環八【397】

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632ユー&名無しネ
68 名前:無限大 赤+紫(2/3)[] 投稿日:2006/11/20(月) 04:52:31 ID:+jAFfSOd0
「……ごめんな」
何に謝ったのか、俺には分からない。
頭の中で浮かび上がるいくつかの可能性に蓋をして、俺は自分の気持ちに気づかないふりをする。
お前の気遣いに、お前の優しさに、お前の甘さにあぐらをかくフリをする。
「タラタラ歩いとると雪だるまんなるぞ、雛」
道路でぐしゃぐしゃになった雪の残骸を踏みつけて蹴りつける。


めちゃくちゃにしてやりたいんだ。
お前を。
そして俺のこんな気持ちを、蹴りつけて泥にまみれてぐしゃぐしゃにしてしまいたい。
お前を愛してるのに、お前のことが大事なのに、俺の気持ちはお前に傷しか付けない。
誰よりも幸せを願ってるのに、俺の存在は誰よりもその幸せを壊してしまう。
悲しい顔は見たくない。いつも笑っていて欲しい。
そう望めば望むほど、俺の望みは現実から遠ざかるような気がするんだ。
きっとアイツを憎んでしまえばもっと楽だった。
この思いを自覚する前、いがみ合っていたあの日の二人に戻れれば其れが正しい形なのだ。
それを思えば思うだけ、俺が独りであることを思い知らされる。
俺は、一人。
俺の思いは、独りきり。

だけど。