神7のストーリーを作ろうの会part9

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132ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 08:20:56.99 0
作者さんすげー!
乙乙です!
133ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 11:22:29.20 I
谷茶浜がなんで予測変換で出たのかは不明です
もっといろいろ書きたいけどネタが思いつかないorz←使い方合ってる?
2ちゃん初心者だからわからない

ネタのリクエスト募集
134ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 20:02:34.58 0
日曜裏ドラマ劇場 「誰にも言っちゃダメ」


闇の中に一人、気配を殺すように嶺亜兄ちゃんは蒲団の中にうずくまっていた。
俺が入ってきたことに気付いていないはずがないが、微動だにしない。もちろん、声を発することもない。
ただ蚕のように静かにそこにいた。
「嶺亜兄ちゃん」
声をかけても、返事もない。一切の接触も持たないという意思が伝わってくるようで一瞬俺は怯んだ。
重い一歩を踏み出すとしかし見えない壁が立ち憚る。
「来ないで」
完全な拒絶を、その声は色濃く示している。昨日の夜とは全く違った声色だ。従う他に選択肢を与えない絶対的な強制力が働きかけてきて、俺は体が動かなくなった。
「出て行って、これからは勝手に入ってこないで。僕はもう寝るから」
「嶺亜兄ちゃん」
動けないが、声はまだ出せる。俺は嶺亜兄ちゃんの名を呼んだ。
「俺は…」
「駄目。お継父さんもお母さんもまだ起きてる。いつ二階に上がってくるか分からないから絶対駄目」
そうじゃないんだ、と俺は嶺亜兄ちゃんの声を遮った。
「嶺亜兄ちゃんは、父さんと継母さんの再婚に反対だったの?俺達と暮らすのが嫌だったの?」
空気が張り詰めている…そんな気がして俺は足が震えた。
だけど続けずにはいられなかった。
「だから俺とあんなことをしたの?継母さんに思い知らせようとして…」
俺と嶺亜兄ちゃんがしていたことがばれれば両親は穏やかでいられない。どちらも嫌悪するだろうし、このままではいられない。一気に家庭崩壊の危険をはらんでいる。
135ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 20:03:13.88 0
『こういうことでしか、表現できないんだよね』といつか嶺亜兄ちゃんは言った。俺の『どうしてこんなことをするの?』という問いに。
母親が再婚し、見ず知らずの他人と暮らすのが…あるいは母親が知らない男と一緒になるのが嫌だ、と言えないから…だからこうやって…
俺は継母の今さっきのぼやきからそう推測し、結論付けた。それなら全て辻褄が合うからだ。
だけど、それは全く見当はずれだということを、起き上がって暗闇の中でも薄ぼんやりと見てとれる嶺亜兄ちゃんの表情が示していた。
「何を言ってるの…?」
理解不能、という意志がそこには現れていた。てっきり俺は「そうだよ。だから…」と冷たく嶺亜兄ちゃんが言い放つのを予測していたからそれは予想外もいいところだった。
その嶺亜兄ちゃんの反応に面くらってしまって黙りこくっていると、嶺亜兄ちゃんの顔は能面のような無表情に戻って行く。そしてまた蒲団を被って俺をシャットアウトした。
「嶺亜兄ちゃん」
弾かれるようにしてどうにか動いた身体を近付かせると、いきなり目の前に何かが飛んでくる。
それは枕だった。軽い衝撃にうろたえていると、次に耳を刺すような大声が轟く。
「出て行けって言ってるだろぉ!!お前の顔なんか見たくもない!!さっさと出て行け!!出て行け!!」
いきなりの感情の爆発に俺が硬直している間にも嶺亜兄ちゃんは取り乱したように叫ぶ。その声を聞きつけた両親がやってきて部屋の灯りをつけた。
「どうしたんだ?龍一、嶺亜…一体何を…」
「嶺亜…?あなたどうしたっていうの…どうしてこんな…」
「龍一、説明しなさい!嶺亜、落ち着いて。この子が…龍一が何かしたのか?おい龍一!」
父の目は俺を責めている。継母は嶺亜兄ちゃんを落ち着かせようと必死で声をかけていたがそれでも嶺亜兄ちゃんは同じことを叫び続けていた。
俺は答えを間違ったんだ。
消えてしまいたいほどの自己嫌悪と否定の向こうで、ただそれだけが嫌にはっきりと脳に刻まれていた。


.
136ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 20:03:39.29 0
「昨日はごめんなさぁい」
次の日の朝食で、嶺亜兄ちゃんは家族全員にそう言って頭を下げた。
「龍一にゲームで負けたのが悔しくて、ついむきになっちゃった。もうあんなことしないから許してね、龍一ぃ」
いたずらっこが謝罪を求めるように、愛らしい仕草で嶺亜兄ちゃんは言う。
だけどその眼は俺には向けられていない。
その声は俺にかけられたものじゃない。
そんな気がして、俺は自分がどういう反応を示して、どう返事したのか分からなかったが父と継母はほっとしたような顔をした。
「そんな下らないことであんな子どもみたいに喚いて…お母さん恥ずかしい。嶺亜はいい子だってお父さんも言ってくれてたのに」
「だからごめんなさいって言ってるじゃん」
嶺亜兄ちゃんはむくれたように頬を膨らませた。
「いや、いいんだよ。もしかしたら龍一が嶺亜にひどいことをしたんじゃないかって昨日は心配でよく眠れなかったから安心した。そんな風に素直な感情を出してくれてむしろ嬉しいよ」
「パパは優しいなぁ。ママと大違いぃ」
無邪気に笑って、嶺亜兄ちゃんは父ににっこりと微笑む。
「龍一君ごめんね、この子たまにこういう子どもっぽいところ見せるから…懲りずにつきあってやって」
和やかな朝食だった。嶺亜兄ちゃんはきゃっきゃと終盤に差し掛かった夏休みの予定について話していたし父も継母もそれに答えている。ただ、俺だけが暗く沈んだ気分で味の分からない朝食を自動的に口に運んでいた。
137ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 20:05:50.95 0
「もうちょっとがんばらないとな…今から集中だぞ」
悪いことというのは集中して起こるもので、その日夏期講習で返還された模擬試験の結果は最悪だった。ちょうど、嶺亜兄ちゃんと初めて誰にも言えないことをした時に受けた試験だった。
これを父に見せたら怒られるどころでは済まないかもしれない…暗澹たる思いを引き摺りながら帰宅すると、リビングで嶺亜兄ちゃんが携帯電話片手にテレビを見ていた。
「…」
なんとなく顔を合わせ辛くて黙って通り過ぎる。嶺亜兄ちゃんもこちらに一切視線を向けることはなかった。無言の拒絶…いや、無関心が肌を突き刺してくる。
もし、俺がちゃんとした答えを導き出せていたら…
そうしたら、嶺亜兄ちゃんは俺のことを少しは受け入れてくれたのかな
そんな仮定が頭の中をぐるぐると回っていた。だけどそれはやはり仮定論でしかないのだろう。現に俺は選択を誤り、こうしていないものとして扱われている。
そう、嶺亜兄ちゃんにとって俺の存在はもうゴミ以下でしかない。
俺は嶺亜兄ちゃんに嫌われてるんだと思ってた…だけど今、嫌ってもくれない。あるのは果てしない無関心と拒絶のみ
それを認識した瞬間に視界が揺れる。叫びだしたいくらいの絶望が今になって俺を飲みこんでゆく。
蜃気楼のように揺れる影
閃光のように瞬く脳の奥の風景
それらはあっという間に俺の全てを支配した。まるで悪魔が乗り移ったかのように…
「何す…」
やけに近くに嶺亜兄ちゃんの声が聞こえた。
そうして目の前にある嶺亜兄ちゃんの顔は驚きと戸惑いに満ちていて…
俺は無意識のうちに嶺亜兄ちゃんを押し倒していた。


   to be continued…?
138ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 21:25:57.10 I
『谷茶浜凜』

