにした
573 :
専守防衛さん:04/08/24 00:32
その日の終礼時、先任が命令を告げ終ると、中隊長から福永の就職決定について話があった
574 :
専守防衛さん:04/08/24 00:40
終礼後、先任は中隊長に、福永とのやり取りに付いて聞いてみた
中隊長の返事は 「福永との約束で、ちょっと先任にもどんな内容だったかは教えられないんだ」と答えが帰ってきた
先任は面を喰らった。就職補導である。今後、まだ、第2、3の福永が出てくるか解らない時代である
先任はそうなる前に今回の中隊長の指導内容を聞いて今後の参考にと考えていた。その事を中隊長も告げたが。
中隊長は、うんと首を縦にふる事はなかった。
575 :
専守防衛さん:04/08/24 00:46
先任はその時初めて、中隊長の頑固な部分を見た
自分が言わないと言ったら何があっても口をわらない中隊長
「まっ、夕方になるなんて、すぐだよ」
と倉田に告げ、よ〜し、飯だな!よし、三島隊員食堂に行くぞ!と今日は補給の支援に来ている三島を呼ぶ
運命の時間まであと約四時間・・・
576 :
専守防衛さん:04/08/24 08:40
「あれ?先任、今日は当直ですか?」三島は、とぼけ顔で言う。その顔を見た先任は少しガッカリ顔だ。「三島なぁ、今日は内示日だぞ、そんなぼけ〜とした顔でどうする!受かってもそんな顔じゃバッチ負けするぞ!」と会話をしながら飯を食べた
577 :
専守防衛さん:04/08/24 09:29
578 :
専守防衛さん:04/08/28 13:51
昼礼 中隊長より 三島、鈴木、田中は16時に昼礼 中隊長室にくるように と指示があった。
579 :
専守防衛さん:04/08/28 18:49
何もなかったかのような静寂な時間が流れた。午後の作業を終り、駆け足をした
すでに、夏の熱さが身に染みる季節だったので体に応える
さて・・・
と、中隊長はシャワーで軽く汗をながし、中隊室にもどる。
時計は、15:52であった
少し、嬉しそうな顔をしているかな?自分でそう思いながら鏡をみて、ニヤリッと不敵な笑を浮かべた
580 :
専守防衛さん:04/08/28 18:51
そうこうしていると、ドアをノックする音、そして、「田中士長、他2名、入ります!」気合いの入った声が聞こえた
581 :
専守防衛さん:04/08/28 18:58
気合いがみなぎる、田中と鈴木、一種独特な感じの三島の3人をャtァに座らせ、先任、人事を自ら、迎えに行く中隊長
しばらくするとゾロゾロと入ってくる。先任、人事は立ったままだ。
「さて、早速結果を教えよう」と中隊長が一言、言う。その瞬間に、皆、顔が怖ばった撫榾なっていた
582 :
専守防衛さん:04/08/28 19:02
田中士長、三島士長・・・・・・
「おめでとう!」
鈴木士長・・・
「残念!次こそだぞ! 気を抜かず、勉強と体力頑張るように!
583 :
まいにちWACわく!その164:04/08/29 21:39
時間はさかのぼってお昼過ぎの中隊本部
(先任も落ち着かない顔をしてるなぁ…)パソコンのキーボードを叩きながら思う田浦3曹。田中士長もそわそわしてるが、まぁコレは仕方ない
チラリと横目で中隊長室の方を見る(頑固だよな〜あの人も…)心の中でため息をつく
誰が合格してるか、というのは当然訓練サイドでも重要になってくる。訓練管理の準備と合わせて「音楽祭り支援」と「中隊検閲」の準備もあるので、人の動きは早めに知っておきたいところだ
「田浦…田浦!」向かいの机で訓練Aの中島1曹が呼んでいた「…!は、はい?」慌てて返事する田浦3曹「夏バテにはまだ早いぞ。電話だよ、広報の杉山准尉から」
「ハイ…えぇ…今日中ですか?般命には明日までと…そうですか…わかりました」がちゃん、と電話を切る「まいったな〜」と大きなため息を一つ
「どうした?」先任が聞く「例の音楽祭り支援の名簿、今日中に欲しいそうです。締め切りは明日だったのですが…」といって頭を掻く
「もうだいたいは決まってるんだろ?」「えぇ、しかしあと上曹が一人決まらないんですよ」「その点は大丈夫!」と後ろから声をかけたのは岬2尉だった
「木島曹長に頼んだから安心してくれ」と後ろから肩に手を置く「えっ…木島曹長?」大丈夫だろうか…と一抹の不安がよぎる
中隊の「最悪3兄弟」の一人である1小隊の小隊陸曹・木島曹長は、最低の人格と能力で若手隊員から文字通り「蛇蝎の如く」嫌われているのである
584 :
まいにちWACわく!その165:04/08/29 21:40
「あー岬2尉からの頼みだからな。暇人じゃねえオレが行くんだ、感謝しろよ。あー?」語尾とかに「あー?」と入れるしゃべり方が神経を逆なでする。が、そんな事は顔にも出さないように我慢する田浦3曹
幹部室にいる木島曹長に音楽祭りの書類を届けに来たところだ「え〜感謝してます」と満々の笑みを浮かべる
「取りあえずの資料です。細部は広報の杉山准尉がMMをやるそうです」事務的な話のみを伝える「まったくよ〜また代休たまるじゃねぇか。あー?」とブチブチ文句を言う「おめ〜も考えて勤務決めろよ。あー?」と八つ当たりまで始める始末
「使えね〜上曹なんかいくらでもいるだろ。何でそういうヤツを使わね〜ん…」岬2尉が入ってきたのを見て口を閉じる「おっ早速か〜仕事熱心だな田浦3曹!」と何か嬉しそうである
「ホント田浦は頑張ってますよ〜いやいやほんとに」コロッと話し方も変わる。やれやれといった顔をして早々に幹部室を後にする田浦3曹であった
「…」机に座る田浦3曹。顔に「むかついてます」と書いてあるようだ、心の中でため息をつく
(だいたいあんたも暇人だろうが…毎日17時にすぐ帰ってるのは誰だよ?たいして仕事もできないくせに…ゴマすりだけでオレの倍の給料か…)深いため息をまた一つつく
そんなこんなで音楽祭り支援の名簿ができあがる。中には井上3曹や赤城士長の名前もある。不安な事に遠戸2曹もいる…(ま、いいか)そう思って書類の整理にかかる田浦3曹であった
585 :
まいにちWACわく!その166:04/08/29 21:41
終礼…各係の指示事項や先任の命令伝達、それに運幹の訓練指示が終わり、ついに陸曹候補生の合格者が発表される
「ただいまよりだい10X期陸曹候補生試験合格者を発表します。名前を呼ばれた者は前に出るように!」先任がそう言って中隊長が名前を読み上げる
緊張の一瞬、壇上に上がった中隊長が名前を読み上げる
「…中隊本部、田中士長!」何カ所からかため息が漏れる。みんなラストチャンスである事は知っていたのである「はい!」大声で返事をして前に出る
「迫、三島士長!」おぉっ、と声が挙がる(ホントかよ…)(マジで?)(やった!あとで500円払えよ)などというひそひそ声が上がる「はい!」そんな声を聞いて苦笑いしながら前に出る
「今回は以上2名が合格した。今回落ちた者も腐らず次に向かって努力するように!次の試験はすぐだからな」と中隊長が言い終礼は終わった
586 :
まいにちWACわく!その167:04/08/29 21:42
「鈴木落ちたの…?」「マジで…」「誰か『田中・三島合格、鈴木不合格』に賭けてたヤツ!」終礼後の居住隊舎、ざわざわと居室に向かう隊員たちが話している
同じような話題は中隊でも…「鈴木落ちたか…」ガッカリと肩を落とす3小隊長佐々木3尉「まぁまぁ、赤城が行きますから」と神野1曹
「いや〜大本命が落ちたね。中野浩一が落車したみたいなもんか〜」と高木2曹「中野浩一って?」と田浦3曹
「有名な競輪選手だよ。カツラのCMに出てる…」と先任「へ〜…でも何で鈴木が落ちたんですかね?」「それはだな…」と倉田曹長
「体力面、基本教練、それに面接は良好だったが、学科で少しな…」人事班から情報を聞き出してきたようだ「学科?アイツが?バカじゃないですよ」と不思議な顔をする
「いやいや、一般教養と戦技関係は良好だったんだがな…服務関係はほぼ全滅だったらしい」
陸曹候補生の1次試験は国数英理社のいわゆる「一般教養(中学・高校レベル)」と服務小六法から「服務」さまざまな教範等から「戦技」と大まかに3つに別れている
「そりゃ89式の諸元が完璧でも、『6大義務』や『礼式』がダメだったらちょっと考えるな〜」と頭を掻く先任「そうか…意外な盲点でしたね」と肩をすくめる田浦3曹
「ま、あいつはチャンスがいくらでもあるからな。次に期待だな」と倉田曹長が言い話は終わった
(さて、次は音楽祭りか…)三島をどこに入れるかな、と頭を切り換えて考える田浦3曹であった…
587 :
スキップ・ビート:04/09/01 00:06
番外編・当直室
「いやいやいや、三島クンが合格するとはねェ〜!」ここは中隊の当直室。
本日の当直士長は飯島士長だ。先任士長、それもだいぶ古参の陸士長が上番
するとワケもなく緊張した空気が漂う。先程も小銃小隊の若い陸士が緊張の
面持ちで外出証を受領していったが、飯島士長を冷やかしに来た三島には関
係の無い事だった。「いやいやいや、自分でも一発で行くとは思いませんで
したよ」なんだかんだとまんざらでもない様だ。TVを観ながら飯島が言う
「三島、お前の好きな音楽祭り支援だがな、今年も行けるみたいだぞ」先任
士長の人脈だろうか、飯島は断言した。「音楽隊からのご指名で、今年もチ
アリーダーの男子隊員は三島が行くんだそうだ。お前なんか手ェ回しただろ
?」三島はニヤリとしながら、机の中にあった「ナイタイ」を見ながら答え
た。「今年も約二ヶ月楽しくやらせてもらいますよ…」 「三島、支援期間
中はコンパを期待してるぞ…」
三島は支援の内容を知る唯一の者として、飯島はそのオコボレに預かろうと
する者として、淫靡な笑みを交錯させるのであった…
番外編、不定期につづく…
588 :
伊藤 ◆3eHwyaTGPo :04/09/03 23:23
なんじゃこら。
しょーっもないスレやのう。消えてなくならんもんかいな?
