1はリロードを押した瞬間椅子から転げ落ちた。それはまさにスローモーション現象。
夕飯を作っていた母親が気付いた。大声で名前を呼び、急いで駆け寄る。
それはまさにスローモーション現象だった…。
母親は急いで1のパソコンを見た。そこには大きくこう書かれて会った。
“氏ね”
“ガイシュツ!終了!!!!!”
1は転げ落ちたのにも関わらず微笑していた。天井を見ながら微笑していた。
だが彼は天井を見ているのではない。20年前の自分を見ていた。見つめていた。
それは、桜がキレイな日だった。
「おかあさんおかあさん桜キレーだね!」
そのおっきな桜の木に登り、降りれなくなって、母親を困らせた事があった。
全てが新鮮だった。まだ汚れを知らなかった。純粋無垢な1だった。
だが、
>>1を見ろ。1に何があったのか。何が、彼をこうまで変えてしまったのか。
あの日あの時あの場所で、あんなことがなければ、1はこんな風にならなかった。
普通に育って、普通に外へ出て、休みの日には愛する彼女を連れてどこかに遊びに行く、
なんでもない若者だったはずだ。
でも彼のトラウマは彼にしか分からない。そっとしておいてあげたい。
しかし、お前は多くの人々に迷惑をかけるんだ。
だが許してやってくれ。1の母親は誰よりも1を愛している。
こんな幸せな存在なのに、気づかないのか!?
ピーポーピーポー…救急車が孤独に鳴り響く。1を迎えに来たのだ。
1よ、さよならは言わない。大きくなって帰って来い。
みんなは、待ってるからな。