かなり前に登場して、今では忘れかけていた谷村龍一、高橋凜のユニット、谷茶浜凜。

1stシングルは爆発的大ヒットを見せ、バラエティでも引っ張りだこの2人。
しかし2人のくらーい性格は変わらない。
相変わらず目が死んでると言われる。

そこでジャニーズ事務所の上層部、中年純情隊はまた密かに始動した…。

「うーん、谷茶浜凜は大人気だがやはり問題は2ndシングルだな…」
仲村が呟く。
「そうですなぁ…。あまり暗いとすぐに飽きられるリスクもありますし…」
羽生はうーんと考え込んでいる。
「明るさも少し取り入れたほうが…」
峰岸は溜息をついた。
覚えている人はいるのだろうか、中年純情隊。
久しぶりの登場だ。
このスレのPart2あたりでは準レギュラー化していた中年純情隊だが、だんだん忘れかけられていた。
139ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 21:26:49.33 I
この2人、谷茶浜凜は2012年デビュー以来、シングルを一
枚しか出していない。
「俺たち、ずっとシングル出してないよね…」
「やっぱ捨てられたのかな」
「もともと自滅用のユニットだからな、どうせ…」
「もういいや、静かに生きていこう…」
相変わらず聞いているこっちが頭痛を起こすような会話を繰り広げる2人。
作者は小学3年生のころから頭痛持ちだが、この2人が原因なのではと中学1年の今日までずっと疑っている。しかし優しい作者はいい加減2ndシングル出してやれよと可哀想になったので自分で出してやることにしたのだ。
感謝して欲しい。

〜上層部〜

AM10:20〜
「今回の曲のコンセプトは?」
「いやー、2人共普通にしていれば綺麗な顔立ちですから、明るい性格のように見えなくもないですからなぁ…。ギャップ萌え、と言ったところでしょう」
「2人は暗いイメージが根付いていますから、明るい曲で勝負ですかな…」
「ですね!」
「では早速作ってもらいましょう」
〜AM10:25
こうして5分で会議は修理した。

後日…

「谷茶浜凜さん、新曲です」
楽屋にスタッフが新曲の歌詞を持ってきた。

「ありがとうございます…」
2人で一枚の紙を覗き込んだ。
「お、『Twin Star ~星屑のなか~』だって。綺麗な曲名だね」
「そうだね」
2人は少しだけテンションが上がる。
140ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 22:06:43.15 I
『Twin Star~星屑のなか~』

輝く星屑のなか
僕は誰にも気づかれない
地味な星
名前も持たないこの僕は
他の星たちに 埋れている
僕は「主人公」にはなれない
個性 輝き 「人気」
そんなものなんて僕にはない
生まれてきた意味なんてあるのかな
生きる意味をずっと探してる…

輝く星屑のなか
僕は今生まれてきた
小さな星
何もない僕は いつも
他に星たちの引き立て役
僕はずっと「脇役」
華 輝き「軌跡」
そんなものなんて僕にはない
生きる意味なんてあるのかな
生まれた意味をずっと探してる…

自分だけのステージを
探し続ける
そんな時 キミと出会った
生きてる意味 生まれた意味
見つけた

Star Rush!!

そうさ僕らはTwin Star!
2人でいれば輝き放つ
怖いものなんて何もない
億兆の星屑のなかで
僕らは強く光り続ける
今までの劣等生な僕らはもういない
変わりたい
変わるんだ
Twin Star!2人なら
慌ただしく セカイは動き始めるよ
波に 呑まれても 人に流されても
夜空を見上げて
光り輝くTwin Star
見つけたなら
主役はキミさ
何千何億の中
キミと出会えたキセキがあれば
後悔しない 絶対

生きてる意味 生まれた意味
見つけたから

“Smile Again”
141ユーは名無しネ:2014/06/15(日) 22:08:55.24 I
「「…」」
谷茶浜凜は涙をボロボロこぼしていた。
「凜…」
「龍一…」
「俺、凜と出会って少しだけ明るくなれたんだ」
「龍一、俺もだよ。龍一がいなかったらきっと今の自分はいなかった」
「これは俺たちの歌だ…!」
「早く振りと音覚えよ!!」
「うん!」
2人の周りはキラキラと輝いている。
瞳はそれ以上に光が宿る。
龍一と凜は幼少期以来のはしゃぎっぷりだ。
そして…

「さあ始まりました。今夜のM○テ、ゲストは只今人気沸騰中、谷茶浜凜のお2人です!」
「こんばんは…」
「お久しぶりです…」
「今夜は谷茶浜凜の2ndシングル、『Twin Star~星屑のなか~』を歌っていただきます。谷茶浜凜のお2人、この曲の注目ポイントは?」
「はい、この曲は僕と凜のシンメのダンスや、パワーアップした歌も御注目して頂きたいです」
「そうですか、楽しみですね!ではスタンバイお願いします!」
「「はい!」」
142ユーは名無しネ:2014/06/16(月) 06:41:28.98 I
Twin Star~星屑のなか~』

龍:輝く星屑のなか
僕は誰にも気づかれない
地味な星
名前も持たないこの僕は
他の星たちに 埋れている
僕は「主人公」にはなれない
個性 輝き 「人気」
そんなものなんて僕にはない
生まれてきた意味なんてあるのかな

生きる意味をずっと探してる…

凜:輝く星屑のなか
僕は今生まれてきた
小さな星
何もない僕は いつも
他に星たちの引き立て役
僕はずっと「脇役」
華 輝き「軌跡」
そんなものなんて僕にはない
生きる意味なんてあるのかな

生まれた意味をずっと探してる…

龍凜:自分だけのステージを
探し続ける
そんな時 キミと出会った
生きてる意味 生まれた意味
見つけた
Star Rush!!
そうさ僕らはTwin Star!
2人でいれば輝き放つ
怖いものなんて何もない
億兆の星屑のなかで
僕らは強く光り続ける
今までの劣等生な僕らはもういない
変わりたい 変わるんだ
Twin Star!2人なら

