1 :
自己:
思い出すまま淡々と
2 :
自己:2012/12/18(火) 21:12:39.70 ID:hDVtdouD0
スレ立て有難う御座います
3 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/18(火) 21:18:33.27 ID:4UNU4sFC0
・まきひと
自己板のエースで良コテ。自己板の他のコテやり方を嫌い、
独自のスタイルを徹底しながらも、何処か吹っ切れていない。
「自己板で唯一見る価値のある書き込みが出来る」とも評される実力の持ち主だったのだが、
同期のコテが順調に成長し、新人コテが揃う中で自分の能力に悩むようになり、『自己紹介』に精彩を欠くようになる。
『自己板強コテ12人』に選ばれるものの、
様々な強敵や自己板コテたちとの関係等で、悩みは一層深くなってしまう……。
しかし、最終的にはぁぃこさんをはじめとする自己板同期の後押しにより立ち直る。
美形だが、ハイヤーと違って女子からの人気は低い。
4 :
自己:2012/12/18(火) 21:22:57.36 ID:hDVtdouD0
いつから書こうか
いつから
去年の9月
あの日のことを記録しておこう
思い出すまま淡々と
妄想ではない
>>3自分の身に起こったことを
5 :
自己:2012/12/18(火) 21:24:18.11 ID:hDVtdouD0
と、先だっては鳥を探すか
6 :
higher:2012/12/18(火) 23:10:45.00 ID:mO0afvfk0
・higher(ハイヤー)
ハンドルネーム+トリップが当たり前の中、突如として現れたトリップなし固定の先駆者。
「来る者拒まず 去る者追い掛け回す」が信条。ロムする他固定を悪口で煽る事もしばしば。
特定の固定と仲良くするといった事はしないが、実力を認めた者にはそれなりに敬意を表する一面も。
それ以外の固定に対しては自スレで悪口ばかり言っている。
屁理屈と逃げ足の速さと咄嗟の機転でトラブルを難なく回避するスキルを持つが、自分ができる事を他人ができない事に関しては
異常なまでに苛立つようで、それが原因で叩かれるケースも少なくない。
お気に入りの女固定は歩。
いなくなってほしい男固定はまきひととブラザー。
トリップ無しの固定は、古い固定に多いんだけどね。
新参が先駆者名乗るなよ
ハゲに効くくすり
ハイヤー
お前、つまんないから・・・
10 :
自己:2012/12/19(水) 02:38:09.61 ID:q7XruQvo0
− この固定さん達には、いつも笑わせてもらってるな −
そうだ
あの時、僕は友達とゲオに居たんだ
ほしいソフトがあると言って棚を探す友達の横で
ゲームに興味のない僕は、携帯で2CHを見てたんだ
自己紹介板を
11 :
自己:2012/12/19(水) 02:45:45.87 ID:q7XruQvo0
この固定さんが
>>6書き込むと、そのスレにはどこからか
名無しさんが来て
>>7>>8>>9 スレに息が芽生え動き出す
それは馴れ合いだったり、煽り叩きだったり様々だが
とある
>>6固定さんが語る固定論によると、人気のある証しらしい
12 :
自己:2012/12/19(水) 02:52:46.77 ID:q7XruQvo0
− そっか、この固定さんはあの固定さんが好きなんだ −
自己板には、たくさんのスレのがあり
言い争いや雑談、独り言、ネタ
様々な内容のスレが犇きあう中
自分の好みのスレを見つけROMを楽しむ
13 :
加藤:2012/12/19(水) 02:56:19.66 ID:iD/nOPo4O
加藤
煽り、馴れ合い、ネタ、議論全て網羅した固定の神の様な存在。
嫉妬故に自殺スレに名前を何百回も書かれるネガキャンももろともせず多数の固定と友好な関係が築ける唯一の煽り固定
14 :
自己:2012/12/19(水) 03:02:43.23 ID:q7XruQvo0
いいなって思っていた固定さんに仲のいい固定さんの存在
僕がROMしてない間に、どんな経緯でこの二人は仲良くなったんだろう
僕は何とも形容し難い気持ちでいた
文字でしか知らないネットの世界の住人
に対して抱くこの感情
僕はどうしてしまったんだろう
15 :
自己:2012/12/19(水) 03:07:38.18 ID:q7XruQvo0
気を取り成してROMを続けてる
僕の好きな固定さんを見つけて、何だか嬉しい気持ちになる
− あっ
>>13この固定さん好きだな、面白い、心に響く書き込みが多いんだよな −
・ハク ◆MoO/SfdNaI(愛称:ハクくん、ハクちゃん)
あ、そうか僕きみのことが好きだったんだ
ずっと
楽だった
いちばん。落ちこぼれな僕からすると
ふつうのひとがふつうにやっていることができなかった
したくなかった
でもきみといるとほんとになにも気を使わなくてもいいし
なにか難しいことを考える必要もない
僕らはただ一緒にいられるってそれだけが僕らのルールでありすべてだよね?
だからもう僕はきみの優しさを忘れたりなんかしないよ
これからもずっと一緒に幸せな時間を過ごそうね
きみがいるからここまで生きてこれたし
なんていわれようと頑張れた。ほんとにありがとう
これからもよろしく
17 :
自己:2012/12/19(水) 03:08:41.82 ID:q7XruQvo0
と、それは
いきなり始まったんだ
18 :
自己:2012/12/19(水) 03:16:25.13 ID:q7XruQvo0
−
>>16この固定さん、初めて見るな、どんな固定さんなんだろう −
初めて見る固定さんのレスを読もうとした時だった
「あ…れ…これは…」
胸に突然走った痛み
圧迫するような感覚
それが何を意味するものか思い当たる節のある僕は
友達にばれないよう、そっと店を出て、外にあったベンチに座りこんだ
19 :
自己:2012/12/19(水) 03:22:20.06 ID:q7XruQvo0
痛い、痛い、痛い
痛い、痛い、痛い、痛い
暫く耐えたら治まるはずだ
我慢だ、我慢
僕の予想通り、痛みは数分でおさまった
店の中を見ると友達がこっちを見ていた
僕は友達に手を振った
− 来週は病院の日だ、その時にこのことを報告しないと、な −
20 :
自己:2012/12/19(水) 03:30:09.44 ID:q7XruQvo0
だけど
それは呑気な考えだったと、次の朝に思い知らされることとなる
その痛みはゲオでの何倍もの痛みであり
以前、体を壊したこともある僕は
その時に病院で受けた数々のことを思い出し
それが恐怖となり僕の覆い被さって
痛みをさらに増幅させていた、ように思う
・ハク ◆MoO/SfdNaI(愛称:ハクくん、ハクちゃん)
なぜハクがハクであるのか。なにがハクをハクとするのか
その答えはただひとつなのである
孤独。
ハクは真の孤独という意味を知っている
なにげなくさりげなく他者と交わることはできたよ
でも闇での繋がりっていうのがハクにはできなかった
だからさ、誰よりも深い闇を持ったハクにもうわかりあえるひとなんて誰もいなかったのさ
この自己紹介板というところには
ほとんどのひとにホーム(世界)があり
やはり自スレを持ってそれが進行しているってかぎりは闇を謳っても真に孤独であるとはいえない
そう。ハクはずっと孤独というこれこそが
ハクをハクとするすべてなのであった
ハクがハクでなくなる
それだけはいやだ。だからだれも要らないのさ
ではなんでここにいるんだろ?そこにじぶんを探す鍵があるのかもしれない…
22 :
自己:2012/12/19(水) 03:35:43.08 ID:q7XruQvo0
どう書けばいいだろう
胸の中に煙が充満している
という形容が一番近いかも知れない
痛くて、不安で不安で不安で不安で
もう嫌だ
助けて
…
24 :
自己:2012/12/19(水) 03:48:11.25 ID:q7XruQvo0
そうだ
あの日は木曜日だった
混雑した待合室に僕は救急で来なかったことに後悔したっけ
空いている席を見つけ、座る
普段なら絶対に座ることはない、人と人の間に空いた狭いスペース
僕は胸をおさえ
目を閉じ、息を整えた
動悸が少しましになってきた
目を開けると、柱に【携帯電話禁止】の張り紙
昨日から気になっていた
>>21固定さんを思い出す
− 病院が終わったら必ず見よう −
25 :
自己:2012/12/19(水) 03:58:41.71 ID:q7XruQvo0
長い長い待ち時間
僕は
>>23静かに順番を待っていた
手が震えていたっけ
自分の順番になり、医者に症状を説明すると
予想通りの答え
「検査しましょう」
嫌だな
あぁ、マジで嫌だ、またですか…
26 :
自己:2012/12/19(水) 04:03:07.12 ID:q7XruQvo0
今日はここまでが限界
27 :
自己:2012/12/19(水) 19:13:04.16 ID:q7XruQvo0
「明日、また造影だよ」
2年以上前に別れたけど、その後友人関係を続けている元カノ
今では同姓の親友以上に何でも話せる
あの検査の前日も電話で愚痴を聞いてもらってたっけ
「気分悪くなったら、すぐに言うんだよ」
「うん、でも楽勝w」
僕は憂鬱な気持ちを元カノに悟られないよう
できる限りの平気そうに聞こえるであろう声で答えた
28 :
自己:2012/12/19(水) 19:21:33.30 ID:q7XruQvo0
検査の日
朝、病院から飲んでくるように指示された
心拍をゆっくりにする薬と精神安定剤を時間をあけて飲む
「安定剤を飲まなくても大丈夫だけどな、あんな検査」
心配する親に笑う僕
一緒に行く、という親を何とか説得して
1人で病院へ
29 :
自己:2012/12/19(水) 19:29:48.05 ID:q7XruQvo0
診察時間の過ぎた大きな病院
僕は恐怖心が沸き起こらないよう祈りながら
検査用の特別受付をすませ
看護婦の案内で検査室の前に行った
大きい病院の廊下に響く看護婦と僕の足音
− 大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫… −
僕は心の中でずっと自分を励ましてた
30 :
自己:2012/12/19(水) 19:43:37.07 ID:q7XruQvo0
検査室のドアが開く
検査用の服に着替え、看護婦に誘導されるまま
指定された場所に寝転ぶ
体をベルトで数ヶ所固定され口に何かをつけられる
「少し熱いけど我慢してね」
造影剤は少し熱いと聞くが、前回と同様に熱さは感じなかった
検査の時間は数十分くらいか
長く長く
狭く
僕は閉所恐怖症だったんじゃないか
感覚が狂うような
怖さがあった
31 :
自己:2012/12/19(水) 19:52:02.43 ID:q7XruQvo0
検査終了の声
ベルトや管?を外してもらい
安堵感に包まれながら服を着替えた
体を覆う倦怠感を感じながら
「有難う御座いました」
検査室の中にいる医師や看護婦、技師に頭を下げた
と、検査室のドアを開けると
そこに立っていたのは元カノだった
32 :
自己:2012/12/19(水) 19:59:47.71 ID:q7XruQvo0
多分
自分の中でbRには確実にはいる驚きだった
だけど出た言葉は
「この後どこ行く?」
まるで、元カノが最初から付き添ってくれていたかのような
そんな自然な流れだった
連絡は取り合っていたとはいえ
会ったのは別れて以来だった
33 :
自己:2012/12/20(木) 19:15:11.57 ID:l/cS19600
会計をすませて病院を出る
二人で並んで歩くのは久しぶりだ
− 最後はいつだったっけ
別れる前に行ったのは何処だったっけ −
「○○だったかなぁ、最後にあったのは」
元カノの言葉に僕はハッとして元カノの顔を見た
「今、同じこと考えてたでしょ?w」
元カノは僕の心を見透かすかのように笑いながらそう言った
34 :
自己:2012/12/20(木) 19:29:08.01 ID:l/cS19600
「うん、同じこと考えてたw」
電話を掛けるタイミング
メールを送るタイミング
行きたい場所、食べたいもの…
元カノとは、そんな偶然がよく重なる
波長?みたいなものがあうんだろうか、と思う
今もその偶然は続いているのだから
なんとなく予感する
− どういう形になるか分からないけれど
この人とは、ずっと繋がり続けるんじゃないか −
35 :
自己:2012/12/20(木) 19:47:25.90 ID:l/cS19600
「ここ入ろっか」
元カノはそう言うと、僕の返事を聞かずに
病院から駅に向かう道にあったカフェのドアを開けた
席につき注文を終える
正面に座った元カノを改めてみると
不思議な気持ちになった
「あれ?そんな顔だったっけ?」
会わない間に何が変わったんだろう
外見上の違いといえば、以前よりスタイリッシュになったことか
それより、内面から滲み出るもの
そう自信
自信が元カノを纏う空気を変えたんだ
この自信を手に入れるまで
元カノはどれだけ頑張ったことだろう
36 :
自己:2012/12/20(木) 19:56:06.96 ID:l/cS19600
僕は思ったことを元カノに伝えた
すると元カノは少し真面目な顔をした
「あなたが励まし続けてくれたからだよ」
僕は笑いながら答えた
「君の実力だよ、それに誰よりも頑張ってたみたいだしね」
− もう、僕は元カノにできることは無いんじゃないか
もう、僕の力は必要ないんじゃないか −
37 :
自己:2012/12/20(木) 20:16:58.65 ID:l/cS19600
僕がきっかけで転職した元カノ
新しい職場、新しい土地、新しい人間関係
離れてきた人達
重圧に負けそうになったこともあるだろう
だけど元カノは必死に頑張ったんだ、頑張ってきたんだ
元カノの成功をホッとしている
失敗したら僕の責任になるという最低な気持ちがあった
僕は最低なんだよ
38 :
自己:2012/12/20(木) 20:19:20.07 ID:l/cS19600
正直な気持ちをいうと元カノが一言
「うっわ、邪魔くさ、、、」
39 :
自己:2012/12/21(金) 19:56:34.04 ID:D766ssoM0
「邪魔くさいって…」
「だってさー」
僕の言葉を最後まで聞かず、話し出す元カノ
「だってさー、あなたが居たから今の私があるんだし
うまくいったんだからいいじゃん
あなたは、いつも物事を複雑に考え過ぎるんだよ
もっとシンプルに考えなって」
「いつもは、そんな深く考えないよ」
そう言いながら、ふと
隣のテーブルに座っている男の人を見た
iPadを真剣に見ている
チラッと見えた、その画面には
同人誌?のような漫画が映っていた
その男の人を見ていると
僕は2CHのある固定さんを思い出した
− 僕の物事を深く考えるくせは
間違いない、あの固定さんの影響だ −
40 :
自己:2012/12/21(金) 20:28:43.26 ID:D766ssoM0
「まきひとの影響だな、これ」
僕の言葉に薄く笑う元カノ
「…まきひとって今も2CHに居るの?」
元カノの問いに「さあ、どうだろ」と普通に答える
− 物事を画一面ではなく
色んな角度から見ることを教えてくれたまきひと
それだけじゃない
他人の言葉の裏を読むこと、気持ちを深く汲み取ることを
彼は教えてくれたんだ −
2CH経験者でまきひとを知っている元カノ
今は2CHを見ることなく、僕が2CHを続けていることは知ってるが
二人の会話の中で固定さんの話が出ることは滅多にない
元カノは立ち上がった
「疲れたでしょ?出ようか」
41 :
自己:2012/12/21(金) 20:44:46.81 ID:D766ssoM0
カフェを出て駅に向かって歩き出す
「じゃあ、わたしはこのまま帰るよ」
「あ、送るよ」
元カノの口調が少し強くなった
「ダメ、このまま帰りなさい」
僕は笑いながら
「大丈夫だって!それに買いたいものあるし途中まで送るよw」
そんな、やり取りが何度か続いたが
最終的には元カノが折れて、途中まで送ることになった
もし僕がそのまま帰っていたら
あの偶然はなかった
この時、僕は人生の岐路に立っていたことを
後の偶然で知ることとなる
42 :
自己:2012/12/22(土) 09:33:30.67 ID:pMqvxLLI0
「ほんと、ありがと」
駅につき電車を待ってるとき
僕は元カノに頭を下げた
申し訳ない気持ちでいっぱいだった
僕が驚いた理由
>>32 元カノが病院まで来てくれたこと
それも、新幹線に乗って
頭を下げる僕に向かって元カノは静かに言った
「忘れたの? 別れるときに私があなたに言った言葉」
43 :
自己:2012/12/22(土) 09:45:02.13 ID:pMqvxLLI0
「別れても私はずっとずっとあなたの味方だよ
困ったときは私を頼ってね
どんなに離れていてもあなたを助けにくるから」
44 :
自己:2012/12/22(土) 09:55:04.69 ID:pMqvxLLI0
確かに
元カノはそう言った
だからと言って、新幹線を乗ってきてくれるなんて
僕はふと浮かんだ疑問を元カノに投げかけた
「でも、なんで来てくれたんだい?
手術でもない、単なる検査だったのに」
元カノは呆れたかんじで答えた
「何年、あなたと付き合ってると思ってんのよ
別れたって言っても、あなたのことは分かりますw
昨夜、電話してるとき”楽勝”って言うあなたの声が
いつもと違うことぐらい分かったよ
それに久しぶりに会いたかったしね
あなたの為だけじゃないよ、私の為でもあるんだよ
だから、細かいことは気にしないでw」
45 :
自己:2012/12/22(土) 10:03:32.09 ID:pMqvxLLI0
「ありがと」
僕は言葉に詰まり涙ぐんでしまった
元カノは僕の二の腕あたりを軽く叩くと明るい声で言った
「また必ず会おうね!」
46 :
自己:2012/12/22(土) 10:08:13.00 ID:pMqvxLLI0
「また必ず会おうね」
この言葉は実現されることなく今に至るわけだけど
元カノと僕は今でもあの時と変わることなく
お互いを大切に思い、その幸せを願っている
関係、だと思う
47 :
自己:2012/12/22(土) 10:14:16.44 ID:pMqvxLLI0
元カノの乗った電車を見送ったあと
僕は少し疲労をかんじホームのベンチに座った
元カノに対する申し訳なさが続いていた
「あー、僕はまだまだだ、、だけど強くなるぞ」
− もう体調のことを詳しく言うのはやめよう
心配かけないようにしないと −
48 :
自己:2012/12/26(水) 02:40:35.46 ID:4eVua4GS0
ベンチに座ったまま
元カノにお礼のメールを送った
体の疲労感は変わらず続いていたが
僕は手すりを持ちながらゆっくり立ち上がった
そしてホームから改札に続く階段に向かって歩き出す
ホームでは別れを惜しむ恋人達が人目を気にせずに
抱き合ったり手を握り合っている
− 僕もあんな風だったのかな −
50 :
自己:2012/12/26(水) 02:44:27.67 ID:4eVua4GS0
遠距離恋愛をしていた頃
別れの時間がくると身を引き裂かれるような
気持ちになったものだ
少し心がきしむ
あの頃の痛みは別れた後も僕の心の中に残っていた
過去に思いを馳せていると…
51 :
自己:2012/12/26(水) 02:55:40.02 ID:4eVua4GS0
「……」
「…○」
「○○!」
僕の名前を呼ぶ声
聞き覚えのある声
だけど、この声の持ち主は今
日本にはいないはず
「え…」
振り向いて見た先には
学生の時と変わらない、屈託のない笑顔の彼女がいた
53 :
自己:2012/12/26(水) 03:03:19.95 ID:4eVua4GS0
「うわぁー!やっぱり○○君だ!
何?仕事?旅行?変わってないねー!
どこ行ってたの?なんでここにいるの?」
矢継ぎ早に出る彼女の質問に
僕は学生の頃の彼女を思い出した
「君こそ変わってないね」
学校で僕を見つけては駆け寄ってきて
今のように早口で話してきた彼女
僕はいつも彼女の勢いに圧倒されて
そのペースに引き込まれていたっけ
54 :
自己:2012/12/26(水) 03:12:50.16 ID:4eVua4GS0
「えー!何言ってんの!
変わったに決まってんじゃん!
それにしても偶然だねー!私きのう日本に戻ってきて
今日は出張でこっちに来たんだよ」
僕が彼女の最初の質問
>>53に答えると
彼女の顔から笑顔が消えた
「また体調悪くなったの?」
僕は嘘をついた
「いや、定期的な検査だよ」
僕の顔をじっと見る彼女
睨むような目で僕を見る彼女の口から出た言葉は
予測不能のものだった
へwwヘ
≧◇≦)<さて死ぬか
56 :
自己:2012/12/26(水) 03:14:17.37 ID:4eVua4GS0
「結婚しようよ」
57 :
自己:2012/12/26(水) 03:29:21.14 ID:4eVua4GS0
− 何故そうなる^^;?
>>55>>56 −
咄嗟に頭に浮かんだ言葉は
2ちゃんの固定ハイヤーがよく使っていたフレーズだった
彼ならこういう時
リアルでも”何故そうなる?”と答えるのだろうか
僕は彼女が冗談を言ってると思い
苦笑しながら答えた
「そういう冗談は受け付けません」
「違う違う本気だよ!本気本気
本気じゃないと言えないよ!」
彼女は間髪いれずに早口で言ったあと
急に何かを思い出したのか「あっ!」と叫び腕時計を見た
「やばい!遅れる遅れる!
今日はこれまで!もう行くね、ばいばいまたね!」
58 :
自己:2012/12/26(水) 03:42:31.81 ID:4eVua4GS0
改札に向かい走り出す彼女の後ろ姿を見送りながら
僕はただ笑うしかなかった
− 彼女特有の冗談だろう −
彼女はいつも明るく笑顔を絶やさない人だった
行動力があり有言実行で、彼女の辞書には
”いつか〜する”という言葉がないように思える
また興味深いものを探してきては
>>49>>52 みんなに教えてくれたものだ
その語学力を発揮できる企業に就職して
その後、海外勤務となり
彼女の卒業後、彼女と僕の関係は
グリーティングを出すくらいの少し希薄なものになっていた
− 帰国祝いの飲み会を開こう −
59 :
高橋裕之:2012/12/26(水) 04:01:55.96 ID:rdD302bSO
僕は創価学会横須賀総県平和県横須賀圏横須賀桜山支部男子部の高橋裕之です!
目標は女子部と結婚すると年末ジャンボで6億円当てる!ことです!
あと家を持つことです!
全国の同志の皆様方題目を送って下さいよろしくお願いします
この前なんて1000万円当てること出来ました
これも全て学会と池田先生のおかげです♪
60 :
自己:2012/12/26(水) 20:07:44.85 ID:4eVua4GS0
新幹線の駅の改札を出て
地下鉄の駅に向かい歩いていると
何かのお店に行列ができているのが見えた
通りすがりに見ると、そこはパン屋さんで
焼きたての香ばしい匂いが漂ってきた
− パン屋さんか…パン屋さんを見ると
時々夢さんを思い出すな… −
夢さん
眠れず彷徨うスレの住人が眠りにつくよう
祈っていた固定さん
住人が眠りにつくまで話し相手になったり
眠りを誘う方法を教えてくれていたっけ
彼女もまた2ちゃんから消えた大切な人を探し
彷徨う旅人だった
夢さんが僕に遺していった言葉を思い出す
− あなたがそばにいてほしい人は誰ですか? −
61 :
自己:2012/12/26(水) 20:22:54.87 ID:4eVua4GS0
ふと
また誰かに呼ばれたような気がして振り向いた
が、そこに知ってる顔はなく
見知らぬ人達が歩いてるだけだった
− こんなに人がいるのに知っている人がいない −
僕は地下鉄の切符を買い
改札を通った
− 幸せに包まれていたり
悲しみを背負っていたり、様々だろう −
ホームに降りて電車を待つ
− でも知り合いじゃないこの人達の心の中は
僕には見えない −
ホームに電車がきた
− 出会いを大切にしよう
僕に心を開いてくれる人達だけじゃなく
関わる人達みんなを大切にしよう −
僕は電車に乗り
端の方に空いている席をみつけて座った
62 :
自己:2012/12/27(木) 21:08:28.09 ID:T6gNe2TO0
そのままどこも寄らずに帰るつもりだったが
ロフトに欲しいものがあったことを思い出した
体調はよくなかったが
先程よりかは楽になってるように感じたので
途中で降りてロフトに行くことにした
63 :
自己:2012/12/27(木) 21:16:00.60 ID:T6gNe2TO0
地下鉄の改札を出て
地上に上がりロフトに向かって歩いて行く
ロフトで他にも買うものがあったか…と考えながら
横断歩道を渡っていた
後ろから来る人達が小走りで僕を追い抜いていく
信号機を見ると青信号が点滅して
赤信号に変わることを知らせていた
僕はそこで失敗したんだ
つい走ってしまったんだ
この程度のことで、どうにかなるなんて
思ってなかったんだ
64 :
自己:2012/12/27(木) 21:23:47.78 ID:T6gNe2TO0
− 胸が痛い −
しまった…と思った時には遅かった
胸の痛み、息苦しさに耐えつつ何とか横断歩道を渡りきった
すぐ近くのお店の壁に寄り掛かり
胸元を押さえ、激しくなる息を落ち着けて
呼吸を整えようとしたけど治まらず
自分の動悸が周りにも聞こえるんじゃないか
と思うくらい息が乱れた
− 落ち着け、落ち着け −
頭の中で自分に言い聞かせたが
体は言うことを聞かず
地面に両膝をつき、そのまま座り込んでしまった
65 :
自己:2012/12/27(木) 21:32:23.99 ID:T6gNe2TO0
僕の視線の先には
捨てられたタバコの吸い殻があった
「どうされました?!救急車を呼びましょうか??」
意識ははっきりしていた
僕は目を閉じて動悸が落ち着くことを願いながら
周りの人に「すみません、すみません」と呟いていた
救急車が到着して
僕がいた場所から救急車まで担架で運ばれ
僕は救急車の中の可動式ベッド?に
1・2・3の掛け声と共に移動させられた
てす
67 :
自己:2012/12/27(木) 21:38:40.79 ID:T6gNe2TO0
心電図のコード?をつけられたり
血圧をはかられたりしながらお決まりの質問を受ける
僕はその質問に答えたあと
自分の病歴と通院している病院名を告げた
受け入れてくれる病院が見つかり
サイレンを鳴らし動き出す救急車
今まで何度乗っただろう
もう
乗りたくない
68 :
自己:2012/12/27(木) 21:48:24.19 ID:T6gNe2TO0
どのくらい走ったのか分からない
病院についた頃には動機はかなり治まり
気持ちも落ち着いていた
看護婦さんや医師がベッドに横たわっている僕を見下ろし
救急隊員からの説明を聞いている
説明を終えると救急隊員は帰り
医師は僕にいくつかの質問をしたあと
看護婦さんに検査の指示を出していた
僕は病院の白い天井を見ながら
頭の中でこだまする”もう嫌だ”という言葉を
打ち消そうと戦っていた
なんだこのまきひとの出来損ないみたいなやつは
70 :
自己:2012/12/27(木) 21:56:50.70 ID:T6gNe2TO0
検査を終えて
車椅子に乗り、すぐ近くの部屋に移動させられて
またベッドに寝かされて点滴をうたれる
点滴が管をつたう一定のリズム
ポタッ
ポタッ
ポタッ
− 気がどうにかなりそうだ −
目を閉じると
そのまま漆黒の渦にのみ込まれるような気がして
僕は目を開けて天井を見ていた
71 :
自己:2012/12/27(木) 22:00:58.97 ID:T6gNe2TO0
”死にたくない”
倒れた時に浮かんだ言葉
普段はいつ死んでもいいと思っていたけど
心の奥底では死にたくない
と思っていたということなんだろう
そういえば2ちゃんの固定ハイヤーも言ってたっけ
− 「死にたい」は「生きたい」の裏返しだ −
72 :
自己:2012/12/27(木) 22:10:09.29 ID:T6gNe2TO0
気持ちの高ぶりを感じる
また落ち着かない気持ちになってきた
体の上に大きな石を乗せられているかのような
疲労感があったが
無性にメールを打ちたくなった
”帰国祝いの飲み会のことを皆に言おう”
携帯は鞄の中
その鞄はベッドの横の長椅子の上に看護婦さんが
置いてくれていた
寝たまま片手を伸ばすが届かない
点滴が長椅子とはベッドを挟んで反対側に置いてあるため
動くことが難しい
73 :
自己:2012/12/27(木) 22:22:33.43 ID:T6gNe2TO0
「後にしよう」
鞄を取るのは諦めて
後で送るメールの内容でも考えていよう
何か考えていないと
気持ちがどんどん落ち込んでいきそうだ
− メールといえば、あの時
ある固定さんにメールを送ったっけ…確か
”人間いつどうなるか分からないから
行きたい場所があったら行っておいたほうがいいし
観たい映画があったら早く観といたほうがいいし
思ってることがあるなら
できるだけ早くやっておいたほうがいいよ”
こんな内容のメールだった
僕の状況を知らないあの固定さんからすれば
急にどうしたんだろう
と、不思議に思う内容だったと反省している
74 :
自己:2012/12/27(木) 22:26:38.22 ID:T6gNe2TO0
点滴をしていないほうの手を首筋にあてる
ドクン
ドクン
手を通して伝わってくる脈
− 半歩ずつでもいい
生きているんだ、進んでいこう −
75 :
自己:2012/12/27(木) 22:32:12.26 ID:T6gNe2TO0
「検査の結果が出ましたよ」
医師が部屋に入ってきてベッドの横に立ち
僕を見下ろした
検査につぃての結果、そこからみえる問題を
説明する医師
「治療につては通院されている病院の医師と
相談して下さい」
カテーテルの文字が頭をよぎる
76 :
自己:2012/12/27(木) 22:37:48.23 ID:T6gNe2TO0
説明を終えて
医師が部屋から出ていくと
説明のあいだ医師の後ろにいた看護婦さんが
ベッドの横にきて点滴を外してくれた
体について注意する点、会計をする場所についてなど
流れるような口調の看護婦さんの説明が終わるのを待ち
僕は看護婦さんにたずねた
「ここは何処ですか?」
77 :
自己:2012/12/27(木) 22:46:18.80 ID:T6gNe2TO0
救急車の中で
救急隊員が病院名を教えてくれたような気がするが
覚えてなかった
「△△病院です、場所は……」
看護婦さんの説明を聞いても
知らない場所だったけれど、最寄の駅と沿線を聞いて
自分の居る場所が何となく分かった
78 :
土岐明智光秀:2012/12/28(金) 18:53:32.48 ID:???0
かあちゃん俺俺
79 :
自己:2012/12/29(土) 09:28:04.20 ID:+ePGErlc0
しかれば当流に万能一徳の一句あり、と
初心忘るべからず
この句、三ヶ条の口伝あり
是非とも初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず
この三、よく口伝すべし
80 :
自己:2012/12/29(土) 09:33:57.70 ID:+ePGErlc0
しばらく休んだあと
少しずつ体を起こしてゆっくりと立ち上がる
だるさはあるけど胸の痛みは
あまり感じなくなっていた
会計の窓口へ行き、救急で来たことを説明すると
会計の人は手際よく手続きを済ませてくれた
サイフを鞄になおして
かわりに携帯を取り出す
受信と着信を知らせる点滅
− 誰からだろう −
81 :
自己:2012/12/29(土) 09:40:57.10 ID:+ePGErlc0
メールは五通
そのうち三通は親からで帰宅の遅さを心配する
内容だった
そして一通は元カノで
僕が送った今日のお礼メールへの返信だった
五通目は友達からで
ちょうど僕が帰国祝いの飲み会についてのメールを
送ろうと思っていた友達の1人だった
着信もその友達からだった
僕は携帯使用可のエリアに行き
椅子に座りメールを打った
82 :
自己:2012/12/29(土) 09:47:05.00 ID:+ePGErlc0
一番目に
親に自分の状況を説明するメールを送った
と、すぐに親から電話が掛かってきた
迎えに行くという親にタクシーで帰ることを伝え
病院内であることを理由に電話を切った
二番目に
元カノに返信しようとしたが
心配をかけないように元気なふりをする力が今はない
それどころか
弱音を書いてしまいそうな気がしたので
返信は後にすることにした
83 :
自己:2012/12/29(土) 09:55:19.75 ID:+ePGErlc0
僕は
椅子から立ち上がり病院を出た
入り口を出てすぐ前にタクシー乗り場があったが
乗り場には行かないで
入り口の横にある花壇の前まで歩いた
メールでもよかったけど
電話まで掛けてきたことから
急用である可能性を考えて友達に電話した
電話に出た友達の口調は強いものだった
「…お前、いま何処にいるんだ?」
84 :
自己:2012/12/29(土) 10:03:21.41 ID:+ePGErlc0
「病院」
病院に運ばれるまでの経緯を簡単に説明すると
「なんて病院だ?