589 :
まいにちWACわく!その168:04/09/04 14:16
ここは総監部にほど近い100万人都市の総合体育館、ここで方面音楽祭りは行われる。ステージの上では数名の隊員が何故かデッキブラシを持って立っている
某アイドルグループのPVのようにデッキブラシを使ったダンスを披露するのだ
タップダンスのようにブラシを床にたたきつけ、保安中隊のドリルのように高々とブラシを振り回す。けっこう様になってるのが不思議だ
「へ〜うまいもんやなぁ」「お、かっこいい!」「何でブラシなのかね?」ステージから離れたところであれこれ口を出す支援要員の面々
中隊から小野3曹と三島士長が警備支援で他連隊の幹部の指揮下に、そして木島曹長以下10数名が地連の支援で受付業務を担当する
当初の予定よりかなり多く取られたのは、遠方の部隊の交通費が出ないからだそうだ…何かと貧乏な陸上自衛隊である
会場の設営は施設団が担当、受付の設置を昨日の内に終わらせて本日金曜日は演技組の予行が実施されている
時間のあいた赤城士長たちは予行を見せてもらっている。明日は総合予行、日曜日に本番である
音楽隊の演奏は見事だ。歩きながらや一糸乱れぬ行進など、普通の楽団ではなかなかできない事もやる「よくこんな長時間演奏できるな〜」と誰かが感心する
「らっぱ特技を持ってたらわかるんやけど、吹奏楽器はすごい肺活量がいるんやで〜」と井上3曹「それを歩きながら吹くってのもスゴイ技術なんやで」
「そうなんですか〜」と感心してみせる赤城士長。そうこうしてるうちにプログラムが終了した
「なかなか面白かったな〜」感想を言いながら席を立つ面々、その時「お前ら遊んでんじゃねぇよ、あー?」という声が聞こえてきた
590 :
まいにちWACわく!その169:04/09/04 14:16
全員が露骨にイヤな顔をする、木島曹長が甲高い声でヒステリックにまくし立てる「遠戸ぉ、ちゃんと受付の準備とかしてんのか?あー?」
遠戸2曹が慌てて「し、し、してます」としどろもどろに答える「遊びにきたんじゃねぇんだぞ、あー?」話も聞かずに文句を言う
「宍戸3佐に許可をいただきました」大沼3曹が答える。宍戸3佐は総監部所属、受付業務の全般統制をしている
受付場所の準備・清掃も終わり、休憩してた隊員たちに「予行見てきなよ」と送り出したのが宍戸3佐だった
その時、木島曹長は準備もそこそこに師団司令部時代の上官とお喋り(ゴマすり)をしていたのだった。さすがに上官の指示だと文句も言えない、グッと言葉に詰まる
「じゃ、みんな受付に帰るか」木島曹長を無視するように大沼3曹が声をかける。全員がついていくのを横目で見ながら「何で連絡しねぇんだよ、あー?」と遠戸2曹に絡む木島曹長
「お前が指導するんだろうが、何やってんだよ〜あー?」帰る道すがら、ずっと絡み続ける木島曹長「あ、い、いやぁ、あの…」としどろもどろの遠戸2曹
伝令時代の恨みからか大沼3曹の木島曹長に対する態度はかなり悪い。露骨に睨みつけ返事もそっけない、必要最小限しか喋らないと言う態度を徹底している
それを知ってか木島曹長は矛先を遠戸2曹に向けている。こっちに来てからずっと泣きそうな顔をしている遠戸2曹であった
591 :
まいにちWACわく!その170:04/09/04 14:17
赤城士長たち音楽祭り支援組は総監部近傍の駐屯地に宿泊している。支援する人員が多いため総監部だけでは宿泊場所が足りないのだ
他部隊も入ってきているため駐屯地の売店は大変な混雑だ。赤、緑、青、黒、オレンジ色etcetc…部隊それぞれのカラフルな識別帽が右に左に動き回る
「まったく、ジメジメうっとうしいよな〜」「消えてくれね〜かな?」「実戦になったら後ろから撃ってやりたい…」売店にやってきた面々が好き放題言っている
当の木島曹長はクラブで知り合いと飲んでいるらしい。かわいそうに遠戸2曹が巻き込まれ連れて行かれた「オレも危なかったわ〜何とか逃げ切ったけどな」と笑うのは井上3曹だ
「あんな人が陸曹なんて…」と憤慨するのは赤城士長だ「最低ですね!」とはっきり言い放つ「だから言ったやろ〜?『最悪3兄弟』って…」と井上3曹
「昔からだ。アイツと話す時は強気でいくんだぞ、そうすれば声をかけてこないから」と大沼3曹「自分より強いヤツには絶対に声をかけてこないから」
「今日もひどかったですもんね〜あのゴマすり…」予行を見終わって受付に帰ってきた後、宍戸3佐に「しっかり予行をやらせますから〜」と言って何時間も受付の予行をやらせたのだ
「気付いてるのかね?宍戸3佐…アイツがどういう人間か」大沼3曹がため息をつく「ま、期待しましょう」気楽に井上3曹が言い放った
「龍子〜元気してたぁ?」後ろからかけられた声に3人が振り向く。そこには曹学のバッチを付けたWACが3人立っていた「わ〜久しぶり!」そう言って3人に飛びつく赤城士長
「久しぶり〜元気だった?」「普通科どう?しんどいでしょ〜」「基通はずっと椅子に座りっぱなしで…」と四方山話に花が咲く
やれやれと肩をすくめる二人「先行ってるぞ〜」と大沼3曹が言う「あ、は〜い!」と返事もそこそこに話を続ける赤城士長だった
592 :
まいにちWACわく!その171:04/09/04 14:17
「昨日は楽しかったか?」「ええ、久しぶりだったんですよ〜」『迷子案内』と書かれた机の前に座るのは井上3曹と赤城士長だ
「こういうイベントやと他部隊の同期とかに会えるからな。いいもんやろ?支援業務も…」雑用ユニットだった(今も)井上3曹がしみじみ言う
「今日は昼から自由時間ですよね?一緒に遊びに行くんですよ〜」と嬉しそうな赤城士長。予行が順調に終われば昼からは外出ができるのだ。そのために外出証も各人が持っている
「そうか〜でもヘンな事はするんやないで。ジメジメに攻撃の口実を与えんようにな…」声を潜めて言う井上3曹であった
『ただいまから総合予行を開始します。各係の者はそれぞれの位置について下さい』スピーカーから声が流れ全隊員が持ち場に着く
「じゃ、よろしく頼むわね」二人の方にポンと手を置くのは迷子案内の長である中川2尉である。衛生隊所属の若いWAC幹部だ
「ま〜泥船に乗ったつもりで、任せて下さい!」と井上3曹「泥船って…」と少し引く赤城士長。さすがに中川2尉は動じない「沈んでも助けないわよ〜」と言って後方に下がる
客の役をするのは総監部や地連の幹部たち、それに予行を見に来た後援会などの関係者だ「赤色の招待状をお持ちの方は…」「こちらからご入場ください!」受付は大変そうだ
受付の横にあるのが迷子案内だ。しかし今日の時点では子供はほとんどおらず、ただ真面目な顔をして座っているだけだ
「大変そうやなぁ…」横目で受付の惨状を見ながらボソリと呟く井上3曹「見て下さいよ、木島曹長って何もしてませんよ」と赤城士長
確かに木島曹長は受付の後ろで腕を組んで座っているだけだ。特に何かを指示している…わけでもない「あれは全般統制のつもりなんやで、多分…」
「宍戸3佐がいるのに?」「自分を偉く見せたいんやろ、よその部隊の人間やから宍戸3佐もきつくは言えんしな〜せこいヤツや」吐き捨てるように呟く井上3曹であった
593 :
まいにちWACわく!その172:04/09/04 14:19
演奏が始まり一段落ついた受付業務「今のうちにトイレとか行ってきてくれ」と宍戸3佐が声をかける
何人かが交代で席を立つ、木島曹長も立ち上がり迷子案内の方にやってきた「寝てねぇだろうな、あー?」と絡んでくる
「も〜バッチリですわ」と愛想良く笑う井上3曹「受付の方はどないです?かなりバタバタしとったみたいですけど?」
「…自分の心配しとけよ」少しイヤそうに顔を歪める木島曹長、シャバでの経験が長い井上3曹は調子よく人を煙に巻く
矛先を赤城士長に向ける「『楽な仕事でラッキー』とか思ってねぇだろうな、あー?」
少しムッとする赤城士長「そんな事思ってません」顔も見ずに答える「ちゃっちゃと働けよ新兵が、あー?」相手が弱いと言いたい放題である
カチンと来た赤城士長が顔を向けようとしたその時「おっ、龍子くんじゃないか!」と誰かが声をかけてきた
真っ白な制服に4段はありそうな防衛記念証、胸には羽のマークの徽章が付いている。肩の階級章は金の太線が4本の陸自とは違う階級章、海上自衛隊のお偉いさんのようだ
「秋山のオジサン!お久しぶりです」席を立ちペコリと頭を下げる赤城士長「陸に入ったんだって?残念だよ〜海自に来たらよかったのに」そう言いつつ机に近づいてくる
「お兄さんたちも元気?」「ハイ!相変わらず…」「そうか、赤城一族は陸海空を制覇したな〜」と言って笑う
「秋山1佐、そろそろ…」横から背広を着た(おそらく)自衛官が声をかける(1佐〜?)内心ビビる井上3曹「そうか、じゃあお父さんによろしく!」そう言って秋山1佐は立ち去っていった
594 :
まいにちWACわく!その173:04/09/04 14:20
「さっきの人は?1佐とはすごいな〜」と尋ねる井上3曹「秋山のオジサンは父の部下だった人です。いい人ですよ〜」
「確かあの人は地連部長じゃなかったかな?」いつの間にか側にやってきた宍戸3佐が言う「そうなんですか?」と赤城士長
いつの間にか木島曹長の姿も消えている「あいつビビりやがったわ」そう言って笑う井上3曹「もう赤城にはちょっかいかけて来ないやろな」
「そうなんですか?」疑問顔の赤城士長「ああいうタイプは自分より偉い人には絶対に逆らわへんからな〜」そう言って笑う井上3曹であった
演奏は順調に続いている。歓声や拍手もときどき聞こえる「楽しそうやなぁ…」と呟く。とその時
「よ〜う、みんな元気してるか〜?」陽気な声でやってきたのはバディーを連れて私服警戒中の小野3曹だ。ジーパンに開襟シャツという出で立ちだが、見る人が見れば一発で自衛官とわかる
「私服で警戒してる意味無いですやん」と井上3曹「そんな腕の太いヤツはそうそういないな…」と呆れる大沼3曹
「何でだよ、どっから見てもシテーボーイだろ?」そう言って腰に手を当てる小野3曹「…どうでしょ〜」苦笑いする赤城士長
「そういや三島は?」「アイツは外周警戒しとるよ。暑い中大変だねぇ〜」とまるで人ごとだ
バディーがちらりと小野3曹の方を見る、確か他中隊の陸士だ「おぅスマンな、じゃあ行くぜ」そう言って小野3曹は立ち去っていった
予行は順調に終わり、受付は帰る人でごちゃ混ぜになっている。相変わらず椅子に座って何もしない木島曹長の姿も…
595 :
まいにちWACわく!その174:04/09/04 14:22
