33 :
エリート街道さん:
O157などの病原性大腸菌について
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/factor-ecoli.html 病原性大腸菌について
通常、大腸菌は人間を含めた動物の大腸内で増殖・生存している非病原性の常在菌です。
しかしながら、ごく一部は食中毒や下痢症などの病気を起こす大腸菌があり、これらを総称して、
病原性大腸菌と呼んでいます。
病原性大腸菌と非病原性大腸菌は、血清学的分類(抗原抗体反応でO抗原173種、H抗原57種)
で区別され、さらに、病原性大腸菌は、発病機序や症状によって5種類に分類されます。
34 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:14:27.08 ID:wR+FkCku
A.病原性大腸菌
1.腸管出血性大腸菌 ベロ毒素(ベロ細胞破壊毒素:2種類)を産生し、激い腹痛、血便や腎臓障害が伴う。
O157:H7、0111、O145、O26、O128、0103など
2.腸管毒素原性大腸菌
菌が産生する毒素(熱に弱い毒素と耐熱性毒素を産生する2種類がある)によって、下痢を引き起こす。
O169:H41、06、08、011、015、O27、O159など
3.腸管侵入性大腸菌 腹痛、発熱、血便などの赤痢様症状を引き起こす。
O28、029、0112、0143、0152、0164など
4.腸管病原性大腸菌
腹痛、下痢、発熱などサルモネラ同様の急性胃腸炎を引き起こす。多くの病原性大腸菌はこれに属する。
O26、0125、O126、0158など
5.腸管付着性大腸菌 血清型は腸管病原性大腸菌に属さないが、症状等が類似。
O44、0127、O128など
B.非病原性大腸菌
35 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:17:02.42 ID:wR+FkCku
腸管出血性(病原性)大腸菌O157について
【特 徴】
潜伏期間は4〜9日(平均5.7日)と長い。
初発症状は腹痛、水様性下痢で(いわゆる風邪症状)、発症後1〜2日で便に鮮血が混入し、
典型例では、便成分をほとんど認めない血性下痢となる。
発症後4〜8日で治癒するが、抵抗力の弱い5歳以下の乳幼児や高齢者は感受性が高く、
重症になると溶血性尿毒症症候群(溶血性貧血、血小板減少、腎機能低下による尿毒症を主症状とするもので、
致死率が高い)となることもある。
消毒剤や熱に弱い。(食品の中心温度が75℃・1分の加熱で死滅する)
少量の菌数(100個/g)で発症するので、二次感染を起こす恐れがある。一般的な食中毒では、
100万個〜1,000万個/gの菌量がなければ発症しない。
36 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:20:10.76 ID:wR+FkCku
【感染経路】
通常、家畜や感染者の糞便に汚染された食品や水が感染源となり、
これらを飲食することによって、経口感染する。
しかし日本においては、集団発生事例、散発事例とも感染経路が明らかになったものはなく、
さいたま市(旧浦和市)のしらさぎ幼稚園集団下痢症事件(1990年)についても、
汚染された井戸水が原因であることは究明できたが、
井戸水が腸管出血性(病原性)大腸菌O157にどうして汚染されたかは未解決である。
アメリカで1982年に集団発生した事例では、原因食品がハンバーガー、
さらに使用した生肉から、腸管出血性(病原性)大腸菌O157が検出され、感染源が特定されている。
外国では、原因食品が牛肉や牛乳等の事例が多く、人から人の感染例もある。
37 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:22:17.66 ID:wR+FkCku
【予防対策】
感染源は、家畜や感染者の糞便に汚染された食品、水、調理器具、手指であり、手洗いの励行や食品の調理、保存、
運搬時の衛生的な取扱いにより、細菌の汚染防止を図る。
特に、肉類を取り扱った場合には、二次汚染を防止するために、まな板・包丁・ふきん等の器具類は、十分洗浄した後、
熱湯や消毒剤を用いて殺菌する。
食肉等の食品の低温保存励行と調理時の十分な加熱を実施して、細菌の増殖抑制と殺菌を徹底する。
飲料水の衛生管理、特に井戸水や受水槽の取扱いについては注意し、定期的な水質検査を実施することにより、予防できる。
38 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:24:08.75 ID:wR+FkCku
【腸管出血性(病原性)大腸菌O157が疑われた時の対応】
医療機関の受診、特に乳幼児や高齢者は重症となる場合があるので、医師の診察を受け、適切な治療を受けること。
糞便を処理する時には、ゴム手袋を使用し、処理後は手指を逆性石鹸又は70%アルコールで消毒する。その際、二次汚染に十分注意すること。
糞便に汚染された器具や衣服等は、煮沸や薬剤で消毒し、衣服等については、家族のものと別に洗濯して、天日で乾かすこと。
39 :
エリート街道さん:2012/06/20(水) 22:28:59.74 ID:wR+FkCku
○埼玉県の腸管出血性大腸菌O157の検査体制について
腸管出血性大腸菌O157の検査法には、3種類の検査方法がありますが、埼玉県では、
腸管出血性大腸菌O157の検出率向上や確実な検査・解析を重視して、衛生研究所を中心に、
免疫磁気ビーズ法を組み合わせた方法、PCR法によるベロ毒素産生遺伝子検査を導入した最新の検査体制で実施しています。
【免疫磁気ビーズ法を組み合わせた方法】
腸管出血性大腸菌O157感染症が少量の菌量で発症する特徴から、
菌培養液中に腸管出血性大腸菌O157の抗体を塗布した鉄粉入りビーズを入れ、
培養液中の腸管出血性大腸菌O157をビーズに吸着させ、さらにこのビーズを磁石で集めて、
微量の腸管出血性大腸菌O157の検出率を向上させた方法です。
【PCR法】
polymerase Chain Reaction の略で、酵素反応を利用して試験管内で、遺伝子であるDNAを増幅させる方法です。
遺伝子の本体は二本の鎖が二重らせん構造となったDNAからなっています。DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、
シトシン(C)の4種類の塩基が、糖とリン酸の鎖の上に並んでおり、これが二重らせん構造となっています。二本の鎖は、
一方の鎖の塩基と他方の鎖の塩基が水素結合によって、A−T、G−Cの特異的な 組み合わせで構成されています。
この二本の鎖は非常に安定で、熱を加えると二本の一本鎖DNAに離れるが、温度を元に戻すと、
また前と同じ二本鎖DNAに戻る性質があります。PCRは、このDNAの性質を利用して、
温度を変化させることにより、目的とするDNA断片を増幅させる手技です。
腸管出血性大腸菌O157よるベロ毒素産生遺伝子の検査を実施して、ベロ毒素の確認・同定、汚染経路汚染源の特定に役立てています。