1 :
名無しさん@引く手あまた:
僕はセックスを終え、タバコに火をつけ
やれやれと思いながら、今日の面接を思い出した。
今日は食事をしてなかったのを思い出し、スパゲッティを
茹でだし、ワイングラスを手にとった。
2 :
ホモの歌を聴け 某ホモサイトより転載:02/09/19 03:10 ID:/5fVQhXE
僕はでかいチンコに唇をつけたまま黙って頷いた。馬はそれっきり
口をつぐむと、カウンターに載せたキンタマを蝋燭にでも当てるような
具合にひっくり返しながら何度も丹念に眺めた。
2つのキンタマを順番どおりにきちんと点検してしまわないうちは
次のセックスは始まらない。いつものことだ。
僕達はお互いに気持ちのいいサーヴィスをしあって、大量に射精した。
・・・残念ですがここでは盛り上がらないとおもいまふ
3 :
1:02/09/19 03:15 ID:ameu6M3G
4 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 03:22 ID:ameu6M3G
ナカザワさんは面接のあった晩は必ずセックスをするらしい
僕もなんとなく、その気持ちはわかる。
僕のセックスも転職活動の1部に組み込まれているような気がした。
イヤ、セックスが転職そのものだ。
猫のエイブリックが気持ちよさそうに眠っていた。
5 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 04:12 ID:4DvW0axR
猫のエイブリックにワロタ
6 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 04:46 ID:vQYFA/8K
羊男は「就職なんてしなくてもいいじゃないか。」と言った。
僕は激しく同意したが、もちろん、それは強がりというものだ。
いつまでもこのイルカホテルに引き篭ってるわけには逝かない。
今すぐにでもハロワに逝くべきだろう。
やれやれ・・・いつものように僕は深いため息をついた。
だって村上春樹が好きな人間が、就職なんて出来るわけないじゃないか?
7 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 04:56 ID:/5fVQhXE
8 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 12:17 ID:KNkChaFt
その会社はあるビルの地下10Fにあった。
地下3Fからは、階段で行かなければだめだ。
羊男が、途中で僕を案内してくれた。
胸章には、人事部係長とあった。
羊男が「たいへんな時代ですね、何社ぐらい受けましたか?
あっ面接前にビスケット食べます?」とフサフサした手からビスケットを
とりだした。
コッンコッンと2人の階段の音が甘く響いていた。
9 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 12:22 ID:FLEe2Qwm
10 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 16:58 ID:R75G8cD/
海のカフカあげ
11 :
某スレの1 ◆81FdCPko :02/09/19 21:52 ID:6C0qMmOP
転職という言葉は僕にとって何の意味も持たないような気がする。
そもそも僕にとっての「転職」とは洗面所の鏡に写った世界で読まれている
おとぎ話のように現実味のないものだと思っていた。
あの日までは・・・
そういや昔、こういうスレどっかの板で見たな・・・。
13 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/19 23:25 ID:Xigy2tTa
僕の若いころは、転職はそのへんに転がってる石の様に
タダであるつけることができた。
14 :
13:02/09/19 23:56 ID:Xigy2tTa
であるつけることができた。×
でありつけることができた。○
僕は女の子にペニスを舐めてもらいながら、ハロワの職員羊男の言葉を思いだした。
「私のこの仕事はパートタイムなんですよ、これが終わればドーナツを焼いてます
アツアツでおいしいですよ。」
15 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 16:07 ID:gF9YyL65
ペニスを引き抜いた僕はハロワへ出かけた
うんこがついたまま。
僕は
>>14がドーナツの作り方を知らない事を見抜いた。
ドーナツは揚げるモノだってことを。
僕は・・・で何となくさらっとした文章を書けば、
とりあえず何でも春樹になってしまう罠
19 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 18:49 ID:0oWw8z+R
フェラとか自慰の場面が必ず出てくるようなイメージがある
>>1 セックスは、英語で「SEX」と
タバコは、漢字で「煙草」と
スパゲッティは、「パスタ」とする方が
文面が良くなると思われ。
チョッと気になったので。
失礼。
21 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 20:29 ID:A8R6dACE
22 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:12 ID:bB1H2MDm
23 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:17 ID:pUYkYfNr
はなしを戻そう。
たぶん、僕の思い違いかもしれないけど今日の面接官、僕に気があるかもしれない。
はい、次。
24 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:19 ID:AqVrSAUg
やれやれ
25 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:25 ID:L6ecolTi
履歴書には携帯番号も書いてたので
就職よりも、面接官からのセックスの誘いを期待しながら、オナニーを
始めた。
26 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:27 ID:poNLmw7O
>25逝って良し
27 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:28 ID:pUYkYfNr
すると突然、携帯が鳴った。
まさか、と思いつつも出てみると今日の面接官だった。
やれやれ、どうしてこんなクソスレが立ってしまったのだろう。
29 :
てきとう:02/09/20 22:31 ID:au1ixyzI
「井戸を掘ってみるんだ」
受話器の向こうの声は言った。
「何のことですか?」
煙草を置き、受話器を持ち替えると
すでに電話は切れていた。
掘る。僕を掘りたいのだろうか。
30 :
29:02/09/20 22:32 ID:au1ixyzI
あ 携帯だった、ははは
31 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:34 ID:pUYkYfNr
↑
はい、やりなおし。
32 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 22:35 ID:q0/jcWJc
絶望の日本タイムリードについて語るスレ
1 :名無しさん@引く手あまた :02/09/13 22:48 ID:2+dhg3Fz
ワンマン社長が「社業は自己の成長のためにあるのだ。」
とのうたもう。それはいいのだが、入社金を社員からとるのは堪忍
して欲しい・・・。
他にもおいおい語るわ。
3 :1 ◆EFd5iAoc :02/09/14 07:43 ID:BMA+wuXa
社員料は流石にないが20代前半で額面が15万です。鬱です。
5 :1 ◆EFd5iAoc :02/09/14 23:03 ID:L+ap4oog
ビル清掃です。
6 :1 ◆EFd5iAoc :02/09/15 05:54 ID:8mvuiv2m
毎日清掃にいく前に、事務所で水ごり、その後、正拳突き200本です。これはきついです。
まあ、身体は健康になりますがね。
16 :1 ◆EFd5iAoc :02/09/15 09:50 ID:eEm8v7aI
社員は・・・社長の知り合いとか思想に共鳴したとか、
人脈による入社組みが3割くらい。
やはり、仕事(ビル清掃!)を通じて自己の成長を図ると考えている人もいますね。
普通2交代、3交代でシフトに入りますが、自分のシフトが終わっても続けて
無給でシフトに入る馬鹿もいますし、そういう奴に限って、
「今月は給料10万円でいいです!」
とか抜かします。
27 :1 ◆EFd5iAoc :02/09/17 22:31 ID:qqTrlV51
今日はつかれました・・・。
給料10万でいいといっていたアホが社長にすりより、
一緒に働いている人間の勤務態度を御注進。
おかげでいつも以上にきびきびと動かなければ
ならず、気づかれしました。
どちらかっていうとクール系なんです。漏れ。
33 :
29:02/09/20 22:35 ID:au1ixyzI
34 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/20 23:14 ID:D/+K7xga
電話は突然切れた
僕は呆然としたまま、ビールを取り出し、
ビーチボーイズのレコードをかけ、ナオコが来るのを待った。
1時間後、ナオコがやってきた
「面接どうだった」
「まぁまぁだよ」
2人で食事をし、ワインを飲み終え
今日の電話のことをかんがえてると
ナオコがジッパーを下ろし、熱くなったペニスを口に含みだした。
はい、次
35 :
ねずみ男:02/09/21 00:16 ID:Qz+NdvJ2
なぜこんなに黒ずんでしまったの、とナオコは訊いた。
何はともあれ僕のペニスは確かに勃起していたし黒ずんでいた。
確かに、と僕は言った。黒ずんでいる。
オナニーやセックスを長い間やりすぎることでペニスは黒ずむの
かもしれない。
突然何かが繋がった。
今日の面接、そして突然切れた電話。それから僕のペニスの黒ず
み。
繋がっている。
僕の中でそれまで不確かだったものがこのとき繋がった。
いろんなものごとがひとつの場所に結集し始めている。
はい、次。
36 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 00:19 ID:kjZHdK5w
ん?この板は下ネタ板だったのか。さいなら。
僕はアパートの前に立つと一つ深呼吸をした、部屋入った自分を想像してみる。ぬるいビールを飲みしっとりしたベットに横たわる
それを思うと自分がずっと遠くまで来た気がした、またブラックか、醒めた自分がいた
ハイ次
38 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 00:42 ID:zcmCqtf2
>ねずみ男
オモロすぎ、才能あるよ
39 :
なかたさん:02/09/21 00:48 ID:HGGFBV5Y
そのままそこにとどまると自分が損なわれる気がしたんです。
面接官に言って僕は赤くなった。
40 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 00:51 ID:zcmCqtf2
ナオコは僕の隣ですやすやと眠り始めた。
僕は突然何かに襲われはじめた。
僕はなんて孤独なんだ。
ナオコとはSEXする関係だけだし、嫌いではないが、愛していない
親しい友達も得にいない
まして、無職だ。
深い孤独の穴が僕を引き込み始めた。
自然に涙があふれ出した。
41 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 01:09 ID:zcmCqtf2
僕は旅に出なければならない。
それは、しなければならない行為なんだ。
煙草をポケットに押し込み、ナオコの寝顔を見ながら、
僕は部屋を後にし、駅へと歩きだした。
もうココへは、戻らないかもしれない と感じながら・・・・・・・・
ハイ次
ずいぶんと長い時間、僕は電車に乗り、
はじめからその駅が僕の目的地だったかのように電車を降りた。
僕が本当にいかなくちゃならないのはこんな私鉄沿線の町じゃない。
でも僕はどうしてだろう、と思いながらも改札を通り過ぎてしまっていた。
駅前のファーストフード店では高校生が集まってむだ話ばかりしていた。
そんな郊外の町では、大人だってきっとそういう暮らししかしていないのだろう。
僕は泥水のようなコーヒーを飲み、店を出ると駅前でティッシュを配っていた
若者にたずねた。「ハローワークは、どこですか?」
sageつつ、次ドウゾ。固くなりすぎたので、できれば、次でボケて(w
43 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 02:50 ID:kALzFbug
若者は「ハローワークて何ですか?」と答えた
僕はハローワークを認識する人間と認識しない人間に2極化されてる
現実に初めて気づいた。
それは、永久に交えない天と地の果ての様に
44 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 02:58 ID:kALzFbug
僕はハローワークをさがすのを諦め、目の前の本屋にフラリと入った
何気なく、神戸のガイドブックが眼に入り、買うことにした。
神戸に行こう、その事について意味なんかない。
別に意味を求めての旅なんかじゃないんだよと自分に言い聞かせた。
45 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 03:05 ID:kALzFbug
僕は大きなバスターミナルのある駅まで出て
長距離バスで神戸まで出ることにした。
途中ナオコから携帯に電話があった。
「あなた何してるの?会社から面接の電話があったわよ」
「うん、ちょっと当分ソッチには戻れないと思うよ」
「フーン、早く帰って来てね、アタシ行きたい所があるのよ」
そこで電話が切れた。
僕と以前の生活に戻れるかどうかの分岐点だったかもしれない
駅前の銀行で金をおろし、バスに乗り込んだ。
46 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 03:33 ID:cLkUP0vt
始発からの乗客は僕を含め5人だった。
静岡を過ぎる頃から、乗客は半分ぐらいになり、そこで僕はオオヤマさんと
出会うことになる。
オオヤマさんはサングラスを掛け、薄いヒゲを生やしていた。
僕のひとつ前の席に座り、煙草を探してるようだった。
「ライターしかないよ」
僕は煙草を勧め、オオヤマさんは僕にビールを勧め
隣の席に座ってきた。
シリアス展開になりすぎた。
違う方向で次の方
47 :
ねずみ男:02/09/21 05:49 ID:Qz+NdvJ2
「オオヤマはセブンスターが好物であります。でもマールボロも
好物であります」
とオオヤマさんは言った。
僕のすすめたマールボロをオオヤマさんは実にうまそうに吸った。
オオヤマさんのうれしそうな顔をみているとまるで春の熊のようだ。
無職の僕でもなにか人のためになるのはいささかうれしいものだ。
「オオヤマはセイカツホゴというものをもらっているであります」
とオオヤマさんは周囲の乗客に聞こえるような大声で突然言った。
僕はその迷惑な大声にいささか辟易させられる思いがしたのだけれど、
嵐の夜の灯台のようなきらめきに似た光が差してくるのがわかった。
そうか、その手があったか!
セイカツホゴ、と僕は思った。これなら何はともあれうまくいく。
オーケー。あとはセイカツホゴを申請する事務的な手続きを考えれば
いい。
でももう僕は後戻りできないところまできている。
神戸、と僕は思った。そう、西へ急がなければならない。
セイカツホゴを受けるわけにはいかない。
はい、次
48 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 13:49 ID:VnM/9pgU
オオヤマさんは実に興味深い人だった。
セイカツホゴを受ける前は、バリバリの商社マンでデュセルドルフに5年
駐在していて、ドイツ人の女性と結婚していて、7ヶ国語を自由に操る
人だ。
「オオヤマは、妻と離婚しまして、今回は京都の弟の家でしばらく
休息をする予定です。イイ女でしたけど」
またマールボロをオオヤマさんは実にうまそうに吸った。
「神戸の帰りは是非ウチに寄って下さい。」
僕達は携帯を交換しあった。
やれやれ、 僕は何してるんだ。
49 :
なかたさん:02/09/21 16:00 ID:h4qq8pE1
終点の駅で僕らは電車を降りた。
「オオヤマさんはどちらに行かれるのですか?」
僕は思いきってたずねた。
「行ってみないことにはオオヤマにもわかりません。」
「そこに行けばわかるのですね?」
「はい、そこに行きさえすればわかります。」
そこに行きさえすればわかる
そんな会社が僕には見つかるだろうか。
50 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/21 19:13 ID:ZTWMoA0l
僕は神戸に着いて、近くの喫茶店で昼食をとった。
エスプレッソを頼み、煙草に火をつけた。
窓の外では、サラリーマンの群れが行き交っていた。
あてもなく、異人館に行く事にした。
途中、雨が降り出し、大きな木の下で雨宿りをしながら、しばらく待っていた
赤い帽子をかぶった女の子が、木の下に駆け込んできた。
「スゴイ雨だね」
「スゴイ雨よ」
「近所の人?」
「うんん、遠くから」
「どこへ、行くの?」
「考え中なの」
僕は、猛烈にこの女の子と寝たいと思った。
動物的勘で女の子もたぶん、僕と寝たいと思ってるに違いない。
SEXの予感を2人とも、感じながら、僕達は雨が止むと
同じ方向へ歩きだした。
春樹的セークス描写、次の方キボンヌ
神戸に到着した僕はとても久しぶりにジェイの店を訪ねた。
彼は何もいわずに僕を迎え入れると、
ビールをカウンターに置くときになってはじめて口を開いた。
何もいわなくても他人に理解してもらえる存在は、
このところ面接官と直子へのいいわけに終始していた僕にとって貴重なものだった。
「ひさしぶりだね」僕は冷えたビールを口にすると聞いた。
「ねえ、ジェイ。無職になったことってあるかい」
「あるとも。職業安定所にもいったことがあるよ」
ジェイはグラスをひとつ磨きあげると次のグラスを手にしながら言った。
「僕にはどうも耐えられそうにない。職業安定所の空気が苦手なんだ」
「あんた、つらそうだね。でもあたしは思うんだよ。
無職のときは本来殺伐としたものであるべきだって。たとえば吉野家というのがあるだろう?
あれと同じさ。カウンターで向き合う者どうし、いつ喧嘩が始まってもおかしくない。
刺すか刺されるかの・・・(中略)・・・ってこった」
僕は新しいビールを注文すると、ジェイの言葉についてしばらく考えてみた。
僕には理解することができなかった。
吉野家だって?僕にアルバイトでもしろというのだろうか
52 :
51:02/09/21 19:32 ID:B1/ngswf
いかん、50さんの部分を見ないで、カキコしてしまった。スマソ
53 :
ねずみ男:02/09/21 22:20 ID:Qz+NdvJ2
短い間にいろんなことが起こりすぎる。
昨日の面接、突然切れた電話、ナオコに指摘された僕の黒ずんだペニス。
これらのものごとに繋がりをみつけ僕は西へむかった。
あるいはまるで終わらない転職活動に愛想をつかして現実逃避している
だけなのかもしれない。
それから僕はオオヤマさんや赤い帽子の女の子と出会ったのだった。
そう、僕はいま、神戸にいる。
そして出会ったばかりの赤い帽子の女の子を連れて一息つきビールを
ジェイの店で飲んでいる。
そう、僕は何はともあれ無職だ。
好むと好まざるとに関わらず。
吉野家でアルバイトをしろというふうにしか解釈できないジェイの言葉を
最後に、僕はジェイの店を出た。
わからない、と僕は思った。わからない。
ジェイは僕に何を伝えたかったのだろうか。
僕は赤い帽子の女の子と適切なラブホテルへむかった。
すでに僕のペニスはかたく勃起している。
オーケー。問題はない。熱いシャワーをあびセックスをしてぐっすり眠り
明日になればすべて解決する。
僕はそう自分にいいきかせてみた。
ほんとにそうだろうか?
54 :
50:02/09/21 23:21 ID:pW+dEo+z
ねずみ男さん>>
スゴイよ、よく51の流れから
ストーリー繋げたね
セックスの続きキボンヌ
55 :
51:02/09/21 23:54 ID:aXvnFjx/
漏れも感服。
56 :
ねずみ男:02/09/22 00:30 ID:Tm9pyrrW
ふうむ、と赤い帽子の女の子は言った。なぜこんなに黒ずんでいるの。
好むと好まざるとにかかわらず僕のペニスは確かに黒ずんでいた。
それからもちろん陶器のようにかたく勃起していた。
たぶん、と僕は言った。オナニーやセックスをやりすぎるとペニスは
黒ずむ。
なるほど、と女の子は言った。オナニーやセックスをやりすぎるとペ
ニスは黒ずむ。メタフォリカルな仮説として。
赤い帽子の女の子は、さくら、と名乗った。
さくらは実に手際よかった。
僕の着ているボタンダウンシャツを脱がせボクサーショーツをとった。
そして僕のペニスを口に含む。同時に睾丸をそっと手のひらに包んだ。
やがてさくらはあおむけになった僕のからだの上に移動してきた。
そして自分のからだに僕のかたくて黒いペニスを導き腰を左右にくねら
せた。そして僕は彼女をあおむけにして何度も彼女の体温を明確に感
じた。
当社にどのような印象を持っていますか、英語はできますか、何か質問
はありますか、といった面接官に訊かれた内容がよみがえってくる。
僕はここにいる、と僕は思った。無職だけれど確かに僕は生きている。
失業保険も切れそうなのだけれど、何はともあれ僕のペニスはかたく
勃起し彼女に受け入れられている。
しばらくして僕は射精した。さくらの中に3回ほど。
そこで携帯が鳴った。
非通知設定だった。
「カーボーイだけど」
と電話の向こうから声が聞こえる。
カーボーイ、と僕は思った。そんな知り合いはいないぞ。
「神戸にいるそうじゃないか、ビーフカツレツは食べたのか?」
「僕にはあなたが思い出せないんです、いったい誰ですか?」
男は答えず、続けた。
「ナオコに聞いたのさ、あんたの行きそうな所は三ヶ所しかない。
神戸、それからあとは聞いたが忘れた」
男はテレビを観ながら喋っているらしい、テレビのノイズの方が男にとって今
大事なもののようだった。
「僕にどういう用ですか?」
「テレビを点けてみろ」
探偵ナイトスクープだった。これをみると、帰ってきたのだなと思う。
あぁ、あぁ・・・
「お前に会いたいって物好きな人事部長がいるのさ、
俺はスカウトってわけだ」
いつのまにか僕は姿勢を正して男の言葉を聞いていた。
「ナイトスクープが終わるころにはそちらに着けると思う、神戸か、楽しみだ」
あの、と僕の言葉を聞かずに電話は切れてしまった。
さくらの小猫みたいな寝息が聞こえた。
テレビでは西田局長が泣いていた。
58 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/22 01:37 ID:Cuzg2S4k
携帯が鳴った。
「カーボーイだ。さっき神戸についたら、綺麗なオンナを観て欲情してしまった
んで、福原てあるだろ? 知らないのか? ソープだよソープ
ソッチいってオンナに背中でも流して貰うことにした。予定変更
明日な、午前10時に神戸市役所の前でな デカイ役所だよスグ分かる
それにしてもオマエ、ソープだよソープ」
電話は突然切れた
僕は冷蔵庫から、冷えたバドワイザーを取り出し、グラスに注ぎこんだ
59 :
ねずみ男:02/09/22 01:41 ID:Tm9pyrrW
神戸市役所の前。
神戸に来る前にハローワークにいくのをあきらめて私鉄沿線の本屋で
買った神戸のガイドブックについている地図を調べてみると、指定され
た場所はこのラブホテルから歩いていける距離だ。
いろんなことが短い間に起こりすぎる、と僕は思った。ただ面接から
逃避してきているだけなのに。
さくらはセックスのあと規則正しい寝息をたてて実に満足そうに眠って
いる。さくらの寝顔には確固とした眠りに対する意思のようなものが感
じられた。
僕はノートを開き、1ページ目の真ん中に1本のラインを引いた。
それから右側に僕が失ったものを書き始めた。
内定をもらうまでは確実に損なってしまっているもの。
給料、健康保険、401K型年金の積み立て、そして社会的信用。
そして左側に僕が得たことを書こうと試みた。
僕は無職になってから一体何を得たというのだろう。
睡眠、睡眠、睡眠。
僕は失ったものの膨大さにあぜんとさせられる。
北極の白クマがハンマーをもってきて僕の頭をなぐり何度も眠り
にいざなうのを僕は感じた。
おやすみ。
60 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/22 01:57 ID:Cuzg2S4k
翌朝、起きてみると、さくらはいなかった。
そのかわり、置手紙とコンドームが冷蔵庫の上にあった。
すごい良いセックスだったわよ、あなたはどうだった?
あなたは、これから神戸で5人の女の子とセックスしなければ
ならないの? 何故かて、それは5人の女の子とセックスすれば分かるわ
僕は手紙を読み終えた、5人の女の子とセックス?
