バトルロワイアル11

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前スレ
「バトルロワイアル10」
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過去スレは>2
名簿は>3-5
現在の状況は>6
2過去スレ:01/10/09 00:17
3名簿1:01/10/09 00:17
嵐1.【自殺により死亡】大野智
嵐2.桜井翔 二宮の作ったガス爆弾
嵐3.相葉雅紀
嵐4.松本潤
嵐5.二宮和也

1.【自殺により死亡】町田慎吾 ジャックナイフ
2.風間俊介 (拳銃(小)五関に奪われました) 宮城の手裏剣 伊藤の全身タイツ
3.生田斗真 (拳銃(大)捨てました) 良知の探知機 今井のボーガン
        今井達作の爆弾
4.【秋山により死亡】中丸雄一 拳銃
5.【牧野により死亡】横山 裕 ピストル
6.五関晃一 ブーメラン、風間の拳銃
7.【牧野により死亡】良知真次 探知機
8.【屋良により死亡】福原一哉 鎌
9.【牧野により死亡】山下智久 マシンガン
10.萩原幸人 ダーツ1ダース(残11本) 亀梨のバタフライナイフ 秋山から中丸の拳銃
       赤西(→東新→亀梨)のクマのぬいぐるみ
4名簿2:01/10/09 00:18
11.【提箸により死亡】赤西仁 クマのぬいぐるみ
12.【福原により死亡】大堀治樹 例のゴム製品
13.【秋山により死亡】橋田康 香取慎吾の公認うちわ
14.【五関により死亡】伊藤達哉 全身タイツ
15.【今井により死亡】長谷川純 拳銃(小)
16.【爆弾により死亡】今井翼 ボーガン 村上の煙玉 自作の爆弾 町田のジャックナイフ
17.【長谷川により死亡】村上信五 煙玉
18.【秋山により死亡】田口淳之介 妻夫木聡の写真集
19.【牧野により死亡】石田友一 瓦10枚(残り9枚)
20.【山下により死亡】ジミーMackey ?
21.提箸一平 手榴弾(残1個)
22.【秋山により死亡】福田悠太 双眼鏡
23.渋谷すばる パチンコ 今井から長谷川の拳銃 横山のピストル 自作の爆弾
24.【秋山により死亡】島田直樹 日本刀
25.秋山純 爆竹10個 島田の日本刀
      (服部の太いロープ 落としました)(塚田の謎の液体捨てました)
     (草野のピストル 米花に奪われました)(中丸の拳銃 萩原に奪われました)
5名簿3:01/10/09 00:18
26.【自殺により死亡】辰巳雄大 ロープ
27.【五関により死亡】宮城俊太 手裏剣
28.【萩原により死亡】亀梨和也 バタフライナイフ 東新から赤西のクマのぬいぐるみ
29.【禁止エリアにより死亡】田中聖 調理用ハサミ
30.【五関により死亡】滝沢秀明 フリスビー
31.【牧野により死亡】小山慶一郎 エアガン
32.屋良朝幸 (ビニール傘 捨てました)米花のピストル
33.【牧野?福原?により死亡】内博貴 マッチ1箱
34.【山下により死亡】東新良和 糸付き5円玉 赤西のクマのぬいぐるみ
35.【牧野により死亡】上里亮太 お面(ぴ○ちゅー)
36.【爆弾により死亡】牧野紘ニ (銃 弾切れ) 山下のマシンガン
                 加藤から服部のカッターナイフ
37.森雄介 サブマシンガン(ウージー9mm)
38.【森により死亡】上田竜也 ?
39.【森により死亡】安田章大 バレーボール
40.【森により死亡】丸山隆平 魔法のキノコ
41.米花剛史 秋山から草野のピストル
42.【牧野により死亡】加藤成亮 六法全書
43.【秋山により死亡】草野博紀 ピストル
44.【秋山により死亡】服部将也 太いロープ カッターナイフ
45.【秋山により死亡】塚田僚一 謎の液体が入った薬瓶
6現在の状況:01/10/09 00:19
現在の状況
・参加人数42名+3名。
・35名死亡。(+進行役1名死亡)
・生き残りは10名(+進行役4名)
・ゲーム開始から22時間以上が経過。
・残り50時間足らず。

禁止エリア
08:00・・・D−01(北西の海沿いの一角)
10:00・・・B−02(北の岬)、E−04(ホテル内のみ)
12:00・・・H−03(南西の海沿いの一角)
14:00・・・I=5(氷川村の左側)I=7(診療所周辺)
16:00・・・F=9、G=9(東の海沿いの道周辺)
18:00・・・I=4(南の海沿いの一角)I=6(氷川村中心部)
20:00・・・C=05(鎌石村消防分署周辺)D=05(鎌石小中学校西側隣接区域)
22:00・・・C=03(鎌石村役場周辺)
24:00・・・C=04(鎌石郵便局周辺)
前スレ>654

風間は森の奥を東へ向かって歩いていた。
向かう先はまだ決まっていない。
ただ、斗真を探そうと思った。

黙々と落葉を踏みしめて歩きながら、風間の脳裏を過ぎる
パズルの断片のような顔、顔、顔。
その中の一つにピストルを構え蒼褪めた五関の小さな顔があった。

お前マジで狂っちゃったのかよ?
もうこれっぽっちも話し通じねーの?
もしかして・・・・・・伊藤を殺したのもお前か?

仲間を殺され、自分も殺されかけて、憎んでも憎み足りないはずなのに
なぜか五関を憎み切れない自分が不思議だった。
たぶん、それはあいつが自分だったかもしれないからだ。
五関が持っているピストルは、本当なら風間のものだった。
殺らなければ殺られるこんな状況で、もし殺る為の武器があったとしたら
自分だって殺す側にまわっていたいたかもしれない。
幸か不幸か、今の自分には武器らしい武器はない。
宮城や伊藤。
誰も彼も信じられなくなりそうな時に、まるでマイナスに偏っていく
精神の軌道修正をかけるように出合った気のいい奴ら。
俺はある意味ついていたのかもしれない、そう風間は思った。

そしてもう一つ、ずっと心の奥底に引っ掛かっていること。
「斗真・・・」
思わずその名前が口をついて出る。
伊藤は「斗真が聖を殺した」と言った。
しかしそれは、普段のあいつを知る自分にとって
到底信じたくないことだった。
風間は我知らずぎりっと欠けた歯を噛み締める。
探して、会って、そしてどうする気なのか。
自分にもわからない。

もしかしたら、斗真もまた狂ってしまったのだろうか。
8ユーは名無しネ:01/10/09 00:25
:リレー版437@やっぱりわからない…顔も。こいつがどうしたいのかも。
前スレ>450

提箸は闇夜の中、懐中電灯をたよりに北西へと続く一本道を歩いていた。
一人で。
鞄には一応使えそうな縄梯子等をつめこんだ。
あと、萩原が拾った銃と薬莢。
自分の手榴弾。

萩原と今まで一緒にいたのにも特に理由などなかった。ただ出会っただけ。
最後の一人になるまで殺しあうこのゲームの中でコンビを組むのもどうかとは
思っていたが、二人でいることで少なくとも殺しに対する罪悪感や、
狂気から逃れたのも事実だ。
だがもう随分のこりの人数も減った。いつ、灯台にいる自分達以外の人間が
全部死ぬとも限らない。
そうしたら…

俺は萩原を殺せるのか?
現に何度も殺そうとした。だけど結局引き金を引けなかったのは何故だろう?

わからない。
わからなかったから眠る萩原を置いて灯台を出た。
離れて、微かな仲間意識だの、一緒に歩いたつらさも楽しさも全部忘れて。
次逢った時には、ちゃんと引き金を引けるように。

眠る萩原からそっと熊を取り上げ、残したメッセージに、果たして萩原は気付いてくれるのだろうか…?
前スレ>591-594

 桜井が何事もなく屋良と米花に接触して話を始め、屋良の傷がきちんと
手当てされていた事まで見届けると、俺も行くねと言い残して、
懐中電灯片手に全員の腕輪を持って松本は屋上に上がって行った。
二宮はこれが自分の担当だと決めたのか、所在地確認用のモニター前に
陣取っている。
相葉は塀の周囲を映しているカメラの角度を調節し、対峙する3人を一つの
画面に収め、他のカメラは更にその外周の景色が映るような陣形にした。
「相葉ちゃん、出来た?」
「うん。でもさ、なんにも起きないと良いよね。」
「そりゃあね。でも、用心に超した事はないから。」
接近者の情報は自分達の方が絶対早く受け取れる。もし万が一見落として
3人の身に危険が迫ったらと考え、真剣にモニターを眺めていた二人が同時に
何だって?と声を上げる。
「今何つった?」
「…コンピューター…ぶっ壊すって…」
魂の抜けたような相葉の返答に二宮が頭を抱えた。
「これだから頭の良い奴は…」
確かに自分達の腕輪は外す事が出来た。だがそれが参加者達の首輪を外せる事
の証明になんかなりゃしない。
ましてやコンピューターをぶっ壊すだって?
「何いきなりぶっ飛んでんだよ…」
気付かれずに出来るわけないだろうと思っていると案の定屋良に指摘される。
黙り込んだ桜井の頭の中では、めまぐるしく体内コンピューターが活動を
始めている事だろう。どうかまともな答えを弾き出してくれと切に願った。
 「あ…」
地図の南西部で二つの緑点が赤に変わる。
安田と丸山の名前を確認して二宮は唇を噛んだ。
折角、爆発に巻き込まれず逃げおおせたというのに。
「畜生…」
傍観者にしか過ぎなかった自分が変われるかも知れないと思っていた。
それなのに手を出す事も出来ない場所で消える命がある。
「何?どうかした?」
声の方向に顔を向けると相葉が不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「…何でもない。気にしないで」
今はまだ知らなくても良い。
穏やかな口調で相葉を桜井達の様子を見ているよう促し、
参加者リストと筆記用具を手元に引き寄せた。
二人の名前の上に赤線を引きながら戻した視線が画面の変化を捉える。
「相葉ちゃん、斗真とすばるが近付いてきてる。」
「こっちはまだ映んない」
南東方向から動いてくる緑点が二つ。
渋谷も生田もしばらくの間屋良とは行動を共にしていたようなので、いきなり
攻撃してくる事はないだろうと思っている。しかし、早いうちから合流して
いた翼が死んでいるのだ。気が変わっていないとは言い切れない。
「斗真の武器って…拳銃だったよね。」
「うん。すばるはパチンコだから良いとして…でもヨコの武器も銃だったし。」
すばるに渡してるかも知れないしね、と歯に爪を当てて考え込む。
「どうする?知らせる?」
「どうやって?走ったって間に合わないでしょ。」
そうこうしているうちに渋谷達が合流してしまう。
取り敢えず最悪の事態にならなかった事にほっと胸を撫で下ろした。
>9-10

「…こんなんじゃ俺達の胃がぶっ壊れそうだよ。
なんか連絡取る方法考えないと。」
「そうだよね。一番判りやすいのはマイクなんだけど…」
「勝手に放送入れたらまずいし、
わざわざ誰か居るって教えてやる事になるしなあ…」
溜息を付く。
ヒントはないかとさまよわせた視線が画面の端に映る傘に吸い寄せられる。
屋良が投げ付けた傘だ。
「そっか…相葉ちゃん、出来るよ放送」
「え?」
「喋んなきゃ良いんだよ。マイクのスイッチ入れて、
音立てれば何かあったって判るって。」
「判るかなあ」
他に何か出来る事がないか相葉も周囲を見回す。
「あ…」
あれ、良いかも。相葉の目がにんまりと細められた。
>11

 所々しか蛍光灯が灯っていない廊下は薄暗い。
松本は懐中電灯をつけようかどうしようか迷いながら屋上を目指していた。
うっかり落っことして爆発されたら困るどころの騒ぎではないので、
自然と慎重な足の運びになる。
延々続く階段を上りきり、重たいドアを肩も使って押しながら外に出た。
階下の明かりにぼんやりと照らされてはいるものの、
見通しが良いほどではない。
闇に対する本能的な恐怖が松本の足を竦ませた。
「俺達が居る教室がこっちだから…」
わざと言葉を口にして恐怖を紛らわす。懐中電灯をつけ、
周囲に危険のない事を確認した後で漸くドアから離れた。

こんなの怖くない。
だって闇よりもっと怖いものを俺は知ってしまったんだから。
 「嫌です」
俺の口から出たのはそれだけだった。
そんな事出来ない、したくない。人が死ぬのを監視しろ、なんて。
「そうか」
あいつはそう言うと引き出しから何かを取り出した。
それを握った手が近付く。
避ける暇なんてなかった。
冷たい丸いものが額に押し付けられる。
近過ぎるのと怖いのと、あと何が何だか解らない感情が溢れてきて
目の前のものにピントが合わせられない。
それでも『これ』が何なのか簡単に予想がついた。
こんなものには負けない。そう思ってはいても足が震える。
あいつの指が僅かに動く。それ以上見てられなくて目を閉じてしまった。
「君にはYes以外の選択肢はない。」
手が動く。撃鉄の上がる硬い音が眉間を通して俺の頭の中に響いた。
「Yesと言いたまえ。」
この場で死にたくないのならば。

怖かったのは殺されるかも知れないって事じゃない。
…ここで死んだらただの無駄死にだって気付いたからだ。
俺は誰にも、何も出来ずに死ぬのが怖い。
 自分達の拠点から一番遠いだろうと思われる場所に
全部の腕輪をまとめて置く。
「翔君、大丈夫かな」
危険な場所には自分が行く。
その悲壮なまでの決意が読めてしまうのがとても辛かった。
「翔君…」
唐突に自分が入っていた寝袋を握り締めて眠る桜井を思い出す。
無意識の中ではあんな風に誰かに助けを求めていたのに、
倒れる瞬間まで誰の手も必要としなかった。
「俺って、そんなに頼りないのかな…」
金網越しに桜井が居るだろう辺りを透かして見るが、
角度の問題と暗さのせいで姿を見る事は叶わない。
松本は一つ溜息を落とすと、階下に続くドアを目指して踵を返した。
「うー、ん…」
ごろんと寝返りをうったらベッドから転がり落ちてしまった。
抱えていた熊のぬいぐるみがクッションになってくれたおかげで
それほど痛くはなかったが、ごつんと頭を地面にぶつけたらさすが
に目を覚ましてしまって、萩原は大きな欠伸を一つした。
ぶるぶると頭を振って周りを見渡してみるが、当然、暗闇。
何も見えない。懐中電灯は提箸が持っているはずだし。
(腹減ったー…)
そのままもう一度寝直そうかと思ったが、腹が減っていては眠れ
るものも眠れない。夜食を食べてからもう一眠りしようと完璧な計
画をたてた萩原は、とりあえず、いっぺーちゃーん、と提箸の名前
を呼んだ。ぼんやりとそのまま一分ほど待つ。
返事はない。
「っかしいなあ…」
提箸も眠ってしまっているのかもしれない。
萩原は首を傾げるとごそごそ起き出して、片手に熊を抱えたまま
灯台の天辺へと続く階段をぼてぼて登っていった。もう一度名前を
呼んだがやはり返事はないまま、萩原は提箸がいるはずの見張り台
に到着してしまった。
「あれ?」
そこには、青白い月明かりが寒々と落ちているだけで、人の気配はゼロだった。
提箸はいない。
ぽりぽりと萩原は頭を掻いた。
とりあえずぐるりと島全体を見渡してみる。
当たり前だが何も変わったものが見えるはずがない。
階段の下を覗いて、もう一度、いっぺーちゃん、と呼んでみたが、やっぱり反応なし。
萩原はしばらく黙ってそこに立っていたが、ふと視線を落とし、
もぎゅっ、と熊を抱きしめてみた。他にやることが思いつかなかっ
たのだ。提箸がいなければ、ご飯、というか乾パンがどこにあるの
かも、寝ぼけた頭で萩原は思いつかなかったので。
(くそ、腹減ったー…)
そう思ってぎゅーっと力をこめた途端、何の拍子か再生ボタンに
触れてしまったらしく、いきなり熊が喋り出したから、少し驚いた。
最初に少しためらったような間があってから、

『…次に会ったら、ちゃんと俺を殺せよ。俺もお前を殺すから』

それだけだった。確かに提箸の声だった。
じーっと熊を見つめて、もう一度ボタンを押してみたが、同じ
メッセージが流れただけ。
萩原はそのままつまらなさそうに立ちつくす。
そのうちに、
「…寝よ」
呟いて、熊をぶらぶら下げたまま階下のベッドまで戻っていった。
前スレ>693

結局絶望的な事態は変わらないのだ。
ツアー先の会場をいともたやすく爆破することで、そしてそれを世間的に
地震のせいだとごく自然に処理してみせたことで、絶対的な力を示して見せた
奴らを相手どってのバトルロワイアル。
圧倒的にこっちが不利。
まず今置かれているこの状況すら相手の手のひらの上なのだ。
だけど、目の前で生田と渋谷が、米花と屋良が、真剣な目で桜井を見て、
一緒に戦おうと言ってくれている。血まみれ泥まみれの壮絶な格好の4人が、
この島での一日をどれだけ地獄のような思いで過ごしたのか桜井には推測しか
出来ないけど。
それなのにこいつらはまだ自分を信じて力を貸してくれるというのだ。
桜井は4人の暖かい体温を手の中に感じながら、俯いた。
「翔くん?」
生田の慌てた声が頭上から落ちてきた。
おかしいな。こんなどうしょうもない状況なのにさ、嬉しくて。
ああクソ、涙出てきそう。
桜井は乱暴に目尻を拭うと、ゆっくり顔を上げた。
もう誰も死なせたくない。
大丈夫だよ。大野くん。俺たち戦える。まだ、戦えるよ。
俺たちは一人じゃないからね。
>12-14 >17

 警戒を続けていた二宮の全身が激しく緊張する。
「来た。」
「え?何?」
「アッキー」
「うっそ、ヤバいじゃん」
同時に立ち上がって二宮はマイクの所、そして相葉はなぜだか
ドア横に走って行った。
チャイムも何も押さずにいきなりスイッチを入れ、
手にした空のCDケースでマイクの頭を5、6度叩く。
相葉も同時に教室内の照明スイッチを入り切りして大きく点滅させた。


 不意に硬い物がマイクに当たる音がして桜井は立ち上がる。
放送は全て自分が入れると宣言してある。それなのに、なぜ?
明滅を繰り返す教室にも気付き、事態の急変を悟った。
「何や?あれ」
ぽかんと口を開けている渋谷を含めた全員を見やる。
「何かあったらしい。今すぐ動けるようにしておいて」
全員が真剣な面持ちになった。
渋谷は周囲を見回し、米花は屋良が立つのに手を貸している。
生田はずっと握っている探知器に目を落とした。
「まだ距離があってこれじゃ判んないよ」
「あっちとくわしい連絡、取れないの?」
事と次第によっては屋良を担げるように側を離れない米花が言う。
桜井はやってみる、とカメラの辺りに顔を向けた。
「Yesは1回、Noは2回。…誰か来るのか?」
照明が1回瞬く。
「危険なヤツ?」
1回。
「どこから来る?…西」
マイクが2回小さく鳴る。
「東」
2回。
「南」
1回。
「南?」
「真っ直ぐここに来てんじゃん!」
「…分かった。」
桜井は教室に居る二人にも聞かせるよう言葉を継いだ。
「教室の明かりを一旦落とすからその隙に逃げろ。焦って音を立てたり
大声を出したりしないよう注意して、出来たらバラけて。
ここから離れれば暗いから見つからないと思うけど、充分注意してね。」
頷く全員の顔を見渡す。ふと思い付いて自分のシャツを脱ぎ、
屋良に投げ渡した。
「…へ?」
「随分格好良いから。…良かったら着て。」
唇の端だけ上げて微笑むと、今はまだ誰の姿も見えない南の方角を睨む。
「電気消せ」
鋭い囁きの一瞬後、校舎の中で一番明るかった教室の電気が消えた。
>19から続き

「ま、待って」
自分を担ぎ上げようとする米花の腕を掴んで止めて、屋良は焦った声で桜井に呼びかけた。
「何?」
早く行けと、桜井の目が言っている。
それでも、どうしても気になることがあった。
「危険なヤツって、アッキー?森?」
さっき桜井が気をつけろと言った人物だ。
「…アッキーだと思う」
一瞬の躊躇のあと、桜井はそう言った。
それから「早く行けッ!」と声を低く、息だけで叫んだ。
桜井の叫びに合わせて、それまで様子を窺っていたすばると斗真が走り出した。
「とりあえず東に。トンネルあたりでバラけよう」
頭の中に地図と禁止エリアを思い浮かべて、米花がふたりの背中に向かって言った。
「行くぞ」
「待ってよ」
「屋良…」
「アッキーだよ?」
米花の腕を掴む屋良の手が震えている。
「信じられない」
信じたくないというのが本当かもしれなかった。
その気持ちは米花も同じだった。
米花は屋良を担ぎ上げようとする手をどうするべきか迷わせる。
「わかるけど、危険なのは間違いないんだ」
そんな米花の迷いを消すかのように桜井が口を挟んだ。
「頼むから…ッ…逃げてくれ…」
懇願するような桜井の声に、米花は無理矢理屋良を担ぎ上げると
すばるたちの後を追って走り出した。
>20