ロフトの辺りから救急で行く病院だろ?
俺んとこから、そんな離れてないんじゃね?」
看護婦さんから聞いた病院名を言いながら
振り返り、病院の入り口の上に書いてある
病院名を確認する
「…そうだな、10分
いや15分くらいで着くから病院の中で待ってろ」
僕が返事をする前に電話は切れた
85 :
はじめまして名無しさん:2012/12/29(土) 10:06:11.21 ID:q7OarVtN0
まきひとよかったじゃん^^
見なかったことにしなきゃいけないスレタイで75点以上のカキコミを「勝手に」続けてくれてる人がいて^^^^^^^^
このスレも、
みんな見てるに決まってるから、これが
「(お互い見なかったことにしましょうね)」の暗黙の了解ってことね^^
本当気味悪いねこの板^^^^本当気味悪いね^^^^
86 :
自己:2012/12/29(土) 10:10:15.35 ID:+ePGErlc0
病院の中に戻り
入り口近くの椅子に座り、友達を待つことにした
入り口から見える病院の外の景色を見ていると
初老の女の人と、女の人より年下らしき男の人が
入ってくるのが見えた
…親子?夫婦?友達?
僕の前を通り過ぎる二人
綺麗な顔をしていた
87 :
自己:2012/12/29(土) 10:20:27.33 ID:+ePGErlc0
− 小百合さんとシャルルさんを思い出す −
シャルルさんが自己板に自スレを持っていたとき
その読み応えのある内容に興味を持ち
よくスレを開いていたっけ
時々シャルルさんのスレにくる
小百合さんとシャルルさんの会話が楽しくて
また二人の繋がりの深さを感じ、温かい気持ちになっていた
もう僕のことなんて
二人の記憶の中に存在しないだろう…
88 :
自己:2012/12/31(月) 11:06:26.19 ID:???0
廊下をゆく二人の後ろ姿を見ながら
小百合さんと話した最後の言葉を思い出していた
”あなたが名無しになっても私には分かるわよ、元気でな!”
そういえばよく
『その腑抜けたレスは何やの?□点!』
>>85 って小百合さんに言われたっけ
89 :
自己:2012/12/31(月) 11:12:26.72 ID:Nw6CcYCG0
携帯に着信を知らせる点滅
僕は立ち上がって病院の外に出た
見覚えのある黒い車が停まっている
車に近付いていくと
僕に気付いた友達が車から降りてきた
「体調はどうだ?乗れるか?」
僕が頷くのを見ると
友達は僕のために助手席のドアを開けてくれた
「ありがとう」
90 :
自己:2012/12/31(月) 11:18:28.41 ID:Nw6CcYCG0
友達は車の乗るとタバコをくわえて
「いけね」
と言い、タバコをケースに戻そうとした
僕は友達の気遣いを申し訳なく思った
「窓を開けて吸ってくれるなら平気だよ」
友達は僕を見て笑いながら
「いや、最近吸い過ぎで喉痛えからやめとくわ」
そう言うとタバコをケースの中に戻した
僕は友達のタバコを見て
何か引っ掛かるものを感じていた
91 :
自己:2012/12/31(月) 11:26:42.14 ID:Nw6CcYCG0
「お前を乗せんの久しぶりだな」
車を病院から出して国道を走る
言われてみると友達の車に乗るのは久しぶりだった
少し強引な運転は変わっていない
「学生の時は一緒によく走りに行ったよね」
「あぁ、お前は人の車なのに無茶な走り方してたよなw」
「他の友達の車だったら
あんな無茶はしないよ……あのさ」
「なんだ?」
「あの子は元気にしてるかな?」
僕の言葉に友達の表情は真面目なものになった
「あぁ、元気だ」
92 :
自己:2012/12/31(月) 11:33:06.66 ID:Nw6CcYCG0
”あの子”とは
友達の恋人で僕の友人でもある
同じ学校で同じ学年、同じクラス
通学に使う沿線も同じだった
友達の恋人とは自然に仲良くなり
学校の帰りに寄り道をしてよく遊んだ
僕の紹介で二人は出会い付き合うことになった
あることがあり一度別れたが
また復縁して、近い将来結婚することが決まっている
「そっか…」
93 :
自己:2012/12/31(月) 11:40:54.59 ID:Nw6CcYCG0
あること
>>92 友達の恋人が他の男と揉めた
友達と僕はその男に会いに行った
友達と男の話し合い
その一部始終を僕は見ていた
止めるでもなく加勢するでもなく
ただ静かに見ていた
何も言わず
ポケットに手を入れたまま
− 友達は、すぴろーという固定みたいだな
どちらも戦闘民族だ −
94 :
自己:2012/12/31(月) 11:47:49.89 ID:Nw6CcYCG0
その後、二人は別れた
だけど一年も経たないうちに二人は
また付き合うことになった
友達の恋人は罪の意識から最初は躊躇していたようだけど
友達のほうが強く願って復縁に至ったらしい
あのこと以来
僕と友達の恋人は縁遠くなっていった
95 :
自己:2012/12/31(月) 11:53:57.93 ID:Nw6CcYCG0
「結婚式が楽しみだよ」
「いや、聞いてくれよ
女って結婚が決まると変わるぜ?w」
友達は苦笑しながら
恋人が買ってくる結婚情報誌やネットの口コミ
衣装や結婚指輪選び…
恋人の結婚に向ける意欲におされてる
という話をしてきた
参った…と言いながらも
嬉しそうな友達の横顔に僕はホッとした
96 :
自己:2012/12/31(月) 11:59:03.72 ID:Nw6CcYCG0
車の外の
景色が見慣れたものになってきた
僕は友達に
>>53彼女が帰国したこと
その帰国祝いを開こうと思っていることを話した
二人で相談した結果
日時は彼女の都合を聞いてから決めることにして
場所は友達が探してくれることになった
97 :
自己:2012/12/31(月) 12:06:52.13 ID:Nw6CcYCG0
「まだお前のこと好きだったりしてなw」
茶化すように言う友達に、僕は笑いながら否定した
「それはないよ、ずっと会ってなかったんだしね」
彼女の言葉
>>56が頭を過ぎったけど
やはり、あり得ない事だと笑った
「着いたぞ」
僕の家の前に車を停めると友達は
また真面目な顔をした
「あんま無理すんなよ」
98 :
自己:2012/12/31(月) 12:13:42.98 ID:Nw6CcYCG0
僕も真面目な表情で答えた
「ありがとう、助かったよ」
「じゃあ帰国祝いをする日が決まったら連絡してくれ」
「うん
あ、そうだ…路肩走るなよ」
友達は小さく笑った
僕は車から降りてドアを閉めた
少しかがんで車の窓から中にいる友達に手を振った
友達は軽く手をあげてから車を出した
僕は車を見送りながら呟いた
「ありがとう」
99 :
自己:2012/12/31(月) 12:20:10.07 ID:Nw6CcYCG0
車が見えなくなるまで見送ってから
家の玄関のドアを開けると
奥から母親が急いで出てきた
心配そうな表情だったが
平気そうな僕の様子をみて安心したのか
「もう!ロフトに行くならロフトの近くの×××で
買ってきて欲しいものあったのに〜!」
と母親は笑顔になった
いつもこんな調子で明るく
何を言っても許されるタイプの人だ
100 :
100:2012/12/31(月) 13:15:35.89 ID:???O
10000000000000000000
101 :
自己:2013/01/02(水) 09:11:47.84 ID:yti1t83h0
「また今度買ってくるよ」
靴を脱ぎながら答える僕
その背中を母親がさすってきた
「気をつけてよね」
母親に背中を向けている僕には
母親の表情は見えない
「うん」
僕は振り返って母親の顔を見ることができなかった
意味もなく靴紐をさわっていると
奥からペットである二匹のテリアが走ってきた
僕の周りをくるくると回ったり
体を伸ばして僕の顔や手を舐めてくる
「変な匂いがするw」
102 :
自己:2013/01/02(水) 09:17:38.87 ID:yti1t83h0
よく見るとテリアの口の周りの毛に
何か付いていた
「いま皆でスルメを食べてたとこなの」
母親の言葉に僕は振り返り、母親の顔を見た
母親は笑顔だったが目は潤んでいた
この顔を僕はずっと忘れることはないだろう
僕は目頭があつくなるのを感じて
それを母親に悟られないように
母親からテリアに目線をもどした
103 :
自己:2013/01/02(水) 09:23:34.13 ID:yti1t83h0
ニヤー
「…ニヤー?」
猫の鳴き声に僕は顔をあげて
鳴き声の聞こえてきたほうを見ると
奥のドアから猫が少しだけ顔を出して僕たちを見ていた
「え?猫?」
驚く僕に母親は得意気に言った
「拾っちゃったw
動物病院に連れていったら先生に”いい猫ですね”
って言われたよw」
104 :
自己:2013/01/02(水) 09:25:05.72 ID:yti1t83h0
ちなみにこの日から一年と少し後の今
猫は三匹に増えている
105 :
自己:2013/01/02(水) 09:32:16.34 ID:yti1t83h0
自分の部屋に行きルームウェアーに着替える
ふと右手を見ると
肘の内側から手首にかけて内出血していた
− 造影剤をいれた場所だな −
普通より細いらしい僕の血管は
針を挿しにくい厄介なものらしく
一回で血管に上手く針がはいることなんて滅多にない
− 服で隠そう −
僕はTシャツの上から
長袖のパーカーを羽織った
106 :
自己:2013/01/02(水) 09:46:29.29 ID:yti1t83h0
元カノに返信するため
>>82 鞄の中から携帯を取り出すとメールが一通届いていた
家に着いた、という報告
それから都合のいい時間に電話を掛けて欲しい
という内容だった
− なんだろ…
元カノとの電話はいつも長くなる
先に
>>96彼女に帰国祝いの日にちについての
メールを送っておこう −
107 :
自己:2013/01/02(水) 09:49:59.58 ID:yti1t83h0
”今日は久しぶりに会えて嬉しかったよ
こっちには、いつまでいるのかな?
帰国祝いの飲み会を考えてるんだ
また皆で集まろうよ
都合のいい日時を教えてほしい ”
108 :
自己:2013/01/02(水) 09:55:23.34 ID:yti1t83h0
メールが送信されたことを確認すると
携帯を充電器に置いた
それから脱いだズボンのポケットから
>>93 あるものを取り出して
ベッドのマットと敷き布団の間に押し込んだ
「ご飯よ〜!」
ダイニングから聞こえてくる母親の声
僕は自分の部屋から出た
109 :
自己:2013/01/04(金) 14:38:50.72 ID:SkYLnm8i0
食事が終わり
いつもは後片付けをしてからリビングへ行って
家族で談笑をするけど
元カノへ電話をするために、すぐに自分の部屋へ戻った
充電器から携帯を取ると
彼女からメールの返信が届いていた
>>106 まず彼女の都合のいい日時を友達に
>>96メールした
暫く待つと友達から
すぐに場所を押さえるという返信がきた
僕は彼女に日時が決定した
という内容のメールを送った
すると
♪♪♪♪♪♪♪
110 :
自己:2013/01/04(金) 14:49:14.46 ID:SkYLnm8i0
携帯の着信音が部屋に響いた
「はい」
「もしもし、今ね会社の人と飲んでるんだけど
ちょっと抜けて化粧室に来てるのw」
>>53>>106彼女からの電話だった
電話の向こうから音楽が聞こえてくる
彼女はいつもの早口で
でも声はいつもより小さく抑えた声で続けた
「今日は遅くなるから帰ってからだと明日になるから
今、電話しなきゃって思ったの
私ね賭けてたの、もし今日こっちに来た時に
○○君からメールか電話がきたら言おうと思ってたの
まさか会うなんて思ってなかったよ!
あのね、私と付き合って下さい
結婚を前提に私と私と付き合って下さい」
111 :
自己:2013/01/04(金) 14:53:18.50 ID:SkYLnm8i0
その時
”強引なこじつけだな”と思ったのと
”何かあったのかな”と思ったことを覚えている
だけど彼女がいう”偶然の賭け”がなければ
>>41 もしかすると
元カノのあの言葉はなかったかも知れないし
今の僕はないのかも知れない
ように思う
112 :
自己:2013/01/04(金) 15:00:47.04 ID:SkYLnm8i0
僕は
声色が変わらないように慎重に話した
「僕から連絡がなかったら
付き合うつもりはなかったの?」
「あったよw
だって○○君ほど話の合う人はいないし
楽しい人はいないもん
今まで他にいいなって思う人はいたけど
○○君のことをずっと忘れられなかったし」
一気に話す彼女の言葉を聞きながら
彼女は僕のことを美化している
と感じた
− 会ってなかった時間が
僕のことを綺麗な思い出に変えてしまったんだ −
113 :
はじめまして名無しさん:2013/01/04(金) 15:03:10.37 ID:FhVPlOI70
開くのが強制とか、開いてないフリが強制とか、
確かにすげえよな
114 :
自己:2013/01/04(金) 15:09:05.20 ID:SkYLnm8i0
「あのさ…」
「そろそろ行かなきゃ!返事はまだいいから
考えておいて!
もし付き合うことになっても私、青年海外協力隊に
行くつもりだし
あっ!すぐじゃなくて、まだ先だけど!
じゃあ行くね!考えておいてね!ばいばい」
僕の言葉を待たず
また彼女は一気に早口で話すと電話を切った
僕は携帯を耳から離すと
「はぁ……」と溜め息をついた
− 青年海外協力隊ってなんだろう
もしかして僕も行けってことだろうか −
115 :
自己:2013/01/04(金) 15:20:29.75 ID:SkYLnm8i0
「はぁ…」
また僕は溜め息をついた
以前から”あなたとは話が合う””話しやすい”
という言葉を人から言われる
でもそれは
僕が聞き役にまわり、話している相手が気持ちよく
話ができるよう
気をつけているからかも知れない
相手の話を興味を持って聞いているとき
ばかりではない
苦痛を感じながら聞いているときもある
聞いてあげてる、とは思わない
けれど聞くことに苦痛を感じる相手にも
苦痛を感じてることを悟られないように気をつけてるから
”話が合う””話しやすい”
と言われるんだろう
僕は結局のところ偽善者
ということなんだ
116 :
自己:2013/01/04(金) 15:26:51.99 ID:SkYLnm8i0
「うーーーーーーーん」
僕はソファーの背もたれにもたれて天井を見た
しばらく何も考えられず思考停止の状態が続いた
と
「そうだった、元カノに電話しないと」
僕は姿勢を正して元カノに電話を掛ける
が、出ない
僕はまたソファーの背もたれにもたれて天井を見た
すると
♪♪♪♪♪♪♪
元カノから電話が掛かってきた
117 :
自己:2013/01/05(土) 10:53:50.80 ID:2TkkrKtA0
「こんばんは
いま用事をしてたの」
「ごめん、また後でかけ直すよ」
「用事しながら電話するから平気よ
スピーカーに切り替える」
元カノが携帯に何かをしているような
音が聞こえる
「私の声、聞こえる?」
元カノの問い掛けに僕は携帯を少しだけ
耳から離した
機種の問題だろうか
スピーカーで話すと自分の声が二重に
聞こえることに未だなれない
「聞こえるよ」
118 :
自己:2013/01/05(土) 10:57:06.80 ID:2TkkrKtA0
携帯の向こうから
元カノの優しい声が聞こえる
「用事をする間ごめんね」
僕は改めて今日のお礼を言った
「今日はありがとう、嬉しかったよ
遠いところごめんね」
元カノからの返事はなく
代わりにガタガタという音が聞こえてきた
119 :
自己:2013/01/05(土) 11:07:33.10 ID:2TkkrKtA0
少し待っていると
「あー、終わった」と元カノの声がした
携帯の通話をスピーカーから通常に戻したようで
声がハッキリ聞こえる
「体調どう?」
元カノに体調を聞かれたが
僕は救急で病院へ運ばれたことは
言わないでおこう
と決めていたから平気そうに答えた
「大丈夫だよ、心配してくれてありがとうね
それから、来てくれてありがとう」
元カノの口調が明るいものになった
「今日は朝早く家を出て
△△△(観光地)に行ったんだよw
病院にはその後行ったんだよ」
「へえ、△△△へ行ったんだ、見応えあった?」
僕の質問に元カノは△△△について
詳しく説明してくれた
元カノはいつもそうだ
僕の疑問を何でも解消してくれる
生きた辞書のような人だ
120 :
自己:2013/01/05(土) 11:13:41.32 ID:2TkkrKtA0
付き合ってる時はもちろん
別れてからも
人間関係や仕事のこと、毎日のとりとめのない話
そして未来の展望
僕たちはほぼ毎日、電話かメールをして
連絡を絶やさない
付き合っていた時と違うことは一つだけ
会わない、ということ
元カノは何度か仕事で僕の住む土地に
来ることがあり
その時、会う約束をしたこともあるけど
会う直前に僕が体調を崩して会えなかった
121 :
自己:2013/01/05(土) 11:22:42.69 ID:2TkkrKtA0
「僕に何か
話があったんじゃなかったかな?」
元カノの△△△についての話を聞いたあと
僕は尋ねた
少しの沈黙のあと元カノは答えた
「…え?何もないよ」
「は?」
「いや、ほんと特に何も」
僕は元カノの否定を咄嗟に”嘘だ”と感じた
”必ず何かある”と
僕が黙っていると
元カノはまた△△△について語りだし
そのあと
僕が検査の時に沸いた恐怖心
等の話を聞いてくれた
いま思えば
とても長く耳を傾けてくれていた
ように思う
122 :
自己:2013/01/05(土) 11:28:43.87 ID:2TkkrKtA0
検査の話を終えたあと
僕は新幹線の駅で元カノと別れたあと
懐かしい友達にあった
という話をした
偶然の再会
帰国祝いの飲み会
そしてプロポーズ
「その彼女、なんか胡散臭さを感じる」
元カノの口調が強く厳しいものになった
「だって考えてもみなよ
久しぶりに会った人間にプロポーズするなんて
変でしょ?違う?
ずっとあなたのことが好きだったなんて
嘘に決まってるでしょ」
123 :
自己:2013/01/05(土) 11:35:46.44 ID:2TkkrKtA0
「え?そうかな」
僕のあやふやな返事に
元カノの口調は更に厳しいものになった
「私の言ってること何か間違ってるかな?
その人、あなたのこと軽く見過ぎだよ
だいたい青年海外協力隊なんて
あなたの体じゃ無理でしょ?違う?」
「…青年海外協力隊は誘われたわけじゃないよ」
「誘われたんじゃなくても
あなたみたいな体の弱い人を置いて
行こうとしていることは事実でしょ?違う?」
「う…ん
でもまだちゃんと話してないから
よく分からないんだけどね」
124 :
自己:2013/01/05(土) 11:44:41.42 ID:2TkkrKtA0
僕の言葉に
元カノは溜め息をつきながら言った
「あなたは、すぐに他人を信じ過ぎるよ
それは長所でもあるけど、短所でもあるのよ
他人なんてすぐに信じちゃ駄目よ」
僕は話題が逸れつつあることに
少しホッとしていた
「信用していい人間とそうじゃない人間を
見極めるの難しそうだw」
元カノの口調が柔らかいものに変わる
「そうだよ、難しいよ
これからも何かあったら私に言うのよ?
分かった?」
「うん、分かった」
「ちゃんと断るんだよ?」
「…うん、分かった…」
125 :
自己:2013/01/05(土) 11:51:00.69 ID:2TkkrKtA0
いつも
僕を心配してくれる元カノ
出会った時からそうだった
別れた今でも僕を心配して助言をくれる
何年付き合ったんだっけ…
遠距離で頻繁に会える関係ではなかった
けれど
一日何度も何度もメールを往復させて
一日二回は電話を必ずしていた
ずっと心配していた元カノ
朝に昼に夜に
僕が何処にいるか
何をしているか
誰といるのか
ずっと心配してくれていた
126 :
自己:2013/01/05(土) 11:54:38.18 ID:2TkkrKtA0
「…○○?」
「…」
「聞いてる?」
「えっ?あぁ、うん、聞いてるよ」
「うそ、聞いてなかったでしょ?w」
「あー、聞いてなかったかも」
「疲れたんじゃない?」
「楽勝w大丈夫だよ」
その時
胸に痛みが走った
127 :
土岐明智光秀:2013/01/05(土) 19:26:13.39 ID:???0
そのとき勃起した
128 :
自己:2013/01/06(日) 12:10:26.33 ID:TzV72H6H0
「本当に?あのね…」
話を続ける元カノに僕の痛みを気付かせない
ようにしないといけない
「……何…かな?」
僕は精一杯の力で平静に聞こえるよう
声を出した
「あのね、あなたは私が見ていないと駄目なの
いい時期がきたら一緒に暮らそうよ
また違う仕事をそっちで探してもいいし
一緒になって色んな場所を観に行こうよ」
元カノは静かな声で優しく話す
”元カノに何か言わないと”という僕の思いは
胸の苦しみに消されていく
「○○?」
129 :
自己:2013/01/06(日) 12:12:16.28 ID:TzV72H6H0
元カノが僕を呼んでいる
「○○?」
− はやく…はやく何か言わないと −
「ごめん…寝てた」
130 :
はじめまして名無しさん:2013/01/06(日) 12:17:22.30 ID:WzyM1EBx0
まきひとがやる気なくしてるから、
「見なきゃいけないけど、【みんな】で見なかったことにしなきゃいけないスレ」があまり上がってこなくて寂しいよ><
自己さんがんばってくれ
131 :
自己:2013/01/06(日) 12:19:01.68 ID:TzV72H6H0
電話の向こうから聞こえる元カノの笑い声
それは小さなものだったけど
僕の痛みが元カノに伝わらなかったことを
意味している
「最近寝るの早いよねw
深夜まで2ちゃんしてた時があったなんて
信じられないw
今日は疲れたんだね、そろそろ寝よっか
おやすみ」
「おやすみ、今日はありがとう」
電話を切ると
持っていた携帯が急に重く感じて、そのまま
下に落としてしまった
手の中から滑り落ちた携帯は床にあたり
鈍い音をたてた
− 苦しい…助けて −
132 :
自己:2013/01/06(日) 12:22:54.17 ID:TzV72H6H0
鼓動が胸を突き破るんじゃないか
そう思えるくらい
大きく、痛く、辛く、怖く、不安で
”助けて、助けて、助けて、助けて、助けて
助けて、助けて、助けて、助けて、助けて
助けて、助けて助けて”
僕はあの人に助けを求める
133 :
自己:2013/01/06(日) 12:25:39.11 ID:TzV72H6H0
2ちゃんを初めて見た日
荒らしさん達と会った時
ハイヤーさんやまきひとや9さん
多くの固定さん、名無しさん達と出会った時
僕の心には何もなかった
134 :
自己:2013/01/06(日) 12:31:11.98 ID:TzV72H6H0
人の死を受け止めるにはその力はまだ小さすぎて
人の死の意味を知るにはその心はまだ幼すぎて
身近な人の死というものの大きさに
押し潰されるのに時間は掛からなかった
頭を机に打ちつけ
体を壁に打ちつけ
拳を握り締めて床を壁を机を叩き
上も下も前も後ろも真っ白で何もない空間
僕の心はそこから
出ることができなくなっていた
135 :
自己:2013/01/06(日) 12:37:13.13 ID:TzV72H6H0
「もしも
あの時〜〜していたら」
「もしも」…そんな仮定の話を考えるのは
無駄なことだ
と2ちゃんの固定ハイヤーはよく言っていた
だけど僕は一生
その「もしも」という言葉に囚われ
自責の沼から出ることはできない
僕はこれからも
後悔という泥にまみれて生きていく
− もしも僕が
あの深夜のバイトを辞めさせていたら −
136 :
自己:2013/01/06(日) 12:41:56.00 ID:TzV72H6H0
暫くすると
痛みがましになってきた
僕はベッドで休もうと思って
ソファから四つん這いの体勢でベッドに向かった
床に落ちた携帯を拾い
ベッドに行き寝転び、携帯を両手で握り締めて
目を閉じた
− この携帯から何もかも始まったんだ −
137 :
自己:2013/01/06(日) 12:47:34.49 ID:TzV72H6H0
働くようになって
人間関係と仕事の重圧につまずきそうになった時
僕は一度だけ
一度だけハイヤーさんを頼ったことがある
ハイヤーさんは
僕の言うことに対して何も聞かずに
僕が望んだ、そのとき何よりも欲しかった言葉を
言ってくれた
どうすればいいだろう
そう思った時に
僕はハイヤーさんから学んだことを
守っている
”冷静になれ、できる限り客観的に物事をみろ”
138 :
自己:2013/01/06(日) 12:54:39.75 ID:TzV72H6H0
「…とは言っても
どうすればいいんだろう」
>>56>>128 彼女のプロポーズがなければ
元カノからのプロポーズもなかっただろう
彼女からプロポーズされたことを
元カノに言わなければ
元カノからのプロポーズはなかったんじゃないか
あったとしても、ずっと先だったんじゃないか
偶然が偶然を呼んだのか
僕は彼女のこと、元カノのこと
そして自分の体のこと
この3つの問題をどう解けばいいのか
頭を悩ませていた
139 :
もんじゃ:2013/01/06(日) 12:58:04.21 ID:???O
いいですか?
ボクがこの、他の自己板民同様興味ありまくる自己紹介ってスレを、他の自己板民同様必死に開いてないフリをしているのは、
愛されないから悪いのです
まぁもちろん、愛されても必死に見てないフリをしますけどね!