「ふ〜終わった終わった」宿泊してる駐屯地に帰り、高機動車から降りて背伸びをする赤城士長「お疲れさん」と大沼3曹が声をかける
「さて、どこ行く?」「なんかうまいモノでも…」「ガイドブックあったっけ?」みんなも外出に気が向いている。ところが…
「おぅ、全員集まれや」と木島曹長が全員を集め言った「外出する前にやる事やってけや、あー?」顔を見合わせる隊員たち「やる事って?」
「部屋の掃除と服のアイロンがけ、靴磨きとかあるだろうが、あー?ちゃんとやってけよ。遠戸!指導しとけや」そう言い放ち、木島曹長は歩き去っていった…
少し呆然とする隊員たち「…なんて?」「何だよありゃ…」不満が噴出する「え、えと、あの、じゃぁ掃除から、ね?」慌てたように遠戸2曹がみんなに声をかける
言われたからには仕方ない、外来の部屋に戻って掃除を始める「あの〜私はどうしたら?」赤城士長が遠戸2曹に聞く「WAC隊舎の部屋掃除ですか?」
「え、えと、そうだね。うん」「点検は?」「え、あ、じゃあ無しで…」よくわからない事を口走る遠戸2曹。普通は男子隊員がWAC隊舎に入る事はない
「服とかはどうしたらいいんですか?」苛ついたように聞く赤城士長(実際苛ついてる)「え、あ、後で持ってきて」「わかりました…」
立ち去ろうとする赤城士長に井上3曹が声をかける「ホンマに掃除する事無いで、どうせ明日やるんやから」「は、はい…」
596 :
まいにちWACわく!その175:04/09/04 14:23
そう広くない居室なので掃除は1時間ほどで終わった「じゃ、じゃあ靴磨きとアイロンがけね」そう言って遠戸2曹は短靴を二つ(木島曹長の分?)と靴手入れ具を持って外に出て行った
「…ったく」不満たらたらと言った感じでみんなが靴磨きと3種制服のアイロンがけに向かう
「終わりましたよ。どうですか?」赤城士長が遠戸2曹に制服と靴を見せに来た「え、あ、うん、合格」ろくに見もしないで言う
「…」何か言いたそうに立っている赤城士長「え、な、何かな?」「外出は…いえ、やっぱりいいです」みんな終わるまで外出なんかできないな…と思う赤城士長であった
全員が靴磨きとアイロンがけを終わらせてやっと外出できるようになった時には、日が西に傾き始めていた
見ていたかのようなタイミングでどこかから帰ってきた木島曹長が全員を集めてネチネチと説教じみた事を言う
「だいたい支援てのは仕事だぜ、あー?遊びに来てるんじゃねえんだぞ。今からの外出あくまで『好意』だからな?あー?」ジメジメの面目躍如と言ったところか
「いらん事しやがったら全員帰ってから外止めにするからな、あー?わかってんのか?」全員渋々と言った感じで頷く「22時までに帰ってこいや、別れ!」
「くっそ〜ムカつくぜジメジメのヤツ!」「だいたい自分は靴磨きも何もしてねぇじゃねぇか!」「誰かアイツを殺してくれよ〜」営門に向かう道すがら、不満を爆発させる陸士達
「まぁまぁ、外出できるようになったんやからええやん。あんなヤツの事は忘れて楽しんでこいや」と陸士達をなだめる井上3曹「井上さん、頭来ないんですか?」誰かが聞く
「オレはシャバで客商売もしとったからな。ま〜理不尽はどこにでもあるもんや。ああいうは忘れるに限るで!」
597 :
まいにちWACわく!その176:04/09/04 14:24
身分証を見せて営門を出る。門のすぐ側にあるバス停からしか街には出られないようだ「井上、お前はどこに行くんだ?」大沼3曹が聞いてくる
「大人の特選街にでも行ってきますか〜」つまりは風俗だ「大沼3曹も行きます?」「オレはいいや、かみさんに殺される…」肩をすくめる大沼3曹
「特選街?」後ろから声をかけたのは赤城士長だ「うわぁ!」ビックリする井上3曹「特選街って何ですか?」そう言って赤城士長は井上3曹の顔を見上げる
「何でもない、何でもないで〜それより赤城、同期と遊びに行くんやないんか?」ごまかして話を変える「行きますよ。でもだいぶ遅れちゃったなぁ…」
「ホントは昼からの約束だった?」大沼3曹が聞く「そうなんです。まったく…」珍しく怒りをあらわにする
街の中心部にある駅前のバス停でみんなが降りる。大沼3曹と陸士達は飲みにでも行くようだ。井上3曹は小野3曹と合流して『大人の特選街』に前進する
赤城士長は駅前で同期たちと合流する「ごめ〜ん、待った〜?」曹学の同期4人が手を振ってくる「やっと来た〜」「大変だったねぇ」
女3人寄ればかしましい、たちまち話が始まった「取りあえず飲みに行こっか!」
598 :
まいにちWACわく!その177:04/09/04 14:32
「かんぱ〜い!」駅前の居酒屋で女5人の宴会が始まった「うわ〜そのジメジメって最っ低ね!」「いるいる〜そんなヤツ…」まずは『部隊のイヤなヤツ』の話で盛り上がる
「細かい事ばっかり言うヤツっているよね〜ウチは小隊長がそうなのよ」と言うのは施設群所属の土田士長
「ウチはWACの1曹でさぁ…肩肘張りすぎてるのよね〜」とは武器大隊の工藤士長。土田士長と工藤士長は今回、チアガールとして参加している
「ウチは書類バカの隊長!男のクセにネチネチしてて…」と通信群(基地通信)の砺波士長
「何がイヤって先任よ〜配属されていきなり『臨勤行け』だもん」清原士長は赤城士長と同じく普通科中隊に配属されている
砺波士長は通信関係(アンプ等)の調整、清原士長は接遇である
「結局どこも同じか…どんな職場にもいるんだろうね〜」と赤城士長「まだ龍ちゃんは恵まれてる方じゃない?」とは清原士長だ
確かにいきなり臨勤を命ぜられるような中隊よりはマシかな…と口には出さずに考える
「WACってだけで扱いが変わるのよね〜」いつの間にか清原士長のグチ聞きになっている「結局さ、部隊通信行く事になっちゃったし…」
「じゃあ陸教は仙台?」土田士長が聞く「そうなりそう…普通科中隊に来た意味が無いよ〜」
清原士長も赤城士長に劣るとは言え体力は人並み以上にある。バスケ部所属でインターハイにも出場経験があり、普通の男性よりは遙かにタフだ
「も〜あの先任変えてほしいよ〜」「まぁまぁ…飲んで飲んで!」砺波士長がビールを注ぐ。ちなみに赤城・清原以外は全員20才以上だ
そんな同期の嘆きを聞き自分の事を考える赤城士長(私はけっこう恵まれてるな〜)
カラオケで歌いまくってストレスを発散し、時間通り2200までに帰ってきた赤城士長。同期たちと久々に遊びストレスも発散できたようだ
(よし、明日は頑張るぞ!)と決意して消灯ラッパを聞きつつ眠りにつく赤城士長であった
599 :
まいにちWACわく!作者:04/09/04 14:47
自分で書いててむかついてきた…OTL
>562
オフ会やったら全員知り合いだったりして…
>564
普通科中隊だったらだいたいこんなものだと思います。遠距離は大変でしょうが頑張ってください
600 :
専守防衛さん:04/09/04 14:49
乙です!
次も楽しみにしてますよ。
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602 :
専守防衛さん:04/09/04 23:17
「三島〜 お前はこれからどーするんだ?」と小野3曹が問う すると三島が逆に「小野3曹はどーするんですか?」と逆に問う
603 :
専守防衛さん:04/09/04 23:31
二人が会話をしている場所・・・ それは3トン半の中であった。警備を任された二人・・・ 受け付け組は昼に作業を終え帰ったが、警備組は少し遅れて、宿泊駐屯地に移動していた
異様な光景だった。警備組の特徴なのだが。私服を着ていながらライナーをかぶっているもの 制服姿にライナー 3トン半でなければ異様な集団だろう
そんな移動中、私服 ライナーの小野3曹が制服、ライナー姿の三島の問いに答える
「あぁ 俺は今から本管の竹川とパチスロ行ってくるぞ で勝ったら夜は飲みだ」
同じ警備班の竹川3曹は小野3曹と新教の同期だった
さらに小野は続ける「どーせ、みんなすでに外出しているだろうからさ、受け付け組は受け付け組で遊べばいいし、うちらはうちらで遊び行った方いいだろ?」
604 :
専守防衛さん:04/09/04 23:42
「で、どうだ、お前も暇なら一緒に行くか?」と小野は三島に聞く
「いゃ〜 俺スロットも酒もやらんから遠慮しますよ〜」と三島
「そうだったよな、じゃ、あれか?今日は外出しないのか?」と小野が聞くと三島は「いえいえ、さっき雑誌見てて、ここの近くに評判いいラーメン屋あるみたいなんで、そこ行きますよ〜」
「一人でか?」と小野が聞くと「はい、どーせ、みんな飲み行くでしょうからね、それに混じっててのも、今は冷やかししか受けないから・・・」
冷やかし・・・ 奇跡とも言える曹候合格 バッチを付けて間もない三島はいささか、ウンザリしていた
ミラクル三島 奇跡を呼ぶ男 最強大穴戦士・・・ 言えばきりがないくらい、中隊は勿論、連隊の知り合いに言われ続けていたのだ
605 :
専守防衛さん:04/09/04 23:52
何時しか車は駐屯地に到着していた。「下車!」と警備班長の声が響く 明日の指示を受け、解散をする 他の部隊は宿泊建物も違うようで三島達とは反対へ歩く
外来の玄関に三島や小野が入ると、井上が立っていた。「あれ?外出しないんか?」と小野が問うと、「奴のわがままが発揮されてなぁ」とため息まじりで喋る
その言葉に三島も小野もすぐ理解し 「三島、すぐにうちらは、でるぞ」あとからなんか言ってきても「知らなかった」で通すからなと小野が言う
数分後・・・井上の理解を得て、小野と三島は逃げように外来、駐屯地をあとにした
そして、それぞれ目的の場所へと移動したのだった
606 :
専守防衛さん:04/09/05 00:03
三島が向かうその場所 三平ちゃんラーメン ふざけた店名のわりに客は入っていた
雑誌をみるかぎり、スープはトンコツ白濁をベースとし、トリガラベースでつくった醤油 塩のスープを混ぜてつくる店
見た目はコッテリ しかし、食べてみると以外にあっさり 略してコッサリラーメンと言うのがウリである
三島は塩チャーシュウを注文した 昼に出された弁当もわずかだけ食べ、あとは残飯にしたのはこの為であった
「塩チャーシュウおまち!」威勢よい声とともに、ラーメンがでてきた。
うっ! 旨い!通常、塩ラーメンは味をごまかせない事でしられている 自称ラーメン通の三島もここまで旨いと思うラーメンに出会った事がなかった
607 :
専守防衛さん:04/09/05 00:06
ついに、この日、そして、この店ができた。
三島のラーメンチェック浮ノ百点の店が出来たのだ!