慌ただしく セカイは動き始めるよ
波に 呑まれても 人に流されても
夜空を見上げて 光り輝くTwin Star

見つけたなら 主役はキミさ
何千何億の中
キミと出会えたキセキがあれば
後悔しない 絶対

龍:生きてる意味
凜:生まれた意味
龍凜:見つけたから
“Smile Again”
143ユーは名無しネ:2014/06/16(月) 17:50:19.36 I
この曲には全国が注目した。この曲の為に2人はボイストレーニング、振りの練習に全力で励んだ。しかし注目されたのはそこではなく…

“ジャニの新ユニ暗すぎワロタ”のスレを抜かし、勢いランキングで1位になった、“ジャニの新ユニの変わり方w”より…
「おいどうしたwwwニート臭しなくなったぞwww」
「目に光が宿ってるとか谷茶浜凜じゃねえwwwww」
「変わりすぎワロタwww」
などとレスがたつ。

でもやっぱりそこはTRQ。ちなみにお色気地帯のNewシングルではない。谷凜クオリティだ。CDは爆発的大ヒット、音楽ランキング1位制覇…

「やったね、凜…もう自滅とか思わずに堂々と生きられるね…」
「うん。今度は僕たちで作詞作曲して見たいね…」

頑張れ谷茶浜凜、作者は君たちを応援し続けるぞ!!


To Tanichahama rin


Congratulations

Tanichahama rin is “Forever”


From Author
144ユーは名無しネ:2014/06/16(月) 21:27:02.37 0
>>117
リクエストした者です
楽しみにしていました!
つづきが気になるけど、終わっちゃうのも嫌で複雑です
145ユーは名無しネ:2014/06/16(月) 21:30:10.78 0
>>144>>117はアンカミスで>>134
次回のたむれあに期待
146ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 00:07:52.87 0
『おしおき』

「んっ...はぁっ...っはぁっ...はぁっ...」
室内に大人になりきっていない少年の乱れた吐息が響く。
その乱れた呼吸が落ち着くか落ち着かないかという頃に---
「ねぇ、あの子と僕と、どっちが良かった?」
この一言で、呼吸が止まった。どうやらこの甘ったるいセリフが心の中を読み取ったようだった。
「僕、分かってるよ。顕嵐だって本当は女の子の方がいいって」
「ち、ちがっ」
「あー、違うんだぁ」 甘ったるい言葉の主は、完全に相手の心をもてあそんでいるようだ。
「だったら、僕がキレイにしてあげる」
すぐに、また室内に卑猥な音が響く。お互いの唇を、首筋を貪るように口づけを繰り返す。
その合間にも「れいあ...嶺亜くん...」とささやく声がする。
しかし、相手の声は聞こえない。

わずかの時間で再び吐息に変わる。すぐに果ててしまったようだ。
何かを拭う音がすると、また甘ったるい声が聞こえた。
「やっぱり、体は素直じゃん」
147ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:33:59.84 0
日曜裏ドラマ劇場 「誰にも言っちゃダメ」


「やめてよ…何のつもり?」
「嫌だ」
俺は知らず、そう口にしていた。手には嶺亜兄ちゃんの細い手首がある。そこに力をこめると嶺亜兄ちゃんの顔が苦痛に歪んだ。
耳の奥で轟音がなっている。まるで雷雨か濁流か瀑布か…とにかくそれは俺の理性を粉々に打ち砕き、滅茶苦茶にしてしまっている。それをもう一人の自分がひどく客観的に、冷静に見ていた。
受け入れてもらえないのなら
無関心を貫かれるぐらいなら
それならいっそ嶺亜兄ちゃんを傷つけて嫌ってもらいたい。憎悪でも嫌悪でもいい。俺に感情を抱いてほしい。
なんでもいいから、俺を見てほしい。
欲求が一点に絞られたことによって自分でも思ってもみなかった行動に俺は出ていた。
「やめ…」
抵抗しようとする嶺亜兄ちゃんを力づくで押さえつけると、次にその唇を塞いだ。
嶺亜兄ちゃんはもがきながら抵抗を続ける。だけど体格も腕力も遥かに俺の方が勝っているから全くと言っていいほどそれは意味をなさない。
むしろ、そうやって抵抗される程に爆発的な興奮が訪れ始める。いよいよもって危険な領域に達しようとしていたその時…
「…っ」
ふいに、肩に痛みが走る。
嶺亜兄ちゃんに噛みつかれたのだ。鈍い痛みがじんじんと神経の昂ぶりを抑制してくる。
「お前が僕を押し倒すなんて100年早いよ、龍一…」
息を乱し、震える声で嶺亜兄ちゃんはそう呟いた。そこに余裕は全く感じられなかった。
「こんなことして一体何がしたいの…もし今お母さんが帰ってきたりしたら…」
「誰にも言わない」
叫んだつもりだが、それはほとんど声になってくれなかった。
148ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:34:55.46 0
「誰にも…父さんにも継母さんにも言わないから…絶対に誰にも言わないから…だから…」
そばにいさせて
俺のことを見て
そう続けることができなかった。声はどこかに吸い込まれてしまって響きとなることはなく…
声の代わりに俺を見上げる嶺亜兄ちゃんの頬を何かが濡らした。
それは涙だったように思う。
後から後から溢れ出て来るそれを、自分の意思で止めることができず嶺亜兄ちゃんの美しい白い肌が次々に濡れて行った。
見開かれた嶺亜兄ちゃんの眼が次の瞬間に警戒の色を湛えた。視線はリビングのドアに向く。玄関の開閉音が聞こえたのだ。
自分でも驚くほど素早く俺は嶺亜兄ちゃんから離れていた。リビングのドアが開く時にはもう距離があったが…
「ただいま…龍一君?どうしたの?」
買い物袋を両手に下げた継母が俺を驚きの表情で見ている。
涙を拭いきれてなかったからだろう。後ろで嶺亜兄ちゃんがすぐさま切り替える気配がした。
だけど俺は嶺亜兄ちゃんが口を開く前にこう答えた。
「…模試の結果が最悪で…父さんにきっと怒られるどころじゃすまないと思ったら怖くて…嶺亜兄ちゃんに相談してたんだ。自分が情けなくて涙が出てきて…」
嘘やごまかしは大の苦手だった。
勉強は得意だったが、咄嗟の言い訳や臨機応変な頭の回転はひどく鈍く、言葉はいつももつれてでてこない。なのに今、驚くほどつらつらと嘘と偽りが滑るように出てくる。
誰にも知られないために
それが自分に今までなかった力を与えてくれていた。
149ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:35:54.95 0
「そうなの…。そんなに良くなかったの?龍一君の成績のことは私には良く分からないけど…きちんと話せばきっとあの人も怒るだけではないだろうし、まだ挽回はできるんでしょ?だからそんな…泣かないで」
心配そうな眼を継母は俺に向け、こう続けた。
「私達の再婚で色々気疲れして勉強が思うように進まなかったんでしょう?言ってみれば私達のせいでもあるんだから一緒に謝りましょう。ね、嶺亜?」
それまで呆然と見ていた嶺亜兄ちゃんは、継母にそう問われて意識を戻す。
いつもの仮面の顔に戻る。
「うん。僕もそう言ってたんだよ。大丈夫だって龍一ぃ。そんなことで泣くなよぉ」
にっこりと偽りの笑顔と優しいうわべだけの言葉を嶺亜兄ちゃんは俺に向ける。だけど俺は満足だった。
「今日はね、龍一君の好きなクリームシチューにしようと思って。フランスパンも買ってきたからそれでも食べて元気出して」
「ねぇママ、サラダにはトマト入れないでねぇ」
無邪気な嶺亜兄ちゃんのその声とは裏腹に、その瞳の奥に混乱が宿っているのを俺は見逃さなかった。



