>>762 今探し出した。
中根千枝「タテ社会の人間関係 単一社会の理論」(講談社現代新書)という本では、
日本人の集団が、欧米人のそれに比べて、契約精神に乏しく、それよりも情緒的な人間関係が
優先されがちなことを前置きした上で、それが顕著に表れている例として、戦後日本でとみに盛んに
なった、いわゆる「学術調査団」における人間関係を挙げている。
かなり長いが引用させていただく。
>ヨーロッパ人による調査団というのは、まず、そのほとんどが何々大学などといわず、団長の名を調査団の名とし、
>団員は必ずしも団長の属する大学のスタッフとか、その弟子というのではなく、隊長が広く一般から最も調査団の
>目的にあっていると思う専門家を抜擢、招請することによって構成される場合が多い。
>したがって、隊長が以前少しも面識がなかった者などもはいっていることが多い。
>一度、団長と団員の間にコントラクトが結ばれると、その調査が終わるまで、団長と団員の関係は徹底したものであって、
>仕事に冠するかぎり、団長命令は絶対的なものとして服従される。
>たとえば、どんなに有名な写真家といえども、団員となった限り、団長(たとえ写真家より世間的にも知られておらず、
>年も若かったりしても)の指示のもとに一枚一枚の写真がとられる。
>しかし調査期間中でも、仕事に関係のないときは、たとえば、団員が夜どこへ遊びに行こうが、何をしようが全く自由である。
>仕事に関係のない行動について団長の意向をうかがう必要は少しもない。
>仕事に関するかぎりは、団長は自分の意志どおりに団員を動かして目的を達成できる。