4人を促して逃げさせた後、桜井は急いで校舎の中へ駆け戻った。
教室の明かりも消えて薄暗闇の中、手探りで放送室へと戻る。
「二宮! 相葉!」
「翔くん」
二人は随分と慌てた様子で振り返って桜井を見た。
「誰?」
「アッキー」
短い言葉のやりとりの後、桜井は、やっぱりか、と呟いて歯がみした。
秋山が、やる気になっているということはほぼ確実だった。それはわかっていた。
今まで秋山に出会った人間はほぼすぐに赤の光点に変わっていたし、気をつけろと
4人に忠告はしたものの、不安には違いない。
大丈夫だ、簡単に殺されるわけがない。あいつらは銃も持ってるし、生田は探知機も
持っている。それにこの暗闇だ。見つからず逃げられるはず。大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせて心を落ち着かせているところへ、転がるように松本が戻ってきた。
その松本の第一声が、いきなり電気が消えてしまったことへの疑問ではなく、翔くん
大丈夫? という自分を心配する言葉だったから、一体自分はこいつにどれだけ心配
されていたのだろうとおかしくなる。
「大丈夫だっつぅの、バカ」
「だってさ…」
いいから作戦会議、と桜井は松本を手招きし、4人で円を作って床に座り込んだ。
桜井が何から話そうかと言葉を選ぶその前に、二宮が、翔くん、と怒ったような
声音で桜井を呼んだ。桜井は少し驚いたように二宮を見た。二宮はじーっと桜井を
睨み付けている。
「何?」
「翔くん、さっきさ、外で2人に『コンピュータぶっ壊そうと思ってる』っつったよね?」
「…うん、だけど」
「知ってる。屋良っちに、それじゃダメだって指摘されて気づいてたよね」
でも、だったらさあ。二宮は怒ったように続ける。
「俺たち、聞いてないよ。翔くんがコンピュータ壊そうとしてるとか、そんなこと、
全然。なんであんた俺たちに言わないわけ? そういうことを」
桜井はあっけにとられたように口を開けている。そうして何も言い返せない
から二宮はさらに言いつのった。
「翔くんが頭いいのは知ってる。何もかも一人で抱え込みたがるバカだってのも
知ってる。でもね、俺たちにだって頭あるんだよ。そりゃあんたより年下で
頼りないかもしれないけど、たとえば『コンピュータを壊そうと思うんだ』
ってあんたが言えば『それはマズイんじゃない』って言ってみることくらい
出来んだよ。翔くんなんか勘違いしてる。進行係はあんただけじゃない。
戦うのもあんただけじゃない。俺たちだって、戦うんだ。戦うって決めたんだよ」
「うん、そうだよ」
「そうだよっ!」
相葉と松本が横から勢いよく二宮に同意した。
「1人で考えるより2人、2人より4人、当たり前だろ」
「翔くんが俺らのこと認めてくんないんだったら、俺ら反乱起こしちゃうよ?」
「俺、放送入れちゃうよ!」
「お前、噛むからダメ」
二宮に頭を叩かれて松本がふくれる。
桜井が口をつぐんで3人を見ている。二宮は微笑んだ。
「相談しよう? 話しましょう、桜井さん?」
あんたの体内コンピュータ、もしちょっぴりおかしくなったとしても、
狂ってしまう前に俺たちが修正入れてあげるから。
だから勝手に一人で決めんな、抱え込むなとそう二宮は言った。
俯いた桜井は、うん、うん、と何度か頷いた。右手で前髪を引っ張りながら、
くっくっ、と小さく笑った。
「…うん、マジ、それ嬉しいな」
本当に俺、正直いっぱいいっぱいでテンパってたの。
顔を上げた桜井はさっぱりしたような顔で笑って、
「どうしよう? どうすればいいと思う?」
桜井は気づいていなかったが、桜井が3人にそんな風に手放しで意見を
求めるのはここに来てこれが初めてだったのだ。
3人は満足そうに微笑んだ。
「バラけて逃げたほうがいいって、翔くん言ったよね」
「せやな、夜やし、一人でそっと茂みとか隠れとったら見つからへんって」
短く囁きあった生田と渋谷を、慌てたように米花が制した。
「待てよ。屋良っちこの傷だから無理だ」
「大丈夫だって」
「うるせーよ」
明らかに足手まといだろう屋良を担ぎ上げたまま、だから俺らは二人で
逃げるから、と言った米花に、じゃあ、と生田がレーダーを押しつけた。
「使い方わかるよね?」
「ああ、多分。でもこれ…」
「大丈夫、あとで返してね」
微笑んだ斗真に米花は笑い返して、わかったと答えた。
あとは時間が惜しい。じゃあ、と慌ただしく囁きあって4人はバラバラに
分かれると森の中へ隠れることにした。
屋良を背負った米花はとりあえず北の方へと走った。少し高台になった
茂みを見つけて、あそこなら近づいてくる人間を見つけやすいし逆にこっちは
見つかりにくいだろうとあたりをつけて多少苦労しながらよじ登る。
茂みの中へ入り込み、屋良を降ろして、後は木の枝を引っ張るようにして
二人の体を隠してしまったらやっと落ち着いた。
それから米花はしきりにかちかちとレーダーをいじっている。
「わかる? ヨネ」
「うん単純。あ、ちょっと待て、こっちのボタン…」
蓋をスライドさせた裏についていたボタンを押すと、ぐん、と画面の
格子模様が広がった。つまり縮尺が変わったのだ。
なるほど、これでワイドになるわけね、と米花は呟いた。
この機能まで生田は知っているだろうか。後で教えてやろう。
そう思いながら何気にかちかちと縮尺を変えていたその時だ。
米花は目を見張った。
今にも切れそうなほど画面の端すれすれに緑の光点が一つ、そしてすぐ側、
それを追うようにもう一つ緑の光点。画面の縮尺がどの程度かはわからないが、
結構なスピードで移動しているように見える。
この二つの光点が生田と渋谷であるわけはない。生田と渋谷は自分たちと
別れる時すでに別方向に別れていたはずだ。それならこれは。
この、まるで片方が片方を追いつめているように動くこの光点は。


「…アッキーだ」
「え?」
ごろんと横になって睡眠体制に入ろうとしていた屋良が驚いて飛び起きた。
絶対見つかるはずがないと思っていた秋山に、生田か渋谷どちらかが
隠れようとした直前、運悪く鉢合わせしてしまったのだろう、そうとしか
考えられなかった。しかもそれがもしかして自分たちにこのレーダーを
渡したせいだったとしたら?
「屋良、ここで待ってて」
「な、待てよヨネ! なんだよ!」
「戻ってくるから待ってろ!」
米花は片手にレーダー、そしてもう片手にはズボンのポケットから取り出した
拳銃を持って隠れていた茂みから飛び出した。
高台を滑り降りると、そのまま走り出す。
「ヨネ! アッキーなんだろ、待てよ!」
屋良は慌てて立ち上がったが脇腹の痛みに耐えきれず、すぐ膝をついてしまった。
「くそ…っ」
額に脂汗が浮く。
急激に動いてしまったせいで、もしかしたら傷口が開いたかもしれない。
追うのは無理だった、わかっていた。
でも、片手に銃を持ったまま飛び出していった米花。
銃を持って…。
「だけど…相手、アッキーなんだぞ…!」
屋良は、絞り出すように呟いた。
米花はまず説得を試みるだろうか、いや、
秋山は、果たして説得に乗るんだろうか…。
どれだけ心配でも、屋良にはどうすることも出来ない。
内、福原、町田くん…。順番に顔を思い出し、結局、何も出来ていないすごく
無力な自分にひどく腹が立った。
「畜生!」
秋山は、正気でいるんだろうか…?
25生田@リレー版・453:01/10/09 01:04
>23

「うわあッ」
必死で走っていたら、飛び出ていた木の根に躓いて、頬とてのひらを
ひどく擦りむいた。
痛くて、涙出そうになって、それでも必死で立ち上がる。
「生田くんでしょ? なんで逃げるの?」
秋山が、わざと音をたてて木々をかき分けながら自分を追いかけてくる。
とても優しい声で、逆にそれが怖かった。
『危険なヤツって、アッキー? 森?』
『…アッキーだと思う』
『待ってよ、アッキーだよ?』
『信じたくない』
桜井と屋良の言葉が頭をぐるぐる回る。
そうだ、信じたくない、信じたくないけれど、生田はこれまで、
友達だと思っていた人間が自分に武器を向けるところも、他人に危害を
加えるところも、感覚が麻痺してしまうほどたくさんの死体も見てきた。
聖が死んだのも自分のせいかもしれない。だから人のことなんて言えない。
だけど、あのいつでも優しかった秋山まで…!
「生田くん?」
猫なで声を出さないでよ! 生田は泣きそうになった。
米花に探知機を渡してしまったことを後悔はしていない。屋良は怪我を
していたし、もし近くまで来て気づかれてしまったらそんな足手まといを
抱えては絶対逃げ切れないだろうから、そんな二人に探知機を渡したのは
正解だったと思っている。
だけど、よく考えたら自分は何も武器を持っていないということを
すっかり忘れていた。
暗いから絶対見つからないだろう。朝までどこかに隠れて、また皆と合流しよう。
そんなふうに思っていたのに、見事に鉢合わせしてしまった。
そこで咄嗟に逃げてしまったのは自分だが、執拗においかけてくる秋山は、やっぱり
何か意図があるとしか思えないじゃないか。
たとえば、相手を殺す、とかそういう意図が。
 
26生田@リレー版・454:01/10/09 01:05

「秋山くん! 聞いてよ、あのね、翔くんが…!」
「聞くから、待ってよ」
「翔くんが、翔くんが、一緒に戦おうって」
だから大丈夫だから、もう人殺さなくても大丈夫だから。
整わない息と思考、だけど必死で振り返ってそう言おうとしたのに。
「よく聞こえない。逃げないでよ、生田くん」
秋山の足は止まらない。
そうしたら生田だって、怖くて逃げるしかないのだ。
「痛ッ…」
暗闇の中、低めに張り出ていた枝に足をすくわれた。顎をひどくぶつけて、
舌を噛んだ。血の味が口の中に広がる。転んだ時に胸も地面にぶつけ、
肺から空気が押し出されて息がつまった。ごほごほとそのまま咳き込む。
助けて。
何人も、友達が目の前で死ぬところを見てきた。
だけどこうまで身近にはっきりと死が形を持って迫ってくると、
また心臓が引き絞られるような恐怖に襲われる。嫌だ、死にたくない。
翔くんとすばると屋良っちと米花くんと、みんなと戦おうってそう決めた。
頑張ろうって決めた。なのにこんなところで死にたくないよ…!
最後まで諦めない。
死んでいった皆のためにも、ここまで生き延びることが出来た自分は、
絶対に最後まで生き抜いてやる。最後の最後まで諦めないで、生きることに
しがみついてやる。そうしないと、死にたくないのに死んでしまった
人たちに合わせる顔がないじゃないか。
俺は絶対にみんなのことを忘れない。最後まで生きて、みんなのことも
きちんと心の中に生かしておきたいんだ。だから。
生田は血を吐き出して、必死でまた立ち上がった。
秋山は、すぐ背後まで迫っている。
>26

翼のボーガンは小屋に置いて来てしまった。
学校へ向かう途中で、すばるが差し出してくれた横山のピストルを
受け取らなかったことを少しだけ後悔して。
それからすぐに頭を振った。
「武器持ってたら…どうするつもりなんだよ、オレ…」
後悔したんだ。聖を目の前で死なせてしまって…自分が殺したんだと思う。
だから、武器は投げ捨てた。
リュックに入っている翼がくれた爆弾も、使うつもりはなかった。
ただ、それを受け取ることで仲間になれたような…そんな気がしていただけだ。
誰も殺さずに生き続ける。
そんな普通なら努力の必要もないようなことが、今ものすごく困難であることを
斗真は改めて重く感じていた。
木々の間から斗真は転がるように道路に出た。
秋山に出会って踵を返した斗真は再びトンネルのあたりに辿りついた。
後ろからは葉を揺らして追いかけてくる秋山の足音が、確実に近付いてきている。
北に向かえばケガをした屋良と米花がいる。すばるは東に逃げたはず。
斗真は西へ…学校へと走りつづけた。
それはすばるたちの身を案じると共に、
誰かに…学校にいる仲間たちに縋りたい気持ちの表れだったのかもしれない。
助けて欲しいとかそんなんじゃなく、ただ…会いたかった。
28リレー版・456 前編:01/10/09 01:07
>21-22

 この先の事を話し合おうとした矢先、次の禁止エリアを発表する時間が
迫ってきている事に相葉が気付く。
禁止エリアを増やさなければ黒幕が不審に思うだろう。
そんな所からボロを出してしまっては今までの努力が水の泡になる。
「取り敢えず無難な所を…」
言いながらモニターを覗いた二宮の動きが止まる。
「どうした?」
「斗真!」
ほとんど接近してしまいそうな二つの緑点。ひとつは生田、もうひとつは…
「アッキーに…」
「見つかったのか?」
桜井が驚きを隠せない表情で同じように画面を覗く。
「斗真はレーダー持ってた筈なのに…」
どうして、と茫然としている横で松本がドアに向かった。
29リレー版・457 後編:01/10/09 01:08
「松潤!」
「俺行ってくる」
「危ないよ!」
止める相葉を振り返る。
「斗真はもっと危ない。それに…」
一緒に戦うって決めたでしょ?と笑う。
「ダメだ!オレが…」
「翔君は駄目。放送入れなきゃ」
ぴしゃりと言って走り出す。その背中に二宮が叫んだ。
「例の奴は!?」
「持ってる!」
止まらない背中が答えた。
「例のヤツ?」
反応する桜井に二宮が教える。
「ほら、翔君にも渡した湿気取りとうがい薬のセット。
作れるだけ作ったから…どした?」
桜井が目を見開いた状態で固まった。
「あれ…シャツごと屋良に渡しちゃった…」
「げ。使い方知らないじゃん」
固まった二人を解凍させるべく相葉が口を挟んだ。
「どうしても知りたかったら聞きに来るって、多分。
それより禁止エリア考えなきゃ」
30秋山@リレー版458:01/10/09 01:10
ちりちりと頭の奥で何かが焼けるような音がしている。
生田を見た瞬間に、殺さなきゃ、と思った。自分は今まで山ほど人を
殺してきたんだし、殺さなければ駄目だと思った。
迷っても、どうせもう後戻りは出来ない。
自分を見ると一瞬脅えたような顔をして逃げ出した生田を、優しく
呼び止めようとしたが生田は立ち止まろうとはしない。ますます苛々して、
また頭の中が熱くなった。殺さなきゃ、早く殺さなきゃね。
ハハ、もう俺完全におかしくなっちゃってるのかもしれない。
「待てよ」
呼び止めようとする声に苛立ちが混じる。
道路に転がり出た生田を追ううちに、それは学校へ続く道だと気づいた。
生田は学校へ行って何をするつもりなんだろう。殺される前に嵐に恨み言
でも言うつもりだろうか。いい余興だね。俺も混ぜて貰いたいくらい。
道の先を走る生田が転んだのが見えた。
秋山も足はくたくたに疲れていた。このままずっと追いかけあいが続く
のは辛い。だから今がチャンスだと思った。駆け足ですぐ側まで近づいたのに、
生田はまだ這いずって逃げようとする。往生際が悪い。
「待ってよ、秋山くん!」
振り返って叫んだ生田に秋山は、何を? とにっこり聞き返しながら、日本刀を
抜き払った。月明かりでぎらりと刀身が光る。
生田が地面にぺたりと座ったまま、それを見て脅えたようにまばたきを繰り返した。
31秋山@リレー版459:01/10/09 01:11

「…俺、殺すつもりなの?」
「うん、ごめんねえ生田くん。痛くないようにしてあげたいけど、どうして
いいかわかんないや」
「嫌だ! 死にたくないよ!」
言葉を最後まで聞かずに刀を振り上げた。疲れた手には随分重かったので
そのまま重みにまかせて振り下ろす。日本刀はギリギリで体をねじった生田の
右側の地面にどすりと刺さった。
「わあああああっ!」
叫んだ生田が秋山の下半身に予想外の勢いでぶつかってきた。
支え切れず日本刀から手を離して地面に転がる。衝撃で、頭の中が真っ赤に燃えた。
殺さなければ! 秋山は思いきり生田の腹を蹴り飛ばして離れると、
急いで立ち上がり、日本刀に手を伸ばした。柄を握りしめて振り返ると、生田は、
秋山に蹴られた腹を苦しそうに押さえ、地面にうずくまってうめいている。
ゆらりと一歩、近づいた。
どこを狙えば確実に殺せるかな。やっぱり、心臓か喉だよね。そうだ、喉にしよう。
…その時だった。
「アッキー!」
くぐもったような声が聞こえた。もう聞き慣れた声だ。こんなことになる前、
一番最後にその声を聞いたのはもういつ頃だったか忘れた。その声に秋山の頭が
すっと冷えた。
生田から視線を外してゆっくりと前を見ると、そこには、
銃を構えた米花が立っていた。
「…ヨネ」
その銃口は、ぴたりと秋山に向けられていた。
32秋山@リレー版460:01/10/09 01:11

ああやりにくいな、と思った。
本当は米花や屋良や町田や、そういう奴らは別の誰かに殺されていればいい
と思っていた。会いたくなかったのだ。
「なんだー…生きてたんだ。ヨネ。怖い顔だよ」
「お前のほうがよっぽど怖えーんだよ」
「ひどいなあ」
「アッキー、何人、殺した?」
ぴくりとも銃口をそらさないまま、米花が低い声で問いかけた。
秋山は思い出そうとしてみたが、すぐに諦めた。覚えてないし、思い出そうと
しても、もう靄がかかったようによく覚えていない。島田、橋田、なんだかその
あたりを殺したのは覚えているんだけど。あと、福田や中丸や田口や、新人の、
小山とか加藤とか、殺したっけ、違うんだっけ。どうだっけ。記憶が混乱している。
良知や石田を殺したのは自分だったか? なんだか、ちっちゃい子も殺したよなあ、
たくさん。たくさん殺したよ。
「覚えてない。たくさん」
「ふざけんな。なんでだよ!」
いきなり米花が爆発した。
「アッキーそんなキャラじゃねえだろ。なんでそんなことになっちゃってんだよ!」
こんなことになるような気がしたから会いたくなかったのだ。
秋山はぶらぶらと日本刀を揺らした。
足下で、なんとか身を起こした生田が、黙って秋山を見上げている。
だってさあ、ヨネ、と呟くと、米花が銃口を震わせて秋山を見た。
33秋山@リレー版461:01/10/09 01:12

「…だって、『いい奴』やってたら、時々疲れるんだよ」
俺だって辛い時とか、嫌になる時もあるのに『いい奴』なんてキャラ自分で
小さい頃から被っちゃってて、脱げなかった。
気持ちに余裕がない時でも、笑って他人に気を遣って、いい加減疲れるよ。
このゲームのルールを聞いた時思ったんだ。もう『いい奴』なんてやめてもいいじゃん。
どうせみんな死んじゃうんだから。どうして俺が殺されなくちゃならないの?
『いい奴』だから?
そんなの絶対に嫌だ。最後までそんな風に死にたくない。
どうして俺がいつでも『いい奴』でいなくちゃいけないの。疲れたよ。
「だから、みんな殺してやろうと思ったのに」
「…嘘だろ」
米花が呟いた。信じたくないというような声で。
その途端いきなり秋山が動いた。右手の日本刀を勢いよく振り上げる。
生田がうわあっと叫んで身を引いた。
「アッキー!」
米花の絶叫と共に、夜空を銃声が切り裂いた。
鮮血が、舞った。
>33の続き

「うわぁぁぁぁぁっ!!」
秋山は右肩に強烈な熱と痛みを感じた。
思わず握っていた日本刀を取り落としてしまう。
真っ赤な血が勢いよく腕を流れ落ちていく。
あまりの痛さに息が出来ない。
右肩を抱いて、秋山はその場にうずくまった。
「斗真!今のうちに早く!!」
米花の声に、すっかり固まってしまっていた生田は我に返って
慌ててその場から飛び退いた。
そしてそのまま米花の元へ走る。
「パナ!」
「大丈夫か?怪我はないのか?」
うん、と生田は頷く。
真っ青だが、たいした怪我のなさそうな様子に米花は安心した。
そしてうずくまったままの秋山に、銃の標準を合わせたまま
一歩近づいた。
「アッキー、俺は誰も殺したくなんかないよ。こんな狂った状況の今でもな。
でも、あんたが俺達を殺すつもりなんだったら…」
米花は引き金に力を込めた。
「俺はみんなを守るために、この引き金を引く」
本当はこんなセリフ、言いたくなかった。
今でも秋山は大切な仲間だと思ってる。
だけど。
「俺が、あんたを殺す」
殺す?俺を?
…ヨネが?