     僕は龍一に嫌われてるんだと思ってた。


僕はいざという時に素直になれない。
自分でもどうしてなのか分からない。小さい時からお父さんはいなかったけど、その記憶はないし欲しいと思ったことはあまりない。時々友達がお父さんに肩車してもらってるのを見てちょっぴり羨ましく思うくらいだった。
お母さんは仕事で忙しくしていたけど僕の話はよく聞いてくれた。保育園であったこと、小学校であったこと、多分くだらないであろうその話に仕事で疲れて帰って来た時も嫌がらずに聞いてくれていた。
愛想だけは良くて、大人の人には好かれた。いつも素直ないい子だって先生が褒めてくれた。
だけど僕は、いざという時素直になれなくて物凄くひん曲がった形でそれを示してしまうことがある。自分の中で何かラインがあって、そこを超えるとそれが発動する。普段眠っている僕の中のいびつな感情が爆発するんだ。
「ママ、僕ねぇリレーの選手に選ばれたのぉ。絶対観に来てねぇ」
小学校二年生の時、運動会のリレーの選手に選ばれた。運動は得意じゃなかったけど、たまたま僕のクラスには足の遅い子が多くて僕のタイムでも上位になれたから選ばれて、それが凄く嬉しかった。
だけど…
150ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:37:46.34 0
「嶺亜ごめんなさい。お母さんね、その日どうしても出なくちゃいけない会議があるの。場所も遠いから間に合いそうになくて…本当にごめんね。そのお仕事が片付いたらお休みが取れるから嶺亜の行きたいところややりたいことさせてあげるからね。本当にごめんね」
なんで?僕はがんばったんだよ。来年はもうリレーの選手になれないかもしれない。今観に来てくれないともう僕が運動会で活躍してるところは観れないかもしれないのに。
それが声に出ることはなかった。僕じゃない誰かが「そっかぁじゃあ仕方ないねぇ。お弁当美味しいの作ってねぇトマトは入れちゃやだよぉ」って返事していた。
運動会の数日前、僕は昼休みに階段からわざと落ちた。鈍い痛みが左腕に走って骨折だと診断された。全治一カ月だった。
骨折した僕を家に放置できなかったのかお母さんはその日から休みを取った。運動会の日、僕は欠席をして家にいた。絵を描きながら僕はこんなことを呟く。
「どっちみち僕の走ってるところは観れなかったねぇ」
お母さんは驚いたような顔をしていた。
多分、僕がわざと骨折したこともその時分かったんだと思う。だけど叱られることはなかった。
快晴の青い空を見上げながら僕はどうして自分がこんなことをしてしまったのか考えた。でも答えは出なかった。
それから何度かそういうことがあったけど、中学生になった頃からあまりそれが発動することはなかった。成長するにつれ感情のコントロールもできるようになったしそう神経を揺さぶるような出来事もなかったからだと思う。
そう、お母さんの再婚が決まって龍一に会うまでは。
「よろしく嶺亜くん。これは息子の龍一で…中学三年生だから嶺亜くんより一つ年下かな。龍一、挨拶しなさい」
龍一、と呼ばれた子は緊張気味に頭を下げた。そしてほとんど聞きとれないくらいの小声で名前と挨拶をする。
美しい男の子だった。
年下だ、と言われなければ2,3歳年上だと錯覚してしまいそうなほどに大人びていて、憂いを帯びた瞳はくっきりとした二重でミステリアスな雰囲気を放っている。
整った顔立ちとは裏腹におどおどとしてぎこちない。なんだか不思議な生き物に出会ったというのが第一印象だったように思う。
「仲良くしてあげて。この子は人見知りが激しいからなかなか素直に感情が表に出せないんだ」
「うん。よろしくねぇ龍一君…あ、弟だから龍一でいいよねぇ?僕のことは嶺亜兄ちゃんでいいよぉ。ずっと弟か妹が欲しかったから嬉しいよぉ。あ、パパも嶺亜でいいからねぇ」
僕はその時違和感を感じた。
151ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:39:26.12 0
また、僕じゃない誰かがしゃべっているような気がする…
だけどこれは本心に近いし、嘘を言ってるわけでもない。仲良くすることで両親も安心するし僕も今はなれなくて少し堅苦しい思いだけどお継父さんも優しそうだしすぐに打ち解けられる自身もある。何がなんでも嫌だってわけじゃない。お母さんの再婚には別に反対じゃない。
引っ越した先の家は新しくて広くて快適だし高校にも近い。何より、お母さんが仕事の量が大幅に減らせて毎日帰ってきたら温かいご飯ができているのが嬉しい。それまではできあいのものを買ったり、レトルトで済ますことが多かったからだ。僕にとってはいいことばかりだ。
嫌じゃない。なんにも嫌じゃない。それなのに、この胸のざわつきはなんだろう?
自問いする一方ですぐに僕は違和感の原因に気付く。
龍一だ。
お母さんやお継父さんがいる前では普通に龍一と話すことができるのに、誰もいない時…龍一と二人きりになるとそれができない。どうしてか、いないものとして扱ってしまって一切目を合わせることも会話をすることもできない。
幸いにも龍一の方から話しかけてくることはなかったからなんとかやりすごしていたのだけれど、ある日帰宅してリビングで携帯を見ていると龍一が話しかけてきた。
「嶺亜兄ちゃん、さっき母さんから電話があって…。宅急便が来たら受け取って判子を押してって言われたんだけど…。判子どこにあるか分かる?」
なんでもない内容だし、ある場所を告げれば済むだけだ。人見知りの龍一が少し無理をしてそう訊いてきたのが分かるから普通に答えるべきだった。
それなのに僕は黙って判子だけを置いて部屋を出てしまった。
背後で龍一の溜息が微かに聞こえる。
両親の前ではいい子を演じるのに、二人きりになると冷たい兄…龍一の中できっと僕はそんな位置づけなのだろう。自分でもこれは良くないと思っているのにどうしても素直になることができなかった。
素直に、龍一にことが好きだって認めることができなかった。
152ユーは名無しネ:2014/06/22(日) 20:41:21.18 0
自分でも気付いてしまっている…どう考えたって普通ではないこの感情を素直に受け入れることもできないし、龍一にいつか女の子の恋人ができてしまうということも認めたくなかった。
何より、龍一に知られるのが怖かった。
どうせ嫌われるのなら…
どうせ手に入らないのなら…
とことんまで嫌われよう。この感情を消去できるように。
そのタイミングで、両親が二日間家を空けることを伝えられた。
神様の悪戯か、悪魔の誘いか…僕の中で不穏な雲が充満して、それは巨大な手と化して背中を押す。
「行ってらっしゃい。気をつけてねぇ。お土産よろしくねぇ」
ドアが閉まった瞬間、僕の中に何かが降りてくる。
僕はすれ違いざまに龍一に言った。
「龍一、僕の部屋においで」
その日、僕は誰にも言えないことを龍一にした。