140 :
自己:2013/01/06(日) 13:02:31.19 ID:TzV72H6H0
「それにしてもネットって凄いな」
僕は両手で握り締めていた携帯を
片手に持ち直して
その画面を見た
今は2ちゃんを見る時間は、以前に比べると
極端に少なくなった
仕事で奪われた体力がネットから僕を
遠ざけてしまった
だけど忘れたわけじゃない
出会った固定さん達、名無しさん達
僕に優しく、時に厳しく
楽しい時間をくれた人たち
忘れられるわけがない
真っ白だった僕の心に
色をつけてくれたのはこの人たち
と言っても過言ではないのだから
141 :
マフティ:2013/01/06(日) 13:07:43.79 ID:WzyM1EBx0
マフティだ
もちろんこのスレなんて、要開くのスレなので開いて、
他の人々も必死に見てないフリをしているので迎合して必死に見てないフリをする
「自分だけ」が必死じゃない安心感は、皆「必死に見て見ぬフリ」の感情の共有は筆舌に尽くし難い
142 :
はじめまして名無し三鳥:2013/01/06(日) 13:31:19.33 ID:WzyM1EBx0
いいですか
見てないフリをしてれば偉いんですよ
見てないフリをやめたら偉くないんですよ
誰が好き好んで偉い快適な立場を捨てますか?
143 :
自己:2013/01/10(木) 18:58:28.74 ID:YSTCD2ow0
携帯を枕元に置き
僕は寝転んだまま手を伸ばして
ベッドの隙間に入れたものを取り出した
>>108 納骨が終わったあと
放心状態の中、僕の手の中に置かれた形見
僕はその形見を梱包して鍵のついたケースにいれた
そして鍵をかけ
今も開けることができずにいる
手の中の鍵は
僕の罪
鍵を開ける
いつかそんな日がくるのだろうか
くるととすれば
僕が僕を辞める日だろう
144 :
自己:2013/01/10(木) 19:07:14.97 ID:YSTCD2ow0
鍵を元の場所に戻し
僕は枕元に置いた携帯を掴むとネットに
繋いだ
そしてブックマークの中から
お気に入りのスレを開く
スレ主は仕事なのか、まだ今日は
書き込みがない
”このスレ主も2ちゃん滞在時間が減っている…”
2011年、今よりかは2ちゃん訪問者数は多かった
かも知れないが
全盛期に比べると人は少なく
古参と言われる固定さん達も
>>141 一人また一人と知らない間に消えてしまった
145 :
自己:2013/01/10(木) 19:10:14.52 ID:YSTCD2ow0
何故か
この書き込みを見た瞬間
>>127 以前いた固定の大船さんを思い出した
枠におさまらない面白い書き込みをする
固定さんだった
大船さんもまた
消えてしまった有名固定の一人だ
146 :
自己:2013/01/10(木) 19:13:06.59 ID:YSTCD2ow0
僕が
初めて2ちゃんを知ったのは
今よりずっと人が多かった2006年の冬
その時より少し時間を前に戻した
ある日
僕の景色は
一人の人間の死によって真っ白な
ものになっていた
147 :
自己:2013/01/10(木) 19:19:36.39 ID:YSTCD2ow0
「……」
深夜に目が覚めた
”あぁ、何かあったな”
そう思った
いま思い出しても不思議だけど
何かよくないことが起こった…という直感
が、あった
片方の目から一筋の涙が落ちる
”何があったんだろう
どうして涙が出るんだろう”
目が冴えて眠れそうになかったから
本を読もうとしたが
内容が一切入ってこない
不安を感じながら迎えた朝が
僕の直感が正しかったことを教えてくれた
148 :
自己:2013/01/10(木) 19:28:24.24 ID:YSTCD2ow0
♪♪♪♪♪
電話が鳴った時にまた走る直感
”やっぱり何か…”
電話の近くにいたけど
体が硬直して電話に出ることが
できない
僕の横をすり抜け電話に出る母親
「はい…そうですが…
えぇ?……分かりました…伝えておきます」
ただならない口調に変わった母親の
様子を見て
僕の直感は確信に変わった
電話を切った母親が僕を見て呟いた
「……………」
母親の顔は強ばっていた
149 :
自己:2013/01/10(木) 19:30:16.85 ID:YSTCD2ow0
僕の
思考は真っ白になり
何も言えず何も聞けず泣くことも
できず
僕の目から色が消えていった
150 :
自己:2013/01/10(木) 19:39:04.69 ID:YSTCD2ow0
バイトの帰り道
深夜
時間は僕が昨夜目覚めた時間より
少し前だった
深夜のバイトが悪いとは思わない
だけど、あのバイトを始めてから◇◇は
変わった
数回だがバイト先に行ったことがある
けど、いい雰囲気とは言える場所ではなくて
◇◇によくない影響を与えているように感じた
151 :
土岐明智光秀:2013/01/10(木) 19:42:23.16 ID:???0
びろーん
152 :
自己:2013/01/10(木) 19:43:36.63 ID:YSTCD2ow0
僕は
何度かバイトを辞めるように言ったが
◇◇は聞く耳を持ってくれなかった
もしも僕が無理にでも辞めさせていれば
死なずにすんだ
もしも僕が辞めさせることを諦めなければ
死ななかったんじゃないか
153 :
自己:2013/01/10(木) 19:50:00.31 ID:YSTCD2ow0
…
…
「お前は何も悪くない」
「お前がそんなことを考える必要はない」
「今のお前を見たら◇◇が悲しむぞ」
「◇◇の為にも俺達は生きないといけない」
友達や親からの
たくさんの言葉が僕を通り過ぎていった
− 僕を励まそうとしてくれる
気持ちは嬉しい
だけど、なんと言われようと
僕は僕を責めることを止められないんだ −
154 :
自己:2013/01/10(木) 20:02:43.22 ID:YSTCD2ow0
慰めてくれたり
叱ってくれたり、悲しんでくれたり
会いに来てくれたり
僕を心配してくれる周りの人達の心に
いつまでも甘えてはいけない
だけど
僕は自分を責める気持ちは変わらない
だから僕は
自分の気持ちを悟られないよう振舞おう
それが僕を心配してくれる周りの人達の安堵に
繋がるのなら、それが一番だと
外見だけでは分かりにくいけど
みんな大なり小なり悩みを持っている
のだろう
でもそれを多くの人は周りの人達に
悟られないようにしているのかも知れない
他の人ができるんだ
僕だってできるはず
155 :
自己:2013/01/10(木) 20:10:10.31 ID:YSTCD2ow0
話は前後するけど
お葬式が終わり
その後、僕は何も食べることが
できないばかりか
水も飲めなくなっていた
目の前に並べられたご飯を見ても
それが何なのか、どうするものなのか
まったく
分からない状態だった
ご飯は親が見ていないとき
捨てた
そして数日後、僕は倒れた
貧血、力が入らない
操り人形の糸が切れたような
自分の力ではどうにもならない体
156 :
自己:2013/01/10(木) 20:16:23.99 ID:YSTCD2ow0
その時
僕の目から涙が流れ続けて
同時に過呼吸のような息苦しさに
苦しめられた
両親は驚き救急車を呼び
すぐに到着した救急車に乗せられ
病院に運ばれた
救急車の中で僕が考えていたことは
意外にも冷静だった
”何度も乗ってるけど走る救急車の窓から
外の景色を見たことないな”
”…心電図をつける時とか、服をハサミで
切られたらいやだな”
157 :
自己:2013/01/10(木) 20:19:50.45 ID:YSTCD2ow0
冷静?
その時、自分の状況を把握できずに
いたからこそ
そんなことを考えていたんじゃないだろうか
158 :
自己:2013/01/10(木) 20:29:23.98 ID:YSTCD2ow0
自分の状況を把握できずにいた
といえば
お葬式の日、僕が斎場に着いて受付で
名前を書いていると
◇◇の友人が僕に声を掛けてきた
その友人とは◇◇を通して知り合い
時々、◇◇・友人・僕で遊ぶ関係だった
その友人は僕を隅のほうに連れていくと
顔を歪めて
声を発することが苦行であるかのような
苦しげな声を出した
「俺…送辞をするんだけど
お前は何も言わなくていいから…俺と
一緒に祭壇の前に出て
俺の横に立っていてくれないか…?」
「分かった」
159 :
自己:2013/01/10(木) 20:37:42.82 ID:YSTCD2ow0
僕は即答したが
その時こそ、自分の状況を把握できて
いなかったんだ
僕は自分がずっと震えていることに
気付かなかった
震えてることに気付いたのは
斎場に行く前から行動を共にしていた
友達が僕の手を強く握ってくれたからだ
”友達が僕の手を握っている”
僕は僕の手を強く握る力を感じて
自分の手を見た
自分の手は隣りにいた友達に握られていて
その時になって初めて気付いた
自分が震えていることに
160 :
自己:2013/01/10(木) 20:42:47.77 ID:YSTCD2ow0
自分の状況を把握できず
送辞をする友人と一緒に祭壇の前に立つ
などという大役を即答してしまった
把握できない放心状態だったからこそ
頼まれたことを
無意識に引き受けてしまったんだろうか
「…いつから僕は震えていたんだろう」
僕の独り言に友達は静かに言った
「さあ…どうだったかな」
161 :
自己:2013/01/10(木) 20:52:15.38 ID:YSTCD2ow0
…
……
………
どのくらい時間が経ったんだろう
あの日のことを考えると
後悔と悲しみが加速して渦となって僕をのみこむ
携帯の画面に表示されてる時間を見ると
思ったより
時間は経ってはいなかった
その時
メールの受信を知らせる点滅
元カノが眠る前に必ず送ってくれる
メールだった
僕は元カノにメールを返信したあと
無意識に消していたのか?
いつの間にか閉じられていたネットに
再び繋いだ
162 :
自己:2013/01/10(木) 20:58:33.57 ID:YSTCD2ow0
− 助けて −
開いたスレのROMを始めると
浮かんでくる三文字
何を?何から?
何に言ってるんだ?
何がそう言わせるんだ?
− 助けて −
僕はこの言葉を頭から振り払い
ROMに意識を集中させた
”この固定さんのことを
僕は初め、怖かったんだよな”
163 :
自己:2013/01/10(木) 21:04:18.40 ID:YSTCD2ow0
この固定さんとの出会いは
2ちゃんだけでなく
僕のリアルの生活も変えていった
僕を特別扱いしない
感情をストレートにぶつけてくれる
そして、さりげなく優しい
当時(2006年)リアルに居心地の悪さを感じていた僕は
ネットの世界にのめり込んでいった
164 :
土岐明智光秀:2013/01/10(木) 21:10:10.97 ID:???0
おちんちんびろーん
165 :
自己:2013/01/10(木) 21:10:48.26 ID:YSTCD2ow0
と言っても
実際
僕が最初の固定をしていたのは数ヶ月
それも0に近い月
最初の固定を辞めてから、一時復活したり
違うハンネもしたけど
トータルすると、そんなに固定をしていた
期間は長くはない
だけど
その短い期間に僕は
かなりのことを経験したと思う
166 :
自己:2013/01/11(金) 21:21:39.53 ID:5B2udnta0
僕が
2ちゃんを初めて見たのは
パソコンで、ある言葉を調べようとして
その言葉を検索した時だった
検索で出てきた2ちゃんのスレ
2ちゃんの話は聞いたことはあったけど
興味はなく、また
したいとも思わなかった
だけど
そのスレを開いた時に見たスレの住人達の
軽快で面白く、ブラックな面も
持ち合わせた会話に引き込まれていった
167 :
自己:2013/01/11(金) 21:27:55.99 ID:5B2udnta0
初めての書き込み
何度かレスをしていると、スレの住人達は
名無しの僕を認識してくれるようになり
話を振ってくれたり
2ちゃんについて無知だった僕に
多くのことを教えてくれた
でもまだまだ2ちゃんは僕にとって
未知の領域で
そのスレから出ることはなく
住人達との会話を楽しんでいた
当時の僕は
2ちゃんがたくさんの板で構成
されていることも知らず
自分がマニアックな専門板にいることさえ
知らなかった
168 :
自己:2013/01/11(金) 21:35:10.22 ID:5B2udnta0
荒々しい言葉
丁寧でいて凶器を秘めた言葉
軽々しくも的を得た言葉
スレには色々なタイプの人がいた
ある一点を除けば大人しい僕には
今思えば場違いなスレだったと
思うけど
その住人達の”人を惹きつける力”が
僕をその場から放さず
最初にその人達に会わなければ
2ちゃんに魅力を
感じることはなかった、と断言できる
169 :
自己:2013/01/11(金) 21:41:11.07 ID:5B2udnta0
だけど
まだ僕の心に色はなく
そのスレの住人達から言われた言葉
その後に出会った固定さん達から
言われた言葉
名無しさん達から言われた言葉
初めは頭の中に記録としか
残らなかった言葉達が
ある日
僕の心に浸透して
言われた言葉の一つ一つが色を持ち
心の中に染み渡って
僕は色を取り戻した
170 :
自己:2013/01/11(金) 21:51:45.48 ID:5B2udnta0
僕が馴れ合い板を知ったのは
スレに貼られたURLを踏んで
飛んだ場所が
馴れ合い板だったことからだった
ほの板
穏やかなその板で
僕はオフというものを初めて知る
その後、すぐに夢板に誘導
僕は最初この夢板は夜にしか書いては
いけない場所だと
その板の名前から勝手に思っていた
何スレかROMをして
その中からお気に入りのスレを
見つけて常駐した
ある日の夜、そこにある固定さんが来た
他の住人さん達の様子から
判断すると招かれざる客にみえた
その固定さんこそ、ハイヤーさんだった
171 :
自己:2013/01/11(金) 22:00:34.06 ID:5B2udnta0
「あいつは荒らしみたいなもんだよ」
他の住人さん達の言う言葉を僕は
そのまま受け取り
”この固定さんは荒らしなんだ”
そう思っていた
だけど何か引っ掛かるものがある
ただ怖いだけじゃない、何か
でも話す機会がないし
どんな人か…その疑問が解けることは
ないだろう
こんなに住人さん達に煙たがられているんだ
このスレにはもう来ないだろう
だけど、次の日の夜
またハイヤーさんはスレに来た
172 :
はじめまして名無しさん:2013/01/11(金) 22:00:44.41 ID:ZixC1XA/0
173 :
自己:2013/01/13(日) 12:34:50.97 ID:/gqoehNy0
その時
スレには僕一人しかいなく
頃されるんじゃないか
という恐怖感があったことを覚えている
だけど僕は意を決して
ハイヤーさんにレスをつけた
畏怖の対象である人にレスをつけるなんて
狂気の沙汰だけど
昨夜のハイヤーさんに対する
引っ掛かる何かが
僕の背中を押したんだと思う
174 :
自己:2013/01/13(日) 12:40:12.44 ID:/gqoehNy0
極限の緊張下
僕はハイヤーさんに聞いた
”あなたは荒らしですか?”
ハイヤーさんにすれば
突然そんな言葉を投げつけられて
意味が分からなかったと思う
あらぬ疑いだと
怒ってもおかしくなかっただろう
だけどハイヤーさんは
普通に会話をしてくれた
”やっぱり怖い”
これが最初にレスを交わした印象
だった
だけど不思議とこんな気持ちが沸いてきた
”どんな人なんだろう”
175 :
自己:2013/01/13(日) 12:44:37.43 ID:/gqoehNy0
僕はまだ知らなかった
ハイヤーさんが自分のスレを持ってる
ということを
夢板の殆どの人が知っている有名な人
だということを
ハイヤーさんに興味を持ったとしても
何処へ行けば話せるのか
そんなことさえ考えつかず
ただ彼が自分の常駐するスレに来る
”次の機会”を待つしか
術がなかった
176 :
自己:2013/01/13(日) 12:49:47.43 ID:/gqoehNy0
− 瞬間湯沸かし器 −
当時のハイヤーさんは怒りの沸点が低く
気に入らないことがあると
相手が誰であろうと、すぐに
ぶち切れていた
ハイヤーさんに関する噂は
信憑性の低いもので溢れていたけど
この
瞬間湯沸かし器という噂は
ぴったりだったと思う
僕も何度も彼が誰かに切れてる
現場を見たし
僕自身も切れさせたことがある
177 :
自己:2013/01/13(日) 12:56:19.64 ID:/gqoehNy0
「また、お前か^^;」
ハイヤーさんとの”次の機会は”
>>175 すぐに訪れた
僕は緊張の高まりを抑えることができず
挙動不審なレス、間抜けなレス
ばかりしていたと思う
当時の僕は携帯から2ちゃんを
していて
ハイヤーさんへの恐怖心がレスの
遅さに拍車をかけていた
パソコンを使うハイヤーさんからすれば
僕のレスの遅さに
苛々したんじゃないかと思う
だけど時間にして3〜4時間
ハイヤーさんは僕のレスを丁寧に
拾ってくれて返レスをくれた
178 :
自己:2013/01/13(日) 12:59:52.44 ID:/gqoehNy0
2013年現在と違い
2006年の頃、ハイヤーさんの返レス率は
100%に近い数字だった
ハイヤーさんとの長時間に及んだ
会話は
僕にネットの楽しみと
そして
常駐していたスレの住人一人の
怒りを生み出した
179 :
自己:2013/01/13(日) 13:04:59.83 ID:/gqoehNy0
次の日から
ハイヤーさんと僕の追いかけっこが
始まった
当時、ハイヤーさんは多くのスレに
書き込んでいた
スレの流れに応じた気の利いた”一行レス”
を書いては、次のスレに移動して
また”一行レス”をする
気に入らないスレ主を見つけると
そこで立ち止まり
議論を吹っ掛ける
彼はそんな遊び方を夢板でしていた
180 :
自己:2013/01/13(日) 13:13:20.40 ID:/gqoehNy0
僕は
ハイヤーさんと同じようなことをした
スレ一覧の上から順番に
スレを開いてはレスをして、また次の
スレに移動してはレスをする
ということを繰り返していた
”開いたスレの全部に僕がいたら
驚くだろう”
その気持ちだけを原動力に
スレからスレに移動していた
今こうして、あの時の行動を
文字にすると
僕のほうが怖かったな、と
しかも凄く
僕を称してある固定さんが言った言葉
”愉快犯”
その片鱗がみえるかな、と
181 :
自己:2013/01/13(日) 13:20:39.89 ID:/gqoehNy0
ハイヤーさんとの
追いかけっこを何日か続けた後
僕は初めてハイヤーさんの自スレを
訪れた
当時
切なっちさんも来ていたと記憶している
僕は殆ど話す機会がなく
挨拶くらいしかしなかった
切なっちさんのことは詳しくないけど
まきひとが教えてくれた
切なっちさんの言葉が、彼女の人となり
を表しているんじゃないだろうか
「子供はね、ご飯と一緒に愛情も
食べているんだよ
だから他の家事は手を抜いても
ご飯だけは手を抜いちゃダメだと思う」
182 :
自己:2013/01/13(日) 13:25:55.79 ID:/gqoehNy0
(切なっちさんが実際言われた言葉と
僕の記憶の中の言葉にズレがあるかと
思いますが)
ハイヤーさんのスレは
固定の人数に比べて名無しの人数が
圧倒的に多かったと思う
固定では入りづらい
独特の空気があったかも知れない
実際、スレを訪れる固定の大半は
議論に強い人や個性のきつい人だった
あと口から生まれた感じの人
183 :
自己:2013/01/13(日) 13:31:01.18 ID:/gqoehNy0
その中で僕は
群を抜いて無個性で
唯一、他の固定さんより抜きん出ていたのは
膨大に自由な時間がある
ということだった
僕はハイヤーさんが2ちゃんに
居ない間、可能な限り他のスレの
ROMをしていた
その時に知り合い
仲良くしてくれたのが、はなさん
そして9さんだった
184 :
自己:2013/01/13(日) 13:33:58.10 ID:/gqoehNy0
この二人は
今は2ちゃんから消えて、会うことは
夢のまた夢だけど
もしも、もしも会える日がきたら
はなさんには感謝を
9さんには謝罪を
僕にそのチャンスを与えてください
185 :
自己:2013/01/13(日) 13:40:58.35 ID:/gqoehNy0
プロ固定
これもハイヤーさんに関する
噂の一つだった
それがどういうものか
僕には分からなかったけど
誰かの説明に
”運営が板を盛り上げる為に
雇ってる固定”
というものがあった
夢板の重鎮ハイハイさんや小百合さん
から
よくプロ固定疑惑について質問の
攻撃にあっていたハイヤーさん
僕もハイヤーさんはプロ固定
なんだと思ってました
186 :
自己:2013/01/13(日) 13:54:22.39 ID:/gqoehNy0
ハイヤーさんのスレには
いつもハイヤーさんに粘着気味の
女固定がいて
ハイヤーさんがその女固定を
口説いたり
また逆もあった
僕はいつもそんなハイヤーさんを
近くで見てきた
静と動、知と色
彼の知識の多さや機転の利いたレス
時折みせる優しさに惹かれていたけど
僕はネタっぽく自分の気持ちを
連呼するに止まった
当時、ハイヤーさんはキッドさんと
メールをしていて
僕はそのキッドさんとメールをしていた
キッドさんは「ハイヤーのアド教えようか?」
とスレで言ってくれたけど
僕は断った
もっと好きになるんじゃないか
それが怖くてアドを断ったんだと思う
187 :
自己:2013/01/13(日) 13:55:46.09 ID:/gqoehNy0
僕が
ハイヤーさんに対する自分の気持ちに
気付いたのは
ハイヤーさんに切れられた時だった
188 :
自己:2013/01/13(日) 14:01:26.11 ID:/gqoehNy0
完全なる
僕の不手際でハイヤーさんを怒らせて
しまって
スレから追い出されて1週間
僕は怖くて
ハイヤーさんのスレを開くことが
できなかった
だけど、どうしても
もう一度ハイヤーさんに話をしてもらいた
かった
僕は思い切って
それこそ清水の舞台から飛び降りるかのような
思いで、一週間ぶりにスレに書き込んだ
ハイヤーさんの怒りは消えてなく
僕にスレから出ていくようにと言った
189 :
自己:2013/01/13(日) 14:07:50.97 ID:/gqoehNy0
”もう駄目だ”
そう思ったとき僕は自分のダメージの
大きさに気付き
自分の感情に気付いた
あの時、僕を救ってくれた名無しがいた
ハイヤーさんに
僕を許すように言ってくれた名無しさん
もしかすると
あの名無しさんは僕の知っている固定さん
だったんじゃないか、と思うことがある
その名無しさんの言葉がきっかけとなり
ハイヤーさんは
僕を許してくれスレへの常駐を認めてくれた
190 :
自己:2013/01/13(日) 14:13:06.74 ID:/gqoehNy0
僕はその時思った
最初の気持ちを思い出して
>>180 これからはハイヤーさんに楽しんでもらえる
ような固定を目指そうと
それから
ハイヤーさん、小百合さんや、シャルルさん、ハイハイさん
愉快な仲間達のメンバー、名無しさんで
賑やかな夜を過ごす日が続いた
191 :
自己:2013/01/13(日) 14:18:04.85 ID:/gqoehNy0
そんなある日
ハイヤーさんのスレに自己板から二人の
訪問者が来た
イナエさんと魚さん
どのような話をしていたかは
その時の僕には分からなかった
分かったのはハイヤーさんに議論を吹っ掛ける
為に、ハイヤーさんのスレに乗り込んできた
ということだけ
その二人は
今まで見てきた夢板の住人さん達とは
タイプが違っていた
192 :
自己:2013/01/13(日) 14:24:46.26 ID:/gqoehNy0
”何をしに来たんだろう”
自己板からの訪問者達に疑問が浮かんだけど
三人の議論の中に僕が入れるわけもなく
その終演を待つしかなかった
後々分かったことだけど
ハイヤーさんスレのメンバーの1人である
まぞっちさんが、イナエさんと魚さんに
「夢板にハイヤーっていう凄い固定がいる」
と教えたことが、ことの始まりだったようだ
まぞっちさんはハイヤーさんを
夢板から自己板へと
活動の場を移してほしかったらしい
193 :
自己:2013/01/13(日) 14:28:51.58 ID:/gqoehNy0
ちょうど
夢板でトリップのない半コテであるハイヤーさんの
別人も出回り
「IDの出ない夢板での活動に限界を
感じてきた^^;」
というハイヤーさんの意思もあり
ハイヤーさんとその一派は夢板から自己板へと
移動する運びとなった
気持ち悪いスレ
つか日記なら日記帳にかけよ
195 :
自己:2013/01/13(日) 14:32:32.32 ID:/gqoehNy0
実際
ハイヤーさんは夢板で出来ることを
ほぼ、やりつくして惰性になりつつあったのかも
知れない
ハイヤーさんの話相手になる男固定は
当時の夢板には少なかったと思う
だから河岸を変えて新たな気持ちで
2ちゃんをしたかったんじゃないだろうか
196 :
自己:2013/01/13(日) 14:36:43.85 ID:/gqoehNy0
ハイヤーさんからは
抱えいれないくらいの多くの言葉をもらった
果たして僕は
ハイヤーさんがくれた言葉の意味を
分かっていただろうか
すべて分かっていた
とは言えないと思う
でもハイヤーさんの言葉の重みが
僕の殻を砕いた
感情を呼び覚ましてくれた人
2ちゃんでの僕を語る上で欠かせない人だ
つか真面目に夢板行けばいいと思うんだけど?