自慢じゃないが、ナンパはしたことがないし、この東京弁が
関西の女の子に良い印象があるわけがない
やれやれ・・・・・・・・・・
61 :
ねずみ男:02/09/22 02:58 ID:Tm9pyrrW
「人間の態度がその人の人生をある程度変えることがある」
とカーボーイは言った。
神戸市役所の前。午前10時。
カーボーイは、カーボーイハットにベージュ・チェックのPコートといういでたち
だった。完璧なカーボーイだった。僕は東京でもちろんみたこともないし、テ
レビや映画をみていささかイメージがある程度だったけれど、完璧なカーボ
ーイだった。それにしても、と僕は思った。こういう立派なベージュのチェック
自体みたこもなかった。あるいは探偵ナイトスクープがらみなのかもしれない。
「きみはわしのいっていることがほんとにわかるのかね」
とカーボーイは言った。
僕はいささかふてくされて言った。「自分の態度がある程度自分の人生に影響
することがある」
「いいか。きみはこの先ある女の子と出会う。そのとききみは、ハイ!この子で
す!といわなければならない。たとえまわりにたくさんの人がいてはずかしくても
ね」とカーボーイは言った。
さくらの書き置きにあなたは5人の女の子とセックスする必要があると書いてあ
ったことことを僕は思いだした。確かに、と僕は思った。あるいはさくらの言った
5人の女の子と関係があるのではないか、と。
昨晩のソープ、どんな感じだったですか?と僕が訊こうとするとカーボーイは人
ごみの中に消えた。あるいはぼったくられたのかもしれない。
やれやれ、ひとまず図書館にでも行くか、と僕は思った。
ねずみ男 >>
あんた、スゴイよ
あんた以外の人が何書いても、的確な流れにそった、
ストーリーを繋げてくる。本流から分流に行きかけたアヒルの雛を
親鳥が連れ帰すみたいに・・・・・・・
63 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/22 03:48 ID:JQll3v+d
図書館につくと、僕は何故か日本史の棚に向かった。
全く意味はない、ただその日は日本史だったのである、明日なら英国史
明後日なら、トルコ史かもしれない。
僕は、戦国大名の領国支配て本を選び、読み始めた
上杉謙信まで読みかけると、もう2時間は過ぎていた。
隣の女の子は熱心に「織田家家臣団要覧」を読み、ノートになにやら書き込んで
いた。大学生らしく、薄いピンクのスカートにTシャツとスニーカー
典型的な大学生の女の子だ。
僕は売店に行って、恐ろしく甘い缶コヒーを買い、
喫煙室で煙草を吸いながら、本の続きを読み始めた。
織田信長の所で、さっきの女の子が喫煙室に入ってきた。
はい、次
64 :
ねずみ男:02/09/22 04:27 ID:Tm9pyrrW
>>62 スマソ。
ただテキトーにカキコしているだけであります。
ただでさえろくでもない転職活動。
すこしでもたのしくやりましょう。
65 :
ねずみ男:02/09/22 05:31 ID:Tm9pyrrW
ニワナガヒデ、と僕は言った。
ニワナガヒデ、と薄いピンクのスカートにTシャツとスニーカーの彼女は繰り返した。
織田信長家臣団の軍団長の名前だ。僕は彼女の気をひこうと思っていつになく饒舌になった。
戦国時代ってさあ、と僕は言った。現代日本の資本主義社会ととても似ていると思うんだ。
ふうむ、と彼女は言った。私はだいいち大学生だし実感というものが湧かないの。ただ事務的に
卒論を書き卒業の資格をもらう。ただそれだけなのよ。彼女はフロンティアマイルド・メンソールに
火をつける。
つまり、と僕は言った。こういうことだ。室町時代から続く守護大名が由緒ある大企業。だけ
れど地侍やわけのわからないの振興勢力が力を持つことがある。サイトウドウサンやホウジ
ョウソウウンは力のあるベンチャー企業だ。そんな中で誰が天下を取ったと思う?あるいは
天下を取った人におべっかをつかって明治維新まで生き延び男爵の位をもらって2002年
まで生き延びていると思う?
なるほど、と彼女は言った。確かにヒデヨシやイエヤスは天下を取ったわね。
ヒデヨシにしてもイエヤスにしても、と僕は続ける。ヒデヨシは水のみ百姓だったけれど結局は
織田家臣団という会社組織に属して初めてチャンスをつかんだ。イエヤスにしても晩年になっ
て天下を視野にいれたけれど彼をささえていたのは三河武士団という田舎くさく結束の固い組
織だった。もしも、と僕は言った。彼らが何の組織にも属していなかったなら。
つまり、と彼女は言った。戦国とはいえども最終的には何らかの組織に属すことが必須条件。
食べていこうと思ったら。無理なら自分で会社をおこすというか。そしてあわよくば資本家の道
を目指す。あるいはルンペン。
そこで僕に無力感が襲う。
僕は何はともあれ無職だ。
この戦国時代に立ち向かえるのだろうか。
しかし何はともあれ、薄いピンクのスカートにTシャツとスニーカーの彼女との会話は尽きること
は無かった。
66 :
なかたさん:02/09/22 08:48 ID:WHD8F4DE
あなたは組織に所属しているの?
まるで会話を終わらせたいあひるのように彼女は唐突に僕に質問した。
あひる?あひるでさえも群で行動するし、
あるいは僕もかつては家族という組織に所属していたのかもかもしれない。
家族・学校・会社、人は成長の過程にはなんらかの他人とのやりとりが必要
なのだろうか。就職?自分とのやりとり?生活すること?僕の頭の中を再び北極熊
が歩きはじめた。
ねえ、ひどい顔色だけど?
我に返ると、彼女が僕の顔をのぞき込んでいた。
空腹なの?よかったらうちによらない?あくまで都合がよかったらの話だけれど。
僕に断る理由なんて見つからなかった。だって僕は無職なのだから。
数時間後、僕は彼女の家にいた。こざっぱりした気持ちのいい部屋だった。
67 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/22 10:26 ID:pzxA142z
パスタ料理が得意なの!
彼女はなんだか嬉しそうだ。たぶん料理が好きなんであろう。
彼女が料理にとりかかったので、僕はベランダで空を眺めることにした。
空を見ているとなぜか心が落ち着き、何の根拠もない自信が沸き起こってきた。
そう!僕はできる!成功する人間なんだ!この世は僕中心の世界なんだ!!
このような思考状態になったときの僕はまさに無敵だ。
なんでもプラス思考になる。
黒ずんだペニスも、いつの間にか転職活動からそれたのも、
なぜか神戸にいるのも、全て許せる。
というか、感謝したいぐらいだった。
できたわよ!
嬉しそうな彼女の声が聞こえてきた。
68 :
てきとう:02/09/22 18:57 ID:Imv4wExJ
待たされたわりには、
出されたのは缶入りのソースをかけただけの、
スパゲテイミートソースだった。
ふむ。僕は黙って赤いギンガムチェックのテーブルクロスの掛かった
テーブルに着いた。
「もったいぶるのが好きなのよ」
彼女はバドワイザーを二本冷蔵庫から取り出した。
「有り難いね、おととしから何も食べてなかったみたいな気分なんだ」
彼女はにっこり笑ってバドワイザーをちょっと上げてみせた。
ものすごい全能感を持つ事もあるし、その直後に鬱に突き落とされたりもする。
どちらにも、はっきりとした原因があるわけではない。何故か、そうなるのだ。
絶え間無く掃射される不採用通知を避け、見てみぬふりをし、
あるいは返送された履歴書の写真を剥がしながら、僕は自分に言い聞かせるのだ。
そう!僕はできる!成功する人間なんだ!この世は僕中心の世界なんだ!!
みじめだと思われるかも知れない、否定はしない。
食後に彼女はクッキーを出してくれた。
「フォーチュンクッキーよ、中華街に行ったらいつもこれを買ってくるの」
彼女は小さな口でクッキーを砕き、細長い紙片を取り出した。
「出会いはすぐそこに、ですって。あなたは信じる?あなたの分はどうかしら」
僕もクッキーを割ってみた。出てきたのはピンクの、お楽しみ券だった。
僕は彼女を見た。
「何でも好きな事していいのよ、ただし使えるのはこの部屋のなかでだけ」
次。
69 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 04:38 ID:y3pNqSdZ
彼女はそのあどけない顔からは想像できないほど積極的だった。
!?
突然彼女は行為を止めた。どうして・・?意外な言葉が返ってきた。
「だってペニスが黒いんだもん。」
そういえば彼女は標準語だ。ここは神戸なのに?
という問題ではない。黒いペニスが嫌な女がいたなんて・・・。
しかしその瞬間、僕は悟った。
黒いペニスが好きな女もいれば嫌いな女もいるように、
俺を必要としない会社もあれば、必ず必要とする会社はあるはずだと・・。
逃げずに仕事を探さなければ・・・
僕は彼女にお礼を言い、彼女の家を出た。
こいつ大丈夫か?と言いたげな彼女に別れを告げて・・。
もちろん目指すはハローワーク。
でも神戸のハローワークに行っていいのかな?
また不安が襲ってきた。
70 :
漢@むりじろう:02/09/23 07:44 ID:h1sI86uO
図書館で控えておいたハローワークのナンバーの書かれた紙切れを取り出し、
電話をかけようとしたとき初めて、携帯電話を忘れてきた事に気付いた。
公衆電話を探し、神戸の街を歩いた。
しばらく歩き続けると、公衆電話という目的と神戸を歩くという手段が
反対になっていることに気付いた。
ジーンズのポケットに手を突っ込み小銭を手の平に広げると、
280円あった。それを手のひらで弄んでいると
タバコを吸うのを忘れていた事を思い出し、自販機を探した。
それは簡単に見つかった。
公衆電話は3時間経っても見つからないのに、
タバコの自販機は思ってすぐに見つかった。
そんな事を考えながら自販機を見上げるとそこにマルボロはなかった。
マイルドセブンなら250円だし、以前に吸っていた。そう思ったが、
今回だけは妥協したくなかった。
タバコはマルボロ。幸子はエリーゼ。
缶コーヒーを手にして空を見上げた。
何年ぶりに見上げる空だろう。
毎日のイソガシサに追われ、大切な物が見えなくなっていた自分がいた。
ハイ、次
71 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 09:47 ID:y3pNqSdZ
ようやく公衆電話を見つけ、電話しようとしたが、思いとどまった。
関東在住の僕が、なぜ神戸のハローワークへ!?
どうも感情が昂ぶりすぎて、急かした行動になってしまったみたいだ。
冷静な判断ができていない。無職だから仕方ないか。
冷静さを取り戻すうちに、さくらの書き置きにあなたは5人の女の子とセックス
する必要があると書いてあったことことを僕は思いだした。
カウボーイから言われた、ハイこの子です!と言わなければいけないことも・・。
これらのことは、僕になにをもたらすのであろう?
というか、意味あるのか・・・・?
とりあえず、携帯電話をとりに、学生の女の家に戻ることにした。
72 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 10:48 ID:2lFAMRj5
このスレ、すごいよ!
村上春樹を読むと、仕事する気が無くなるよね。
たいていの主人公は無職か金に余裕のある状況になってる。
現実はなかなかそうはいかないけど。
猫でも探すか。
73 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 11:58 ID:ZCXFuqZq
74 :
ワタナベ:02/09/23 14:32 ID:iC0pSYSL
アパートのドアには鍵が掛かっていた。扉の向こうはしんと静まり返っている。
彼女は消えてしまった。僕はつぶやいた。彼女は消えてしまったのだ、と。
アパートのドアは戦国時代と資本主義時代を隔て、携帯電話を失った僕はもう誰とも繋がっていなかった。
一息入れようとナップザックを下ろして、気が付いた。僕は煙草さえ持っていない。
僕が持っているのは、280円とガイドブック。僕はガイドブックをめくった。
それは瞬く間に僕の前に現れた。まるで戦国時代から僕に見つめられるのを待っていたように。
ハローワーク
やれやれ。いったい誰がガイドブックにハローワークの所在地を求めるというのだろう。
いずれにせよ、僕は否応なしにこちら側の世界に繋がっているわけだ。
75 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 19:33 ID:oFuOfroS
続きはまだ?
おいらは文章力ないので。
76 :
z:02/09/23 20:09 ID:PJzXaXj9
このスレに参加しようと、わざわざ本棚に向かった君へ。
僕は・君が・好きだ
結局すべての企業はブラックなんだよ!鼠はそう吐き捨てた。企業にあわせられる人間以外採用されないんだよ!じゃあ無職で生きればいいだろう。そう言ったあと僕は後悔した
僕はいつも言ってから後悔する。面接で以前の職場の悪口を言うように。やれやれ
ハイ次
78 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/23 20:55 ID:PJzXaXj9
どこでもない場所の真ん中で僕は職を求め続けた。
79 :
てきとう:02/09/23 21:12 ID:bUR2mLBD
僕が今、何かと繋がるために出来ること。
社会と呼ばれるものに繋がっているためには、仕事を探すしかなかった。
そう、どうやら僕は来るべきところにたどり着いた。
もちろん、ハローワーク。
入り口正面の机に、職員らしい男がいたので関東出身の首都圏的なこの僕でも
仕事が探せるのか尋ねてみた。
「求職票かきゃー」
日々訪れる無職者達にはうんざりしているのだろう、男はぞんざいに用紙をよこした。
「ねぇ・・・僕は今までに5ヶ所の職安に登録したことがある」
僕は記入しつつ言った。
「自分の近所じゃなきゃしょうがなかろうもん」
「自分に課した課題の一つなんだ、これからも登録は続ける。
いづれ全国のハローワークから僕に面接案内の電話がかかってくるようになる、
素敵じゃないですか、たとえば沖ノ永良部島のハロワ職員が僕のプロフィールを検討してる
なんて思えたら」
男は眼鏡の位置を直した。神戸で働く気はあんの?
僕は答えた。もちろんですよ。
そう、こうしているうちにも携帯にじゃんじゃん電話が入っているかも知れない、
僕は東京でみた捜索特別番組の電話受け付けの様子を思い浮かべた。
666番の席を指定され、自分用の端末を見つけるのには時間がかかった。
なんて広い職安なんだ。霞のかかった入り口を振り返った。やれやれ。
さて、と。席についたとたん、向かいの席の女が声を掛けてきた。
「使い方わかる?私はじめてやねん」
金髪の、30代始めと思われる女だった。元ヤンだろうか?
はい次
80 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 00:32 ID:Bd5Xy9cK
とにかくも、季節は初秋だった。
夏の香りは、過ぎ去り、秋が無職の僕の心を刹那的にさせる。
僕は、職種から、年齢、勤務地の選定を教えてあげた。
女の歳は31才だった。
美人ではないが、人に好感を与える良い笑顔をみせる女だった。
「ウチは最低、給料は25万はいるねん、あと神戸からは出られへんねん」
そう関西弁で語った。
僕も営業職で仕事を探した。
不動産営業、リホーム、新規開拓オンリー営業
やれやれ、やっぱり関東よりも、関西の求人状況は厳しかった。
元ヤンの女はすばやく、求人票をプリントアウトして、
「今日はもうええわ、あんた親切にしてくれたし、コーヒーでも奢るわ」
僕は女の後を追いながら、後ろ姿を眺めた
なんて良い体なんだ。 ヒップは上を向き、ウエストはくびれ
斜め後ろからは、Fカップはある乳房が強調されていた。
この女と寝れるのだろうか? たしか僕は神戸で5人の女の子と寝なければ
ならない。 その1人目がこの女か?
81 :
ねずみ男:02/09/24 01:43 ID:UC1K2iUV
いささか風変わりな喫茶店だった。
マスターはカーボーイハットを被り、もくもくと店内を動きまわっている。
客は僕たちしかいないのに。
それからベートーベンの交響曲とプリンスの曲が交互に大音量でかかって
いる。
僕は目の前にいる金髪で31歳の女をみた。
イズミ、と彼女は名乗った。
僕は「本日のコーヒー」を注文し、イズミはエスプレッソに卵とハムのサンド
ウィッチを頼んだ。
彼女の生い立ちは実に興味深いものだった。中学生の頃からグレはじめ、
16歳のときに結婚を考えた。それは両親に説得されて断念せざるを得な
かったのだけれど。17歳と19歳の時にも同じことがあった。でも彼女が
結婚することはなかった。
自分は相手を好きになるとすぐ結婚したくなるのだ、という意味のことをイズミ
は言った。
ヤンキーといわれる人たちがすぐ結婚したがるのはなぜだろうか?
と僕は思った。
いや、それどころじゃないぞと僕は思いなおした。僕はこの目の前にいるイズミ
とセックスしなければならない。
さくらの言った5人の女の子のうちの1人目として。
でも、と僕は仮説をたてる。セックスをしてもしも結婚を迫られでもしたら。
あまりぞっとしないな。しかも僕は無職なのに。これ以上問題を抱えるわけには
いかない。
無職と結婚の間にはとてつもなく深くて険しい溝のようなものがあるということを
僕は考えた。
82 :
ねずみ男:02/09/24 02:35 ID:UC1K2iUV
「人間の態度がその人の人生をある程度変えることがある」
というカーボーイの言葉を僕は思い出した。
牛が反芻をするように何度も。
確かに、と僕は思った。いままでの僕の態度はある程度というよりもかなり無職
であることに影響を及ぼしている。同じようにイズミと寝ることがあるいは僕の人
生をある程度変えるのかもしれないな。
僕はふたたび目の前にいる金髪で31歳のイズミをみた。
この女が1人目だ、と僕は思った。
さくらの言った5人の女のうちの1人目だ。
手始めにイズミから始めなければならない。
というよりもイズミのからだのくびれやふくらみをみているだけで僕は今にもどう
にかなりそうだった。
オーケー、このさい結婚とか無職であることは忘れよう。とにかくセックスをする。
そして夜が明け新しい一日が始まる。すべてうまくいく。
何はともあれ僕はイズミと寝ることになる。
83 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 02:50 ID:jB8dEIhm
「あんたアタシと寝たいんでしょ?」
イズミが喋り始めた
「もちろん」
「クンニリングスは好きの?」
「嫌いじゃないです」
「ふーん」
僕らはとにかく、タクシーに乗り込み、ホテル街に向かった。
84 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 02:54 ID:jB8dEIhm
ホテルに入ると、イズミは服を脱ぎ始めた。
黒のブラに、パンティだけの姿に僕のペニスは激しく勃起した。
イズミが僕の首に手を絡みつけ、下を僕の口に押し込み、
激しい、キスが始まった。
時には舌を絡みつけては、吸いあう
永遠に終わることのない、作業のように
はい、次
85 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 03:08 ID:jB8dEIhm
僕はブラをとり、イズミを押し倒した
乳房をやさしく愛撫した。
イズミは「オメコを舐めて」と言った。
オメコて関東人の僕には、それを聞いただけで
動物的なセックスを感じさせ、ペニスは激しくいきりたった。
ちゅうかれた、次の方
けど、村上春樹て男前じゅないのに、学生時代
女にモテてそうやけどなんで?
顔だけみたら、鶴太郎やん
86 :
ホシノちゃん:02/09/24 04:11 ID:xV8lw/S6
それから僕達は3回セックスをした。
そのうち2回はイズミの中に射精し、1回は彼女の形のよい乳房に射精した。
乳房にかかった僕の精液はゆっくりと、そして確実にベッドへ向かって落ちていった。
まるで地球の中心に吸い寄せられ、
飲み込まれていくかのように彼女の身体を伝っていった。
「あなたってすごいわ」とイズミは言った。
「君ほどじゃない」と僕は言った。
僕は火の点いていない煙草を指の間にはさんで、
暗い気持ちのままイズミを見ていた。
そして、おもむろに煙草に火を点けて2,3口吸った後、そのままイズミに渡した。
87 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 05:37 ID:P4tUk9s/
ふと、イズミが口を開いた。
「どうしてそんなにペニスが黒いの?」
やれやれ。どうやら僕とセックスする女はこの黒いペニスに対して、興味があるらしい。
88 :
漢@むりじろう:02/09/24 10:28 ID:/Rjho2Ln
とろとろしているうちに空が白みはじめてきた。イズミは鼾をかいて寝ていた。ベランダに体を任せ、タバコに火をつける。外は雨だった。雨に日に吸うタバコは程よく湿気を含んでいて美味い。
気だるい空気がタバコの煙を吸い込んでいく様子を見つめながら、
満足できる昨日をくれ。
今日死んでもいいと思える一日をくれ。
そう心から思った。
89 :
ワタナベ:02/09/24 13:35 ID:RecuFJAV
薄く白みはじめた街の向こうには海が広がっていた。雨の日の朝に海と空の境界を見つけるのは難しい。
昨日の僕と今日の僕の境界を見つけるのも難しい。無職の僕とかつて働いていた頃の僕の違いも難しい。
突然、電話が鳴った。
僕ははじめそれはイズミの携帯電話であろうと思った。しかし、鳴っていたのはホテルの電話だった。
携帯電話を失ってまだわずかなのに、僕の体は既に世界の音が僕に向けられて鳴ることに無防備になっていた。
電話はカーボーイからだった。
「順調じゃないか」
なにが順調だというのだろう。僕はそのような意味のことを言った。
「そろそろ求人の電話が来る頃だ。もうわかってると思うが、君の態度が
君の人生をある程度変えることがある」
カーボーイはゆっくりと牛にでも言い聞かせるように言った。
そして、また突然電話は切れた。
>村上春樹の転職活動
( ´_ゝ`)<ふうん
91 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 15:29 ID:6kEgFSH6
92 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 19:31 ID:lefmjlCB
確かに順調なのかもしれない・・・。
が、順調なのは女とのSEXだけである。
無職である以上、順調であるはずがない。しかも、一番聞かれたくない言葉だ。
何をやるにも、どう言われれようとも、無職ということが少なからず影響を及ぼしている。
やれやれ、無職というだけで、卑屈になってしまうのか・・。
また、電話が鳴った。
昨日の女子大生からだった。
「携帯電話届けにきたの。今からそっちの部屋にいっていい?」
イズミはまだ寝ている。しかし僕の答えはイエスだった。
93 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 19:53 ID:iwQIODUr
僕は顔を洗い、ヒゲをそった。
一応、女のコを待つにあたっての、儀式をすんなりと終えた。
何か食べる物を用意しなくちゃな。
冷蔵庫を開けると、キャベツのかけらしか入っていなかった。
「あたしだけど。開けるわよ」
考えてる間もなくイズミが我が家へ到着してしまった。
しかし、僕は普段から部屋のカギをかけていない。
なぜだろう?それは僕があまり物事を真剣に考えていないせいだ。
強盗が入ったらどうしようとか、いきなり殺害されたらどうしようとか
そういった事を考えないからだと思う。
転職に関しても同じだ。今さらながら学習しない自分にうんざりした。
当然のような顔をして上がりこんで来たイズミを見て
短くため息をついてみた。
94 :
てきとう:02/09/24 22:48 ID:u7/rCLyy
イズミはまるで雀かなにかのように、くたびれた僕の心にこっそり巣を掛けてしまった。
つけいられてしまった、と言えるのかもしれない。
あの日、ホテルの部屋でイズミの眠る姿と傍らの僕を見比べて、あの女子大生は
表情を失った。
黙って女子大生の背を抱いて、僕は彼女とホテルを出た。イズミを残して。
財布もほぼ空だったのて丁度よかった。イズミならうまくやるだろう。そんな確信があった。
「複雑すぎるわ」
神戸港の見える丘公園で、女子大生は言った。
「きみにもわかる時がくる」僕の口からはそんな言葉がこぼれた。ぼくにも何も分からなかった。
「ねえ、全てが戦国時代みたいに簡単だったらいいのに」
そんなに簡単じゃなかったはずだ、といおうとして僕はやめた。よく知らないからだ。
「私たち二人とも足軽だったら、悩みなんかなかったはずよ、
お互いのわらじをあっためあって。」
「素敵だね」
それからあたりさわりの無い話をした。
「あなたは、歴史以外の本も読む?」彼女が聞く。
「いちおうね」
「フロベールは読んだ事がある?」
「あるよ」
「J−Oneは?」
「J−Oneも」
そんな感じだ。無垢な頃の自分に戻れる気がした。
「ねえ、僕は神戸に部屋を借りるよ、いつまでかはわからないけど。
しばらくはね。君のことをもっと知りたいんだ。名前はなんといったっけ?」
彼女はまっすぐ僕をみつめ、ほほえんだ。
歴史わかりません。
95 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 22:51 ID:5ey+BIdY
まだこのスレ続いてたんだね。南ー無ー。
96 :
なかたさん:02/09/24 23:01 ID:iCvXUjng
彼女がほほえんだ瞬間、僕は何かを思い出しそうな気がした。
この女は僕が生き別れた妹ではないだろうか。
その可能性を否定するものが無ければ何事も全く否定することはできないのだ。
まるで僕の人生のように。
「もしかして君は途方にくれているのかい?」
窓辺の猫が僕に話しかけた。やれやれ。
97 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 23:14 ID:oeGdwFT2
その頃、地球の裏側では羊男はてんてこ舞いでいた。
なぜなら彼が所有する工場が倒産の危機を迎えようとしていたからだ。
98 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 23:32 ID:6iwZRckm
女子大生が生き別れた妹て言うのは、間違いだった。
なぜなら、僕は
一人っ子だからだ。 最近、変な妄想が多い
最近、僕はセックスのやりすぎで体力が落ちている事に気付いた。
女子大生が問いかけた。
「ねぇ、男の人て、特に好きでもない女とでも寝れるの?」
「うん、基本的に大丈夫だね」
なぜなら、ぼくはもう、イズミと寝てるからだ。
はい、次
99 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 23:45 ID:yfmmrixN
「あなたって本当になにもわかっていないのね」
とキャリア・アドバイザーの女の子は僕に言った。
それまで僕は自分の職務経歴書には、本当にささやかだけれど
確固たる自信があったのだ。
多分彼女が正しいのだろう。僕は声を出さずに、もはや
用を成さない書類のために泣いた。
100 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/24 23:47 ID:6iwZRckm
「アタシ好きな人いるんだけど、話もしたことがないの?
