【うなる!】産経の賛戦報道をチェキすれ10【大向こう】

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330国連な成しさん
歳暮商戦も大きな峠を越えたが、各百貨店とも売り上げはまずまず好調
だったというのがめでたい。この暮れの特色や人気は少子高齢化を反映し
てか、「小分け商品詰め合わせ」や「選べるカタログギフト」だったとい
う。それも時代だろう。
 ▼かつてお歳暮といえば新巻きサケが定番だったが最近は敬遠されてい
る。ところがある百貨店が「姿切り」と手を変えて巻き返しに成功した。
一匹まるごとのサケに調理しやすい間隔で切れ目をつけた。出刃包丁を置
いてない家庭が増えていることに着眼したからだという。
 ▼中元や歳暮の習慣は必要か否か。世論調査をしたら「なくなっても構
わない」がやや多かったが、それでも賛否はほぼ半々だった。季節の贈答
のやりとりを人間社会の潤滑油やバランサーと受けとる人が多いからだろう。
 ▼しかし使わない贈り物をもらったり、もらい過ぎて困っている家庭も
あるに違いない。ところが江戸時代には、すでに「献残(けんざん)屋」
という新商売があった(藤田覚著『大江戸世相夜話』中公新書)。献残と
は、大名がもらった献上品で不用な物や、同じような物が重なり残った品
をいう。
 ▼その品物の払い下げを受け、ほかの献上者に売る商人のことを献残屋
といったそうだ。なるほど江戸の社会観察家・喜田川守貞の『近世風俗志
(=守貞謾稿(まんこう))(一)』(岩波文庫)に出てくる。ノシアワ
ビ、ヒモノ、コンブ、ホシアワビ、カラスミなどが対象だったという。
 ▼当時、大名への贈答品といえば正式には太刀と馬だが、その代わりに
そんな品々が届けられていたのだろう。頭のいい商売、抜け目のない人は
いつの時代にもいたのである。デフレや社会の多様化で“贈答の社会学”
も少しずつ変わってくるだろうけれど。