(最後)
これが男の子に受けたらしく、何回か相手していると今度はお母さんが
隣の席に移って来た。夜が更けて男の子が母親の膝の上で
眠り込んだ後、片言の英語で色々話した。
-旦那さんが三沢の海軍基地に勤務してること
-一時帰国していてこれからまた三沢に戻るところだということ
-いろんなところを見て回りたいけど、言葉が分らないので億劫だということ
こちらからは東北の名所などを紹介して盛岡でお別れした。お母さんが
わざわざホームに降りて見送ってくれたのは嬉しかった。そしてその時
交わした握手が、最後から三番目(くらい)に女の人と交わした握手。
この間初めて出張で青森から新幹線に乗った。周りは自分と同じ
ビジネススーツのおっさんばかり。夏の殺伐とした濃さも無ければ、
秋のほのぼのとしたときめきも無い。気楽だけど、ちょっと寂しい。