どうすれば良い?」
ふむ、彼女は100パーセントの処女かもしれない。
けど、僕はこの女とセックスがしたかった。
101 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 00:01 ID:gKMMbvFl
この女子大生とセックスがしたい。
切実にそう思った。 黒いペニスが嫌われてるのはよく分かったが
もう、セックスがしたい。それだけだった。
携帯に電話がなった。
インテリジェンスのCAからだった。
「ご紹介したい案件がありますが?」
「もういいよ、それどころじゃないんだ」
僕は電話を切った。
どうせ、離職率の高い激しくドキュソ営業か飲食の店長に決ってるからだ
僕はバカCAの声で気分を害し、それを修復するためにも
女子大生とセックスをしなければならない
「ねぇ、君てセックスの経験はあるの?」
102 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 01:27 ID:BZTALOsR
「ううん、セックスはないわ、怖いの」
そうか、女子大生は僕の黒いペニスが嫌いではなくて
セックスが怖いのだ。
あ。角川春樹じゃないのか。
104 :
ねずみ男:02/09/25 02:08 ID:RRAh5Ou+
とにかく今までに起きたできごとを整理する必要があると僕は思った。
銀行でお金をおろしマールボロを買った。それからディスカウントショップ『神戸亭カーボーイハット』
でバドワイザーを1ダース分とうまい棒を3本買った。
僕は複雑すぎるものごとを整理するため西へ向かい神戸にたどり着いた。
別のいい方をすれば単に転職活動から逃避しているだけなのかもしれないのだけれど。
高速バスの中でオオヤマさんに出会い、神戸につくとさくらと寝た。
それからさくらに5人の女とセックスをする必要があると言われた。
さくらは神戸にいるくせに標準語を喋った。
そして僕はカーボーイに言われる。今後出会うことになる女の子に対してハイ!この子です!
と言わなければならない、と。
そのあと図書館でピンクのスカートをはいた女子大生と出会い、ペニスをヴァギナへ挿入直前
に拒否された。
そして僕はイズミと寝た。凝縮された濃厚なセックスだった。
さくらの言う5人の女の1人目となる。
それから僕はツカサのウィークリーマンションを借りることになる。
東京のアパートにいたころの癖で鍵をかけ忘れ女子大生を連れ込んだ矢先にイズミと鉢合わせ
してしまった。
そう、いまだに僕は女子大生とセックスできないでいる。
105 :
ねずみ男:02/09/25 02:11 ID:RRAh5Ou+
そして僕は映画を観ることになる。
セックスのやりすぎで亀頭に鈍痛が走り、ペニス本体もさらに黒ずんできていたから。
その映画館ではポルノ映画の特集をやっていた。
映画館でリラックスしてものごとの絡まりを解きほぐすのだ、と僕は自分に言い聞
かせた。
映画は5本立てだった。
このAV全盛の時代に映画館で観るポルノ映画は僕を新鮮な気持ちにさせた。
106 :
ねずみ男:02/09/25 02:11 ID:RRAh5Ou+
それは5本目の映画のときに起こった。
題名は『ふぐり巻き鶏!栗&Kiss』だった。
物語は東京の世田谷区から始まり、妻に逃げられた無職の青年が性犯罪に味をしめて
やめられなくなる、しかも青年のふぐり(玉袋)は大きいけれどペニス(棒)は極端
に小さいため太くするにはどうすればいいのかという自分探しの旅にでる、時には戦
時中の中国にも、といったあらすじだった。
真っ暗な映画館に映し出されるスクリーン上には、図書館で知り合って僕のペニスを
挿入寸前で拒否したあのピンクのスカートの女子大生がいた。
もちろんスクリーン上での彼女は全裸になって必死に演技をしていた。僕はあやうく
そのシーンを見逃すところだったけれど(青年の回想シーンでのちょい役だった)、
確かに僕の眼は彼女を捉えていた。
「ハイ!このコです!」
僕は観客が真剣になってスクリーンに見入っている暗闇の中で叫んでいた。
繋がっている。
ものごとは急速にひとつの場所へと収束し始めている。
107 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 02:15 ID:BZTALOsR
ふむ、この女子大生は、僕の寝るべき女5人の一人でないかもしれない。
僕は、今まで、無理やり女の子と寝た事は一度もなかった。
108 :
ねずみ男:02/09/25 02:26 ID:RRAh5Ou+
出てたでしょ、と僕は言った。
「ついにあなたはアタシをつかまえてくれたわね」女子大生は言った。「まるで
『ライ麦畑でつかまえて』のコールデンホールフィールドのように」
映画では生?それともやらせ?と僕は訊いた。
「やらせ」と彼女は言った。
ふうむ、と僕は思った。セックスが怖いくせに(特に黒ずんだペニスを見ると彼女は
必要以上に驚いた)ポルノ映画に出演するのは一体どういうことだろうか。
つまり、と彼女は言った。アタシは嬉しかったの。アタシがポルノ映画に出演している
ことをつきとめてくれたことが、と。
あるいは面接と同じことなのかもしれない。聞いたこともない零細企業に面接しにいく
と決まって「当社についてどういった印象をお持ちですか」と訊かれる。
そんなもん知るわけないだろう、だいいち帝国データバンクの資料にすら損益決算書
が載ってないのだから。
当てずっぽうで印象を答えるとたまに的中し、面接官は春の熊のように微笑む。
同じことだ。
僕は女子大生を微笑ませることができたのだ。
強引だと捉えられてもいい。と僕は自分に言い聞かせた。オーケー、彼女は僕を受け
入れる準備を終えている。問題はない。
そうして僕はこの女子大生と寝ることになる。
109 :
ねずみ男:02/09/25 02:36 ID:RRAh5Ou+
女子大生は、キキと名乗った。
キキとのセックスは正確にいうと実に中途半端なものだった。
なぜなら黒いペニスのせいで、僕はペニスを彼女のからだの中にたったの1度しか
出し入れすることができなかったのだから。あるいはその行為はセックスとは呼べ
ないのかもしれない。
ペニスがいささか黒ずんでいるというだけの理由で彼女は僕を受け入れなかった
のだ。
キキとのできごとはカウントをされているのだろうか。
たった1度の出し入れで。
まるで1次面接の手ごたえをどう受け止めればいいのか迷うように。
わからないな、と僕は思った。わからない。
でも何はともあれ、さくらの言葉を信じれば然るべきときがくれば何かが起きる。
つまり、5人目の女の子とセックスし終わったことがカウントされたときに。
そこで携帯が鳴った。
「カーボーイだけど」
やれやれ、と僕は思った。
110 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 02:37 ID:WQOvgZ02
僕は、「おまえら」の事が好きなのかもしれないと、
111 :
ねずみ男:02/09/25 02:43 ID:RRAh5Ou+
「ハイ、だめ〜!」とカーボーイは言った。「筋はいいんだけれどね」
キキへのたった1度の出し入れはカウントされていない、とカーボーイは
確固たる意思をもって言った。
「でも君は確実にメタフォリカルな本質へと近づいている」とカーボーイは
つづけた。たった1度だけれどペニスを出し入れすることができた、つまり
確実に進展している、と。
僕はいったいいつになったらキキとセックスができるのだろうか。
やれやれ、これじゃあ転職活動の放置プレイとまるで同じじゃないか。
こうして僕はキキを求める新たな旅に出ることになる。
112 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 02:57 ID:BZTALOsR
スグにまたカーボーイから携帯に電話があった。
「たいへん、そうだな神戸以外でも女を見つけてもいいよ
状況はこの高度資本主義のように日々変化している。古い情報はクソだ
ただし、関西圏までだ。三重県は入らないぞ」
突然電話が切れた。
113 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 03:02 ID:BZTALOsR
神戸以外?でもOKだって
それで可能性が広がるとは思えなかったが、そろそろ違う土地に
行きたいと思ってたので、調度良かった。
神戸以外の関西の街?
大阪、京都、奈良、和歌山?
全くドコへ行ったらいいのか分からない
あっ京都だ
僕は携帯にオオヤマさんの番号を入れてたのを思い出し
京都のオオヤマさんに電話する事にした。
はい、次
114 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 03:09 ID:BZTALOsR
「あっオオやまさんですか? 僕です。
あの高速バスの」
「オオヤマです。覚えてますよ。今オオヤマは自電車を修理してます。
今の時期サイクリングは最高ですよ。」
「あのー、話せば長くなるので、結論だけ言うとそちらにお伺い
したいのですが」
「カンゲイしますよ。いろいろお話しましょう」
115 :
ねずみ男:02/09/25 03:15 ID:RRAh5Ou+
まるで猫が自分の死を予感し自ら姿を消すようにキキは忽然と姿を消した。
キキのアパートには鍵が閉まり、彼女が戻ってくることはなかった。
キキのアパートの側に公園があったため僕はバックパックの中から寝袋を
取り出した。24時間体制で彼女が戻ってくるのを確認するのだ、と僕は思っ
た。
ダンボールハウスのおじさんが僕に声をかけてきた。「おめえもこっちさこい
や。ごっつ旨えど」
おじさんに薦められた食べ物は、くさっているのだろうか、異様なにおいがした。
僕は思わずはきそうになった。
あるいは、と僕は思った。無職の僕はこのおじさんと隣り合わせに生きているの
かもしれない。好むと好まざるとに関わらず。
もちろんキキのアパートに変化は起きなかった。採用の件ですがその後いかが
なりましたでしょうか、と放置プレイにたまりかねてこちらから電話すると決まって
「ハイ、選考が終わりしだいこちらからご連絡します」といってさらに1ヶ月も待た
せるドキュソ企業みたいに。
ダンスを踊るんだ、と僕は思った、絶え間なく。
オオヤマさんのいる京都へ。
僕のステップは京都へと向かい始めていた。
116 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 03:23 ID:BZTALOsR
その日のウチにキキと別れを告げ
オオヤマさんのいる京都へ向かった。
京都駅に着くとオオヤマさんが車で迎えに来てくれていた。
オオヤマさんは初秋の京都らしく、
グリーンのジャケットにブルージーンにサングラスを掛けていた。
僕らは、車に乗り込み、オオヤマさんのいる家に向かった。
その家は京都市内の北の山奥にあり、100坪ぐらいの敷地に
平屋建ての日本建築だった。
敷地には池もあり、1人ぐらしにはいささか寂しすぎる程だが
何故か今のオオヤマさんにはお似合いの気がした。
117 :
ねずみ男:02/09/25 04:12 ID:RRAh5Ou+
1人ぐらしにはいささか広すぎるこの家に住んでいるオオヤマさんが
セイカツホゴを受けていることを、僕は受け入れることができなかった。
不公平すぎる。
「オオヤマは世渡り上手であります」とオオヤマさんは言った。
オオヤマさんは薄くはえたヒゲをごしごしこすりながら続けた。
「世の中には2種類の人間がいるであります」
118 :
ねずみ男:02/09/25 04:13 ID:RRAh5Ou+
オオヤマさんが言ったことはこういうことだった。世の中にはお金に
働かされる人とお金に働いてもらう人の2種類に大別される。つまり
消費するためにからだを使って働いている人が大多数をしめるけれ
ど、株式投資や不動産投資を通してあるいは自分の会社を食い物
にしてお金そのものに働いてもらい自分は頭だけを使ってからだは
働かせない人がいわゆる「勝ち組」なのだ、と。
日本経済新聞的に言えば、ちょっとスキルがありビジョンがあるかの
ようにみせかけていて、なおかつ制度に守られている会社の社員も
「勝ち組」に含まれるということになる。
「勝ち組」と僕は思った。いったい僕は何組なのだろうか。オオヤマ
さんは確かに変わった喋り方をするのだけれど確かに勝ち組なの
かもしれない。
○○組とかの線引きはいったいどこですればいいのだろうか。
僕はどちら側にいるのだろうか。
小学生が3年生になったら何組かなあ?みたいな微笑ましい話は全く
通用しない現実に、まるで北極のクマがハンマーをもってきて僕の頭を
殴るような衝撃を受けた。
そうして僕は眠りにいざなわれた。
119 :
ねずみ男:02/09/25 05:18 ID:RRAh5Ou+
深い眠りから覚めると(僕は夢の中で面接官と一緒に井戸を掘って
いた)この100坪の敷地の家に1人ぐらしというのはいささか間違って
いることに気づいた。
つまり、オオヤマさんには弟がいたのだ。
>>48がいうように。
もちろんこの家と土地自体がオオヤマさんの弟の名義のものだった。
肉親とは言え他人の家屋敷にのうのうと居座るオオヤマさんに僕は
冬の川で鮭をとる熊のようないさぎよさを感じた。
その夜はオオヤマさんと2人で晩酌をした。オオヤマさんの弟はブラジル
に1ヶ月の予定で昨日旅立ったということだった。オオヤマさんの酌のし
かたは実に的確だった。おっとっと、みたいな軽快な掛け声はまるでシュ
ーベルトの音楽のようだった。
なまじっか営業職を志望している無職の僕(
>>80参照)にもこの酌のしか
たに学ぶべきところがあるように思われた。
ハルキ的な喋り方をすると確実に売上げが損なわれる、と僕は思った。
現実の社会では。
「ところであなたは何か面倒な問題に巻き込まれているのではないですか」
とオオヤマさんは言った。
120 :
ねずみ男:02/09/25 06:29 ID:RRAh5Ou+
Dostoevskii "Братья Карамазовы"
とオオヤマさんは言った。オオヤマさんは7カ国語を
話せる(
>>80参照)ため何らかの言語なのだろう。
「すみません、オオヤマはついついロシア語を話していました。
オオヤマはたこ焼きが好物であります」
とオオヤマさんは言った。
つまりドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』と言ったらしい。
僕が大学時代に読もうと思ったらあまりのページ数のすさまじさに
読む気がしなくなり途中で諦めた小説だ。日本語に翻訳されている
ものは岩波文庫で4冊分もあった。これを誰が読破していったい何
を得るというのだろう。いったいどこに就職できるというのだろうか。
あなたの問題はロシアの小説家ドストエフスキーに似ている、と
オオヤマさんは言った。つまり、石を探す必要がある、と。
ドストエフスキーと石?いったい何の関係があるのだろうか。
ロシア人の金髪娘とセックスしろとでもいいたいのだろうか。
しかも「石」というものが僕を混乱させた。ただでさえ無職である自分
に混乱させられているというのに。あるいはドラえもんの秘密道具
「石ころ帽子」と何か関係があるのかもしれない。
121 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 07:50 ID:UvvbNZi5
腹が減っている。
今までに感じたことがない空腹感い襲われていることに気がついた。
冷蔵庫にはビールすら入っていない。
ビ ー ル す ら 入 っ て い な い 。
繰り返しつぶやいてみても同じだ。
どこからか小人がやってきて、「ホラピザでも持ってきてやったよ」
と言ってくれたら、森の小リスと一緒に食べるのに。
やれやれ。そんな事はありえない。
僕は手際よく顔を洗い、ひげをそった。
空腹を満たすために外へ出るのだ。
122 :
ワタナベ:02/09/25 15:02 ID:vcMm/Bqv
パックバックから皺のないTシャツを選んで、それを着た。胸のところにレディオヘッドと
大きくプリントされたTシャツだ。ジーンズは少しくたびれてきたが、仕方ない。
昨日洗っておいたニューバランスのスニーカーは、真っ白だった。悪くない。
道脇で談笑する婦人たちの僕に対する視線は、どこか冷ややかだった。
日当たりの良い塀の上でまどろむ猫の視線さえも、どこか冷たいものを感じさせた。
僕はここでは異邦人だ。ただでさえ働き盛りの男性が、平日の午前にレディオヘッドの
Tシャツを着て歩いているのは奇異に映るだろう。そして確かに僕は無職だ。
人間の社会では、無職の若者は奇異に見られるものと決められているのであります。
オーケー、問題ない。
問題はただ僕が空腹でビールを飲み干したいと強く望んでいることだ。
それ以上でも以下でもない。
飲食店はことごとく準備中だった。無理もない。まだ9時半だ。
僕は吉野家を素通りし、小さな喫茶店に入った。
店には客が1人いた。彼女はカウンターの奥の方に座り、恐ろしく分厚い文庫本を読んでいた。
僕は彼女と二つ隣に腰掛け、ビールとピッツァを注文した。店員は、無言でそれを聞き取り、
手際よくビールをジョッキに注ぎ、コースターを置き、その上にジョッキを置いた。
悪くない。
123 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 21:01 ID:5ZmLnLIp
ねずみ男さんはうまいこと進行させてってくれますね。
皆さんもうまい。
けどこのさきどうなるんだろう。
ずっと無職なのか。終われなさそうだし。
124 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 21:07 ID:yhJlfI4g
ビールを飲みながら、考えた
僕はまた、隣の女と寝れるかもしれないと邪な考えがあった。
女と寝るという行為を僕に当てはめて考えてみた。
よく考えると、僕は今まで、本当に好きな女と寝た事がなかった。
いつも、性欲とある種の妥協に置いてのみしか・・・・・・・・
本当に好きな女はいたが、確実にデートの段階で断れる
そして、嫌いでは決してないが、確実に好きであるあるいは愛してる事は
決してなかった。
ただ、僕のささやかな性欲を満たすためには、特に好きでもない女と寝ることは
辞めることは出来なかった。
世の中で楽しそうに腕を組むアベックは本当に相思相愛なのだろうか?
男が愛していて、女もその愛を受け入れているのだろうか?
僕に関しては、うまくいった試しはなかった。
いつも、セックスの後は何か虚しい虚脱感に僕は襲われる。
こんなことは、もう辞めようといつも行為の後は思わずにはいられなかった。
今回の旅は僕と言う人間の仕事と愛についての旅なのかもしれない
僕は本当に愛する女と分かり合うことができるんだろうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
125 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/25 21:11 ID:yhJlfI4g
僕は本当に愛する女と寝ることが出来、僕に合う的確な仕事が
見つかる時が、この旅の終わりなのかもしれないと
なんとなく、分かりかけてきた。
すこし恋愛とシリアス調で続きキボンヌ
126 :
またたびはいた猫:02/09/25 22:34 ID:VgGO13sl
ウエイトレスに、もう一杯ビールを注文した。
ブサイクなウエイトレスは返事もせずに
僕に一瞥をくれて、そしてビールを持ってきてくれた。
朝からビールを飲むことは、僕にとってはめずらしくもない事なのに
世の中の秩序というのは不条理にも僕の意思とは反している。
ぼんやりと窓の外を眺めていると、一匹の猫が通りすぎた。
イワシ?と僕は思った。
数年前に、はずみで同棲しいていた女の子がいた。
その子がひろって着た猫にソックリな猫が、今、通りすぎた。
「イワシ」というのは、彼女がつけた猫の名前だ。
127 :
またたびはいた猫:02/09/25 23:45 ID:DymMej4G
その猫(仮にイワシと呼ぶ事にしよう)は、いったん塀の陰の方へ
歩いていったが、しばらくすると僕の視界に舞い戻ってきた。
『君ヲ 必要トシテイル 人ガ イルヨ』
猫がそういったような気がした。
『早ク コイヨ』
え?なんだって?
僕は少し混乱していた。
試しにビールを一気に飲んで、数回瞬きをしてみた。
『早ク コイヨ』
早く来いだって?
128 :
またたびはいた猫:02/09/25 23:54 ID:DymMej4G
僕はとりあえず店の外へ出た。どうせ時間はいくらでもある。
ビールで酔ってしまったのかどうかは、この際どうでもいい。
こういう状況も悪くない。僕は無意識にイワシを信頼していた。
「君はイワシなんだね?」そう問いかけると僕の目を見ずに
『早ク コイヨ』とイワシは言った。
僕はイワシに聞きたい事が沢山あった。
今までどこにいたのか。どうしてあの部屋を出たのか。
何が気に入らなかったのか・・・。そしてどうして僕を誘ったのか。
分らない。世の中には分らないことだらけだ。好むと好まざるに関わらず。
『君ノ 質問ニ 答エル義務ハ ナイヨネ?
ソシテ君ハ 質問ノ返答ヲ モラウ権利ハナイ。オーケー?』
ふぅむ。まぁその通り。で、どこに行くつもりなのかな?
129 :
またたびはいた猫:02/09/25 23:59 ID:DymMej4G
『羊男ガ 君ノチカラヲ 必要トシテイルンダ。急ヲ要スル。
ココマデハ オーケー?』
『地球ノ 裏側デ 君ノ能力ヲ 必要トシテイル。
余談ダケド ソコデ ピンクノ服ヲ着タ 女ノコト寝ルトイイ。』
『三人メノ女』
130 :
またたびはいた猫:02/09/26 00:02 ID:N4aMbCys
三人目の女。地球の裏側。羊男。
イワシはなんでこんな事を知っているのだろう?
