〓♂も『アンチ上等』モス『来るなら来いや!』♀も〓

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3モスモス?
日の翳るのが早まってきた今日この頃。
得意先から職場に戻る僕の足取りも、心なしか早まる気がする。
乱立する高層オフィスビルの谷間に吹きすさぶ(ビル風)が
耳元を轟音を立てて通り過ぎてゆく・・・。

「ふぅぅ・。ようやく今日の仕事も一段落つきそうだ・・。」

誰に話すともない、独り言が増えるばかりだ。
いつからだったんだろう?
毎日の絶え間ない連鎖が育む(退屈な日常)に自分自身をボヤけさせてしまったのは。
今日も明日も明後日も、昨日の繰り返しと飽きた話題が蔓延り、夥しい数の(孤独)を増殖していく。
季節の境目が滲むこのごろの気象変化で、僕達は徐々に(ありふれた感動)さえ感じれなくなっている。

『いらっしゃいませ〜』

突然、耳に飛び込んできた声に思わずハッとすると
馴染みのモスバーガーの店頭に置かれたミニ黒板が、やおら目に飛び込んできた。

(そういや、腹減ったなぁ。・・寄り道してくか!)

毎日のとりとめない話題や、時には独り言のような文面が綴られるこのミニ黒板。
いったいどれくらいの人達が、足を止め、このミニ黒板に書かれたメッセージに目を通すのだろう?
・・でも、僕はこの(ブログ)のようなミニ黒板に、通りかかった時は必ず目を通すようにしている。
なんというか、可愛らしく微笑ましい文面が愛しい。癒されるのだ。
まるで、川沿いの土手を歩いていると、端に咲いた名も無き花が、
『ねぇねぇ。今日はこんな事があったよ。』『ねぇねぇ。今日は寒いね。』
と、小さな声で囁き話し掛けてきているような気がするんだ。
そんな何気ない労りやら優しさを、僕等はいつの間にか忘れて、遠くの方に置いていってしまった。
4モスモス?:04/12/23 16:56:56
ふと、視線の向きを変えると僕と同じようにミニ黒板を眺めてる女性の姿が目に飛び込んだ。
その女性は、まるでいとおしいものを慈しむかのように目を細めてうっすら笑みを浮かべている。
(へぇ。やっぱりいるんだ。僕と同じようにちゃんと読む人が・・)
他愛ないシンパシーをその女性に感じ、内心でほくそえんでいると突然、その女性と目が合った。

(やば。目合っちゃった。ジッと凝視してたみたいに思われたかな?)
ふいに合った視線と視線が交錯する接点。永遠の刹那。忘れえぬ感情の高ぶり。
5モスモス?:04/12/23 16:57:46

「可愛いですよね。このメッセージボード。」

(そ、そそ、そうか。メッセージボードって言えばいいのか。・・・ミニ黒板。俺ダサ。)
予期せぬ行動をとられた僕は、酷く狼狽し、傍から見ればさぞや滑稽だっただろう。

「ここ通りかける度に、つい見てしまうんですぅw」
「・・・はは。そうですよね。僕もココの前通りかかると、つい目をやっちゃうんですよw」

怪しまれていないだろうか?いや、それよりも周りから変な風に思われていやしないか?
焦る僕の内心を露呈するかのように、額と手の平に汗がじんわりとにじみ出る。

「・・お仕事、この辺りのお近くなんですか?」

自分自身全く予想だにしなかった質問が、やおら僕の口から飛び出るのを僕自身が一番驚いた。
しかも、質問の文面が変だ。変人が使う変な言葉づかい。鬱。

「え? ・・えぇw はい。 すぐそこの角を曲がったビルの中です。」

そう言って、優しく微笑んだその彼女の目元から発せられた光線が僕をものの見事に撃ち抜いた。
完敗。まさしく完敗。ぶっちぎりの完敗に僕は乾杯(゚∀゚)
(ぐはっち。完璧に好みっす。やられたっす。マジやられたっす。僕おかしいっす。もうダメっす。)
2chのコピペのようなセリフが頭の中をぐるぐる駆け巡りはじめた。
6モスモス?:04/12/23 16:58:24

「んがっはー。そうなんだずか。」

近年稀に見る僕好みの女性を間近で、しかも話し掛けられたという否定しえぬ事実に直面した僕は
唾を飲み込んでむせこみ、しかも噛み噛みだ。

「・・・貴方は? 職場近いんですか?」

これまた予期せぬ質問返しに、高鳴る胸の鼓動は既に動悸・息切れ・眩暈を呼び起こしている。
だ、だれか。[救心]をををををぉぉぉぉぉ!!!!!!!

「んがっふぁい。わるとこの辺りで近いのですので大丈夫なのですからっ。えぇホント。すっごい。」

途轍もなく頭が悪そうな言葉使いに、我ながら奈落の底に自ら進んで落ちたくなった。
「そう・・」と言って見つめ返してくる彼女の優しい微笑が
この寒空の下、僕を暖かいオーラで包んでくれた・・・ような気がした。

「・・・じゃあ、またw っていってもいつか判らないけどw」

そう言い残して、ゆっくり翻って帰路につくその彼女の後姿を目で追いながら
( (  ̄,_√)フッ 人生捨てたもんじゃない。こんな何気ない出会いや優しい気持ちが
 こうして至る所に転がっているじゃないか。  ・・ありがとう。モス。)





『いらっしゃいませ〜』

さぁ。おいしいバーガー食べて、早く社に戻らなきゃ!