痛みのせいで思考が定まらない秋山の脳裏に、米花の声が響く。
「…そんな権利、お前にあるのかよ…」
痛む右肩を抱いたまま、秋山はフラリと立ち上がった。
「ただ俺は生きたかっただけなのに。お前だってそうだろ?」
誰だって、こんな所で死にたくなんかないハズだ。
「死にたくないんだよ!俺は生きて帰りたいんだよ!」
だから殺した。
無抵抗のやつらを、躊躇いもなく。
それのどこが悪い。
「誰だってそう思ってるに決まってるだろ!あんただけじゃねぇよ!」
米花のその言葉で、秋山はこれまでに見てきた死体となった
仲間達の事を思い出した。
俺が殺したヤツも、死んでいたヤツも。
みんな家に帰りたかったんだ。
それなのに…。
秋山はぼんやりとする頭を左右に振る。
すると、右肩にふと目がいった。
まだ激痛が走り、血が流れ続けている。
そして傷口を押さえている手は、自分の血で真っ赤に濡れていた。
いや、自分の血だけじゃない。
「俺の手はさぁ、もうみんなの血で汚れまくっていて、
どんなに洗っても洗っても、全然きれいにならないんだ」
呟くように言った言葉は、それでもちゃんと米花の耳に届いた。
「俺の血じゃないと、洗い流せないのかなぁ?なぁ、ヨネ?」
顔を上げた秋山の頬には、涙が一筋伝い落ちていた。
米花はゴクリを唾を飲んだ。
秋山がどういう状態なのか、判断しがたい。
ヤル気なのか?
それともそうじゃないのか?
できれば、後者であって欲しい。
祈るような気持ちで、米花は話し掛けた。
「…アッキー、もうやめようぜ。こんな事すんの、バカみたいじゃん。
俺たちみんなで帰れるように協力し合おう?」
だが、秋山は首を縦に振らなかった。
「ダメだよ。仲間になったとしても、きっとそのうち、お前等の事
殺してしまうに決まってる」
「そんな事ないって!なんでそんな事言うんだよ!?」
「そうだよ!秋山くんは俺達の事を殺したりなんかしないって!」
先ほど殺されかけた生田だが、それでも秋山の事を信じたかった。
そんな生田を見て、秋山は苦笑した。
「そんな簡単に他人を信用したら、この先生きていけないよ?」
「他人じゃない!!」
間髪おかずに、米花は叫んだ。
「仲間じゃん!それにあんたは俺達の…MAのリーダーだろ!?
リーダーだったら俺達の先頭に立つ義務があるんだからな!」
秋山に向けていた拳銃は、すでに下ろされていた。
それに気付いて、秋山はまた苦笑する。
「義務、ね…。結局俺って、貧乏クジしか引けないタチなわけ?」
「あんたらしいじゃん」
「あ、そんな事言う?ヒッデーの」
秋山は肩をすくめた。
するとまた、激痛が右肩に走った
「…痛っ!」
「アッキー!?」
「大丈夫、致命傷じゃないし」
大きく息を吐き出すと、秋山は米花と生田に真っ直ぐ向かい合った。
「…俺、やっぱりお前らと一緒に行動できない」
思いがけない言葉に、米花は一瞬目を見開いた。
「何で!?」
「今更だろ?それにこんな危険人物と一緒にいたら、お前らどうなるか
分かったもんじゃないぞ」
「俺は信用してる!」
俺もお前のように誰かを信用出来ていたら…。
そしたら、こんな風にはなっていなかったかもね。
秋山は、先ほど落とした日本刀を拾い上げた。
そして2人に背を向けると、肩越しに振り返る。
「2人ともバイバイ。それとパナ、今度俺と会ったらちゃんと引き金を引けよ?」
「アッキーッ!!」
「じゃないと、今度こそ殺すから」
泣きそうな顔で微笑む秋山に、米花は何も言えなかった。
そのうちに秋山の姿は西の方角に消えてしまったが、米花と生田は動けずに
立ちすくんでいた。
「…ちくしょう、何でだよ。何でこんな風になっちゃうんだよ!?」
米花は握りしめていた拳銃を、思いっきり地面に叩きつけた。

もうすぐ今日が終わる。
まだ今日は終わらない…。
38松本@リレー版・466:01/10/09 01:16
校舎の外に出ると、グラウンドは静まりかえっていた。
幽霊か何か出てきそう。きっと血塗れたこの島には今も彷徨ってるひとたちが
たくさんいるだろう。松本はごくりと唾を飲み込んだ。
(俺たち、きっとみんなに恨まれてるもんな)
一瞬だけ逡巡して、でも、斗真が危ないということを思い出し、乾いたグラウンドに
ざくりと踏み出した。そのまま走り出す。
上着のポケットには、二宮が作った自作のガス爆弾。二宮が、これ貰うからと
言って自分のうがい薬を勝手に持っていってしまった時は何をするのかと思った。
だけど、もしこれが効かなくても、秋山に体当たりしてでもくい止めて斗真を
逃がしてやる。
殺されるかもしれないよね、俺。
でも足は止まらなかった。
俺は何も出来ずに死ぬのが怖い。何も出来ないまま友達が目の前で死んでいくのを
見るのが辛い。それ以外はもう何も怖くない。全然怖くないよ。
(だから、無事でいろよ、斗真!)
東の、トンネルへと続く道を一気に駆け抜ける。
向こうに、人影が小さくぽつんと見えた。誰だろうと目を凝らして、松本は硬直した。
血まみれの秋山が肩を抑え、日本刀を片手にふらふらとこちらへ歩いてくるところだった。
嫌な予感に背筋が凍る。まさか。
(斗真は?)
秋山も立ち止まり、意外なものを見るように松本を見た。そのまま数十m離れて
見つめ合う。松本はポケットの中の二つの瓶をぐっと握りしめた。
どっち、どっちが風上だ? こんな距離で、威力あんのかな、これ。
でもその前に確認しなければならないことがある。
「…斗真はどうしたんだよ」
「松潤、大野くんて、どうして死んだの」
返事の代わりに全然関係ないことを問いかけられて松本は驚いた。
「大野くんさあ、嵐のリーダーでしょ。どうして死んじゃったの。リーダーだったら
最後までみんなを守る義務あるんじゃないの。先に死んじゃうなんて、ズルいよね」
「ズルくなんかない!」
かっとなって松本は言い返していた。
何も知らないくせに。大野くんが何を考えて死んでいったか全然知らないくせに。
俺たちに何を残していってくれたかも知らないくせに。
そんな言い方は許せない!
秋山は、そうなんだ、と拍子抜けするほどあっさり呟いた。
「じゃあ、やっぱり、俺が、間違ってたの、かな」
大野くん、ちゃんと最後までリーダーだったんだね。
途切れ途切れ、苦しそうな呼吸音を間に挟みながら呟く秋山に、松本は眉を寄せた。
秋山は顔を上げると、生田くんは生きてるよ、と言った。
「本当に?」
「心配なら、見に行ってあげれば」
言われなくても見に行くつもりだった。様子のおかしな秋山は気になるけれど
斗真のほうが心配だった。松本は、秋山と距離をとってそろそろとすれ違うと、
そのまま駆け去っていった。

残された秋山はしばらくぼんやりと突っ立っていたが、そのうちがくりと地面に
膝をついた。荒い息を繰り返す。目の前が時々ぼうっとかすんだ。
大野くんは最後まできちんと大野くんで、リーダーで、死んだんだね。
俺、一体何やってるんだろう。間違ったことをしたとは思ってないのに、こんなに
苦しくなるのは何故だろう。
(俺、MA好きだったのにな)
今まで忘れてたそんなことを、唐突に思い出した。
肩を抑えた手がぬるりと滑る。米花には急所ははずれてると言ったけど、出血がひどい。
このまま死ぬのかと思った。
それなら、ずっといい奴で貧乏クジ引いて、それで死んでいってもよかったのに。
そう思いながら秋山は、地面に崩れ落ちて意識を失った。
>37から

「斗真…ヨネ…」
すっかり息が上がって苦しげな屋良の声が聞こえて、秋山の消えた方向を
見つめたまま動けずにいたふたりは慌てて振り返った。
「…大丈夫?!」
斗真は木に縋りつくようにして近付く屋良に駆け寄り、
シャツを捲り上げて傷を確かめた。
とりあえずひどい出血は見られなかったが、屋良の体はかなり疲労しているようだ。
「ごめん…心配かけて」
屋良は心配そうに自分を見上げる斗真に、申し訳なさそうに言った。
米花が走り去った後、どうしてもそこでじっと待っていることが出来ず、
屋良は高台になった場所から滑り降りた。
間に合わないのはわかっていた。
ここで待っている方がいいことも。
それでも動かずにはいられなくて、ゆっくりと米花の後を追った。
木々を支えにしばらく進むとトンネルの方向から銃声が聞こえた。
痛む脇腹を押さえながら屋良は必死で歩みを進めて来たのだ。
「屋良っち…待ってろって…」
「うん…ごめん……ね、アッキーは?」
銃声が聞こえた時、もうダメかと思った。でもここに秋山の姿はない。
米花は先程の秋山とのやりとりを屋良に話して聞かせた。
話を聞き終わって、屋良は表情を曇らせた。
「…ヨネ…どうする?今何がしたい?」
変な訊き方だと思った。
それでもこれからのことを考えなくてはならないのは確かだったので、
米花はまずするべきであろうことを口に出した。
「すばるを探そう」
「そうだね…じゃ、すばるのこと頼むよ」
「屋良っち?」
「オレはアッキーの後を追う。会いたいんだ。会って話がしたい」
そう言ってまっすぐに自分を見つめる屋良の目を見て、
何を言っても聞かないだろうとわかったが、黙って行かせるわけにはいかなかった。
「屋良っち…アッキーに会うのは危険だって…」
「わかってる。大丈夫、オレだって死にたくなんかないから」
武器だって持ってるしね。
と、米花にもらった拳銃をポケットから取り出して見せた。
それを使う気なんかないのは明らかだったが、
米花はそれ以上言う言葉が見つからなかった。
「オレも一緒に行く…学校まで行きたいんだ…さっきは慌てて逃げちゃったけど、
あいつらとちゃんと話がしたい。学校から出て来てくれないかもしれないけど…」
ふたりの話を黙って聞いていた斗真がそう言って、屋良に手を差し出した。
その手を取りながら、
「今やりたいことをやらなきゃな。後で後悔するのはイヤなんだ」
屋良は米花をまっすぐに見つめたまま言った。
やりたいことをやろうと、この島で最初に会って別れた時に言った。
いつだって自分の気持ちに正直でありたいと、そう思った。
遠目から見てもあの一団に間違いはなかった。
心臓がこんなにも速く鳴る。
1.2.3…。
「斗真っ!!」
自分でもビックリするくらい大きな声が出た
走り出す足は軽やかだった。
屋良っちにパナ。斗真。3人とも肩で呼吸をするくらいに疲労をしている。
ビックリしたような眼差しが自分に突き刺さるのがわかる。
やっと…やっと会えた…。
次の瞬間、スローモーションのように斗真の細身の体がグラリと揺れ
地面にドサリと音を立てて沈んだ。
「え・・・?」
その場にいた誰もが顔を見合わせた。
屋良は走りよってきた松潤が銃で斗真を撃ったのだと瞬時に考えた。
米花は毒?射撃を考えた。
飛んできた松潤は斗真を抱き起こした。
「どうしたんだ、おい、斗真!ナニやってんだよ!!」
激しく斗真の体を揺さぶる松潤を横目に米花は大声で松潤を制した。
先ほどから脂汗が滲み出てる斗真の額にもっと早くに築きづいてやればよかった。
「どうした、斗真。苦しいのか?どこが?言ってみろ」
米花は斗真の着ていた衣服を緩めながら抱きかかえた
斗真は肩眉をゆがめながら
「息苦しいや・・・」と苦笑した。
「肋骨だ・・・」と呟いた米花は興奮している松潤に説明を与えた。
秋山に蹴られて肋骨が折れていることを・・・
43集計1:01/10/09 01:24
>7 436(風間@斗真を探そう)
>8 437(提箸@ひとり灯台をあとにする)
>9-10 438−439(嵐@相葉・二宮・松本それぞれの仕事)
>11 440(嵐@二宮・相葉、連絡方法)
>12-14 441−443(嵐@松本、腕輪を屋上に&黒幕とのこと)
>15-16 444(萩原@クマさんの伝言by提箸)
>17 445(嵐@桜井、俺たちまだ戦えるよ)
>18-19 446−447(嵐@秋山接近?)
>20 448(米花&屋良&桜井@アッキーは危険?)
>21-22 449−450(嵐@ひとりじゃない)

>23-24 451−452(米花&屋良&渋谷&生田@バラけて逃げる)
>25-26 453−454(生田@秋山と遭遇)
>27 455(生田@斗真手ぶら?)
>28-29 456−457(嵐@斗真が危ない!)
>30-33 458−461(秋山@生田を追い詰め、米花現る)
>34-37 462−465(秋山&生田&米花@秋山VS米花)
>38-39 466−467(松本&秋山@リーダーって)
>40-41 468−469(生田&米花&屋良@学校まで行きたいんだ)
>42 470(生田&米花&屋良&松本@松潤現る)

「肋骨、肋骨折れてるってそれ、ヤバイんじゃねえの?」
「ヤベえよ!」
屋良に怒鳴り返した米花の腕の中で生田は、とりあえず息は出来ている
ようだったし、血を吐いたりということもない。おそらく複雑骨折ではなく
ヒビが入っているだけだろうと米花は思ったが、呼吸をするたびに眉を歪めて
うめく生田は相当苦しそうに見える。
「とにかく、動かしたら駄目だよね」
「そうだな、あと、なんとか固定して、無理なら冷やして…松潤!」
「あ、え?」
混乱している松本の肩を叩くようにして正気に戻すと、米花は、なんとか
安全な場所に生田を運べないかと問いかけた。
「わ、わかんない。無理じゃないかな。学校は、駄目だし…」
「じゃあ、あれば、アイスノンか何か。それと痛み止め」
松本は何度も頷いて、心配そうに生田を振り返りながら走って学校のほうへ
戻っていった。
なるべく胸を動かさないように気をつけながら、そっと道の端の木の陰に
生田を仰向けに寝かせて、米花はとりあえず屋良の傷を手当てした残りの
サラシを取り出して、迷った。
 

肋骨の骨折って、どうやって固定すればいいんだ?
下手にいじらない方がいいのかもしれないが、生田は息をする度に苦しそうだ。
要は骨折している部分が動かないようにすればいいのだろうと、生田に息を
全部吐き出させて胸がヘコんだ時に、締め付けすぎない程度にサラシを脇で
縛って固定をしてみた。
生田は、ちょっと楽になったよと笑った。辛そうなのに変わりはないが。
10分も経たないうちに松本が、両手にたくさんのサラシとタオル、アイスノン、
それに痛み止めを箱ごと抱えて走って帰ってきた。帰って来るなり、
「秋山くんが、倒れてるんだ!」
またこっちもパニックになったような声で言うから、米花は目眩がした。
屋良がすごい勢いで立ち上がり、どこ、と言うなり駆けだした。
生田は動かすわけにはいかないだろう。仕方ないから痛み止めとアイスノンと
レーダー、そして少しだけ迷って自分の拳銃を松本に残し、自分は傷薬とサラシ、
タオルやテープだけを持って米花は屋良を追いかけた。
なんだか今日一日ずっとかけずり回っているような気がする。
さすがの自分も疲労で足がもつれて転びそうになった。
(アッキー、それでも俺は、アッキーのこと信じてえよ。死んで欲しくねえよ)
すばるを探しに行くのは、これでは無理そうだ。
朝になって合流出来ればいいのだけれど。
そして、もう、誰も死ななければいいのだけれど。
 
>28-29 かな?

 門の向こうからものすごい勢いで松本が駆け戻ってきた。
モニターラックに張り付いた相葉が無事を確認する。
地図を広げて考え込んでいた二宮と桜井も安堵の息を付いた。
門の所を通りながら松本が声を上げる。
「斗真が肋骨やったみたい!あとアッキーも肩怪我して倒れてる!」
それだけ言ってフレームアウトした。
「あいつ、ここに戻ってこないつもりだな」
伝言板代わりにマイクを利用した事でピンときた桜井がしかめ面をする。
「早く禁止エリア決めて、状況把握しなくちゃ。対策立てようにもこれじゃあ…」
二宮は今にも松本を追って行きそうな桜井の頭を両手で掴んで地図の方に
ぐいっと向けた。
「はい集中集中。時間ないんだから。」
解ってるよと膨れてみせて、すぐに真剣な顔に戻る。
「まず最初に指定しようと思うのはG=03の分校があった場所。まず入るヤツは
居ないだろうけど、近くを通って何か落っこってきたりしたら危ないし。」
「そうだね。あとは人の居なさそうな所で…ここは?C=02。
北も東も禁止エリアだから潰しちゃっても問題ないでしょ。」
「じゃあ…6:00は…そのひとつ下のD=02にしとこうか。」
「だね。で、放送行きますか。」
「行きますか。死亡者はなし?」
だよね?と言いたげな桜井の様子に二宮が一瞬視線を逸らす。
「…誰」
「安田、丸山。」
その声に相葉までもが驚きの表情で二宮を見た。
「何で!?爆発では誰も死ななかったって松潤が」
「その後だよ。ちょうど翔君が外に出てる時にね。」
「…そっか…」
桜井はそう呟いただけで、誰かがやったのかなど死に方については一切聞かず、
禁止エリアと死亡者を書きとめた小さなメモを持ってマイクの所に向かった。
>46-47

「24:00です。2日目になりました。ここで新たな禁止エリアを発表します。
午前2:00はG=03、G=03。4:00はC=02、C=02。
6:00はD=02、D=02。そして確認された死亡者を発表します。
39番、安田章大君、40番、丸山隆平君の2名です。以上」
49提箸@リレー版・476:01/10/09 01:33
>8

ああ、駄目だ。この先は禁止エリアだ。
ものすごく眠くて、ただひたすら歩くうちに、萩原を殺せるだろうかとか
そんなこと以前に、基本的なミスを犯すところだった。提箸はしっかりしろと
自分を叱咤して地図を取り出した。自爆なんて、そんな死に方だけはごめんだ。
このまま道を進んだ先は東も西も軒並み禁止エリアに指定されている。
しばらく迷った。
道はないけど北西にこのまま進めば鷹野神社という神社があるらしい。
休むのにはちょうどいいかもしれないが、逆に先客がいる可能性もある。
どうせいつかは皆に会わなければならないとしても、こんな睡眠不足でくたくたの
状態で誰かに会いたくはなかった。かといって萩原を思うと、灯台に近いここに
このまま留まるのもなんだか落ち着かない。
…源五郎池だな。
とにかくそっち方面の森の中へ入り込み、適当なところで仮眠を取ろう。
地図を丁寧に折り畳み、そのまま藪をかき分けるようにして先へ進む。
ほどなく小さな池が見えてきた。水際ではないところに大きな木を見つけると、
見つからないよう繁った葉の下へ潜り込む。
しっかりと銃は握りしめたまま目を閉じた途端、キンキンとうるさいスピーカーの音。
「24:00です。二日目になりました」
嵐の放送だった。
提箸は、眠り込んでしまっていなかった幸運に感謝して禁止エリアを
書き留めると、ペンを握りしめたまま、今度こそ泥のような眠りに落ちた。
そして夢も見ずに眠った。
>45

屋良はまっすぐに松本の走って来た方向を目指した。
秋山のことで頭がいっぱいで、傷の痛みは忘れていた。
いや、すでに体が痛みに麻痺してしまっていたのかもしれない。
だが、まだ体力も回復しておらず、
半分痺れたような体でそのまま走り続けることは無理だった。
「あ…ッ」
踏み出した足は体重を支えることが出来ず、ぐらりと倒れこむ。
「……!?」
そのまま地面に叩きつけられるかと思った体は、腕を掴む手によって救われた。
「…走るなよ…ッ…」
疲労困憊といった感じで、屋良を捕まえた米花もそのまま一緒に倒れ込みそうになる。
そこをなんとか踏みとどまり、米花は屋良の肩を押さえて転倒を免れた。
しばらく口もきけず、互いに肩で息をしながら睨み合う。
「…離せよ…」
ようやく口を開いた屋良がそれだけを言う。
米花が自分のことを心配してくれていることもわかってはいたのだが、
どうしてもここで足を止めたくはなかったのだ。
「…待てって…」
米花が言葉を続けようとした時、すでに聞き慣れた音と共に24時の放送が入った。
桜井の声が告げる禁止エリアを頭に叩き込む。
それから、ここまで来てさらに増えた死亡者にやるせない思いを噛み締めた。
「行こう」
米花は屋良に背中を向けて肩膝をついた。
「ヨネ…?」
「…自分で撃っといて言えることじゃないかもしれないけどな…
オレもアッキーが心配なんだ」
「……」
無言で屋良は米花の背中を見つめる。
「リーダーが疲れたって言うんなら、オレたちメンバーが助けてやらなきゃな」
そう言った米花の肩が小さく震えている。
「そうだよ」
屋良は米花の肩をぎゅっと掴んで、力強く頷いた。
その屋良の声も震えていたのだけれど、それには気付かないフリをして
米花は屋良を背負って立ち上がった。
>50

秋山の意識はハッキリしているのかそうでないのかもわからない状態だった。
霞みがかった視界にはナニも写らない
生田にあんなことをするつもりはサラサラなかった。
あんなにも可愛がっていた後輩を足蹴にするなんて…と
フっとあの人の顔を頭に浮かべてみた。俺がきっと足蹴にされるだろう。
俺…死ぬのかな。
なんとか動かせる右手でGパンのポケットに入ってるライターを探りあてた。
これは町田くんのもの。
この間の収録んときに忘れていってずっとこのポケットに入ったままだった。
いきなりそんなことを思い出した。
走馬灯ってどういうこというんだろう。色んな過去の人とか家族とか出てくるのかな。
右肩に感覚がない。どうしたんだっけ・・・あ――ヨネ…。

誰かの足音がする。パタパタと小走りなのと重そうなのと。
遠いのか近いのかもわからない。

眠くなってきた。もう、眠ってもいいかな・・・原くん。
>51

「アッキー! アッキー!」
ふ、と意識が浮上して、体を揺さぶられる感覚に薄く目を開けると、すぐ目の前に
屋良の顔があった。驚いた。屋良は蒼白な表情で秋山の顔を覗きこんでいる。
「屋良、くん…?」
「アッキー、大丈夫かよ。寝るなよ。死ぬなよ!」
なんでここに屋良がいるんだろう。考える間もなく、その屋良をどけよと押しのけた
米花が、秋山の肩に乱暴にタオルを押し当てて止血しようと押さえ込む。
「ヨネ…なんで」
「勝手なことばっか言いやがって。何が致命傷じゃないだよ。死にかけてんじゃねえかよ!
畜生、他人だの引き金ひけだの、勝手なことばかり言いやがって…」
手早く秋山のシャツを脱がせて、弾丸が貫通していることを確認すると、タオルを
そのままに上から強くサラシを巻き付けて縛り、なんとか血を止めようと米花は苦戦して
いるようだ。なんでそんなに必死になっているんだろう。秋山は朦朧とする頭で考える。
『じゃないと、今度こそ殺すから』
あんなことを、言ったのに。
「俺なんか、手当てしても何もいいことないよ」
「何言ってんだよ!」
反対側から怒鳴ったのは屋良で、米花は答えずに黙々と止血をしている。
「知ってるでしょ。俺、何人も殺したよ、仲間を殺したんだよ」
「…聞いた」
「俺、いつお前らのこと殺そうとするか、わかんないよ。すぐさっきも俺、生田くんを
殺そうとした。また殺そうとするかもしれないよ」
「そしたら俺が何度でも止めてやる!」
屋良が怒鳴った。秋山は目を見開いた。

「そんなふうに言うなら、本当はアッキー、人を殺したくなんかないんだろ? ちょっと
おかしくなってただけなんだろ! そうなんだろ? 俺さ、今日、福原に殺されかけて逆に
福原を撃っちゃったんだ。そしたら福原言ったんだよ。ありがとう、って。止めてくれて
ありがとうって言ったんだ。俺はそん時全然意味、わかんなかったけど…やっとわかった。
福原は本当は人殺したくなんかなかったんだ。アッキーだってそうなんだろ!?」
屋良は何のシーンを思い出しているのか、ぱたぱたと涙をこぼした。
その水滴が秋山の頬を打つ。
秋山は困惑した。何人も仲間を殺してしまった自分はもう血にまみれて、どうしたって
それは拭えないと思っていたのに、屋良はそれでも生きろというのだ。米花は必死で自分
を助けようと肩の傷を手当しているのだ。
「もう俺、誰にも死んで欲しくねえんだよ、わかれよ、アッキー!」
屋良が叫んで、顔を伏せた。また泣いているのだとわかった。
本当は人を殺したくなかった、そうだろうか。そうかもしれない。ただ誰にも殺され
たくないと思っただけ。だったら、逃げ回ってるだけでも良かったのに。
なんで自分はあんなにたくさんの、人を殺したんだろう。
どうしてだろう。