198 :
自己:2013/01/13(日) 14:43:47.06 ID:/gqoehNy0
…
…
これが自己板に来るまでの話
夢板で出会い
僕に多大なる影響を与えた固定ハイヤーさん
との話
大雑把にだけど流れを記憶しておきたく思い
ここに残した
自己板にきてからも色々とあり
新しい出会いや偶然見つけた同じ学校の人
ハイヤーさん一派の1人とのオフ
一派内で勃発した軋轢
ハイヤーさんに楯突いた話
これをあんな短期間で経験したなんて
今では考えられない
199 :
はじめまして名無しさん:2013/01/13(日) 14:49:56.09 ID:rTwWBhUm0
テスト
200 :
はじめまして名無しさん:2013/01/13(日) 14:50:26.93 ID:rTwWBhUm0
そして華麗に200ゲトー
201 :
自己:2013/01/13(日) 15:03:11.94 ID:/gqoehNy0
>>194 君のようにストレートな反応は有難いよ
「自己板の人達は腹の探りあいをしているような話し方をする。
ドアの向こう側の人と会話をしているみたいだ」
これはある自己板の人が言ってた言葉なんだけど何となく分かる。
書いてくれて有難う
>>197 まきひとの拘る板でスレを持ちたかったんだ
何故かは自分でも分からないんだけどね
202 :
自己:2013/01/13(日) 17:07:53.91 ID:/gqoehNy0
これらの話は置いといて
>>198 夢板で出会ったもう一人の固定について
記録しておこうと思う
だけど
いざ書こうとすると
記憶が霞んで鮮明に思い出すことができない
実体の見えない固定だった
まきひと
203 :
自己:2013/01/13(日) 17:16:13.78 ID:/gqoehNy0
今でこそ(2013年)あんなんだけど
当時(2006年)は嫌われてもいたが
それ以上に認める人が多く、憧れてる人も
たくさんいた
僕は彼の活動の一片しか知らなかったと思う
というか
興味がなく、たんなる長文マシーンと思っていた
僕が荒らしに悩まされていた時
的確な助言をしてくれたり
また運営に荒らし報告をしてくれたり
助けてくれたことも沢山あった
204 :
自己:2013/01/13(日) 17:19:48.66 ID:/gqoehNy0
だけど
ハイヤーさんのスレに来ては僕を下げる発言をしたり
僕のスレに来ては僕を下げる発言をしたり
何処で会っても僕を下げる発言をしてきて
彼には、いつも下げられっぱなしだった
ような気がする
205 :
自己:2013/01/13(日) 17:25:22.77 ID:/gqoehNy0
でもそれは
”僕を下げることで逆に僕を
上げてくれていたんじゃないか”
いま振り返って、まきひとから言われた言葉を
思い出すと、そんな考えが頭に浮かんで
くることもあるけど
実際は
よく言えば気を遣わないで話せた相手
悪く言えばハイヤー家の近くを歩く犬としか
思ってなかったのかも知れない
206 :
自己:2013/01/13(日) 17:31:18.46 ID:/gqoehNy0
僕は
困った時に助けてくれるまきひとに対して
感謝の気持ちを持っていた反面
”深夜に現れる幽霊みたいな奴”とも思っていた
すーっと来て
すーっと去る
当時、キッドさんがまきひとに対して言った言葉がある
「お前のレスは酔拳みたいだ^ー^」
この言葉には納得で
確かに当時は蜃気楼のような実体のない
得たいの知れなさがあった
207 :
自己:2013/01/13(日) 17:37:54.39 ID:/gqoehNy0
夢板にいた頃は
それほど話す機会がなかった
まきひととは、自己板に移動してから
たくさん話したように記憶している
僕はずっと
彼の優しさに甘えて頼っていたんだと思う
実体を感じなかった頃から
実体を感じるようになった時まで
今は普通に気持ちの悪いフリカケおじさんだと
思っています
208 :
自己:2013/01/13(日) 17:40:45.56 ID:/gqoehNy0
夢板では
特にこれといったこともないけれど
自己板で僕に影響を与えた固定まきひと
彼から受けた影響の一つに
ネタスレというものがある
209 :
はじめまして名無しさん:2013/01/13(日) 19:55:52.06 ID:rTwWBhUm0
2002年から歌舞伎町清龍固定さ
210 :
自己:2013/01/16(水) 09:46:41.58 ID:g/4joI9R0
当時から
まきひとは多くのネタスを建てていた
その中で1000まで消費したスレがどれだけあったか
知らないが、固定さん名無しさんとわず参加者がいて
まきひとは
それなりに満足していたんじゃないだろうか
その中で印象に残っているスレがある
「もしも自己板の固定がイキガミをもらったら」
というスレである
211 :
自己:2013/01/16(水) 09:52:41.56 ID:g/4joI9R0
そのスレは
「イキガミ」という漫画からヒントを得て
建てたスレらしく
もらった人間は必ず死ぬというイキガミ
そのイキガミをもらった人間が
残された時間をどのように生きるかが描かれた
漫画らしい
もしも自己板の住人がイキガミをもらったら
どんな最後の一日を過ごすのか…
また、もらったらどんなことを思うのか…
それを妄想して書いたネタスレだった
212 :
自己:2013/01/16(水) 09:58:00.72 ID:g/4joI9R0
「生きること」の大切さを改めて考える
先に少し書いたように
僕は健康な人よりかは死を意識する状態に
陥ることがある
2ちゃんを始める前、最初の固定を辞めた後に
大きく体調を崩している
そんな事情もあって
死をテーマにしたネタスレに足が向いた
んだと思う
213 :
自己:2013/01/16(水) 10:03:21.68 ID:g/4joI9R0
僕は
そのスレに数回書き込んだ
僕は過去ログを見れないから、そのスレを
引っ張ってこれないし
また自分の書いた内容も明確には記憶
していない
なので
以前書いたものと重複するかも知れないが
「イキガミ」を題材に少しだけ
書いてみようと思う
今までは他人のスレに書いてたから短く
書いていたけど
自スレなので今回は長く書かせてもらおう
214 :
自己:2013/01/16(水) 10:06:10.66 ID:g/4joI9R0
−
「もしも自己板の住人がイキガミをもらったら?」
「国家繁栄維持法」
この法律は国民に「生命の価値」を再認識させることで国を豊かにすることを目的とし
その手段として若者たちを対象にしたある通知を出している。
その通知とは通称「逝紙(イキガミ)」と呼ばれる死亡予告証である。
1000分の1の確率で選ばれた者は、紙を貰ってから24時間後には死んでしまう。
(wikiより抜粋)
215 :
自己:2013/01/16(水) 10:14:43.19 ID:g/4joI9R0
−
「ハイヤーさんの場合」
「元気でな^^」
男は目の前のクワガタに別れの挨拶をした
ここは神奈川県・亀甲山
早朝ということもあり人影もなく辺りは
静まりかえっている
「おっと、忘れていたぜ^^;」
男はコートのポケットから昆虫ぜりーの袋を
取り出した
その時、一枚の神がポケットから出て
地面に落ちた
男は落ちた紙を一瞥しただけで拾おうとはせず
昆虫ゼリーの袋から
個別包装されているゼリーを取り出し
一袋ずつ空けて地面の上にゼリーを出した
216 :
自己:2013/01/16(水) 10:21:58.97 ID:g/4joI9R0
ゼリーを
全部出し終えると男は満足そうに頷いた
「お前らは長生きしてくれよな^^」
男の名はハイヤー
神奈川県に住む笑顔が小泉進次郎に似ている(名無し談)
30代である
「さてと、行くか^^」
ハイヤーは先ほど落ちた紙を拾うと
無造作にコートのポケットの中に突っ込んだ
「じゃあな^^」
ハイヤーはクワガタに向かって軽く手を振った後
その場を立ち去った
− ありがとう −
217 :
自己:2013/01/16(水) 10:26:55.25 ID:g/4joI9R0
頭の中に微かに聞こえる声
”まさかな^^;”
声が聞こえた瞬間に振り返りクワガタがいた
場所を見たが
そこにはもうクワガタの姿はなかった
”気のせいか?…俺もやきが回ったな
イキガミが届いたくらいで^^;”
ハイヤーはコートのポケットに手を突っ込んで
ポケットの中に入ってる紙を
グシャッと握りつぶした
218 :
自己:2013/01/16(水) 10:31:58.81 ID:g/4joI9R0
昨日
職場に届けられたイキガミ
イキガミの配達人が帰った後
上司はハイヤーに帰宅するように言い
給料や諸々のことは
ハイヤーの家族と相談して決めることを
約束してくれた
目をそらす人
別れを惜しむ人
泣いて言葉が出ない人
ハイヤーは会社の人に最後の挨拶をすると
足早にデミオ(車)に乗り込み
自分の住むマンションに帰った
219 :
自己:2013/01/16(水) 10:37:07.07 ID:g/4joI9R0
”親には帰ったら電話しよう
…クワガタは山に連れて行くとして…
あいつら…まきひとや2ちゃんの連中には
言うべきか…^^;”
ハイヤーは悩んだ末
2ちゃんで出会った人達にはイキガミが
届いたことは言わない
と、決断した
ハイヤーは1人暮らしのマンションに帰宅すると
簡単に部屋の掃除をして
見られては困る物はゴミ袋に入れてマンションの
ゴミ捨て場に捨てた
220 :
自己:2013/01/16(水) 10:42:47.12 ID:g/4joI9R0
そして親に電話をする
イキガミが届いたことを言うと
親はもっと取り乱すと思っていたが冷静に
話を聞いてくれた
だけど、最後の瞬間は
自分達(親、兄弟)と過ごすようにと言われて
ハイヤーはそれに従うことにした
ハイヤーの死までの予定
友人、知人へのメール
夕方から朝まで2ちゃん
そのままクワガタを山に連れて行く
その後、親の待つ家に行き死を迎える
ハイヤーはお世話になった人達に
片っ端からメールを打ち続けた
221 :
自己:2013/01/16(水) 10:52:27.31 ID:g/4joI9R0
夕方
パソコンから2ちゃんを開く
ハイヤーが自スレに書き込むと、すぐに
名無しからレスがついた
『仕事首になったか?』
『ハイヤー\(ー▽ー)金くれー』
ハイヤーが自スレに降臨するとスレが動き出し
穏やかに、また賑やかに
そして時に激しくハイヤーが落ちるまで
流れていく
20時、まきひとが自己板に降臨
ハイヤーはまきひとのレスを自スレを
回しながら見ていた
馴れ合いを一切しなくなったまきひとは
自分や人が建てたネタスレに黙々とレスをしている
いつもは、そんなまきひとを
ROMしてるだけだが…
222 :
自己:2013/01/16(水) 11:00:59.20 ID:g/4joI9R0
『お前が動画を載せるとは驚いたぜ^^』
ネタスレのひとつで(自作動画公開する【自己紹介をしましょう^^】スレ)
まきひとがそのスレに降臨し
動画を投下したあと、ハイヤーは書き込んだ
普段は動画を投下したあと
すぐに他のネタスレに移動するまきひとだが
この日はどうしたか
次のネタスレに書き込むまでに30分以上の
時間が開いていた
ハイヤーに対する返レスをどうするか…
を考えていたのだろう
だけど
まきひとは返レスをせずにまた黙々と
次のネタスレに書き込み続けた
223 :
自己:2013/01/16(水) 11:05:32.54 ID:g/4joI9R0
”まきひと…
今まで有難うな^^”
ハイヤーはパソコンの画面のまきひとの
書き込みを見ながら呟いた
ハイヤーはまきひとに対して少し寂しい
気持ちを感じながらも
朝まで名無しさんや固定さん達との会話を
楽しんだ
『さてと^^』
こいしてハイヤーは
イキガミのことは誰にも言わずに
2ちゃんから姿を消した
224 :
自己:2013/01/16(水) 11:13:10.58 ID:g/4joI9R0
>>217 ハイヤーはコートのポケットに手を突っ込んで
ポケットの中に入ってる紙をグシャッと握りつぶした
駐車場の入り口に入ると
自分が来た時にはなかった車が
自分の車のすぐ近くに一台停まっていた
ハイヤーは特に気にせずに
自分の車まで歩き、車のドアに手を伸ばした時
近くに停まっていた車から
人が降りてきた
『凄い山だな、しかし』『ハイちゃん』『よぉダンカン』
『fuー』『あーにき☆』『ハイヤー!!』
225 :
自己:2013/01/16(水) 11:22:26.15 ID:g/4joI9R0
「お、お前らもしかして…^^;」
『イキガミが届いたんやろ?水臭いでハイヤー、fu-』
1人の関西人らしき男がいきなり
ハイヤーを抱きしめた
と、同時に
他のメンバーもハイヤーを囲むように
ハイヤーの周りに集まって来た
「どうして…ここが^^;?」
ハイヤーの問いに岡山県人らしき女が答える
『旦那に言ぅて調べてもらったのぅ』
『細かいことは、どうでもええがな!
皆お前に最後の別れをしにきたんやでfuー
時間は取らせへん
バーべキューの用意をしてるから一時間だけ
俺らに時間をくれや!』
関西人らしき男はそう言うと
ハイヤーを駐車場の近くにあるキャンプ場に
連れて行った
226 :
自己:2013/01/16(水) 11:31:43.75 ID:g/4joI9R0
キャンプ場につくと
男の言った通りバーべキューの用意は出来ていて
後は、食材を焼くだけだった
『ハイちゃん、吉備団子持ってきたょ』
「は^^;?」
『私は六花亭のクッキー!』『わたしはイカ焼きー』
『俺は豚汁うどんやで』
「………アホばっかだな^^;」
『オレが持ってきたのは野菜300kカロリー以内
食べたら走ってEXILE』
「………お前が一番マトモだったんだな
後半は何を言ってるのか分からないけど^^;」
227 :
自己:2013/01/16(水) 11:38:27.08 ID:g/4joI9R0
思わぬサプライズに
目を潤ませながらハイヤーはバーベキューをして
皆との最後の時間を過ごした
たくさん笑い
たくさん笑い
たくさん笑い
一時間はあっという間に過ぎた
「時間か…^^;」
突然、バーベキューの煙が広がって
ハイヤーの視界を奪っていく
皆の姿がぼんやりと霞んで徐々に見えなく
なっていく…
「ハッ!^^」
気付くとハイヤーは車の中にいた
「夢か…、まぁ当然と言えば当然だな^^;」
228 :
自己:2013/01/16(水) 11:44:10.85 ID:g/4joI9R0
ハイヤーは
車のエンジンをかけて窓を開けた
すると微かに前に嗅いだことのある香りが
外から車の中に入ってきた
ハイヤーは思わず
自分の両手を匂うが同じ香り…昆虫ゼリーの
香りはしなかった
その時また、あの声が聞こえてきた
− ありがとう −
ハイヤーは小さく笑うと車を発車させた
”最後に見る夢にしちゃ上出来だぜ、有難うな^^”
229 :
自己:2013/01/16(水) 11:48:48.94 ID:g/4joI9R0
家に着くと
家の前に二台の車が停まっていた
兄弟の車だった
ハイヤーはデミオを一番後ろに停めて
車から降りると、デミオのボディをそっと撫でた
家の玄関のドアを開ける前に
一度大きく深呼吸する
そして
いつも通りの声が出るように意識しながら
玄関のドアを開けた
「ただいま^^」
230 :
自己:2013/01/16(水) 11:55:45.48 ID:g/4joI9R0
家では
親兄弟が豪華な食事と共にハイヤーを
待っていた
「こんなに食えねえよ^^;」
最後の食事
ハイヤーの家族は胸が詰まって食事が
喉を通らないようだ
携帯の時計を見ると死亡時刻まで
残り2時間をきっていた
ハイヤーは家族に「少しだけ1人になりたい^^」
と言って煙草を吸いに庭に出た
煙草の煙を燻らせながら、何となく
携帯から2ちゃんを開いた
普段は携帯から2ちゃんを見ることはないが
”最後”という言葉が
ハイヤーを2ちゃんに引き寄せたのかも知れない
231 :
自己:2013/01/16(水) 12:04:48.11 ID:g/4joI9R0
自己板を開き
自スレを探そうとすると自スレが一番上に
上がっていた
”なんだ^^:?”
自スレを開くと
そこにはハイヤーへの「別れのメッセージ」で
埋め尽くされていた
『ハイヤー有難う御座いました』『ずっと好きでした』
『人生でハイヤーと過ごした時間は一時だけど
ハイヤーとの時間は胸に刻まれています』『ちんぴゅー』
『おいハイヤー、オレより先に逝くなヨ』
『一度でいいから会いたかった』『ハゲって言ってごめんよ』
『イキガミ届いたんなら言えよボケ』『ありがとね』
− イキガミが届いたことは
誰にも言ってないのに何故だ^^;? −
ハイヤーの疑問は
自スレを読み進めていくうちに、しだいに
明らかになっていった
232 :
自己:2013/01/16(水) 12:13:22.18 ID:g/4joI9R0
『夕方から朝まで2ちゃんするなんて
おかしいと思ってたのよ』
『そうだよね、ネタスレに居るマキ人にレスしたり
してねー』
『ネタスレで会話をするな^^って言ってたハイヤーが
発言を覆して書くなんて”何かあったな”って思うよね』
『イキガミが届いたことが皆の勘違いだったらワロスが』
『それが一番いいんだけどね』
更に読み進めていくと
『>ハイヤー
このまきひとの動画、必ず観て下さい』
という書き込みがあり動画のURLが貼られていた
そのURLを踏むと
いつものまきひとのカラオケ動画が目に
飛び込んできた
233 :
自己:2013/01/16(水) 12:19:34.53 ID:g/4joI9R0
再生を押すと…
♪自己板っ!愛してるっ!ハイヤー!愛してるっ!
ハイヤー!ハイヤーとは、これからも一緒さっ!
先にいって待っててね!ララ、待っててね!
俺も明日いくからねっ!♪
歌が終わると、動画の画面が”何か”に
近付いていく
紙?
”何か”に焦点があい画面に大きく映し出されたもの
それは
”イキガミ”だった
234 :
自己:2013/01/16(水) 12:26:49.83 ID:g/4joI9R0
− まきひと、お前もか^^; −
もう一度、自スレを開くと
自分へのメッセージが次々に書き込まれて
スレが伸びていた
ハイヤーは自スレに、ざっと目を通したあと
携帯を閉じて胸ポケットに入れて
その上に手をおいて空を見上げた
それから煙草を消して家の中に入っていった
ハイヤーは親兄弟
1人1人に別れの挨拶をした後
家族の温かい声を聞きながら静かに息を引き取った
− あなたに会えてよかった −
終わり
−
235 :
自己:2013/01/16(水) 12:33:10.09 ID:g/4joI9R0
−
まきひとの場合
配達人「イキガミを届けに参りました」
まきひと「うそーん(><)ノ■←変なカバン(自作動画公開スレ、レス225新成人動画1分27秒辺り参照)」
終わり
−
236 :
自己:2013/01/16(水) 12:39:19.89 ID:g/4joI9R0
−
ある女固定の場合
「きちゃった…」
彼女は肩を落として先ほど届けられた
イキガミを見た
「んーーーーーーー24時間後には死んじゃうんだ!
悩んでなんかいられなーい!!!!1」
彼女は空港に向かうバスに飛び乗った
目指すは空港
彼女は関東に住んでいるある固定に
会いに行こうとしている
空港行きのバスの中
彼女はあることに気付いた
もしかしたら新幹線のほうが早かったんじゃ><””
237 :
自己:2013/01/16(水) 12:44:51.55 ID:g/4joI9R0
「よしっ!」
彼女は迷わず関東に住んでいる固定に
メールを送った
”イキガミが届きました
私の願い事を叶えて下さい
私と会って下さい
お願いします”
すると、すぐに返信がきた
”分かった…
新幹線で来るんだろう?新幹線の時間が分かったら
教えろ、駅まで迎えに行くから”
その返信び対して返信をする
”それが今、空港行きのリムジンバスの中なの
…どうしよう”
238 :
自己:2013/01/16(水) 12:52:55.41 ID:g/4joI9R0
”心配するな
空港まで迎えに行くから”
関東の固定からのメールを見て彼女は
ホッとして
走るバスの窓から外の景色を見た
− この景色とも、これで終わりだ −
彼女は涙が零れそうになるのをグッと
我慢して
関東の固定に会ったら
まず最初に何を言おうか考えることにした
− やっぱ挨拶?それともコクる?
意表をついてグーパンチとかw −
やがてバスは空港に着き
彼女は一番早く乗れる羽田空港行きの飛行機の
座席を取り
飛行機の到着時間を関東の固定に
メールで知らせた
239 :
自己:2013/01/16(水) 13:01:20.21 ID:g/4joI9R0
飛行機の中
− 勢いで会うことになっちゃったけど
これで…よかったのかな −
「っていうか今ごろ緊張してきたっ!!!!1」
つい声を出してしまった彼女を見て
周りの乗客がクスクス笑う
彼女は赤面して「すみません」と
周りの乗客に頭を下げた
− 最初に言う言葉が決まらないな −
考え事をしていると、時間はあっという間に
過ぎて
気付いた時には飛行機は着陸態勢に入っていた
240 :
自己:2013/01/16(水) 13:14:13.40 ID:g/4joI9R0
羽田空港の到着ロビー
彼女は関東の固定にメールをした
”着きました”
彼女はドキドキしながら壁にもたれて
返信メールを待っていた
携帯の待受け画面を見つめていると…
241 :
自己:2013/01/16(水) 13:15:09.43 ID:g/4joI9R0
ふいに
自分の隣りに男の人が来て
自分と同じように壁にもたれて、こっちを見た
「よぉ」
その男の人の笑顔は、彼女が携帯の待受け画面で
いつも見ている笑顔と同じものだった
彼女は一瞬息をのむと
気持ちを落ち着ける為に目を閉じた
そして
ずっと考えていた”最初に言う言葉”を
勇気を振り絞って言った
「………………」
終わり
−
242 :
自己:2013/01/16(水) 13:24:40.67 ID:g/4joI9R0
−
こういうスレで他人の名前を出して書くとき
その人に対して
どのくらい思い入れがあるか、その人をどのくらい知っているか
によって書く内容が変わってくる
また思い入れが強過ぎても逆に手が止まる
場合もあるだろう
ネタスレに自分の考えたものを書き込むことに
躊躇いを覚える人もいるだろう
ネタスレのテーマによっては
あう固定さん、あわない固定さんもいるだろうし
僕は何故だろう
何故ネタスレに書いてきたんだろう
多分いつもあの人の存在があったから
と思う
243 :
自己:2013/01/16(水) 13:31:12.45 ID:g/4joI9R0
>>209 何気に長いんですね
10年前といえば小泉政権・田中真紀子更迭…
10年前あなたは何をしていましたか?
何を思い何を楽しんでいたのでしょうか?
そして今から10年後
あなたは今を振り返って”よかった”といえる
時を過ごしていますか?
244 :
自己:2013/01/16(水) 13:37:28.20 ID:g/4joI9R0
「イキガミ」
これについて他にも考えてたものが
あったけど
テーマがテーマだけに知らない固定さんに
ついては書けない
というか、ネタスレ関係はテーマに限らず
知らない固定さんのことは書けないけどね
245 :
自己:2013/01/16(水) 19:57:48.64 ID:g/4joI9R0
−
上沢晴雄の場合
「よっ!オフクロ元気か?w」
「元気か?って晴雄…お正月に来たばっかり
じゃないw」
晴雄はインターホンを押して母親に声を掛けた
母親は驚いた様子だ
お正月に帰ってきた息子がまた帰ってきた
驚くのは当たり前だろう
玄関を開けて出てきた母親に晴雄は
いつもの笑顔を向けた
246 :
自己:2013/01/16(水) 20:02:54.87 ID:g/4joI9R0
「あのさ、
俺ロシアの姉ちゃんとロシアで暮らすことに
なったんだw
それでさ、当分?もしかしたら一生?
ロシアに住むことになるかも知れねえからさ
そのことを言いに来たんだわw」
屈託のない爽やかな笑顔で話す息子を見て
母親は
初めは驚いたものの、大きな溜め息をついた後
笑顔になった
「晴雄が決めたんならいいんじゃない
寂しくなるけどね」
247 :
自己:2013/01/16(水) 20:08:47.13 ID:g/4joI9R0
晴雄は
手に持ってた分厚い封筒を母親に
半笑いで渡した
「これ、一生分のお年玉なw」
そして母親の顔をジッと見たあと
ニカッと笑った
「体、気ぃつけろよw」
そう言うと母親に背中を向けて歩きだした
「晴雄こそ、元気でね!」
後ろから聞こえる母親の声に
晴雄は歩きながら振り向かずに手だけを
振って答えた
”今、オフクロの顔を見たら泣いてしまうわ、ボケw”
248 :
自己:2013/01/16(水) 20:13:04.20 ID:g/4joI9R0
今朝
晴雄のマンションに届けられたイキガミ
彼がまず考えたのは”親に心配を掛けたくない”
ということだった
それで考えた策がロシアに住むという話だった
晴雄に残された時間は、あと20時間
晴雄は停めていた車に乗り込むと
南に向かって車を走らせた
終わり
−
249 :
自己:2013/01/16(水) 20:19:10.14 ID:g/4joI9R0
−
ある名無しさんの話
− どうしようかな… −
今から23時間前
名無しの元にイキガミが届けられた
名無しは友達やお世話になった人に
お別れの手紙を書いて
自分が死んだ後に投函するように
親にお願いした
そして親と好きなものを食べに行き
少しだけ遠出をして
綺麗な景色を見に行った
その後、家に帰ってお母さんと一緒に
料理を作り、家族で食事をする
いつもと変わらない風景
ただひとつ違うこと
それは名無しが後少しで死ぬということ
250 :
自己:2013/01/16(水) 20:25:20.85 ID:g/4joI9R0
− どうしようかな… −
名無しには好きな人がいた
ネットで出会った人で、会ったこともなく
相手がどんな人かもよく知らなかった
だけど
名無しはその人のことが好きで好きで
たまらなかった
今まで自分の想いを伝えようと思っては
思いとどまって…の繰り返しだったけど…
名無しはその人がネット上で公開している
アドレスに、メールを送ろう
と思ってメールを打った
”ずっとあなたが好きでした”
251 :
自己:2013/01/16(水) 20:31:07.40 ID:g/4joI9R0
名無しは
そのメールを送信できず
名無しの想いが詰まったそのメールは
未送信BOXに入ったままだった
刻一刻とせまる死亡時刻
家族との最後の別れ
死亡時刻まで残り約1時間
名無しはメールの送信を諦めた
− もっと早く想いを伝えればよかった… −
名無しは母親の腕の中で
少しの後悔を残して死んでいった
終わり
−
252 :
自己:2013/01/16(水) 20:37:05.65 ID:g/4joI9R0
他人のネタスレに書くとき
できるだけ簡潔に
を念頭に、日常の一部分を切り取った話
小さな出来事を書いていたように思う
楽しい話、暗めの話、悲しい話、裏話
後味の悪い話
僕がネタスレを書こうと思う時は
いつも頭の中にあの人がいた
それが何故なのかは分からない
そして
気持ちが落ち込んだ時にも書きたく
なる
253 :
タキチ:2013/01/16(水) 20:37:19.24 ID:oMT0weJJ0
あははははっw
254 :
自己:2013/01/17(木) 19:18:54.69 ID:9XMU541j0
>>161 ♪♪♪♪♪♪♪
「目が冴えて眠れないの…何してた?」
元カノからの電話だった
滅多にないけど、時々眠れない時に
こうして電話をくれることがある
「考え事だよ」
僕は元カノの問いに答えながら
ベッドからソファに移動した
「あまり考え事はしないほうがいいよー」
元カノの言葉を聞きながらソファに座る
僕は今
どんな表情をしているんだろうか
「あぁ…2ちゃんのことを思い出していたんだ
まきひとやハイヤーさんのこととか
ネタスレのこととか」
255 :
自己:2013/01/17(木) 19:26:32.19 ID:9XMU541j0
「そう」
僕の言葉に対して元カノがどう思ったか
は分からないけど
詳しく聞きたそうな雰囲気ではなかったから
違う話題を振ることにした
「最近、発掘した音楽ある?」
僕の質問に、音楽に目がない元カノは
楽しそうな声で話し出した
元カノは音楽に精通していて古いものから
新しいものまで
とにかく、よく知っている
音楽に興味のない僕には分からない話が
多かったけど
教えてくれる曲の中には、何となく
心に残る曲もあった
僕はその曲から浮かんできた話を
書いたこともある
256 :
自己:2013/01/17(木) 19:30:56.67 ID:9XMU541j0
パソコンを開いて
元カノが教えてくれる曲をyoutubeで検索する
その曲を聴きながら
僕は、あの曲を思い出していた
粉雪
粉雪を聴くと思い出す
あの人を
257 :
自己:2013/01/17(木) 19:36:25.29 ID:9XMU541j0
…
……
………
『一年前の約束、覚えてる?』
「一年前?…何だろう、覚えてないな」
『ストラップは?』
「何を言ってるんだ?それより約束って何だ?」
『うげげ』
「お前、なに言ってるんだ?w」
2ちゃんで出会った二人は
お互いに相手に対して一歩踏み出せずに
ずっと一定の距離を保って
接してきた
258 :
自己:2013/01/17(木) 19:41:41.88 ID:9XMU541j0
彼女は
溜め息をつくと『またね』とだけ書いて
スレを閉じた
”一年前のことだもん、覚えてなくて当然だよ”
彼女はもう一度溜め息をつくと
部屋に貼っているカレンダーを見た
ある日にちに予定シールが貼ってある
それは今週の日曜日
明日だった
”…でも、いっかw
あの時だけでも同じ気持ちになれたんだしね”
彼女はまた溜め息をつき
ベッドに入って目を閉じた
259 :
自己:2013/01/17(木) 19:46:29.68 ID:9XMU541j0
次の朝
窓の外は一面の雪景色
”どうしようかな…約束を忘れていたし
この雪だと開いてないだろうし”
彼女は窓の外の雪を見て
一瞬ためらったが最初の予定通り
出掛けることにした
”少しだけ待ってみよっと
そのほうが気持ちも納得するだろうし”
彼女は新しく買った服を着て
手袋をつけると雪景色の中に出ていった
260 :
自己:2013/01/17(木) 19:51:03.46 ID:9XMU541j0
…
彼は
布団の中に入ったままTV画面に映る
ニュースを見ていた
「ひでぇ雪だな、今日は引きこもるか」
彼は布団の中から手を伸ばして
パソコンを掴んで
自分の目の前に置いた
そして2ちゃんを開いて自分のスレを
見る
「結局”一年前の約束”って何だったんだ…」
261 :
自己:2013/01/17(木) 19:56:02.32 ID:9XMU541j0
一年前
彼女には付き合ってる男がいた
でも彼女は別れたがっていたんだ
だけど
複雑な事情があって
彼女は男とは別れられないって
言っていた
自分からは別れ話はできないと…
俺はあの時、彼女の相談にのっていた
あの時に何を約束したんだ?
一年後に何を?
「思い出せねぇ…」
その時TVから流れてきた【粉雪】に
彼は彼女とのオフを思い出した
262 :
自己:2013/01/17(木) 20:02:20.81 ID:9XMU541j0
俺は
彼女と一度だけ会った
仕事で彼女の住む土地に行くことになって
当日、急に会うことになったんだ
皆には言わないでおこう
そう二人で決めて
その後、2ちゃんでは勿論
メールでもあの日について話すことは
なかったんだ
あの日
彼女は俺の住む土地の近くに
引っ越すことになるかも知れない
って言っていた
だけど、その後
引越ししたのか止めたのかは聞いていない
263 :
自己:2013/01/17(木) 20:07:20.53 ID:9XMU541j0
突然
TVの音が大きくなり
ニュースでは各地方の観光地や遊園地に
降る、雪の景色が映っていた
USJの賑やかな音楽
「ああ!そうだった!」
彼は布団から出て、急いで着替えると
机の上に置いていた
USJのストラップのついた携帯を掴んで
雪の中に出ていった
264 :
自己:2013/01/17(木) 20:13:21.29 ID:9XMU541j0
あの時
初めて会った時
”会うのはこれが最初で最後だね”
って二人で決めたんだ
だけど
”もし一年後、お互い一人になっていたら会おう”
そう約束した
そして
”この場所で”
彼女はそう言うと、俺がプレゼントした
俺の地元の遊園地のストラップを指差した
合言葉は”ストラップ”
そう、俺と彼女はあの時ストラップを
交換したんだ
265 :
自己:2013/01/17(木) 20:21:15.43 ID:9XMU541j0
「もう…帰っただろうな」
約束の時間は11時
俺と彼女が初めて会った時に待ち合わせた
時間だ
待ち合わせ場所は俺の地元の遊園地
遊園地に着くと、遊園地は閉まっていて
【雪のため本日の営業は中止します】
という看板が
入り口ゲートに立てられていた
「もう12時だもんな…」
溜め息をついて、もう一度看板を見る
よく見ると看板の下に
小さな雪だるまが何個か並んでいた
”彼女が作ったものじゃないだろうか…”
266 :
自己:2013/01/17(木) 20:29:21.56 ID:9XMU541j0
『その雪だるま
あなたのスレのメンバーだよ!』
背中から聞こえてきた声に振り向くと
そこに居たのは彼女だった
彼女は手に小さな石や木の枝を持っていて
僕の隣りを通り過ぎると
看板の前に行き、雪だるまの前で屈んだ
『これは、まきひと』
そう言うと1つの雪だるまの顔に
石で目を作った
『これは〇さん』『こっちは△さん』『これは…』
雪だるまの1つ1つに
石や木の枝で顔を作っていく彼女
最後の1つには顔がなかった
「もしかして俺?
