CPUアーキテクチャについて語れ 5

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ちなみにこの「GRAPE-DRプロジェクト」、考案者・設計者は ご存知 ”メタルラッカー” マキーノ国立天文台教授。
http://grape.astron.s.u-tokyo.ac.jp/pub/people/makino/images/g6boxwithmakino.jpg

「演算性能を大幅に上げるにはSIMD構造にすればいい。
しかしSIMDだと、メモリ帯域が問題になる。 どうするか?
CELLはSPEの中に超高速LS(ローカル・ストア)を設置し、その領域をメモリとして使う方式を発明。

対してGRAPE-DRでは、要求性能が 「重力計算に使用でき、最低限Linpackが動けば十分」
という程度の汎用性で構想し、各演算機ごとに少量のレジスタを設置。 一般のプログラムには
小さすぎるが、惑星の重力計算では演算量の割にはメモリ帯域は小さくて済むのでこのような構造に。
”シンプルな演算機+少量のレジスタ”を1ブロック(PE)とし、↓
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1106/tokyou10.jpg
そのブロックを大量にツリー構造で並列。↓
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1106/tokyou09.jpg

結果、得意分野は「”重力計算・天体運動”・”分子動力学計算”・”ナノテクノロジーシミュレーション”などのような、
膨大な演算量の割に、データ量が意外と少ないもの」。
この分野では、5000万円で地球シミュレータに匹敵するスパコンを構築可能。
苦手な分野は、「次々にデータを入れ替え、やり取りしなければならない、メモリ帯域が重要な演算」。

つまり、これまでの重力計算専用システムGRAPEを進化させたもの。
Linpackが動くので、2ペタ(2000テラ)Flopsのシステムが完成すれば、スパコンTOP500では
米ローレンス・リバモア研究所の280テラFlopsのIBM BlueGene/Lを抜き去り、トップに踊り出る可能性がある?
が、汎用性は狭く、得意分野の狭いスパコンになりそう。

考えをまとめたマキーノ、15億円の予算を申請してみたが政治力が足りずに却下、
そこで信頼と実績のある、お茶の水博士、もとい平木東大教授をまきこみ、共同でプレゼン、
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1106/tokyou05.jpg
審査員は平木教授のヘアに圧倒され、無意識の内に合格の判を押してしまい、見事15億円の予算を勝ち取る。
予定通りチップは完成し、お披露目>>1