まとまらない思考の中、すぐに次の屋良の言葉を聞いて、秋山は愕然とした。
「アッキー。翔くんが、今の状況なんとかしようってしてくれてるんだ。嵐も命令されて
やってたことで、だけど、もうやめたって。大野くんが突破口開いてくれて、それで、
みんなで戦おうって翔くん言ってた。もう俺ら同士で殺し合う意味ないんだよ。殺さな
くても大丈夫なんだよ」
信じたくなかった。
だってそれなら、これまで自分がやってきたことは。
一体、何。
秋山は片手を持ち上げて顔を覆った。体をねじる。屋良にも米花にも顔を見られたく
なかった。瞼の裏が熱い。指の間を水滴が滑り落ちる。
…今の俺見たら、原くん、呆れるだろうな。
大野くんも、町田くんも、笑うだろうな。
そうか、俺、弱かったんだ。臆病だっただけなんだ。
死にたくなかっただけなんだよ、俺。
ごめんね。
頭にかかっていた靄が晴れたように、初めて秋山は、これまでやったことを後悔した。
>54

「屋良っち、こっち支えてて」
傷を心臓より高い位置に持って来るために、
米花は秋山の右肩と頭を支えるように屋良に言った。
あぐらをかくように座って、屋良は後ろから秋山の頭を自分の太腿の上に乗せた。
米花は屋良にタオルの上から傷を押さえておくように言うと、
サラシを細く引き裂いて肩の付け根を強く縛る。
出血が治まるのを確認し、松本がくれた袋から消毒薬を取り出した。
それを見て、屋良は慌てて秋山の左手をぎゅっと握った。
「アッキー、ちょっと我慢しろよ?」
屋良がそう言い終わらないうちに、米花が消毒薬を傷に流し掛けた。
「…ぐうっ…う…」
痛みに逃げようとする体を米花は馬乗りになって押さえつけた。
秋山の爪が食い込む手の痛みに屋良は顔を顰めたが、
そのまま両手で抱きしめるように秋山の手を抱え込んだ。
焼けるような痛みに秋山の額に脂汗が浮かんでいる。
だが、その痛みの中、クリアになった思考はこの島に来てからのことを思い出していた。
「…し……だ…」
「アッキー?」
自分が島田に与えた苦痛はこんなもんじゃなかっただろう。
あの時、なぜあんなことが出来たのか。
島田のことも好きだったのに。
たわいもないことですぐに笑って…かわいい後輩だった。
他のヤツらもそうだ…みんなのことが好きだったはずなのに。
自分が殺した相手はみんなきっともっとずっと痛くて苦しかったに違いない。
そんな簡単なことに気付かないほど、恐怖で思考は麻痺してしまっていたのか。
いきなり実感を伴って襲ってきた現実に、後悔という言葉では言い表せないほどの
重みを胸に感じて、秋山はうまく息を吸うこともできなかった。
「アッキー!?」
息が出来ずに、痙攣を起こしたような秋山の様子に屋良が慌ててその頬を叩く。
「アッキー!!」
屋良が何度も呼びかけるうちにやっと目を開いた秋山に、
「ちゃんと息吸って…大丈夫か?」
米花は声をかけると縛っていたサラシを解いた。
血を止めたままでは腕が腐ってしまう。それがどれくらいの時間だったのか
忘れてしまったが、血の気がなくなる前に血を通わせないといけないだろう。
血色が戻ったのを確認して再びきつく縛る。
それを何度も繰り返す間、屋良は秋山の意識を繋ぎとめるために必死に話しかけていた。
やっと出血が治まった肩に、傷薬を塗った滅菌ガーゼを貼ると、
サラシを巻いてテープで固定する。
米花はそこで力尽きたように地面に転がり、空を見上げた。
「屋良っち…おまえの傷は?」
「大丈夫」
脇腹を触ってみて、屋良が答える。
秋山の呼吸もやや苦しげではあるが元に戻っていた。
「アッキー…」
呟くように米花が言う。秋山はそちらに視線だけを向けて答えた。
「ごめんな」
「ヨネ?」
米花の言葉に秋山は驚いた。いったい何を自分に謝るのか。
「撃ってごめんな」
間違ったことをしたとは思わないが、秋山を傷つけたことにかわりはない。
そう言って謝る米花に、秋山は泣きそうな笑顔を向けた。
「お人好しすぎるよ…」
「リーダーに似たんじゃない?」
屋良もそう言うと、笑顔を見せた。
誰がどんな罪を犯していたとしても、それを全て一緒に抱え込もうと思った。
オレたちは仲間だから…きっと何があっても。
57リレー版・484 前編:01/10/09 01:48
>44-45

 どうしよう。
松本は困っていた。
生田に痛み止めを飲ませたい。でも痛み止めって眠くなるんじゃなかったけか?
時間も時間だし、眠れるんなら寝た方が体に良い事ぐらい分かってる。
でもこんな所で薬の力で眠ったりしたら危ないよなあ。
安全な所ってどこにあるんだろう…。
「斗真」
痛み止めと生田の顔を交互に眺めては溜息をついていたが、
決めかねて本人に声を掛ける。
「ん?」
「痛み止めどうする?飲む?」
言われて生田も考える。飲んだ方がこの切れ目ない疼痛が和らぐだろうと思う。
でももしここで眠ってしまったら。
「うん…今、いいや」
「痛くない?」
「そりゃ痛いよ。でもさ、これ以上松潤のお荷物になりたくないんだよね。」
「お荷物なんて言うなよ」
松本は怒ったようにそう言ってそっぽを向いた。
そんな様子を見て生田は少し苦笑して、ゆっくり体を起こした。
58リレー版・485 後編:01/10/09 01:49
「…てて…」
痛みに顔を歪める生田を慌てて支える。
「横になってろって」
「ねえ、松潤。」
「何」
まだぶすっとした顔の松本に笑いかける。
「屋良っち達と、合流しない?」
「でも…」
「大丈夫。立てるし、歩ける。」
だからさ、と促してレーダーを覗き込んだ。
「あ、範囲が広くなってる。こんな事出来たんだ。」
「斗真は知らなかったの?」
「うん。いじって壊れちゃったら困るから。…ほら、結構近くだからさ、行こうよ。」
「…そうだね」
松本は先に生田を立たせると、手早く荷物をまとめて今度は肩を貸す。
しばらく迷ったが、銃はジーンズの尻ポケットに挿し込んで上からシャツで隠した。
「行こう」
>15-16

寝ようと思ったんだよ。
んで、横になって目を閉じかけた瞬間に寝ぼけてた頭が一瞬にクリアになった。
嵐の放送が入った。
「24時です・・・2日目になりました・・・か」
ひとりごちてため息を漏らす。
両腕でガッチリ抱いていたテディは汗で少し湿っていた。

『…次に会ったら、ちゃんと俺を殺せよ。俺もお前を殺すから』

頭のなかで何度も繰り返されるいっぺいちゃんのコトバ。
首を2・3度コキコキと鳴らして背中を壁際にくっつけてあぐらをかいた。
「やんなくちゃなんないかなぁ・・・」
ずっと抱いていたテディの背中のジッパー部分を軽くなで上げる。
レコーダーとはベツの堅い物体にそっと触れる。
「なんで、いっぺーちゃん、気づかなかったのだろう」
暗闇の中、自分が微笑んでいるのがわかる。自分でも何の笑みなのかもわからない。
「ねぇ、島田?ねぇ、島田…おなか空いちゃったんだけど、なんかなぁい?ねぇ…島田」
助けを求めるかのように、もしくわ呪文のように島田の名前を連呼する。
「これ、使ったらラクになれるのかなぁ?」
再び首をコキコキと鳴らせてウーーっと背伸びをした。
「あー踊りてぇ。…ってか腹減った。」
萩原は再びその場にゴロンと転がってテディを高々とかかげて暗闇の中、そいつに話し掛けた
「な、おまえの背中のチャック開けたときってどんなときの俺なのかな?
 ちゃんとに俺の言うことおまえ、聞いてくれるのか?
 俺がラクになるのと、俺もラクになるのって…意味全然違うんだけど、両天秤かけてもわかんないんだよ。
 なあ、聞いてる?」
フウ、とため息をついて
真っ白だったハズのお気に入りのシューズに足を通した。
60合流@リレー版・487:01/10/09 01:53

「屋良っち、ヨネ!」
呼ばれて二人が顔を上げると、生田と、その肩を支えている松本が近づいてくるのが見えた。
「斗真、お前大丈夫なの?」
米花が驚いた声をあげる。
息をする度やはり苦しそうに見えるが、それでも生田はなんとか3人の側までたどり
着くと、そこでやっと地面に座り込み、疲れたよぉと呟く。無理するからだろ、と松本が
怒ったように言った。
生田は、地面に寝たままの秋山を見てほっとしたように笑った。
「よかった、秋山くん、生きてたんだね」
秋山は黙って生田を見たが、答えず横を向いてしまった。皆が見る前でしばらく黙りこ
くっていた秋山は、小さく、ごめんね、と呟いた。
ごめんね生田くん、ごめんね島田くん、ごめんね橋田くん、ごめんね福ちゃん、ごめんね…。
泣きそうな声で呟き続ける秋山の背中を、もういいから寝ろよ、と少し乱暴に屋良が押
した。黙ってそれを見ていた米花が、はっとしたように生田の方を見た。
「そうだ、斗真、お前も寝ろよ。痛み止めは飲んだか?」
「まだ。みんなに合流出来るまで寝ちゃまずいと思って」
「じゃあ飲んで、寝ろよ。体力回復しなきゃ何も出来ねえよ」
松本が慌てて痛み止めの箱を取り出して表示を確認し、15歳以上一回3粒、と呟きながら
生田の手のひらに錠剤を数えて乗せる。
「アッキーのぶんと、屋良のぶんも」
「待てよ。みんな寝ちゃったら危ねーんじゃねえの?」
慌てて屋良がストップをかけたが、米花はいいからと水のペットボトルと錠剤を屋良に
渡そうとする。
「俺が見張ってっから」
「だってヨネだって一日走り回って疲れてんじゃん」
「うるせー、怪我人は大人しく寝ろって」
そんな屋良と米花の言い争いに終止符を打ったのは松本だった。
61合流@リレー版・488:01/10/09 01:54

「俺が見張ってるから、みんな寝てよ」
松本にしてみれば、罪悪感を少しでも軽くするために、それぐらいのことはしなければ
気が済まない。みんなが苦しんでいる時に臆病に学校の中にこもり、カップラーメンを食
べ、
仮眠も取っていた。翔くんも皆も優しかった。そんな自分がひどくずるく思えて仕方ない。
何か自分に出来ること、それをさせてほしかった。
お願いだから寝てよ。
もう一度松本が辛そうに呟いた。そんな松本の思いを理解したのかどうかはわからない
が、屋良と米花は頷いて、頼んだ、と松本の肩を叩いた。
信じて、そう言ってくれた。
米花以外の3人は薬で痛みが和らいだのか案外すぐに眠りに落ちて、米花も疲れ切った
体は正直で、目を閉じてすぐ寝てしまったらしい。
松本は固まって眠る4人の側で、右手にレーダー、左手に銃を握りしめ膝をたてて座った。
学校にいる皆は少し心配するだろうけど、4人が生きて一緒にいるのを見て、自分もそこに
いると推測してくれるだろう。
きっと今この瞬間にも桜井はどうやって皆を助けようかと考えているはずだ。可能性な
んてゼロに近いかもしれないけど、絶対に諦めないで必死で考えているはずだ。二宮と相
葉もその側で、桜井を支えているはず。
朝になったら、すばるを探して皆で学校へ行こう。
そして皆で、戦うんだ。
そのまま松本は微かに光るレーダーの画面を、じっと見ていた。
10の>384のつづき

先程の爆発が嘘のように、静寂と闇が広がっていた。
風間が逃げたあと、しばらく部屋で立ち尽くしていた五関だったが、
やはり椅子でぶつけた頭が痛く、座り込んでいるうちに、
拳銃を抱きしめたまま眠ってしまっていた。

夕方のような訪問者も無いまま、五関は眠り続けた。
そして時折眉間にしわを寄せる。
五関の唇が小さく動いた。

僕はまだ、死にたくないんだ。

悪夢のような一日がもうすぐ終わる。
悪夢のほうが夢の分だけ、まだましかもしれないけれど。
そして。

ピンポンパンポ〜ン

悪夢のような一日がまた始まった。
まだ終わらない。いつまで続くのだろう。

…教えてよ、俊太くん。
頬に一筋、涙が曲線を描いた。
10の>661のつづき

午前0時の放送を、森は平瀬村の民家の中で聞いた。
死亡者として安田と丸山の名が読み上げられた。
罪悪感はない。そう、出会ったヤツは殺すだけ、だ。

分校から村まで下りてきたのはいいが、やはり背中の傷が痛かった。
休めるところを探そうと、先ほど五関と遭遇したのとは別の集落に向かい、手頃な場所を探した。
そして今ここにいるのだが。
追加の禁止エリアを書き込むと、森は地図を睨み付けた。
「…これじゃ使えねぇな」

家に上がる前に、庭先でスーパーカブを見つけた。
メーターを見るとまだガソリンが残っているようだったので、
一応と思いキーを回すと、思いもかけずエンジンがかかった。
移動の足になるかと思ったが、今、放送で指定された禁止エリアのことを考えると、
あまり使い道もなさそうだ。
せいぜい逃げ足くらいにはなるだろうか。

何人参加している(させられている)かはわからないが、もう残りもそんなに多くはないだろう。
あと何人出会う? そして何人殺ればいい?
絶対に最後の一人になってやる。俺は死なない。

それにしても、背中の傷が痛む。
「ああ、ちくしょうっ!」
森は持っていたペンを壁に投げつけた。
64リレー版491@風間:01/10/09 01:58
>7の続き

斗真を捜して当ても無く彷徨っていた風間は、自分が仮眠をとった山の麓あたりにいた。
左手には禁止エリアのホテルが見える。
ということは、だいぶ学校に近づいたってことだ。
風間が更に緊張を高めた時、それを嘲笑うようにチャイムがなった。
憎々しげに虚空を睨みつけていた顔が、放送が進むにつれ硬く引き攣っていく。
「死んだ・・・・・・?嘘だろ・・・・・・・」
自分が助けたと思っていた安田と丸山の名前が呼ばれた。
ゆっくりと頭の中に浸透してくるその事実に、風間は思わず唇を噛み締めた。
無意識にたてた歯は、薄い皮膚を破って口中に独特の血の味が広がる。
風間の震える指がそっと唇に触れた。
「温かい・・・・・・・」
同じだ。
みんな赤い血が流れてる。
ちっとも変らない。
それなのに。
なぜ殺す?
なんで、みんなこんな簡単に死ぬんじゃうんだよ。

・・・・・違う。
「俺が殺したんだ」
中途半端に助けた気になって、何かできるって本当に思ってたのか。
何もできてない。何もやれてない。
みんな俺の前で、すリ抜けるようにただ死んでいく。
宮城も。
イットも。
安田も。
丸山も。

疫病神だ、俺は。

風間はその場にしゃがみ込むと、熱病にでも侵されたようにただ震え続けていた。
痛みに濡れた宮城の目が、ガラス玉のように見開かれていた伊藤の瞳が、
まるで自分を責めているようで怖かった。

ごめんなさい。
ごめんなさい。
俺は、ただの臆病者です。
>23からかな。

東へ、東へ。まっすぐ、まっすぐ。
走って来たつもりだったのに。
「あれ…?」
海が近いのだろう、波の音が聞こえてくる。
それはいいのだが、聞こえてくる方向が問題だった。
「なんで左から聞こえんねん」
まっすぐ行ったら海だから気をつけて。と斗真が別れ際に言った。
すばるはその場にしゃがみこんでリュックの中から、
くしゃくしゃになった地図を取り出した。
しばらく地図をあっちに向けたり、こっちに向けたりと格闘していたが、
「あ〜もう、わからんっちゅうねんッ!」
大きくため息をつくと地図をリュックに突っ込んだ。
下手に動くと禁止エリアに近付くことにもなりかねない、ということだけはわかった。
海に近付くのは危険。南に行くのも危険。
だけどどっちが南かなんてわかるわけがない。
途方に暮れていた時、遠くから銃声が聞こえてきた。
「…!?」
斗真は銃を持っていない。
米花と屋良のことはわからないが、秋山の武器も何か聞いていない。
誰が撃ったのか、誰が撃たれたのか。
すばるは踵を返すと音の聞こえた方を目指して走り出した。
木々を掻き分けて進むと、ふと目の前に横たわる人影が目に入り
すばるはぎくりとその足を止めた。
木の影からそっと窺ってみるが、動く気配はない。
どくんどくんと心臓の音が響いてくる。
…死体や。
こんな狭い島の中ですでに何十人もの人間が死んでいるのだ。
横山、大野、町田、すでにいくつもの死体を見てきた。
それでも慣れるなんてことがあるわけがなかった。
そっと近付いて覗きこむ。
「…福原…」
仰向けに寝かせられ、両手は胸の上で組まされている。
その死に顔は安らかで、幸せそうにも見えた。
福原の死はすでに放送で知っていた。それでも。
「福原」
応えるはずがないのに、いつもの調子で呼びかけてみた。
その時、調子の外れた音が聞こえ、24時を告げる放送が入った。
斗真の名前も米花と屋良の名前も呼ばれず、無事だったのだと安心した。
が、それよりも死亡を告げられた丸山と安田の名前に愕然とする。
「…おまえらもおったんか…」
いきなり体中の力が抜けたような気がして、ぺたりとその場に座りこんだ。
どうしてもこれ以上動く気になれない。
座りこんだまま、木々の隙間から見える夜空を見上げて、
すばるは長い長いこの一日を思い出していた。
最初はなんだかわからなくてとにかく誰かに会いたくて走りまわった。
最初に翼と横山に出会えたのはきっとものすごくラッキーだったのだろう。
それからはずっと誰かが一緒にいて…。
今、ひとりきりになったすばるは、急に大きな孤独と不安を感じはじめていた。
ぎゅっと自分の体を抱きしめて、横たわる福原を見る。
ヒナと3人でよう遊んだよな…。
自分たちが東京に出て来てからは、会う機会も減ってしまったけれど。
懐かしい思い出が次々と浮かんで来る。
「ヒナぁ…さっさと探しに来いやッ!もうどっちに行ったらええかわからんわッ!」
それが不可能なこともわかっていて、やつあたり気味に叫んだ。
ヒナもヨコも翼も福原もマルも安田も勝手に先に死んでもうて…。
このまま斗真たちとも会えないのではないか、とそんな不安に押し潰されそうになる。
俯いたすばるの頬を伝って、涙がぽたりとその膝に落ちた。
67嵐@リレー版494:01/10/09 02:03
「どうしょうもねえよな」
マイクのスイッチを切って振り返った桜井は、随分と暗い表情をしていた。
うまく丸山と安田を救えたつもりでいたのに。
よかれと思って必死で知恵を振り絞っても裏目に出る、無駄になる、そんな経験はひどい無力感に繋がって。
死亡者の名前を一人読み上げるごとに、桜井は絶望が忍び寄る音を聞いてしまう。
こんな弱い自分が果たしてあんな大きな黒幕相手に立ち向かえるものか。
もしかしたらみんな無駄なんじゃないのか。こうして自分が、松本が、二宮が、相葉が、米花が、屋良が、
生田が、渋谷が、足掻いているこの瞬間すら、無駄なんじゃないのか。
相葉がすたすたとそんな桜井に近づくと、いきなり両手で桜井の頬を挟むように叩いた。
ぱんっ、と結構派手な音がした。桜井が驚いて相葉を見返す前で、相葉は、
惚けてる場合じゃないよ、ときっぱり言った。
「今俺らがしなきゃなんないことはそんなんじゃないんだから。
悔やんだり暗くなったりそんなんじゃないでしょ。
俺らは今できることをやるしかないんだから」
桜井は目を覚ましたみたいにまばたきをした。
二宮が、少し離れたテーブルのところから無言でぱちぱちと拍手を送る。
相葉くんサイコー、と適当な応援まで飛んできた。
「はい、桜井さん目ぇ覚めたとこで、相談行こうか」
「あれニノ、松潤は?」
「多分、斗真たちと合流して、5人で一緒にいるんじゃね?」
「5人?」
「アッキーも、斗真と屋良っちとヨネと、一緒にいるよ」
相葉の問いに二宮はモニターを指さし、多分松潤もそこだ、と簡潔に説明した。
68嵐@リレー版495:01/10/09 02:03

「他に目立った動きはないよ。すばるは東へ逃げて一人。風間も一人で、萩原と提箸も
一緒に行動してたけど別れたみたいだし…五関と森がちょっと近いけど、あまり動く気配
もなさそう。…そこでだ、翔くん」
「何だよ」
「今のうち、町田くんの、首輪」
大野が残した、もう一つの選択肢。
「町田くんの首輪からデータを取ろう。全員は無理でもとりあえず斗真と屋良っちとヨネ
と…あのあたりの首輪だけでも外して、あとはそれから考える、そうしましょ。あんまり
デカいこと一気に考えっと混乱すんのよ誰でも。だからちょっとずつ進もう」
オーケイ? と二宮が手のひらを桜井に向けた。
桜井はしばらく黙っていたが、少しだけ笑って頷くと、その手をぱしんと叩き、無言で
工具をかき集め、善は急げとばかりに外へ飛び出していった。どこから持ってきたのか、
懐中電灯を片手に相葉が桜井の後を追う。その背中に気をつけろよと声をかけておいて、
二宮はモニターに向き直った。
やはり緑の点は誰も動こうとはしていない。
当たり前と言えば当たり前だ、もう真夜中。誰にだって休憩は必要。
二宮はしばらくぼーっとしていたが、やがてゆっくり手を伸ばしキーを叩いて、学校よ
り東、4つ固まっている光点の一つ、秋山にくっついている『まんまん』印のバルーンを消
した。きゅっと固まった4つの光点。真実はまだわからないが、そうであってほしいとい
う祈りをこめた行動だ。
二宮は小さく欠伸をしたが、寝られるわけがない。
今は自分も全力で頑張らなきゃダメな瞬間なんだとわかっていた。
 
