>>810-816 207系900番代はインバーターユニット、論理部、断流器といった基本的な構成
要素をそれぞれ日立三菱東芝の3社に得意分野で設計を分担させ(大阪市交GTO
車と同じ)、あとは東洋と富士に共通設計でインバーターユニットだけの製作に
参入させた。
仕様として国鉄のオリジナリティはなく、既に私鉄公営で登場していたVVVF車
のシステムをトレースしたような内容だった。
当時の国鉄でVVVF車と言えば、北陸新幹線勾配対策用という隠れ蓑で国庫から
予算を獲得した、東海道山陽新幹線スーパーひかり用という意識が強く、PWM
コンバーターなど交流車である新幹線(そして青函トンネル専用電機)の装置に
対する研究開発は進んでいたが、廉価な界磁添加励磁制御が普及し始めた在来線
通勤形近郊形電車への適用は時期尚早と考えられていた。
本来なら5M5T基本かつ最低でも4M6Tでの勾配起動が可能な性能を目指すべき
ところが、1C4Mながら6M4Tという過剰な仕様でもあり、後の量産車を真剣に
見越したものではなく、さすがに界磁添加励磁制御では見劣りする地下鉄相直用
増備の機会でとりあえず試作されたに過ぎない。