Pentium D 葬式会場  線香1本目 i~~~

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163かわいそうなPentium D
秋葉原の電気屋街は、桜の花盛りです。
風に散る花。お日様に輝いている花。
その下にどっと人が押し寄せて秋葉原は込み合っています。

その賑やかな通りから、少し離れたところに、一つの石のお墓があります。
気の付く人はあまりありませんが、生まれたときから死んでいたCPUをお祀りしたお墓です。
いつも、暖かそうに、お日さまの光を浴びています。

ある日、PC雑誌のライターの人が、その石のお墓をしみじみとなでながら、
わたくしに哀しいCPUのお話を聞かせてくれました。

昔、Intelにはものすごい発熱のPentium Dがいました。
そのころ、IntelはAMDと戦争をしていました。
戦争がだんだん激しくなって速いCPUを作ることになりました。

Intelは、デュアルプロセッサの振りをすれば画期的なCPUができると考えて
HTTプロセッサを作りました。でも、HTTはやくたたずだったので、
デュアルコア化したCPUを売り出すことにしました。
いよいよ、Pentium Dも販売されることになりました。
けれども、発熱量の大きいPentium Dは温度上昇で次々と
クロックダウンしてしまうのです。

今までIntelのどの石も、自分の子供のようにかわいがってきたレビュアーは
「ああ、可哀想に、可哀想に」
とPCの前を行ったり、来たりして、うろうろするばかりでした。
どのレビュアーも、Pentium Dを前にしたまま
「発熱を やめろ」
「発熱を やめてくれ、やめてくれえ」
と、心の中で さけびました。
ついにPentium Dはどのベンチも負けました。
「Intelが 負けたあ。Intelが 負けたあ」
レビュアーの人が叫びながら、編集室に飛び込んできました。
拳骨で机を叩いて、泣き伏しました。

そのPentium Dも、今はPentium 4やTinmaとともに、土の下に静かに眠っているのです。