どうして顔がないんだ?」
彼は最後の雪だるまを指差して笑った
267 :
自己:2013/01/17(木) 20:35:24.38 ID:9XMU541j0
彼女は
急に立ち上がると手袋を外して
両手で彼の頬をそっと触った
『ここにあるから』
彼は彼女を抱き締めると
「忘れていてごめんね」と彼女の
耳元で呟いた
涙ぐみながら首を振る彼女
彼は彼女の涙を自分のコートの袖で拭いた
「どこか暖かいとこに行こうか」
『うん………あっ!』
「どうした?」
彼女は笑いながら答えた
『…まきひと踏んじゃったw』
268 :
自己:2013/01/17(木) 20:41:50.62 ID:9XMU541j0
「…ひでぇなw」
彼女は踏んだ雪だるまの前で屈むと
形を綺麗に整えて
雪だるまの体のところに四角い石を
置いた
『これで大丈夫、まきひと復活!』
「その石は何だ?」
『フリカケだよ!まきひと好きでしょw
じゃあ
暖かいお店の検索しよっと!』
そう言ってポケットから取り出した
彼女の携帯には
一年前に彼が渡した遊園地のストラップが
揺れていた
終わり
…
269 :
自己:2013/01/17(木) 20:46:34.87 ID:9XMU541j0
この話は
ずっと前に夢板で書いた話の”その後”を
書いた話で
夢板で書いた話は何処かに消えてしまった
”誰か一人の記憶に残れば、それでいい”
これは、ある自己板の固定さんが
言った言葉
僕も同じ気持ちです
”誰か一人の記憶に残れば、それでいい”
イキガミNewVersionイイNe♪
271 :
自己:2013/01/19(土) 09:55:57.36 ID:dfng6/oq0
>>270 このスレを開いてくれて書き込んでくれる人が
いることに驚いています
ありがとう
>>253 ナチュラルキラー細胞だっけ?対ガン細胞
笑うことによって、その細胞が増えるらしいね
作り笑いでもいいらしい
脳が”笑ってる”って錯覚して細胞を増やして
くれるとか
その細胞云々は深く考えてないけど
僕はいつも笑ってる
それが作り笑いであってもいいじゃないか
いつかその笑顔が本当のものになるかも知れない
なんて甘いことは考えてない
けど、取りあえず笑っていようと思ってる
272 :
自己:2013/01/19(土) 10:03:09.40 ID:dfng6/oq0
>>256 「いい曲でしょ?!」
教えてもらってyoutubeで聴いていた曲が
いつの間にか終わっていた
「ごめん、考え事してた」
僕は、そう言ったあと慌てて付け加えた
「仕事のことだよ」
元カノは真面目な声で話し出した
「オン、オフの切り替えも大切よ」
その後、リラックス方法や物事に対する
取り組み方
未知なる講義を聞いているかのような
新しく聞く言葉の数々
273 :
自己:2013/01/19(土) 10:10:57.51 ID:dfng6/oq0
僕は
言葉の滝に打たれながら
流されないように
じっと瞑想する
話が終わり
また話題は音楽にもどる
僕はふとGReeeeNの【歩み】の歌詞を
思い出していた
夢板で書いた話は
>>269【歩み】を
イメージして書いた話だったんだ
今【歩み】をイメージして
また違うものを書くとするなら…
♪誰しも僕ら、思いあぐね、色んなしがらみを
抱えて
叶えたい夢に向かう途中、まだ得ない夢を
掴みたくて……♪
274 :
自己:2013/01/19(土) 10:17:43.57 ID:dfng6/oq0
…
……
………
「♪いつか〜は咲かす〜大輪の花♪」
僕が洗面所で歌を歌いながら
会社に行く用意をしていると
その後ろから
母親が声を掛けてきた
『あれ?今日は遅くない?』
「え?…いつも通りだよ」
『だって、いつもならもう出掛けてる時間よ』
「え?ええーーー?????」
僕は慌ててリビングに行き
TVの画面上に出ている時刻を見た
「うわっ!やばい」
275 :
自己:2013/01/19(土) 10:22:41.40 ID:dfng6/oq0
急いで
コートを着てカバンを掴んで玄関を出る
駅に着き
エスカレーターに乗ろうとすると…
「うわあっ!」
ガムを踏んでしまった
靴の裏にべったり貼りついたガム
地面に擦ってガムを取る時間が今はない
ぺちゃっぺちゃっ
不快な足音をたてながらホームに行き
ちょうど来た電車に飛び乗った
”…はぁ…ギリギリ間に合うな…”
276 :
自己:2013/01/19(土) 10:27:46.72 ID:dfng6/oq0
満員電車の中
僕は会社に遅刻しないで行けることに
安堵の溜め息をもらした
今日は朝から会議がある
遅れることは絶対に許されないんだ
ガタンッ
電車が大きく揺れた
『あっ』
僕の前に立っていた女の子が
電車が揺れた瞬間、僕の胸にぶつかって
きた
『すみません』
女の子は顔を真っ赤にして謝り
僕から体を離した
277 :
はじめまして名無しさん:2013/01/19(土) 10:29:18.19 ID:U5hF19WWO
ガタンッ
電車が大きく揺れた
『アッー』
僕の前に立っていた男の子が
電車が揺れた瞬間、僕の胸にぶつかって
きた
『すみません』
男の子は顔を真っ赤にして謝り
僕から体を離した
278 :
自己:2013/01/19(土) 10:35:22.38 ID:dfng6/oq0
「いえ…」
『ああぁーリップが付いて…』
女の子の目線は僕のシャツの襟元に
向けられていた
その目線がゆっくりと上へ上がり
僕の目をとらえた
『シャツにリップを付けてしまいました
…ごめんなさい』
「わざとじゃないんだから
気にしないで下さい」
僕の言葉に女の子は一瞬目を逸らし
満員電車で身動きが取りにくいなか
自分のカバンに手を入れて
携帯を取り出した
『連絡先を教えて頂けませんか?
弁償させて下さい、お願いします』
279 :
自己:2013/01/19(土) 10:40:55.41 ID:dfng6/oq0
「いや
本当に気にしないで、じゃあ降りますので」
電車が駅に到着する
乗客が一気に降りていく
僕も電車から降りると人の波に乗りながら
小走りで改札に向かった
靴底についてるガムが
気になっていつものように走れない
改札に差し掛かった時
後ろから腕をつかまれた
『あ…のっ…』
息をきらせながら
僕の腕を掴んでいたのは電車の中の
女の子だった
「え?なに?」
280 :
自己:2013/01/19(土) 10:45:26.76 ID:dfng6/oq0
女の子は
僕の腕をつかんだまま言った
『お願いします…弁償しないと
…申し訳なくて…』
”時間がないな”
僕は女の子を壁のほうに連れていくと
弁償の件は
後で決めることにしてアドレスを
交換した
『後で必ず連絡します』
という女の子に頭を下げて
僕は改札を通り、全力疾走で会社に向かった
281 :
自己:2013/01/19(土) 10:53:46.95 ID:dfng6/oq0
「げっ」
会社には間に合い、会議も無事に終えて
やっと僕は一息つけて
洗面所にシャツについたリップの汚れを
見に行った
「こんなの付けて会議に出てたのか…」
今日は遅刻しそうになったり
靴にガムがついたり、襟にリップが付いたり
しかも何処で落としたのか…
手袋を片方落としたようで見当たらない
今日の僕はついてない
僕は携帯を開いて
女の子のアドレスを見た
初対面の人と交換するのは抵抗が
あったけど
交換しないと女の子が納得せず
僕の腕を離してくれず
会社に遅刻すると思って交換した
282 :
自己:2013/01/19(土) 10:57:51.53 ID:dfng6/oq0
「電話が
掛かってこないに100ペソだな」
僕は女の子のアドレスを消去した
”しかし…可愛い子だったなw”
案の定、女の子からの連絡はなく
夜になり僕は会社を出て
家に帰り食事を終えたあと
自分の部屋に行きパソコンを開いた
そして
2ちゃんに繋げて自分のスレを開く
283 :
自己:2013/01/19(土) 11:03:53.75 ID:dfng6/oq0
僕にくれているレスに
一つ一つお返しのレスを書く
それが終わって暫くすると
『お疲れさま…ちょっと聞いて;;』
住人の一人がスレに遊びにきた
この子とは長い付き合いで
性格が合うのか気楽に話せる
こういう子と付き合えたら幸せだろうな
って思うタイプでもある
「お疲れ!どうした?」
いつになく元気のない住人に
僕は身を乗り出して
住人からの返レスを待った
284 :
自己:2013/01/19(土) 11:10:18.10 ID:dfng6/oq0
『今日ね
満員電車でよろけた時にね
男の人のシャツにリップつけちゃったの;;
カバンの中に知らない人の手袋入ってるし
ちょー分かんない;;』
住人からの返レスを見た瞬間
僕は椅子から落ちた
”まさかな…偶然w偶然w”
気を取り直して
椅子に座り直して返レスを打った
「ついてなかったね、つか手袋って?」
『ん、相手の人に悪くって;;
手袋は黒色の革の手袋、男の人の手袋』
285 :
自己:2013/01/19(土) 11:15:27.26 ID:dfng6/oq0
”いやいやいや
偶然に決まってる偶然に”
僕は棚の上に置いている片方だけになった
革の手袋を見た
色は黒色だった
僕は少し震える指でパソコンを
打った
「そういう時ってどうするんだ?
弁償とかするのかい?」
『うん、そのつもりだよ
これからその人に連絡しようと
思ってるとこなの;;』
住人の返レスに緊張が高まってきた
286 :
自己:2013/01/19(土) 11:20:11.22 ID:dfng6/oq0
…
「お手やわらかに」
『何それ?誤爆?wじゃあまたね』
僕は立ち上がると
携帯を持って意味もなくウロウロした
すると
♪♪♪♪♪
「うわわぁぁ…」
携帯の着信音が鳴った瞬間
僕は思わず携帯を手から落としてしまった
そうか
今日の僕はついてなかったんじゃない
ついてたんだ
終わり
287 :
自己:2013/01/19(土) 11:25:06.85 ID:dfng6/oq0
…
書いてる途中で
若干?いやかなり?趣向から
逸れてしまったけど
この文字だけの世界から飛び出して
初めて電話で声を聞く緊張感
……
…
>>273 「……○」
「…○○」
僕を呼ぶ元カノの声に
僕は笑顔で答えた
「ごめん、眠っていたよ」
288 :
自己:2013/01/22(火) 05:07:23.21 ID:IFvFlYLR0
「じゃあ切ろうか」
「うん、ごめん」
「おやすみ」
「ごめん…おやすみ」
電話を切る
すぐに僕は元カノにメールをした
”ほんと、ごめん、おやすみ”
いつものことだ
すると、すぐに元カノから返メールが
届く
これも、いつものことだ
”気にしてないよ、おやすみ”
289 :
自己:2013/01/22(火) 05:11:37.91 ID:IFvFlYLR0
”おやすみ”
もう一度メールを送り携帯を充電器に置く
僕は
ソファに寝転んで、左腕を上に伸ばした
そして左手をパーの形に広げる
指についたたくさんの傷
ダーツやカッターでついた傷
「いつか…」
僕は声に出して呟いた
「きっと…」
290 :
自己:2013/01/22(火) 05:15:59.37 ID:IFvFlYLR0
僕は
ソファから起きてクロークを開け
雑貨を入れている透明のケースを出した
「確か…ここに……あった」
僕は探していたものを手に取って
持ち直すと
壁に向かって思い切り投げた
「懐かしいな」
僕は壁に刺さったダーツを見て
少しずつ思い出していた
291 :
自己:2013/01/22(火) 05:20:13.08 ID:IFvFlYLR0
…
……
一見、真面目な僕
一見して真面目じゃない友達
>>89 まったく違うタイプだったけど
ダーツがきっかけで
仲良くなり、遊ぶようになった
292 :
自己:2013/01/22(火) 05:26:05.84 ID:IFvFlYLR0
学生の時
僕は時々、授業をサボって
学校近くの定食屋(お店の奥にある部屋を
使わせてもらっていた)
や部室で友人と遊んでいた
場所はその時の気分で決めていたんだけど
その日は
部室で雑誌を見ようってことになった
友人と部室に入ると二人の先客がいた
友達と
>>89>>291 もう一人は見たことのない強そうな奴
何だか揉めている雰囲気だった
293 :
自己:2013/01/22(火) 05:32:39.39 ID:IFvFlYLR0
”こんな奴いたっけ”
強そうな奴は初めて見る顔だった
友達のほうは入学時から目立っていて
親が他と違うだとか本人もヤバイ奴だとか
何かと噂になっていた
後々、友達と仲良くなってから
その噂が殆ど正解だったことを僕は知る
「お前ら、何?」
見たことのない強そうな奴が
僕と友人を睨みながら言った
「ここで、サボろうと思って…」
友人が答える
少し緊張を感じる声だった
294 :
自己:2013/01/22(火) 05:37:38.21 ID:IFvFlYLR0
僕は
部屋に入ったとき、先客の二人よりも
壁に掛かっているダーツボード(的)が気になっていた
”前に来た時は、なかったはず”
強そうな奴は苛々していた
「俺ら、大事な話してるねん
お前ら邪魔、どっか行けや」
「はっ、はい」
友人はそう言うと僕の腕を掴んで
部室のドアに手をかけた
295 :
自己:2013/01/22(火) 05:44:54.64 ID:IFvFlYLR0
”僕にもできるかな”
僕はダーツボードに刺さっている
ダート(矢)の点数を、頭の中で
数えていた
「はよ行けや」
強そうな奴が声を荒げて立ち上がった
そこで初めて
友達が口を開いた
「お前、ダーツがしたいのか?」
友達が僕に話し掛けてきた
僕はダーツボードから友達に目線を
移して、黙って頷いた
296 :
自己:2013/01/22(火) 05:50:38.44 ID:IFvFlYLR0
「じゃあさ」
友達は笑いながら
僕と友人と強そうな奴の顔を
順番に見ながら言った
「ダーツやろうぜ」
「はあ???なに言ってんだ?」
強そうな奴が友達に詰め寄ったが
友達は立ち上がるとダーツボードの前
まで行き
ボードに刺さっているダート(矢)を
抜くと
元いた場所に戻ってきた
297 :
自己:2013/01/22(火) 05:55:40.34 ID:IFvFlYLR0
「…なんや」
友達は強そうな奴の腕を掴むと
長テーブルの前に連れていった
そして
「机に手をついて、指を広げろ」
そう言うと、強そうな奴の手を
強引にテーブルの上に叩きつけて
その上にダーツ(矢)を放り投げた
「これ使え」
298 :
自己:2013/01/22(火) 06:03:01.45 ID:IFvFlYLR0
机の上に
手をパーの形に広げて
一番目は親指と人差し指の間に刺して
二番目は人差し指と中指の間に刺して
三番目は中指と薬指の間に刺して
四番目は薬指と小指の間に刺して
五番目は小指の横に刺して
そしてまた四番目→三番目→二番目……
と刺しながら順番を戻っていく
できるだけ指の付け根の近くに刺し
できるだけ速く刺し
できるだけ長く続ける
単純な遊び
休み時間にペンなとで遊んだことは
ないだろうか
299 :
自己:2013/01/22(火) 06:08:39.24 ID:IFvFlYLR0
「くだらん」
強そうな奴は小馬鹿にしたように
笑って
友達を見た
友達は何も言わず、うっすら笑っていた
「じゃあさ、これでしようか?」
僕はポケットからカッターを取り出した
美術の時間に使った時
ポケットに入れたまま片付けるのを
忘れていたものだった
「僕が始めにするよ」
300 :
自己:2013/01/22(火) 20:11:46.95 ID:IFvFlYLR0
僕は
机の前に行き、机の上に手を置いて
指を広げた
「行くよ
1,2,3,4,5、……」
指と指の間をリズムよく順番に刺していく
誰も言葉を発せず
部室は静まりかえっていて
カッターが机を刺す音だけが聞こえていた
「おい…血っ」
僕の隣りに立っていた強そうな奴が
怒鳴った
301 :
自己:2013/01/22(火) 20:15:48.47 ID:IFvFlYLR0
「なんや、こいつ…」
強そうな奴は僕を見たあと
友達を見て
「とにかくな、俺の女と会うのは
絶対にやめろや
あいつから連絡あっても放っておいてくれ」
そう言い残して部室を出ていった
その時まで気付かなかったんだけど
一緒に部室に来た友人は
いつの間にか居なくなっていた
「まあまあ、いい女だったんだけどなw」
302 :
自己:2013/01/22(火) 20:20:32.64 ID:IFvFlYLR0
友達は
机の上のダート(矢)を拾うと
ダーツボードに向かって投げた
「言っとくけどな
途中までしか、やってないぞw」
僕はカッターをポケットに終うと
ハンカチで指をくるんで
苦笑いした
「また、カッターで傷付けてしまったな」
「なんのことだ?」
友達の問いをはぐらかして
逆に僕が質問した
303 :
自己:2013/01/22(火) 20:26:26.66 ID:IFvFlYLR0
「いや…
それより”途中まで”って何?」
友達は笑いながら答えた
「中田しはしなかったんだよ
、腹の上に出したんだw中で出してないから
”途中まで”って言ったんだよw」
「なに言ってんの?w」
「え?俺なんか変なこと言ったか?w」
僕は笑いながら
ダーツボードの前に行き
刺さっているダーツを全部抜いた
そしてダーツを持って友達の前に行き
言った
「一度やってみたかったんだ」
304 :
自己:2013/01/22(火) 20:32:29.13 ID:IFvFlYLR0
ダーツは、きっかけに過ぎない
これは後に知ったことだけど
友達は以前から僕を知っていたらしく
話したことのない僕を見て
”こいつとは必ず仲良くなる”と思って
いたそうだ
友達と僕は全く違うタイプ
だけど小さい時からずっと仲良く
遊んできたかのように
距離は一気に縮まって
それから二人で多くの遊びをしてきた
僕の指にはたくさんの傷がある
それは友達と過ごした証であり
僕が僕の感情に素直に動いた証拠でもある
305 :
自己:2013/01/22(火) 20:38:40.21 ID:IFvFlYLR0
GReeeeN【歩み】
から思い出した友達との話
友達はカラオケに行くと必ずGReeeeNを
歌う、というか
僕と曲の取り合いになる
だけどひとつ
友達にしか歌いこなせない曲がある
【恋文】
この曲から浮かぶ小さな話を書いてみよう
♪『また明日ね』って言って笑う
アナタにこんなにも好きだと気付く
初めて出逢えた『あの日』から
増えていく気持ちです♪
306 :
自己:2013/01/22(火) 20:43:00.19 ID:IFvFlYLR0
…
……
………
『あーぁ、今日も渡せなかった』
彼女は机の上に置いた手紙を見て
顔をしかめた
手紙の角が少し曲がっている
「また、書き直そうかな」
彼女が好きな人に初めて手紙を
書いたのは一年前
”いつか渡そう、絶対渡そう”
と思いながらも時間だけが過ぎていた
307 :
自己:2013/01/22(火) 20:47:49.54 ID:IFvFlYLR0
綺麗だった手紙は
好きな人に渡すタイミングを
カバンの中で待ってる間に
少しずつ汚れていったり折り目が
ついてしまって
彼女は手紙が汚れる度に
手紙を新しく書き直していた
「よし、書き直そっ!」
彼女は椅子に座って、机の引き出しから
レターセットを取り出した
そして
便箋を一枚取ると、好きな人の名前を書いて
想いを綴った
308 :
自己:2013/01/22(火) 20:54:49.28 ID:IFvFlYLR0
「…もし、これを渡して
今の関係が壊れっちゃったら嫌だなぁ…」
彼女は新しく書き直した手紙を
両手で持つと
好きな人との関係について考えた
− 彼とは何年前に会ったんだっけ
いつの間に好きになったんだっけ
1年前に手紙を渡そうと想ってから
ずっと、渡せなくて…
学校で話したり、一緒に帰ったり
遊んだり
彼は私のことを友達としか思ってなくて
この手紙を渡すことで
彼と私が気まずくなったら… −
309 :
自己:2013/01/22(火) 20:59:04.62 ID:IFvFlYLR0
「うん、決めた」
彼女は決意する
手紙を書くのは最後にしよう
この手紙を渡せなかったら彼のことは
諦めよう
次の日
彼女が学校に行き正門を通ると
少し前を眠そうな顔をしながら歩いている
彼がいた
彼女はカバンの中から手紙を取り出すと
コートのポケットに手紙を入れ直した
310 :
自己:2013/01/22(火) 21:04:08.26 ID:IFvFlYLR0
”ここなら
すぐに手紙を出して渡せる”
大きく二回深呼吸してから
彼の元に走っていき、後ろから声を掛けた
「おはよっ」
彼は彼女を見ると自分のカバンを
彼女に渡した
『ちょっと持ってて』
右手に自分のカバン
左手に彼のカバン
彼女の両手がふさがってしまった
「え?」
311 :
自己:2013/01/22(火) 21:08:42.24 ID:IFvFlYLR0
驚いた顔で
彼のカバンを持つ彼女
そんな彼女を眠そうな顔でジッと見つめたあと
彼は彼女のコートのポケットに手を入れて
手紙を出した
『この手紙、いつくれるんだ?
オレ、ずっと待ってるんだけど』
彼女はカバンを落とさないよう
両手にグッと力をいれた
「…今」
終わり
…
312 :
自己:2013/01/22(火) 21:14:48.27 ID:IFvFlYLR0
…
♪世界に一人のアナタへ、アナタへ
世界で一番素敵な明日を
手と手繋ぎ、いくつもの日々重ね
愛語って、そんな風にアナタといれたら♪
【恋文】を聴きながら
メールや電話は色々な場面で有効だと思う
けれど、時には
手紙を書くのもいいんじゃないかと思った
恋文じゃなくても
記念日や何かのお礼とかに
手紙を送るのもいいな
そう思いました
世界で一人のアナタへ
313 :
自己:2013/01/24(木) 08:27:19.16 ID:86GgzUGL0
アナタは
アナタ以下でもアナタ以上でもないんだよ
そのままの自分を自分が受け入れてあげて
自然体でいなきゃ疲れちゃうよ
あの固定さんは言いました
別の固定さんも言いました
人は鎧をつけて生きている
盾を持って…籠手をつけて…と
防具を増やしていくうちに
その重さに耐えきれなくなる時がくる
鎧を外して休息をとる時もあるだろう
だけど人は”耐え切れなくなる時がまた必ずくる”
と分かっていても、鎧をつけることを
やめることはできない
あの綺麗な川の向こうまで泳いで渡れる人は
果たして何人いるのだろうか…
314 :
自己:2013/01/24(木) 08:32:47.60 ID:86GgzUGL0
僕には難しくて分からない
今は歌の話を続けよう
>>312 【恋文】が友達の十八番なら
僕の十八番は【扉】
同じくGReeeeNの曲
テンポのいい曲で前向きな歌詞
この【扉】を聴きながら
浮かんだ話を
♪君が開くその目の前に、明日の自分は
見えていますか?
新しい扉のその先に、きっと出逢える『次の自分』
315 :
自己:2013/01/24(木) 08:37:18.36 ID:86GgzUGL0
…
……
………
『おぅ!やっと会えたなw』
派手な車から降りてきた男は
手を振りながら近付いてきた
「あっ、こんにちは…初めまして」
カチカチに緊張して
頭を下げる女を見て男は笑った
『なーに緊張してんのw』
316 :
自己:2013/01/24(木) 08:42:40.90 ID:86GgzUGL0
「ん…
…やっぱり緊張するよ、初めての
オフだもん」
男はズボンのポケットから財布を
取り出すと
中から免許証を出して女に渡した
『ほら、俺の免許証
コピーしてきてもいいぞw』
女は免許証の写真と
目の前の男の顔を見比べて
免許証が男のものだと確認する
「見せてくれて、ありがとう」
女は免許証を男に返そうとした
317 :
自己:2013/01/24(木) 08:48:24.20 ID:86GgzUGL0
『礼なんかイラネw
今日俺と別れるまで免許証持っててくれ
初対面で”信用しろ”っつうのも女からすれば
無茶な話だよなw
でも俺は免許証を渡すことでしか俺を証明できん
なんかあったら、この免許証を持って
警察に駆け込んでくれてもいいよw』
女は免許証を見て少し考えたあと
首を横に振った
「ん、いい
信用したって言ったら嘘になるけど
大丈夫」
318 :
自己:2013/01/24(木) 08:52:45.64 ID:86GgzUGL0
男は
免許証を受け取ると、自分の免許証を
見ながら言った
『うひょw我ながらイケメンw』
女は男を見てクスッと笑った
そんな女を見て男は嬉しそうに声を
弾ませた
『よかったー!やっと笑ってくれた!』
「2ちゃんやメールと全然変わらないね」
女の顔から緊張の色が消えていた
319 :
自己:2013/01/24(木) 08:57:35.82 ID:86GgzUGL0
『そうか?
まぁ俺はキャラを演じるほど
器用じゃないし?
