【うなる!】産経の賛戦報道をチェキすれ10【大向こう】
「彼をイラクに行かせないで」という新聞の反戦キャンペーン記事を、週刊新潮の最近号
が取り上げている。自衛官を恋人にもつという女性が、派遣に反対して「たった一人の署名
活動」を、雪降りしきる札幌の街頭でやった。
▼二十三歳の彼女は新聞の投書欄に出したのだが、その後の展開に戸惑っている。女性誌
やテレビなどに“悲劇のヒロイン”として取り上げられたからだという。新聞にはそれぞれ
主張や論調があるが、それに合わせてメロドラマのようなお涙ちょうだい話ができ上がって
いったらしい。
▼別の新聞だが、こんな涙の物語が社会面記事にのった。陸上自衛隊第二師団(旭川市)
に所属する四十代の自衛官が実家に帰った。「イラクに行くのかい」「ああ」。暗いやりと
りがあり、母親は息子を自衛隊に入れた自分を責めた。
▼そして不安で眠れなくなり、息子のお守りに両親のプリクラを入れた、というのであ
る。この記事を読んで小欄は顔が赤くなった。名前も出てこないから事実かどうかわからな
い。しかし日本人はいつからこんな情けない民族になってしまったのだろう。
▼息子たちは戦争に行くのではない、イラクの復興のために行くのである。“夢見る平和
主義者”には、その当たり前の理屈もわからないらしい。そんななか、東京の武蔵野市議会
が「イラク復興支援に関する意見書」を賛成多数で可決した(十七日)という記事を読ん
だ。
▼「わが国はテロに屈せず、イラクの復興支援に積極的に取り組む…」。そして自衛隊員
に対して「心から感謝と敬意を表しつつ、任務達成と無事帰還を切に願う」と記されてい
る。これがごく普通の国民感情ではないか。ようやく日本人の良識にめぐりあえてほっとし
た。