608 :
専守防衛さん:04/09/05 00:14
誰かに教えてあげたい と言う衝動が走る。
やっぱり女の子だよなと考えるあたりは曹候になっても変わらない三島
と、なると、一番この店にこれそうな人はと・・・ と考える
そして、電話をかける三島 プルル〜「こちらは〜 お留守番サービス」
「青木ちゃんでないか」そう呟く三島 まぁ、また、今度だな。試験合格報告もしなきゃならんし!と考えながら、一人どこかへ、消えて行ったのだった
作者さんたち乙です
611 :
専守防衛さん:04/09/05 22:40
続きキボンヌ
削除依頼ですか…(溜息
私にとっては、演習や支援やらと毎月忙しい普通科の仕事を
擬似的にかいま見せてもらえて凄く嬉しいし、
遠くの駐屯地の普通科勤務の彼に聞きたくても聞きにくい仕事の流れを
このスレを読んでは、安心したり感心したり納得したりで…
ある意味精神的な支えになってるのです。
だからお願い、削除なんてしないで〜!
>>613 仁義なき削除屋さんがスルーしてくださいました!
さすが依頼を事務的にこなすだけの無能削除人とは違う!!
25 名前:上杉光明 ◆y60EkvwiAs 投稿日:04/09/04 20:11 HOST:ntceast903157.east.dup.ppp.infoweb.ne.jp
新軍事ドラマ「中隊本部」
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/jsdf/1059148937/l50 投稿目的に関するガイドライン↓に該当
全く情報価値の無いもの・真面目な議論や話し合いを目的としないもの・板の趣旨よりネタを優先するもの
客観的な意見を求めないもの
27 名前:仁義なき削除屋 ★ 投稿日:04/09/05 13:56 ID:???
見たけえのう
616 :
専守防衛さん:04/09/07 15:07
無くすなよな!中隊本部万歳!
617 :
専守防衛さん:04/09/07 15:11
方面音楽祭りで、かなり作業員が出ているなか。金曜日の夜 終了を終え、一人外出する田浦
618 :
専守防衛さん:04/09/07 22:08
今日は疲れた・・・ 就寝・・・ 朝起きたら日曜日になっていた。週末編完
てすと
620 :
専守防衛さん:04/09/07 23:01
あげとく
621 :
専守防衛さん:04/09/07 23:11
中本サイコー!
オラ通信だけど連隊の仕事が垣間見えて、すっごくためになる。
読んでて面白いし、笑えるし、書き込んでる人たちに感謝!
だから削除しないで!
622 :
緑装薬4 ◆.4aL5K3vps :04/09/07 23:18
SOYUにでも連載して、本でも出して・・・
一発で外禁だろうな(笑)
<作者ばれたら
破壊準備にかかれ 5 63 909 773
625 :
専守防衛さん:04/09/08 02:13
626 :
専守防衛さん:04/09/08 02:16
628 :
専守防衛さん:04/09/08 02:17
630 :
専守防衛さん:04/09/08 02:17
631 :
00 ◆0071AEJdYM :04/09/08 02:19
孤独な作業を好き好んでやるんだ〜、不思議な人だ。
634 :
00 ◆0071AEJdYM :04/09/08 02:33
635 :
専守防衛さん:04/09/08 05:09
破壊やめ! 中隊本部一同
636 :
専守防衛さん:04/09/08 22:56
誰やねん・・・
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焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔焔 灼熱の宴
640 :
専守防衛さん:04/09/10 12:40
やめろ!破壊やめろ!
641 :
専守防衛さん:04/09/10 23:46:17
てす
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643 :
番外編:先任の土曜日その1:04/09/11 21:23:10
土曜日の駐屯地、事務所では先任が机の上でなにやら書類を書いている。師団から提出依頼のあった服務関係の書類だ。まぁ『依頼』と言っても師団から提出を求められた時点で『命令』と大差ないのだが…
そう急ぎの仕事でもないのだが、家にいても特にやる事のない先任は愛車のステップワゴンで駐屯地にやってきたのだ
事務所には先任一人だ、『訓練管理』で忙しいはずの田浦もいない(あいつは土日だけは意地でも残業せんからな〜)慣れないパソコンを叩きつつ一人思う
「ん?あれ…書類のサイズを変えるには…」相変わらずパソコンが苦手な先任である。普段は田浦3曹とかに聞いてるのだが、今日は誰もいないのである
(困ったな〜)頭を掻きつつ麦茶を飲む、とその時…
「お疲れ様ッス〜」と言って入ってきたのは、昨日陸教から帰ってきた藤井士長だ。帰ってきていきなり初動派遣要員として残留しているのである
「お〜藤井、ちょっと…」手招きする先任「?」「いいからいいから…コレどうやるんだ?」そう言ってパソコンの画面を見せる
「あ〜これは…こうして…」「お〜!助かったよ。さすが新進気鋭の3等陸曹!」「まだ陸士ですけど…」3曹昇任は7月1日だ
「ところで何の用だ?」と聞く先任「田浦3曹に用事があったんですが…いませんね」「アイツ、土日は残業せんからな。今日は休日だぞ〜」そう言って笑う先任
「非道い!帰ってきていきなり残留に付けたのは先任じゃないすか〜」泣き言を言って帰っていった藤井士長であった
644 :
番外編:先任の土曜日その2:04/09/11 21:23:55
グランドでは駐屯地サッカー部が活動中、仕事でさんざん体を動かしてなおかつ休みも運動するタフな隊員達だ
書類を一通り片づけた先任は、定年後に備えて宅建の勉強に入る(やっぱり定年後も大事だからな)とその時、またまたお客さんが入ってきた
「おや?先任お仕事ですか?」神野1曹だった「そういう神野は何しに来たんだ?」「こないだの演習で使ったモノを整備しようかと…」
「今日は他に誰もいないんですね」事務所を見回し神野1曹が言う「まぁ休日は休むもんだよ。オレだって仕事してるわけじゃないしな」そう言って宅建の参考書を見せる
「土日休みはありがたいですが、最近持て余し気味なんですよ」そう言って頭を掻く「妹さんはどうなんだ?」神野1曹が空挺から転属してきた理由は『難病の妹さんの看病のため』なのである
「おかげさまで調子いいです。明日はどっかに連れて行ってやろうかなと…」ピン、とひらめく先任「じゃあコレやるよ」そう言って机の引き出しを開ける
「これは?」「方面音楽祭りのチケットだよ。地連の知り合いが『余った』って言ってきてな。明日だけどどうだ?」「確か赤城らが行ってるヤツですよね…」少し考える神野1曹
「そうですね、ありがたくいただいておきます!」そう言ってチケットを受け取る「たすかったよ。ウチの家族も『遠いから行かない〜』なんて言ってな…」
645 :
番外編:先任の土曜日その3:04/09/11 21:24:21
休みの日なのにけっこう人が来るのが中隊本部(みんな暇人かね?)自分の事を棚に上げて先任は思う。その矢先3人目の暇人がやってきた
「あっち〜、おっす先任!」騒ぎながらやってきたのは藤井士長と一緒に陸教から帰ってきた木村1曹だ「先任、休みなのになんばしょっとね?」
木村1曹は九州出身、もう部隊配属になって十何年にもなるのに、未だに九州弁が抜けてない(抜こうとしない?)のである。いつも大声を出し豪放磊落な性格なので、敵も多いが味方も多い
「オレはちょっと勉強。そういう木村は何してるんだ?」「久々にフットサル部に顔を出しちょるんですよ」学生時代サッカー部だった木村1曹はフットサル部の代表者でもある
事務所にある冷蔵庫からペットボトルを取り出しノドに流し込む「ふ〜生き返るわい…先任も運動せんですか?」「もう年だしね…定年前の老体をいじめるなよ」苦笑いする先任であった
「上曹はどうだった?成績は悪くはなかったようじゃないか」「あんなん役に立たね!『今の自衛隊が悪いのはお前ら上曹のせいだ!』なんてこつばっか言いよるんよ」と言って笑う
「バ幹部がてめぇの事を先に考えろってな〜」大きな声で不穏当な事を言う「おいおい…」思わず周りを見渡す先任であった
646 :
番外編:先任の土曜日その4:04/09/11 21:25:38
昼になった。だが営外者である先任は食堂で食事ができない「何か買ってくるか…」席を立ち事務所を出る…そこにいたのは3小隊須藤1士だった
「あれ先任?お疲れ様でぇす」須藤1士は去年入ったばかりの新兵であり、中隊でも一番若手の隊員である。年齢も先任からしたら子供と同じようなものだ
今時の若者らしく派手な柄のTシャツにダボダボの7分丈ズボン、首には派手な銀のアクセサリーを付け身分証の脱落防止も太い鎖を付けている
どうやら外出証の受領に当直室に来たようだ「おう、しかし須藤…なんて格好だ?」ちょっと呆れる先任「ヘンっすか?」「ん〜オレから見たらな…」
(やっぱりもうオレは年よりかねぇ…)自衛隊も一種の社会の縮図である。世代交代も致し方ないか…と思う先任であった
「ところで須藤、どこに行くんだ?」「近くのコンビニっす」「コンビニ?じゃあ何か弁当買ってきてくれ」そう言って財布から千円札を出す
「400円くらいの弁当とお茶のペットボトル、銘柄は任せるわ。余った分はやるよ」「わっかりました〜」
647 :
番外編:先任の土曜日その5:04/09/11 21:26:25
須藤1士が買ってきたコンビニ弁当を平らげ、先任は勉強を再開する…はずだったが、またまたお客さんの登場である「あれ〜?先任お仕事ですか?」
Tシャツにジーパンのラフな格好で登場したのは、3小隊長佐々木3尉だ。こう見てみるとまだまだ若い、今時の若者と変わらないのである「いやいや、勉強中ですよ。小隊長は?」
「ちょっと片づけなきゃいけない書類が…舎後のステップワゴンは先任のですか〜」事務所からは先任のステップワゴンと、佐々木3尉の日産マーチ(中古)が見える
「いい車乗ってますね、うらやましい…」防大出の若手3尉は給料が安い上に官舎生活で出費も多く、同年代の陸士より苦しい生活である事も多い「すぐ給料上がりますよ」苦笑いして先任は言う
「だといいんですけどね…」飛ぶ鳥を落とす勢いのハズである防大出の幹部にも、それなりの悩みはあるようだ
あらためて外を見ると、隊舎の周りやグランド周りには様々な車が停まっている。安い軽に派手なワゴン、車高を低く改造した車も多い
(金かけてるなぁ)若い連中は車好きが多い、整備班など自分で手をかけて改造する隊員もいる。しかし…(問題も多いんだよな…)
手元にある書類の中に「師団交通3悪絶無計画」なる表題のモノがある
648 :
番外編:先任の土曜日その6:04/09/11 21:27:10
交通3悪とは「無免許・飲酒運転・ひき逃げ」の3つであり、特に飲酒運転に関して師団は「発覚しだい処分(懲戒免職もあり)」という方針を打ち出している
もっとも無免許とひき逃げは問答無用で懲戒免職でも文句は言えないのである
(まぁ罰金も厳しくなった事だしなぁ)書類には様々な事例が書かれている。例えば…
「某部隊で検問に捕まった3等陸曹からアルコールが検出される→降格処分→自主的に退職」
「違法改造した車に乗っていた陸士長→警察に検挙される→自主的に退職」etc…
「自主的に退職させる」と書いてはあるが、実際は「退職に持っていく(追い込む)」のが現状らしい…
(脅しみたいだな。相変わらず弱いね自衛隊は…)歩哨が左翼の活動家に刺殺される時代よりはマシになったが、まだまだ自衛隊の立場は弱い
不祥事や事故に対して過敏に反応するのは昔から変わらない。こういう事態に対応するのも先任の仕事だ
(今週末も無事終わりますように…)毎週末心の中でそう祈っている先任であった
649 :
番外編:先任の土曜日その7:04/09/11 21:29:41
「ん〜…」手を上に組んで背伸びをする。夕方に近くなり日も西に傾き始めた(そろそろ帰るか)そう思い先任は机の上を片づけ始める
当直室に顔を出す「お疲れ〜そろそろ帰るわ」当直の中島1曹に伝える「あいよ〜お疲れさんです!」
隊舎を出てふと(生活隊舎に顔出すか…)と思い立つ。一昔前は事務所と営内班が同じ建物にあったが、最近は「職住分離」の名目で居住専用の隊舎になっている
営内者は気楽になるだろうが、非常呼集時などの連絡などで不都合も多い。特に中隊長などが営内者の指導をしにくくなったため、部隊によってはかなり荒れ放題になる事もある
「お疲れ〜っす!」駆け足の後だろうか、上半身裸で若い陸士連中がうろうろしている「おぅ、お疲れさん…そのカッコで外に出るなよ!」
基本的に男ばっかりなのでセミヌードくらいで目くじらは立てない。それよりも便所や乾燥室の方が気になる…あとは喫煙所だ
(清掃はやってるんだが、すぐに汚くなるんだよな〜まったく…)タバコの吸殻が煙缶に一杯になってないかも確認する(ボヤ出したらかっこ悪いしな)
車に乗りこもうとした先任に奥さんから電話がかかってくる。携帯を取り出す先任「もしもし?」(もしも〜し、もうすぐ帰ってくるの?)