ありのままの俺で2ちゃんやってきたからなぁー』
男は免許証を財布になおすと
財布をズボンのポケットにいれた
「本当に、そのまんまの人なんだなーって
少しビックリした」
男はシャツの胸ポケットから
今度は車のキーを出した
320 :
自己:2013/01/24(木) 09:01:53.58 ID:86GgzUGL0
『んじゃ
俺と会ってガッカリしてないって
ことやな?w』
「うん」
男は少し顔を赤らめて頷く女を見て
女の目の前に
鍵をぶら下げて見せた
『それやったら話は早いwホテル行こw』
女は一瞬驚いて男を見たが
すぐに目線を逸らして首を横に振った
321 :
自己:2013/01/24(木) 09:04:36.81 ID:86GgzUGL0
「…手が早いのも
2ちゃんと変わらないんだね…」
男は車のキーを引っ込めると
少し屈んで女の顔を覗き込んだ
『怒ったか?ごめんな』
女は男の申し訳なさそうな顔を見て
苦笑いした
「怒ってないよ」
322 :
自己:2013/01/24(木) 09:09:21.03 ID:86GgzUGL0
男は
安心したように溜め息をついた
『よかったーw
つか、お腹減ってないか?焼肉行こうぜw
国道沿いに、ええ店あるねん』
女は首を横に振った
「あ…のね
初対面の人の車に、すぐには乗れない
ごめんね」
男は明るい声で
辺りを見回しながら答えた
『そうかw
じゃあ、その辺の店にコーヒーでも
飲みに行こか』
323 :
自己:2013/01/24(木) 09:13:43.42 ID:86GgzUGL0
2人は
待ち合わせの場所からみえる
すぐ近くのカフェに入った
2ちゃんで出会い
多くの時間をスレで過ごして
それからメールをするようになって
時々、電話もした
初めこそ緊張と不安が入りまじり
いつも通りの自分を出せなかった女も
スレやメールと何も変わらない男に
安心感を持つようになり
いつも通りの自分を出せるようになった
324 :
自己:2013/01/24(木) 09:19:52.54 ID:86GgzUGL0
『あー
今日はマジ最高やでw会えてマジ嬉しいw』
男は満面の笑顔でそう言った後
空になったカップを見て店員を呼んだ
そしてテーブルの前に来た店員に
『コーヒー2つ、追加頼みます
それからね……』
声をひそめて
店員を手招きで自分のすぐ近くまで来させると
小さな声で言った
『それからね……
俺ら2ちゃんねるで知りあってんw
今日が初オフやねんけど誰にも言わんといてなw』
325 :
自己:2013/01/24(木) 09:24:43.00 ID:86GgzUGL0
店員は
複雑な表情で「かしこまりました」
とだけ言って
厨房に消えていった
「もー!なんてこと言うのよw
店員さん困ってたでしょーw」
恥ずかしそうに言う女に
男は楽しそうに答えた
『だってさー
この喜びを誰かに言いたくなってんもんw
俺ほんまに嬉しいねんでw』
326 :
自己:2013/01/24(木) 09:27:32.89 ID:86GgzUGL0
女は
男の顔を見ながらクスクス笑い出した
『なに?なに?』
「なんでもないよーだw
それよりお腹空いてないの?」
男は女が何故、笑ってるのか
分からなかったが
悪い気はしなかった
『ここで、何か食うか』
327 :
自己:2013/01/24(木) 09:32:06.37 ID:86GgzUGL0
男は
テーブルの横に置いてあるメニューを取り
女の前に広げた
女は笑って
男のシャツのポケットを指差しながら
言った
「焼肉は?」
男は一瞬キョトンとしたが
すぐに笑顔になり身を乗り出した
『いいんか?車』
女は首を縦に振った
「うん」
終わり
328 :
自己:2013/01/24(木) 09:40:06.43 ID:86GgzUGL0
…
♪君の扉を開ける鍵はいつも君の
ポケットの中
今開けば、ほら目の前に、きっと
待ってる『次の自分』が♪
【扉】を聴いていると
自己板のある固定さんを思い出す
言葉の壁にがんじがらめになっていた僕を
解放してくれた人
その固定さんの一言で僕は自分を取り戻せた
自分を思い出すことができた
その固定さんをイメージして書きました
329 :
自己:2013/01/24(木) 21:19:22.23 ID:86GgzUGL0
この話は
オフをテーマにもしている
以前「もし、自己板の固定がオフをしたら?」
というネタスレが立っていたように記憶する
だけど僕はそのスレに書いたのかは
記憶していない
僕はオフのネタ話を書いたことは
覚えている
だけど、それを何処で書いたのかは
覚えていない
記憶は曖昧になり
いつの間にか断片的にしか
思い出せなくなった
330 :
自己:2013/01/24(木) 21:20:34.27 ID:86GgzUGL0
そんな中で一つ
思い出した小さな話
偶然の話を
331 :
自己:2013/01/24(木) 21:24:49.00 ID:86GgzUGL0
…
……
”あの車を見ると、どんな人が
乗ってるのか見ちゃうな”
本屋の前に駐車している一台の車
を見て彼女は思った
”もし、住んでる場所が本当なら
すぐ近くに住んでるはず”
彼女は仕事で
ある固定(彼)が住んでいる街に来ていた
332 :
自己:2013/01/24(木) 21:28:12.91 ID:86GgzUGL0
彼女は
一人で頑張りたかった
自分の足で立てるまでは
誰の助けも借りないと決めていた
そうして彼女は頑張ってきた
”やっと、余裕が出てきたかも”
仕事に少し余裕が出てきた彼女は
休日になると
街を探検するようになった
333 :
自己:2013/01/24(木) 21:32:47.68 ID:86GgzUGL0
ある日曜のお昼過ぎ
”あの車を見ると、どんな人が
乗ってるのか見ちゃうな”
本屋の前に駐車している
一台の車を見て彼女は思った
”彼と同じ車種だ…
なんか…タイヤが他の車と違う感じ”
彼女は本屋を見た
窓際の棚の前で雑誌を読んでいる
人達がみえる
”彼っぽい人はいないな”
334 :
自己:2013/01/24(木) 21:37:12.92 ID:86GgzUGL0
彼女は
少しガッカリした気持ちで本屋に入った
本屋の中を、ゆっくり歩きながら
自分が欲しい本のコーナーを探した
すると
専門誌のコーナーに彼がいた
彼女は少し離れた場所から
本を探すふりをしながら彼をもう一度見た
”昆虫雑誌を見てるw
写真の顔と同じだし間違いないw”
335 :
自己:2013/01/24(木) 21:43:56.52 ID:86GgzUGL0
彼女は
声を掛けようと思ったが
万が一間違いである可能性を考えて
メールを送った
− いま●▲市の●本屋の前だよん^^ −
メールを送信して、しばらくすると
彼がポケットから携帯を取り出して
画面を見た
すぐにハッとした顔になり
顔を上げる彼
彼女はゆっくり近付いて
小さな声で、彼に声を掛けた
『クワガタ、好きなんですね』
終わり
336 :
自己:2013/01/24(木) 21:46:54.14 ID:86GgzUGL0
……
…
僕は同じスレで遊んでいた一派の人と
メールをして初めて
その人と同じ土地に
住んでることを知った
偶然は意外に近くに転がってる
ものだね
そう言って会うことになったんだっけ
>>198
337 :
自己:2013/01/24(木) 21:49:59.15 ID:86GgzUGL0
リアルの友達
ネットの知り合い
そこにいるのが
人であるのなら
どちらも大切だと
思う僕は
間違っているのだろうか
区別できるほど僕は
器用にはなれないようだ
338 :
自己:2013/01/29(火) 18:13:16.11 ID:pWX81Y2/0
君の居ない2ちゃんは
空虚で心細くて
息遣いが消え
君が居る時は踊ってた文字が
今は単なる羅列に変わってしまった
僕は窓を開けて
肌を撫でる風に君を思う
…
339 :
自己:2013/01/29(火) 18:18:08.93 ID:pWX81Y2/0
…
……
彼女は病室の窓から入ってくる
花の香りを楽しみにしていた
”いい香り…”
真っ白な壁に囲まれて
窓から見える景色は隣りの病棟だけ
ベッドから起き上がることのできない
入院生活の中で
風が運んでくる香りは彼女の心を
癒していた
”この香りは、どこからくるんだろう…”
340 :
自己:2013/01/29(火) 18:20:32.73 ID:pWX81Y2/0
…
彼女の隣りの病室に
彼がいた
彼女は彼を知らないが
彼は彼女を知っていた
彼は彼女が
動けないことを知っていた
…
341 :
自己:2013/01/29(火) 18:25:27.18 ID:pWX81Y2/0
彼は
彼女を知った次の日から
親に頼んで沢山の花を持ってきてもらった
そして
その花を窓際に置いて
花の香りが彼女に届くように願った
そのことを知っているのは風だけ
風だけが彼の心を知っていた
今日も風は
彼の病室から彼女の病室に
彼女を優しく包む香りと
彼の想いを運んでいる
終わり
…
342 :
自己:2013/01/29(火) 18:27:20.72 ID:pWX81Y2/0
…
今日は風が強かった
こんな日は君を思い出す
僕に強さと脆さを遺していった君を
…
343 :
自己:2013/01/29(火) 18:33:53.10 ID:pWX81Y2/0
…
……
………
”どの辺まで配ればいいんだろ”
彼女はプリントを見て考えていた
お祖母ちゃんから近所の家のポストに
入れるように頼まれた
【今週の日曜日、皆で道のゴミ拾いをして
街を綺麗にしましょう】
という呼び掛けのプリント
”プリントが無くなるまで配ればいいのかな”
その時、風が吹いた
「あっ!」
344 :
自己:2013/01/29(火) 18:38:51.37 ID:pWX81Y2/0
彼女が
持っていたプリントは
風に舞って道の上に散らばった
”大変…”
急いでプリントを拾ってると
前から人が歩いてくるのが見えた
「すみませんっ…」
彼女は顔を上げて歩いてきた人に謝った
すると
その人は彼女が落としたプリントを拾い
『…これで全部かな』
と彼女に渡した
345 :
自己:2013/01/29(火) 18:44:09.65 ID:pWX81Y2/0
「ありがとうございます!」
お礼を言う彼女に笑顔で首を振ると
その人は自分が持っていた紙袋の中から
一枚のプリントを出して
彼女に見せた
『祖母に配るように頼まれたんです
もしかして君も?』
「はっ、はいっ…そうです」
彼女はその人の持っているプリントが
自分と同じプリントであることを知った
346 :
自己:2013/01/29(火) 18:49:02.32 ID:pWX81Y2/0
『残りは僕が配ろうか?』
その人は、そう言うと
彼女のプリントを見た
「えっ?あっ…はいっ」
彼女は驚いて、咄嗟に
自分の持っているプリントをその人に
差し出してしまった
『じゃあ、プリントもらうね』
その人は彼女のプリントを受け取ると
自分が配るぶんのプリントが入っている
紙袋に
彼女のプリントを入れた
347 :
自己:2013/01/29(火) 18:55:00.71 ID:pWX81Y2/0
『じゃあ』
そう言うと、その人は彼女に
軽く頭を下げてから歩き出そうとした
「あっ…あのっ」
彼女の緊張は頂点に向かって
上がっていく
「あっ…あの、ここに来るまでに
私が配った家に貴方が同じプリントを
配ったらいけないから…」
先を言えない彼女の代弁をするかのように
その人は言った
『一緒に配ってくれるんですか?』
348 :
自己:2013/01/29(火) 18:57:56.43 ID:pWX81Y2/0
彼女は
大きな声で答えた
「はいっ!」
住宅街を並んで歩く二人
彼女は思った
”あの時、風が吹かなかったら
この人と話すことは無かっただろうな”
349 :
自己:2013/01/29(火) 19:03:01.18 ID:pWX81Y2/0
…
彼女は歩きながら
その人
− 何度も道ですれ違ったことのある彼 −
を見た
彼女の視線に気付いた彼は
彼女に優しい眼差しを向けながら言った
『君も日曜日、参加するの?』
終わり
…
350 :
自己:2013/01/29(火) 19:09:05.22 ID:pWX81Y2/0
僕は風が好きだ
香りを運んでくれる風が好きだ
悪戯をする風が好きだ
涙を乾かしてくれる風が好きだ
空気を一新する風が好きだ
今日も窓から入る風は
僕に生きている実感を与えてくれた
あの人が目を閉じている間に
今あの人の見える景色を彼方に吹いて
あの日が目を開けた時に
安らぎを感じる景色に変えて下さい
351 :
自己:2013/01/30(水) 18:50:26.71 ID:jQldey580
…
……
コツ、コツ、コツ
近付いてくる足音に
彼女の体は緊張で堅くなった
”ダメ…顔を上げれない…”
ここは待ち合わせ場所である駅前のロータリー
彼女はベンチに座って彼を待っていた
待ち合わせ時間の数分前
彼から教えて貰っていた色の車が
ロータリーに入ってきて
隅のほうに停車した
352 :
自己:2013/01/30(水) 18:54:37.31 ID:jQldey580
その車から
男が降りてこちらを見るのが見えた
その瞬間、彼女は目をそらせて
下を向いた
”彼だ…”
彼と会うのは今日で二回目
>>331-335 一回目は街で偶然出会ったものの
彼に用事があり
また別の日に会う約束をして別れた
その約束の日が今日だった
353 :
自己:2013/01/30(水) 18:59:03.21 ID:jQldey580
…
”一回目より緊張するな…”
街で偶然出会ったとき
先に声を掛けたのは彼女のほうだった
一回目は彼を見付けた嬉しい気持ちが強く
勢いで声を掛けたが
いざ改めて、待ち合わせて彼と会うとなると
想像以上の緊張を感じていた
”ちゃんとお話できるかな…”
354 :
自己:2013/01/30(水) 19:03:17.07 ID:jQldey580
その時
♪♪♪♪♪♪♪
彼女の携帯がメールの受信を知らせる
メロディを鳴らした
”着いたぞ”
彼からのメール
彼女は彼の車が停まった場所を
見ることができず
違う方向にしか顔を向けることが
できない
”ダメ…見れないよ…”
355 :
自己:2013/01/30(水) 19:07:59.36 ID:jQldey580
”…でも”
彼女は思い切って
彼の車が停まっている場所を見た
彼は車の横に立って
自分のほうを見ているのが見えた
車のほうを見た彼女に気付いて
彼は手を上げたが
彼女は恥ずかしさから、また目をそらせて
顔を下に向けてしまった
”どうしよう…動けない”
356 :
自己:2013/01/30(水) 19:12:40.71 ID:jQldey580
コツ、コツ、コツ
足音が聞こえてきた
こちらに近付いてくる足音
彼女は顔を上げることはできなかったが
自分に近付いているのが
彼だと感じていた
コツ、コツ………コツ
足音が止まる
彼女の前で
うつむいたままの彼女に
足音の主は優しく声を掛けた
『よぉ、待ったか?』
357 :
自己:2013/01/30(水) 19:16:44.71 ID:jQldey580
彼女は
ゆっくり立ち上がると小さな声で答えた
「…今きたとこ」
『そうか、あのさ…』
そう言うと彼は
彼女の頭の上に手を置いた
「えっ?!」
驚いてビクッと体が動く彼女
358 :
自己:2013/01/30(水) 19:22:08.58 ID:jQldey580
彼は
笑いながら言った
『チビだな』
彼女はまだ顔を上げることができず
自分の顔が
赤くならないことを祈っていた
何も答えない彼女を見て
彼は彼女の頭の上に乗せた手を
彼女の肩に移動させて
その手で彼女を自分のほうに
抱き寄せた
『緊張するか?
ゆっくりでいい…これから徐々に
俺になれていけばいいさ』
359 :
自己:2013/01/30(水) 19:27:17.76 ID:jQldey580
彼女は
頷くと目線をゆっくり上へ上げて
彼の目を見た
「…あのね」
彼女がずっと彼に言いたかった言葉
今日伝えようと思っていた想いを
言おうとした
「…あのね、私…ずっと………」
『ん?』
優しく問いかけるような彼の視線を
見ていると
彼女はまた、彼から目をそらせてしまい
言葉を詰まらせた
360 :
自己:2013/01/30(水) 19:32:54.44 ID:jQldey580
『ずっと…何?
ずっと好きだった…とか?
それだったら言われなくても知ってるぞ』
笑いながら言う彼に
彼女は
「それは勘違いです、バーカっ」
と顔を真っ赤にしながら
彼から体を離して、彼を睨み付けた
「それに、こんな所で抱き締めちゃ
ダメだよ
人がいっぱいいるし」
361 :
自己:2013/01/30(水) 19:37:05.65 ID:jQldey580
彼は
彼女をしばらく見つめたあと
真面目な表情で彼女に言った
『これからさ…
たくさん同じ景色を見ようぜ、俺とお前でさ』
そう言うと彼は
彼女の手を掴んで車を停めている場所に
向かい歩き出した
彼女は彼に手を引っ張られ
歩きながら彼の顔を見ると
彼は少し照れているように見えた
362 :
自己:2013/01/30(水) 19:43:45.23 ID:jQldey580
彼は
前を向いたまま明るい声で言った
『ここがダメでも
別の場所ならいいってことだよな』
彼の言葉に
彼女は足を止めた
手を繋いでる彼の足も止まる
「えっ?えっ?私そんなつもりで
今日来たんじゃないよ」
早口で言う彼女に
彼は優しく微笑んだ
『冗談だ…だけど
さっき、お前を抱き締めたことは
冗談なんかじゃないからな
覚えておけ』
終わり
363 :
自己:2013/01/30(水) 19:50:17.56 ID:jQldey580
……
…
この話は
以前書いた偶然の話の続き
>>331-335 僕は今まで架空の話の他に
実際のオフの話も書いてきた
勿論、文章にしたのはオフの相手に
承諾を得られた時だけと決めている
その中には少しばかりの脚色を加えて
ネタに見えるように書いた話もある
僕がサシオフの時に重要視すること
それは、どれだけ尊敬できる人か
364 :
自己:2013/01/30(水) 19:58:50.15 ID:jQldey580
…
居なくなった固定さんの中で
尊敬する人格者といって
真っ先に思い出すのはオーナーさん
人格だけでなく頭脳明晰で
議論に異様に強く
また議論の中に笑いを交えることを得意とし
理解に窮する難解な議論をしていても
ついROMしてしまう
人を惹き付ける魅力溢れる固定さんだった
今は自己板から消えているけれど
もしかすると
他の板にいるのかも知れない
僕が他の板で会った
元自己板のある固定さん達のように
2ちゃんの何処かで
あの気のきいた笑いを振り撒いて皆を
楽しませているんじゃないか
そんなふうに思うことがある
365 :
自己:2013/01/31(木) 18:29:11.63 ID:EYiJ8fbY0
…
……
「気を付けろよ!」
男は波打ち際を走る息子に大声で言った
息子は立ち止まり
男に向かって両手を振った
『父ちゃんも、遊ぼうよー!』
男はズボンの裾を膝まで捲し上げると
靴下と靴を脱ぎ
裸足で息子のほうに走っていった
「さすがに冷たいなw」
男は息子と2人、波打ち際で
波の飛沫を感じながら追いかけっこを
して遊んだ
366 :
自己:2013/01/31(木) 18:35:38.67 ID:EYiJ8fbY0
…
ひとしきり遊んだあと
男は息子を肩車して2人で海を見ていた
『あっ!船だー!』
地平線を雄大に横切る大きな船を
見付けて喜ぶ息子
「よく見ておけよ!
あの船のように男は常に旅にでるんだ!
それからな、これだけは絶対に守ってくれ!
人に優しくすることをな!!1」
男は息子に向かって叫んだ
367 :
自己:2013/01/31(木) 18:40:53.20 ID:EYiJ8fbY0
…
男の言葉を聞いた息子は
少し考えたあと、早口で話し出した
『先生にねー言われたから、くるみちゃんに
優しくしたらねー
あいかちゃんにワタシにはもっと
優しくしてって言われたよっ』
息子の言葉を聞いて苦笑した男は
笑いをこらえながら
こう言った
「馬鹿な父ちゃんにも分かるように
説明してくれないか?」
終わり
368 :
自己:2013/01/31(木) 18:45:51.14 ID:EYiJ8fbY0
……
…
議論の時によく言ってたオーナーさん
の言葉
「馬鹿な俺にも分かるように説明して
くれないか?」
こう言うことで議論をしている相手に
細かい説明を重ねさせて
相手の説明に矛盾がでたり、説明困難に
陥った時に、そこを指摘して
相手の言葉を引っくり返す
彼があの言葉を発したら
時すでに遅し
もう決着はついている
369 :
自己:2013/01/31(木) 18:50:16.57 ID:EYiJ8fbY0
…
議論をする相手としては
最も怖かったが、先にも書いたように
面白く笑いの絶えない人であり
また、どれだけ言い合っても蟠りを
残さないように配慮のできる
素晴らしい固定さんだった
去年、某所で見たという情報を最後に
今はその居所を知られていない
370 :
自己:2013/02/01(金) 18:01:28.13 ID:SyshDH1G0
あれは何年前のことだったか
>>364 …2年?…いや3年前
他の板を見ていた時に偶然見付けた
自己板の固定さん3人
その内2人は自己板に居たとき
自スレを持っていて
2人とも人気があったように記憶
している
1人は女の人、もう1人は男の人
そして、もう1人はAAが特徴的な固定さん
この3人が、ある専門板で
馴れ合いスレを立てて雑談しているのを
偶然見付けた
371 :
自己:2013/02/01(金) 18:06:32.05 ID:SyshDH1G0
僕は
3人が自己板に居た時は、一度も
話したことがなかったけど
彼らのスレが上がってる時に数回ROMした
ことがあり、名前は知っていた
僕は思い切って
そのスレに書き込んだ
「もしかして…自己板にいた固定さん?」
すると3人は、それをあっさりと認め
3人の雑談スレに僕が入ることも
あっさりと認めてくれた
372 :
自己:2013/02/01(金) 18:15:51.70 ID:SyshDH1G0
『私もハイヤースレはROMしているよ』
僕がハイヤーさんのスレをROM
していることを言うと
3人のうち1人(女の人)がそう言った
今までハイヤーさんのスレを見てきた中で
この女の人の書き込みを
見た記憶はなかった、聞けばROM専とのこと
ハイヤーさんのスレをROMしている人は多いらしく
他の人達からも
ハイヤーさんのスレをROMしていると
その後、何度も聞いて
僕は凄い人といたんだな…と遅ればせ
ながら心底驚いたものだ
373 :
自己:2013/02/01(金) 18:21:06.10 ID:SyshDH1G0
『貴方が誰か分かる気がする』
3人の前では名無しだったが、僕の話を
聞いて、その女の人は言った
ハイヤーさんのスレをROMしていた
その女の人には
僕が言った言葉から、すぐに名無しである
僕が誰か分かったらしく
その女の人のROM力の高さもそうだけど
僕を知っている人がいたことへの
驚きが強かったことを覚えている
374 :
自己:2013/02/01(金) 18:29:35.05 ID:SyshDH1G0
3人は
もう自己板で自スレを立てるつもりはなく
2ちゃんに意識を向けることも
薄れているようだった
色々な理由があるようだったけど
それは、此処に書くことは控えて
印象に残った言葉を一つだけ
− 言葉遊びをする人が少なくなった −
自己板では話すことのなかった3人と僕
他の板で偶然、出会って話すようになったことは
これも一つの
不思議な縁と呼んでいいのではないだろうか
数スレを一緒に楽しんだ時間は
とても貴重な思い出だと思っている
時々
3人と交わした会話が浮かんでは僕を
幸せな気持ちにしてくれる
375 :
自己:2013/02/01(金) 18:34:44.26 ID:SyshDH1G0
…
今は何処にいるのか
2ちゃんから居なくなったのか
分からないけど
きっと3人は、あの何でも笑い飛ばす明るさで
人生を楽しんでいるような気がする
僕が自己板から出て、他の板に行くのは
専門板でもらえる知識の他に
こういう偶然…嬉しい偶然があるからだ
ほんとに少ない偶然だけど、その偶然は
必ず僕を温かくしてくれるから
376 :
自己:2013/02/01(金) 18:43:22.75 ID:SyshDH1G0
…
……
俺の朝
起床→→朝食→→用意→→玄関を出る
そして→→倒れてる看板を直す
”また倒れてる”
駅に行くまでの道に並ぶ飲食店
自宅からすぐの場所だ
その飲食店の一軒が先月から
店の入口横の壁に、縦横1bくらいの
看板を立て掛けるようになった
看板には
その日のお勧めメニューや営業時間が
書いていた
377 :
自己:2013/02/01(金) 18:49:08.90 ID:SyshDH1G0
…
”俺の朝の日課になったな、これ”
俺が店の前を通る時
かなりの確率で看板が倒れていて
俺はいつも
倒れている看板を直してから駅に行く
倒れてる看板を踏んで
怪我をする人がいるかも知れないからだ
看板を直しながら
ふと疑問を抱く
”そーいや、平日は俺が学校に行く時に
直すけど
休みの時はどうなってんだろ………”
378 :
自己:2013/02/01(金) 18:54:43.39 ID:SyshDH1G0
俺は顔を上げた
”…俺には関係ないことだ
そこまで考える必要はねえだろ”
俺は看板を直し
駅に向かった
その日の夜
”やべえ、気になる………”
俺は看板のことが気になって
明日は休みだけど、平日と同じ時間に起きて
看板を見に行くことにした
”朝に、看板が倒れていることを
店の人に言わないといけないな”
379 :
自己:2013/02/01(金) 18:59:38.69 ID:SyshDH1G0
次の朝
いつもより少し遅い時間に目が覚めた
俺は起きると
服を着替えて家を出て、店の看板を見に行った
すると看板は店の壁に立て掛けられていて
その前に立っている人が見えた
母親だった
母親は俺に気付くと驚いた顔をしたが
すぐに、いつもの調子で話し出した
380 :
自己:2013/02/01(金) 19:08:06.66 ID:SyshDH1G0
『何してるの?出掛けるの?
こんな朝早くから何処に行くの?』
俺は母親を見たあと看板を見た
俺の目の動きに気付いた母親は真剣な
表情で話を続ける
『この看板な、倒れてたから直してん
それが不思議なんやけど、平日は倒れてないのよ
でも休みの日は倒れてるねん
何かの呪いかも分からんな!』
俺は母親の顔を凝視した
「え?…じゃあ休みの日は、この看板を
母ちゃんが直してたんか?」
381 :
自己:2013/02/01(金) 19:14:19.95 ID:SyshDH1G0
俺の質問に
母親は答えた
『そうやよ!休みの日は私が直してるんよ
平日は、あんたが学校に行った後に直しに
来るねんけど、平日は倒れてないねん
倒れてないけど気になるから毎日
見に来てるねん
誰か怪我したら危ないからなぁ』
俺は母親の言葉を聞きながら
自分の口元がゆるんでくるのを感じた
「そうだな、危ないよな
店の人に看板のことを言おうや
後で俺が電話するわ」
382 :
自己:2013/02/01(金) 19:18:46.05 ID:SyshDH1G0
母親は
俺を見て笑った
『帰って朝ごはん食べよ』
母親と家に向かって歩きながら
俺は頭の中で今日の予定を立てた
朝食→→電話→→外出→→本屋→
→母ちゃんの喜びそうなスィーツを買いに行く
終わり
383 :
自己:2013/02/01(金) 19:23:10.38 ID:SyshDH1G0
…
今日笑って、明日も笑って
明後日、明々後日も君が笑ってくれること
それが大切な人への僕の願いです
今、笑えなくても
明日笑えるかも知れない
明日、笑えなくても
明後日笑えるかも知れない
笑うことが全てとは言わないけど
大切な人に笑顔が戻ることを
僕は信じています
電気屋次郎
385 :
自己:2013/02/08(金) 11:04:58.02 ID:7ivVisIA0
人は大切なものを持っている
愛する人だったり
友達だったり
家族だったり
趣味だったり
お金だったり
地位だったり
外見だったり
他人から不要と思うものでも
本人が大切だと思えば、それは宝物になる
386 :
自己:2013/02/08(金) 11:07:45.84 ID:7ivVisIA0
僕の大切は
親友
あの人の存在が僕に力を与えてくれる
僕に感情を与えてくれる
あの人の力になれるなら何でも
するだろう
今までしてきたように
これからも一緒に色んな橋を
渡っていくだろう
387 :
自己:2013/02/08(金) 11:14:02.35 ID:7ivVisIA0
ところで
ここ、自己板を大切に思う人は誰だろう
…と言って思い浮かぶ名前
この人は自己板を自分の宝物と
考えているのだろうか
この人は自己板にとって宝なの
だろうか
この人の動画を見る前と、見た後では
彼に対する評価が
『何となくキモい人』から『やっぱりキモい人』
に少し変わりました
馴れ合い板に無常を感じ
自己板のあるべき姿を独自の観点で
追求し、唯我独尊に突き進む
自己板を恐らく誰よりも大切に思う人
まきひと
…
388 :
自己:2013/02/08(金) 11:19:54.45 ID:7ivVisIA0
…
……
「まじかよ…^^;」
ハイヤーはメールを見て愕然とした
今日は新しく買った車で妹とドライブに行く
予定だったのだが
待ち合わせ時間になっても妹は来ない
妹にメールを打とうとした時に届いた
マキヒトからのメール
”妹を拉致した
返してほしければ、お前一人で根岸競○場へ来い”
ハイヤーは車に(靴を脱いで)急いで乗ると
根岸競○場へ向かった
389 :
自己:2013/02/08(金) 11:26:14.73 ID:7ivVisIA0
…
根岸競○場に着くと、またメールが届いた
”建物の右側にドアが並んでる
そのドアの二つ目を開けて中へ入れ
中に入ったら、すぐに階段がある
その階段を上がって突き当たりの部屋に来い”
ハイヤーはメールに書いてある通りに進み
突き当たりの部屋のドアを
勢いよく開けた
『ハイヤー、久しぶりだね………』
部屋の中にはマキヒトがいて
その傍らに妹が横たわっていた
390 :
自己:2013/02/08(金) 11:31:40.51 ID:7ivVisIA0
…
「お前、こいつに何したんだ^^;?」
床に横たわり動かない妹を見て
ハイヤーはマキヒトに怒りを覚えた
『何もしていないよ……少し寝てもらってるだけだよ…
それよりハイヤー、これが何か分かるかな?』
前に突き出したマキヒトの手をよく見ると
リモコンのようなものが握られていた
『これはね、爆弾の起爆ボタンなんだよ』
クスクス笑いながら言うマキヒト
391 :
自己:2013/02/08(金) 11:37:19.37 ID:7ivVisIA0
…
「まさか…^^;」
『その”まさか”だよ……
爆弾は、お前の妹の体につけたんだよ
分かったかい?ハイヤー
ハイヤーには選択権はないんだよ?』
怒りに震えるハイヤーを見て
高笑いするマキヒト
『あっははは
勘違いしないでくれ、ハイヤー
お前が僕の言うことを聞いてくれさえすれば
妹には危害は加えないよ』
ハイヤーは肩を震わせた
「何がしたいんだ^^;?」
392 :
自己:2013/02/08(金) 11:42:02.00 ID:7ivVisIA0
…
数分後
ハイヤーは両手を後ろで縛られて
床に座らされていた
ハイヤーの様子をクスクス笑いながら
マキヒトはハイヤーの前に
パソコンを持ってきた
『ハイヤー………これを見てごらんよ』
パソコンの画面を見ると、ハイヤーの車が映っていた
ハイヤーは驚いてマキヒトの顔を見た
「どういうことだ^^;?」
393 :
自己:2013/02/08(金) 11:49:06.51 ID:7ivVisIA0
…
マキヒトは笑いをこらえながら言った
『ハイヤーが車を停めた場所にカメラを
つけていたんだよ
…見ててごらん
今から面白いことが始まるから』
しばらくすると画面の端から
子供がたくさん出てきて
あっという間にハイヤーの車を
取り囲んだ
「なんだ?これは…^^;」
ハイヤーの質問に
マキヒトは両手で口を押さえながら
答えた
『近所の幼稚園児30人だよ
さっきまで砂遊びをしていて、まだ手を
洗っていないらしい………』
394 :
自己:2013/02/08(金) 11:55:15.17 ID:7ivVisIA0
…
ハイヤーの顔から血の気が引いた
「や、やめてくれ^^;」
マキヒトはハイヤーを横目でチラっと見た後
パソコンについたマイクに向かって言った
『みんな…車を触っていいよ………』
マキヒトの言葉を合図に
画面の中の子供達は一斉にハイヤーの車を
ペタペタ触りだした
中にはボンネットの上に乗ってジャンプしたり
ミラーにぶら下がって遊ぶ子供もいた
ハイヤーの車は、みるみるうちに
汚れていった
395 :
自己:2013/02/08(金) 11:57:40.32 ID:7ivVisIA0
マキヒトは
満足そうにハイヤーを見た
『ハイヤーともあろう者が
自スレに自分の弱点を書くなんて
よほど車を買ったことが嬉しかったんだね………』
665 :higher:2013/02/03(日) 13:18:48.52 ID:EfshgnoB0
>>663 他人事だと思ってお前…
どうでもいいがオレが見てないとこでベタベタ触るのやめろ。
新車だぞ新車^^;
396 :
自己:2013/02/08(金) 12:02:12.60 ID:7ivVisIA0
…
呆然となり言葉を失うハイヤー
マキヒトはパソコンを横に置くと
ハイヤーの前に座り
そしてハイヤーを抱き締めた
『ハイヤー……僕の言うことを聞いて
くれるよね?』
マキヒトを見ず
床を見たまま頷くハイヤーの額に
マキヒトは、そっとキスをした
……
…
397 :
自己:2013/02/08(金) 12:06:17.97 ID:7ivVisIA0
…
『って言うか、感謝してよねマキヒトw』
妹は部屋を出るとき
ドアの前で振り返り、幸せそうな顔で眠っている
マキヒトに声を掛けた
ハイヤーと並んで眠るマキヒトの顔を見ていると
自分まで自然に笑顔になる
ハイヤーも、また幸せそうな顔で
眠っていた
2人は愛を確かめ合ったのだ
398 :
自己:2013/02/08(金) 12:14:24.70 ID:7ivVisIA0
…
初めこそ弱味に付け込んだマキヒトの行為に
屈辱感を隠せなかったハイヤーだったけど
自分への偽りなきマキヒトの心にうたれて
いつしか
マキヒトの心と体を受け入れていた
『今だから言えるけど…僕の童貞を奪ったのは
夢板の女帝なんだよ…
女帝に色々なテクニックを教えて貰ったんだ………』
「…間接的に、あの女帝に抱かれている気分に
なってきたぜ^^;」
『こんなことや………』
「あっ><」
『それから、こんなことも………』
「うっ><」
そんな2人の様子を
妹は寝た振りをして見ていた
399 :
自己:2013/02/08(金) 12:23:03.41 ID:7ivVisIA0
…
2人が眠りにつくと
妹は音を立てないように注意しながら
立ち上がった
『わたしの負けだね、マキヒトw』
妹の拉致は、マキヒトと妹が二人で考えたもの
爆弾なんて最初から無かった
パソコンで見たハイヤーの車の動画も
マキヒトが作った合成の動画だった
二人は何故こんなことをしたのか?
