ゼロの院生<どん底からの国立医学部再受験>Part 5
●家族性大腸腺腫症(FAP)…ポリープが100個以上大腸全体にわたってびまん性に分布する。
常染色体優性遺伝。ほぼ全例に癌が発症する。5番染色体の長腕に位置するがん抑制遺伝子
であるAPC遺伝子の変異によって発症する。
●大腸がん…腺癌が大部分。脂肪を多く採ると胆汁が過剰に分泌され、それが腸管内で濃縮され癌の発症に寄与する。
1)Adenoma-carcinoma sequence…腺腫を経て癌化するというモデル。
APC癌抑制遺伝子の変異→ras癌遺伝子の変異→p53癌抑制遺伝子の変異(→癌の発生)→DCC癌抑制遺伝子の変異
2)De novo cancer pathway…腺腫を経ないで正常粘膜から直接癌化する経路を示すモデル。
APC、rasの変異は少ないが、p53遺伝子変異は腺腫を経る経路と共通している。
○大腸がんの病理…分類は胃がんと同様ボールマン分類を使用。U型が一番多い(胃がんではV型)。好発部位は直腸。
○進行度分類:Dukes分類
DukesA…癌の浸潤が筋層までで、リンパ節転移を認めないもの
DukesB…筋層をこえて浸潤しているが、転移は認めないもの。頻度は最も高い
DukesC…リンパ節転移を認めるもの
DukesD…遠隔転移を認めるもの
●遺伝性非腺腫症性大腸癌…大腸腺腫をほとんど伴わない遺伝性の大腸癌で、DNA修復遺伝子(ミスマッチ修復遺伝子)の
異常が原因。昔のリンチ症候群。常染色体優性遺伝。右側に好発し、多重癌の合併が起きる。
40歳代の発症が多く、予後は比較的良好。
●DCIS(ductal carcinoma in situ:非浸潤性乳管がん)…周囲に浸潤することのない前がん性の病態で、乳管の内面を覆う組織に
異常な細胞が発生したもの。この異常細胞は乳管の壁を越えて乳房内の周辺組織に拡がることはない。
●日系人に多い癌…在米日系人の一世には日本人と同様、胃癌が多く、大腸癌や乳癌は少ないのに、二世・三世には胃癌は少なくなり、
大腸癌や乳癌がふえている。環境要因、内的要因で出来る癌が違う。
●乳癌…今日、乳癌は罹患率では胃癌を抜いて第一位となった。日本女性の25〜30人に1人が生涯の間に乳癌にかかるといわれている。