我ながら、イワシの育て方は間違っていなかったと確信に満ちた目で
イワシを見つめた。
131 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/26 01:59 ID:PQEVkTee
またたびはいた猫 >>
あんた、センスないよ
まだ1人の女しかやってないだろ
とマジレス
132 :
ワタナベ:02/09/26 17:26 ID:UwO1UfvO
イワシは一度も後ろを振り返らなかった。もう角を3回曲がり、そのたびに道の幅は狭まった。
僕はその間ずっとイワシの辿ってきたであろう人生(猫ではあるけれど)について想像した。
ふとイワシは歩を止めた。僕の追いつくのを待って、僕の肩によじ登る。
『ここを右だ。すぐわかる』
僕は言われるままに歩き出す。道の両側は古い塀が続いていた。左側の門の前に着物を着た
婦人が玄関先を箒がけしていた。小さな箒で、腰を折りしかし背中は丸めずに。
婦人と目が合った。
「ゴマちゃん」彼女は上品なアクセントでそう言った。
「あら、困ったさんのゴマちゃん。このお方に連れて来て頂いたの?」
間違いなく僕の方が連れて来ていただいたわけだが、それは大した問題ではないような気がした。
僕は自然にお茶を頂くことになる。ごく自然に。佐伯と書かれた表札の掛かった小さな門を
くぐり、日当たりの良いとはいえない縁側に座る。
佐伯さんは、見た目には40に届くかといった年齢に思う。本当はそれより上かもしれない。
この年代にしては背は高く、着物の上からもすらっとしていて引き締まった体であることは
想像できる。
133 :
ワタナベ:02/09/26 17:26 ID:UwO1UfvO
僕は彼女と寝た。ごくごく自然に。
なぜこうならなければならなかったかは、うまく説明できない。
彼女と僕はありきたりの世間話をし、お茶を飲み、猫について語り、
そして寝た。
彼女は僕の黒いペニスについて弁証法的な注釈を加え、それは僕を性的にひどく興奮させた。
そして僕はまた激しく射精する。
彼女は僕の黒いペニスをきつく締め上げ、それを包み込む。
彼女の着物に包み込まれたからだは、健康的に日焼けしていた。想像していたよりずっと
からだは引き締まっていた。何より胸はおわん山みたいに大きかった。
すべての形而上学的なものは、ここではまったくの冗長でしかなかった。
彼女のからだは素晴らしく、僕のペニスは硬く勃起した。ただ現象として。
気が付くと空はもう暗かった。
彼女は、泊まっていかないかと言う。「今は1人で住んでいるの」と。
寝室は別々だった。なぜかはわからない。
しかしそのことに踏み入ってはいけないような気がした。
そして、僕は長い長い夢をみることになる。
134 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/26 17:44 ID:85Kl6EJH
135 :
双子の女ノ子:02/09/26 21:23 ID:PqivR1CL
夢の中には羊男がいた。
僕は初対面のはずなのに、何故が彼の名前を知っていた。
羊男の第一印象が逝ってよし!といったところだ。
しかし、藁ってはいけない。
彼はああみえても、真面目で純粋なのだ。
それにしても、何故羊の着ぐるみのままで仕事をしているのかは不明だ。
真夏なのに理解に苦しむ。
136 :
てきとう:02/09/26 21:54 ID:8MxJZUiL
そして暗黒。
次の場面で僕とオオヤマさんは嵐山のほとりに並んで腰掛け、川面を眺めていた。
「嵐山の賑わいも今は昔であります」
僕はだまってうなずいた。
背後にみやげもの屋では、羊男がごま団子やおでんを売っていた。
客はいなかった。修学旅行の生徒達が何百万人も嵐山を訪れたのは過去の話なのだ。
川の両岸に山がせまっているため、嵐山は日没がはやい。
気がつくと、オオヤマさんの顔が見えないほどに、辺りは暗くなっていた。
「オオヤマさん?」
視界の端、後ろの方に白くてふわふわしたなにかが見えた気がした。
オーケー、と僕は前方の闇を見たままで言った。
白熊だろう、気絶してやるからほっといてくれ。1、2、3、
暗黒。
137 :
ワタナベ:02/09/26 22:28 ID:UwO1UfvO
ピンクの制服を着た女性が僕を面接室に案内した。
僕は面接室のドアをノックする。「どうぞ」僕は中に入る。
机の向こうにカーネルサンダースが座っていた。彼は椅子に目をやり、僕はそれに腰掛ける。
「履歴書見たよ。実に無駄がない」
僕は躊躇う。
「学生時代にファースト・フード店でアルバイトしたことある?」
「ありません」
「まあいい。うちはガイショクではないから。ところで何をするかはわかってる?」
「営業としか」
「そりゃ営業だ。ソウゴウショウシャだからな。ショウシャマンは営業をする。
産油国の王様と王様ゲームをし、ホッポウリョウドで電気を起こし、鉄鋼メーカーに制裁を喰らう。
今後のソウゴウショウシャのあるべき姿について君はどう思う?」
確かにいまのフィーは高すぎる。しかし社会のアウトソーシングへ向かう流れとショウシャ不要論は相容れない。
メーカの購買というのは大概高学歴で高くつく。おそらく既に中抜き対策は済んでいるであろう。
僕はオオヤマさんに聞いた話をなぞる。
「ところで君は記号と象徴の違いはわかるか?」
「貴方はフライドチキンの象徴であるが、記号ではない」
「よろしい。君には石を探してもらいたい。いいかな?」
「はい」僕は間髪入れずに答えてしまったことを少し後悔した。
「ボスに会わせるよ。来たまえ」
138 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/26 23:13 ID:kRJt0Fvo
136と137の繋がりないねんけど
139 :
双子の女ノ子:02/09/26 23:45 ID:PRl81YlN
ここの会社では、女性はピンクの制服を着用しており
男性はピンクのネクタイでキメている。
もしも採用されたら、漏れもピンクのネクタイでキメるのでつか?(ワラ
などと自嘲してみた。
僕の少し前を歩いているピンクの制服を着た女性は
後ろから見るとスタイルがよい。
適度にくびれたウエストとむっちりとしたヒップ。
僕は硬くなってきたのが分った。
やれやれ。これから面接だというのに。
僕の性欲は、僕の意思に反している。
今ここに、ふかふかの布団があったらいいのになと思う。
よく干してあって太陽のにおいがする気持ちのよい布団。
140 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 00:47 ID:m5K3UfrT
応接室に通されると
牛みたいに、赤黒い50過ぎの男がダブルのスーツで座っていた。
僕は「始めまして。名前を名乗り、よろしくお願いします。」
と挨拶した。
牛男は無言で腰掛けるように手で示した。
直感的にドキュソだと分かった。
もう付き合いの面接で5分で帰りたかった。
こんな事より、早く別の女の子と寝るほうが優先順位ははるかに
上なのだ。
僕は早くココを出て、コラーで喉を潤し、タバコが吸いたかった。
ハイ、次
141 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 01:02 ID:m5K3UfrT
僕は牛男が話をしてる間、突然パン屋を襲撃したくなった。
イヤ、お金を盗るのではなく、パンを盗み出し
加茂川のほとりで、100パーセントの太陽の陽を浴びながら
盗んだパンを食べながら、漱石全集が無性に読みたくなった。
オオヤマさんに相談しよう。
142 :
ねずみ男:02/09/27 02:24 ID:4uI4ARzT
やれやれ、と僕は思った。混乱している。
ものごとは複雑に絡み合い錯綜してきている。
パン屋を襲撃?
それじゃあただの犯罪者になってしまう。そう、あるいは
捕まればの話だけれど。
だだでさえ無職なのにその上、犯罪者になるわけには
いかない。
何はともあれ僕は犯罪をひき起してしまいそうになったり、
神戸にきてから何人の女と寝たのかすらカウントできなく
なってしまっている。
そして再び僕は牛男をみた。
こういうドキュソ企業の面接をついふらふらと受けてしまった
ことすら、僕が混乱しているためだと思った。
やれやれ、僕はどうかしているぞ。
143 :
ねずみ男:02/09/27 02:35 ID:4uI4ARzT
「さきほど」と牛男は言った。「カーネルサンンダースにおおまかなことは
聞いているとは思うが」
「ハァ」と僕はふてくされて答えた。「石のことですね」
オオヤマさんに指摘された石には興味はあるが、ドキュソ企業に入社する
気持ちはまったくないからだ。
僕は線を越えるわけにはいかない。暗黒の広がりに手を伸ばすことは危険
すぎる。
144 :
ねずみ男:02/09/27 02:48 ID:4uI4ARzT
「これは仕事ですらない」と牛男は言った。「もちろん
きみは我社に入社する必要もないし、出社しなくとも
いい」
「よくわからないな」と僕。
「つまりこういうことだ」と牛男は言った。「うちの会社も
石を探しているし、きみも同じものを探している」
組まないか、ということをどうやら牛男は言っているらし
い。
僕はこの牛男の言いまわしにドキュソ会社特有の胡散
臭いものを再び感じた。
「きみにさっきのピンクの制服の女の子を助手としてつ
けよう」と牛男が言った。
そこで僕の思考のパラダイムは大掛かりにひっくり返さ
れることになった。
「ハイ!ぜひやらせてください!!」
145 :
ねずみ男:02/09/27 03:05 ID:4uI4ARzT
さくらの言った5人の女とのセックス。
神戸で元ヤンのイズミ、それから京都の佐伯さん。
そう、僕は2人の女とのセックスを既に済ませている。
僕は目の前のピンクの制服を着た女の子を見た。
このコが3人目だと思っただけで僕のペニスは硬く勃起した。
牛男とその執事カーネルサンダースの依頼によって僕は石を
この女の子と一緒に探し出さなくてはならないのだけれど。
ものごとには優先順位がある、と僕は自分に言い聞かせた。
僕はまずこのコとセックスをする。それから石を探しに行く。
オーケー、すべてうまくいく。
146 :
ねずみ男:02/09/27 03:18 ID:4uI4ARzT
いろんなものごとや問題が僕に謎を与えている。
●さくらの言った5人の女とのセックス。
●カーボーイ。
●失踪したキキ。
●石。
●石をとりまく人たち(つまり、オオヤマさん、
牛男、カーネルサンダース)。
●羊男が出てくる夢(いや、現実なのかもしれない)。
●関西なのに出会った殆どの人々が関西弁を話さない
でも何はともあれ唯一何も変わっていないことがある。
そう、僕はいまだに無職だ。
僕は目の前にいるピンクの制服の女の子を見た。
「どこ行く?」と僕は訊いた。
「あなたにまかせるわよ」と彼女。
「それじゃ」と僕は言った。「ひとまず作戦会議だ!」
もちろん僕が向かったのは本能の渦を収束させるための
場所だった。
僕はペニスがさらに硬く勃起していくのを感じた。
→次の方、女の子の名付けをキボンヌ
+展開はおまかせします
147 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 04:08 ID:u6z46eZx
女の子と社用車に乗り込んだ
H7式のクリーム色のニッサン アベニール
女の子を助手席に乗せ、僕が運転席に滑り込む
僕は性欲より、空腹であることに気づいた。
それと、面接中のパン屋襲撃を思い出した。
「ねぇ、変な風に思わないで欲しいんだけど、面接中僕は、パン屋を襲撃
することを空想してたんだよ」
「パン屋を襲撃?」
「そう、襲うのは犯罪だから、パンを盗んで、盗んだパンと牛乳もしくは
ビールで鴨川で日光浴、音楽があれば最高さ」
「パンを買ってはダメなの?」
「うむ、買ったパンと盗んだパンを鴨川でリラックスして食べるのは
いささか趣きが違うし、達成感も違うと思うんだ。」
「なんとなく、分かるわ」
「君は盗む行為に納得がいかないんだね、金がなくて盗むのではなくて
盗んだパンで鴨川で食べることに意味があるんだよ
盗むのが目的じゃないんで、2,3日あとでお金は書留で送ればいいさ」
「おもしろそうね、けど絶対お金は返すわ」
「もちろん」
僕と彼女は意見の一致をみて、京都市内のパン屋を物色し始めた。
彼女は名前をレイと名乗り、タバコに火を付けた。
148 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 04:17 ID:u6z46eZx
レイは京都出身で京都の短大を出ていた。
京都の地理は万全だ。
「オジイサンが1人でやってそうなパン屋さんを探すわ」
「そうだね」
3時間ほどパン屋をいろいろ物色して、銀閣寺の近くの古いパン屋を
見つけた。 希望どうり、オジイサンが1人で経営してる店だ。
僕はまず、レイとパンを盗み、鴨川に行ってパンを食べる
それから、今後の事を考えよう
レイは「私は、今日だけよこんな事に付き合うのは
彼氏と昨日別れて、楽しいことを探してたから」
「もちろん、僕も何かを探してるから」
次の方
149 :
双子の女ノ子:02/09/27 07:43 ID:C6y0RDbr
車を止めて店に入ると、オジイサンはマターリ猫を抱っこしていた。
レイは「パンを頂くわ。これは強盗じゃないの。
あとで代金を郵送するから。今我々はタダでパンを持っていくことが
目的なの。あなたには指一本ふれないわ」
レイは店にあるトレイに好きパンを好きなだけのせた。
ビニルの袋をもらい、車に乗り込んだ。
その間、僕は何もせず、レイの動きをひとふひとつ眺めていた。
「さ、鴨川へ逝くわよ」
「うん・・・」
僕はレイの手際のよさと物事の割り切りにあっけにとられていた。
ラジヲを付けると、ビル・エヴァンスが流れてきた。
150 :
双子の女ノ子:02/09/27 07:45 ID:C6y0RDbr
レイは人目を引くというほどの美人ではなかった。
どちらかというとセイウチの赤ちゃんのような可愛らしさがあった。
僕はセイウチの赤ちゃんはそれなりに可愛いと思っていたので
レイに興味を持った。
151 :
ワタナベ:02/09/27 12:18 ID:Rs7soq9C
本当のところ僕はセイウチとラッコの区別さえつかない。
これは仕事ですらない。そう牛男は言った。
僕はまだ無職なのだろうか?無職かそうでないかの区別さえつかない。
しかし少なくとも僕はまだ組織に属していない。オーケー。
「鴨川といえばラッコだけど」
「そうね」
「でも君はセイウチの赤ちゃんのようだ」
「それはメタフォリカルなわたしが、セイウチの赤ちゃんのようなのかしら?
それともわたしが、メタフォリカルなセイウチの赤ちゃんのようなのかしら?」
僕はそっと彼女の手に僕の手を乗せた。
ラッコのようにではなく、セイウチのように彼女を抱きしめた。
152 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 19:06 ID:oUWe4kQU
そのころ、僕とレイが鴨川でサンドイッチとビールを食べれる頃
オオヤマさんは金閣寺にいた。
なんと、オオヤマさんは外人の女の子を見つけては、片っ端から
声をかけていた。 オオヤマさんは前の奥さんがドイツ人女性であった
ように、女性の好みは白人女性に限定されていた。
オオヤマさんは、巧みな語学力で外国語の場合は教養ある、流暢な完璧な
上流階級の言葉をはなす。
特にドイツ語、英語、ポルトガル語、ネイティブも真っ青なほどすごい
ただ、いささか日本語が少しおかしいが・・・・・・・・・・・・・
金閣寺の池の前で1人でたたずむ白人女性を見つけたオオヤマさんは
最初は英語で話しかけ、その白人女性がポルトガル人だと分かり
ポルトガル語で金閣寺の歴史、戦国時代のポルトガルと日本人の関係、足利義満と当時の
朝廷の関係、宣教師ルイス・フロイスについて分かり易く話し、商社マン時代にリスボンに1年いた話をし
共通の話題で白人女性の警戒を取り去り、ここを出たら、竜安寺に案内する
約束を取り付けた。
後で知る事になるが、オオヤマさんはキョウト大学の法学部を卒業し、
財閥系ソウゴウ商社に勤務してる経歴を知る。
153 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 19:07 ID:oUWe4kQU
次、どうぞ
154 :
てきとう:02/09/27 20:42 ID:/TScRnt9
僕はレイと、鴨川のほとりでパンの袋を開けた。
発作的なパン屋襲撃だったけれど、僕らが互いに打ち解けるには充分な事件だった。
レイはくくく、と小さく笑った。セイウチというよりも、アゴヒゲアザラシにも少し
似たところが彼女にはあるかもしれない、僕はなんとなく思った。
「いい気分だ」
僕はレイを抱きしめてゆっくりとキスをした。
「ねぇ・・・鴨川には二種類ある」
ほんとう?とレイは驚いた顔をした。やれやれ、京都に住んだことがあるのにそんな事も
しらないのかな?
「鴨川と、賀茂川だ。ここから少し上流で、名前が変わるのさ」
レイは僕の指差す方向を眺めた。
「どこか、高いビルにでも登れば、川の名前が変わる場所を教えてあげられるよ」
僕はもう一度キスをして、彼女に川ぞいのラブホテルを指し示した。
『FASHON IN 三条京阪』
「そこでなら、とびきり黒い僕のパーツも見せてあげられる。きっとこれからの仕事の
役にたつはずだ」
レイは答えずにクリームコルネをかじった。
僕は彼女の口許を見つめていた。彼女の喉がこくん、と鳴った。
「いいわよ」
(はは、あんまり錯綜した内容整理するとかは漏れにゃ無理です)
155 :
てきとう:02/09/27 20:44 ID:/TScRnt9
FASHIONのつづりも違ってるし。これでいいかも分からないし。
156 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 23:32 ID:DUEgyspM
オオヤマさんはサングラスをとると、端整な顔をしていた。
身長は175cm前後で筋肉質
頭はかなり、良かった。ただし変な日本語を除いて
オオヤマさんは、完全な自分に25歳の時嫌気がさして
(完全な人間には面白みがないと言う理由らしい、それが原因で
ドイツ駐在時に軽いノイローゼになり、2週間ほど寝込む時期があった
次の日、日本語が少し変になったそうだ)
僕はオオヤマさんの日本語には暖かい春の日差しでじゃれつく子猫のような
好感がもてたのだが
157 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 23:37 ID:DUEgyspM
僕とレイはホテルに入ることになる。
レイの唇にはクリームコルネのクリ−ムが残っていた。
僕は丁寧にレイの唇のクリームを舐め始めた。
その作業が終わると、僕はレイの唇を広げ、舌を挿入した。
僕のペニスは激しく、勃起していた。
続きキボンヌ
158 :
双子の女ノ子:02/09/27 23:43 ID:8Cmc6uYb
159 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/27 23:56 ID:DUEgyspM
竜安寺の案内を終えたオオヤマさんは三条のほうまで
ポルトガル女性を乗せ、ちょうど目についたホテルに滑り込んだ。
FASHON IN 三条京阪』と看板があった。
次、どうぞ
160 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/28 02:41 ID:YUIESW+F
オオヤマさんはポルトガル女性と301号室にはいった。
ネタギレ
はい、次
161 :
ワタナベ:02/09/28 16:42 ID:avw1EcyN
僕はレイの中に入る。レイはそれを受け入れる。
レイの早朝の森のように湿ったヴァギナが、僕の硬くて黒いペニスを包み込む。
まったく深い森に迷い込んだようだ。
「ずいぶん黒いのね」行為の終わった後、レイは言った。
そしてまだ残っていたパンの袋を開き、さらにそのパンを開きクリームを取り出す。
僕はそのまるでロシアの人形のようだと、レイの動きを追いながら思う。
レイはクリームを僕の黒いペニスに塗った。
それを少し眺めた。そして少し白くなった僕のペニスを舐める。
レイによってきれいに舐めあげられた僕のペニスは、やはり黒かった。やれやれ。
そしてホテルの電話が鳴った。
162 :
ワタナベ:02/09/28 16:48 ID:avw1EcyN
電話はオオヤマさんだった。
「オオヤマは301号室におります」
「はあ」
「オオヤマはすぐにそちらに伺うショゾンであります」
オオヤマさんはつまり、僕に部屋とそして女性を入れ替えろと言っているのだ。
それは控えめにいって、常識的ではなかった。
「ポルトガル語はできますか?」
「できません」
「それはジュウヨウなことではありません。何より、伝えるべきことがあるということが
ジュウヨウなのであります」
僕は服を着た。
163 :
ねずみ男:02/09/28 19:43 ID:rm5N64Nz
>>ワタナベさん、
うまくつなげたね!
164 :
ねずみ男:02/09/28 19:43 ID:rm5N64Nz
一般社会常識的にみるとこの行為はスワッピングということ
になる。それからこの行為はいささかアブノーマルな行為に
過ぎる、と僕は思った。
でも何はともあれ僕は無職だし結婚なんてもってのほかだ。
つまり社会的な信用は損なわれている。
欠落感、と僕は思った。確実に僕には常識が失われている、と。
それから何が常識で非常識なのかなんてこのさい問題ではない、
と僕は自分に言い聞かせた。
だいいち外貨スワップとかいって国際経済では日常的におこなわ
れていることぢゃないか。なんで女のスワップがいけないんだ。
しばらくしてオオヤマさんが1人で僕とレイのいる部屋へ入ってきた。
165 :
ねずみ男:02/09/28 19:50 ID:rm5N64Nz
あるいは、と僕は思った。オオヤマさんの言っていることは
こういうことなのかもしれない。つまり、言葉の通じないポル
トガル人女性はある種の言葉の通じない面接官と同じこと
なのかもしれないな、と。同じ日本語を喋っているのによく
面接官との意思の疎通に困ることがある。
でも、と僕は声に出して言った。僕は戦わなくてはならない!
戦国時代の足軽のように!!
これはオオヤマさんが僕に与えてくれた模擬面接のような
ものなのだ。
レイとオオヤマさんを残し、僕は1人でポルトガル人女性の
いる部屋へと向かうことにした。オーケー。悪くない。あと1〜2回
くらいは僕のペニスもうまく勃起しそうだ。
166 :
ねずみ男:02/09/28 19:54 ID:rm5N64Nz
そう、何より伝えるべきことがあるということが
ジュウヨウなのだ。と僕はオオヤマさんの言葉
を牛が反芻をするように何度もつぶやいた。
それから僕は301号室のドアをノックした。
次の方、
167 :
双子の女ノ子:02/09/28 20:38 ID:hvtXBOqi
返事がないのでドアを開けると、そこはホテルの空間というよりも
ガランとした、一人暮らしの部屋といったおもむきだった。
はろー、と呼びかけてみたが反応がなし。
バスルームにいるのかと覗いてみるが、誰も居ない。
それどころか、バスルームは未使用のまま、乾燥していた。
はたと気がつくと、ベットも使用した形跡がない。
オオヤマさんはここで何をしていたのだろう?
そして女は一体どこへ消えたのか?
