>>368 国際条約で敵兵扱いされる「人間の盾」のリスク
アメリカによるイラク攻撃の可能性が高まる中で、「人間の盾」になろうとする動きが出ている。イラクに乗り
込んでアメリカの攻撃目標になり得る軍事施設やその周辺に立てこもり、空爆や攻撃を妨害しようというのだ。
イスラム諸国はもちろん、EU諸国やアメリカからも「盾」の志願者が現地に集まっているという。日本人もいるらしい。
こうした行為をいかにも体を張って平和を守る立派なことのようにとらえたがるマスコミや政党があるが、
とんでもない。これはフセイン・イラクに加担する義勇兵の戦闘行為の一形態にすぎない。
ハーグ陸戦条約の付帯条約である陸戦中立条約は、戦闘地域での「中立人」の資格を定めている。その17条に、交戦国
でない第三国人であっても、交戦者に対して敵対するもの、あるいは交戦者の一方の利益となる行為をするものは、中立
を主張できない、という規定がある。よくて敵兵並み、行動によっては敵味方を識別するための軍服や記章をつけないで
交戦者の一方のために戦う非正規の便衣兵、つまりゲリラとして扱われ、捕虜となったとき陸戦条約に定める将校・兵士
の権利を認められずに犯罪者として処断されても仕方がない。それが90年も前から国際的に確立されている戦場のルールだ。
「人間の盾」というと聞こえはいいが、「盾」に自国民を動員したり、敵兵や第三国人を拉致して強制したりすれば、
残虐行為として戦争犯罪に問われ得る。クウェートを侵略したイラクは湾岸戦争当時この手を使った。今回も繰り返せば
フセインは戦犯指名を免れまい。そこで義勇兵を集める手を考えたのだろう。フセインの義勇兵を志願するのは志願者の勝手だ。
しかし相応のリスクは覚悟せねばならぬ。その覚悟はあるか。