それはハイヤーがどちらを”大切”に思って
いるのかを知りたかったから
『兄貴はマキヒトの愛を拒むと
思ったんだけどなぁ…
やっぱりマキヒトは兄貴を、そして兄貴はマキヒトを
”無二の大切”だと思ってたんだね』
妹はドアをそっと閉めて部屋を出た
400 :
自己:2013/02/08(金) 12:29:08.80 ID:7ivVisIA0
…
『うーーーんっ』
妹は両手をあげて体を伸ばした
手の中には兄貴のポケットからこっそり
取ってきた車のキーが光っていた
『ちょっとドライブに行ってきますっ』
兄貴の車にキーを差し込み
ドアを開けると”土足厳禁”と書かれた紙が
助手席の上に置いているのが見えた
『まじですか…』
妹はもう一度両手をあげて体を伸ばすと
靴を脱いで車に乗った
『さてと…』
終わり
401 :
自己:2013/02/08(金) 12:35:13.13 ID:7ivVisIA0
……
…
まきひとは言葉を綴るとき
字に命を吹き込むとき
動画を撮るとき
いつもハイヤーさんを…
画面の向こうにいるハイヤーさんを
意識しているような
気がする
二人は親友であり
敵であり無二の存在であり
この二人の間に入れる人は今後も
現れないと思う
まきひと
自己板とハイヤーさんを誰よりも
大切に思っている人
402 :
自己:2013/02/10(日) 10:39:11.81 ID:sH7WpPsH0
…
僕は思い出していた………
ガラ、ガラ、ガラ
細長く続く廊下
低い天井
無表情な看護婦さん
同情が表れた擦れ違う人
− ここ天井低いな −
病室から手術室に向かう道
僕はベッドに寝たまま運ばれている
気のせいか?前回と比べると廊下の
天井が低く感じる
ガラ、ガラ、ガラ
403 :
自己:2013/02/10(日) 10:43:57.12 ID:sH7WpPsH0
…
− この天井が僕の見る最後の景色なのかな −
前回と同じ考えが頭を過ぎる
二度と見たくないと思った景色を
また見ている
だけど、今回は前回のように体に多くの
管を挿す必要はなく
手術のようだけど治療と呼ばれるもの
ガラ、ガラ、ガラ
少しずつ近付く手術室
少しずつ少しずつ少しずつ
404 :
自己:2013/02/10(日) 10:48:26.91 ID:sH7WpPsH0
できることなら
逃げ出したい
音が耳に障る
ガラ、ガラ、ガラ
いや…これが終われば楽になる
先延ばしにできることでもないんだから
早いところ終わらせよう
「どうってことないよ」
僕は病室から手術室に向かうベッドの横に
付き添ってくれている親に
笑いながら言った
「じゃあね」
…
405 :
自己:2013/02/10(日) 10:54:10.15 ID:sH7WpPsH0
手術室に入ると
【LOVE SONG】ファンモンの曲が流れている
僕が少しでもリラックスするようにと
流してくれている病院の配慮
曲は僕が選べるんだけど…
− 選曲、間違えたかな −
大好きな曲だけど、今は心に
響かない
いつも口ずさむ曲だけど、今は
僕の体を通り過ぎる
− 曲が悪いんじゃない
こんな状況だから何を聴いても同じなんだろう −
406 :
自己:2013/02/10(日) 11:00:59.60 ID:sH7WpPsH0
…にしても
麻酔は全身より局所のほうが
体への負担が少ないことや諸々は分かるけど
全身にして下さい;
と思う時があり、今、この時がその時だった
意識が無くなってる間に
終わらせてくれたら恐怖感はないのに
事前に安定剤を飲んだけど
効いているんだろうか
この冷や汗…
毎回願うこと
精神の均衡が崩れる前に終わりますように…
もうすぐ終わる、もうすぐ終わる…
407 :
自己:2013/02/10(日) 11:05:20.29 ID:sH7WpPsH0
何が痛いって
麻酔の注射もだけど、止血が痛い
圧迫する感じ
治療が終わった後も止血は、なかなか
終わらない
精神疲労で体がベッドに沈む感覚
眠りたいけど眠れない
僕は目を閉じて
時間が過ぎるのを待つ
目を開ける時には
いい方向に向かっているはず
きっと
408 :
自己:2013/02/10(日) 11:10:07.09 ID:sH7WpPsH0
…
看護婦さんの声に目を開けると
窓の外は暗くなっていた
心電図や体温等の確認の為に部屋に
入ってきて
僕の体調を確かめてから出ていく
この繰り返し
医師の説明が終わり
やっと眠れる
看護婦さんが持ってきてくれた夕食を
食べる気になれず
飲み物だけ少し飲むと僕はまた目を閉じた
409 :
自己:2013/02/10(日) 11:17:34.26 ID:sH7WpPsH0
…
後日
僕はこの治療のことを元カノには
言わなかった
心配を掛けたくなかったからなんだけど
治療から数週間後、元カノが仕事で
僕の住む土地に来ることになり
”都合がつくなら会おう”と言われたものの
僕はまだ体調が優れず、治療で
入院していたことを、その時初めて話した
そして、その時に分かったことがあった
どうして、あのとき元カノが会いに来てくれたのか
>>31 どうして、検査について詳しく質問してきたのか
>>121 元カノ自身も体に不安要素を抱えていて
動けるうちに会いに行こう
と、思ってくれたからだった
410 :
自己:2013/02/10(日) 11:28:37.55 ID:sH7WpPsH0
僕は
自分の辛さを他人には見せない
小さい時から入院することがあり散々周りに
心配を掛けてきたから
いつしか、それは身について
体調だけでなく精神的な辛さも人に
見せなくなっていた
そのことを知っている元カノは
僕を心配して会いに来てくれた
自分も翌日に再検査を控えていたのに
言わなかった
僕も治療で入院することは元カノには
言わなかった
お互い”相手に心配を掛けないように”
と思って言わなかったこと
411 :
自己:2013/02/10(日) 11:35:22.62 ID:sH7WpPsH0
…
『これからは何でも言うようにしよう』
そう二人は約束した
互いに死を意識した経験から、人はいつ
どうなるか分からない
という言葉の意味を理解したから
それでも
僕は体調のことは言えないことが多い
遠く離れた人(元カノ)に、遠く離れた僕が
元気で頑張ってると思っていて
ほしいから
それに体はずっと30kg台、こんな体で会える
わけがない
僕は今、元気ということになってるんだから
間違ってるかも知れないけれど
これが僕なんだ
412 :
自己:2013/02/10(日) 11:41:15.71 ID:sH7WpPsH0
僕は
点滴が終わったあと歩ける状態なら
必ず決まって行く場所がある
廊下を抜けた先
病院の屋上に続く階段
高い柵で囲まれた屋上
屋上から見える公園
いつか必ず走れる
疲れても、休めばまた走れるようになる
そんな願いを想像する場所
僕にとって贅沢な場所へ
…
413 :
自己:2013/02/10(日) 11:45:56.82 ID:sH7WpPsH0
…
……
『じゃあ、行ってきます』
皆に頭を下げてから先輩は部屋から
出ていった
今日から出張で二日間も顔を見ることが
できなくなる
”先輩が居ないと、つまんないなぁ”
ずっと憧れている先輩
会社の中だけじゃなく飲みに連れて行って
くれたり、凄く優しい
”でも二人っきりで飲みに行ったことはないなぁ”
414 :
自己:2013/02/10(日) 11:50:41.87 ID:sH7WpPsH0
…
先輩は誰にでも優しい
だからこそ
好きになったんだけど………
『あっ!この資料を渡すの忘れてた!』
上司が手に資料を持ち
先輩が出ていったドアのほうを見た
「わっ私が届けけしまう!
あ、失礼しました!私が届けてきます!」
私は上司の前に行き、資料を受け取ると
急いで先輩を追い掛けた
415 :
自己:2013/02/10(日) 11:56:55.80 ID:sH7WpPsH0
廊下に出て
エレベーターホールに行くと
2台あるエレベーターは、どちらも
下の階に向かって移動していた
携帯は自分の机の上に忘れてきた
早く行かないと、先輩は会社から出てしまい
追い付けなくなる
焦った私は階段を使って、先輩を
追い掛けることにした
”早く行かなきゃ!”
私は一階に向かって急いで階段をおりた
一階につきホールに行くと
先輩がいて、私を見付けると手を振った
416 :
自己:2013/02/10(日) 12:04:33.20 ID:sH7WpPsH0
…
『今、課長から電話があって
君が資料を届けてくれるって………大丈夫?』
息を切らしてハァハァ言いながら
資料を差し出す私を
先輩は心配そうに見た
「…ハァハァ…先輩…好きです
あ、失礼しました…資料です……」
先輩は呆気に取られた顔をした
『えっ?』
「…えっ?」
先輩が何故そんな顔をするのか
分からない私
417 :
自己:2013/02/10(日) 12:09:45.77 ID:sH7WpPsH0
…
『んっ?』
「…んっ?あっ!ああぁっ………!」
私は自分の口から、つい出てしまった言葉に
気付いて
恥ずかしさで、いっぱいになった
『あ〜ぁ、先に言われた』
先輩はそう言うと、私の手から
資料を取り
照れくさそうに笑った
終わり
418 :
自己:2013/02/10(日) 12:16:27.30 ID:sH7WpPsH0
……
…
その昔、まきひとは”自殺志願者”というハンネで
『人間失格』を意識したような固定をしていた
時期があるらしい
顔や家柄が芥川龍之介に似ている彼は
芥川龍之介が自殺志願者だったことから
ハンネを”自殺志願者”にしたんじゃないかな
そして今は『彼は昔の彼ならず』
彼の思考は複雑だけど
トリップをよく行くネカフェのサイバッ○にしたり
時々びっくりするくらい安直だから
有り得る話
419 :
自己:2013/02/10(日) 12:22:38.21 ID:sH7WpPsH0
…
『…こんな時間まで起きているのは
久しぶりだな…』
電話を切ってから今まで
>>289 僕は現在のこと、過去のこと、未来のこと
2ちゃんのことを考えていた
眠れない時
僕は思考の旅に出ることがある
意識は時間を駆け巡り
僕を色んな場所に連れていってくれる
夜の半ば
眠りに落ちるまで次は何をしよう…
420 :
自己:2013/02/13(水) 08:01:57.38 ID:3xE9QVs50
…
開いたままのクローク
中に置いている◇◇の形見
>>143>>146 時々思い出す不思議な出来事
◇◇の友人
>>158、◇◇の学校の親友、僕
この3人が経験した少し不思議な出来事
421 :
自己:2013/02/13(水) 08:06:04.25 ID:3xE9QVs50
…
納骨が終わった後
みんなで食事に…という話になった
だけど僕は食事に行く気力がなくて
◇◇の家族と友人に挨拶をしたあと家に帰った
帰り道、別れ際に見せた
何か言いたそうな友人の表情を思い出していた
422 :
自己:2013/02/13(水) 08:10:49.04 ID:3xE9QVs50
その夜
友人から電話がきた
友人は僕が帰った後の食事会や
その時に出た会話内容を教えてくれた
ぼんやりと話を聞いていた僕だったが
友人がある話(友人と学校の親友に起こった話)を
始めた途端、友人の言葉に集中した
友人が話を終えた後
僕はベッドを見ながら言った
「僕も同じ経験をしたよ」
423 :
自己:2013/02/13(水) 08:18:00.72 ID:3xE9QVs50
『…お前もか
まあ当然と言えば当然だよな』
友人は一瞬驚いたけど
すぐに納得したようだった
「うん…君達と同じ日、同じ時間
◇◇は僕にも会いに来てくれたよ」
僕はベッドを見た
「僕は寝ていたんだけど
目が覚めてね、空気の冷たさを感じたんだ
体が氷漬けにされたような感覚だったかな」
友人はまた驚いた
『同じ同じ、俺もそんな感じだった』
424 :
自己:2013/02/13(水) 08:24:02.72 ID:3xE9QVs50
僕は
ベッドから目を離した
「右側に気配を感じたんだ…
不思議だけど、僕は気配だけで◇◇だと
分かったんだ
でも体が硬直して動けなかった
だから僕は唯一動く目で右側を見たんだ…
…そこにね、◇◇が立っていたんだ」
友人は溜め息をついた
『…そうか』
「◇◇はベッドの横に立って
僕を見ていたよ
僕は”ありがとう、成仏して下さい”って
心の中で言ったんだ
するとね、暫くすると消えたんだ」
425 :
自己:2013/02/13(水) 08:30:18.16 ID:3xE9QVs50
…
友人は小さな声で言った
『◇◇の学校の親友も同じだったみたいだ
俺とはそんな面識ないし
普通なら◇◇が会いに来た話なんて絶対しないけど
何となく
”話さないと”って衝動的に思ったらしい
俺も同じ経験したけど今まで誰にも
言わずに黙っていたもんな
◇◇は最後に会いに来てくれたんだろうな
お前と俺と学校の親友にな』
電話の向こうで煙草に火をつける音がした
426 :
自己:2013/02/13(水) 08:39:04.51 ID:3xE9QVs50
…
僕が黙っていると
友人は続けた
『◇◇が無くなる2週間前に
◇◇が悟りを開いたみたいなことを
言い出したんだ
◇◇って前から哲学的なとこがあったろ?
だから、その時も”いつもの話か”って
あまり話を聞かなかったんだよ…
でもな、いま考えると
俺に何かを訴えたかったんじゃないかって
思うんだよな…』
僕はクロークを見た
「…人間は死が近付くと
無意識のうちに悟りを開く…というか
”何か”が見えるのかも知れないね………」
そのあと少し話し
電話を切った
427 :
自己:2013/02/13(水) 08:43:03.12 ID:3xE9QVs50
僕は
部屋の中で音を立てないようにして
耳を澄ませた
「…気のせいか」
クロークの前に立ち
もう一度、耳を澄ませる
「やっぱり気のせいだ」
友人と電話中
>>426 クロークの中から音が聞こえたような
気がしたけど
気のせいだったみたいだ
428 :
自己:2013/02/13(水) 08:48:06.55 ID:3xE9QVs50
…
僕は何となく
クロークを開けて中を見た
一気に僕の目から涙が
溢れ出した
◇◇の形見をいれた鍵の付いたケース
間違いなく、確かに閉じたはずの鍵が外れていて
ケースが少し開いて、形見が少し見えていた
− これが本当の最後の別れなんだ −
あの日僕は床に崩れて泣き続けた
429 :
自己:2013/02/13(水) 08:52:30.42 ID:3xE9QVs50
…
この話は
友人同様、僕も誰にも言わず黙っていた
友人とは繋がりがあるから、いずれ
話したかも知れない
だけどお葬式の時に初めて会った学校の親友とは
話す機会は少なかったと思う
いや、なかった…と思う
だけどその親友に不思議な力が働いて
友人に”◇◇が会いに来てくれた”ことを
話させた
430 :
自己:2013/02/13(水) 08:58:07.25 ID:3xE9QVs50
…
◇◇は何かを言いたかったのだろうか
何かをしてほしいのだろうか
残された僕達には
◇◇と過ごした日々から◇◇の考えを
想像するしかなく
悔い堕ちることばかりだけど
3人は◇◇が結び付けてくれた同志であり
◇◇の意志を継ぐ行動をしていきたいと思っている
今、2人は一人前の医者になる為に
頑張っているよ
431 :
自己:2013/02/13(水) 09:07:26.40 ID:3xE9QVs50
…
そう言えば、曾祖母が入院中
亡くなる一週間前
窓の外を見て
『〇〇さん、□□さん………が手を振ってる』
と、先に亡くなった
5人くらいの友達の名前を呼んで
窓の外に向かって手を振ったらしい
これと似た話を聞いたことはないだろうか?
これは死への恐怖を和らげる為にくれた
”幻覚”という名の
神様からの贈り物ではないだろうか
だけど
本当に、先に亡くなった人達が迎えに来て
くれていたのなら
死に対する考え方が少し変わるような気がする
432 :
自己:2013/02/14(木) 18:55:27.75 ID:EfLuvxbK0
…
もう一つ、不思議な出来事を
友達3人と旅行先で訪れた廃墟(民家)
それは旅行の出発前に、友達がネットで
調べてくれていた廃墟だった
車から降りると
高いフェンスに囲まれた古くさびれた
民家が見えた
落書きされている立ち入り禁止の看板、壁
コンクリートの地面
友達の一人が呟いた
『ナナシノゲエムってDSのゲームみたいだな』
433 :
自己:2013/02/14(木) 19:02:19.21 ID:EfLuvxbK0
僕達は
フェンスを乗り越えることができず
フェンス沿いに歩きながら、敷地内の建物を
見ていた
どのくらい見ていただろうか…
少し寒くなってきた…
雑草が生い茂っているからだろうか
湿気の匂いがする
『わっ!』
友達の一人が叫びながら後退り
すぐ横にいた僕の腕を持った
『いま何か見えた』
僕達に緊張が走った
『なに??』『えっ?!』「どこに???」
434 :
自己:2013/02/14(木) 19:07:25.17 ID:EfLuvxbK0
…
『あの小さい窓から、人がこっちを見てたっ』
友達の一人が指を指した1階の窓を見るが
何も見えない
その小さな窓には格子があり
硝子は割れて無くなっていた
民家の外壁のいたるところに
書かれた落書き
− 民家の中も落書きだらけなんだろうか −
435 :
自己:2013/02/14(木) 19:14:09.48 ID:EfLuvxbK0
…
そんな事を考えながら
ふと民家の2階部分を見て
ゾッとした
2階の部屋の窓に、赤ちゃんがいた
少し開いた窓の隙間から
赤ちゃんが、ニタニタ笑って僕達を見下ろしていた
『あ…あれ………』
僕は赤ちゃんから目を離さずに
言った
『赤ちゃんがいる…』
友達は僕の視線の先を見ると
一斉に叫び声をあげた
『見えたっ見えたっ』『いや…』「えー?!どこ?」
436 :
自己:2013/02/14(木) 19:20:38.38 ID:EfLuvxbK0
僕の他
2人は見えたけど、1人には見えなかったようだ
『…に、人形じゃないよなっ』
『………もう帰ろうよ』
「見えない!」
僕達が見ている前で
赤ちゃんは、窓の下にスーっと消えていった
『…ぁあ、消えたっ』
『もう…帰ろうよ』
「見えない!!」
僕達は2階の窓から目を離すことができず
また何故か動けず
4人で体を寄せ合って震えていた
437 :
自己:2013/02/14(木) 19:28:13.88 ID:EfLuvxbK0
…
『お願いだからあぁぁ…帰ろうぅっ!』
友達の1人が金切り声をあげた
僕はハッとして、その友達の青白い顔を見た
ガチャ
その時、1階で音がした
音のするほうを見ると勝手口らしい
ドアがあった
ガチャ、ガチャ、ガチャガチャガチャガチャガチャ………
『おいっ行くぞっ!』
いきなり友達2人が走って逃げていった
僕は金切り声をあげた友達の肩を抱きながら
来た道を戻った
438 :
自己:2013/02/14(木) 19:34:20.26 ID:EfLuvxbK0
…
車に戻ると
先に着いた友達2人は車に乗っていて(運転席と助手席)
僕達が車に乗ると、すぐに車を走らせた
『手…を引っ張られた……』
金切り声をあげた友達が自分の両手を
見ながら言った
『手袋…どこかに落としたみたい………』
友達の手を見ると
片方の手だけに手袋がはめられていて
もう片方は素手だった
439 :
はじめまして名無しさん:2013/02/14(木) 19:35:40.17 ID:llPJJE060
ちんこ
440 :
自己:2013/02/14(木) 19:41:43.43 ID:EfLuvxbK0
…
車に乗った時は興奮していて
気付かなかったけど
落ち着いてくると車内が少し変な匂いが
することに気付いた
『これ?』
助手席に乗った友達が後部座席に
手を伸ばした
その手には手袋があった
『ハンドルの上に掛かっていたよ』
金切り声をあげた友達は黙ったまま
手袋を見ていた
代わりに僕が手袋を受け取り
その時、気付いた
車内の変な匂いのもとが
この手袋だということに
441 :
自己:2013/02/14(木) 19:47:01.97 ID:EfLuvxbK0
− この湿気っぽい匂いは −
『怖かったなー』
「見えなかった」
『見えないほうが、いいって』
「なんで俺だけ見えないんだろ」
廃墟から離れた安堵からか饒舌になる
運転席と助手席の友達
後部座席に座る僕達は2人の話を黙って
聞いていた
『ドアノブを動かすような音は聞こえた?』
「え?何それ?」
442 :
自己:2013/02/14(木) 19:51:54.93 ID:EfLuvxbK0
助手席の友達は笑った
『じゃあ、どうして走って逃げたんだ?』
「……それは、お前が走ったから」
『あぁ、じゃあ俺らの後ろに
赤ちゃんが居たことにも気付かなかったんだな?』
「………ええええぇぇぇ何それぇ???」
僕は身を乗り出した
『それは僕も気付かなかったな』
443 :
自己:2013/02/14(木) 19:56:40.37 ID:EfLuvxbK0
身を乗り出した時
僕は、先ほど受け取った手袋を下に
落としてしまった
手袋を拾おうとした時に
隣りに座っている金切り声をあげた友達が
落とした手袋を見ていることに気付いた
助手席の友達が言った
『さっき”手を引っ張られた”って言ったよね?
その時に落ちたんじゃない?手袋』
444 :
自己:2013/02/14(木) 20:01:36.20 ID:EfLuvxbK0
僕は手袋を拾った
顔をあげると助手席の友達と目があった
『その落ちた手袋
車まで届けてくれたんじゃないか?
その手袋…匂ってみろよ
あの辺で匂った匂いと同じ匂いがするぞ』
僕は手袋を見て言った
『不思議な話だね』
ホテルまでの道を僕達は無言のまま
車に乗っていた
皆、前を向いたまま決して後ろは見なかった
445 :
自己:2013/02/14(木) 20:06:36.65 ID:EfLuvxbK0
…
手袋は僕が持ったままだった
手袋を落とした友達が怖がって受け取ろうと
しなかったから
どうすることもできず
後日、手袋を落とした友達と僕は
手袋を神社に持っていき、神社に置いて貰うことにした
手を合わせて御祈りをしている時
ふっと過ぎった赤ちゃんの顔
僕は心の中で”有難う御座いました”と
何度も頭を下げた
…
446 :
自己:2013/02/14(木) 20:11:43.28 ID:EfLuvxbK0
…
この話を後日、母親にした時
僕は何となく浮かんだ疑問を口にした
「…赤ちゃんは僕達の後ろに来るつもり
だったんなら
どうしてドアノブをガチャガチャ動かしたんだろう?」
母親は笑いながら答えた
『ワンクッションおいたんじゃない?
いきなり、あなた達に近付いたら、あなた達が
驚くでしょう?
だからドアノブを動かして”今から行きますよー”って
あなた達に教えたんじゃないかな』
447 :
自己:2013/02/14(木) 20:14:17.27 ID:EfLuvxbK0
…
「うーーん…」
母親の説明を聞いた後も
まだ疑問を考えてる僕を見て母親は
また笑い、そして
『ワンクッションで思い出した!』
と言うと
昔話を語り出した
…
448 :
自己:2013/02/14(木) 20:17:44.39 ID:EfLuvxbK0
…
ある女のもとに電話が入った
『貴方の男が他の女とホテルに入りましたよ』
男と結婚の約束をしていて女は
怒りに身を任せてホテルに駆け込んだ
フロントにいた従業員に事情を説明して
「男のいる部屋の鍵を下さい」
と言ったが断られる
449 :
自己:2013/02/14(木) 20:24:22.13 ID:EfLuvxbK0
そこで女は
フロントの前で「男が出てくるまでココで待つ」
と座り込んだ
困った従業員は、考えた末
『私が部屋まで一緒に行き、私がドアを開けます』
と言った
女は従業員の提案を受け入れて
フロント奥の小部屋に、男の部屋の鍵を取りに行った
従業員が戻ってくるのを待った
数分後、女は従業員と男の居る
部屋の前に立っていた
従業員が鍵を開けてドアをゆっくり開くと
男が土下座していた
450 :
自己:2013/02/14(木) 20:30:30.00 ID:EfLuvxbK0
…
部屋の中には男しか見えず
他の女は帰った後のようだった
女は冷静な声で「もう結婚しないから」
とだけ、男に言うと
部屋から出た
エスカレーターの中
隣りに従業員が立っていたがクスクス笑いが
止まらなかった
ホテルの玄関を出る時
従業員にお礼を言って頭を下げた
従業員は女のお礼には何も言わず
『お気をつけてお帰り下さい』と言い
女を見送った
…
451 :
自己:2013/02/14(木) 20:37:18.87 ID:EfLuvxbK0
…
母親は話し終えるとコーヒーを飲み
そして、また話し出した
『これぞ、ワンクッションよ
いきなり部屋を開けて中に入ったら修羅場に
なるでしょ?