69嵐@リレー版496:01/10/09 02:04

どたばたと音をたてて相葉が駆け戻ってきた。
振り返った二宮の前で、桜井のノートパソコンに駆け寄って、ばたばたとコードを抜き、
CD-ROMも片手に持ってまた出ていこうとする。
「どしたの?」
「町田くんの首輪学校の中持って入れないじゃん。爆発すんでしょ。だから、もう町田
くんの側でそのままデータ取る、って翔くんが」
「外せたの? 首輪」
相葉は無言でびっ、と親指を立てて見せた。
「ちょっと時間かかるかもだから、なんかヤバかったら知らせてね」
言い残した相葉がまた外へ飛び出ていった。
二宮はモニターに視線を戻す。
このまま朝まで画面とにらみ合いだ。
 
70爆発@リレー版497:01/10/09 02:05
いきなり部屋の中に響いた軽い電子音に、二宮は驚いて肩を揺らした。
電話。
あの男からだ。
一体何の連絡だろう。そんなもの、良い知らせでないことだけは確かだから取りたく
なかったが、どうしょうもない。二宮は急いで立ち上がると数歩進んで受話器を取った。
「…はい」
「その声は、また二宮くんか。他の三人はどうしてるんだい?」
「仮眠を取ってます」
「君は徹夜ってわけか。働き者だね」
「あんたに言われたくないですよ。用件は何ですか?」
不機嫌さを隠さない二宮に、男はくっくっと声をたててひとしきり笑った。
笑い声が不愉快で、電話を一度叩き切ってやろうかと二宮が考えた、その時だ。
「やり方が生ぬるい」
いきなり低い声で吐き捨てるように男が言った。
「禁止エリアの決め方一つ取ってもとにかく芸がない。楽しませてくれないね。大野は
勝手に死ぬ、さっきの放送でも「花火」なんてヒントは口にする。こちらの言ったこと
は平気で破っておいて、全く使えない進行役だ。失望したよ」
「…そんなの俺たちを進行役にした時点でわかってたはずだろう」
「他人の犠牲を気にしているようでは、所詮三流にしかなれない」
「何言ってんだあんた」
「ジャニーズ事務所はもう終わりだ、だから俺たちが引導を渡してやろうと言うんだ。
幸い一日目にしてはハイペースで人数は減っているようだし、あとは勝手に殺し合って
一人になるだろう。進行役は、もう必要ないな」
「…待てよ」
二宮は眉を寄せた。
一人で悦にいったように話し続ける相手の言葉が理解できない。
説明しろと言葉を唇に乗せようとしたところで、
「君たちは、もう要らないよ」
あっさりと男が言った。
71爆発@リレー版498:01/10/09 02:06
直後、轟音が二宮の鼓膜を震わせる。部屋中の電気が一斉に消えた。
どん、と突き上げるような衝撃に体が一瞬宙に浮き、二宮は無様に床に転んだ。
暗闇。何が起きたのか一瞬わからなかった。
が、ぱらぱらと天井から降る埃に咳こみながらすぐ二宮は悟った。
腕輪だ。
松本が4人分まとめて屋上へ置きに行った腕輪が爆発したのだろう。ほぼ確実に、電話
の向こうにいるこの男の操作によって、だ。
思ったよりも強力だったらしい爆薬の威力にひやりとしながら二宮は、手から離れて
転がっている受話器をすぐ拾って耳に押し当てた。何も聞こえない。ツー・ツーという
音すら聞こえない。立ち上がって、倒れた椅子をかき分け手探りでモニターまで近寄
ったが、モニターはもう真っ黒な板でしかなかった。
「…電気まで、止めやがった」
暗闇の中で、どん、とキーボードに両手を叩きつける。
考えてみればもともと進行役なんて、禁止エリアを決めるのと放送を入れるくらいの役
割しかなかったものだ。おそらく禁止エリアも放送も、どこで高見の見物をしているか知
らないが、黒幕のあいつは自由に操作出来るのだろう。もしかしたら始めから、混乱は起
きない程度まで参加者の人数が減れば、進行役はもう不要だと言ってあっさり殺すつもり
だったのかもしれない。今のように。
つまり進行役の俺たちが足掻くことすら「ランダム因子」の一つに過ぎなかったんじゃ
ないか。あいつにとって俺たちなんてただの使い捨て出来る小道具に過ぎないってこと。
「ニノ! ニノ!」
廊下のずっと遠くから叫び声が響いて、二宮ははっとした。
「生きてるよ!」
怒鳴り返してがらんとした廊下に出た。走って、出口まで後少しのところで相葉の懐中
電灯の光を見つける。そのまま三人でグランドに出た。
「なんだよ今の!」
「あいつから電話あったんだよ」
「何て!?」
72爆発@リレー版499:01/10/09 02:06
二宮は二人に簡潔に電話の内容を説明しながら、今出てきた校舎を眺めた。電気が一つ
もついていないのっぺりした校舎はただでさえ不気味な様相を呈しているが、形だけはし
っかり長方形を保っていたはずのその校舎は今や、角を小さくえぐり取られ歪んだ形に変
わっていた。屋上のコンクリートの片隅が吹き飛んだだけで火事にはなっていないようだ
が、校舎のそちら側はいつ崩れるかわからなさそうだった。
ぱらぱらと三人の上に静かに細かな砂が降る。
吹き飛ばされたフェンスが校舎に近いグランドに深々と突き刺さっているのが見えて二
宮はぞっとした。4人分とは言え、洒落にならない威力。
「…とにかく、これが4〜5時間前じゃなくてよかった」
呟いた桜井の小脇に抱えられたパソコンを見て、二宮が、首輪のデータ抽出終わったの
と聞くと、ああと桜井は頷いた。
「そのパソコンも、バッテリー充電しといて良かったね」
相葉が言った。それにも桜井は頷いた。
ずっとモニターを眺め続けていた二宮は、参加者の誰がどこにいるかという状況が今は
もう把握できないんだという事実を恐ろしいと思った。やる気満々の人間の前に自分たち
が姿を現して、果たして説得出来るものだろうか。いや、説得出来る材料すら、今の自分
たちにはもうほとんどない。
「がんばろうよ」
相葉が不意にはっきりと言った。
「おう」
「…おう」
桜井と二宮は引きずられるように返事を返し、それでもしばらく校舎を眺めていた。
しばらく校舎を眺めていた3人だったが、二宮が不意に相葉の方に向き直った。
「…さて。ここで相葉ちゃんに問題です」
「え、何?」
桜井も、なになに?と二宮の顔を覗き込む。
「今、俺たちがおかれている状況を、20字以内で説明してください。制限時間は30秒です。はい!」
「え?20字? ちょっと待って。えーっと…」
あ、俺わかったかも。と呟く桜井を、二宮が、言っちゃだめ、と制する。
「はい、時間切れ。答えは、“俺たち4人は死んだことになっています”」
「あ、ホントだ20字じゃん」相葉が指折り数える。
「て、そんなことで感心してないで、相葉さん」二宮が少し苦笑いを浮かべる。
「いい?俺たち、死んだことになってるの、多分。腕輪吹っ飛んじゃったし。
 じゃあ、翔くんに質問。死んだことになっているメリットは何でしょう。制限時間は同じく30秒です。はい!」
「えーと、何をやっても、俺たちの仕業だと思われない!」
「はい、正解です」
あ、そうだねー。と相葉が感心したように声をあげる。
4人は、これで黒幕の支配下には置かれていない。自由に動くことが出来る。
「でも…」と、二宮が一呼吸置くと、桜井が横から口を挟んだ。
「黒幕がどう出るのかもわからない。でしょ?」
そう。黒幕がいつどうやって動いてくるか、わからないってことだ。
きっと禁止エリアも、容赦なく決められるだろう、
分校跡を爆破したように、いきなりどこかを爆破ってこともあるかもしれないのだ。
結局、相手の手のひらの上には変わらないのだが、でも。
いないことになっている俺たちがいる。
それはきっと、何かの可能性を持っている。そう信じたかった。
そんなことを3人で話し合っていると、相葉がポツリと呟いた。
「…ねぇ。松潤に知らせたほうが良くない? 俺たちの無事」
きっと、心配してるよー?あんな派手な音立てて爆発したんだから。と続ける。
「松本さんのこと忘れてた」
そう言う二宮に、桜井が、コイツひでぇ!と突っ込みを入れたが、
そこでふと、松本がどこにいるのかわからないことに気付く。
さっきの様子からすると、屋良・米花・生田や秋山と一緒にいるのだろうと推測は出来るが。
「そうだよ。ニノ、松潤、どこにいるっぽい?」
「多分ね、門を出て東に行ったところ。そんなに遠くはないはず」
本当に忘れてたわけじゃないよ?と言い訳しながら、
桜井の問いに二宮が答えると、相葉が、「じゃ、行って来る」と、駆け出そうとした。
「お前、マジ行く気?」
訊ねる桜井に、相葉は、行かなきゃでしょー?と答えた。だって、心配してるよ?と。
「危なくねぇ?だって、俺たち武器持ってないのよ?」と、桜井は言うが、
相葉は、「だーいじょうぶだって」と、妙に自信有り気な顔をすると、
二宮に、誰か近くに来てた?と訊いた。
「取り敢えず、最後にモニターを見た感じでは
 誰も近づいてきている様子はないから、しばらくは大丈夫だと思うけど」
そして二宮は、用心するに越したことはないけど。と付け加えた。
「じゃあ、行って来るよ」
「ホントに、手ぶらで大丈夫なのかよ?」と桜井は言うが、
今、誰も来てないんでしょ?大丈夫だよ。と、相葉は駆け出した。
気をつけて行けよー、と二宮が叫ぶ。ホントに大丈夫なのか?と桜井が念を押す。
多分大丈夫っしょ。でも今後のこと考えたら、連絡方法とか考えなくちゃね。
そう言う二宮に、桜井は頷いた。

校門の前には、大野と町田が横たわっている。
大野くん、町田くん、俺たち絶対二人の死を無駄にしない。
相葉は改めて心の中で誓うと、校門を出て東の方へ向かって駆け出して行った。
突然、どぉぉぉんと、音がした。
膝を抱えてレーダーをじっと見つめていた松本は、はっとして音のしたほうを振り返る。
学校のほうだ。学校のほうで爆発音。もしかして…
腕輪は、自分たちの拠点から一番遠くに置いてきたはずだけど、爆発の規模によっては…。
一瞬最悪の事態を考えて、血の気が引くのがわかった。

黒幕に自分たちがしようとしていることがばれてしまったのだろうか?
考えたくない。考えたくないけど。
それとも、まさか、町田くんの首輪を外そうとして失敗したとか?
イヤだ、それも考えたくない。

厭な考えばかりが頭の中をぐるぐる回る。
今すぐ飛んで行きたい気持ちに駆られたけど、
今、俺がしなくちゃいけないことは…、
傍らで固まって眠る4人を見遣る。そう。ここで4人の命を守ること。
大丈夫。翔くんも、ニノも、相葉くんも、きっと生きてる。

祈るように呟くと、松本はレーダーに視線を戻し、左手の銃をきゅっと握り締めた。
不意に今までのような間の抜けたチャイムとは違うクリアな、それでいて簡素な
ポーンという音がスピーカーから聞こえてくる。
続いてノイズなど全く入らない声が流れ出した。
「夜中に騒ぎ立ててすまないが、臨時放送を入れておく。
…今まで進行役をつとめてくれていた嵐の桜井以下4人を、たった今処分した。
これからは全ての指揮を私が取る事をここに宣言する。そして早く帰りたい君達に、
取っておきの情報をプレゼントしよう。現在生き残っている人数は全部で10名、
あと9名殺せば迎えの船が現れるという訳だ。
タイムリミットまで積極的に頑張ってくれたまえ。それでは」


 男はマイクのスイッチを切ると、楽しくてたまらないといった表情で笑い出す。
最初は小さなそれが次第に部屋一杯に広がる程の哄笑になった。
ひとしきり笑って満足すると男は席を立つ。
控えていた部下に新しい動きがあったら知らせるように命令し、
休むために部屋を後にした。
とりあえず休もうと思ったものの、しかし森の目は冴えていた。
五関が平瀬村から動いたのか動いてないのか、
またはやる気をなくしたのかなくしてないのか判らない。
そして風間は?うまく誘導して五関に殺してもらう算段だったが、
思ったとおりやはり放送で死者:風間の名は呼ばれなかった。
まだここにいるのか、いないのか。
もしかしたら五関を説得して結託したかもしれない。なんかあいつ、そういうの得意そうだし・・・。
眠っている間に、まだここにいるかもしれない&やる気かもしれない五関や風間にうっかり襲われるかもしれない。そんな情況で眠れる訳がない。五関と風間が片付いてからだ。
なにより、別に眠くはなかったし。背中の傷の痛みさえも、冴え渡る意識とともに引いて行くような気がした。感覚が研ぎ澄まされていく。人間、うまくできているものだ。
何気に律義に投げたペンを拾ったあと、マシンガンを抱えて二人を探した。
・・・いた。
五関だ。五関は、銃を抱き締めて眠りに落ちていた。
足音を決してたてないようにそうっと近付く。
涙の跡が頬に一筋。
悪夢でも見たのか?それともママが恋しいのか?くす。殺人者のくせに。

ガタンガタンガターン!!!!!
森は、五関が抱き締めていた銃をおもいっきり蹴り飛ばし、五関を押し倒すと腹のうえに跨った。そして額に銃口をあてる。
「こんばんわ、アンパンマンです」
・・・殺される。
目前に迫った死の恐怖に五関の頭は真っ白になった。
月夜とはいえここは家屋の中。しかし次第に暗さに目が慣れてきた。
「もっと喜べよ、切角お子様用の挨拶してやってんだぞ?」
その鋭い鷹のような目が笑った。・・・森。

五関の頭はただ真っ白だった。もはや走馬灯なんてものは浮かんでこなかった。
・ ・・俊太、くん。
言葉だけが浮かんできたが笑ってくれる宮城の映像はついて来なかった。
「ゲームオーバー」
引き金に手を掛ける音がカチリ、と
恐ろしいほどこの静寂に響いた。
「ばばばばばっ!!」
ところが来るべき恐ろしい衝撃は無く、森の楽しげな声が聞こえただけだった。
「まだ殺さねー」
「・・・?」
「聞くことは聞いてからじゃないとな。」
俺は気まぐれなんだ。返答には注意しろよ、と森はつづけた。
「風間はどうした?ここには来たのか?知らねー?」
「・・・・・・」停止した思考回路で答えられるはずも無い。
「殺されてーのかよ」
「・・・う、撃とうとした。何かが爆発して、びっくりしたら、逃げた。」
五関の頭が少しだけ回りだしたらしい。
拙い言葉だったが森は大体のことを理解した。爆発といえばアレしかない。
「そうか、、おまえ、やる気はまだあるのか?」
「・・・?」
「このゲームに生き残りたいかって聞いてるんだよ」
そうだ。僕は殺されたくない。生き残りたい。
「イエスか?ノーか」
「・・・イエス」
震えながら、しかしはっきりと五関は答えた。もう自分にはこれしかない。
満足そうに森はそうか、と言った。
「おまえにはもっと頑張って欲しいんだ」
森は馬乗りになっていた五関の腹を降りると、五関の拳銃とデイパックを拾った。
「もう離さないぜ、Baby?」
森は、五関に外に出るよう促した。勿論五関の荷物はすべて自分が持った。
「拳銃もメシも俺のものだ。ここにいたって死ぬだけなのはわかるよな?」
五関はこくんとうなずいた。
月明かりの下、スーパーカブが見えた。これに乗って移動をするらしい。
「うまく2ケツはできないだろうから、まぁせいぜいしっかりつかまってろ」
森は思った。月夜とは言え、移動するなら夜のほうが絶対お得。
うまくすれば寝込みだって襲えるかもしれないし。
あと10人。自分と五関を除けばとりあえず8人。
カブのエンジンをかけると五関が言った。
「どこに行くの…?」
嵐が処分された。あと誰がこの島にいるのかは知らないが、嵐と仲の良い奴らはきっと様子を見に行くだろう。夜に奇襲、朝になって待ち伏せ。どっちにしたっていい感じ。
来なかったらまた探せばいい。
そう。行き先は、中学校。
「しっかり捕まってろよ?妙な真似したら遠慮なく殺すぞ」
月明かりの下、森は首だけで五関を振り返るとヒャッヒャッヒャ、と笑った。
81集計2:01/10/09 02:16

集計1は、>43

>44-45 471−472(生田&米花&屋良&松本@生田、肋骨骨折)
>46-47 473−474(嵐@24:00の放送直前)
>48 475(嵐@24:00の放送)
>49 476(提箸@源五郎池畔にて就寝)
>50 477(屋良&米花@アッキーが心配なんだ)
>51 478(秋山@秋山の思考)
>52-54 479−481(屋良&米花&秋山@秋山の後悔)
>55-56 482−483(屋良&米花&秋山@MA治療中)
>57-58 484−485(松本&生田@屋良っちたちと合流しよう)
>59 486(萩原@萩原の一人旅)
>60-61 487−488(松本&生田&屋良&米花&秋山@合流)
>62 489(五関@24:00 悪夢のような一日がまた始まる)
>63 490(森@24:00 絶対最後の一人になってやる)

>64 491(風間@24:00 俺は、ただの臆病者です)
>65-66 492−493(渋谷@24:00 孤独と不安)
>67-68 494−495(嵐@生存者の現在位置/町田の首輪を外そう)
>69 496(嵐@町田の首輪解除完了)
>70-72 497−499(嵐@黒幕からの電話〜爆発)
>73-74 500−501(二宮&相葉&桜井@爆発後、校庭で)
>75 502(松本@爆発音を聞く)
>76 503(黒幕@臨時放送)
>77-80 504−507(森&五関@もう離さないぜ、Baby?)
82現在名簿1:01/10/09 02:27

嵐1.【自殺により死亡】大野智
嵐2.桜井翔 (二宮作のガス爆弾 屋良に渡しました) ノートパソコン
嵐3.相葉雅紀 懐中電灯
嵐4.松本潤 二宮作のガス爆弾 良知(生田→米花)の探知機 草野(秋山→米花)のピストル
嵐5.二宮和也 持ち出した記述はないが作成したガス爆弾は他にもあり

1.【自殺により死亡】町田慎吾 ジャックナイフ
2.風間俊介 (拳銃(小)五関に奪われました) 宮城の手裏剣 伊藤の全身タイツ
3.生田斗真 (拳銃(大)捨てました) (良知の探知機 米花に渡しました)
       (今井のボーガン 置いてきました) 今井達作の爆弾
4.【秋山により死亡】中丸雄一 拳銃
5.【牧野により死亡】横山 裕 ピストル
6.五関晃一 (ブーメラン、風間の拳銃 森に奪われました)
7.【牧野により死亡】良知真次 探知機
8.【屋良により死亡】福原一哉 鎌
9.【牧野により死亡】山下智久 マシンガン
10.萩原幸人 ダーツ1ダース(残11本) 亀梨のバタフライナイフ
       (秋山から中丸の拳銃 提箸に奪われました)
       赤西(→東新→亀梨)のクマのぬいぐるみ
83現在名簿2:01/10/09 02:29
11.【提箸により死亡】赤西仁 クマのぬいぐるみ
12.【福原により死亡】大堀治樹 例のゴム製品
13.【秋山により死亡】橋田康 香取慎吾の公認うちわ
14.【五関により死亡】伊藤達哉 全身タイツ
15.【今井により死亡】長谷川純 拳銃(小)
16.【爆弾により死亡】今井翼 ボーガン 村上の煙玉 自作の爆弾 町田のジャックナイフ
17.【長谷川により死亡】村上信五 煙玉
18.【秋山により死亡】田口淳之介 妻夫木聡の写真集
19.【牧野により死亡】石田友一 瓦10枚(残り9枚)
20.【山下により死亡】ジミーMackey 花火(山下→す・斗の爆弾に使われました)
21.提箸一平 手榴弾(残1個) 中丸(秋山→萩原)の拳銃
       懐中電灯・縄梯子他、灯台にあった使えそうなもの
22.【秋山により死亡】福田悠太 双眼鏡
23.渋谷すばる パチンコ 今井から長谷川の拳銃 横山のピストル 自作の爆弾
24.【秋山により死亡】島田直樹 日本刀
25.秋山純 爆竹10個 島田の日本刀
      (服部の太いロープ 落としました)(塚田の謎の液体捨てました)
     (草野のピストル 米花に奪われました)(中丸の拳銃 萩原に奪われました)
84現在名簿3:01/10/09 02:30

26.【自殺により死亡】辰巳雄大 ロープ
27.【五関により死亡】宮城俊太 手裏剣
28.【萩原により死亡】亀梨和也 バタフライナイフ 東新から赤西のクマのぬいぐるみ
29.【禁止エリアにより死亡】田中聖 調理用ハサミ
30.【五関により死亡】滝沢秀明 フリスビー
31.【牧野により死亡】小山慶一郎 エアガン
32.屋良朝幸 (ビニール傘 捨てました)米花のピストル 桜井から二宮作のガス爆弾
33.【牧野?福原?により死亡】内博貴 マッチ1箱
34.【山下により死亡】東新良和 糸付き5円玉 赤西のクマのぬいぐるみ
35.【牧野により死亡】上里亮太 お面(ぴ○ちゅー)
36.【爆弾により死亡】牧野紘ニ (銃 弾切れ) 山下のマシンガン
                 加藤から服部のカッターナイフ
37.森雄介 サブマシンガン(ウージー9mm) スーパーカブ
      五関からブーメラン(リュックごと全て) 五関から風間の拳銃
38.【森により死亡】上田竜也 ?
39.【森により死亡】安田章大 バレーボール
40.【森により死亡】丸山隆平 魔法のキノコ
41.米花剛史 (秋山から草野のピストル 生田から良知の探知機 松本に渡しました)
42.【牧野により死亡】加藤成亮 六法全書
43.【秋山により死亡】草野博紀 ピストル
44.【秋山により死亡】服部将也 太いロープ カッターナイフ
45.【秋山により死亡】塚田僚一 謎の液体が入った薬瓶
85現在状況:01/10/09 02:37

現在の状況
・参加人数42名+3名。
・35名死亡。(+進行役1名死亡)
・生き残りは10名。(+進行役4名)
・ゲーム開始から24時間以上が経過。
・残り48時間足らず。

禁止エリア
08:00・・・D−01(北西の海沿いの一角)
10:00・・・B−02(北の岬)、E−04(ホテル内のみ)
12:00・・・H−03(南西の海沿いの一角)
14:00・・・I=5(氷川村の左側)I=7(診療所周辺)
16:00・・・F=9、G=9(東の海沿いの道周辺)
18:00・・・I=4(南の海沿いの一角)I=6(氷川村中心部)
20:00・・・C=05(鎌石村消防分署周辺)D=05(鎌石小中学校西側隣接区域)
22:00・・・C=03(鎌石村役場周辺)
24:00・・・C=04(鎌石郵便局周辺)
2日目
2:00・・・・G=03(平瀬村分校跡周辺)
4:00・・・・C=02(北西の海沿いの一角)
6:00・・・・D=02(北西の川沿いの一角)
86生存者現在状況:01/10/09 02:38