   to be continued…?
153ユーは名無しネ:2014/06/28(土) 21:54:30.57 I
作者さん乙です!!このお話大好き!
154ユーは名無しネ:2014/06/28(土) 22:13:16.88 0
お前は何と闘ってるの?w
あんちなんて許せな〜い!って無駄な正義感振りかざしてばかみたいw
155ユーは名無しネ:2014/07/01(火) 23:04:01.71 0
作者さん!リクエストした者です
いよいよ物語も佳境に入った様子ですね
続きを楽しみにしています
156ユーは名無しネ:2014/07/03(木) 21:59:42.93 0
だれかpart1のURL教えてください!
157ユーは名無しネ:2014/07/05(土) 14:45:38.80 0
更新感謝です!
「誰にも言っちゃ駄目」も素敵ですが、岸家のお話が好きぎて一気に全編読んでしましました…
是非また続きを書いていただきたいです!
楽しみにしています
158ユーは名無しネ:2014/07/05(土) 14:48:49.09 0
岸家は六男の受験の行方が気になります(笑)
是非とも続きを!
159ユーは名無しネ:2014/07/05(土) 14:59:41.45 0
龍一の受験の話は前スレでやってたよ。まとめサイトにはまだ載ってないのかな?
160ユーは名無しネ:2014/07/05(土) 15:42:11.36 0
158です
ごめんなさい、8から飛んできてすぐに書き込んだから六男の受験話があるの知りませんでした…
合格して良かった!ちょっととんでもないお友達ができちゃったけど!
これからも続き楽しみにしてます
長男不在の日にパパが風邪でぶったおれちゃって息子たちがあわわわわな話とかいいですよね(小声)
とか言ってみますが何でもいいから岸家の人々が読めれば私はこの上なく幸せなので全力で無視してください←
161ユーは名無しネ:2014/07/06(日) 13:38:48.87 0
160さん
それいいと思う!
作者様時間があったら作ってください!
なんて言ってみたりしてwww
162ユーは名無しネ:2014/07/09(水) 21:29:35.21 I
もっと【裏7】の作品が見たいです!
気が向いたらでいいのでいつか書いてくださると有難いです!
163ユーは名無しネ:2014/07/10(木) 14:43:16.30 0
夏休みにはまだ早いけど最近変なの沸き過ぎ
>>160-161辺りは流石にキモイから半年ロムれ

作者さんいつもありがとう
ガムシャラでれあたんがトマト食べてるのに何故か興奮してしまった
164ユーは名無しネ:2014/07/10(木) 15:07:41.56 0
まあまあ。リクエストぐらいはいいんじゃないかな。答えてもらえるかどうかは置いといて
165ユーは名無しネ:2014/07/13(日) 14:58:19.22 0
日曜裏ドラマ劇場 「誰にも言っちゃダメ」


僕が「誰にも言っちゃダメ」と言ったのを龍一は必死に守っているようだった。でもそれはいつどこで露呈してしまうか分からないくらい彼の隠し方は下手くそで、今にもばれてしまいそうなほどに拙い。元々隠し事なんてできない性格なんだろう。
それもそうだ。義理の兄にあんなことをされて平静を保てるはずがない。龍一の動揺にそのうちお母さんかお継父さんが勘付いてしまうかもしれない。でもそれでもいい、と僕は思っていた。
あの日を境に、僕は龍一と二人きりになると「誰にも言えないこと」を何度もした。そうしている時…自分が自分でなくなっているからこそ最も原始的な欲求を前面に出すことができる気がして僕は意識の向こうでとても満たされた気持ちになる。
驚いたのは、僕が寝ていると帰宅した龍一の方から手をだそうとしたことだ。
快楽に溺れて頭がぼうっとしている時…ふいの龍一の一言が僕に冷水を浴びせる。
「…なんで俺とこんなことするの?」
僕は一瞬だけ素の自分に戻される。泣きたくなるほどの後悔と羞恥心。だけどそれを別の人格が駆逐する。
そいつはこう答えた。
「こういうことでしか、表現できないんだよね」
だけどそれはほかならぬ僕の言葉であって、別の誰かではなかった。紛れもない正直な答えであり、本心だ。
そう、僕は素直になれないからこういった歪曲した形でしか自分の気持ちを龍一に表現することしかできない。
僕の気持ちはきっと報われることはないんだ。
そんな確信がその時僕の胸を突いたが、変化は徐々に訪れる。
166ユーは名無しネ:2014/07/13(日) 14:59:06.04 0
「一緒に寝たい」と言われた時…僕は動揺してしまった。それを龍一にも悟られたような気がして咄嗟に自分がなんて言ったのかよく覚えていないけどその日は龍一が隣にいて、一緒に寝て、なんだかとても満ち足りた気持ちになって眠っていた。
僕が目覚ましより先に目を覚ましたのは単なる偶然だったけど、その朝自分の横で眠る龍一の顔を暫くずっと見ていた。
綺麗な寝顔だった。
その寝顔を見ていると、抑えようとしてもどうしても抑えきれない感情が溢れ出て来てしまう。せきとめきれなくて決壊したダムのように気持ちが漏れていく。
僕は寝ている龍一の頬にキスをした。
どうしてなのか、泣きそうになる。胸が苦しくて苦しくて、僕の頭の中はおかしくなってしまったのかもしれない。
龍一が眠っているのではなく、死んでいたらいいのに…
僕はそう思ってしまった。そうしたら今みたいに素直になれるかもしれない。素直に、自分の気持ちを、心を曝け出すことができるのかもしれない。永遠に、目を閉じた龍一の側にいて…
ただ僕は、龍一のことが好きなだけなのに
こんなにどうしようもなくこんがらがってしまったのは何故だろう。だけど、自問いしても答えは出ない。
きっと、どこまでも果てしなくもつれてほどくことが不可能なくらい固結びになってしまうんだ。だったらもう…
そこに至ると僕は目覚まし時計を止めていた。


