http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050411-00000085-mai-int <米独立調査委>イラク戦争の大義 「失敗の分析」を紹介
「ほぼ完全な誤りだった」。イラクの旧フセイン政権の大量破壊兵器に関する米情報機関の判断について
、大量兵器をめぐる情報収集・分析を検証した米独立調査委員会は、先月31日に公表した報告書でそう切
り捨てた。米主導のイラク戦争によるフセイン政権の排除を正当化する「根拠」は、なぜそれほどまでに的
外れだったのか。独立調査委が約1年にわたり、数百人の関係者への事情聴取や、膨大な機密報告書などの
精査に基づいてまとめた「失敗の分析」を紹介する。
【ワシントン和田浩明】
◆「うそつき」に頼る
「イラクの生物兵器で最も懸念すべき存在」(パウエル前国務長官)とされた「移動生物兵器実験室」。
03年2月の国連安保理演説で、ブッシュ米政権を代表して、イラク戦争の大義を世界に主張したパウエル
前長官は、詳細なイラストまで交えてその危険性に警鐘を鳴らした。「2000年に存在が明らかになった
。(実験室の)担当だった、亡命イラク人化学技師による直接目撃情報だ」。パウエル前長官はそう力説。
同技師も含めて、4人の情報源が存在すると語り、信頼性を強調した。
だが、イラク戦争後、1年以上も行われた米中央情報局(CIA)主導の調査による結論は「存在の証拠
は発見できない」。生物兵器開発・生産活動全体も、大規模なものは96年の時点で破棄されていた、とい
うものだった。
独立調査委の報告書によると、移動実験室に関する情報のほとんどは、問題の化学技師1人がもたらした
ものだった。しかも、その証言の信用性については、CIA内部でも深刻な懸念が指摘されており、「(懸
念が)広く知られていたことは明らかだった」(同報告書)。だが、その情報が安保理演説前にパウエル前
長官に届くことはなかった。
「カーブボール」という暗号名で呼ばれるこの男性技師の証言は、外国情報機関を通じて米国防総省国防
情報局(DIA)に00年初めにもたらされ、米国の他の情報機関に伝達された。内容の詳細さや、技術的
正確性から信頼されるようになったが、CIAが通常行う本人との直接面接による事情聴取は、外国情報機
関の拒否により、最後まで実現しなかった。