糞プロバイダー・Yahoo!BBの解約に踏み切る人数 V

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319OCN[不安]
実は一見したところ優良企業に見えるNTTコムにも大きな問題がある。

 5月のことで恐縮だが,18日付けの日経金融新聞に「証券アナリストはVerioが懸念材料と指摘」
という内容の記事が掲載された。Verioは,2000年夏にNTTコムが約55億ドル(約6000億円)で買
収した米国のインターネット・サービス・プロバイダのことである。一部の関係者や業界通のあいだ
では,米国の株化低迷やIT景気の減速,Verio自体の先行投資の大きさや営業成績の悪さなど
からも懸念がささやかれてはいたが,NTTの決算発表とこの記事で一気に表面化した。

 米国での株価は,7月2日の終値で27ドルであった。これは,2000年8月にNTTコムがVerio株を
公開買付した際の半分以下である。株式市場の落ち込みなどのリスクを考慮して
いたのかという点では,疑問が残る買収だったとは言えないだろうか。

 NTTコムの2000年度の経常利益は約816億円である。約6000億円という買
収額の大きさが知れるだろう。NTTコムの従業員は約7000人だから,1人あたり約9000万円の借金
ということになる。この金額は,NTTグループ全体の屋台骨であるNTTドコモの1年間の利益を全
部食いつぶす規模でもある。NTTコムは,バランスシート上は債務超過ではない。しかし,グルー
プ全体に影響するほどの大きな金額なのである。そして,そのうちの半分が株式市場に消えてし
まったのだ。

 私は,この買収がどのような意志決定のプロセスを踏んだのかについては取材していない。元か
ら筆頭株主(10%)だったVerioの支配力を強化したのかもしれないし,インターネット分野での国
際進出を焦ったようにも見えなくもない。いずれにしろ,老舗の大手プロバイダさえ経営危機に陥
る米国での企業買収にしては,リスクに無頓着だった印象は否めないと思う。米国の株式市場が
不調になったことで,約3000億円をドブに捨てたことになるからだ。