桜井・二宮 校門前で首輪のデータ取得中
相葉 松本のところに向かう途中
風間 神塚山の麓あたりで思い悩み中
萩原 灯台から出て行くのか?スニーカーを履いたところ
提箸 源五郎池で爆睡中
渋谷 福原の死体の傍で泣いてます
松本 銃と探知機片手に見張り番
生田・秋山・屋良(鎮痛剤のため)と米花 松本の横で爆睡中
森・五関 平瀬村より学校に向かってスーパーカブにて移動中
87整理整頓:01/10/09 02:46

過去スレ >2
現在名簿 >82-84
現在状況 >85
生存者現在状況 >86

集計1 >43
集計2 >81
88リレー版・508 嵐1:01/10/09 02:50
>73-74 だったと思う。

 相葉が消えて行った辺りを何となく二人して眺めていたが、
やがて二宮が桜井の方を向いて口を開いた。
「さて、俺達も行きますか。」
「行く?」
「松潤達の所。せっかく首輪のデーター取ったのにここでパソコン抱えてたら
何の意味もないじゃない。バッテリーの持ち時間とか、俺達処分した奴の出方とか、
合流出来てない参加者の事とか、色々考えなくちゃいけない事は山積みよ?
出来る事からどんどんやってかなきゃ。」
「そうだね」
地図を頭の中に思い浮かべた。歩き出そうとしてふと桜井の足が止まる。
「ねえ、もう一度ここに戻って来れると思う?」
「ここって学校の事?」
「そう。見た所建物全部が倒壊しそうな感じじゃないし、
電気以外は生きてそうじゃない?残った部分をうまく使えないかと思って。」
「そうだねえ…」
「バッテリーのこと考えたら電源確保が一番重要なんだけど、スピーカーが
生きてるんだから絶対どこかに抜け道がある筈なんだ。首輪のある連中はまだ
入れないんだし、ここの電気が爆発の影響で切れただけなんだったら尚更、
ここは押さえておきたい。あと…」
「あと?」
桜井は唇の両端を引き上げて微笑みの形を作った。
「大野君のラーメン。火さえ起こせればお湯なんてどうにでもなるでしょ?
あれだって貴重な食料だよ。」
「…解った。戻るような方向で考えてみよう。」
いつまでもいびつな校舎を見上げている桜井を促して歩き出す。
89リレー版・509 嵐2:01/10/09 02:51

 どこだ?どこに居るんだ?
大人数だからすぐに見つかるだろうと高をくくっていた相葉は意に反して松本達が
見つけられずに焦っていた。
月明かりだけでは遠くを見透かす事が出来ない。懐中電灯をつける事も考えたが、
それが目印になって狙われないとも限らない。自分だけならまだしも、それによって
松本達まで危険に晒す原因になってしまったら。
「わっかんねえよ…」
泣き言を呟いてまた歩く。
いっそのこと名前を呼んでしまおうかと考えてはみるものの、
今ひとつ踏ん切りがつかなくて溜息をついた。

 …誰か来る。
張り詰めていた神経のどこかがちりりと音を立てる。鼓動が倍に跳ね上がり、
激しい緊張に包まれた。
じっとりと浮かんでくる汗で手が滑る。
握った拳銃を落とさないように力を込めた右手が滑稽なくらいに震えていた。
松本は全身を耳にしながら探知機に目をやったが新たな点はない。
探知機に出ない相手といって思い付くのは3人。
どうか自分の思った通りの人物であってくれ。
松本は眠っている連中が庇えるような位置に少しずつ移動しながら、
息を潜めて近付く相手を待った。
90リレー版・510 嵐3:01/10/09 02:52

 人の気配がする…ような気がする。
どこからともなく聞こえてくるひそやかな息遣いに相葉は神経を集中した。
絶対近くに誰か居る。そして相手も自分の事に気付いてる。
それはもしかしたら月明かりと風の見せる錯覚なのかも知れない。
だが相葉の中には揺るがしがたい確信があった。
だったらどうすれば良い?
立ち止まって息を吐く。躊躇したのは2、3秒。
「…よし」
手の中の懐中電灯を握り締めると目を閉じる。

 突然出現した丸い光に目を射られる。松本は一瞬顔を背け、それでも必死に
その出所に目をやった。
「…。」
絶句する。
懐中電灯の光が照らしていたものは。
「…相葉…ちゃん…」
これから怪談話でも始めるのかよ、と突っ込んでくれるのを待っているかのように
自分の顎の下から光を当てて立ち止まっている。
首から下は闇の中に溶け込んでいてまるで生首が浮かび上がっているようにも見えた。
松本は口を開けたまましばし固まっていたが、やがて小さく吹き出すと
後ろを気にしつつ立ち上がった。
「相葉ちゃん」
今度はきちんと相手に聞こえるように名前を呼ぶ。ぴくりと反応した相葉の生首が
きょろきょろと自分を探している。嬉しくなって足早に近付いた。
91リレー版・511 嵐4:01/10/09 02:54
「松潤どこ?」
「ここ」
相葉の空いている方の腕を掴むと勢い良く目を開ける。
途端に目を細めて懐中電灯のスイッチを切った。
「良かった。会えなかったらどうしようかと思ってたんだ。」
ほっとしている相葉を引っ張ってみんなの近くに戻る。
「みんな寝ちゃってるんだ。だから守ってないと。放送入ったって起きなかったんだよ。
…そうだ、さっきの放送何?何であいつが放送してんの?それから処分って?
爆発は何だったの?翔君とニノは?大丈夫なの?」
噛み付きそうな松本の様子にまあまあと肩を叩いた。
「ちょっと落ち付いて。翔君もニノも無事。電話で俺達もういらないって言われて
腕輪が爆発したの。でも松潤がちゃんと遠い所に置いといてくれたでしょ?
だから大丈夫だったよ。きっと心配してると思ったから一足先に俺だけ来たんだ。」
「町田君の首輪はどうなったの?」
「そっちもばっちり。」
「そっか、良かった。」
「あとはニノ達がここに来れるかどうかだけ。
もうね、俺見つけられないんじゃないかと思ったもん。」
「相葉ちゃん、すっごい捨て身の攻撃だったよね。
一瞬怖い話でもすんのかと思ったもん。」
「言うなよ、あれだって色々考えた結果なんだからね?」
「解ってるって。合流出来て良かった。」
「ほんと、良かった。」
二人は互いの顔を見て頷くと、残りの二人の到着を待つ事にした。
>65-66

福原の傍らでぺたりと座り込んでいた渋谷は、
動く気になれないままでいた。
孤独と不安に押しつぶされそうになりながら、
時には空を見上げ、時には俯き、
いろいろと思いを巡らせているうちに、
疲労と睡魔で意識が遠くなりかけた頃、
ポーンという音で現実に引き戻された。
これがさっき翔くんが言っていた黒幕か?と思う間もなく、
衝撃的なセリフが告げられる。

…何やて? 嵐の4人が処分?
「あかん!戻らな!」
学校に戻らなければ、と思った。
桜井の安否を確かめなければ、と思った。

それに、一人でいるのは、もう耐えられない。
斗真に会いたい、屋良に会いたい、米花に会いたい、…誰かに会いたい。
たとえ、途中で「危険なヤツ」に遭遇してしまうかもしれなくても。

渋谷は全力で駆け出していた。さっき来たはずの道を。
ざくざくと、落ち葉を蹴り上げる音を立てながら。
>91

松本と相葉は4人の傍らに戻ると腰を降ろした。
「あれ? それ、ひょっとしてレーダー?」
相葉が松本の持っていたレーダーを覗き込む。
「うん、そう。斗真が持ってた。…これ、誰のだっけ?」
「…確か、良知じゃない?」
武器リストを思い返しながら相葉が答える。そして、少し弾んだ声で、
「よかった。これがなかったら、誰がどこにいるかわかんねぇもん」と続けた。

「使えないの? レーダー」
「うん。電気使えなくなっちゃったんだ。さっきの爆発と一緒に」
松本の問いかけに答えた相葉が、
停まっちゃったのか停められちゃったのかわかんないけど、と付け足す。
「じゃあ、今、二人とも、どこに誰がいるかわかんないんだ?」
松本は心配そうな顔をしたが、
「ニノがぎりぎりまでレーダー見てたから、ある程度の場所は掴めてると思う。
今は誰も近づいてきてないみたいだし」という、相葉の言葉に安堵の表情を浮かべると、
「ほら、これが俺らね」と、レーダーの真ん中の4つの緑点を指差した。
きゅっと固まった4つの点。その隣には映っていないが、松本と相葉もいる。

かちかちっと松本がレーダーの縮尺を変える。
升目がぐんと小さくなり、画面には、赤点が散らばる。
そして、ここから南東に行った所に緑点がひとつ。
これがたぶんすばるで…、と言いかけた松本が息を呑む。
緑の点が走っているような速さで動いているが。

「何? どうかしたの?」
「すばる、禁止エリアに向かってる…」
94ユーは名無しネ:01/10/09 03:05
以上、避難所からお引越し完了。
頑張って続けましょう。
95ユーは名無しネ:01/10/09 04:10
うれしい!ごぐろうさまっす!
96ユーは名無しネ:01/10/09 07:19
長文をたくさん貼り付けたので、
このスレはちょっと早めに引っ越さないといけない、かも。
97ユーは名無しネ:01/10/09 12:02
>1
御苦労様です!
98ユーは名無しネ:01/10/09 18:35
次行きます
>80

「いやっほーっ!」
森の奇声が響いた。アスファルトではなく土を平たくならしただけの山道は凸凹が激しい。
時々盛大にバウンドし、そのまま転びそうになるところを森は器用に立て直しては、
フルスロットルで走り続ける。五関は下手に喋ると舌を噛みそうなので黙ってひたすら
森の背中にしがみついていた。
5分ほど走ったところで森はスピードを緩めて止まり、にやりと笑って五関を振り返った。
「生きてるか? ここから藪の中突っ切るぜ。乗り心地最悪だけど我慢しろよ」
ひゃひゃひゃ、と森は笑い、またスロットルを開いた。
ぐぉんっ、と一瞬前輪を浮かせて藪の中に入り込んだスーパーカブは、力強く走り続ける。
木の枝や草の端で剥き出しの手足が傷ついたが、森は気にしていない。
ひときわ派手なジャンプで木の根を飛び越えた時だった。
「五関ッ!?」
驚愕に顔をひきつらせた人影を、離れた木々の隙間に見つけた。
五関が声を上げるまでもなく森も気付いたらしい、派手なブレーキにバイクごとつんのめる。
森が素早く左手で持ち上げたマシンガンをそちらに向けるより早く、人影は慌てて身を翻して
暗闇に消えた。ぱらららっ、とちぎり取られた葉や枝の破片が宙を舞って視界を遮る。
森が舌打ちをした。
「森の中じゃー徒歩のがはえーだろうな。今のは…風間だな」
まあ、あいつ弱そうだしいつでも殺れるだろ、と軽い調子で言うと、森はまたマシン
ガンを担ぎ上げ、発車オーライ? と五関を振り向いた。
だけど五関は、風間の顔と宮城の顔が目の前にちらついて、返事が出来ない。
森の背中にしがみつく両手が、細かく震えていた。
「地獄のツーリングはまだまだこれからだぜ? 相棒!」
森は笑っている。
100ユーは名無しネ:01/10/09 19:26
お引越しおめでとうございます。
張りつけ職人さん、ありがとうございました!
これからも楽しみに待っています。
101ユーは名無しネ:01/10/09 22:38
引越し&コピペお疲れ様です。
職人様もロムラーさんも早く帰って来てくれると良いッスね。
102ユーは名無しネ:01/10/10 00:03
引越ししてくれた方々、おつかれさまでした。
またお話が進むようになるといいな。
103ユーは名無しネ:01/10/10 14:53
いやーーーーーん!!!!
大御所超かっこいいぃぃぃ!!!!!さーいーこーーーーー!!(微妙にスレ違い?)
考えてるうちに先の展開だけど。私もがんばるぞー!

お引越しお疲れ様です。ありがとうございました!!
104ユーは名無しネ:01/10/10 20:22
次行きます。
ひとつカタをつけようとしたら、ものすごく長くなってしまいました・・・
ごめんなさい、他の職人さま。
今のは五関と・・・森だ。
このまま行かせるべきか?
武器は何も無い。五関はやる気だ。次に会ったら殺すと宣言だってされている。
森は・・・はっきりとはわからない。
しかし森の言葉に従い、その五関にはちあわせた。宮城や・・・もしかしたらイットが、護ってくれなかったら死んでいたかもしれない。
そして今、2ケツなんかしている2人を見た。
森が五関を説得したのか?・・・いや。ほぼ間違いなくあいつは危険だろう。
俺は、とりあえず斗真にまだ会っていない。うつろな頭で先刻の放送を聞いていた。
嵐が・・・元MAINの仲間たちが処分された・・・
今、一番ショックを受けているのは間違いなく斗真だ。
伊藤はあんなことを言ったが、斗真はやっぱり斗真だから。
俺は、嵐のデビュー前から、あいつとずっと一緒にいたから、解る。
あいつの嵐好きも・・・もしかしたら素直にデビューを喜んであげられなかったことも。
なのにあいつは彼らの前では一度も、微塵もそんなところを見せなかった。本当は泣きたかったかもしれないのに・・・悔しくてたまらなかったかも、寂しくて仕方なかったかもしれないのに、相葉の前で、二宮の前で、松本の前で・・・いつだって、あいつは笑っていた。
力になれない自分が悔しかった。あいつは誰よりもコドモなくせに、なんだか誰よりもオトナだから。先輩ぶって、俺たちの前で・・・俺の前で、一度だってあいつは泣かなかった。
今、あいつは泣いているかもしれない。狂っているかもしれない。
今、傍にいてやれるのは俺しかいない。
オートバイの音は止まったがしかし銃で撃ってくる様子は無く、このままほっておけばやりすごせるに違いない。


偽善者。もう一人の自分がつぶやいた。
他人のことばかり気にしてるふりをして。この場をやり過ごしたいだけなのに言い訳並べてんじゃないの?
「本当は、自分が一番大事なくせに」
偽善者。臆病者。偽善者。臆病者偽善者臆病者者者者者
頭が割れるような思考回路の暴走に風間は思わず頭を抱え、頭を膝にうずめる。
スロットルの音がした。
106ユーは名無しネ:01/10/10 20:32
うわっキモイ!!改行完全に失敗。
貼りなおしたいけど無駄遣いなんで申し訳ありませんが先に進めます。
そういうわけにはいかない!!
瞬間、風間はいきおいよく頭をあげた。
るせーーーー!!!臆病者上等だよ!!!
偽善者でもいいじゃないか。俺は、俺の思ったとおりに動く。
ヒーロー気取りだっていいじゃないか。みんなのことを考える、みんなが笑う。
それを見て俺は幸せになるんじゃないか。
俺のためだ。みんなのためじゃない。エゴイストで結構。
森も五関も逃がさねー!!そして、斗真にも絶対に会う。
・・・それが俺の正義だ。

イット、見守っててくれよ・・・と、
腰に巻いた全身タイツの袖を、ぎゅっ、と握り締めた。
森が再びカブのエンジンをかけるとがさっ、と木々の陰から風間が出てきた。
「待てよ。」
へぇ・・・来るのか。「あんだよ」森は笑ったまま振り返る。
気分がいい。まさにDriver’s highって感じ!!
しかしそんな森とは正反対に、風間は静かに、なにかを押し殺すような声で言った。
「何でこんなとこにいんだよ・・・しかも、五関と一緒に・・・。
 平瀬村にみんな集まってるんじゃなかったのかよ」
「あー、そうなんだよねえ。今、風間くんを迎えに来たんだヨ。
 こちら、うちのチームの隊長の五関サン☆」森はわざと芝居がかった調子で言った。
「ふざけんなよ、森雄介・・・」
「あー、うぜぇうぜぇ!!」
森は片手で髪をかきむしった。
「人が折角後回しにしてやろうと思ったのに、てめえ、いい度胸じゃねーか。
 こっちこそいい加減ムカついてんだよ!!五関にさっさと殺されればよかったのに
 のこのこ生き残りやがって」
「・・・やっぱり騙したんだな?」
「だから何なワケ?なんか文句あんの?
 五関サンご立腹だぜ〜?やる気、あんのにてめえから逃げられたってよ!!」
どんっ、と五関を前に突き飛ばした。
「やっちゃえよ、さっき逃がしたあ・と・し・ま・つ。」
そう言って森は、さっき五関から奪った拳銃を再びその小さな手に握らせた。
「俺をそれで撃つのか、五関」
風間は静かに言った。風間に銃を向け、震える声で五関は返す。
「次は撃つって言ったでしょ」

風がさわさわと木々を揺らした。

「なぁ五関、宮城は死んだよ」
「・・・知ってるよ。放送で聞いたから」
「俺の目の前で、死んだよ」
「・・・・・」
五関の黒目がちな瞳が揺れたのを、風間は見逃してはいなかった。

「知ってのとおり、俺は武器なんか持ってねーよ。殺せるモンなら殺してみろよ。」
月明かりに照らされて、木々が影を作っていた。その下、五関はガタガタ震えている。
もしかしたら、次の瞬間にも殺されるかもしれないけど・・・信じて、風間は続けた。
迷っていないわけではなかったが、もう後には引けない。
一発勝負!!しっかり護れよ、イット!!
「俺から奪ったその拳銃で!!宮城を撃ったその拳銃で俺を撃てよ!!」
「うわああああ!!!」

片手に銃を握り締めて、五関は風間に飛び掛っていった。
「もういやだよ!!だから、お前をころすんだ!!」
五関は、銃をトンファー代わりに風間の腕をおもいきりぶった。
素手のほうの手でも、五関は風間を何度もぶった。体を、腕を何度も何度も・・・
しかし、その手にもはや力は入らなかった。

信じて良かった。ありがとな、宮城、イット。
気持ちが透き通っていくのがわかった。
「わかってるよ、辛かったな、帰りたかったな。もうこんなのイヤなんだろう?」
風間は、五関の両手首をつかまえた。
「これからさ、斗真探して合流すんだ。おまえだって初期BIGメンバーじゃん」
目を見て、風間は言った。「だから、みんなで帰ろう?」
五関の小さな頬は涙で濡れていた。
「なぁ、五関・・・お前、壊れちゃうよ」
そう言って、風間は五関を抱き締めた。
うわあああん!!!
五関は、風間の腕の中で声をあげて泣いた。
僕は怖かったんだ。怖かったんだ!!!もう帰りたい。帰りたい・・・
お母さんにただいまって言って、おいしいご飯を食べて、お風呂に入って
あったかいベッドでゆっくり眠りたい。
そう俊太くんとレッスンをして、いつだって滝沢くんはかっこいいんだ。
みんなみんな笑ってて、それが当たり前なあの日常に帰るんだ・・・

次の瞬間。
ぱららららっ、とマシンガンの音が木々に響いた。

「ふざけんな、てめぇ・・・」風間はうめくように言った。
「どう・・・して・・・」五関はつぶやいた。
五関の背中に、穴がいくつも空いていた。
そのいくつかは貫通して、風間の体を、そして内臓を傷つけていた。
「もう離さないぜとか、まだこれから、とか・・・」
五関が、ズルリ、と風間の腕の中をすり抜けた。
「ごせ・・・・き・・・・」
「お前、もういらねーよ」
な、相棒vと森はにっこり笑った。


痛いよ、俊太君。
そっちに行ったら、もう、いたくない?
ごめんね・・・
怖がりで、ごめん。痛くして、ごめん。

しゅんたくんのこと、ほんとはだいすきだから、
また、わらってくれる・・・?

