【傷ついた】産経の賛戦報道をチェキすれ22【米国民】
■カンヌ国際映画祭 反ブッシュを優先 「華氏911」、仏では評判今一つ
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【パリ=山口昌子】第五十七回カンヌ国際映画祭はイラク戦をめぐる対応などブッシュ米大統領
を批判した米マイケル・ムーア監督の「華氏911」が最高賞パルムドールを受賞して閉幕したが、
「政治が芸術に優先した」など反響を呼んでいる。
「受賞は政治的ではない。最高の作品だったからだ」−審査委員長のタランティーノ監督は記者
会見で「政治」を否定。「フランス人審査員(委員長除く)は八人中一人だった」と述べ、フランスの
政治的意図でないことも強調した。
しかし、米大統領選を前に本国での上映が配給会社の決定で中止になった作品が、イラク戦で
米国と対立したフランス・カンヌで上映されたこと自体がすでに政治的でありニュースだ。
ムーア作品受賞が発表された二十二日夜の式典では総立ちの喝采(かっさい)が起き、仏各紙
も、「ブッシュにミサイル」(リベラシオン)「政治受賞の幕開け」(フィガロ)とかしましい。イタリアの
コリエレ・デラ・セラ紙は「大西洋の間の敵対関係に新たな論争が認識された」と米仏関係の溝を
指摘し、スペインのABC紙は「政治的または世界的平和のセンスが大きな一歩を示した」と書い
た。
ムーア監督は米国の銃社会を糾弾した前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」で昨年の米アカ
デミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。二〇〇二年のカンヌの「第五十五回記念賞」も受賞してい
る。
しかし、仏国内でムーア作品の評価はかならずしも高くない。ゴダール監督は、「ブッシュはムー
アが考えているほどおろかではない」と批判。その政治意識に関しても、「デマゴギー(扇動主義)、
ポピュリスム(民衆主義)」と批判する評論家が多い。監督自身も「(作品は)金曜の夜にポップコー
ンをかじりながら見るもの」と自作を定義している。
カンヌで米俳優のブラッド・ピットやトム・ハンクスより人気があったのは案外、「肥満でショートパン
ツ、野球帽」というアメリカ人のカリカチュアそのものの風貌(ふうぼう)かもしれない。そして「政治」と
いうより「反米という名の政治」を巧みに「商売」にした映画祭だったともいえそうだ。