気になって、元いた部屋へ戻ろうとすると
大きな落雷の音が聞こえたと同時に、部屋の電気が消えた。
いや、その音は落雷ではなかったのかもしれない。
168 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/28 20:45 ID:aSRr2pVO
女性はベッドに全裸で腰掛けて、本を読んでいた。
なにやら、日本語とポルトガル語の教科書のようなものだった。
ラテン系の女性らしく、背は160前後でかなりの美人だ
彼女はニッコリ笑い「スコシナラ ニホンゴ ワカリマス
リスボン ノ ダイガク デ ニホン ベンキョウ シテマス
ノブナガ スキデス アナタ ノブナガ スキ?」
ふむ、また信長か? どうも信長からは逃げられないらしい
正直、サラリ−マン経験のあろ僕はああいう天才的な上司の下では
かなりの確立でスポイルされてしまうだろう。
地味だけど、堅実な家康の方がボス(会社)としては長続きするかもしれない
僕は「英雄としてはスゴイと思う。日本人にはないタイプです。
けど部下として仕えるにはハードだと思います。」
僕は、質問に答えながら、透き通る白い肌
白人特有のお椀がたの胸に
ペニスはまた勃起するのが分かった。
次の方
169 :
168:02/09/28 20:47 ID:aSRr2pVO
167さんの見ずに書いてしまった。
誰か繋げて
170 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/28 23:10 ID:zheXFvAr
167のような心配はなかった。
僕は最近、妄想が激しくなっている。
ドアを開けると、全裸の白人女性がちゃんといた。
168の状況のままで僕のペニスは勃起している。
早く彼女の湿った中に入りたかった。
次の方
171 :
ねずみ男:02/09/28 23:18 ID:rm5N64Nz
いや、妄想と思いたかったがこれは寒空のもと冬の熊が鮭を獲る
ようにすばらしいトリックだった。
僕は暗闇になった301号室を出てから非常階段と書かれたドアの
外へ出て煙草を1本吸った。それからもう1度301号室に戻るとポ
ルトガル人女性はそこにいた。つまりまるで春の熊のようにほがら
かにベッドに全裸で腰掛けて、本を読んでいた。
あるいはこのトリックは・・・?と僕は思った。
昔やってたテレビドラマ『ケイゾク』(中谷美紀+渡部篤朗)の話と
そっくりぢゃないか。あの古典的なトリック・・・。
(ネタバラシになるのでここではこれ以上触れない)
そう、その通りだった。
「アタシ ハ ポルトガル デ アツローズ ヲ ケッセイ シテマス」
とポルトガル人女性は言った。
「アツローズ?」
172 :
ねずみ男:02/09/28 23:23 ID:rm5N64Nz
ポルトガル人女性が言ったことを分かる範囲で解釈するとこういうこ
とになる。この女性は信長をはじめ日本文化に対する興味が激しく、
特に渡部篤朗のファンで、ポルトガルでは非公認ファンクラブ
『アツローズ』を結成しているということだった。
だからって僕を同じトリックにはめることはないじゃないか。
でも僕はトリックにはめられたことにちっとも腹が立たなかった。
なぜなら白人とのセックスははじめてだったからだ。
あるいは怒りよりも性欲が勝ったということになるのかもしれない。
そして僕はこれから始まる素敵なできごとに対してソフィスティケート
された希望を持った。
そう、僕の黒ずんだペニスは硬く勃起していた。
173 :
ねずみ男:02/09/28 23:35 ID:rm5N64Nz
僕はポルトガル人女性とできるだけ早くセックスをしたかったが
禅問答のような会話がつづいた。
信長は天才だがサラリーマンの立場で仕えるならやっぱ家康か
な、なぜなら明智光秀は毛利や秀吉や朝廷に騙されて信長を裏
切ったという説もあるが通説はやはりノイローゼによるものだった
らしい、とか、切腹、武士道、多摩川のタマちゃん、アツローズ、
までさまざまな会話を交わした。
確かに、と僕は思った。オオヤマさんは僕に模擬面接をさせようと
している。僕はこの女性とセックスしなければならない。圧迫面接
に負けるわけにはいかないんだ。
あるとき僕は自然に彼女の肩に手をまわした。
それはとても自然なできごとのように思われた。
174 :
ねずみ男:02/09/28 23:47 ID:rm5N64Nz
僕は自然に(これ以上ないというくらい自然に)彼女にキスをした。
1回目は軽く行ない、2回目には舌を差込んだ。
それから僕は白人特有のお椀がたの胸に触れた。
「オー!イェイ」とか「ウー!イェイ」といったあえぎ声を彼女はあげた。
ふうむ、と僕は思った。やはり日本人女性のあえぎ声とは全く異な
っている。もうそれだけで僕のペニスは陶器のように硬く勃起して
くるのを感じた。
何より、伝えるべきことがあるということが ジュウヨウなのであります、
というオオヤマさんの言葉を僕はもう1度思いおこした。
そう、僕はこの女のヴァギナに黒ずんだペニスを差し込みたい!
これが僕が伝えるべきことなのだ。
これは面接と同じくらい切実なものごとなのだ。
次の方、白人女性とのセクース描写キボンヌ
175 :
てきとう:02/09/29 01:00 ID:OqiLyGbE
五人の女と寝たからといって、いったい何が変わるというのだろう。
五人目の女が去ってもやはり、僕は無職かもしれないのだ。
僕の経験値は、そりゃあ少しは上がるだろう。女性に関しては。
だが・・・
心が一瞬ベッドから離れたのに気付いたのか、
僕を迎え入れる体勢で横たわっていた彼女は、僕を見上げ、
僕の首を抱いてこれからの行為に集中させようとした。
そう、面接では自分の本心を気取られてはいけない、
たとえその会社では一週間だってやっていけないと思ったとしても。
僕は彼女の唇の感触を確かめ、淡い金色の陰毛にかくされたヴァギナ
に手を伸ばした。
176 :
てきとう:02/09/29 01:20 ID:OqiLyGbE
彼女は、飽く事なく何度も僕を求めた。
僕の真っ黒なペニスを。
僕も彼女の欲望に応えた。僕までもが白人なみの持久力を得たようだった。
僕らは双子の小熊のようにころころと抱き合ったまま部屋の中を転がり、
互いの体を楽しんだ。
「アナタ、ガイシデモ、ダイジョウブネ・・・」
セックスのあとぼんやりと天井を見上げていた彼女はつぶやいた。
何だって。うとうととしかけていた僕は彼女の言葉に耳を疑った。
そうか、彼女は僕の国際的競争力、コミュニケーションスキルを測っていたのだ。
言葉をさほど必要としない行為ではあったが、僕は彼女を存分に満足させたのだ。
彼女は僕の未来の仕事に、何らかの具体的な接点をもっているのだろうか?
彼女の次の言葉をまった。
「ワタシ、オオヤマのトコロにイッテクル。アナタもヨケレバアトデクルトイイ」
そう言うと彼女は立ち上がりさっさとシーツを体に巻き付けた。
やれやれ、彼女を満足させたなんて、僕の思い上がりだったらしい。
177 :
またた:02/09/29 01:26 ID:hGGQ2s91
ヴァギナは暖かく湿っていた。いや、むしろ潤っていると表現した方が正しい。
泉のごとく湧きいづるその温かみは、僕の思考力を完全に剥ぎ取っていた。
クリトリスに触れると彼女は歓喜のため息を発した。
指を動かすと、僕の動きにあわせて、リズミカルに喘いだ。
僕のペニスは、もう我慢できないくらい硬くなっていた。
178 :
またた:02/09/29 01:27 ID:hGGQ2s91
あ、かぶった。176の続きで進めてくれ
179 :
ねずみ男:02/09/29 01:52 ID:7McrCLpU
イズミ(31)、佐伯さん(30後半)、レイ(20代?)、ポルトガル人女性(20代?)
という多種多様な年齢・国籍の女性たちと僕はセックスをしてきたことになる。
さくらの言ったことが正しければあと1人の女と寝れば何かが起きる。
僕は5人目の女がキキであればいいのにと思う。
僕にとってキキはメタフォリカルな意味で第一志望の会社なのだから。
あるいは何もおきないのかもしれない。
でも僕にはもうそんなことはどうでもよかった。
僕は射精をするたびに無職でも自分が生きていることを確認することができたし、
国際競争力やコミュニケーションスキルの重要性も学んだ。
僕の足取りはまるでダンスのステップを踏むように軽やかだった。
僕はポルトガル人女性と一緒に、もとの部屋に戻ることにした。
オオヤマさんとレイがおそらくプレイしているだろうあの部屋へ。
180 :
ねずみ男:02/09/29 02:00 ID:7McrCLpU
オオヤマさんとスワッピングしたレイへの嫉妬が僕を襲う。
オーケー。何も問題はない。僕が挿入し、オオヤマさんが挿入し、それから
また僕が挿入する。ただそれだけだ。また入れればいい。
僕は軽く深呼吸をした。
そして右手のポケットに手を入れ硬貨を数える。手触りだけで僕にはいくら
入っているかが判る。
280円。
オーケー。無職だけれどまだ僕の勘も鈍っていない。
それからおもむろに僕はドアをノックした。
次の方、
181 :
1:02/09/29 02:05 ID:pCuinzBL
おれも名無しで書き込んでる
無職だ。
オレはあんたらが好きだ。
村上春樹を基準に10としたら6はいってるだろ
この小説(w
みなさん。転職頑張ってね
182 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/29 02:10 ID:pCuinzBL
「ダメでした。女の子はカワイイ、可愛すぎますが
オオヤマは欧州滞在が長すぎて、それと別れた妻(ドイツ人)のセックス
に慣れすぎて、ニホンの女の子とはセックスできないかもしれません」
レイははにかみながら「アタシ、オオヤマさんのセックスにとても
興味あったわ」とつぶやいた。
僕ら4人はビールを飲み、朝が来るのを待った。
次の方
183 :
てきとう:02/09/29 02:41 ID:OqiLyGbE
ポルトガル女性の名はジョイスといった。
彼女はギターをどこからか出してきて、
「ノルウェイの森」をたとたどしく弾きだした。
奇妙な夜だった。僕は、先客が忘れていったらしいヘッセの、
「車輪の下」をベッドの下にみつけ、ビールを片手に読んだ。
こんなホテルで、ヘッセか。どんな奴だろう?
オオヤマさんはレイに、ドイツ人妻とのセックスがいかに素晴らしいか、
語っていた。実に奇妙な空間だった、それは。
僕らはラブホテルにいて、その気になれば4Pだってできるのに、
のんびり朝日が昇るのを待っている。
まぁ、悪くないのかもしれない。僕は3人の様子を眺め、ビールを飲んだ。
なにか僕らが、ひとつのチームであるような気がした。
ただこんな時間を共有しただけなのに、僕はまるで二十歳の青年みたいにそう思った。
184 :
てきとう:02/09/29 02:43 ID:OqiLyGbE
たどたどしく、ね、たどたどしく。
もう寝ます。
お次の方ー
185 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/29 03:16 ID:M7ouhhXQ
4人の部屋で朝を迎えた
僕以外は深い眠りのまどろみにいた。
今日、僕は30才の誕生日を京都のラブホテルで迎えた。
186 :
ねずみ男:02/09/29 03:20 ID:7McrCLpU
空が白みはじめてくると僕は『車輪の下』を読み終えていた。
ジョイスとレイは、川のほとりのあらいぐまのように気持ちよさそう
に眠っていた。
それからオオヤマさんのまぶたがぱっちりと開いた。それからゆっ
くりと首を振りあくびをした。
「きょうは大雨になります」とオオヤマさんは言った。「このどしゃ
ぶりはあなたが探している石と関係があります」
「ねえ、オオヤマさん」と僕は訊いた「いったいどんな関係があるの?
だいいち僕はひかえめに言って石にはあまり興味がないんだ」
確かに、と僕は思った。石には興味がない。牛男に石探しを依頼され
それに協力したのは実は助手にレイをつけてくれるという条件があっ
たからなのだ。既に僕はレイとセックスを終え、牛男との関係性も形骸
化している。それに30歳になったし就職先もみつけなければならない。
「石はキキさんが持っています」とオオヤマさんは言った。
187 :
ねずみ男:02/09/29 03:40 ID:7McrCLpU
戦国時代を題材にした大学の卒論を書かなくてはならないのに失踪したキキ。
あるいは僕がたったの1度しかペニスを出し入れできなかったあげく、失踪
したキキ。あの可愛らしいピンクのスカートが似合っていたキキ。
僕はそんなキキを追ってこの京都にきているのだ。無職なのに。
そのキキが石を持っている。
レイとジョイスが目覚めたころ、外はひどいどしゃ降りとなった。
「降り始めましたね」とオオヤマさんは言った。
「なんのこと?」とレイが訊いた。
「そろそろ石を探すための時期が来たってことさ」と僕は言った。
次の方、
188 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/29 04:02 ID:HEZuct7R
レイは「ふむ」と呟いた。
30歳になった僕はそのことを誰にも告げなかった。
30歳は転職市場では、大きく違ってくる。
未経験採用の場合は28才まで
それを29歳までなら、面接で強くアピールすれば
大目に見てくれる。
しかし、30歳は書類選考すら通過しないと、僕はアホインテリジェンス
CAになんども聞かされた。
昨日までの29歳の僕と今日の30歳の僕に何が変わると言うのだ。
相変わらず、僕のペニスは黒くアフリカの草食動物を襲う猛獣のような
獰猛さは、少しも色あせてないて言うのに・・・・・・・・・・・・
189 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/29 04:13 ID:HEZuct7R
僕らはホテルを出て、喫茶点でモーニングを注文した。
ジョイスは珍しそうに、コーヒーを飲んでいた。
ジョイスは「ニホンジン ナノニ パンヲ タベルノ?」
オオヤマサンは「大事な朝食が日本食じゃない 普通は驚きますよね
オオヤマには分かります。 日本はもう日本じゃないかもしれません」
ジョイスが「アズチにイキタイ」と話始めた。
アズチ・・・・・安土
あー信長が天下一統を前に築いた城の跡がある場所だ。
レイは仕事があり、オオヤマさんは本屋にオランダ語の辞書が買いに行く
てことで、僕はオオヤマさんから車を借り、ジョイスと安土に行くことに
なった。
とにかくも、高速道路に僕らは乗り込む事になる。
次の方
190 :
ねずみ男:02/09/29 12:30 ID:7McrCLpU
僕はキキが石をもっていることをオオヤマさんに知らされたけれど、
ひとまずアズチにいくまえに牛男に挨拶を済ませることにした。
ジョイスを会社の前に待たせ僕は1人で牛男の会社を訪問した。
もちろん僕のTシャツには「レディオヘッド」と大きくプリントされている。
30にもなってレディオヘッドのTシャツを着て午前中からぶらぶらして
いる姿を見る人が見ればやっぱり奇異に映るのだろう。
ピンクの制服やネクタイをしめた社員たちが僕のことを「なんなんだ
こいつは」みたいな目でみるのがよく理解できた。
「やあ」と牛男は言った。「元気かい」
「ぼちぼちです」と僕は答えた。
191 :
ねずみ男:02/09/29 12:34 ID:7McrCLpU
「ところで」と僕は訊いた。「あなたの会社は何をやっているんですか。
まさか石を探すのが主要な事業だとは思えないんだけど」
ポルノ映画をつくっていると牛男は答えた。社員がピンクのネクタイや
ピンクの制服で統一されているのはつまりピンク映画の精神を常に忘れ
ないようにするためだ、という。
例えば、と牛男は映画のパンフレットを差し出した。
僕は何冊かのパンフレットをめくった。そこで僕は見覚えのあるポルノ映画
の題名を目にした。
題名は『ふぐり巻き鶏!栗&Riss』だった。
物語は東京の世田谷区から始まり、妻に逃げられた無職の青年が性犯罪に
はまってしまい、しかも青年のふぐり(玉袋)は大きいけれどペニス(棒)
は極端に小さいため太くするにはどうすればいいのかという自分探しの旅
にでる、時には戦時中の中国にも、といったあらすじが書かれていた。つ
まりキキがちょい役で出演していたあの映画だった。
ふうむ。と僕は言った。繋がっている。
少なくとも、ものごとはいささかなりとも進展しているのかもしれない。
192 :
ねずみ男:02/09/29 12:46 ID:7McrCLpU
どうやら牛男もキキが石をもって失踪したことを知っていたらしい。
「いま情報がはいった」と牛男は言った。「キキはアズチに向かっている」
「ねえ、社長」と僕は訊いた。「石っていったいなんなんです」
「いいかい。世の中には知っていいことと知らなくていいこのの2種類がある」
と牛男は言った。「わかるね」
面接に行ったドキュソ企業が決まって自社の情報を隠すように、この牛男も
石の情報について頑固に隠したがった。
やれやれ、ドキュソはしょせんドキュソだなと僕はいささか辟易される思いがした。
でも僕は5番目の女の子としてキキとセックスする必要がある。そのとき当然
石のことも判るだろう。しかもキキがアズチへ向かったという情報を得ただけ
でも十分牛男に挨拶にきた意味があるというものだ。
そうして僕とジョイスはアズチへ向かうことになった。
193 :
ねずみ男:02/09/29 12:48 ID:7McrCLpU
失礼、
× このの
○ ことの
次の方お願いします
194 :
てきとう:02/09/29 18:39 ID:AJEUbD4A
助手席のジョイスは僕のTシャツの胸に書かれた、
RADIOHEAD
というロゴを興味ぶかげに見ていた。
「気にいりましたか、これ?」僕は言って布地をつまんでみせた。
「ニホンにはスバラシイのもの、イパイアル。ナノニアナタは
RADIOHEADのフクなんかキテイル」
「これでもマシになったほうですよ、去年までは僕はキャプテン・
サンタのTシャツにキース・ヘリングの缶バッジなんか付けてたんだ」
ジョイスは小さく笑って、首をふった。信じられない、という風に。
「ピース」彼女は言った。
「ピース」僕は答えた。
僕らはアズチに向かっていた。キキはもう安土にいるのだという。
どんな表情で過ごしているのだろうか?
サイズの合わない兜をかぶって笑っている彼女の顔が浮かんだ。
195 :
ワタナベ:02/09/29 18:58 ID:EbfA09u0
オオヤマさんのマツダ・ファミリアは実に静かに淡々と道を走っていた。
ジョイスとの会話は確かにちぐはぐすることもあったけど、時折そのあいだに挟まれる
彼女の笑顔は、まるで備え付けの家具のようにそこにふさわしく、自然だった。
彼女の態度はあるいは場慣れした面接官のようでもあった。
僕はひとつ疑問に思う。いったいオオヤマさんはどのようなトリックを使って、
この車を所有しながら、同時にセイカツホゴを受け取っていろのか?
人間には二種類あるとオオヤマさんは言った。オーケー、それはオオヤマさんの問題だ。
車には二種類ある。匿名的な車とそうでない車だ。そして僕は匿名的な車を走らせる。
匿名的なサラリーマンの行き来を横に、匿名的な無職の男性が匿名的な車を走らせる。
そう僕は、面接官の前ではいつもトクメイテキな受験者にすぎない。
「ナニヲ カンガエテイル? シリアス ナ コト?」ジョイスは言った。
「トクメイテキ ナ ボク のことさ」
196 :
てきとう:02/09/29 18:59 ID:HJpoY8+D
僕が思わずもらしたふくみ笑いに、ジョイスはけげんそうな目をした。
「栗東でなにか軽く食べましょう、確かめたいこともあるし」
僕は僕自身の物語が確実に進行しているのを感じていた。
一秒ごと、本当はいつでもそれは進行しているはずなのだが、
今日のようにまるでテレビドラマみたいなテンポで進む現実に、
僕は少し恐れをいだいていた。頭を冷やしたかった。
無職生活は終わるのだろうか?安穏とした暮らしが失われるのは
確かに寂しい。ビールだって三食と一緒には取れなくなるかもしれない。
しかし、と僕は思った。僕がよい仕事に就く事ができ、
キキが僕の妻になってくれたりしたら、僕の物語は一応の完結を
迎えるだろう。象は草原に還るだろう。
栗東のサービスエリアは空いていた。
ジョイスは「にゃんまげ」のキーホルダーを見つけてはしゃいでいた。
僕は見覚えのある男を見つけた。カーボーイだ。
彼は空のラーメン鉢を前に、携帯のボタンをいそがしく叩いていた。
197 :
てきとう:02/09/29 19:01 ID:HJpoY8+D
すんません・・・
うまくつなげてー誰かー
いや、いけるかな?
198 :
音痴 ◆e54OonTI :02/09/29 19:34 ID:VZ6NhUHh
今僕がしてる行為は、置きっぱなしの空のラーメン鉢と同じなんだ。
ふう。
携帯でメールを打ち終わってから彼がつまらなそうに言った
それ自体はもう何も用を成さない。メインは中に入っていたラーメンなんだ
今送ったメールだって誰かに見てもらおうとおもって送ったわけじゃない
君は就職したいと願っている。それは自然な行為だ。いつまでも無職で生きて
いけるような環境に俺たちは置かれていない
でも、毎食ごに飲むビールが夜の晩酌だけになる程度なんだ
毎日休み無く働くわけじゃない。休日にパスタを作って猫とじゃれあうくらいの
時間は残っているさ
199 :
ワタナベ:02/09/29 20:06 ID:EbfA09u0
ジョイスはまだ「にゃんまげ」に夢中のようだ。
僕はカーボーイに語りかける。
「僕には伝えるべきことがある。あるいはそうあって欲しいと思う。
そして僕はそれを伝えなければならない」
「ジェイムス・ジョイスは」と彼は言う。
「ジェイムス・ジョイスは、実に巧みに精神の流れを表現した。控えめにいって実に巧みに。
しかし彼は精神そのものを描写したのではない。その「流れ」をつかまえたのだ」
ラーメン鉢を傾けながら、カーボーイはつづける。
「カフカは機械的な社会を直接表現しようとはせずに、ただ機械そのものを
詳細に記述することでそれを表現した」
「実に興味深いね。僕は僕そのものを伝えようとするのではなくて、
何について詳しく説明すればよいのだろう?」
「ラーメン鉢について執拗に語れ。蛭のように執拗に。
まあ、あるいはカキフライからはじめた方がいいかも知れない」
200 :
双子の女ノ子:02/09/29 20:23 ID:dZtzoFAQ
ふむ。僕は10代のころ付き合っていた女の子に言われた言葉を思い出した。
「あなたのレイゾンディーテルってなに?」
レイゾンティーテル。僕の存在理由。
30になった今でもそれは分らない。
とりあえずラーメン鉢について執拗に語れば、少しは理解できることなのか?