「今から駐屯地出るところだから」(じゃあ晩飯の材料買ってきて。何か食べたいものある?)「ん〜別に…」と言いかけた先任の鼻に、駐屯地の食堂からカレーのいいにおいが漂ってきた
「カレーがいいなぁ」(駐屯地もカレーなのね?)そう言って笑う奥さん。さすがに読みがいい(じゃあジャガイモとタマネギと…鶏肉もね)
「わかった、すぐ帰るよ」電話を切って駐屯地を後にする先任であった
650 :
まいにちWACわく!作者:04/09/11 21:47:32
>613
>616
>621
こんな小説もどきでよかったらいくらでも書きますよ〜削除はされなさそうですね
>622
外禁にはなりません、だって、営外者ですからっ!!とまぁそれは置いといて…
やはり外禁ですかね?自衛隊の暗部を容赦なくえぐる様な悪い話を書いているわけではないのですが…
そういう話も書けますがね
651 :
専守防衛さん:04/09/11 22:03:03
>>650 いつも乙です。
いかにも苦労してそうな先任に萌え。
652 :
緑装薬4 ◆.4aL5K3vps :04/09/11 23:02:30
>650
ほら、やっぱり「生の自衛官のお話」っていい顔せんでしょ?(笑)
俺は、、自衛隊の広報としては重要だと思うんだけどさ。
部隊で「2ちゃんで書いてまぁ〜す♪」たぁ言えんでしょ。
自衛官時代を懐かしみながら拝読させて頂いております。
煽らないでね。
654 :
専守防衛さん:04/09/12 08:10:42
三島と青木編 ちょっぴりドキドキ 切ない恋編 「青木、お茶を出す時はお客の左から出してくれ!」ここは、方面音楽祭会場、特別招待客 接遇室 方面音楽隊ともなれば、各師団司令部からも作業員として配属される
655 :
専守防衛さん:04/09/12 08:18:59
客のお茶出し作業員は各師団司令部で働くワックで集められていた。師団勤務は顔で・・・と噂される位である。青木を初め綺麗所の集まりである。 「休憩」と接遇班の長 方面の2佐が声をかける 皆バラける ワックだけあって、煙草を吸いに行く物も少ない
656 :
専守防衛さん:04/09/12 08:22:33
「彼氏も作業来てるんだ〜 だけどこんなに遅いと会えないよね〜」なんて声が何処からか聞こえた。青木はボケ〜としながらその声を聞き、(そういえば、三島さん、この作業は出てないのかな?)と考えていた。
657 :
専守防衛さん:04/09/12 08:26:44
1730 接遇班の作業終了 マイクロバスに皆乗り込む このあたりでマイクロを使えるあたりが、司令部と部隊の違う所だろう バスの中では話をするもの、仮眠するもの メールするものとさまざまだ 青木も携帯をチェックした すると 着信1件の文字がある
658 :
専守防衛さん:04/09/12 08:29:26
見ると三島からだった。自然と笑がこぼれる青木。帰ったら電話してみよう とすぐに思っていた。その時「青木3曹はどうする?」と、他のワックから声がかかった
659 :
専守防衛さん:04/09/12 08:33:05
聞けば、明日は本番だから、あんまり遅くまでは無理だけど 有志をあつめて、軽くご飯、酒をと言う話だった「宿舎に帰ってから答え出します」と慎重な青木 青木の頭には、もしかすると三島が・・・と考える部分もあった
660 :
専守防衛さん:04/09/12 08:35:59
宿舎に到着。部屋に戻ると青木はすぐに三島へと電話した 「もしもし・・・ 青木ですけど。すみません、電話遅くなって・・・」と三島と会話を続ける 会話が進むにつれ笑顔になってくる・・・
661 :
専守防衛さん:04/09/12 08:41:45
シャワーを浴び、化粧をして、私服に着替え、ご飯の誘いを断り。タクシーを呼び、出かけた 行った先には、三島がいた 「お待たせしました〜」と三島の前に立っ 今日は化粧乗りもよく、少し自信があった。事実、三島も青木の綺麗さに少し戸惑っているようだ
662 :
専守防衛さん:04/09/12 08:46:05
二人、ご飯を食べ、二人の共通の話題で盛り上がり、また三島が今日の昼に食べたラーメンの話を興奮しながら話すがたに、お互い、笑ったり はたからみれば、いいカップルだろう 青木はこの上なく幸せな時間を過ごしていた
663 :
専守防衛さん:04/09/12 08:49:10
ご飯を食べ終え、これからどーしょうか、と話になった時 時間すでに21時だった お互い明日、本番のため、朝がはやい もう、帰ろう と話しあった その時三島から思い出したかのように・・・
664 :
専守防衛さん:04/09/12 08:55:32
「俺、候補生受かったよ」と一言告げられた 「おめでとございます」と自分の事のように喜ぶ青木 と、少し間が空いたその時、「三島さん、この中見てください」と手をあわせ、そこに隙間をつくり覗かせた
665 :
専守防衛さん:04/09/12 08:59:36
三島もバカ正直である。「ん?何?何?何が見えるの?」と、除く 必然的に三島の死角が無くなる と・・・! 青木が三島にキスをしたのだ! 三島もすぐに気付きボーゼンとしている
666 :
専守防衛さん:04/09/12 09:02:37
青木も顔が真っ赤になっている。「お、おめでとうございます。私、三島さん・・・ あっ、あの、とにかく頑張ってください。また今度遊びましょう 明日頑張りましょう 今日は帰ります」と言って、走ってタクシーに乗り込み帰って行った
667 :
専守防衛さん:04/09/12 09:03:43
青木も顔が真っ赤になっている。「お、おめでとうございます。私、三島さん・・・ あっ、あの、とにかく頑張ってください。また今度遊びましょう 明日頑張りましょう 今日は帰ります」と言って、走ってタクシーに乗り込み帰って行った
668 :
専守防衛さん:04/09/12 09:06:42
こんな、甘酢ぱい出来事があった二人 次の日 二人とも異様にテンションが高かったと あとから語らていた ちょっぴり恋話編 完
669 :
( ̄ー ̄)ニヤリッ ◆dTQkcZeb9M :04/09/12 11:01:46
削除依頼粉砕!支援(・∀・)age!!
670 :
専守防衛さん:04/09/12 15:24:28
>>614 依頼を事務的にこなすだけの無能削除人って誰のことだ?
671 :
専守防衛さん:04/09/12 20:35:39
>>654-668 こういう話大好き!こんな奴が後輩にいたら応援しちゃうだろうな・・・。
それに引き換えウチのWACどもは・・・。
作者さんたち頑張って!!
