これはテンプレに入れてもいいぐらいだよなw
[元気な会社]群馬のユニーク企業事情/5 パソコン企画開発「ソルダム」/群馬
◇高い付加価値が「個性」−−パソコンの企画開発、販売の「ソルダム」
「お宅に出す仕事はないんだよね」。
30代半ば、経営に行き詰まった精密金属加工会社、星野金属工業(藪塚本町)の
専務として、大企業を営業で回り、頭を下げた。
コストダウンを求め続ける大企業と、生き残るためには赤字でも受注せざるを得ない
下請け企業の力関係の差は、長引く不況で鮮明に。
冷たい言葉ばかりが返ってきた。
父が社長を務める星野金属の経営に星野泉さん(43)が携わったのは24歳の時。
存続をあきらめて振り返ると、「ずっと他人のペースで頭を下げ続けた。
自分のやりたいことは一つもやっていない」と思った。
「どうせダメなら、好きなことをやろう」。
98年4月、「WiNDy」のブランドで知られるパソコンパーツメーカー
「ソルダム」(太田市新島町)を自ら設立した。
そのころ、パソコン内で発生する熱を放出する
CPU(中央演算処理装置)クーラーを開発、特許を申請していた。
CPUの熱をまずアルミ材に伝導させ、プロペラで起こした風で外に出す。
アルミ材の形状を工夫し、従来より3割も小さくしたため、
パソコン小型化の波に乗って、かなりの需要が期待できると自信があった。
製造原価は1個280円。
大手パソコンメーカーに持ち込むと、回答は「281円なら買う」。
どんなに技術があっても、下請けでいる限り会社は成り立たない。
ところが、秋葉原のパソコンパーツ専門店に置くと、
パソコンを自作するファンに受け入れられ、1個3000円でも売れた。
自分で価格を決める喜びは大きかった。
続けて98年暮れには、自作用パソコンの外装ケースに、
鉄ではなくアルミを世界で初めて採用して開発・発売。
台湾製が主流だった従来品に比べて3倍強の価格だったが、アルミの高級な質感と軽さなど
「高付加価値」を付けて差別化を図ったことが、
「自分だけのパソコン」にこだわる層に受け入れられた。
これで、会社の路線は決まった。品質が高く、時流に沿えば、高額でも売れる。
コスト競争にとらわれた大企業を尻目に、現在では完成品パソコンも製造。
業界で動向を注目されるメーカーに成長した。
経営計画は一切ない。「子供に通知票で5を取らせようと、計画を立てる親はいない。
それよりもヤンチャさと個性が大切だ」と信じる。
下請けの悲哀から抜け出したソルダム。
しかし、大部分の中小企業は高い技術力を持ちながらも苦戦を続ける。
星野さんは経験を生かし、そんな企業のプロデュースがしたいと考える。=つづく
[9月5日19時12分更新]