汚れたくるぶし
「15年前…うーん、あ、2度目の引越をもうしてたんで10年くらい前ですかね。
もう季節は今と同じ感じ、真夏ですわ。で夜の…3時くらいでしたかね、ま一人暮らしで。
よくあの…身体疲れてて眠れて当然なんだけど、何だか寝付けない夜ってありますよね。
そんな感じで『明日仕事早いし、眠れないの困ったなぁ』と思ったんだけど、
『何か食えば落ち付いて、腹が落ち付けば寝れるのかな』、と思って
ちょっとコンビニに買物に行ったんですよ。」
「で…今思えば、今思えばですけど。ちょっと不思議なのは、結構こう…人がこう…
沢山いる町にも関わらずコンビニがね、それはガラーンとしてましたね、殆どお客さんいないで。
で雑誌と、あのよく憶えてるのが、割子そばって判ります?あの、ちっちゃい一口大の
おそばがいっぱい入ってる、当時凄く…流行ってたっていうかよく置いてた。あれを買って、
でレジでお金を払う時多分小銭が半端なのが嫌だったのか何かで、レジのとこにこう置いてある
本来だったら小さい子が舐めるような飴玉みたいなのがあって、それをね、3つ4つ買って、
で1個口寂しかったので舐めながら、まあ家帰ったんですけど…」
「帰るのに、裏道通ると御寺があって。入っていいのかどうか判んないけれども、
御寺の境内通ると家に帰るのに凄く近道になるんで、でその日もお寺行って…
真っ暗なお寺なんですけど、まあ何度も通ってるとこなんで。で丁度その日こう、1個飴食べて、
で2個ぐらいかな飴玉持って、歩いてて…お堂の裏辺りに着た時だったですかね。」
「…『あれ?』ってね。『何だろう』…何かこう、自分の足が凄く気になるんですよ。で…
フッと足を見たらね、あの…くるぶしがね、意外に汚いんですよね。
『あれ、意外にくるぶ汚ねえなこれ、まあよく正座するからな、ああくるぶし汚いなぁ…』って。
思って、まあ家に帰って、寝ましたね。」