201 :
ワタナベ:02/09/29 20:50 ID:EbfA09u0
「イシキ ノ ナガレYO」
振り向くとジョイスがいた。
「そうだった。すまん。意識のながれだ、ジョイスは」
ジョイスに関してジョイスは執拗なのかも知れない。
「それはジュウヨウなことなのだろうか?」と僕が言う。
「控えめにいってジュウヨウだ。名前とはいかんともしがたく、ジュウヨウだ。
クォーツ・ショウシャ・セクハラ、名前を使わずに説明できるか?」
ふうむ。僕は少しだけ混乱する。
「レイゾンティーテル」ジョイスが言った。あるいは言ったような気がした。
僕はますます混乱する。
「アヅチ イク」
僕は席を立つ。
「君は向かうべきところへ向かっているようだ」カーボーイは言った。
そうであるならよいのだけれど、と僕は言う、誰に向かってというのでもなく。
202 :
ねずみ男:02/09/29 21:35 ID:7McrCLpU
「あるいは『フィネガンズ・ウェイク』と同じことなのかもしれない」とカーボーイは言った。
「フィネガンズ・ウェイクはいわゆる夢の中の言語で書かれたジェイムズ・ジョイスの小説だ」
カーボーイは続けた。ジョイスは普通の文体ではこれ以上井戸が掘れないと悟り、
夢の言語にまで手を出してしまった。わかるかね?井戸を掘るということが。そう、無職
の君はいま井戸を掘っている。それはいい。ただ1つだけ忠告しておこう。
それからカーボーイは言った。
「夢の中の世界は危険だ。きみは夢の中に入りこみそうになるときこう言わなくてはならない、
ハイ!あなたにはモウついていけません!、と」
それだけ言い残すとカーボーイはベージュ・チェックのPコートをはおりそそくさと姿を消した。
またどこかのソープランドへいくつもりなのだろうか。
203 :
ねずみ男:02/09/29 21:37 ID:7McrCLpU
僕はマツダ・ファミリアのエンジンをかけギアをファーストに入れた。
それから僕は「ジョイス」というボサノバのシンガーソングライターの名盤
『JOYCE』のCDをカーステレオに入れた。
この日本の秋特有の物悲しい空気のもとで聴くボサノバは僕の気持ちを
焦らせた。
それにしても、と僕は思う。このファミリアの乗り心地の好さはなんとも爽快
ぢゃないか。セカンドからサードに入れたときの加速感はとても自然でこん
な匿名性のある車がこんなに乗り心地がいいなんて思ってもみなかった。
無職の僕はある意味で一般社会から匿名性を帯びている。でもマツダ・
ファミリアがそうであるように、僕も加速をすることができるしあるいはしな
ければならないのかもしれない。
安土へはもう少しだ。
オーケー、安土に着けばうまくいく。問題はない。
204 :
ねずみ男:02/09/29 21:48 ID:7McrCLpU
モウ キキアキタワヨ ホカノ オンガク ニ シテ チョウダイ、
とジョイスは言った。同じ名前なのに。あるいはポルトガルでは
ボサノバはあまり流行っていないのかもしれない。昔ポルトガル
は中南米を侵略して植民地にしたくせに。
それから僕はレディオヘッドのアルバム「OKコンピューター」を
カーステレオにかけた。もちろん最大音量で。
ジョイスの表情は急にうれしそうなものに変わり、首を上下に激しく
動かした。まるでライブハウスでヘビメタを聴きながら踊る黒革の
ジャンバーを着た観客のように。
それにしても、と僕は思った。マツダ・ファミリアを運転しながら
レディオ・ヘッドを大音量で聴きながらポルトガル人女性をつれ
て安土へ向かう30歳の無職がこの世界のどこにいるというのだ。
やれやれ、と僕は思った。しかもTシャツまでレディオヘッドじゃ
ないか。
安土まであと2kmという道路標示を僕は捉えた。
205 :
ねずみ男:02/09/29 22:10 ID:7McrCLpU
安土に着くと、僕たちはひとまず『居るかホテル』に宿をとることにした。
ホテルの台帳にはカフカ・ワタナベ&ジョイス・ワタナベと記入した。
ホテルのフロント係りは「ご夫婦ですか」と訊いた。
「あるいはね」と僕は答えた。「メタフォリカルな意味で」
ホテルのフロント係りは、オオシマです、と名乗った。
20代前半の顔立ちの整った青年だった。よくプレスされた真っ白な
ボタンダウンシャツを着て立ち振る舞いも優雅だった。ときにはお客
さんに対して禅問答をしかけることを除いては。
1969と刻み込まれた部屋のキーを受け取ると僕たちは1969号室へ
と向かった。
206 :
ねずみ男:02/09/29 22:27 ID:7McrCLpU
1969号室に入ると窓の外側に琵琶湖がくっきりと映し出されていた。
「コレガ ビワコ ナノネ?」とジョイスはまるで子猫のように目をきょろ
きょろさせて言った。
「そうだよこれが琵琶湖だ」と関東在住の無職の僕は知ったかぶりを
して言った。
それから僕たちは琵琶湖を背景にしてささやかだけれど素敵なセック
スをした。これはあるいは僥倖といえるのかもしれない。ささやかだけ
れど幸せなセックス。
ねた切れ、次の方
207 :
コギャルとH:02/09/29 22:27 ID:9c+rBpz5
208 :
双子の女ノ子:02/09/29 23:02 ID:dZtzoFAQ
セックスを終えると、彼女はバッグの中から
取り出したセイラムに火を付けた。
僕にも勧めたが、あいにく僕は禁煙をしてかれこれ7年になる。
その事を説明したかったが、いらないとかぶりを振った。
日本語で禁煙がどうのと言ったところで、どうせ理解するまい。
やれやれ。僕は突然、あらゆる物事が面倒に思えてきたのだ。
209 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/30 01:53 ID:vGEmjvtM
>>208 僕はこの小説の中でタバコ吸いまくってますよ
オオヤマさんにも勧めたし
210 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/30 01:58 ID:vGEmjvtM
朝を迎え、僕らはコンビニエンスストアーで
朝食を買い込んだ。
おにぎりさん弁当とジョイスは大関さん弁当それに
冷たいほうじ茶を
安土の城跡のとにかくも行く事にした。
この町はのどかな田園地帯で信長が城を築かなきゃ
有名になつこともないだろう
211 :
名無しさん@引く手あまた:02/09/30 02:09 ID:vGEmjvtM
有名になつこともないだろう ×
有名になることもないだろう ○
安土の城跡は小高い丘の上にあった。
丘の下に看板で安土城跡と言う看板が出ていて
駐車場があった。 まぁ観光地にはなってる訳だ。
駐車場で僕らは朝食をとるこにした。
ほうじ茶で弁当を流し込む。
うまくもないし、まずくもない。
ピース 僕は呟いた。
弁当を食べ終わり、城跡に登ることにした。
麓から山上まで、今復元作業が行われており、石垣の修復作業が
進められている。
山上までは、荒い石垣が階段を挟むように続いている。
途中で羽柴秀吉邸跡があり、真正面に前田利家邸跡があった。
どちらも、石垣だけだが、知ってる名前が出てきて安心した。
ジョイスは、熱心に秀吉邸跡の説明を時間をかけて読んでいた。
山上の天主跡はまだまだ時間はかかりそうだ。
僕も秀吉邸跡でほうじ茶を飲み、タバコに火を付けた。
キキとは会えるんだろか・・・・・・・・・・・・・
次の方
212 :
てきとう:02/09/30 20:58 ID:umRPiDik
実のところ、僕はずっと安土城は名古屋にあるものだとばかり思っていた。
まさか滋賀なんて、湖しかない県に存在するとは意外だった。
こうしてみると、僕はここ数週間ですいぶんとさまざまな事を知ったように思う。
仕事をする上で大切なことも、そうでないことも。
ジョイスは、信長の顔が浮き彫りになったメタルのキーホルダーを買った。
キーホルダーを集めているらしい。
僕はカーボーイの言葉を思い起こしていた。
「夢の中の世界は危険だ。きみは夢の中に入りこみそうになるときこう言わなくてはならない、
ハイ!あなたにはモウついていけません!、と」
現実から逸脱してしまわないよう注意しろという意味なのだろう。たとえば昔僕が
家電店の配送のアルバイトをしていた頃のことだ。
「今日は家に座敷童子がいてるので冷蔵庫の設置は明日にして下さい」
そんな客がいた。僕らには僕らの予定があったから、僕らは強引に客の家に上がり込んで
姿の見えない座敷童子をなだめつつ冷蔵庫を設置した。
「音が気にくわないようだ、いやいやをしてるから」
40すぎのその家の婦人は言ったが、僕らはサインをもらってさっさとひき上げた。
「奇妙な奴らがいるのさ」22、3の先輩は帰りの車中ではき捨てるように言った。
「多いんですか、ああいう人は?」僕は尋ねた。
「めったに会わないがね。妙な奴を引き寄せてしまう人間ってのが確かにいるものさ」彼は答えた。
213 :
てきとう:02/09/30 21:03 ID:umRPiDik
例えばオオヤマさん。
彼も奇妙な人だ。博学だが、エリートコースからはふらふらと
逸れてしまっている。
僕だから、オオヤマさんと出会ったのだろうか?
羊男と、カーボーイと、キキとジョイスと牛男、
他にも多くの妙な人々に出会ったのだろうか?僕、だから?
もしかしたら、
「ハイ、もうついていけません!」というべきポイントを、
僕はとっくに通り過ぎてしまってのかもしれなかった。それほど
昔から、それこそほんの小さな時分から、僕はついていくことの困難な、
現実のような夢に取り込まれて過ごしていたのかも知れない。
考えても答えは出そうになかった。
ジョイスが心配そうに、茶店で買った「尾張のうつけ者団子」
を差し出した。
「ごめんなさい、僕は疲れているようだ」
ジョイスは気にしないで、というように首を振った。
「Well,I feel same way,same thing, once in a while.I know what you mean.」
その時、キキの声がした。
で、お次。
214 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/02 05:10 ID:gC9U6A4X
安土山の中腹のベンチで僕は琵琶湖をみていると
「キャー」と声がした。
キキだった。マムシがキキを威嚇して、キキは動けずにいた。
僕はその辺の棒でマムシの注意をそらし、キキをにがした。
マムシは藪のなかに滑り込んだ。
ありがとう キキは大きな鞄とカメラを肩から提げ
少し泣いていた。 大丈夫だよ
僕は冷たいほうじ茶をキキに飲ませた。
「友達いないから、一人で来たらマムシだし、泣きそうよ」
僕はその時、キキが愛しく思えた。
このコなら、なぜかやっていけそうだ。・・・・・・・・・・
次のかた
215 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/02 12:04 ID:NGUlaVV0
「心配ない、ちょっとした歓迎のしるしさ。安土流のね」
僕はほうじ茶を、今度は口移しでキキに飲ませた。
マムシは仲間の青大将と、そばの木の上から僕らのようすを窺っていた。
僕はキキに石について尋ねた。
「あ、これね」
彼女は肩に掛けた大きな鞄から、レコード盤ほどの大きさの丸い石を取り出した。
「わりのいいバイトだと思ったけど、やっぱりそんなに都合のいいバイトって無いわ」
「石のデリバリー?」
「そうよ。Eメールで応募したら、5万円とコインロッカーのキーが郵送されてきた。
コインロッカーの場所と残りの5万円は任務が完遂されたら郵送するって書かれた紙と」
「そしてコインロッカーには石が入っていた」
「そうよ」
「それと行き先」
「行き先はアヅチとだけよ。そして行けばわかるって」
確かに怪しいアルバイトではある。
ポルノに出演することと比べるべきかは迷うところではあるけれど。
「しかし10マソ円とは、控えめいってワリのいいバイトだ」
「でもそれなりに大変だったわ。報酬は確かに高いと思うけど、それは程度の問題の範囲
じゃないかしら?決してホウガイでもないし、非現実的でもない。
マーシャルを批判できるほどの事実ではないわ」
「確かに、マーシャルを批判できるほどの事実ではないし、
マルクスだって大目に見てくれると思う」
「この石をどうするかは、あなたが知っているのかしら?」キキが言った。
「わからない」と僕は言った。
確かに僕は石を探していた。でも僕は何故石をさがしていたのだろう?
牛男もカーネル・サンダーズも石を探している。しかし僕は彼らに依頼された
訳でさえない。オオヤマさんは石が関係していると言った。
だけど、と僕は呟く。だけど、これをどうしていいかを僕は知らない。
そのとき、背後の茂みがかさかさと音をたてる。
そして駱駝が現れた。駱駝は言う。
「まあ乗りなや」
やれやれ、まいったな。
「僕が乗るの?それとも彼女が?」
「漏れはそんなことは知らん。漏れ運ぶだけ。石があれば逝ってよし」
218 :
双子の女ノ子:02/10/02 21:32 ID:w1ZfIMtX
僕は右手をポケットに突っ込み、小銭を数えてみた。
684円。正解。
一応僕はまだ現役なのだと確認すると、少し安心した。
オーケー。僕は石を抱きかかえるようにして駱駝にまたがった。
「ところでキキ。君はどうする?一緒を尊重するのはマナーだ。
219 :
双子の女ノ子:02/10/02 21:34 ID:w1ZfIMtX
訂正)
「ところでキキ。君はどうする?一緒に来るかい?」
そう。僕はこれでも紳士なのだ。女の子の意思をするのは男としてのマナーだ。
220 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/02 21:44 ID:3I0qN1N9
海辺の過負荷
221 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/02 23:29 ID:yLOLF/Zj
222 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/03 00:53 ID:gP9xrQZP
完結を見ずに終了か?
最後は最愛の女と最適の就職先
見つけて終わりにしようぜ
223 :
双子の女ノ子:02/10/03 01:30 ID:unoHfqGd
>>222 てゆーかさー。時々私的なコメント入れてるのってあんた?
悪いけど、それ見るたびに書くが除除に失せていったよ。
そういうチャチャ入れるんだったラ、あんた一人で全部書けよ。
つか氏ね。
漏れハモウ就職決まったカラ、ココノ板ニ来る回数ハ減るダロウナ。。。ウヒャ
敗者の222よ、サイナラ〜〜〜。(ゲラゲラ♪
224 :
222:02/10/03 02:20 ID:KziApYfH
>>双子の女ノ子
初めて、コメント書いたけど 貴様はバカ?
オマエの書いた部分が一番クソみたいな中学生以下の文章だから
もうマジで書くなよ まじでオマエの後は文章の脈絡がなくて誰も・・・・
零細企業で頑張ってくれ
もう相手しないから、もう来るなよ
ちなみに、既に働いてるけど(お前とちがって、零細じゃないw
225 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/03 05:52 ID:+kAI8Sal
まあミエ張るなって。カスのくせに。>222
226 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/03 06:46 ID:35pMpM7k
>222
>完結を見ずに終了か?
>最後は最愛の女と最適の就職先
>見つけて終わりにしようぜ
↑初めて来た香具師がこういうこと書くかよ?
どう考えても常連のレスじゃねぇか?
俺も時々このスレ覗いたり続き書いたりしてたけど
ここ数日は誰も書いてなかった日もあっただろ。
でなけりゃ「完結を見ずに終了か? 」が唐突に出てくるわけがないと思う。
227 :
トパーズ:02/10/03 16:00 ID:Pg9iWdrg
糸冬 了
228 :
てきとう:02/10/03 20:24 ID:YRm29GkE
↑終わっちゃうのかよ。あらら。
いや、もう、皆さん和やかに行きましょうよ。
書きたい人は書きましょうよ。無職も在職もウェルカムだよ。
漏れは書きますよ。好きなように書きますよ。飽きたらやめるけど。
誰か続き書いてくれ。
229 :
てきとう:02/10/03 20:25 ID:YRm29GkE
駱駝はどこへ向かっているのだろう。
彼は絶えずもしゃもしゃと口を動かしながら進んでいた。
「何か食べるもの持ってる?」僕は聞いてみた。
「私ももう、お腹ペコペコよ、石の運び屋なんて女の子のするバイトじゃないわ」
キキが言った。
「悪ぃな」
駱駝は悠然と答えた。
「俺が食ってるのは昨日の昼飯だ。草だけどな」
牛の仲間だったっけ、君は?僕は尋ねた。確かな、と駱駝は答えた。
人力車に乗った観光客や、4WDに乗った家族連れなどが、
僕らを驚いたように見ていた。
ふぅむ、駱駝は、滋賀ではポピュラーではないらしい。
230 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/03 20:26 ID:YRm29GkE
「あんたのその石は重いね」
駱駝は言った。
「膝に来ちまうよ、ほらここら辺はもう市街地だからね、
地面が、かたいんだ、砂漠や城内とは訳が違うんだ」
僕らは四車線の道路にいて、渋滞の原因となっていた。
キキはすまなそうな顔をした。
「そうね、たしかにそうだわ。こんな悪い石、飛んでっちゃえ、
えいっ」
そう言うと彼女は石を反対車線に放り投げた。
黄色いフィアットの屋根が、ぼごん、と凹んだ。
「なんて事をしてくれるんだ、君は」
僕はうろたえた。どうしたらいいんだろう?
231 :
てきとう:02/10/03 20:27 ID:YRm29GkE
↑名前ワスレ。次 誰か。
232 :
ねずみ男:02/10/03 23:59 ID:MLt8YpGC
まるで全てのものごとを解き放つようにしてキキは石を投げた。
そのできごとは僕の抱えている問題 ―つまり無職でペニスが黒いということ―を
解き放つようだった。
フィアットは道路脇に停まり、中の人物は手招きをしながら車を降りたった。
僕たちは手招きに従い駱駝をフィアットの方へ向け、フィアットの男の前まで行った。
「つい手が滑っちゃったんです」と僕は言った。
「ふむ、まあそれはいい」とフィアットの男は言った。「ついにたどり着いたようだね」
233 :
ねずみ男:02/10/04 00:09 ID:KqS28zdv
フィアットから顔を出したのは鼻ヒゲをうっすらと生やしたオオヤマさんだった。
「やあ」とオオヤマさんは言った。「君たちは石を解き放ったであります」
解き放つ?いったい何のことなんだ。ただ石を放り投げただけじゃないかと
僕は思った。
「君たちが石を解き放ちあちらの世界とつながったであります」とオオヤマさんは
言った。「つながっているうちに山に入らなければならないのです」
234 :
脚注:02/10/04 00:17 ID:rzZwOmIb
滋賀にドルフィンホテル(今は廃墟)ってあるんだけど、
使って欲しかったな。みんな滋賀には縁がないんだね。
235 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/04 00:19 ID:T1xM4XwE
知らなんだ!
236 :
ねずみ男:02/10/04 00:26 ID:KqS28zdv
オオヤマさんの言うことはこういうことだった。石によってどこかの扉を
開いてしまったらしい。僕はその扉をくぐり、何かを手に入れなければ
ならない。あるいはそれは就職先なのかもしれないのだけれど。
「そこで何が起こるか」とオオヤマさんは続けた。「さっぱりわかりません」
「でもそれは必要なことなんですね」と僕は訊いた。
「わかりません」とオオヤマさんは言った。「そればっかりはオオヤマにも
さっぱりわからないのです」
僕はキキを見た。キキは頷いた。
だいいち僕は無職だ。無職という欠落を埋めるために何らかの可能性が
あるのなら試してみる価値はある。オーケー。扉の向こうへ行ってみよう
ぢゃないか。
僕たちは駱駝を乗り捨て、オオヤマさんのフィアットに乗り込んだ。
「それじゃ」と言うと駱駝はどこかへ走り去った。伝書鳩のように自分の家
に帰るのだろう。
僕たちが向かった先はオオヤマさんが所有する山小屋だった。
オオヤマさんは、何かのしるしみたいに屋根の凹んだフィアットを滑らかに運転した。
いつ降り出だしたとも知れず、小雨がフロンドガラスを湿らせていた。
オオヤマさんはホテルの手前へ車を進め、そこで止めた。
ドルフィンホテルと小さく記されたホテルだった。
「キキさんを連れて行くわけには参りません。ここで降りていただきます」
とオオヤマさんが言った。僕はキキの顔を伺う。
「そうね、これはあなたの問題だわ」と彼女は言った。
キキは抜け殻のような鞄を肩に掛け、車を出た。僕はホテルに向かう彼女の
後ろ姿を眺めていた。僕は帰って来れるのだろうか。
オオヤマさんはギアを入れ、車を再び走らせる。
「ところでジョイスは」と僕は言う。
「シンパイありません。彼女はチュウショウテキなソンザイであります」
僕は少し困惑する。オーケーと僕は言う。僕は石を解き放ったのだ。
「牛男さんにも連絡するヒツヨウはありません」とオオヤマさんは言った。
僕はまた少し困惑する。それを見透かしたようにオオヤマさんはつづける。
「牛男さんは昔、イトウチュウでブチョウをしておりました。オオヤマとは
ライバルでありました。しかし彼も今となってはこちら側の人間であります」
ふうむ、牛男は抽象的な存在ではないわけだ。
オオヤマさんはとてもとても滑らかにギアをチェンジする。
気が付くと車はずいぶんと細い山道を駆け上がっていた。
雨は相変わらずしとしととフロントガラスを湿らせている。
239 :
てきとう:02/10/04 22:19 ID:NUZ2JzF6
あちら側とこちら側。
牛男もこちら側の人間だ、とオオヤマさんは言った。
人間を二種類に分けるとして、多分オオヤマさんは僕も『こちら側』のタイプだと
捉えているのだろう。『こちら側』である、という事には、
『敗者である』という意味も多分に含まれているのだろうな、と僕は思った。
「その解釈は浅薄すぎるようです」
オオヤマさんはスムースに運転を続けながら言った。
ジョイスとも、ようやく出会えたキキとも離れ、僕は別のどこかへ向かっている。
240 :
てきとう:02/10/04 22:20 ID:NUZ2JzF6
道沿いには同じ看板がいくつもあった。
「レストハウス・加美この先→1km」
とかそんな小さなものだ。どれも古く、変色していた。
山の頂きにまで来たかと思える頃、オオヤマさんは道路脇の空き地に
車を止めた。
「少し歩きます」
車道を横切ると草に隠れて狭い石段があった。
5分ほど石段を登ると、陰鬱なログハウスが姿を見せた。
「レストハウス・加美」ドアの上のトタン看板にはこうあった。
「オオヤマは一時期喫茶店をやっておりました」
オオヤマさんはそういうと鍵を取り出し、鍵穴に差した。
ここは何年も忘れ去られていたように見える。
僕は自分が震えているのに気付いた。
ごめん、ネタぎれ。
241 :
てきとう:02/10/06 00:26 ID:AaCJGA7c
レストハウス・加美のドアを開けると、右手に5席ほどのカウンターがあり、
奥にはテーブル席が4つほどあった。机上には口の開いたダンボールや、
古いロゴのファンタの瓶、サイフォン、古新聞などが乱雑に置かれていた。
壁には鹿の首の剥製と熊の首の剥製が飾ってあった。
左手には暖炉があった。ジャンボリーな感じのする室内だった。
何もかもに埃がかぶっていた。
オオヤマさんは僕を残して別室へすたすたと歩いてゆき、一つのダンボールを手に
戻ってきた。
「まずこれを見てください」
オオヤマさんは床に置いたダンボール箱を指し示した。
僕は言われるままに箱の中を改めようとしゃがみこんだ。
見慣れた文字が見える。
「ああぁ!」
それは何百通にも及ぶ履歴書だった。僕自身の。
「職務経歴書の箱もありますよ、ちゃんとね」
オオヤマさんはパイプをくゆらしながら言った。
「まいったな、あなたは・・・いったい・・・?」
誰か次。わかんねぇ。つなげにくいな。
242 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/06 23:05 ID:S89JTIho
このスレ小説、2CH至上最高傑作になるかも。
243 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 01:58 ID:6uFP1Hrd
僕が見た虹は他の誰かが見たものとは違う
もしかしたら僕は虹すら見ていなかったのかもしれない
虹を見たいという想像が僕をそうさせただけなのかもしれない
と僕は3年前の鬱病がまた再発したかもしれない。
目の前の履歴書も幻で、実際にはないのではないかと
それにこのオオヤマさんも、はたして人間なのだろうか
僕はレストハウス・加美から突然、逃げ出したくなった。
オオヤマさんが何故か怖くなり、額から汗が止まらない。
少し、寒気がしだし、この部屋にいるのは、我慢できない。
僕は振り返り、ドアに激しく体当たりして、車にキーを差し
アクセルを踏み込んだ。
早くキキに会いたかった。
244 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 02:01 ID:6uFP1Hrd
ドルフィンホテルに早く着かねば
ホテルまでの時間がとてつもなく、長く感じられた。
ホテルが近づくと、キキの姿が見えた。
なんて、愛しいんだ。
ドアを開けると、キキが無言で乗り込んできた。
こ僕はなんだかほっとした。
245 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 02:03 ID:6uFP1Hrd
とりあえず、車を走らせる。
街から離れるにつれて入りにくくなったFENを、カセットテープに切りかえる。
助手席の窓から流れこむ潮の香りの風に、目を細めるキキ。とりとめのない会話を転
がす2人。
「欲望に忠実に生きることを恥じているの?」
「僕が成人君子じゃないことは君も知っているはずさ。正しい欲望も醜い欲望も
持っているよ。でも僕は欲望に忠実なように、真実に対しても忠実でいたいんだ」
「あなたがタフな男だってことはよく知ってる。そして本当はそれほどタフじゃな
いってことも」
「ナイーブって意味なら、その言葉をありがたくちょうだいするよ。でも正直に告
白すると、僕はそんな自分を恐れてさえいる。タフであり続けることで、やっと
のことで自分を維持してきた。走り続けることで自分を証明してきた。僕はそれ
をアメリカから教わったんだ」
「私達がアメリカからもらった約束は、とうとう何ひとつ果たされずに終わるのか
しら」
「僕らはアメリカを見て育ち、アメリカからいろんな価値観を学んだ。民主主義か
らドーナツまで。だけどアメリカが変わっていったように、もう僕らも変わって
いく時なのかもしれない」
「自分の価値観を持つってこと?」
「生まれた時から僕の中に存在していたものを、もう一度確認するってことかな。
そして次にくる世代のために、それを残していかなきゃいけないってこと。それ
が僕らの義務で、僕らの責任なんだ。生まれてくる子供達に、僕らが紡いだ夢を
伝えなきゃいけない」
「あ。海が見えた」
「今日のサンドイッチは?」
「トマトにハムに、それから特製のハンバーガー」
246 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 02:06 ID:6uFP1Hrd
キキは何故かサンドウイッチを持っていた。
朝の浜辺で2人を打ちのめした情景は、いつまでも消えることはなかった。
何も見えなかったから、何もつかんでいなかったから、不器用に、ただ闇雲に
突き進んできた。その挙げ句、2人は立ち尽くす。
沈黙。
247 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 02:10 ID:6uFP1Hrd
2人が新しい決心を固め、顎を上げるために必要な、長い間奏。
もう本当のことに気づかなければならない時だ。ごまかしやジョークでは、
これ以上自分をあざむけない。裸で立ちむかう時が来たんだ。僕はそれほど
タフじゃないし、子供達に何かを言えられるほど立派な男でもない。
それでも今この時に、伝えられることがたったひとつあるとすれば、それ
は――。
「ねえ、君に知って欲しいことがあるんだ。たくさんのことを君に伝えてき
たけれど、今はこのことだけを聞いて欲しいんだ」
風向きは変わるだろう。激しい向かい風から穏やかな追い風へ。
「君を守りたいんだ。ただひとりの君を」
そして沈黙。
しかしそれは、美しい沈黙だった。
波の音だけが、静かにやさしく僕らを包んでいた。
次の方どうぞ、 後半パクリコピペです。
文体が春樹じゃなくなってしまった。
248 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 02:19 ID:6uFP1Hrd
僕らは、お互いを確かめるように、抱き合った。
涙が止まらない。
しばらくして携帯がなった。
オオヤマさんからだ。
さっきと違って、やさしいいつものオオヤマさんの声だ。
「探してたものは分かりましたか?」
「えー、もう大丈夫です。」
次の方
「」
僕は深く息をはいた。キキがそばにいてくれるおかげで、
僕は落ち着いてオオヤマさんに話ができる気がした。
「僕はあなたの元から逃げ出してしまった」
すこし間を置いて、彼は答えた。
「オオヤマも、逃げ出しました、同じ事をやられた時」
僕は続きを待った。
「現実と向き合うのは辛いものです、とくにそれが自分のイメージしていた未来に
今後一切近づき得ないと気付いた場合には」
レストハウス・加美の記憶は僕を憂鬱にさせた。急にあのログハウスで感じた恐怖
が皮膚の内側に戻ってきたような気がした。
「恐れることはありません」
オオヤマさんは穏やかにいった。
「加美に戻る必要もありません。しばらくはね。
あなたはあなたのアメリカ病についてこれ以上思い煩わなくてもいい。
それは別の村上の仕事だから。
ダンキンドーナツはこれからも好きなだけ食べてかまいませんが、
イタコみたいに人の悩みまで引き受けることもない。
忘れた方がいいです」
「でも僕はまだ、」
僕の言葉をさえぎって、オオヤマさんは続けた。
「あなたはもう一度、別のやり方で、
あなたの抱えている問題 ―つまり無職でペニスが黒いということ―
に立ち向かう方法を考えなさい、キキと一緒に」
251 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 23:16 ID:imFIstDS
ふう。
『無職』で『ペニスが黒い』かよ。
忘れかけていたよ。
そうだ、漏れはプーでペニスが真っ黒。
ペニスについては、女の子に散々指摘されてるじゃあないか。
漏れは今、キキと交わりだいのだが、キキも気にするだろうか?
