【業界】IT業界を本気で脱したいその43【倒産】

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765名無しさん@引く手あまた
>>762
今探し出した。
中根千枝「タテ社会の人間関係 単一社会の理論」(講談社現代新書)という本では、
日本人の集団が、欧米人のそれに比べて、契約精神に乏しく、それよりも情緒的な人間関係が
優先されがちなことを前置きした上で、それが顕著に表れている例として、戦後日本でとみに盛んに
なった、いわゆる「学術調査団」における人間関係を挙げている。
かなり長いが引用させていただく。

>ヨーロッパ人による調査団というのは、まず、そのほとんどが何々大学などといわず、団長の名を調査団の名とし、
>団員は必ずしも団長の属する大学のスタッフとか、その弟子というのではなく、隊長が広く一般から最も調査団の
>目的にあっていると思う専門家を抜擢、招請することによって構成される場合が多い。
>したがって、隊長が以前少しも面識がなかった者などもはいっていることが多い。
>一度、団長と団員の間にコントラクトが結ばれると、その調査が終わるまで、団長と団員の関係は徹底したものであって、
>仕事に冠するかぎり、団長命令は絶対的なものとして服従される。
>たとえば、どんなに有名な写真家といえども、団員となった限り、団長(たとえ写真家より世間的にも知られておらず、
>年も若かったりしても)の指示のもとに一枚一枚の写真がとられる。
>しかし調査期間中でも、仕事に関係のないときは、たとえば、団員が夜どこへ遊びに行こうが、何をしようが全く自由である。
>仕事に関係のない行動について団長の意向をうかがう必要は少しもない。
>仕事に関するかぎりは、団長は自分の意志どおりに団員を動かして目的を達成できる。
766765:2009/06/06(土) 17:57:11 ID:V9LOFHHo0
引用続き。

>しかるに、日本の学術調査団にあっては、まず、コントラクト形式などをとって寄り合い世帯的団員構成をもった場合、
>ほとんど例外なく失敗を招く。失敗とまでいかなくとも、仕事の能率は悪く、感情的な人間関係にすっかり精力を使われ、
>予定した仕事が少しもスムーズに運ばず、ものすごい苦労をする。
>こうした調査団はたいてい仲間割れをしており、団長は悪口雑言の対象以外の何物でもなくなってしまう。
>日本では、立派な(?)大学教授も、現地人や外国人の前で喧嘩をし、いがみあって汚名を土地に残してしまうような結果となる。
>これではどんなに優秀な団員からなり、十分な費用をもっていっても、仕事の成果はさっぱりあがらないのである。
>これに対して、リーダーが長老格の教授で、その愛弟子ばかりを団員とした調査団ほどうまくいっている。
>こうした隊では、どんなに貧しい調査費でも、どんなに苦しい環境にあっても、目的を遂行しうるのである。
>それは、われわれの団長(師)のためにはあらゆる犠牲をいとわないといううるわしい(日本的な意味)積極性が団員にあり、
>一方、「かわいい奴らだ」という限りない弟子へのいつくしみにささえられた団長の思いやりがある。
(中略)
>この学術調査団のあり方にも明らかなように、親分・子分というものに象徴される人間関係は、
>政治家やヤクザの世界ばかりでなく、実際、進歩的思想の持ち主だとか、文化人と自他ともに認める人々や、
>大学で西欧の経済や社会について講義をしている教授たち、あるいは最先端をゆく大企業の中で働いている人々の中にも、
>みられることが指摘できるのである。
>そしてこの根強い人間関係のあり方というものは、決して、従来説明されてきたような封建的などという簡単なものではないし、
>工業化とか西欧文化の影響によって簡単に是正されるものではない。

今となっては、やや誇張している感はあるが、それほどズレた指摘でもないと思う。