すべての国民に問う

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10信濃国民
復古主義者の困るのは、世界が見えていても見えていないふりをするか
あるいははじめからまるっきり見えていないかして、あたかも日本国一国で、
新しい政策を考えだし実行しているようなフリをすることだ。

憲法9条の改悪と、自衛隊の「不安定の弧」への派兵の要請は、
アメリカ政府によってなされているものだということを、彼らは隠し続け、
「責任ある国として」などの美辞麗句で誤魔化す。
こうした欺瞞そのものが、日本国を足元から腐食させている。

また、彼らに共通するのは、アメリカが世界最強の唯一の国という幻想だ。
これは、第二次大戦の敗戦と、その後の占領、独立回復後にも
NHKや朝日新聞、読売新聞などを通して毎日行われた洗脳のためである。
朝鮮戦争、ベトナム戦争でアメリカが敗れ去ったあとも、アメリカこそが世界最強だ
と思い込んでいるから、世界は何でもアメリカの思う通りになると考える。
これは状況認識のはなはだしい誤謬である。

アメリカによる「規制緩和」「市場自由化」のかけ声で始められた世界経済の
グローバリゼーションは、当初はもちろんアメリカン・スタンダードであった。
しかし、現状の世界経済を見る限り、安価な労働力と、経済の予想到達規模、
経済発展の加速度において優越する中国の基準が、商品取引の世界基準と
なりつつある。
このことの現れが、日本ではデフレと呼ばれ、アメリカでは労働力の
アウトソーシングと呼ばれる重大現象を招いている。
少なくとも商品の価格においては、チャイニーズ・スタンダードによる
グローバリゼーションが現に行われているということだ。

軍事も政治も、経済的基盤の上に成り立つ上部構造である、というのも
資本主義の本質は商品によって解析される、というのも
マルキシズムの第一級の原則である。
ここから見る限り、チャイニーズ・スタンダードによって、足元の経済を
脅かされているアメリカと日本が、どんなに軍事的に同盟したところで
国家の衰退という共通の運命に対して効果が無いことは、はじめから自明である。