以上なほど黒いペニスを・・・。
252 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 23:28 ID:8EqVyoE7
キキは呟いた。
セックスて形だけしか、あなたは確認できないの?
沈黙
いや、今までの僕は、正直それのみを追いかけてたのかもしれない
君となら、セックスが出来なくても、僕は待つ事ができると思う
そんな気がするんだ。
253 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/07 23:31 ID:8EqVyoE7
もう、セックスにこだわる自分自身が嫌になって気がした。
僕も30になった。
もう、今までの僕とは違う気がする。
たとえ、君とセックスができなくても、
君が傍にいてくれるだけで、何もいらない
そのことが、分かったよ。
次の方
254 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 15:20 ID:n+phvxIe
というか、僕はオオヤマさんのなんらかの影響でイムポになってしまった
のかもしれないととっさに直感した。
255 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 19:15 ID:tA7UnI0y
僕とキキは琵琶湖のほとりのホテルへ戻った。
なにはともあれ、僕にはずっしりと重たい睡眠が必要なのだ。
昨日とは違うボーイが1969室のキーをそっけなく僕に渡した。
部屋に入ると僕らはひとことも交わさずにベッドに潜り込んだ。
僕とキキはそこで向かい合う。ただやさしく抱き合い、音の無い眠りに引きずり込まれた。
どれぐらい眠っていたのだろう。
僕はまだ焦点の定まらない意識をひとつに集め、周りを見回す。
窓の外は深く暗い。キキはすうすうと寝息を立てている。
僕はぐっしょりと汗をかき、シャツは重たく僕の体に纏わり付いている。
僕はキキを起こさないようにベッドから離れた。
普段なら真っ先にシャツを着替えるところではあったけれど、僕はそのまま部屋を出た。
256 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 19:42 ID:tA7UnI0y
僕はホテルの出口に向かった。
「あなたも夜の安土城に惹き付けられているようですね」
フロントからオオシマさんが声をかける。いや、確かにそこには音は無かった。
僕は城へ向かう。どれだけ歩いたのだろう。
汗でどっしりと重たくなったボクサーショーツがぴったりと僕の体に張り付いていた。
あるいは城にはたどり着けないのかもしれない。
それはおそろしく遠くにある気がしていた。
僕は茂みをかき分ける。
深く暗い茂みの中を僕は一呼吸たりとも間違えず、そこに向かう。
僕は一歩ずつ、しかし一歩たりとも無駄にせず、そこに近づく。
そして道は開くべくしてそこに開けた。
茂みの窪みのように開けた場所の真ん中にその井戸はあった。
井戸は冷たく重たく静かにそこにあった。
ここには音も温度も、ずっと昔から存在しないみたいに。
257 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 20:13 ID:Ch/Xb73X
よく見ると井戸には美しい水の陰があった。
そしてよーっく耳を済ますと、聞こえてきた。
チンコ音頭の歌声が・・・・。
258 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 20:15 ID:tA7UnI0y
僕は縄梯子を下ろし、井戸に入った。
深く深く僕は降りる。井戸の入り口の透明感の少し異なる黒の円の残像が、
徐々に小さくなる同心円を描く。
26段を過ぎたあたりから、空気が温かみを帯び始めた。
そして僕は底にたどり着く。
そこは地下鉄に繋がっていた。赤い電車が僕の脇を走り抜けた。
僕は地下道の端を光の見える方に歩いた。
僕は非常用の階段からプラットフォームに上がった。
フォームが2つに分かれ、その間を2本の線路が走る小さな駅だった。
電車を待つ人は疎らで、車両毎にひとりかふたりほどが立っていた。
駅の照明はどこか薄暗かったけれど、彼らはみな間違いなく影が半分しかなかった。
そして僕は新宿行きの電車に乗り込んだ。
259 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/08 20:15 ID:Ch/Xb73X
電車は座席が十分に埋まる程度に人で満たされていた。
人々は一応に何かしらブランド品を身に付けていた。
まるで80年代後半のように。しかし彼らの影も半分しかなかった。
僕は新宿で電車を降りた。地下道を抜け、地上に降り立つ。
そしてアルタの前でキキに出会った。
キキはジーンズにTシャツ、ニット帽というラフな格好でいた。
彼女は僕の知っているキキよりいくぶん若く見えた。
そしてやはり影が半分しかなかった。
「遅かったじゃない」と彼女が言う。
「いろいろあってさ。僕にはもう少し事態を整理する時間が必要かもしれない」
ふうむ、と彼女は言い歩き始める。
「ところで僕は何をすればよかったのだろう?」
彼女はやれやれと説明を始めた。
どうやら僕は道に立ち、通行人の頭の薄さを調査するようだ。
そして僕らは半日、男性の頭髪の薄さに応じてカウントする。
「そろそろ行きましょう」と彼女が言った。
僕はそれに従う。
彼女はぴかぴかのガラス張りのビルに入り、10分程でそこから出てきた。
そして僕に封筒を差し出す。
封筒には1万3000円が入っていた。
「明日は何時に来ればよいのだろう?」と僕は言った。
キキは怪訝な顔をして僕を眺める。
「来たいと思ったときに来て、帰りたいと思ったときに来ればいいの。
ここでは時間という概念はあまり重要ではないの」
と、彼女は言った。
キキは小田急線の改札を通り抜ようとしている。
僕はあわてて彼女の背中に語りかける。
「今度はいつ会えるのだろう?」
彼女は振り向き、不思議なものを見るように僕を見る。
「あなたが必要とするときにまた来るわ」
と言って彼女は雑踏の中に消えてしまった。
262 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/09 02:27 ID:HhYHtXJT
上巻終了
263 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/09 03:46 ID:HhYHtXJT
下巻
ナオコとの生活
ぼくは、またナオコとの同棲がはじんまった。
神戸、京都、滋賀とはまるで世界の果てだった。
264 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/09 05:09 ID:Vyr30nbS
ナオコとのセックスはやはり盛り上がらない。
行為の最中でも、僕の頭の中はキキのことでいっぱいだった。
そしてお決まりの言葉・・・そう黒いペニスのことだ。
{ますます黒ずんできたわね。」
やれやれ、どうやら僕のペニスの黒さは真っ黒に近づいているかもしれないらしい。
265 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/09 23:04 ID:eDr4+TuN
「ねぇナオコ。君はちんこ音頭を知ってるかい?」
「なあに、それ。そんなの知らないわ」
どうやらナオコは2ちゃんねらーではないらしい。
それなのに、どうしてADSLにして欲しいなどとせがんだのだろう。
メール交換程度なら、ダイヤルアプでも十分じゃないか。
やれやれ。
最近の僕は細かい金の計算に神経質になってきている。
無職というのはそういうものだと改めて実感した。
今、僕は俗に言う「ヒモ」だ。
鬱だ氏のう・・・・。
266 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/10 12:51 ID:2x25Heed
このスレで2ch用語を使用するのは
適切ではないような。。
やれやれ。
267 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/10 13:11 ID:2KdSmrtF
あぼーん。
このままではすべてがあぼーんだ。
早く仕事を見つけなければ。
金がなければいい女も釣れない。キキだってしかり・・・。
やれやれ。これが現実だ。
漏れはそそくさと求人雑誌を求めに本屋へ出かけた。
268 :
質問:02/10/11 16:13 ID:HlSTgVVK
結局キキとはまだ寝てないんだよね?
だから下巻に続いているんだよね?
269 :
てきとう:02/10/11 20:35 ID:zx1odvH3
>>268 「たった一度の出し入れ」
なんじゃなかったっけ?
ついに下巻にまで・・・(というかなんというか)
270 :
てきとう:02/10/11 20:37 ID:zx1odvH3
近所の書店で僕はB-ingを買った。
店の主人は、「こいつまだ無職か」
といいたげな目で釣りをよこした。そう、僕は無職だ。そして、ヒモだ。
僕のいない部屋では、ナオコが客を取っている。
先週の土曜日にある一方的な取り決めがなされた。
「仕事さがしーや」
ナオコが言った。
「探してるよ」
僕は今更ながら傷付いて答えた。何度同じ質問をされても、
心がおろし金で擦られるような気分になる。
「あんたがウチの部屋におったらな、ウチ仕事できへんねん」
ナオコは心底いらいらしているようだった。
271 :
てきとう:02/10/11 20:48 ID:zx1odvH3
先先週の取り決めで僕はこの部屋の炊事係に任命されていた。
スパゲティー・おろし明太子
スパゲティー・納豆
スパゲティー・ナポリタン
スパゲティー・いんちきカルボナーラ
だから、僕は自分の勤めを充分に果たしているつもりだった。
「君は在宅で仕事でもしているの?」
そう聞いてみた。ナオコはうなずいた。
「そうやねん、悪いけど。SOHOやねん」
彼女は答えた。力になれるかもしれないと内容について尋ねたが、
一切教えてくれなかった。
「朝8時から夜2時くらいまでは、一人にしといて欲しいねん」
彼女はいった。本当ごめんな、とも言った。反論しようもなかった。
そして今週、夜の繁華街をあてもなく歩いていた僕は、
客をあさるナオコを見たのだ。
272 :
てきとう:02/10/11 20:53 ID:zx1odvH3
僕は彼女に気付かれないよう、身を隠した。
そうして繁華街には近寄らないようにした。もともと使う金など無かったのだし、
僕は無力で、無職で、ペニスが黒かったから。
ペニスといえば、僕のペニスの黒さは性器のみで留まらず、
次第にその面積を拡大してきていた。
街で出会うアフロアメリカンの幾人かは、
「YO!」
と僕に声を掛けた。彼らの機嫌を損ねる理由もないので、僕は
「YO!」
と答えた。ばしばしと手を複雑なやり方で叩き合ったりさえした。
無職であることの、刻印だろうか。呪いの一種だろうか。
あるいはオオヤマさんから逃げた事への、罰だろうか。
村上春樹であり、なおかつブラザーというのは、両立が難しかった。
僕はこれが一時的なものであればいいと願った。
ヒモであることも、ガングロであることも。
次・・・
273 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/11 21:09 ID:qQAgEvAT
274 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/13 01:13 ID:3EbZrFQN
あげちゃう。
275 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/13 03:19 ID:A+Dn4ucn
アフロアメリカンの話ガ分かる恐怖よナオコの束縛から離れる為、
どこか行かなければ、ナオコのタンスの引き出しから、10マン円失敬して
ミナミに行きたかった。
飛行機ハダメだ。
長距離バスのホームへと向かう
鹿児島の桜島の写真
決ったよ やれやれ鹿児島行きのチケットを手に入てる。
携帯も持ったし、金もある、
とりあえず、桜島を見るそれだけで理由は十分
ビリィージョエルのCDを聞き込む
全てOK
座席に滑り込む
276 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/13 03:23 ID:A+Dn4ucn
僕の隣のシートに米倉涼子ばりの女が座ってきた。
愛想はひどく悪い
ぼくは、三四郎を読みだした。
静かな湖の小島のように
277 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/13 11:49 ID:68FnNXtb
↑某スレにいたヘンドクおじさん?
もーだめ
279 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/13 22:53 ID:QgeeOpwd
キティちゃんって知らないの?
君みたいな人の事だよ。>278
281 :
てきとう:02/10/14 01:19 ID:J16+O2/y
さようならー。
282 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/14 01:22 ID:dYb5tGv+
下品なヒトは春樹にはなれません。
283 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/14 01:59 ID:frb7jUAF
完
糸冬了?(藁
やったー!!!
285 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/14 13:51 ID:uolvV9QU
おまえらこんなことに時間かけてるから転職出来ないんだよ・・・
286 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/14 15:58 ID:03UPvrnS
下巻薄そうだな
下巻は完結したじゃん。>286
上はハードカバーのリッチタイプ。
下は文庫本サイズ。
でもそれだとあまりにも貧弱なので
絵本のように厚い紙で作成し
安斎見ず○氏のカラー絵満載にするんだYO!
289 :
ねずみ男:02/10/15 00:40 ID:vpjyISPx
やれやれ、誰もがささくれだっているなと僕は思った。
これは仕方ないことなのだ。実際僕も無職で気持ちがささくれだっている。
そうして僕は鹿児島行きの長距離バスに乗り込むことになった。
290 :
ねずみ男:02/10/15 00:47 ID:vpjyISPx
ナオコから失敬した10万円およびビリージョエルとレディオヘッドのCD。
いまの僕が手にしている現実的な財産はたったのこれだけだ。
これだけのもので一体何ができるというのだろうか。
おそらく座席の隣に座った女性へのアプローチもこれではうまくいかない
のだろうなと無職の僕は思った。
「どこで降りるの」とその女性は僕に訊いた。
291 :
ねずみ男:02/10/15 00:49 ID:vpjyISPx
鹿児島、と僕は言った。
「奇遇だわね」と女性は言った。
何しにいくの、とか何をやっている人なの、といった具体的な質問には
もちろん曖昧な答え方をしながら僕は言った。
「僕は無職なんです」
292 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/15 00:51 ID:9qdlMgNg
下巻その2スタートか?
293 :
ねずみ男:02/10/15 00:54 ID:vpjyISPx
5人の女と寝ることがある種の問題解決に繋がっていくというさくらの
言葉を信じて僕は4人の女と寝た。
つまりあと1人と寝れば何かがおきるのだろう。
それがキキであればいいのに、と僕は判っていたのだけれど、寝るこ
とができなかった。
キキというのはある意味で内定が決まった際の象徴といえるのかもし
れない。
いまだ然るべき時期が来ていないということなのだろう。
無力感、と僕は思った。
294 :
ねずみ男:02/10/15 00:59 ID:vpjyISPx
「無職」とその女性は言った。「世の中にはいろんな無職があるわね」
「確かに」と僕は言った。「いろんな無職がある」
「でもあなたはどういう無職なの」
「ふうむ」と僕は言った。「よく判らないな」
「例えば」と女性は続けた。「フリーター、を名乗る無職もいるわね。
単なる無職のくせして。でも中には今のままじゃだめだとか何というか
危機感みたいなものを感じて無職に甘んじている人もいるんじゃない
かな」
295 :
ねずみ男:02/10/15 01:06 ID:vpjyISPx
危機感、と僕は思った。確かに僕は吉野家でバイトをしたりとかドキュソ
企業に短絡的に転職しようというような危機感の欠如したような行為を
する気持ちは毛頭ない。
このラインを超えれば確実に僕は失われる。何かが欠落してしまうのだ。
僕が無言でもの思いに耽っているいるのをみて女は言った。
「あなたは戦っているのね。戦国時代の男たちのように」
296 :
ねずみ男:02/10/15 01:17 ID:vpjyISPx
リョーコ、と女は名乗った。
リョーコは東京でOLをしていてこの秋風が吹く季節になって遅めの
夏休みをとり、九州でひとり旅をしているということだった。
東京〜鹿児島間の行程はあまりに長かったので発泡酒を二人で
2ダース空けた(無職の僕には発泡酒が精一杯)。
2人で過ごした時間は実に充実したものだった。あるいはこれを僥倖
というのかもしれない。ささやかだけれど幸せなこと。
297 :
ねずみ男:02/10/15 01:22 ID:vpjyISPx
僕は無職になってから神戸〜京都〜滋賀と放浪を重ねたことをリョーコ
に話した。もちろん東京で同棲をしているナオコのことも。
発泡酒の勢いを借りたとはいえ、リョーコに全てを話すことはとても勇気
のいることだったし、あるいはどうでもいいことだったのかもしれない。
高速バスが岡山を通過したころだろうか。リョーコはありがとうと言った。
泣き上戸なのだろうか、その瞳には大粒の涙があふれていた。
「こんな見ず知らずの人間あいてにそんなにナイーブな話をぜんぶして
くれて嬉しい」とリョーコは言った。「もしよかったら私が5人目の女にな
ってもいいわよ」
298 :
ねずみ男:02/10/15 01:28 ID:vpjyISPx
「それはできない」と僕は言った。発泡酒とはいえいささか酔いがまわり、
ろれつは不確かだった。「5人目はキキなんだ」
高速バスは秋の冷たい空気を残酷に切り裂くように高速道路を加速し
ていった。まるで無職の僕の現状を蹂躙していくように。
そこで携帯が鳴った。
「カーボーイだけど」
「やれやれ」と僕は思った。
いや〜。ねずみ男君、炸裂だな!
でもそんなにイパーイ書くとかえって読む気しないよ。
それにもうとっくに上下完結して販売予定なんだけど?(W
で、続き書く勇者はいるわけ?
ついでに300!
301 :
ねずみ男:02/10/15 01:40 ID:vpjyISPx
>>299 了解。やっぱそういうことにしときますか。
ひさびさにきてみたら中途半端に終わってて残念だったもんで。
まあ上巻でひとつの話としては完結してますからね。
302 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/15 02:30 ID:AGwy42bo
カーボーイは「オマエは5人目の女と寝ることにこだわってるけど
それがダメ、固定概念に囚われすぎ、5人の女と寝れば、何か変わるかもしれない
し、正直何もないかも知れない、それと同じ用に30歳なら最低450万以上の年収で
スーツを着たリーマンでそろそろ家庭を築いて、75uのマンションを買って
新型スカイラインを買って、嫁さんは短大出で、そこそこ美人で子供は3年後に
一人目を・・・・・・・・・・・・、ミンナ虚構なんだよ。
キキと寝てもいいし、リョーコと寝ても良い、ただ何も変わらない可能性もある。
オマエは高度資本主義社会の束縛に囚われすぎ、リーマンに成らないと
明日から、オマエは死ぬのか?工員ならダメなのか?
結婚して、新型スカイラインに乗らなきゃ死ぬのか?