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673 :
まいにちWACわく!その178:04/09/18 16:04:31
日曜日…いよいよ音楽祭り本番、朝一番で会場にやってきた中隊の面々。会場の駐車場には方面管内各部隊の車両がずらりと並んでいる
高機動車から降り受付にやってきた「さて、準備しますか…」書類やリボン、名札など必要なモノを机の上に並べていく「あと、自分の服装も点検な〜」大沼3曹の指示が飛ぶ
「赤城は体力検定1級持ってるんやな」赤城士長の3種制服の左胸には「体力検定徽章」が光っている
月桂樹に三角形をデザインした、口の悪い人からは「ニセレンジャー」とか言われている。だが体力検定1級を取ったモノだけに与えられる(1年限定)ため、そのかちは充分にある
「井上3曹は射撃特級ですね」「コレと記念章が一個だけ…寂しいもんや」左胸のポケットに銃の照星をかたどった「射撃特級徽章」が付いている。その上には紫色の記念章が一つ
「コレは何で貰ったんですか?」「職務遂行の5級、ようするに中隊長から『よく頑張りました』って貰ったんやな」
大沼3曹の胸にはカラフルな防衛記念章が凸型に2段4つ付いている「コレって何でもらったんですか?」と聞く赤城士長
「ん?これか…上の一つは震災(阪神大震災)で貰った4級、下のコレは車両無事故操縦、真ん中は職務遂行の5級、赤いのが10年勤務だな」
一つづつ指を指して説明する「いろいろあるんですね」「いつか貰えるよ。陸曹になる時に一つくれるんだっけな?」記念章を貰うと勤務成績にA判定が出る。すると…「ボーナス上がるぞ」と笑う大沼3曹であった
「ま〜震災で貰うってのも複雑だよな。自衛隊が大活躍って事は、誰かが不幸になってるんだから…」
674 :
まいにちWACわく!その179:04/09/18 16:05:12
ステージでは音楽隊員達が最後のリハーサルに余念がない、受付にも音が漏れ聞こえてくる。定番のワーグナー、映画音楽、最近のヒット曲などなど…音楽隊はレパートリーが広い
警備は配置に付き、接遇班もお茶の準備を整える。受付も準備を整えいよいよ開場となった
「といっても行列ができるようなイベントやないけどな」迷子案内の机に座り、まばらな人影を見ながら井上3曹は言う「そうですね〜子供連れとか来ますかね?」と赤城士長
客層はさまざま、明らかに自衛官の家族連れ、企業の社長や重役といった感じのおじさん達、制服を着た高校生の一団は学校の吹奏楽部のようだ
そんな中、知った顔もある「神野1曹!いらっしゃい〜」と受付から声が聞こえ、控え室で休憩してた赤城士長は顔を出す
神野1曹が線の細い女性を連れて受付の人と話している、ロングの黒髪が美しい美人だ(神野1曹の彼女かな?やっぱりモテるよね〜)と一人納得する赤城士長だった
本番まであと少し…まだまだ迷子は出てこない「そりゃこんな狭い会場で迷子は出んな〜これが駐屯地のイベントとかやったら大忙しやけどな」そう言って笑う井上3曹
「じゃあ何しに来たかわかりませんね」と苦笑い「いやいや、でもいないと困るわよ」とは中川2尉だ「万が一…てのもあるからね」
そんな会話をしてる時…受付の方でちょっとした騒ぎがあった
675 :
まいにちWACわく!その180:04/09/18 16:05:58
「何で私を知らないんだ!私は自○党員だぞ!貴様ら木っ端隊員なんぞ一言でクビにできるんだ…」なにやらスーツを着た中年男性が騒いでいる
中肉中背で少し太鼓腹、薄汚れた灰色のスーツに埃まみれの靴、はげかかった頭はぼさぼさで目が少しイッてしまってる。ど〜も様子が変だ
「ですから招待状のない方の入場はできないんです…」「貴様ら下っ端隊員じゃ話にならん!私は元陸将だぞ!貴様らの部隊の隊長の名前を出せ!」言う事がコロコロ変わる
こんな時に限って宍戸3佐は席を外している。対応に苦慮してるのは大沼3曹だ「他のお客様の迷惑になりますので…」「私が一番偉いんだ!何を考えてる!」
現時点で受付の先任者は木島曹長だ、が…「アイツ逃げおった!」受付の騒ぎを見ていた井上3曹が小声で赤城士長に言った
受付の机の後ろに座っていた木島曹長は、騒ぎが始まったとたんに席を外し逃げ出したのだ「そんな…」赤城士長も驚きの色を隠せない
当然ながら遠戸2曹はオロオロするだけ。受付の後ろで金魚のように口をパクパクさせている
「仕方ないわね…手伝って赤城士長」騒ぎの場に出てきたのは中川2尉だった。騒ぐ男性の前に立ち「何かありましたか?」と聞く。赤城士長は中川2尉の斜め後ろに立つ
「なんだぁ?女はすっこんでろ!」「私が現責任者の中川2尉です。あなたのお名前は?」胸を張り目を細め冷然と言い放つ。身長170センチの中川2尉は威圧感がタップリある
「な、なんで名前を言わなきゃいけないんだ?!」その迫力に狼狽する男性。まだ20代に見える(ホントは30才)中川2尉の意外な迫力に押されているようだ
「お名前をいただかないと名簿の確認ができません。それとも言えない事情が?」「…て、てめぇみたいな下っ端に言う名前なんか無い!」
676 :
まいにちWACわく!その181:04/09/18 16:06:27
「ではお引き取りを願います。大沼3曹、警備に連絡を…」「な、何だと?!」狼狽する男性「わかりました」と言って電話の受話器を持ち上げる大沼3曹
「…て、てめぇら女に使われていいのか?!男のプライドはないのかよ!」「自衛隊は階級がすべてです。男も女もありません。元陸将なら知ってるでしょ?」挑発的に言う中川2尉
顔を真っ赤にして大汗をかく男性。明らかに慌てている「こ、このクソアマ〜!」そう言って中川2尉に手を伸ばし襟首をつかもうとする…その時
斜め後ろに控えていた赤城士長がその手を取り、逆の手で男性のアゴをつかみ上げる「ぐわっ!」と情けない声を出して顔をのけぞらせる男性
そのまま腕を取り背中に回す、背後に立ち襟首を掴みヒザ裏に軽く足払いをかける。跪くような形で男性は制圧されてしまった「動くと痛いですよ」耳元でささやく赤城士長
ちょうどその時、警察官を連れて小野3曹がやってきた「よ〜し、そこまでそこまで…」そう言って小野3曹は男性の襟首を掴み、赤城士長から引き離す
「じゃ、お願いします」「わかりました…さぁこっちに来なさい!」警察官がその男性の脇を抱えて会場の外に引きずり出していった…
「ふ〜怖かったぁ」そう言って苦笑いする中川2尉「ありがとね、赤城士長!」「いえいえ、こんな事しかできませんし」謙遜する赤城士長
ちょうどその時木島曹長がやってきた「あ〜何だぁ、何かあったのか?」としらばっくれる「…」一同誰も答えない。その時宍戸3佐も帰ってきた
「何かトラブルがあったのかね?」「えぇ、実は…」中川2尉と大沼3曹が概要を説明する
677 :
まいにちWACわく!その182:04/09/18 16:07:16
「そんな事が…で、その男性は?」「警備に引き渡して警察官が連れて行きました」「そうか、よくやってくれた!いい対応だよ」と喜ぶ宍戸3佐
返事をしようとした大沼3曹よりも早く、木島曹長が口を開く「や〜どうもありがとうございます!」一同(ハァ?)という顔をする
「ウチの連中は私の指導したとおりに動いてくれまして…」(何言ってんだあいつ!)(嘘だろ…)(えぇ〜手柄横取り?)ざわざわとみんな顔を見合わす
宍戸3佐も「ん…あぁ、じゃあ引き続き頼む。私は警察の所まで行ってくるよ」と言葉を濁しその場から去っていった…
「あんなの非道いです!何考えてんですか?」と文句を言うのは赤城士長だ。休憩を取り自販機の前でコーヒーを飲みながら休憩している
「ああいうのもいるってのが自衛隊の現実や、コレばっかりは現実の社会と変わらんな」と冷静な井上3曹「シャバにもおるで?ああいうヤツは…」
「でも…」「赤城の家族は立派なんやろな、赤城本人を見たらわかるわ。いい意味で親の顔が見たいな〜」と笑う「…そうなのかなぁ、父の部下も立派な人たちばかりでしたよ」
「上官の前でいいカッコしとっただけかもな。さっきのジメジメみたいにな」しれっと言い放つ「…」う〜んと考え込む赤城士長
678 :
まいにちWACわく!その183:04/09/18 16:08:07
休憩を終わって受付に帰ってきた二人、声をかけてきたのは宍戸3佐だ「や〜赤城士長!さっきはありがとうね」と明るく声をかけてくる
「さっきの男性はリストラされてノイローゼだったらしくてね。家族が警察に迎えに来てたよ」「やっぱり…目がトンでましたもんね」同意する井上3曹
「ああいう仕事ならいつでもOKです!」明るくいう赤城士長「そうか、頼むよ〜」と肩に手を置いて立ち去る宍戸3佐であった
演奏の音楽が受付にも漏れ聞こえてくる、プログラムを見るともうすぐ終わりのようだ「よし、撤収準備!」必要最小限の机やモノを片づけはじめる
音楽祭りが終わる頃にはほとんど撤収も完了していた。最後の客を送り出した後、宍戸3佐が全員を集める
「ご苦労さん!この3日間よくやってくれたね。去年も受付やったけど、今年の受付の人たちはよくやってくれたよ!ありがとう」と全員の前で語る
並んだ隊員の右端にいるのは木島曹長、気のせいかそっちは見ないように語ってるように見える(…気付いてるんかな?ジメジメが何もしてへんこと…)話を聞きながら内心思う井上3曹であった
余った記念品のタオルを貰い高機動車に乗り込む一同。時間はもう夕方になっている(帰る頃は夜中だな…)運転する大沼3曹はそう思う
駐屯地に帰ってきた受付要員を「お疲れっさ〜ん」と明るく出迎えたのは当直幹部の中島1曹だった「明日明後日は休みだろ?代休証用意してるから取りに来いよ〜」
679 :
まいにちWACわく!その184:04/09/18 16:08:46
高機動車から荷物を卸し、軽く洗車も終わらせてやっと解散となった「あーお疲れさん、ゆっくり休んでくれ」隊員達の方を見もしないで吐き捨てるようにいう木島曹長
「きょうつけ…別れ」全員が敬礼をしてやっと長い音楽祭り支援が終わった
「あ〜疲れた…」「またジメジメがやらかしたって?」「そうなんですわ〜アイツにはやられますわ」陸士の営内班でゲームをしつつ話すのは井上3曹と飯島士長だ
「またジメジメ伝説が増えたってわけだ」と笑う飯島士長「ロクな伝説や無いですけどね」コントローラーを操作しながら言う二人
「俺らはええんですわ、ああいう連中がゴロゴロおるのも知ってるし…でも若い連中にはしんどいでしょう」「赤城とか?」「そうですわ」
画面の上では3Dのキャラが格闘技の技を繰り出している「ま、いいじゃん。そのうち現実と戦うようになるだろ〜…ほりゃ、KO!」「あ〜しまった…」
「さ、現実と戦って貰おうか。何人いるかな…」営内班にいる陸士の数を数え始める飯島士長「4人か、お前ら井上3曹がジュースおごってくれるってよ〜!」
それを聞いた陸士達が群がってくる「いただきま〜す」「オレ、コーラを…」「ボスのカフェオレ!」飯島士長は「午後ティー、速攻で勝ってこいよ」
「あ〜あ、帰ってきて早々に500円の出費か…じゃあ行ってきますわ」隊舎横の自販機にとぼとぼと向かう井上3曹であった
680 :
まいにちWACわく!その185:04/09/18 16:09:24
同じ頃、WAC隊舎の自室に帰ってきた赤城士長「疲れた…」衣納に詰めた荷物を出すのもおっくうだ。早くベッドにダイブしたい気持ちを抑えつつ、制服などをロッカーになおす
「お疲れ〜…なんか疲れてるね?」中村3曹が入ってきた「何かいろいろありまして…」「ふ〜ん、まぁお疲れ様!」ポンと肩に手を置く「明日明後日と代休ですよ〜」と少し嬉しそうに言う