【エントリーNo.6.五関晃一 死亡 残り9名】
111ユーは名無しネ:01/10/10 21:26
ハートマークの代わりにvは使わないでほしい・・・
112ユーは名無しネ:01/10/10 23:01
おお、進んでますね。
113ユーは名無しネ:01/10/10 23:43
冥福を祈るよ、五関。ずっとつらかったね。
それにしても風間が心配。このままだと森に殺されちゃうよね?撃たれたし。
助けたい・・・助けてほしい・・・(祈)
114ユーは名無しネ:01/10/11 00:45
進んでますね〜!!
職人さん、お疲れ様です!
ところで、518が二つあるのですが良いのでしょうか?
115ユーは名無しネ:01/10/11 01:04
>114
多分、よくない(ワラ
次の方は、520ってことで。
116ユーは名無しネ:01/10/11 01:07
職人さん、お疲れさまです!
とうとう五関が…ゆっくり休めよ。
風間さん、生き残ってくれ〜!
117ユーは名無しネ:01/10/11 04:23
次行って良い?
ブーイングは勘弁…(ビクビク)


「ごせき…五関」
風間はしゃがみ込んだまま、手を伸ばして、体温を失って冷えてゆく五関の体を
揺さぶった。
死んでいく。
何人もの人間が自分の目の前で死んでゆく。
誰一人だって自分は助けられない。
五関は最後に何を思って死んだんだろう。死ぬ時の気持ちってどんなのだろう。
森が呆然としている風間を10mほど離れて見下ろしている。動かない風間にぴたりと
マシンガンを向けたまま鼻で笑った。
「大人しく撃ってりゃ、もう少し生かしといてやったのに」
「…利用価値がなくなったら、殺すのか?」
驚くくらい低い声が出た。
「お前にとって五関はそれだけの価値しかねえのかよ!」
「それの何が悪ぃんだよ」
森のつまらなさそうな冷めた声に、風間の瞳がぎらりと憎悪に燃えた。
「…悪くないって言うのか」
つぶやきに、森はハハッ、と楽しそうな笑い声をあげた。
「当たり前だろ? このゲームはそういうゲームなんだ。そういうルールなんだよ。
お前だってさっきの放送、聞いたんだろう? 嵐も殺されたってよ。正義なんかどこにも
ねえんだよ。いいこと教えてやろうか? 五関も俺を殺そうとしたんだぜ? 俺はすぐには
五関を殺さなかった。むしろ俺のほうが優しいだろ、なあ風間?」
こんな風に狂ってしまうのと、死ぬのと、どっちが幸せなんだろう、そう思いながら
風間は、まっすぐ自分に向けられた黒光りする銃口をじっと見ている。
「ゴールは自分以外のヤツらを全員殺した所にしかねえんだ。俺は地獄でも生き伸びてやる」
森は笑って、右手の親指を風間に向かってぴっと立ててみせた。
「お前らは天国で永遠に仲良しこよしやってりゃいいさ。Good luck!」
森が手首をひねり、親指が地面を指した時が合図だった。
マシンガンが火を噴いた。
激痛を通り越して、灼熱が体を焼く。
風間はそれでも動いた。
五関の体の下から、さっきまで隠していた右手を引き抜く。
五関が最後に、森に撃たれ地面に崩れ落ちてから、風間の手に探るように押しつけて
いったその物体。
それは、拳銃。


両手で支え、かすむ目で狙いをつけた。持ち上げた肩にも激痛が走る。
でもこのまま死んでしまうわけにはいかなかった。
このまま森を行かせれば、残る全員をためらいなく殺すだろう。
おそらく斗真も殺すだろう。
このまま森を行かせて斗真まで死なせてしまったら、俺は本当に無力だ。誰も救えない。
いや、誰かを救おうなんてのが元々傲慢なのかもしれない。だけど俺は。
(ああ、永遠に仲良しこよしでいてやるよ。偽善者でもなんでもかまわねえよ!)
引き金に力をこめた、撃った。
当たったかどうかは見えない。もう一度撃った。そしてもう一度。
いつの間にかマシンガンの衝撃は止んでいた。何故だろう。
自分の撃った銃は森に当たったのだろうか。
そこで完全に指に力が入らなくなった。
五関の上に折り重なるように崩れ落ち、風間は熱い血を吐いた。
腹と胸と肩と腕と…もうどこを撃たれたのかすらわからない。
どくどくと体中から血が抜けてゆく脱力感。
急速に意識が暗闇の中に引きずりこまれてゆく。

風間は微笑んだ。
斗真が聖を殺したと聞いて、斗真も狂ってしまったのではないかと疑っていた自分が
おかしかった。
五関だって本当は何も変わってなかったよ。
怖かっただけなんだよな、そうだろ? 五関。
斗真が聖を殺したというのが本当だとしてもきっと、斗真も脅えていたのだろう。
大丈夫だから落ち着けよって、言ってやれなかったのが心残り。
ああ、俺が死んだって放送聞いたら、きっとまたあいつ、泣くんだろうな。

…斗真、簡単にこっち来たら、許さねえぞ…。
イットと五関と宮城と、山下とハセジュンと福ちゃんと聖と、みんなで楽しくやる
んだからな。
お前みたいな泣き虫が入ってきたら、しめっぽくなっちまうじゃん。
きちんとお前が頑張って生きて、最後にこっち来る時には、みんなで待っててやるからさ…。
…だから、泣くなよ…。
泣くな…。

【エントリーNo.2 風間俊介 死亡 残り8名】
120ユーは名無しネ:01/10/11 10:51
ヽ(`Д´)ノ 泣いちゃったよ!
 (  )    ウワァァァァァァン!!!
 / ヽ
もう少し、生かしておいてやろうと思ったのに、
風間の言葉で泣きじゃくるなんて、
やっぱりまだまだお子様だったんだな、五関。

もう、いらないな。
昂ぶってるのか、凍り付いてるのかわからない精神で
判断を下す。
まるで、茶番みたいだ。
何人も殺してきた奴が、
子供みたいに泣きじゃくれば、それで許されるのか。
馬鹿らしい。
だから、やっぱりこれは「ゲーム」なんだよ。
誰の仕業なんて、関係なく。
殺されるより、生き残りたい。
人間として当然の欲だろう。

引き金に指をかける。
サブマシンガンの重みで、背中の傷が痛む。
傷を負う前は最強だと思ってた武器が、
段々負担に思えてきて、舌打ちする。
あと、何回打てるんだろう。
何回打ったら体力が尽きてしまうんだろう。
でも、そんな事は、今は必要ない。
目の前の奴をどう片付けるか、が最重要問題だ。

「どう…して…」
五関が呟く。
どうして?
そんなの聞くまでもないだろ?
ゲームだからだよ。
風間が睨みつけてくる。

風間も、要らない。
この状況下で、それでも善人でいられる。
んな訳ないだろう?
自分を殺そうとしてきた奴をそう簡単には許せない。
普通だったら。
そう。普通じゃないんだよ。もう。
善人ぶってる奴も、やる気になってる奴も、
みんなが狂ってるんだ。
そうじゃなかったら、幸せすぎるんだ。
だから、なおさら…許せない。
風間の存在が。

だから、要らない。

再び、マシンガンの振動が身体に響く。
これで、風間も終わり。
「ゲーム・オーバー」
小声で呟いた途端、視界が紅く染まる。
こめかみの辺りが熱い。
眼に流れ込んだ血で視界が紅くなった事に気がつく。
続けて、肩に、胸に熱さが走る。
風間を見ると、丁度倒れこんだ所で、
手に握られているのは…
「五関の…銃…。」
渡していたのか。
123リレー版524@demo,:01/10/11 11:59

急速に身体から抜けていく力。
霞んでいく視界。
思わず膝をつく。
「くそ。俺もゲーム・オーバーかよ。」
呟いた言葉でさえ、もう声になったか確認できない。
それでも、森は笑った。
「ははは!正義なんてないんだよ。風間!
 お前は、俺を撃った。お前も人殺しだ!」
もう動かない風間に向かって叫ぶように言い放つ。

最後の力を振り絞って、風間のそばに歩いていく。
そして、銃を手に取る。
「でも、プライドとかの問題だな。」
森は、銃をこめかみに当て、躊躇いもなく引き金を引いた。

間違ったなんて思ってない。
自分のやりたい様にやっただけ。
人に殺されるなんて、真っ平だ。

地獄に落ちる?
ああ。大歓迎だ。
だったら、地獄でやってやるよ。
今度は…俺が操る、この殺し合いゲームを。
そうして、あっちでは生き残ってやる。
それが、俺のやり方だ。


【エントリーNo.37 森 雄介 死亡 残り7名】
124ユーは名無しネ:01/10/11 12:02
スマソ。
522は2個あるし、524では名前欄書き損じた…。
正確には、「でもごめん。」を入れたかった。

逝ってきます…。
125ユーは名無しネ:01/10/11 14:19
閉鎖騒動があってから初めて来たら自担がお亡くなりに・・・。
あの、つかぬ事をお聞きしますが、辞めジュや娘の続きは
8月以降ないですか?
パッと見てきたのですが無いっぽい感じだったので。
126ユーは名無しネ:01/10/11 14:48
・・・まじで泣いちゃったyo。
ここに来て急展開ですね。
127新人職人:01/10/11 14:59
大御所かっこよすぎます・・・(涙)
計画は壊れたけど、惚れました。
職人様、かっこいい最後をありがとうございました。

>111
ハートマークごめんなさい。気をつけます・・・

>114-115
すみません、ご指摘ありがとうございます。急いでたもので・・・(泣
皆様、2つめの518は→519で脳内あぼーんお願いします・・・
逝ってきます・・・
128ユーは名無しネ:01/10/11 14:59
風間は斗真に一度でも良いから
会って欲しかった・・・(号泣)
かわいそすぎだよぉぉぉぉ
森はなんかカッコイイしさー!!!
129ユーは名無しネ:01/10/11 15:56
がーん。
130ユーは名無しネ:01/10/11 16:00
120さんがかわいい…
131ユーは名無しネ:01/10/11 16:07
カザマーーー!!
生きかえってくれ〜
132ユーは名無しネ:01/10/11 16:10
>131
森はいいのか(笑)
133ユーは名無しネ:01/10/11 16:33
あとは萩原と提箸がどう出るかよね・・・特に萩原
あれ、すばるは?
134ユーは名無しネ:01/10/11 17:36
マジで風間と斗真を会わせてやりたかった・・斗真がこのこと知ったらどうなるんだろう・・風間に合掌。
135ユーは名無しネ:01/10/11 18:34
斗と風は、最後まで出会えなかった原作七原と三村のような役回りだね(美化しすぎ?)
斗が壊れないかが気になる・・・・泣くだろうな
職人さんありがとう。
136ユーは名無しネ:01/10/11 19:22
いつのまにか引越しされてたんですねー。
続きが楽しみです。職人さん、頑張ってください〜。
137ユーは名無しネ:01/10/11 19:57
大御所、かっこいいです。
自殺なのに、まんまんだったのに、
かっこいいとか言ってしまっていいのかわからないけど…。
でも、何だか貫いた姿がかっこよかったです。
138ユーは名無しネ:01/10/12 00:44
あ。大御所死んでる…。動かせる人が減ってきたぞ…。

>133
過去ログ参照。>90-91のあたりです。
139138:01/10/12 00:50
あ。違う。>92-93だ。
140ユーは名無しネ:01/10/12 02:16
>お前は、俺を撃った。お前も人殺しだ!
この辺りが貫いててかっこいいわ大御所・・・。

斗達も気になります。でも通常なら放送はまだまだ時間かかるかしら?
141ユーは名無しネ:01/10/12 02:44
次、行ってみますね。斗真まだ起きないけど。
>93

「だっ、ダメじゃん!連れ戻してこなきゃ」
「ちょっと待ってよ!」
慌てて立ち上がりかけた相葉のシャツの袖を、松本が掴んで止める。
「何。早くしないと。だって、すばる、道に迷ってるかもしんないじゃん!」
少しイライラした様に声を荒げた相葉は、もう何時間も前、ディスプレイで、
今井・横山と合流する前の渋谷が、時々道に迷ったような動きをしていたのを思い出した。

「見てこれ」
松本が指差すレーダーの画面。
すばるのいる位置とは逆方向、西の方からもの凄い速さで
こちら‥学校の方に近づいてくる緑の光点ふたつ。
走ってるような速さじゃない。すぐにでもこちらに近づきそうな。

「誰だかわかる?」
「…ちょっとわかんない。でも」
「…でも?」
「さっき、西の方にいたのは確か森と五関と…」
24:00の放送後、確かそう二宮が言っていた。
動く気配なさそうって言っていたが、動いたのだろうか?

「…ねぇ、ヤバくない?」
「…ヤバいかも」

「でも、すばるの方もヤバいじゃん!」
危険を承知で見過ごすわけには行かない。
立ち上がりかけた相葉は、今度は自分でその動きを止めた。
速い動きをしていたふたつの緑点が、
さっきから同じところに停まっていたひとつの緑点のところで急停止する。
相葉と松本は、レーダーの小さい画面を食い入るように見つめた。
程なくしてひとつが赤に変わり、続けて残りのふたつも。

「…何、これ」
「……」
何、これと呟いた松本にだって、
その赤く変わった光点の持つ意味は勿論分かっていた。
最初にひとつが変わって、続けてふたつ変わったことも。
何が起こったか大方の予想はついた。
今まで24時間以上見続けてきたじゃないか。
画面にたくさん赤い点が散らばってるじゃないか。
でも。俺たちこれから何かできそうだったのに。
みんなのこと、助けることができるかもしれなかったのに。なのに。

「…俺、行って来る」
相葉は、ゆっくり立ち上がると、
レーダーを握り締めたまま動かない松本の方を振り向きもせず、
南の方へ向かって駆け出した。
哀しいけど、当面ここには危険なヤツは近寄ってこないようだ。
だったら。行かなきゃならない。もう誰も死なせたくないんだ。
144ユーは名無しネ:01/10/12 03:31
ちょっと見ない間に進んでますね。
風間さん…生き残ってて欲しかったよ〜。
でも、最後がかっこよかったから良かったです!
だんだん佳境だし…
職人さん、頑張って下さい!
145ユーは名無しネ:01/10/12 04:20
ちょっと質問してもいい?
相葉→すばるって、呼び方「すばる」でいいよね?
146ユーは名無しネ:01/10/12 04:44
>145
おそらくそれでいいと思われ
147ユーは名無しネ:01/10/12 05:11
146さん産休
次いきます
枝と葉に遮られて薄くしか落ちない月明かりだけを頼りに、相葉は木々の隙間を駆けた。
近くに危険な人物はおそらくもういない。
「すばる! すばる!」
大声で怒鳴りながら枝をかきわけ前へ進む。
だけど普段からうるさいすばるの「なんやねん!」という神経質そうな返事はいっこう
に聞こえてこない。相葉は焦る。さっきまでレーダーに映っていたすばるの光点は、禁止
エリアからそんなに距離がなかった。まさか…。嫌な予感。
もう手遅れ、無駄、これだけ返事がないんだから、もう無駄。
そう耳元に囁く声が、聞こえなかったわけじゃない。だけど相葉は諦めなかった。
諦めたら終わり、どんな結果になっても自分は諦めた自分を許せないだろう。
「すばるーーーーっ!」
叫んだ。禁止エリアに突っ込んだら首輪はどんな爆発を起こすのか、さっきの学校の
爆発を見て想像がついている。そんな激しい爆発があったら気付かないわけがない、
だからきっとすばるはまだ生きてる。信じて駆けた。
前方にぽかりと空いた空間が見えた。
勢いよくその場に飛び出ると、そこは寺の境内だった。人影はない。
「……レーダー、持ってくれば良かった。くそおっ!」
悔やんだのは一瞬で、相葉の決断は早い。レーダーを忘れたぶんは、他のもの、たとえば
体力で補うしかない。無駄な後悔なんてしてる時間はない。
だから相葉はさらに走った。禁止エリアのほうへ。
かさり、不意に少し離れた藪が揺れたような気がした。
動体視力には自信がある、相葉は転ぶように振り返ると、暗闇の中そちらへ方向転換した。
「そっちは危ない!」
必死で人影を呼び止めた。本当に禁止エリアはもうすぐそこのはず。
人影は相葉の血相に慌てたのか逃げようとするが、相葉の足は速い、距離をつめた相葉は
勢いよく人影の下半身にタックルした。
そのまま暗闇の中もつれて斜面を転がって、どさり、と木にぶつかって止まる。
暗くて顔が見えない至近距離、しばし二人で荒い息をつく、やがて。
「なんやねん…相葉やんか」
すばるの放心したような声が聞こえた。
相葉の額のすぐ5cmほど前で、すばるが両手で構えている拳銃の銃口が揺れている。
すばるの指は引き金にかかっていた。
「暗くて誰かわかれへんやろ! 撃つとこやぞ、あほ! なんやお前!」
「…すばるが、禁止エリアに突っ込もうとしてるから」
「は? なんや?」
「首輪爆発して死ぬよ!」
状況を理解仕切れずすばるは、なにゆーてんねん、と目を丸くしている。
だけど相葉はとりあえず安堵した。
「…あれ、でもなんでや、お前ら処分されたって言うてたやん、放送で」
「俺らはもう腕輪、外せてたから」
「…翔くんがそう言うてたな。なんや、そうやったんか」
やっと力が抜けたように、すばるは拳銃ごと固まっていた腕を地面に降ろす。
だが相葉はそれと逆に勢いよく立ち上がった。
服にまとわりつく土や枯れ葉をはらいながら、戻ろう、とすばるを促す。
「アッキーのことも多分解決したし、みんなの首輪も外せるかもしんないって」
ほら、と転がり落ちた斜面をもう登り始めながら相葉が動かないすばるを呼ぶ。
すばるは慌てて立ち上がりながら、呆れたように呟いた。
「お前、ぼうっと気の抜けた顔しとんのに、タフやなあ」
ある意味失礼なすばるの言葉だが、相葉はあまり表情も変えない。
だってそれが俺の取り柄だもん、と答えながら相葉は勢いよく最後の段差を登り切り、
背後の崩れる崖に苦戦するすばるに手を差し出した。
150ユーは名無しネ:01/10/12 16:24
次行きま〜す
151ユーは名無しネ:01/10/12 16:26
やっばーっ!!なんて基本的なミス・・・sage忘れた!!
しばらく逝ってきます・・・書ける方は、どうぞ!
152ユーは名無しネ:01/10/12 18:12
進んでますねー。あいばさんステキ…。
151さん逝かないで〜!
153ユーは名無しネ:01/10/12 19:37
ごめんなさいね!!
しばらく遊んでさがったので再び、次行きま〜す!!


階下に降りると萩原は、窓際に寄せた3人の死体の前に立った。
灯台の中は暗いが、窓から月光が差し込んでいて、そこだけ少し明るくて。
腐敗は始まっているのかもしれないが、おかげでその死体はまだきれいに見えた。
まるで最後のステージライトだ、と萩原は思った。
田口、おまえなんだか知らないけど懐いてきたのになぁ。ギャグ寒いくせして。
もう、モノでしかないから、別になんとも思わないけど。
萩原は3人だったモノに向かって少し両手をあわせると、ぺこっと一礼した。

拳銃は、一平ちゃんがそのまま持って行ったんだろう。
テディを左手にぶらりとぶらさげつつ、まったりと外に出る。
はー、月がきれい。そして、潮の香りと波の音。
月の海かぁ、なんて思いながら、なんとなく灯台の裏に回ってみる。
月に照らし出された海はとてもきれいで、萩原はぽんやりとそれを見た。
遥か下、崖に打ち寄せる波音が響く。なんだか飛び込んでみたくなってしまう。


別に、バトルロワイアルがどうとかでも、死にたいとかでもない。
なんとなくやってみたくなるんだ。
羽根が生えて、飛んでいけたりして。この月の海に、溶けてしまえたりして。


この、ふと思いついたことを思いついたままにやってみる性格のせいで、俺は
不思議な人扱いされるんだよねぇ・・・。

テディと一緒に座って、しばらくぽやーっと海を見ていたら、
ポーンと簡素な音が響いて放送が入った。
そうかぁ、嵐死んじゃったのか。
大野君以外の人たちはたいして踊らないから、さほど興味もなかったけど。
これからどうしよう?あと誰がここに来てて、生き残ってるんだろう?
懐中電灯も持っていかれたっぽいけど、こんな月の晩だから、歩いて行ってみようかな?
あぁ、でも、ごはん・・・。一緒に持っていかれちゃったのかな?
でも、多分一平ちゃんならごはん残していってくれそうだな。俺、ごはんキャラだし。
くすっと一人で笑うと、なんだかなにも怖くはなかった。
そう、怖くない。
俺は死ぬのが怖くない。

静かに目を閉じて、波の音を聞いた。
今日、いくつもの命の火が消えていった。
目を開ければ、海の上に、
魂がたくさんの光になって飛んでいるのが見えるような気がした。
天使がみんな、連れて行ってくれるかな?

そおっと、目を開いたが、魂なんてものはは見えなかった。
立ち上がってパンパンとおしりをはらいながら、萩原は考えた。
このまま出かけると、一平ちゃんに追いついちゃうかもしれないな。
あと10人って言ってた・・・確か最初は40人以上いたよな?
Jrって、意外とみんな嫌いあってたのかねぇ。
いや、嫌いあってたってゆーか所詮他人同士だから、そんなもんかもね。
たった1日でここまで進んだんだ。今急ぐ必要はないと思う。
元来、せっかちな性格ではない萩原はそう思った。
朝、出かけよう。ここで夜を明かせば、水平線から昇る太陽が見える。きれいだろうなぁ。
「朝日を見にゆ〜こ〜うよ〜♪」
萩原は口ずさんで、7回転半ターンを決めた。
156ちょっと提案!:01/10/12 19:54
今はじめて気づいたんだけど、
職人さんそれぞれ、タイトルのつけ方に差があって
これだと誰が同一だかバレちゃいます(苦笑
私も前書いたとこと変えて、148-149の職人さんに合わせたつもりが、
通し番号が半角→全角だったりして(汗
もしよろしければ、統一しませんか?
157ユーは名無しネ:01/10/12 21:28
>154−155
夜明けをちょっと待っちゃもらえませんか?
朝になったら黒幕が起きちゃうのでその前に
こそっと動かしたいんです。
158ユーは名無しネ:01/10/12 21:38
>157
朝って、6:00の放送前?
放送前だったら動かしても大丈夫かなぁ?
159ユーは名無しネ:01/10/12 22:41
次行きます。
 >149

 隣りを歩く二宮が急に足を止める。
「何?」
「しっ」
遠くを伺う表情に習って自分も耳を澄ませてみる。
「バイク?」
「多分。でも遠くない?」
再び爆音。
「…今のって」
「銃…だよね」
「急ごう」
緊張した顔を見合わせて頷く。

 土を蹴る足音と共に闇の向こうから二宮と桜井の姿が見えた途端、
おとなしくしていられなくて松本は立ちあがった。
「こっちは大丈夫?」
桜井の声にそれは俺の台詞だよと返す。
「…こっちは大丈夫だよ」
地面近くから聞こえた答えに3人が驚く。
いつ目を覚ましたのか米花がゆっくりと体を起こした所だった。
「ヨネ、寝てなくて良いの?」
「あんな音聞いたら寝てらんないって。」
「…そうだよ、人が折角気持ち良く寝てたのに」
斗真も隣りで目を開ける。
「アッキーだって起きてんだろ?」
傷に響かないように軽く米花に体を突つかれて秋山も起き上がった。
「何だ、みんな起きちゃったの?」
松本の声に米花が苦笑して首を振る。
「屋良っち爆睡。本当にやばくなるまで起きないと思うよ。」
「度胸が良いねえ」
桜井もやれやれと肩を竦めた。
「そう言えば相葉ちゃんは?俺達より先に出たのにまだ来てないの?」
「違う違う。すばるを捕まえに行った。禁止エリアに近付いてたから。」
「そっか」
じゃ、帰ってくるまで待ちますか、と二宮はさっさと腰を下ろす。
立っていた二人も同じように地面に座り込んだ。
 「おーい」
遠くから声が聞こえる。
「あ、帰ってきた。」
嬉しそうに松本が立ち上がった。
「相葉ちゃーん、こっちこっち」
懐中電灯を手にした所で米花が焦って止める。
「さっきのやつが近くに来てたらどうすんだよ、危ないじゃん」
「…それは大丈夫。」
「大丈夫って?」
松本は不思議そうな顔をする米花と、それから斗真の顔をちらりと見るが、
何も答えずに懐中電灯をぐるぐる回して居場所を知らせた。
 渋谷を連れた相葉が戻ってくる。
松本は懐中電灯を振り回すのをやめてスイッチを消す。
明かりを消す前に秋山の姿を見て取った渋谷は探るような目つきでじっと秋山の顔を
眺めていたが、相葉がなんの躊躇もせずにその隣りに腰を下ろして
自分を手招きするのを見て、ほっとした表情で座り込んだ。

