◆MRM(Mechanically Recovered Meat:機械を使って動物の骨からこそぎ落とした肉)とは何 か
http://www.alive-net.net/world-news/41.html イギリスで1980年代に狂牛病(牛海綿状脳症)に感染した肉を食べた人がどのくらいいいる
のか分かっていない。しかし、汚染された可能性のある食材がどのようにして食物連鎖に入り
込んだかについての調査が進むに従い、牛肉の中でもMRMが感染源としての危険が最も高い
と見なされるようになった。
MRMとは主な肉の部分が切り取られたあとに動物の死体に残っている肉片のことで、機械
を使って加圧することによって骨に残っている肉をこそぎ落とすのだが、骨から分離された肉
は赤いドロドロしたペースト状ものになる。これを肉加工品の「水増し」用に使う会社もある。
専門家は、牛の体内でも特に狂牛病感染源となる可能性の高い部分、脊髄の一部がMRMに
含まれている可能性が高いという。
人間は狂牛病に感染した牛の肉を食べると、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発病する
危険があると考えられており、低品質肉、つまりMRMがどの程度広範囲にわたって食品業界
で流通し、消費されていたがわかったとき初めて、狂牛病に感染した牛の肉を食べた場合の人
体への危険度が明らかになる。
イギリスの消費者の多くは1980年代から90年代にかけてMRMを含むミートパイ、ソーセー
ジ、ハンバーガーなどを食べたとされる。しかし、それぞれの食品にどの程度MRMが含まれ
ていたのかなどの全容はまだわかっていない。
MRMが使われるのは値段が安いからに他ならない、とウォーカー取引基準管理主任はいう。
精肉がキロ当たり3ポンド30ペンスするところ、MRMだと37ペンスしかしない。専門家は
MRMが学校でのメニューにも含まれていたと見ているが、これもどのくらいの量か分かって
いない。ウォーカー主任はある全国規模の製造業者が学校給食用にMRMを提供していた証拠
も握っているという。
狂牛病についての昨年の報告書によると、1980年代当時に行われた調査はMRM製法を優れ
た食品科学技術だと評していたそうだが、1989年には、骨髄を含む牛の屑肉(食肉をとった残
りの可食部分)を人の食用としないという、それまでより厳しい法規が定められた。しかし、
MRM自体は1995年まで使用禁止になっていなかった。
過去5年間、政府の海綿状脳症諮問委員会(SEAC)はこれまでにどのくらいの量のMR
Mが使用されたのかについての情報提供を食品業界に求めてきた。また。食品基準局も1970年
代から80年代にかけてどの程度の規模でMRMが使われていたのか業界から情報を入手しよう
と新たに試みており、これが得られればこれまで以上にMRMに関する事実が明らかになると
期待しているが、政府関係機関は食品業界が調査に非協力的であると非難している。一方、業
界側は協力を拒んでいるのではなく、MRMの使用に関する詳細な資料がもともと存在してお
らず、自分達も正確な数字は把握できていないと弁明している。 (BBC, The Guardian)