「あ〜そうそう、言っておく事が…」と中村3曹「?」荷物をなおし一息ついてる赤城士長は、怪訝な顔をして中村3曹を見る「月末に2人、新隊員が入ってくる事になったよ」
「新隊員?後期教育ですか?」「そうそう」「本管?」「いや、重迫。またどんな子が入ってくるかわかったら教えるね〜」「そっか、新隊員か…」もうそんな時期なんだな〜と実感する赤城士長だった
隊舎内の自販機で缶ジュースを買う赤城士長。プルタブを引き上げると炭酸の抜ける音が聞こえる「ふぅ…」ソファーに座り一息
(そっか〜新隊員か…)と物思いにふける(ついこないだまで中隊で一番若い隊員だったのにな…)何か作業があるとかり出されたりする生活ももうすぐ終わりである
(でもなぁ…)自分が人にモノを教えられるようになったのかな?とも考える。しかも来年の今ごろは陸曹になってるのだ(大丈夫かな…)やはり不安はある赤城士長だった
681 :
まいにちWACわく!作者:04/09/18 16:21:13
>652
自衛隊の広報はいいところばっかり見せますもんね。曹友とかセキュリタリアンとか朝雲とか…
お前らは旧ソ連のプロパガンダ映画か!と突っ込みたくなります
682 :
専守防衛さん:04/09/21 08:49:01
削除依頼撃破age
683 :
専守防衛さん:04/09/21 22:07:35
「三島さん・・・ 私・・・ 三島に技決めたい!」・・・「うわぁ〜!」 「はぁハァ・・・」 三島は叫びながら、目を醒ます。まだ、辺りは暗い 異様な夢だった。しっかり目覚めた三島は、なんだか喉に渇きを感じコーヒーを買いにでた
684 :
専守防衛さん:04/09/21 22:11:27
と、廊下に出ると、異様な叫び声に、驚き、何事?とした顔の営内者が数名、廊下に出ていた。「三島〜お前か?どーしたのよ?」皆、一同に心配した顔している。「いゃ〜なんか怖い夢みて、心配かけました。すいません」と丁寧に謝る
685 :
専守防衛さん:04/09/21 22:15:42
皆、各人の部屋へと戻る。三島も気まずいなぁ なんて思いながら、自販機へと急ぐ。コーヒーを買い・・・喫煙所へ向かい、そこの椅子に腰かける と・・・
686 :
専守防衛さん:04/09/21 22:20:50
真夜中にも関わらず、先客が居たことに気が付いた 誰?と思い、顔を覗く三島。暗いせいもあり、誰か確認できない。三島達の住む居住隊舎の階には三島の中隊の他、重迫がいる 三島も結構連隊内の人物を知っているつもりだったが・・・見覚えがない顔だった
687 :
専守防衛さん:04/09/21 22:24:51
こんな時、人はとても気まずい気持ちになる。三島ももちろん気まずさを感じていた。そして、あの人もだろうと考えていると 小さい声で・・・ 「煙草ある?」と問いかけられた 三島は慌てて、ズボンを触ると、煙草があったので、ありますと告げた
つまらん
689 :
専守防衛さん:04/09/21 22:28:38
「ありますよ、あぁ、吸われるんならどうぞ」と煙草を差しだし、火を付ける。やはり見た時がない顔だった 転属して来たばかりの人だろうか?と考えながら、自分も煙草に人をつける すると、また小さい声で「ありがとう・・・ ずっと煙草がすいたかったんだ」と・・・
690 :
専守防衛さん:04/09/21 22:33:31
おかしな事を言う人だと思いながら、三島も思い切って話をしてみた 「重迫の方ですか?初めて見る顔ですね?」など と色々質問するが「うん、うん」と言うばかりで会話にならない 流石に気まずくなり、三島は「じゃ、自分は帰りますんで」と言い席を立つ
692 :
専守防衛さん:04/09/21 22:38:29
すると、小さい声で「もう一本貰える?」と言われた なんか不気味な人だなと思いつつ煙草をだし、火をともすと・・・ そこにいたのは赤城だった! 三島「!!?」声にならない絶叫を心で叫ぶ三島すると、赤城は「私、三島を初めて見た時から技決めたくて!」と飛び込んでくる
693 :
専守防衛さん:04/09/21 22:42:16
「ぎゃ〜!」・・・ 「おい!おい!三島、三島!起きろ!」と言う声が聞こえ・・・ 目を醒ますと私服姿の田浦が目の前に、部屋の入り口には飯島を初め野次馬達がいた 「ん?あ、あれ?ここどこ?」と寝ぼける三島
694 :
専守防衛さん:04/09/21 22:48:07
朝飯を飯島らと食べに行き、話を聞いて真相が判明した どうやら、一番初めに見てた夢は、夢の夢であり、コーヒーを買いに行ったと思いこんでいた事も夢であったのだ しかし、赤城が技をかけたがっているのか?なんて疑問も強烈に頭から離れない すると「おはようです」
695 :
専守防衛さん:04/09/21 22:56:15
ふりむくと赤城だった 食事をしながら、おそるオソル「あのさ、赤城って煙草、吸わないよな?」と聞く三島もちろん答えはイエスであった さらに三島は「空手とかって最近練習は?」と聞きとニッコリ笑って 「実はですね〜」と話を続けた
696 :
専守防衛さん:04/09/21 23:00:31
「ここの駐屯地に空手を近所の子供に教えている人がいるらしんですよ〜、それ聞いたら私、なんか久しぶりにしてみたくて〜三島士長、私の技受けませか〜?」 なんて笑いながら言ってくる また、夢かと思い、ほっぺをつねるが痛い・・・
697 :
専守防衛さん:04/09/21 23:03:37
赤く腫れたほっぺ顔でモジモジと「いえ、遠慮しときます・・・」と断る 赤城はその姿にキョトンとし・・・ 飯島は、面白いなぁと思いながらただニャニャするのだった
で、みんなでウンコを食ってみた
いんきんたむしだった
どっこいどっこい!!
ぶわはははは
中隊にみんな来た
703 :
鈴木 ◆i3FjaNbBfI :04/09/21 23:49:05
みんなは元気に集まった
704 :
専守防衛さん:04/09/21 23:50:10
なぜ集まった?
敵と戦うために
706 :
専守防衛さん:04/09/21 23:50:57
敵はだれ?中隊本部の敵は?
それは・・・「宇宙戦争ドガチャーン」!!!
強い強敵だ
708 :
専守防衛さん:04/09/21 23:51:53
弱い強敵がいるのかよ笑
いるかも。
710 :
専守防衛さん:04/09/21 23:52:32
イルカ?
711 :
専守防衛さん:04/09/21 23:53:16
で、ドガチャーンはどんなヤツ?
それは言えない。敵の情報を漏らすわけにはいかんな
713 :
専守防衛さん:04/09/21 23:54:15
つまらん。
714 :
専守防衛さん:04/09/21 23:57:40
ばか
ドガチャーンってどんな?ううー 続きが気になる
いずれ明かす。まあ、乞うご期待!!
けけけ
ううー
気になる。果たしてナゾの組織「ドガチャーン」とは?
中隊本部に集まった「元気な」みんなはどう闘う?
新展開に期待!!
718 :
田中 ◆15lIZBDwz6 :04/09/22 01:47:25
集まったみんなは闘う準備を始めたのだ。
ドガチャーンと闘う。ドガチャーンは組織だ
ドガチャーンは宇宙組織だ。
722 :
専守防衛さん:04/09/22 01:58:55
宇宙戦争ドガチャーンは正式名称だ
723 :
専守防衛さん:04/09/22 02:01:30
ドガチャーンは宇宙制服を企むのだ
724 :
専守防衛さん:04/09/22 02:02:05
ドガチャーンはなぞが多いのだ
725 :
専守防衛さん:04/09/22 02:02:44
ドガチャーンは強い兵力を持つのだ
726 :
専守防衛さん:04/09/22 02:03:13
ドガチャーンを倒すために中隊が立ち上がった!
727 :
専守防衛さん:04/09/22 02:04:08
なぜ中隊?それは! ドガチャーンの攻撃で大隊は全滅!もはや中隊しかないからだ
728 :
専守防衛さん:04/09/22 02:04:38
ドガチャーンは間抜けな名前だがこわいぞ
729 :
専守防衛さん:04/09/22 04:38:34
ロンパオスポワーク!
730 :
専守防衛さん:04/09/22 04:39:06
なんだろう?はてさてほほー
731 :
専守防衛さん:04/09/22 04:39:33
ドガチャーンの合い言葉さあ!
732 :
専守防衛さん:04/09/22 04:40:03
ううむ!おそるべきドガチャーン!
733 :
専守防衛さん:04/09/22 04:40:29
恐ろしきかな
荒らされちまった悲しみに…
735 :
専守防衛さん:04/09/22 04:41:17
さよう。ドガチャーンは宇宙征服を企むからだ!!!!!
736 :
専守防衛さん:04/09/22 04:41:49
宇宙戦争ドガチャーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
737 :
専守防衛さん:04/09/22 04:42:12
ひっひひ どんどん!
738 :
専守防衛さん:04/09/22 04:42:56
先輩は朝が早いねぇ
739 :
専守防衛さん:04/09/22 04:43:04
中隊本部はどう戦うか?さしせまる破局、それとどう戦うか
緑のたぬきもらってる奴に荒らされるとは
741 :
専守防衛さん:04/09/22 07:26:28
荒らすのはお前だろ?新しいストーリー面白そうだよ。ドガチャーンって正体気になるし
742 :
専守防衛さん:04/09/22 14:22:57
ドガチャーンは組織化された集団だ
743 :
緑装薬4 ◆.4aL5K3vps :04/09/22 17:50:54
>681
うははっ!
<プロパガンダ
まあ、「恥ずかしいところを見せる広報」なんて、ないだろうからねぇ(笑)
でも、マジで「自衛官わ、生身の人間です。飯も食えばクソもします。疲れたら眠くなるしエッチもしたくなります。」
てな広報せんと、とんでもないスーパーマンだと思われて、休み無しの飯抜きで仕事させられそうだねぇ・・・
744 :
専守防衛さん:04/09/22 18:41:07
荒らすなぼけ お前はドガチャーンの回し者だな
745 :
専守防衛さん:04/09/22 19:46:28
ドガチャーンは低脳を使う事なし
746 :
専守防衛さん:04/09/22 21:31:39
ドガチャーンは宇宙戦艦をたくさん保有す
747 :
専守防衛さん:04/09/22 22:30:47
ドガチャーンを倒せば平和が戻る。
748 :
専守防衛さん:04/09/22 22:43:50
ドガチャーンはるかなる敵
749 :
専守防衛さん:04/09/22 23:37:12
(/~ /~ /~ /~ ~ /~ /^\
()/)/~ /~ |~ .|~ |~ |~ /)
へ^〈,|,,、,,|,,、,,,,,|~,,,,、〈~,, 〈~ /⌒|)\
|::::::: ゛ ゛ ,,,,;;::'''''ヽ
|:::::::: ,,,,;;::::::::::::::: __ ヽ
|::: " __ :::: <'●, |
┌―. - '"-ゞ,●> ::::::.. | __( "''''''::::.
| | ̄.. ::::::: ;;;; ______,,,,,,---'''''''"""" ヽ ゛゛:ヽ.