.
167ユーは名無しネ:2014/07/13(日) 14:59:46.24 0
僕が残したメモに忠実に龍一はその日の午前零時になると僕の部屋へ来た。
僕は戸惑う龍一に問う。
「僕としたいの?」
イエスとも、ノーとも龍一は答えない。僕がどうしてこんなことをするのか、ただただ不可解なだけだろう。
だけどこうして来たということは、どこかで龍一も…
そこまで考えて僕はその思考を遮断する。
動揺の抜けきらない龍一に、僕は暗闇の中でキスをした。
何かが弾けた音がした。
それが僕からなのか龍一からなのかは分からないけど、それを合図のようにして僕達は誰にも言えないことをする。吐息だけで会話をして、肌と肌で何かを探り合う。
確かな答えは出ないけれど、狂おしいまでの感情のやり場に辿り着いた気がして僕は不思議な安らぎを覚えた。
ただ、龍一の温もりだけを感じていたくて僕は一晩中彼を求めていた。不思議なことにそうしている最中は少しだけ素直な自分が出せる気がして、そこにどっぷりと浸かってこの身ごと委ねていた。
龍一はというと、相変わらず隠し事が下手だけど、僕が上手くフォローすれば大丈夫…だからもう少しはこういう爛れた関係でもどこかで満たされることができる。そう思っていた。
龍一が求めてくれば僕はいつでもそれに応じたいと思っていた。慎重にならざるを得ないから、両親がいる時はそうすることは避けた方がいい。でも、、いない時なら…。
素直に感情を出すことはできないけど、もしかしたらそのうちに龍一と心が通じ合って本当の自分を出せる日が来るかもしれない。そんな淡い期待がいつしか僕の中に生まれた。
だけど皮肉なことに、それはすぐに枯れてしまう。
「嶺亜兄ちゃんは、父さんと継母さんの再婚に反対だったの?俺達と暮らすのが嫌だったの?だから俺とあんなことをしたの?継母さんに思い知らせようとして…」
龍一の言っている意味が僕には全く分からなかった。
168ユーは名無しネ:2014/07/13(日) 15:00:27.90 0
だけど、僕には龍一が僕の本当の気持ちになんて永久に辿り着くことがないという事実を突きつけられた気がして、僕は半分錯乱状態で龍一に感情をぶつけてしまった。
何かが壊れて、希望も期待も抱く意味がないことをその時僕は悟った。所詮僕の気持ちなんてどこにも辿り着くことはなくて、彷徨う他にないということ。
心を殺して、龍一とはただの兄弟以外の接触をもたないこと。そう心に誓ったのに…
龍一はどこまでも僕の心を揺らし続ける。
「何す…」
リビングで携帯を見ていた僕に、龍一は覆いかぶさってきた。
僕には龍一の考えてることが分からなくて、ただそれを受け入れたい気持ちとまた自分の勘違いで傷つくことへの畏れが相反して頭の奥に閃光が瞬く。
「っつ…」
僕は覆いかぶさってきた龍一の肩に噛みつく。そして自分でも何を言っているのか分からないけど龍一が少し寂しそうな眼をしているのだけを認識する。
もうこれ以上僕の心をかき乱さないで
僕はそう叫ぼうとしたけどそれは掻き消されてしまう。頬にあたる温かい液体が何もかも僕の中から奪い去ってゆく。
龍一は泣いていた。
どうして龍一が泣くの?泣きたいのは僕の方だよ?だけどやっぱりそれも声になることはなかった。
ドアの開閉音を僕の耳は捉えた。咄嗟にどう取り繕っていいのか、躊躇している間にリビングのドアが開いてしまう。入ってきたお母さんは泣いている龍一を見て驚いているようだった。
混乱を一瞬で鎮めて、どうにかこの場をやり過ごすことのできる単語を僕は並べる。だけど僕は次の瞬間お母さん以上に驚いてしまって頭が真っ白になった。
「…模試の結果が最悪で…父さんにきっと怒られるどころじゃすまないと思ったら怖くて…嶺亜兄ちゃんに相談してたんだ。自分が情けなくて涙が出てきて…」
龍一がすらすらと嘘を並べた。動揺や戸惑いなど微塵も見せず、まるで今しがた僕が見ていたのは幻かと思うような、一点の疑いも抱くはずのない迫真の演技…
僕が龍一に抱いていた印象とそれは全く違った。ごまかしたり、取り繕ったりなんてできない性格のはずだったのに…
169ユーは名無しネ:2014/07/13(日) 15:01:01.52 0
お母さんは本気で心配しているようだった。成績が悪かったのは事実なのかもしれない。それでも僕は混乱する。
その場はなんとか乗り切って、夕飯になってお義父さんが帰ってくると少し緊張した食事になる。
「…確かにこれだと内部進学は厳しいな、龍一」
「ごめんなさい…」
龍一は暗く沈んだ表情で俯く。だけど僕にはそれは表向きの反省に見えた。龍一の眼は成績のことなんてどうでもいいといったぎらつきが宿っていた。
「そんなに叱らないであげて。この時期に再婚や引越しをしたんだから子ども達が混乱するのは分かってたことじゃない。龍一くん、落ち着いて勉強ができるよう配慮できることがあったらなんでもするから言ってね」
お母さんは懸命に龍一のフォローをする。僕もそれに乗って一言ふた言発するとお義父さんは軟化していく。
「まあ…これから危機感を持って頑張れば挽回も可能だから龍一、とにかくがんばりなさい」
「はい」
返事をして、龍一は食事に手をつけた。それを不思議な気持ちで僕は見る。
「嶺亜もがんばりなさいよ?宿題だけじゃだめだからね。あなたの場合大学受験がすぐそこに迫ってきてるんだから」
「はぁい。でも僕はまだ高校一年生だけどぉ」
「そんなこと言ってたらあっという間に三年生になるんだから。いつでも嶺亜はとっかかりが遅いから…高校受験の時だって…」
それからお母さんは僕の話に移した。これは龍一への気遣いだろうから僕はそれに適当に合わせた。
「嶺亜兄ちゃん」
ふいに、龍一が口を開く。僕は内心鼓動が早くなったけど何気ないふりを装った。
「なぁに?」
「あとで部屋に行っていい?こないだのゲームの続きがしたいんだ。今度は怒らせないようにするから」
自然な口調だった。お義父さんは「ゲームだなんて…」と顔をしかめたがお母さんの「こういう時は息抜きが必要よ」という言葉にしぶしぶそれを承知した。
龍一が僕の部屋に来たのはもう寝る前…両親も寝静まった頃だった。



   to be continued…?


.
170ユーは名無しネ:2014/07/15(火) 00:22:48.04 I
楽しみにしてました!
次回が気になります!
171ユーは名無しネ:2014/07/18(金) 18:21:36.62 0
WU裏ネタのれあたんかわいすぎた
あんまり先輩との絡みとか聞かないから余計
172ユーは名無しネ:2014/07/18(金) 23:08:39.56 I
本当に手越のこと好きなのが伝わってきて微笑ましいよ
173ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:04:34.03 0
日曜裏ドラマ劇場 「誰にも言っちゃダメ」


