フィンから空気への対流による熱移動では、フィンの表面に膜状の、
速度や温度がフィンから離れたところとは違う部分ができ、これを
速度境界層と温度境界層という
通常では放熱部の面積といった場合、これら境界層によって覆われる部分の
面積を指すので、表面粗さが変わっても表面積は一定だと考える。
さて、境界層内の空気の流れは層流と乱流に分けられる。
層流ではフィンから鉛直方向への熱の移動は熱伝導にたよるので
単位面積あたりの放熱量は少なく、境界層の厚みも大きくなる。
それに対し、乱流では渦状構造の大規模な拡散によって温度の高い部分と
低い部分をかき混ぜるので単位面積あたりの放熱量は多く、境界層は
薄くなる。
つまり、効率よく放熱するためには流れは乱流であることが望ましい。
そこで表面に細かい凹凸をつけることで流れの非定常化を期待するわけである。
どんな流れでもフィン表面には空気がへばりついており、その速度は0である。
よってある程度大きな起伏でないといくら凹凸をつけても違いはないと
考えられる。
また、乱流においても表面近くでは粘性底層とよばれる薄い層流部分がある。
CPUクーラーでは自然対流において流れは層流で、強制対流では
乱流(あるいはその遷移状態)と考えるのが自然だろう。
では、表面の凹凸でどれだけの違いが出るか?
凹凸がないよりはあったほうがよい…としかいえない。
流体の動きは複雑で理論だけで求めるのは難しく、細かな振る舞いは
実験に頼るところが大きいので定量的にどうこう言うのは無理である。
というわけでここまで読んだ君の努力は無駄となったわけである。