ヽ.\{_ ::::::::"""" . \::.● 丿 〜○
\\/. l|||||l ::::::: ..........::::::::::::彡''ヘ::::....ノ
\_ヽ. ::::::::::;;;;;,,---""" ̄ ^``
ヽ. /...  ̄ ̄
\ /:::::::: : ヽ
| |::::: :: ヘ
| ヽ:::::: :::.. ノ
ヽ\ \::::::: /\:::;;;;;;__ ノ
l `ー-::、_  ̄ ̄,.'|ヽ.  ̄ ̄
:人 `ー――''''' / ヽ
はっ?! ドガチャーンか??
/ ヽ |____ \□ □
/ \ / /
/ ,,,,;;::'''''ヽ'、 / /
/ ;;:::::::'''" .: ,,,,,, ヽヽ / /
| " ,,,,,,,,, .:: ;''“”` | | / /
|. ;::''“”“~` ::::. | |  ̄
| \ | | _
ヽ. .:.;;.;.;.:ゝ( ,-、 ,:‐、) | | | |
l.. /..:;.:.;/ \\\\ | | | |
| .;.;.:.//二二ノ"\\\\| | |
.. ヽ .;.;.:.:ヘ`\┼┼┼ ,\\\\ | |
l.:.:.;.;.: .;..\"ヽ-;:,,,,,,ノ / \\\\ | |
l.:`ー、_.:.:;.;.:.;\,,,,,__,,,ノ /.:..\\\\ | |
:人.::..:.;;.;.ヽ-、∵∵∴∵ / | \\\\  ̄
_/ `ー-、 "'====---''",.-'" \\\\\
,.-'" \: \ .,.-''" | \\\\
/. \ ~>、,.-''" | \\\\
,,..-‐'''"" ヾ ,.-''"| /――――、/
必殺!ドガチャーン戦闘員レーザー!!!!!!!!!!!!!
ドガチャーン・・・ 恐るべし
強敵ぞろいだな。
果てなき死闘の予感に恐れおののく中隊本部!
奇妙奇天烈な工作員を使うドガチャーンとは一体?!
754 :
専守防衛さん:04/09/23 08:05:41
ドガチャーン編 完 引き続き中隊本部 本編をお楽しみください
755 :
専守防衛さん:04/09/23 10:55:05
ドガチャーンを倒すために集まった中隊は総勢100名
756 :
専守防衛さん:04/09/23 10:55:54
はたしてこの人数で数十万のドガチャーンに勝てるのか?!
757 :
専守防衛さん:04/09/23 11:21:48
がんばる!たたかう
ドガチャーンが侵攻を開始した。中隊は色めき立った
ドガチャーンと闘う準備はまだ未完成だ。しかし、中隊に残された時間はない。限られた兵器と人員で「宇宙戦争ドガチャーン」と闘わなければいけない中隊に勝算は果たして有りや無しや
760 :
専守防衛さん:04/09/23 12:36:57
ドガチャーン編のほうがオモシロイ。今までの、だらだらと冗長な駄文を弄する書き込みよりずっと良くなった
ありがとう!このスレでは荒らし認定は連続AAとかでないと無理だね。
ドガチャーン編が荒らし呼ばわりされる筋合いはない。
以後、外野は無視してドガチャーン編を続けて次スレも続けて行きます
ドガチャーンは戦艦級10隻を擁し、中隊本部を叩きにかかる!
対する中隊本部は対空機関砲が5門と戦闘機4機、軽巡洋艦1隻(IRAN整備中にて非稼働)
これで闘うのは無謀ではないか?総督は静かに側近に話しかけた。
764 :
専守防衛さん:04/09/23 12:49:39
不愉快だ!
新規スレッドを立ち上げろ!
意味の無いことを書くな!
765 :
専守防衛さん:04/09/23 12:50:01
側近は静かに答える。大将!戦わずして逃げる先に我らの平安なる日々はありましょうか?それなら男らしく戦い、散り行くも華かと
総督はおもむろに「出撃開始」のジェスチュアで答えた
767 :
専守防衛さん:04/09/23 12:51:11
ここにドガチャーンと中隊の雌雄を決する一大決戦の火ぶたが切られた!
769 :
専守防衛さん:04/09/23 12:56:13
ドガチャーン艦隊の戦艦から容赦ないレーザー砲の攻撃嵐!
小惑星に陣取る中隊にとって、排水の陣で戦闘機が出撃する!!
770 :
専守防衛さん:04/09/23 13:00:25
>>764 やめたほうが良いよ。
こんな嵐はどうせ根性が無いから、
数日で終わるから、
一年なんて持ちゃしないよ。
ひょっとしたら、明日にも収まるでしょう。
・・・・・と、その時!!
ドガチャーン艦隊の最後尾の戦艦が前にいる味方の艦を攻撃し始めたではないか!!!
773 :
専守防衛さん:04/09/23 13:06:07
裏切りが?なぜ?しかし中隊にとって朗報にちがいない
突然の味方からの攻撃に混乱した艦隊は、あっと言う間に数隻消滅。
さらに前方からの中隊の攻撃にもさらされる挟撃により壊滅。残った2隻は逃走した。
裏切り行為により中隊を奇跡的勝利に導いてくれた艦艇はゆっくり中隊本部に近づいてきた。
攻撃の意志がないことを証明するためか、救難信号を放ちつつ。
776 :
専守防衛さん:04/09/23 13:18:06
着艦を総督以下中隊の面々が出迎える。艦船から現れたのはロベスピエール艦長以下乗組員だった
ドガチャーン皇帝のやり方には嫌気がさしていたのだ。
今更君たちに迎え入れられるガラでもないだろうが、今動かないと始まらぬ。
それで私と部下達は寝返ろうとしたのだ。
ロベスピエール艦長は総督にそう話した。
後ろ髪をひかれる思いはあったであろう。
なぜなら、彼らは多くの中隊の仲間や家族を殺戮してきたドガチャーンの戦闘員だから。
778 :
専守防衛さん:04/09/23 13:26:48
しかし今の中隊に仲間を選り好みする余裕はない。ただ志を同じくするものと手を組みやつらを倒す。その後の世界でまた別なるいさかいが生じる事はあるだろうけど・・
ロベスピエール艦長はナゾに包まれたドガチャーンの貴重な情報をもたらしてくれた。
もっとも、彼とて数多き幹部のひとりでしかない。最高機密に触れる機会などあろうはずもない。
しかし、今までまったくと言って良いほど情報のなかった中隊にとっては宝物のごとき情報であった。
780 :
専守防衛さん:04/09/23 13:34:27
さらに彼の息のかかったものたちが今もドガチャーン内にいてスパイ活動に従事させられるオマケまでついた
781 :
専守防衛さん:04/09/23 13:35:08
なんかドガチャーン編が面白くなってきたなw
続けてくれよ
782 :
専守防衛さん:04/09/23 13:41:54
このドガチャーンって書いてるアホゥはよっぽど寂しい奴なんだな(w
ピエール艦長によると、ドガチャーンの本拠は惑星「ネツァク」。
存在すら知られていない暗惑星だ。統治するものが何者かはカレも知らないという。
銀河毎に大兵力を配備し、今の中隊本部の兵力で闘うのは無謀であると。
>>782 うん。寂しいから。読んでね。ここに書いてくれるだけでうれしいからがんばっちゃう!たとい悪口でも。
しかし・・・・ 彼は言った
アジ・プロを効果的に使用して裏切りを誘発して内部から叩く!その時!!彼らの大兵力は
自らを守るためでなく、自らを脅かすものとなる!と。
まだまだピエール艦長以外にも、ドガチャーン司令部の無慈悲で強引なやり方に辟易している者は多いはず。
具体的な作戦案は?中隊本部のゾゼム提督は詰問する。
ピエール艦長が裏切った事実はすでに敵本部に伝わっているだろう。
逃走した2隻が伝えるに違いない。
そこで、中隊のものたちにドガチャーンへの侵入を期待する。
788 :
専守防衛さん:04/09/23 14:07:20
<<786
ようわからん。
そうか、侵入作戦か・・・
ゾゼム提督は考え込んだ。
生きて帰れる保証はなし。
提督は志願を募ることにした。
志願兵総勢5名。多すぎると却って目立つとの事からこの5名が選定された。
そしてピエール艦長の部下が案内役としてひとり。
791 :
専守防衛さん:04/09/23 14:12:28
792 :
専守防衛さん:04/09/23 14:15:46
ピエールの作戦はこうだ。中隊のある銀河の、直近のドガチャーン司令部に潜り込んで制圧する。そこを拠点に各銀河司令部の裏切りを促し、最後に場所は不明だがネツァクを叩く
志願兵ら6人は小型の戦闘機でドガチャーン第3銀河司令部「マルクト」に向けて発進した。
戦闘機はドガチャーンの輸送機に似せて艤装されている。
定期便を打ち落とし、それに成り代わって侵入する作戦だ。
敵との識別信号はピエール艦長より入手した。
信号が変わっていなければ・・・
マルクトは巨大な宇宙ステーションだった。
彼らは無事に内部に侵入。
中枢部と指揮官室を目指す。
796 :
専守防衛さん:04/09/23 14:31:02
うまく行きすぎでは?わざと侵入させたような気が・・・ 一人がそうつぶやいた
797 :
専守防衛さん:04/09/23 15:29:28
不愉快だ!
新規スレッドを立ち上げろ!
意味の無いことを書くな!
と
釣ってみる。
>>やめたほうが良いよ。
>>こんな嵐はどうせ根性が無いから、
本当だった。
いま続きの構想を練ってるの。もうちょっと待ってよ。せっかちね
しかし俺たちは前へ進むしかない!別の一人が言った。
途中で兵士を脅して司令官室の場所は聞いてある。
ここがそうだ。
801 :
専守防衛さん:04/09/23 18:55:19
やめたほうが良いよ。
こんな嵐はどうせ根性が無いから、
数日で終わるから、
一年なんて持ちゃしないよ。
ひょっとしたら、明日にも収まるでしょう。
早くも収まっちまった。
802 :
専守防衛さん:
>>801 オマエの自演だな。( ´,_ゝ`)プッゲラ