嶺亜兄ちゃんの部屋のドアをノックしても返事はなかった。だけど俺はそのままドアを開ける。
きっと、嶺亜兄ちゃんは起きている。何故か不思議な確信があった。その予測どおり嶺亜兄ちゃんはベッドの上にちょこん、と座っていた。
それがまるで小さな子どものようで、急に愛おしくなる。状況は変わっていないしそう想うことすら許されない気もしたが抑える前にそれはもう踊り出てしまっていた。
色んな感情を抑えて、俺は嶺亜兄ちゃんに言う。
「ゲームしよう、嶺亜兄ちゃん」
携帯用ゲーム機を差し出すと、嶺亜兄ちゃんは驚いたように目を見開いた。混乱の色が濃くなってまるで不思議なものでも見るかのように俺を凝視した。
「…」
嶺亜兄ちゃんは無言でゲーム機を受け取った。偶然にも持っている機種とソフトが同じだったのを知ったのは少し前だ。もしかしたら嶺亜兄ちゃんもそれを知っていて前に言い訳に「ゲームをしていて喧嘩した」と使ったのかもしれない。
スイッチを入れ、対戦モードにする。少し前に流行ったカーレースのゲームだったが嶺亜兄ちゃんは上手かった。俺は息抜きで少しするぐらいだからあまり相手にならないかもしれない。
「…嶺亜兄ちゃん」
「…なに…?」
掠れた声で、嶺亜兄ちゃんは訊き返した。穏やかさが含まれている…というのは俺の希望的観測かもしれないけど、それによって円滑に言葉が導き出されたのは事実だった。
「昼はごめんなさい。取り乱してしまって、あんなことをして…あと、昨日のことも」
言わなくてはならないことを、ここに来るまで何百回と自分の頭の中で整理した。嶺亜兄ちゃんの本当の気持ちを知りたいから、あれこれ自分の中で憶測を立てるよりも正面から向き合って問うべきだという結論に俺は達していた。
嶺亜兄ちゃんがあそこまで怒った理由を、俺は知らなくてはならないと思った。きっとそれが嶺亜兄ちゃんの本心に触れているだろうから。
「…」
嶺亜兄ちゃんは無表情でキーを操作している。すでに俺の操縦するプレイヤーは周回遅れになっていた。
174ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:05:18.33 0
「嶺亜兄ちゃんを怒らせてしまった理由が知りたい」
ゲームの画面から目を離して、俺は嶺亜兄ちゃんを見る。だけど彼は相変わらず自動的な手つきでゲームを操作していた。
「どうしてあんなに怒ったの?俺の言ったことが嶺亜兄ちゃんを傷つけたんだよね?」
人と話すことが苦手なはずなのに、何故か俺の中には躊躇いはなかった。何かが自分の中で変わったのか、それとも変えられたのか…
「教えて。俺は嶺亜兄ちゃんの本当の気持ちが知りたい」
偽りのない本心を声に乗せる。不思議と脳の奥はクリアだった。
ゲーム機から流れる無機質な音楽だけが小さく室内に響いていた。そうでなければ沈黙に支配されていただろう。その無言の数秒は俺にとって何時間にも感じていたかもしれない。部屋にはクーラーが効かせてあるのに背中に一筋汗が伝った。
「僕の本当の気持ちなんか知ってどうするの?」
冷たい声が返ってきて、俺は少し挫けそうになった。それでも退くことができなかったのはひとえに強い感情からだろう。
その感情に従って、俺はこう答えた。
「嶺亜兄ちゃんの気持ちを知った上で、俺の気持ちを知ってほしい」
「龍一の…気持ち…?」
嶺亜兄ちゃんはゲームの画面から目を離した。
目と目が合う。やっぱり嶺亜兄ちゃんの瞳には混乱が混じっていた。
「俺は…」
ゲーム機をプレイ中のまま床に置いて、俺は嶺亜兄ちゃんに近づく。
その瞳が間近にあった。そこに自分が映っているのが認識できるほどに。
俺は嶺亜兄ちゃんの両の腕にそっと触れる。
「俺は嶺亜兄ちゃんが好きなんだ」
自分でも驚くほどするりとその言葉が発される。それを認識した時にはもう…
「…」
俺の唇は嶺亜兄ちゃんのそれと重なっていた。


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175ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:06:05.49 0
僕の中に数えきれないほどの疑問符が激しく交錯している。明滅を繰り返して全ての機能を滅茶苦茶にしようとしていた。
「りゅ…」
龍一は僕に訊き返す隙を与えてくれなかった。キスをされながら押し倒され、衣服の中に龍一の手が侵入してくる。直接肌を撫で回されると、その疑問符達は次々に撃ち落とされて行った。
代わりに僕の中にやってきたのは「好きなんだ」という龍一の声だった。壊れたレコードのように何度も何度も繰り返しエコーする。
「好き…?」
ほとんど息だけで、僕はようやく龍一に問う。そうしている間にもあちこちに龍一の手が、指が、唇が這ってくる。ややもするとそこに溺れてしまいそうになって僕は少し焦った。
「ちょっと待ってよ龍一、こんなことする前に…」
それでも龍一は止まらない。荒くなった息遣いと共にこう断言する。
「嶺亜兄ちゃんが教えてくれるまで、俺はやめない。噛みつかれてもひっかかれてもやめない。だから教えてよ…!」
龍一の声からは悲痛な叫びが含まれているようだった。たった今まで抑えていたものが溢れだしたかのように動きがエスカレートしてくる。
このままだと、声が出てしまう。両親は多分寝てるだろうけど、もし何かの拍子にドアを開けられたら言い訳がきかない。僕はこんな状況においてもそっちに意識を傾けていたけど、龍一がまた僕の理性を揺さぶった。
「俺は嶺亜兄ちゃんが好きだから、嶺亜兄ちゃんの全てを知りたい」
どこかで声が聞こえる。何を躊躇ってるの?って。
望んでいたものがすぐそこにあるのに、まだ素直になれないのかって叱る声も聞こえる。
それは全部僕の声だった。僕の中の僕が、口々に声を揃えてシュプレヒコールを上げる。
素直になれ、と。
龍一に「誰にも言えないこと」をしている時だけ覗いていた本当の欲求を、今ここで言葉にするべきなんだってその声たちは諭していた。
誰にも言えない気持ちを、他ならぬ龍一に伝える。そんなことが許される時がくるなんて思っていなかった。
運動会をお母さんに観に来てもらうことは叶わなかったけど、龍一に僕の気持ちを受け入れてもらうことはもしかしたら叶うのかもしれない。
最後の希望が僕の中に灯って、それは僕の声になった。
176ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:06:48.86 0
「僕も龍一のことが…好き…」
龍一の動きは止まる。
「龍一が好きだけど、そんなこと言えないからあんなことしたの。そうすれば嫌われても大丈夫だって。こんなことしたからしょうがないんだって思えると思ったんだ」
僕の中でどうしても言えなかったことが、決壊したダムの水のように流れ出る。放出は止まらない。とめどなく溢れる水のように思いが声となって流れた。
「だけど龍一は僕の言いつけを守って誰にも言わないからそれが僕の中で気持ちを表現できる唯一の方法になっちゃった…でも龍一は僕の気持ちなんて気付くこともなくて、それを再婚したお母さんへの当てつけだって誤解してるから、それが哀しかった。
勝手だとは思うけど僕にはどうしようもなく辛かったんだ。だって、龍一も僕のことが好きだなんて思わなかったから…」
龍一は黙って聞いていた。僕は彼の返事を待つ。だけど龍一からの返事はなかった。
言葉の代わりに、龍一は行動で僕に伝えてきた。何故か僕にはそんな確信があった。
放置されたゲーム機が相変わらずチープな音楽を奏でていて、僕達はそれを遠くで聞きながら無言でお互いの気持ちを確かめ合った。言葉はなくても、それ以上に確かなものが存在している気がして不思議な安心感に包まれる。
僕と龍一の関係は誰にも言っちゃダメだけど、二人でいる時だけはその例外なんだ。
そう、二人きりの時だけは…
秘密を抱えて生きることは苦しいって誰かが言っていたけど、僕達にとってこの秘密は安らぎすら与えてくれる。
だから誰にも言っちゃダメ。
お互いにそれを確認して、僕と龍一は一晩中誰にも言えないことをした。