後は鹿児島まで考えろ、隣の美人と入れ入れしてもいいんだぜ それじゃ」
僕は、答えが出たようだ。 発砲酒の缶をゴミ袋に入れ
隣のリョーコのとても美しい太股を見ながら、タバコに火をつけた。
どうでも、やっていけるさ。
広島のバスターミナルに着くと、見覚えのある顔が僕の前のシートで
ごそごそポケットを探っていた。
「大好物のタバコがみつかりません」
オオヤマさんだった。
僕はおかしくて、笑いを抑えるのがやっとだった。
バスは九州を目指し、スピードを上げる。
dat落ちするまで誰かが書けば続くし
カキコなければ、これにて終了。
303 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/15 19:17 ID:yuiVcVa/
お釈迦様は極楽の蓮池の縁にたって、
この一部始終をぢつと見ていらつしゃいましたが、
やがて姦陀多が血の池の底へ石のやうに沈んでしまひますと、
悲しさうなお顔をなさりながら、又ぶらぶらお歩きになり始めました。
「やれやれ・・・」
しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着致しません。
極楽はもうお午に近くなりました。
>>303 キモイな。
丁度、窓開けたらお香のニオイがただよってきたので
キモが倍増したよ。
305 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/15 22:57 ID:e/c4Vj8G
甲村図書館にて。
図書館を閉館にした後、大島さんは佐伯さんの部屋を訪ねた。
「佐伯さん、話があるんです。」
「なあに。」
「給料をもっと上げて下さい。」
佐伯さんは静かに微笑みながら言った。
「それはできないわ。この世の中はそういうものなのよ。」
やれやれ。
密室殺人の予感・・・・♪
307 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/17 22:31 ID:MkNouASx
鹿児島で僕は、桜島の灰に埋もれた街を歩き回り、
なにか適当な仕事はないか探した。
日に3、4回、ふいに噴火が起きて警報が鳴るたび、
僕は人々にならってそこここにあるシェルターに逃げ込んだ。
逃げ足はだいぶ早くなった。僕はだんだんと薩摩隼人になってきた気がした。
鹿児島には地上60階建てのヨドバシカメラが新しくオープンしていて、
地元民の人気をあつめていた。
僕にとってはヨドバシカメラは庭のようなものだが、試しに入ってみた。
「60階お願いします」
308 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/17 22:34 ID:MkNouASx
エレベーターの中には警備員が一人いて、彼がエレベーターガール
の役目を果たしているようだった。
「60階、スカイラウンジとレストランのフロアでございますね」
鹿児島まで来てしまったが、僕は自分のしている事にいまひとつ
実感をもっていなかった。いつの時代、世界の何処に生まれたとしても、
僕という人間は今の僕のようにちっぽけで取るにたらない存在なのだろう。
そう、まるで戦国時代の足軽のような。
60階までは長かった。タリアテッレが茹で上がるくらいの時間だ。
エレベーターの中には僕と警備員の二人しかいなかった。
僕は警備の男の生活について思った。彼がヨドバシカメラのエレベーター
で働くに至るまでの時間を思った。
彼には見覚えがある気がした。
「60階でございます」
ドアが開くと、そこは戦場だった。戦国時代だろうか?
309 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/18 20:26 ID:GSpZlF7w
僕は無意識に戦場に足を踏み出した。
タイムスリップでもしてしまったのだろうか?
僕は「バガボンド」の知識を総動員して事態に対処しようとした。
そこに、落武者が通りかかった。
「すいません」
僕は彼に声をかけた。
「ここはどこなんでしょうか?」
彼はここは戦場だというようなことを、ひどくわかりにくいクレオール
のような言葉で話した。この土地固有の言葉だろうか。
「まいったな、誰か標準語を話せる人はいないんですか」
落ち武者はやれやれと首を振って、槍を支えに歩き去っていった。
「どうしたの、こんなところで?」
僕のよく知っている、声がした。
310 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/18 20:27 ID:GSpZlF7w
振り返ると、また落ち武者がいた。
ただし今度の落ち武者は、女の子だった。
「キキ?」
彼女は鎧のポケットから携帯を取り出すと、誰かに電話をかけた。
「あ、マネージャー。私お昼行ってもいいですかぁ、友達来たんで」
キキはOKをもらったらしく、礼を言って携帯を切り、
僕の手を引いて巧妙に隠された緑の「非常口」ランプの出口へ僕を連れていった。
311 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/19 21:52 ID:zVbm91qo
キキは僕を屋上へ連れて行った。非常口の扉を開けると風がびゅうんを流れ込んできた。
ここの空気は地上のそれよりもずっと薄く、冷たかった。冷たい空気に僕はある種の
清らかさを感じる。この清らかさは同時にある種の厳格さを感じさせる。
それはあらゆる微生物の生存に対して厳しく、その厳しさが最大限に無駄を省いたこの
清らかさを支えているのだ。
「いったい君はここで何をしているのだ」僕は言った。
「戦争よ」彼女は兜の緒を緩めながら言った。兜といってもそれは僕が兜といわれて
思い浮かべる兜とはまったく違っていた。もっと機能的でずっと現実的に見えた。
「戦争だって?」
いや現実は兜ではなく僕の側にあるのだ。
「そうよ。私にも質問させてちょうだい。あなた、いったい何処に消えていたの?」
312 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/19 21:53 ID:zVbm91qo
僕は確かに彼女をホテルにおいて、井戸の中に入っていった。そこは影が半分しかない
世界で、僕は影が半分しかないキキとかつら会社のアルバイトをした。でも僕は一日
働いただけで帰ってきたのだ。だって僕には他に思い付くことが無かったのだから。
そしてホテルに帰ると部屋はすでに引き払われていた。フロント係のオオシマさんが
僕の荷物を預かってくれていた。彼は、料金は既に支払われているので必要な手続きは
すべて完了されていると言った。そう、消えてしまったのはキキの方なのだ。
「朝ホテルに戻ったら、君の方が消えていたんじゃないか」
「あなた、1週間も音沙汰なしで、わたしの方が消えてしまったなんて都合が
良すぎるのじゃないかしら?」
「1週間だって」僕は言った。僕の声はまったく僕の声であるような気がしなかった。
「今日が何月何日だかあなたは知っている?」彼女は兜を脱ぎながら言った。
兜から解き放たれた彼女の髪が風に揺られていた。
僕はいったい自分が何処にいるのかわからなくなってしまった。
キキは言った。「現代社会では、人は職を失うと曜日の感覚も失うわ。だけど、
日付の感覚を失うなんて、ココロザシを失ったと言っているようなものよ。
戦国時代には曜日なんて無かった。でもコヨミにはとてもシビアな世界なのよ」
やれやれ、僕は首を振った。
313 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/19 22:59 ID:faRTXYau
暦か、と僕は思った。
「今は神無月のはずだけど」
キキは僕の目をまっすぐに見た。
「あなたはコヨミの感覚を忘れている、自然と身体とが連動する感覚を忘れている」
しかたないじゃないか、と僕は言った。
「稲刈りの時期に僕は父親の靴を磨くことしかしなかったんだから」
太陽暦も、太陰暦も、旬の野菜からも、僕は離れた所で暮らしてきたのだ。
314 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/20 18:31 ID:T3DqtALT
キキが何かを言おうとしたとき、彼女の電話が鳴った。
「もしもし」彼女は鎧に覆われた体を実に効率的に動かして電話を受ける。
そしてきわめて事務的な受け答えを数回繰り返し、電話を切った。
「わるいんだけど、6時頃に会えるかしら」今度は兜の緒を締めながら、彼女は言った。
「オーケー」
ゴキブリに選挙権がないように僕には予定がない。
「ずいぶん忙しいみたいだ」僕は言った。
「だって戦争なのよ」彼女はそっけなく答えた。「納屋が焼かれたんだって。
近くの井戸も乾いてしまったし、人手が足りないみたい」
「6時に終われるのだろうか?」
「だいたい何とかなるわ。それは少しぐらいトラブルってものもあるけれど、
私たちは高度に組織化された戦争をしているのよ」
そう言い残して、彼女は非常口に消えてしまった。
僕はそれから少しの間、遠くの空を眺めた。
高度に組織化された戦争とはいったいどんなものを指すのだろう。
僕は冷たく清らかな空気を吸いながら思った。
315 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/20 19:34 ID:p6LYg56H
僕は屋上から室内に入り、エレベーターに乗った。
今回は警備員はいなかった。
床に何かが光ったので取り上げてみると、それはキキの鎧から落ちたのらしい
ウロコのような小さなパーツだった。鈍い金色をしていて、埃で汚れていた。
僕はそのウロコを擦って埃を落とし、ポケットに収めた。
「お父さんの職場は戦場なんだぞ」
僕が幼い頃、父親は誇らしげに言った。彼の職場はメタファーとしての戦場で、
キキの職場は文字通りの戦場だった。
テーマパークの一種だろうか、彼女が働いているのは?
エレベーターが一階に到着すると、見えたのは明るいフロア、
揃いのジャケットの従業員達、そして回遊する客達だった。
僕は眩しさに目を細めた。60階とは違うな。
ヨドバシカメラの曲が流れていた。
316 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/20 23:49 ID:BHRIiMMJ
307からのレス全然オモロない
辞めれ
終了
317 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/20 23:55 ID:BHRIiMMJ
307〜315
クソレス
まあまあおもしろいじゃんよ。
春樹がかいたと一瞬思ったよ。
319 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/21 03:17 ID:PP4Nxh6X
僕が毎日残業が辛くて会社を辞めたいと永沢さんに言った時、こう言い返された。
「自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」
320 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/21 03:19 ID:PP4Nxh6X
僕は25歳で、その時東海道線のシートに座っていた。その長大な
電車は冷ややかな10月の雨のなかを通り抜け、品川駅に滑り込もう
としているところだった。10月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、
雨合羽を着た駅員やのっぺりとしたホームに垂れ下がる看板や
消費者金融の看板や、そんな何もかもをフランドル派の陰鬱な絵の
背景のように見せていた。やれやれ。また会社か。僕は思った。
321 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/21 03:20 ID:PP4Nxh6X
「こんな会社辞めてやる!!!」
あらためてかたちある言葉にしてしまうと、僕の心の中に大きな空洞の
ような感覚が生まれた。その架空の空洞の中で、僕の心臓は金属的な、
うつろな音をたてていた。
322 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/21 07:56 ID:5GTOdE1P
「あなたは私にあわせないからクビよ」
56才のババーに言われたこともある。
常識が足りないババーの考えには同意できない。
定時があってないような小さな会社ごっこをしている
DQNなんて最初から繋ぎだった。
雇用保険も社会保険もないこんな会社なんて潰れてしまえ。
323 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/21 20:04 ID:vl00lrTr
316〜317
クソレス
324 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/22 23:25 ID:j9mM2DP5
僕とナオコの出会いはこうだ・・・
325 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/23 20:50 ID:cZy2n6xv
僕がナオコと出会ったのは、
僕がかつて働いていた頃、つまり雇用保険をきちんと支払い、定期券で通勤し、
月に一度は散髪をしていた頃の事だった。
当時の僕はまだ20代半ばで(今は30歳)ある小さな会社に勤めていた。
ナオコは56歳の女性とともに総務部に勤めていた。本当に小さな会社で、
彼女の仕事は各部署に筆記用具を配ったり、トイレット・ペーパーを交換したり、
社の表札を磨いたり、お茶を入れたり、
56歳の女性のパシリとして買い物に出たりと、そんな雑用が大半だった。
ナオコは分厚い黒縁の眼鏡を掛けていて、いつでも忙しそうに動き回っていた。
僕はチャコールグレーのフォルクスワーゲンで営業をしていた。
この車は社用車ではなく、僕の車だ。
326 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/23 23:39 ID:MGxJBnqr
ある100パーセント晴れたカンガルーもあくびをするには
もってこいの秋ばれの日、チャコールグレーのフォルクスワーゲンを
車庫入れして、会社に戻ろうとした帰り道に
UCCの自動販売機の前でナオコを見かけてた。
「甘すぎるUCCコーヒーを買うか、ペプシーコラーを買うか
迷ってるのよ」
「実に難しい選択だね」
「アドバイスしてよ」
僕はセーラムライトに火をつけた
次の方
327 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 00:11 ID:oKnhdK0q
「君が飲むの?」
「そうよ」
「それなら、この近くでいささかウマイ コーヒーを飲ませる
店がある、そこに行かない?君もきっと気にいると思う」
そこで、僕は土曜日にデートの約束を取り付けた。
328 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 00:22 ID:oKnhdK0q
土曜日に映画(インタビューウィズバンパイア)を観て
僕らは、レストランバーに入り、ステーキを食べ
当たり前のように、ビールを飲んだ
2回目のデートの夜、当たり前のようにセックスした。
「どうしてあなたのペニスは途中まで黒いの?」
「中途半端の数の女の子としかねてないからだよ」
「中途半端て何人ぐらい?」
「難しい質問だね、僕のペニスが黒くなった時が、中途半端でない女の子
の数になるよ」
「ふーん」
ナオコは、人目を引く美人ではないが、ドライブに行くと
おいしいサンドウイッチを作ってくれたし、セックスの相性も良く
僕は、十分に満足していた。
329 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 09:39 ID:uU+aYtdS
age
330 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 20:51 ID:bO78Nvmj
僕と寝るようになってからも、会社の彼女の態度は変わらなかった。
僕らは社内ではまったくの他人みたいだった。
でも、僕が出先から戻る途中で彼女を見つけ、声を掛けたりしたら、
彼女はにっこり笑って助手席に乗り込むのだった。
「忙しそうだね」
僕は彼女が抱えてきた買い物袋を見て言った。
「マ・マーのパスタじゃなきゃ嫌だってヒロタさんが言うのよ。私何件もお店
回っちゃった、そんなことよりあなたのほうが忙しいはずよ?」
僕は会話を少しでも長引かせようと回り道をした。
「僕は・・・、特に何もしていないよ、会社に貢献するような事はね」
そう、僕はいわばメタファーとしての営業部員だった。
クールミントガムを噛みながら
チャコールグレーのフォルクスワーゲンを乗り回し、
何かを売ってまわるふりをしながら木陰で車を止めて夕方まで毎日寝ていた。
あぁ、それもずいぶんと前の話だ。
まだ僕のペニスが半分は無垢なピンクであった頃の。
331 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 23:13 ID:RvTnJwsq
実に上手く僕らの関係は続いた。
あの時が来るまでは・・・・・
332 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/24 23:41 ID:RvTnJwsq
僕はチャコールグレーのフォルクスワーゲンを乗り木陰で寝る日々にも
疲れ、転職を考える様になった。
その事をナガサワさんに相談すると、ナガサワさんのコネクションで
ある会社を紹介して貰い、僕は無事に転職できた訳になる。
年収UPの休日も増え、おまけに僕の好きな不動産営業の仕事だった。
ピース
僕は団地に飛び込み営業の日々が始まった。
「カンガルーホームですが、近くのモデルルームを是非見ていただきたいのですが
買い換えるなら、今がその最期のチャンスだと思います。」
僕のタフでワイルドな飛び込み営業は続いた。
結果は無残なものだった。
そんなある日、飛び込み訪問先で人妻のマイコに出会う事になる。・・・・・
333 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 03:34 ID:LDxoDCVO
age
334 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 04:23 ID:L2yfS/83
マイコは美しかった。誰もが振り返るぐらいに美しかったのだ。
ブラボー。僕にはその言葉しか思い浮かばなかった。
336 :
:02/10/25 05:08 ID:Ezwb3BZD
今日朝起きて朝食を食べたあとスーツを着て面接に行きました。
電車が凄くこんでいて大変でした。
駅の売店でジュースを買って飲んだらとてもおいしかったです。
面接場所に到着したらまた喉が渇いたのでジュースを買って飲んだら
とてもおいしかったです。
面接が終わった後、本屋で本を読みました。
家に帰って夕飯を食べてお風呂に入ってパジャマを着て寝ました。
とっても楽しかったです。
337 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 14:18 ID:SIrcFYWR
336はただの日記やろ
ゴラァ
このスレ久しぶりに来たが
「僕」はあいかわらずセックスばかりしているようだな。
339 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 20:05 ID:SZQtvzHb
340 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 20:32 ID:0ZW00QTw
[
341 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 20:36 ID:0ZW00QTw
面接におちてしまったあとでもエイブリックは僕に何度もメールを送ってきて、
それは僕のせいでもないし、誰のせいでもないし、それは雨降りのように
誰にもとめることのできないことなのだと逝ってくれた。しかしそれに対して
僕は返事を書かなかった。なんて言えばいいのだ?それにそんなことはどうでも
いいことなのだ。履歴書はもうこの世界には存在せず、一握りの灰になってしまったのだ。
342 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 23:23 ID:iX31jaF7
マイコに必死で営業トークを炸裂させた。
マイコは、あいかわず、美しく微笑みながら
僕の話を聞いてくれた。
もう、僕はノルマのことなんか頭になかった。
343 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/25 23:24 ID:iX31jaF7
マイコに必死で営業トークを炸裂させた。
マイコは、あいかわず、美しく微笑みながら
僕の話を聞いてくれた。
もう、僕はノルマのことなんか頭になかった。
マイコに必死で営業トークを炸裂させた。
マイコは、あいかわず、美しく微笑みながら
僕の話を聞いてくれた。
ふぅ、それも三度連続でだ。
「そうね、引っ越すのもいいかもしれないわね」
マイコは噛み煙草の滓をショットグラスに粋に吐き出して、言った。
彼女の夫は元プロレスラーで、アメリカで暮らしていた事もあるそうだ。
僕らはマイコの部屋のベッドに並んで横たわっていた。
この105号室の床や壁のいたるところに穴が空いており、それらは全て
彼女の夫の仕業だということだった。今日の彼女の右目の周りには、
紫のアザがある。これも恐らく夫の仕業だろう。
夫は恐ろしかったが、僕は何よりも営業成績が欲しかった。
僕はベッドサイドに飾られた屈強なプロレスラーの写真を見た。
彼は青いマスクを被って、腕を組んでいて、肌つやがおそろしくよかった。
346 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/26 19:24 ID:ZSfPEh2V
彼はプロレスラーをよしたあと日本で転職に成功したそうだ。
けれど妻に対してはいまだレスラーであるらしい。
「旦那さんのアメリカでのリングネームは何と言うんです?」
僕は尋ねた。
「ブルー・スエード・ムタ」
そう答えて彼女は滓をまた吐き、寝返りをうって僕に背を向けた。
347 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/26 20:26 ID:X1ela5eU
ふむ。
僕は心地よい眠りついた。心地よい眠りの国へといざなわれた。
そういえば、これで五人の女とネタことになるな。
半レム状態の僕は思い出していた。
ああ、しかし、これからノンレム状態、α波が繰り返されるのだ。
五人の女と寝るとどうなるのか、知ったこっちゃねぇ。
348 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/27 19:27 ID:zXciyGZ0
sex。初めてのセックスは、思いでにはなる。
いいか悪いかは別として。
では、最後のセックスは?
これは難しい質問だ。僕は少し疲れているのかもしれない。
やれやれ。
これが五人目だったのだろうか?
何かが起こると言われていた五人目との女とのセックスを、
僕は済ませてしまったのだろうか?
ノストラダムスの予言通り、地球は滅びただろうか?
否。
噂の通り某国のミサイルが飛んできた試しがあるだろうか?
否。
今後何かが、それこそコペルニクス的転回で変貌して僕のこれまでを吹き飛ばすような
事はありえるだろうか?
350 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/28 00:22 ID:fbn+KzSC
僕は夢の中にいた。
僕はどこかの会社の会議室で面接官と向かい合い、パイプ椅子に姿勢正しく
腰掛けていた。おなじみの光景だ。僕は旅人のように、会議室から会議室へ、
パイプ椅子からパイプ椅子へと渡り歩いている。
面接官は奇妙な風体をしていた。デスクワークには不釣り合いな巨体で、
今マラソンを完走したばかりのように、息が荒く、頭上に湯気を浮かべていた。
そしてきらきら光るブルーのマスクを着けていた。
ブルー・スエード・ムタ、マイコの夫だ。僕は直感した。
351 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/28 20:28 ID:iTjsFIer
ところで今は回想なのでマイコはカウントされないのでは?
僕は気付いた。
352 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/28 23:10 ID:20NZ9Qrf
マイコは僕のファスナーをゆっくり下ろし
硬くなったペニスをもてあそんでから、熱い口に含み始めた
口の中は温かく、僕は声を出した。
次の方
353 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/29 16:57 ID:zjXJSAnY
久しぶりに味わうバツグンのファラティヲだった。
354 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/30 03:10 ID:EyoI+lKH
1
355 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/31 02:32 ID:pRX3lie3
2
356 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/31 02:45 ID:YYASQS+o
ふと気が付くとマイコは羊男になっていた。
「こんなことやってないで早く仕事みつけたら」
羊男はそう言って…
357 :
名無しさん@引く手あまた:02/10/31 07:50 ID:rXbMoiP7
フェラの続きをしてくれた
358 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/01 18:25 ID:66WsGz45
gangare
359 :
就職戦線異状名無しさん:02/11/01 20:35 ID:mwqAbAF6
360 :
就職戦線異状名無しさん:02/11/02 10:58 ID:Pr0nqJoo
age
361 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/02 19:10 ID:QFPLK2I1
その話しをするとナオコはくすくすと笑った
362 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/02 23:43 ID:11mcClIV
君の周りに犬がやってきたらこう言うのかい?
たいていの犬はバターが好きなものだよって。
363 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/04 01:06 ID:oanduord
僕がまだ世間でいうところの普通のサラリーマンだった頃の
話だ。そしてそれは恐ろしく今の僕とはかけ離れている。
先カンブリア期とエステサロンみたいに。
僕はカオルの働いているサロンを思い浮かべた。
見たことのないサロンの中で彼女は
客の顔に蒸しタオルをかけ、オイルを塗り、マッサージしながら
他愛無い話をし、きっかり一時間かけて何枚かの札をレジにしまいこむ。
オーケー、彼女は生産的だ、あらゆる意味で、僕よりもずっと。
364 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/04 20:06 ID:SLFI46iQ
「なんというか、御社は僕にとって100%の会社なんです。
将来性もあるし、社員たちは明朗で、社員食堂も素敵だ」
「ふぅむ」
面接官は僕の履歴書をもう一度見直して、
何か新たな情報が浮かび上がってこないか試していた。
「確かに君にとって、我が社は100%の存在なのかもしれない、
けれど我が社にとっては、君は1%の存在ですらないと言わざるをえないようだ」
365 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/05 00:37 ID:ZUF3IuhW
エンジョウさんはいつも朝早く会社に来ていた。
「誰もいない会社の机に座って、コーヒーを飲んで、新聞を読んだり
昨日の回覧を片付けたり、メールの整理をしたりするんです。」
たまたま仕上げなければならない書類があって、いつもより
一時間早く出社した僕にそう言うと、シャーッシャーッと音を
たててブラインドを上げた。
「日中やっても構わないのに」と僕が言うと、彼女は少し困った顔をした。
エンジョウさんは困った顔をすると、眉がハの字になって本当に
泣いてしまいそうに見える。
「日中は空けておきたいんです。空けておいても、何かしら用事が入って
収拾がつかなくなるから。」
確かに彼女は毎日来客の応対をしながら銀行へ振込みに行き、
僕が頼んだ資料を手際よくタイプしコピーして製本し、取引先から
来るメールを丁寧にさばき、他の部からの「何年前のあの資料の
数字はいくらだったか教えて欲しい」という照会に答えたりしていた。
366 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/07 00:55 ID:jcLRibQO
1
367 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/08 12:22 ID:5kfqX8yD
368 :
井戸:02/11/11 22:21 ID:wikGabpS
笠原メイは?
369 :
井戸:02/11/11 22:22 ID:jKSljJAH
笠原メイは?
370 :
名無しさん@引く手あまた:02/11/13 01:31 ID:ESSlZwNM
残業なんて簡単よ、そう思わない?
それは的を得てるよ、ただしその前に
「サービス」という言葉が付与されないという前提のもとではね。
371 :
名無しさん@引く手あまた:
鼠の長大なペニスは、一瞬たわんで蛇のように反動をつけると、
そのままずぶりとハーリティーの「第三の穴」の中へ突入したのである