 「さて、取り敢えずは合流完了かな?」
桜井が確認するように全体を見回した。
「これからどうするか決めなきゃね。」
眠ったままの屋良には後で状況を知らせる事にして話を進める。
「まずは首輪でしょう。早く取っちゃえば禁止エリアとか関係なくなるんだし。」
ね、と相葉が渋谷の顔を覗き込む。渋谷は無言で頷いた。
「それについて一つ問題があるんだよね。」
二宮が腕を組む。
「問題?」
「そう。成功するかどうかってのもあるけど、そこは成功すると仮定して、その後。
俺達の腕輪が生きてた事から考えると、外した後も首輪は生きてるんでしょ?
って事は参加者が減ってないわけよ。早くバトルを終わらせる、そのためには
参加者を一人にまで絞り込まなきゃならない。どうしたら良いと思う?」
一旦言葉を切って全員を見る。
「そこで考えました。…秋山君、死んでくんない?」
何を言ってるんだと二宮以外の全員が目を見開く。
数名が口を開きかけたが、二宮の笑い顔に気付くと黙り込む。
「手っ取り早く死んだように見せるには、首輪を禁止エリアに置くなり何なりして
爆発させちゃえば良いじゃん。全員が一気にやったんじゃ怪しまれちゃうから順番にね。
で、最初に秋山君にやってもらおうと思ったんだ。」
「何でアッキー?俺だって良いじゃん。てか俺にしようよ。怪我も何もしてないんだし。」
米花が言う。
「パナは後。俺が秋山君にしようって言うのには、ちゃんと理由があんの。まず…」
「…俺行くよ」
理由を説明しようとした二宮を遮って秋山が立ち上がった。
「じゃ、時間もないことだし、行きますか。相葉ちゃん、
戻ってきて寛いでるとこ悪いんだけど、俺達に付き合ってくんない?」
「良いよ。どこ行くの?」
「もし首輪が爆発してもここのみんなに影響ないぐらい遠いとこ。
海の方が良いかな」
緊張と決意で表情のなくなった秋山とパソコンを持った二宮、それから懐中電灯を
持った相葉が揃って海の方向を透かし見た。
163ユーは名無しネ:01/10/12 23:05
調子が悪くて新着レスが出ません。
今送ったのもきちんと書き込めてるんでしょうか?
一回落ちて入り直そう・・・
164ユーは名無しネ:01/10/12 23:38
>156
私、いちおう微妙に変えてるよ。半角全角とか前後ろとか。
どっちかというと、文体でバレる方が確率高いと思うのだ。
でも合わせよう説には賛成で。
基準は
「リレー版000(←全角数字)@(←全角)そして職人任意の文章」
でいいのかな?
165ユーは名無しネ:01/10/12 23:59
私も合わせよう説には賛成。
164さんの案が見易くてよいと思います。私もそうしてることが多いかな。

>164
私も微妙に変えてます。こんなところで足跡は見せたくねぇ!(ワラ
名前欄が長くなりすぎると入らなくなったりするんで、そんなときは半角使ったり。
そして、やはり文体の方がバレる確立は高いと思うの。
166ユーは名無しネ:01/10/13 00:03
文体か・・・でも前の人に合わせられる人も居るよね?
でも私も164さん提案の基準に合わせよう。
次行きますね。
167ユーは名無しネ:01/10/13 00:05
はい、どうぞ〜。
>162

 一番近い海岸線を目指して北東方向を目指す。
しばらく無言で歩いていた3人だったが、秋山があまりにも悲痛な表情をしている
のに二宮が気付き、秋山の名前を呼んだ。
「俺が何で秋山君を選んだんだと思う?」
「…今までの行動で…?」
たくさん人を殺してきた自分だから?と秋山は聞く。
もしかしたら失敗するかも知れない。
だったら居なくなっても構わないような人間が試してみるのが一番良い。
「…秋山君がそう思いたいんだったら俺はそれでも良いけど。
でもね、感情だけで動いたらきっと誰も生き残れないよ。」
二宮は理由を説明した。
「まずパナを外したのは本人も言った通り無傷だから。怪我人ばっかだから
いざって時に動ける人間を残しておきたかったんだ。で、秋山君を選んだのは、
怪我した場所が歩くのにあまり支障がない所だったのと、遠くまで行って
帰って来れる体力が残ってるだろうって思ったから。…納得した?」
「…そう…だったんだ…」
「納得行かない顔だね」
二宮がぶっちゃけますか、と笑う。
「俺達をぶっ飛ばしたあいつを騙すには、手始めに秋山君を死んだ事にするのが
都合良いんだよね。近くの禁止エリアじゃなくて海を選んだのもそのせい。
みんなと会って自分のした事に耐えられなくなって、全員が眠った頃に
一人抜け出して海で自殺。理解出来ない死に方じゃないでしょ?」
秋山はやっと納得が行った顔で頷いた。
「誰の命も無駄には出来ない。みんなで生きなきゃ。
あと10人、俺達入れて14人でしょ?」
「…11人」
相葉が暗い声で訂正する。二宮がどう言う事?と聞く。
「すばるの所に行く前に松潤と二人でレーダー見てたんだ。
そうしたら西の方の3個が赤くなって…」
「西って…五関と森と…」
爆発直前の配置を思い浮かべていた二宮がはっとして相葉の顔を見る。
「斗真は?この事斗真は知ってるの?」
「出て来る時は知らなかったはず。でも今は…」
松潤が喋ってるかもしれない、と言った。
169ユーは名無しネ:01/10/13 00:26
斗真知ってしまうのか?しまうのよね・・・
嗚呼、どうなるのか心配だ
170ユーは名無しネ:01/10/13 00:29
斗真、伊藤が死んだのも知らないよね。
放送で忘れられてたから。
171ユーは名無しネ:01/10/13 00:30
進むねぇー。だいぶ動かせる子も減ってきたし。
ただ…これ、どう結着がつくんだろね(苦笑
172ユーは名無しネ:01/10/13 00:31
松潤言わない気がする…。言えない気がする…
でもずっとあとで風&伊藤死亡を知ってもショックだよな
173ユーは名無しネ:01/10/13 00:41
また人減ってるしね。
個人的に、動かしにくい人ばっかりになってるしね。
この先どうしようかなぁ…(ニガワラ
174ユーは名無しネ:01/10/13 00:44
ここに戻ってきた所為?か進むねぇー。
明日明後日と留守にするんだけど、出かけるの止めたくなってきた(苦笑
175ユーは名無しネ:01/10/13 00:55
二宮はいつのまにパソコンの使い方を桜井に習ったんだろう…
176ユーは名無しネ:01/10/13 01:04
そういえば。今、現地時間で何時ごろなんだろう?
あと、黒幕の臨時放送も何時くらいだったんだろうね?
177ユーは名無しネ:01/10/13 01:26
あくまで私の脳内で、黒幕放送は2:30くらい。
現時点は3:20くらいかな、と。
178ユーは名無しネ:01/10/13 01:37
>175
腕輪外す時みんなで見てたじゃない。
179ユーは名無しネ:01/10/13 01:40
やっぱそれくらいだよねぇ。
じゃあ、時間指定して書いちゃってもいいかなー?
180ユーは名無しネ:01/10/13 01:42
>178
いや、見てただけで覚えられるものかな、と思って。
確実性を期するなら、見てただけの二宮より、データから何から全部取ってる
桜井がやるのが普通だし、桜井のパソが二宮にわたった意味を考えていたのだ。
う〜ん、桜井には別の役目があるのかな。
うずうず、先を書きたいのだが、そこが思いつかず書けない(笑
つまんないこと気になるタチなんだ、O型なのにさ・・・・
181ユーは名無しネ:01/10/13 01:43
>179
わーい! いいと思います。
実際、ある程度時間指定しなきゃ進まないよね。
182ユーは名無しネ:01/10/13 02:09
じゃ、時間指定とネタ拾い。
且つ、もしかして同じところを書こうと思ってた方の邪魔にならないように。
…邪魔になってないといいんだけど。
>154-155

萩原は灯台の外、岬の先端で乾パンを齧りながら座っていた。
真下は海。潮の香りが鼻を擽る。
月はだいぶ西に傾いたけど、星はまだきらきら輝いている。
「だっけどさぁ、一平ちゃん、どーして俺を置いていくかなぁ…」
ここにいたらきれいな朝日が見れたのに。ねぇ?と、
抱えていたテディの耳をむぎゅと引っ張る。

さっき、一旦灯台に戻った。
萩原の予想通り、乾パンは残してあったし、スティックシュガーも残っていた。
ついでに、床に放り出されていた救命胴衣をなんとなく着けてみた。
そして今も着けているのだけれど。
海に入れば禁止エリアで死んでしまうわけだし、
つまりは、まったくの役立たずなんだけど、赤色っぽいオレンジ色が気に入った。

「…今、何時なんだろ?」
萩原はぬいぐるみのファスナーを下ろして、中のデジタル表示を見る。
2001_06_21/03:47'35"‥36"‥37"と時を刻んでいる。
あと1時間もしたら夜が明けるのかな、と思う。

そして。デジタル表示の横にはアラームセット用のボタンがある。
多分、超強力な目覚まし時計。目も覚めるかもしれないけど永眠しちゃうかもしれない威力の。
「やっぱり、使わなくちゃなんないのかなぁ…」
ぬいぐるみを掲げて呟くと、不意に北側の海の方から爆発音がした。
首だけ音のした方へ向ける。

爆発音は1回だけで、すぐに静寂を取り戻した。
萩原はファスナーを元に戻すとぬいぐるみを抱えなおした。
足の裏のボタンに触ってしまって、提箸の声が再生される。

『…次に会ったら、ちゃんと俺を殺せよ。俺もお前を殺すから』

「…ねぇ、会った方がいいと思う?」
萩原はクマに問いかけるように呟くと、
乾パンの袋をデイバックの中にしまって、ここで夜明けをを待つことにした。
184ユーは名無しネ:01/10/13 02:25
真夏なら朝4時には結構明るいよ…
185ユーは名無しネ:01/10/13 02:28
えーっと、いろいろ考えた末、
クマさんの正体は、ボイスレコーダーつき目覚まし時計(改造済)
ということにしてみましたがいかがでしょうか。
で、勝手に秋山の首輪爆発?の時間も設定してみました。
…日付確認のため久々に過去ログ読んじゃったよ。

>184
だよね。書きながら思った。
けど、首輪そんなに簡単に外せるかなーとか思って。
186検索した暇人:01/10/13 04:20
6月21日の日の出の時間。
東京都の場合、4時25分でした。
ちなみに、根室だと3時37分、那覇だと5時37分。日本って広いね。

が。ついでに月の出が、
3時58分だということも判明してしまったのでした。
というか新月…がーん。真っ暗ですね。
まぁ。フィクションですから、気にせずいきましょ。
187ユーは名無しネ:01/10/13 06:42
朝日って、綺麗だね…
188ユーは名無しネ:01/10/13 13:28
もうちょっと話が進んでから、と思ったんだけど、
今夜は帰れそうにないので、ひとつ書置きしていきます。
>49

冷たい感触で提箸は目を覚ました。
草の露が首筋にあたったらしい。
湿気を含んだ空気が周りを包んでいる。

靄がかかってはいたが、あたりはもうだいぶ明るくなっている。
慌てて時計に目をやると、05:47。よかった、寝過ごしてはいないようだ。
禁止エリアの発表を聞き逃しては命取りだ。

萩原を置いて出てきたものの、いったいどうすればいいものか。どこに行けばいい?
でも。もうすぐ放送が入る筈だ。それから考えよう。

そういえば、萩原はちゃんと昨夜の放送は聞けただろうか。
寝過ごして禁止エリアが分からなくなっていないだろうか。
乾パン見つけたかな。乾パンと水はおいてきてやったけど。
そこまで考えて、思う。
こんな気持ちで俺は引き金を引けるのだろうか?
次に萩原に逢ったときに。

…まだ逢いたくないな。

池は静かに水を湛えている。
静かだ、不気味なほど静かだ。

と、不意に後ろでがさっと言う音がした。
190ユーは名無しネ:01/10/13 13:34
がさっ、て、別に「誰か」の音でなくてもいいので。
取り敢えず、6時前を書いてしまいました。
…逝ってきますっ。
191ユーは名無しネ:01/10/13 22:37
ちょっと来ないうちに話が進んでる〜!
萩原・・・生きてて良かった(w
192ユーは名無しネ:01/10/14 01:27
次いきます。
>168

 遠くからかすかに波の音が聞こえてくる。
海に近付いたのを感じると二宮は足を止めて2人を振り返った。
「この辺りで始めよう」
秋山を座らせて頚動脈付近に電極を挿し込んだ。
「データー送るからじっとしてて」
「うん」
それきり3人共黙り込んでパソコンが作業を終わらせるのを待った。

 画面にOKのマークが出たのを確認して注意深く電極を抜き取る。
「どうする?もっと海の方まで行っちゃう?」
パソコンを受け取った相葉が聞く。
「俺達はね。」
「俺達?」
二宮は秋山を促して立ちあがった。
「相葉ちゃんはこのままパソコン持ってみんなの所に帰って。
俺と秋山君はもっと海の方に移動してそこで首輪を外すから。」
「何で?俺も行くって。」
「駄目。何のために相葉ちゃんに付き合ってもらったっていうのさ。
パソコン無傷で持って帰ってもらうために決まってんじゃない。」
何を今更、という顔をする。
「腕輪と首輪、100%同じものって保証はないでしょ。この方法は失敗でした、
パソコンも壊れちゃいましたじゃ、翔君達に合わせる顔がないよ。」
だからお願い、と頭を下げられるとそれ以上の事は言えずに頷いた。
「あ、相葉ちゃん、翔君に伝言頼んで良いかな」
「伝言?何?」
「…次の禁止エリアの発表があっても俺達が…戻らなかったら、
別の方法を考えてって。」
それを聞いた相葉は二宮を睨み付けると、返事もせずに背中を向け、
足音も荒く今来た道を引き返して行った。
194リレー版537:01/10/14 01:41

 相葉の後ろ姿が闇に紛れてしまうと、海の方に向かって歩き出した。
「ごめんね、秋山君。」
「何が?」
「俺秋山君の事騙してた。説明した事は全部本当だけど、
もしかしたら失敗するかもしれないって事、言わなかった。…ごめん。」
「…良いよ」
秋山は二宮を見下ろして微笑む。
「絶対成功するわけじゃないって分かってた。誰かが最初に試してみなきゃ
ならない事も、今の俺に出来る事がこれぐらいしかないって事もね。」
「…ありがとう。」
「ここから先は俺一人で行ってくるよ。だから二宮君もみんなの所に戻って。」
「俺思うんだ、秋山君は一人で居る事を選んだ時から道が逸れてったんじゃないかって。
だから今度は俺が一緒に居るよ。片手じゃうまく外せないだろうし、あと」
ポケットからドライバーを取り出して笑った。
「これがなくちゃ取れないしね。」
「二宮君…」
「これね、一番最初…つまり大野君の腕輪を外した時に使ったやつなんだよ。」
「じゃあ、きっとうまくいくね。」
「うん。俺はそう信じてる。」
195ユーは名無しネ:01/10/14 15:39
秋山…失敗するなよぉーー!!
お願いだうまくいってくれ…。
196ユーは名無しネ:01/10/14 15:49
松潤が斗真に風間のこと言ったのか気になるーー。
197ユーは名無しネ:01/10/14 20:39
@536が二つある?
次は、539からですね。
198ユーは名無しネ:01/10/15 04:08
このスレ、すでに今までのバトロワスレの中で一番容量大きくなってしまってます。
537キロバイトもある。
何キロバイトから表示されなくなるかはわからないけど、もしかしたら板負担。
引っ越したほうがいいかも。
199ユーは名無しネ:01/10/15 15:40
そうね、もう100進んでますもんね。

ちなみに、
7が、31−188
8が、189−288
9が、289−345
10が、346−435

800レスのうち、小説部分が100前後ってペースだったみたい。
するとやっぱりそろそろお引越し、かな。
200ユーは名無しネ:01/10/15 20:30
しましょ。<引越し。
わーい200だ。
201ユーは名無しネ:01/10/15 23:10
キリのいいところまで進んでからの方が、分かりやすい気もするけど。
と、集計しようとして思った。
6:00直前まで進めてみる、とか。
それまで大丈夫かな?
202ユーは名無しネ:01/10/16 00:07
参考までに。
今ここの容量が10673バイト。
ほぼ同数のレスついてる某スレが3890バイト。
キリのいいとこまでって私も思うけどもう集計して引っ越したほうがいいかも…
203ユーは名無しネ:01/10/16 00:20
うーん。せめて秋山の首輪がどうなるのかまでは…という気もする。
なんらかの爆発はしてるみたいだけど。
どうですかー、職人さーん。
204ユーは名無しネ:01/10/16 10:56
ドラマやマンガのヒキみたいに、いいところで「つづく」にして
客引きするという手もある(藁
205ユーは名無しネ:01/10/17 01:23
客引き(藁
206ユーは名無しネ:01/10/17 01:32
新たな職人さん&客引きのために誰かあらすじか要約なんか書いてくれ〜。
前に1回イットの職人さんがやってたけど。
207ユーは名無しネ:01/10/17 16:38
ところで集計にリンクがあるとやっぱり便利だと思うけど
ハイパーはまだ厳禁?
208ユーは名無しネ:01/10/17 19:46
>207
どうなんでしょうねぇ?

取り敢えず、かちゅだと、
>207でも、>207でも、>>207でも、ハイパーするのよね。
URLもh抜きでもハイパーするし。
209ユーは名無しネ:01/10/18 12:37
進んでないのでお引越ししてしまっても、と思うのですがどうでしょう。
210ユーは名無しネ:01/10/18 15:04
>209
そうですね。
今の状況だと職人さんたちも進めづらいでしょうし…。
211ユーは名無しネ:01/10/18 18:24
あの…確か容量増やしたから
ハイパー使ってもよくなったと
どこかのスレで見たような気がするんですが…。
212ユーは名無しネ:01/10/18 19:35
じゃあ、取り敢えず、集計貼ろうかな…と思うのですが、
ハイパー、どうします?
213ユーは名無しネ:01/10/19 00:53
萩原のくまの中になにかはいってなかったっけ。
ウロ覚え。過去ログ旅に出るほど元気じゃないが。
214ユーは名無しネ:01/10/19 01:01
>213
何か入ってたのは、>59
で、入ってたものは、>183
215ユーは名無しネ:01/10/19 02:15
ハイパー、初心者板では普通に使われてます。
ただ、ここで使うと神経質な方にゴルァ!て言われそうだ。
使わないほうが安全かも。
集計、お願いしたいです。
216ユーは名無しネ:01/10/19 03:29
じゃ、貼っておきますね〜。
217集計3:01/10/19 03:34
集計1 >43
集計2 >81

>88-91 508−511(二宮&桜井@俺達も行きますか/相葉&松本@相葉合流する)
>92 512(渋谷@臨時放送 誰かに会いたい)
>93 513(松本・相葉@すばるの行方)
>99 514(森&五関@地獄のツーリング)
>105 >107-110 515−519(森&五関&風間@遭遇)【五関晃一 死亡 残り9名】
>118-119 520−521(森&風間@偽善者でもなんでもかまわねえよ!)【風間俊介 死亡 残り8名】
>121-123 522−524(森@プライドの問題)【森雄介 死亡 残り7名】
>142-143 525−526(松本・相葉@レーダー上で起こったこと)
>148-149 527−528(相葉@渋谷捕獲)

>154-155 529−530(萩原@朝になったら出かけよう)
>160-162 531−533(嵐・屋良・米花・秋山・生田・渋谷@合流)
>168 534(二宮&相葉&秋山@首輪を外しに海へ)
>183 535(萩原@夜明けを待つ)
>189 536(提箸@まだ逢いたくない)
>193-194 537−538(二宮&相葉&秋山@秋山の首輪データ抽出完了)
218ユーは名無しネ:01/10/19 03:36
間違ってないかな…。大丈夫かな…。

で、お引越しはどうする?
219ユーは名無しネ:01/10/19 03:57
ハイパーなきゃ不便という人はかちゅ導入をお薦めします。
板負担も減って保存する手間なくログも残せて便利よ。
あっ、ちっがーう!
もう一回過去ログ読み返してたら、気付いたのですが。

バトロワ6の674に
・明晩(6/20)AM0:00スタート。

とあったので、1日経って6/21にしたんだけど、
このリレー版始まったのって、7月…。
開始日って、6/20と7/20どっちが正しいんでしょう?
221ユーは名無しネ:01/10/20 00:51
そうか。もう3ヶ月になるね…。
222ユーは名無しネ:01/10/20 02:07
長いよね・・・すすまんよね(禁句)
223ユーは名無しネ:01/10/20 02:49
進む時は一気に進むのに、止まる時はぴたっと止まるね
224ユーは名無しネ:01/10/20 03:48
>223
それもこのスレの特徴よね。
3ヶ月も見てると、どんなとき止まってどんなとき回るか、
大体予測もできるようになったり。引越ししたら進むよね。多分。
225ユーは名無しネ:01/10/20 05:14
>220
私それずっと7月の間違いだと思ってたんだけど・・・。
6月の理由ないよね?
226ユーは名無しネ:01/10/20 10:20
今は重くなる事懸念して書かないだけだと思うけど。
227ユーは名無しネ:01/10/20 11:56
そんじゃキリがいいとこまでとかそんなこと言ってないで
引っ越しませんか?
228ユーは名無しネ:01/10/20 14:30
ひっこしましょう。
で、やっちゃっていいのかな?
ってこの時間に聞いてもしょーがないか・・。
229ユーは名無しネ:01/10/20 18:20
>225
やっぱりそうですよねぇ?
じゃあ、脳内変換でよろしくお願いします。

>228
お願いしまーす。
お手伝いしたいのですが今日は生憎、
出先のモバイルなので。
230ユーは名無しネ:01/10/21 02:24
引っ越しましょうっていってから
とまっとるがな
231228:01/10/21 14:36
ゴメン、実は私その後繋げなくなった… 明日になっちゃうから、誰かお願いします・・・(汗)
232ユーは名無しネ:01/10/21 15:48
じゃ、お引っ越しします
233ユーは名無しネ:01/10/21 16:03
234ユーは名無しネ:01/11/13 21:40
保全あげ
235ユーは名無しネ