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177ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:07:50.09 0
目覚めるとそこにはすやすやと気持ち良さそうに眠る嶺亜兄ちゃんがいた。真っ白な肌がカーテンから漏れた光に照らされて光沢を放っている。眩しそうに寝がえりをうつとまた小さな寝息をたてていた。
目覚まし時計は7時すぎを指している。セットはされていない。
ずっと嶺亜兄ちゃんの寝顔を見ていたいけど、緊急事態が俺達を襲った。
「嶺亜、起きてる?お母さん今日も少しお仕事遅くなるから適当に…」
なんと継母が嶺亜兄ちゃんに話かけながらドアを開けた。中にいる俺を見てぎょっとした顔をする。それもそうだろう、俺は何も身に纏っていないし嶺亜兄ちゃんだってそうだ。もっとも、タオルケットで要所要所は隠れているが…
まずい。絶対にまずい。しかも嶺亜兄ちゃんはそんなことにも気付かす寝入っている。可及的速やかにこの状況を脱しなくては。俺の頭はまどろむことも許されずフル回転した。
「おはようお母さん…昨日ゲームをやりすぎて気付いたら嶺亜兄ちゃんの部屋で寝てしまって…」
「そうなの…こっちこそごめんなさいね、嶺亜一人かと思ってたから…あ、嶺亜が起きたら言っといてくれる?今日は帰りが遅くなるからって」
継母の眼はまだ戸惑いを示している。まさか一瞬で察知されたとも思えないがもう一言二言必要かもしれない。
「うん。あの、お母さん」
「何?」
「昨日はかばってくれてありがとう。父さんにもう怒られないよう勉強がんばります。嶺亜兄ちゃんも昨日ゲームにつきあってくれて色々励ましてくれたからもう大丈夫」
継母と会話らしい会話を交わすのはこれが初めてかもしれない。皮肉にも、こんな事態になってからではあるが…
継母の表情から戸惑いが消え、代わりに彼女は微笑んだ。それが少し嶺亜兄ちゃんに似ていた。
「そう言ってくれて嬉しいわ…少しは母親らしくなれたかしら、私」
俺は頷いて答える。継母は「ありがとう」と言って階下に降りて行った。
なんとか事なきを得てほっと浅い溜息をつくと…
「…ちょっとはごまかすの上手くなったじゃん」
小さな声がすぐ横で響いた。
178ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:08:30.94 0
「起きてたの?」
俺が驚いて訊ねると嶺亜兄ちゃんはむくっと身を起こした。けだるそうに首を左右に動かしながら欠伸をする。
「あそこで僕まで起きたら余計にマズくなるでしょ?だから龍一に任せたの。ちゃんとごまかせるかどうかすんごい心配だったけどぉ」
「そりゃ…ごまかせなかったらもうおしまいだから…」
「だよねぇ。だからさぁ、ほどほどにして別々の部屋で寝ようって言ったじゃん。お母さんはね、僕の部屋には遠慮なしにずかずか入ってくるから危ないんだよ」
そう言えばそんなことを言ってた気がする。もっともその頃はもう理性がぶっ飛んでいたからそんなことができるはずもないと思っていたけど。
「でも俺が『ずっと一緒にいたい』って言ったら嶺亜兄ちゃんだって分かったって答えてたじゃない。継母さんが入ってくる危険があるならそれを言っといてくれた方が…」
「てなわけで次からこの部屋で一緒に寝るのはもうダメだねぇ。寝るなら龍一の部屋だね。さすがに龍一の部屋にお母さんが勝手に入ってくることはないしお継父さんは入ってきたりしないでしょぉ?」
俺の反論をばっさり切ってそう結論づけて、嶺亜兄ちゃんは伸びをする。真っ白な肌がシーツと同化しているようだ。その白さが眩しくて、気がついたらそこに手を伸ばしていた。
「ちょっとやめてよ、またお母さんが入ってきたらどうすんの?危機感足んないよぉ」
手厳しく払われ、なんだか期待していた展開と違うことに俺は愚痴が零れる。
「俺のこと好きなんじゃなかったの?昨日はだってあんなに…」
「だから絶対にバレるわけにいかないんじゃん。いい?絶対に誰にも言っちゃダメだよ?もう一回確認しとくからね」
俺には選択肢はなかった。二つ返事で首を縦にすると嶺亜兄ちゃんは「よろしい」と完全に上から目線で返す。なんだか力関係はもう決まってしまっているようだ。
179ユーは名無しネ:2014/07/20(日) 18:09:13.34 0
「早く着替えなきゃ。またお母さん来るかもしんないし」
自分のペースでいそいそと衣服を掴む嶺亜兄ちゃんに、俺はせめてもの反抗をする。
「嶺亜兄ちゃん」
「何?早くし…」
俺は振り向いた嶺亜兄ちゃんに不意打ちでキスをした。
嶺亜兄ちゃんは一瞬驚いて目を見開く。その反応だけで俺は充分だった。
「ちょっともぉほんとやめて。何度も言ってるけどいきなりドア開けられることだってあるんだからせめてお母さんが仕事行くまでは謹んでよね。そんなんじゃこの先すごい心配だよぉ。
まかり間違ってバレたりなんかしたらもう僕この家にいられなくなるからねぇそこんとこ分かってやってんの?頭いいはずのくせにこういうところは頭回らないよね龍一って。鈍感だしホント取り柄は顔と頭だけって感じあぁやだやだ」
一気に早口で辛辣な言葉を次々に嶺亜兄ちゃんは投げかけてくる。だけど俺には分かっていた。これは照れているんだ、と。
だから俺は言った。
「ホント、素直じゃないよね」
「なんか言った?いいからさっさと服着て出てってよ。シーツ、お母さんが仕事行った後にこっそり洗わないといけないんだから僕忙しいの。何回も遠慮なく人のシーツにかけてさ、ホント龍一ってば…」
「はい。分かりました分かりました。すぐ出て行きます」
笑いながら着替えて出て行こうとすると、枕を投げつけられた。「ばーか」という声も背後から聞こえる。振り向かなくても俺には嶺亜兄ちゃんがどんな表情をしているのか分かった。そして何が言いたいのかも
だから俺は言った。
「誰にも言わないよ、絶対に」



   to be continued…→next「epilogue」
180ユーは名無しネ:2014/07/22(火) 00:13:51.78 0
リクエストした者です
きゅんっとするような終わり方ですね
作者さんが書く文章が好きです
epilogue楽しみにしています!
181ユーは名無しネ
ホントきゅんとする!
幸せになってほしいな