だから、それを防ぐ為に
従業員さんはフロント奥の小部屋で
男の部屋に電話を掛けたのよ
”今から女の人と行きます”って
電話を切った後、男は部屋に一緒にいた女を帰して
従業員に、いつ部屋を開けられてもいいように
土下座をして待っていたのよ』
母親はクスクス笑った
452 :
自己:2013/02/14(木) 20:44:16.85 ID:EfLuvxbK0
…
「従業員が鍵を取りに行ってる間に
女の人が少し冷静になるかも知れないしね
そっか、そんなことがあったんだ」
僕の視線を受けて
母親は
『まだまだ他にも、いっぱいあるよ〜!』
と、冗談とも本気とも取れるような
言葉と表情でまた笑った
「…ところで、その男とは、どうなったんだい?」
母親は椅子から立ち上がって
キッチンを見ながら言った
『もうすぐ帰ってくるから夕食作ろっと!』
…
453 :
自己:2013/02/14(木) 20:51:51.76 ID:EfLuvxbK0
…
ドアノブの音や従業員の行動が
ワンクッションとしての効果をどれだけ
発揮したかは分からないけど
大概において、何かをする時
ワンクッションおいて冷静になる事は
必要なことに思える
”冷静”は人の足を止めることがあり
”興奮”は人の足をすくうことがある
だけど”興奮”でしか得られないこともある
”冷静”と”興奮”のバランスを上手く保って
片方にずっと傾くことがないように
自分を制御する力をつけなければ、と思いました
454 :
自己:2013/02/14(木) 20:57:35.83 ID:EfLuvxbK0
…
少しずつ前にいきたい
そうありたい、とは思う
だけど
時には後ろに戻ってもいいじゃないか
後ろを振り返ってもいいじゃないか
生きていればいいんだ
自分が生きていることを実感できるなら
それでいい
死んでさえいなければ
それでいい
…
455 :
自己:2013/02/14(木) 21:00:35.87 ID:EfLuvxbK0
…
……
”…来ちゃった”
バレンタインの装飾で彩られた2月のある日
彼女は駅にいた
”…チョコ渡せるかなぁ”
時計を見るとお昼前
彼女は改札を出て、辺りを見渡した
456 :
自己:2013/02/14(木) 21:05:06.88 ID:EfLuvxbK0
…
昨夜
メールで彼に
「チョコ渡しに行っていい?」
と聞くと
『いいよ、いつでも』
と彼は言った
彼とは2ちゃんで出会い
気が付くと数年の月日が流れていた
時々メールや電話はしていたが会ったことは
なかった
お互い、自分の気持ちは相手に伝えていて
後は、いつ会うかを決めるだけの関係だった
457 :
自己:2013/02/14(木) 21:09:27.53 ID:EfLuvxbK0
…
”…ここでいいのかなぁ”
彼が住んでいるという街に来たものの
本当に彼が住んでるかどうかは分からない
”…ま、いっか
少し街を散歩しようかな”
彼女は、彼が住むという街を見てから
彼に電話をしようと決めた
ふと改札の横の壁に貼ってあるポスターに
目がとまった
街にある遊歩道コースの案内
458 :
自己:2013/02/14(木) 21:20:14.91 ID:EfLuvxbK0
…
”…行ってみようかなぁ”
遊歩道への所要時間が駅前のバス停から
13分で着く事が分かると
彼女はバス停に向かった
ほとんど待つことなくバスがきて
彼女はバスに乗ると、空いてる席に座って
窓の外を興味深く見た
”…ゆっくり歩けば上れるかなぁ”
バスを降りて遊歩道の出発地点に立つと
目の前に細い坂道が見えた
彼女は少し体が弱く
無理のできない体だった
459 :
自己:2013/02/14(木) 21:27:12.76 ID:EfLuvxbK0
慎重に
慎重に一歩ずつゆっくりと坂道を登った
小さな広場や♯塚を過ぎて
急な階段をのぼった時、彼女の体が
悲鳴をあげた
”…痛いなぁ…何処かで休めるとこないかなぁ…”
階段をのぼるとまた小さな広場があり
彼女はベンチを見付けると
そこに座った
カバンから薬を取り出し口に入れると
彼女は動かずに時間が過ぎるのを待った
460 :
自己:2013/02/14(木) 21:35:03.39 ID:EfLuvxbK0
…
暫くすると痛みは和らぎ
彼女は安堵の声を漏らした
「…よかった…」
彼女はカバンを開けて薬ケースを
取り出そうとした
その時、気付いた
「…チョコがない…」
ベンチの周りを見るが落ちていない
改札を出た時には確かに持っていた
時計を見る時に、チョコを入れた紙袋を
反対側の手に持ちかえたことを覚えている
「…バスの中だ…」
461 :
自己:2013/02/14(木) 21:41:03.06 ID:EfLuvxbK0
…
彼女は彼に電話を掛けた
♪♪♪♪♪♪♪
『はい』
「…あ、もしもし私です…あのね」
『どうした?』
「…チョコ無くしちゃった」
『は?…何の話だ?つか、いま家か?』
「…たぶん…あなたの家の近く」
『え?何処だ??』
20分後
彼は息を切らせながら私を睨んでいた
462 :
自己:2013/02/14(木) 21:46:52.17 ID:EfLuvxbK0
…
彼女は怒ってる彼の顔を見ることが
できず
自分の足元を見ながら話した
チョコを渡しに来たこと
会う前に街を見ようと思ったこと
気分が悪くなったこと
チョコを無くしたこと
彼女が話し終えると
彼は長い溜め息をつき、自分の首から
ネックレスを外し、彼女の首に掛けた
そして
驚いて顔をあげた彼女にキスをした
463 :
自己:2013/02/14(木) 21:52:59.58 ID:EfLuvxbK0
…
彼女から顔を離すと、彼は
『ご馳走さま』
と笑ったあと
彼女の首に掛けたネックレスを触りながら言った
『これは御守りな
お前が無理をしないように、と
他の男がつかないように、なw』
彼女がお礼を言うと
彼はポケットから何かを取り出した
『これも、お前にやるよ
ここに来る前にコンビニで買ってきた』
464 :
自己:2013/02/14(木) 21:58:20.87 ID:EfLuvxbK0
…
それはチョコの箱だった
「……え?どうして?」
『お前がチョコを失くしたって言ってたから
買ってきた』
「…それ、なにか違うと思う」
『え?そうか?』
「…うん、違う………」
彼女はチョコの箱を見ながら
笑いをこらえていた
そんな彼女を見ながら、彼は照れくさそうに
質問をした
465 :
自己:2013/02/14(木) 22:05:58.46 ID:EfLuvxbK0
…
『ずっと聞きそびれてたんだけど
お前さ、俺のどういうところを好きに
なったんだ?』
彼女はチョコの箱を
彼の目の前に突き出した
「…こういうところ」
彼は目の前に突き出されたチョコの箱と
彼女の笑顔を交互に見て
首を傾げた
『よく分からないけど…
【お前は俺のもの】ってことだけは分かった』
そう言うと
彼は彼女に一歩近付き、またキスをした
終わり
466 :
自己:2013/02/14(木) 22:15:12.33 ID:EfLuvxbK0
……
…
体調が崩壊しているとき
苦しくて痛くてどうしようもないとき
浮かぶ思いは
>>454 体調の回復や
痛みが薄くなってくると共に
欲という新たに浮かぶ思いに少しずつ
その場を奪われていく
もっと”生きれる”んじゃないか
もっと”生きてる”ことを実感できるんじゃないか
だけど崩壊と回復の間隔が
段々狭くなってくると
欲を見る時間さえ無くなる
明日、また起きることができるなら
誰か1人にでも笑って貰えるよう頑張ろう
『バカな奴だったな』
最後に、そう笑って貰えるように
467 :
自己:2013/02/16(土) 06:15:26.71 ID:ExervXe30
…
そう…僕はバカだ
今になって気付いたことがある
どうして
気付くのに何年も掛かってしまったんだろう
……
…
468 :
自己:2013/02/16(土) 06:20:40.22 ID:ExervXe30
…
……
「できたっ!」
私は家庭科の実習で作ったチョコクッキーを
キティランドで買ってきたバレンタイン用の可愛い袋に
いれてリボンをつけた
『また、お兄ちゃんにあげるの?w』
「だって、お兄ちゃんクッキー好きだもん」
からかってくる友達を軽く睨んで
私は家庭科室を出て、お兄ちゃんの教室に向かった
469 :
自己:2013/02/16(土) 06:28:13.09 ID:ExervXe30
…
お兄ちゃんの教室につくと
私は後ろのドアから教室の中を見て
お兄ちゃんを探した
− あ、いた −
お兄ちゃんは黒板の前で女の子達に
囲まれていた
手には沢山のバレンタインのプレゼントを持っていた
すごく綺麗に包装された沢山のプレゼント
私は自分の持っているチョコクッキーの袋が
急に恥ずかしく思えてきて
お兄ちゃんに渡すのを辞めて自分の教室に
帰ることにした
『あれ?どうしたの?ハイヤーに用でしょ?』
470 :
自己:2013/02/16(土) 06:34:23.54 ID:ExervXe30
…
教室の後ろに居たマキヒト先輩が
私に気付いて声を掛けてきた
マキヒト先輩は、お兄ちゃんの親友で
時々、家に遊びに来る人だけど
いつも話が長いから苦手な人なのだ
「あっ、あの…これ」
マキヒト先輩に見付かってドキッとした私は
思わずチョコクッキーの袋を
マキヒト先輩に渡してしまった
「じゃ、じゃあまた」
私はビックリした顔のマキヒト先輩に
背中を向けて
お兄ちゃんの教室の前から離れた
471 :
自己:2013/02/16(土) 06:40:17.35 ID:ExervXe30
…
1階に降りて靴置き場に行くと
女の子が好きな男の子の靴箱にプレゼントを
入れてる姿が見えた
− いいなぁ −
涙が出てきた
ポロポロ、ポロポロ出てきた
すると
『これ、使って』
優しそうな声が聞こえてきた
その人は
私の涙をハンカチでソッと拭いたあと
ハンカチを私の手に持たせた
「…イテ先輩っっ」
涙で霞んだ目の先に
生徒会長のイテ先輩が立っていた
472 :
自己:2013/02/16(土) 06:47:09.07 ID:ExervXe30
…
私がお礼を言おうとすると
『これ食べ(*^O^*)アーン』
と横から声がした
『たい焼き美味いで(*^O^*)』
声の主は運子先輩だった
私は、たい焼きを貰うとまた泣いた
イテ先輩と運子先輩は学校の有名人で
2人は優しく頭がよく、ユーモアがあり
いつも
2人の発言には注目が集まる
私なんかじゃ近付けない憧れの存在
473 :
自己:2013/02/16(土) 06:52:39.05 ID:ExervXe30
…
『バレンタインなんか迷惑な話やで
もう今日は、たい焼きの日にしたらいいねん(*^O^*)』
『ワロタw』
私は2人の優しさが嬉しくて
また涙が出てきた
『イテ先輩ー!運子先輩ー!』『きゃあ!』
『チョコ受け取ってくださーい!』
階段の上から下級生が降りてきた
みんなイテ先輩と運子先輩のファンで
2人にチョコを渡しに来たのだ
474 :
自己:2013/02/16(土) 06:59:08.71 ID:ExervXe30
…
『イテ先輩ありがとうございましたっ、ハンカチは
洗ってから返しますね
運子先輩ありがとうございましたっ!』
私は2人にお礼を言ってから
校舎を出た
校舎を出ると、中庭があり
中庭の横にクラブ用の建物があった
私は何となく建物に近付いて
窓から中を見た
そこは相撲部の練習場で
クラブの時間じゃなかったが
1人の力士が練習場の中に居た
「ぁぃこさんっ!」
475 :
自己:2013/02/16(土) 07:04:43.87 ID:ExervXe30
よく見ると
その力士は同じ学年のぁぃこさんだった
「練習?」
私が声をかけると
ぁぃこさんは私がいる窓を見た
『そうでごわす』
ぁぃこさんは窓まで来ると
私を見て、私が泣いていたことに
気付いたみたいで
『何かあったで、ごわすか??』
と心配そうな顔をした
私は、後で食べようと思っていたたい焼きを
ぁぃこさんに渡すと
ぁぃこさんは、たい焼きをムシャムシャ食べ始めた
476 :
自己:2013/02/16(土) 07:09:40.38 ID:ExervXe30
私は
ぁぃこさんがたい焼きを食べてる間
チョコクッキーを渡せなかったことを
ぁぃこさんに話した
『そんなことが
あったでごわすか…あ、かたじけない』
たい焼きを食べ終えたぁぃこさんにティシュを
渡すと、ぁぃこさんは口を拭いた
『…相撲部のマネージャーになってはくれぬか?』
ぁぃこさんは窓枠にもたれかかった
窓枠からピシッと音がした
477 :
自己:2013/02/16(土) 07:15:04.92 ID:ExervXe30
…
「うーん、マネージャーかぁ
マネージャーって一度やってみたかったんだよね
でも、ごめんね
塾があるからできない、誘ってくれてアリガト」
私はぁぃこさんの手からティシュッを取ると
もう一度「ありがとう」と言って
窓から離れて校舎に向かった
歩いてると、中庭からスワヒリ語が
聞こえてきた
近付いてみると中庭にあるベンチに
葵先輩とマゾ先輩が座っていて
スワヒリ語で会話をしていた
478 :
自己:2013/02/16(土) 07:20:58.02 ID:ExervXe30
…
葵先輩とマゾ先輩は
学校で1・2を争う頭の良さで、また
飛び抜けて美男美女だった
2人は私に気付くとベンチから立ち上がって
私の前に来た
葵さんはポケットからブラシを取り出すと
私の髪をといてくれた
『どんな時も綺麗にしとこうね』
そう言って微笑んだ葵先輩が凄く美しくて
私はドキッとした
私は葵先輩と目を合わせているのが
恥ずかしくて
マゾ先輩を見た
479 :
自己:2013/02/16(土) 07:25:13.04 ID:ExervXe30
…
マゾ先輩はアソコをおさえていて
少し体が前かがみになっていた
「………
有難う御座います、じゃあまた」
私は2人にお礼を言って頭を下げたあと
ベンチから離れ
校舎に向かった
校舎に入ると靴箱の前に
お兄ちゃんがいた
『おせーよ、バカ^^』
480 :
自己:2013/02/16(土) 07:31:30.50 ID:ExervXe30
…
『お兄ちゃん、どうしたのっ??』
私はビックリして、お兄ちゃんの前まで行くと
お兄ちゃんの制服のジャケットの裾を持った
お兄ちゃんは私を見て笑った
『お前の、そのクセ…俺の服の裾を持つクセ
小さい時から治らねえよな^^』
私は意味が分からず首をかしげた
お兄ちゃんは
『いいから早くカバンを取ってこい
今日は一緒に帰るぞ^^』
と言って苦笑いした
481 :
自己:2013/02/16(土) 07:36:08.94 ID:ExervXe30
…
カバンを取って靴箱に戻ると
お兄ちゃんは壁にもたれて車雑誌を
読んでいた
私は立ち止まってボーッとお兄ちゃんを
見ていると
お兄ちゃんは私に気付いて手をあげた
『行くぞ^^』
学校からお兄ちゃんと帰るのは
久しぶりだった
私はお兄ちゃんの制服の裾を持った
『お前がこのクセをしなくなったら
好きな男ができた、ってことだろうな^^』
482 :
自己:2013/02/16(土) 07:42:45.33 ID:ExervXe30
私は
お兄ちゃんの制服の裾を見ながら
言った
「今日ね、家庭科でチョコクッキー作ったの
お兄ちゃんに渡しに言ったんだけど
なんとなく渡せなくて…」
お兄ちゃんは私の顔をチラッと見て
溜め息をついた
『はぁ…バカだな
俺が女に囲まれてたから遠慮したんだろ?
お前は妹なんだから、他の奴とは違うんだぜ^^;?』
「…うん」
『つか、そのチョコクッキーはどうしたんだ?ん^^?』
「えーっっと……あっ………」
…
483 :
自己:2013/02/16(土) 07:49:58.91 ID:ExervXe30
…
学校
マキヒトはチョコクッキーを貰ったあと
ハイヤーの妹の後をつけていた
そして妹が相撲部の力士と話してるのを
聞き耳を立てて断片的に聞いていた
「……マネージャー………
マネージャーって一度やってみたかったん
だよね……誘っ……アリ……」
マキヒトは妹が相撲部のマネージャーになると
勘違いして
自分も相撲部に入部することを決意して
すぐに入部届けを書いて
相撲部に持っていった
484 :
自己:2013/02/16(土) 08:24:34.80 ID:ExervXe30
…
『入部します!マキヒトです!』
相撲部の部屋に入ると、部屋の中は
力士でひしめき合っていた
『ゴボウが喋ってるでごわす』
『おいどんには鶏がらに見えるでごわす』
マキヒトは部屋の中を見渡して
ハイヤーの妹を探したが
見付からなかった
”妹は明日から来るんだな”
485 :
自己:2013/02/16(土) 08:28:06.71 ID:ExervXe30
…
1人の力士が前に出てきた
『学校の規則で
クラブは、病気や転校以外の理由では
卒業まで辞めることが出来ない事は知ってる
でごわすか?』
マキヒトは胸を張って言った
『知ってるデごわす!卒業まで宜しくデごわす!』
…
486 :
自己:2013/02/16(土) 08:33:57.43 ID:ExervXe30
…
>>482 「えーっと…あっ………」
私はチョコクッキーをマキヒト先輩に
渡したことを思い出した
『なんだ^^?』
「チョコクッキーね、マキヒト先輩に
渡しちゃった」
『マキヒトに^^;?』
「うん、偶然近くにいたから…
まさか本命チョコとは思わないよね?」
『…まあ、マキヒトも
そこまで勘違いすることはないと思うぜ^^?』
487 :
自己:2013/02/16(土) 08:40:06.21 ID:ExervXe30
その時
♪♪♪♪♪♪♪
『ん、マキヒトからメールきたぞ^^;』
”親愛なるハイヤーへ
僕は今とても清々しい気持ちで相撲部にいるよ
卒業まで相撲部で青春を楽しむから
ハイヤー兄貴も応援してね”
『何だよ兄貴って?ん?画像がついてる
……うわっ何だ?この笑顔^^;』
マキヒトから送られてきた画像には
沢山の力士達の真ん中で笑っているマキヒト史上
最高の笑顔が写っていた
488 :
自己:2013/02/16(土) 08:43:19.81 ID:ExervXe30
…
「マキヒト、どうしたんだ^^;」
『どうしたんだろうね』
「ま、あいつが決めたことだ、関係ない^^」
『そうだね』
2人はマキヒトのことはすぐに忘れて
他の話で盛り上がりながら
駅までの道を歩いた
「おっと、ここに寄ろうぜ^^」
489 :
自己:2013/02/16(土) 08:47:02.06 ID:ExervXe30
…
ハイヤーはそう言うと
駅ビルの中にあるキティランドに入った
『好きなもん買え^^』
ハイヤーは妹の頭を
上からポンポン叩きながら言った
「え?どうして?」
ハイヤーは横を向いて言った
『いいから早く選べ
この店にいるの恥ずかしいんだからよ^^;』
490 :
自己:2013/02/16(土) 08:53:56.00 ID:ExervXe30
…
「う…ん、じゃあこれとか可愛い…」
私がボールペンに手を伸ばすと
店員さんが声を掛けてきた
『プレゼントですかー(。・∀・。)?』
アイドル級の可愛さでキティランドの制服が
よく似合っていた
制服の胸辺りに”風”と書かれたネームプレートが
みえた、私が頷くと
『ほー(。・∀・。)ーぅ
じゃぁ、これなんかはイカがですかー?
28000円になりまーす』
風さんは大きなヌイグルミを持ってきた
491 :
自己:2013/02/16(土) 08:59:54.12 ID:ExervXe30
…
「うーん」
私が悩んでいると風さんは
ヌイグルミや時計やアクセサリーを
次々に持ってきた
『…高いもんばっか持ってくんじゃねぇ^^;』
お兄ちゃんがボソッと呟いた
風さんはサッと消えると、またサッと戻ってきて
手に持った綺麗なケースを2人に見せた
『こちらゎ新商品になりまつ(。・∀・。)b』
ケースの中には青と赤のペアのストラップが
入っていた
私が顔をあげると
風さんは私を見て可愛く微笑んだ
492 :
自己:2013/02/16(土) 09:05:24.57 ID:ExervXe30
…
「うれしーい!お兄ちゃんありがとう!
風さんありがとう!」
私はお兄ちゃんに買って貰ったストラップを
学校のカバンにつけながら言った
『つか、何で”風さんありがとう”なんだ?
で、ストラップを
カバンにつける意味はよ^^;?』
先にお兄ちゃんのカバンにつけた
ストラップを見て
すごく嬉しい気持ちになった
「だって、風さんが運んでくれた
プレゼントでしょ
だから”ありがとう”」
493 :
自己:2013/02/16(土) 09:12:09.92 ID:ExervXe30
…
カバンにストラップをつけ終えると
『カバンにつけたのは、兄妹だから!』
と言って、お兄ちゃんを見た
お兄ちゃんは私は優しく見つめていた
− もしかしたら、お兄ちゃんは
私が泣いたことを知っているのかな… −
お兄ちゃんは私の手を持つと
私の手を自分の制服の裾のところに
もっていった
『ここ持たないと落ちつかねえんだろ^^?』
私は小さく頷いた
終わり
494 :
自己:2013/02/19(火) 13:34:34.34 ID:ejfiQVST0
……
…
『ありがとう』
あなたがこの言葉を言ったのは
あなたがこの言葉を誰かに言われることを
したからだよ
僕に『ありがとう』と言ってくれたあなたに
『ありがとう』という言葉を贈りたい
『ありがとう』
…
495 :
自己:2013/02/19(火) 13:37:21.38 ID:ejfiQVST0
…
……
雨の中、坂道を走る
右に左に曲がる道
まるで人生みたいじゃないか
ブレーキをかけず
スピードをあげて
アドレナリンの噴出を感じながら
…
496 :
自己:2013/02/19(火) 13:41:11.74 ID:ejfiQVST0
…
小刻みに震える足
狂い始める目の焦点
病気で死ぬのが先か
事故で死ぬのが先か
自棄になってるわけじゃない
ただ車を走らせたいだけ
一時間ばかり走ると
いつも休憩する場所が見えてきた
俺は車を停めると
カバンの中からタバコのケースを出した
…
497 :
自己:2013/02/19(火) 13:46:06.97 ID:ejfiQVST0
…
”ハズレ”
タバコのケースの中にタバコは入ってなく
代わりに”ハズレ”と書かれた紙が入っていた
俺は舌打ちしたあと
車の中から外の景色を見た
紙を入れたのはあいつだろう
俺に何かと口うるさいあいつ
「ありがとうな」
俺は車から降りて
山から見える景色を眺めながら
思いっきり深呼吸した
終わり
498 :
自己:2013/02/19(火) 13:52:54.44 ID:ejfiQVST0
…
……
『雨だ…ゴホ…
塾に来る前はこんなに降ってなかったのに…ゴホツゴホツ』
塾が終わって玄関から出ようとすると
大雨が降っていた
僕は傘を持ってきていたけど友達は
もっていなかった
友達とは家が反対方向だから
友達を家まで送ってから自分の家に帰ると
夜になってしまう
「この傘つかえよ」
499 :
自己:2013/02/19(火) 13:58:46.02 ID:ejfiQVST0
…
友達は驚いた顔で僕を見た
『ゴホツ…君が濡れる…ゴホツじゃないか』
僕は友達に傘を持たせた
「僕はママが迎えに来てくれるから平気だよ!
じゃあ、またな!」
と言って友達の背中を押した
友達は傘をさして自分の家の方向に
歩いていった
友達が見えなくなるまで見送ると
僕は雨空を見上げた
ママが迎えに来るなんてウソだった
− 家までダッシュしよう −
500 :
自己:2013/02/19(火) 14:04:27.07 ID:ejfiQVST0
…
『これ使いな』
塾の隣にあるコンビニの駐車場に
停まってる車から
男の人が出てきて僕に傘をさしだした
『返さなくていいから』
男の人は僕の手に傘を持たせると
駐車場に戻っていき車に乗った
すぐに車は走って消えていった
僕は車に向かって叫んだ
「ありがとう!」
僕は傘をさして
雨の中を一歩踏み出した
終わり
501 :
自己:2013/02/19(火) 14:09:49.24 ID:ejfiQVST0
…
……
塾に行く前、妹と本屋に行った
雑誌コーナーに行ってポケモンの雑誌を
棚から取る
表紙に書いている雑誌の内容を
妹と一緒に見ていたら
ゴホッゴホッゴホッ
雑誌コーナーの隣りの棚の、ゲーム攻略本コーナーで
妹の隣りに立って攻略本を読んでる人が
何度も咳をしていた
…
502 :
自己:2013/02/19(火) 14:16:33.82 ID:ejfiQVST0
…
「家に帰るまで外すなよ」
”塾でつけなさい”って言ってお母さんから
渡されたマスクを
カバンから出して妹につけた
「もう帰ったら?」
と妹に言うと、妹は首を振り怒った顔をした
塾が始まるまでまだ時間はある
僕は妹と立ってる場所を交代して
咳をしている人と妹の間に立った
塾の時間が近付いてきたから
僕と妹は本屋から出た
少し雨が降っていた
僕は妹に傘を渡すと、妹と別れて
塾に向かった
503 :
自己:2013/02/19(火) 14:23:44.55 ID:ejfiQVST0
…
ゴホツゴホツ
風邪がうつったのかな
雨に濡れたからかな
ゴホツゴホツ
塾の授業中、徐々に体調が悪化して
終わる頃には咳が出てきた
授業が終わって塾の玄関に行くと
友達が雨空を見上げていた
友達は僕に傘を貸してくれた
お母さんが迎えに来てくれるらしい
「ありがとう」
僕は友達にお礼を言うと
雨の中ぼんやりと”妹は風邪ひいてないかなぁ”
って考えながら、家に帰った
終わり
504 :
自己:2013/02/19(火) 14:27:46.83 ID:ejfiQVST0
…
……
”怒ってるだろうなぁ”
私はまた溜め息をついた
数時間前に彼と別れてから何度
溜め息をついただろう
私は足取り重く歩いていた
横断歩道で信号待ちしている時
隣りにいたマスクをつけた女の子が
私を見ていることに気付いた
”何だろ”
505 :
自己:2013/02/19(火) 14:33:45.04 ID:ejfiQVST0
…
私と目があった女の子は
私を見てニコッと笑顔になった
私も女の子に笑顔を返すと
女の子はまた笑顔になった
信号が青に変わると女の子は私に手を振ったあと
横断歩道を走って行った
私は何となく肩の力が抜けたような気がして
自分の気持ち…病気の彼の体を心配する気持ちを
彼に言うことにした
彼の住むマンションに着くと
駐車場に彼の車が停まっているのが見えた
『おいっ』
506 :
自己:2013/02/19(火) 14:41:18.99 ID:ejfiQVST0
…
背後からの声に振り向くと
赤い傘をさした彼が立っていた
あの赤い傘は彼の部屋に置き忘れた私の
傘だった
彼は私の視線に気付いて笑った
『俺の傘は子供にあげたんだw
つか、今からお前を迎えに行くとこだったんだ』
「そうなんだ…ありがとう」
彼は私が濡れないように
傘を私の頭上に持ってきた
『あのさ…”ハズレ”はないんじゃね?
>>497 次は”ハズレ”じゃなく”アタリ”って書いて
禁煙用の飴と一緒にケースに入れてくれ』
終わり
507 :
自己:2013/02/19(火) 14:46:09.37 ID:ejfiQVST0
……
…
ありがとうは連鎖する
ところで僕は以前1日2箱タバコを吸っていた
最初に体調を崩した後に一時やめていたけど
また吸うようになった
だけどまた体調を崩した後から
とてもじゃないけど吸っていられない体になった
あの苦しみを経験すれば
大概の人はタバコを吸えなくなるだろう
508 :
自己:2013/02/21(木) 18:36:09.64 ID:x7Xvcqbi0
…
>>419>>420 「タバコか…」
手の甲の傷が僕をまた思考の旅に
誘う
同じ場所に同じ傷を持っていた彼女は
もう僕の前には居ない
いつか死んだら会えるんだろうか
彼女は僕が死ぬとき迎えに来てくれるの
だろうか
僕は手の甲に自分でつけた
タバコの焼き印を見た
…
509 :
自己:2013/02/21(木) 18:39:51.24 ID:x7Xvcqbi0
…
……
「間違いないのかい?」
僕は目の前にいる友達の話を聞きながら
彼女の顔を思い浮かべていた
『間違いない
あの店で男からネックレスを貰ってるのを
見た
テーブルの上で手を繋いだりしてたぞ』
…
510 :
自己:2013/02/21(木) 18:45:03.22 ID:x7Xvcqbi0
…
友達は僕達が溜まり場にしている店で
彼女が他の男といるのを見たらしく
少し興奮していた
『お前どうすんの?』
「…僕の他に好きな人ができたのか
彼女に確かめるよ」
数日後
僕はカフェで彼女が来るのを待っていた
カウンターに座り
何本目かのタバコに火をつけたとき
彼女が来た
511 :
自己:2013/02/21(木) 18:51:04.14 ID:x7Xvcqbi0
…
『ごめんね、待った?』
彼女は僕の隣りに座り
カウンターの中にいる店員に
紅茶を注文した
「…あのさ……」
僕は友達から聞いた話を彼女に
言った
そして、僕と別れてその男と付き合いたいのか
を聞いた
彼女は僕の話を聞くうちに
驚いてるような悔やんでるような表情に
変わっていった
「別れようか…?」
512 :
自己:2013/02/21(木) 18:54:49.76 ID:x7Xvcqbi0
…
僕は彼女の顔から目を離し
前を見た
一瞬の出来事だった
彼女は僕の吸っていたタバコを取ると
自分の手の甲に押し付けた
苦痛に歪む彼女の顔
僕はタバコを持つ彼女の手を掴んで
タバコを取り上げた
蒼白になった彼女は
自分の手の甲を呆然と見ていた
513 :
自己:2013/02/21(木) 19:01:36.17 ID:x7Xvcqbi0
…
彼女の行動に気付いたカウンターの
中にいた店員が
濡れたタオルを持ってきて彼女の手の甲に
あてると
彼女を洗面所に連れていった
1人になった僕は
背中に店内にいる人達の視線を感じながら
新しいタバコに火をつけた
そして数回吹かしたあと
タバコの火を自分の手の甲に
押し付けた
少ししてからタバコを離して
何となく焼け跡を見ていると
水ぶくれみたいな膨らみができてきた
514 :
自己:2013/02/21(木) 19:06:02.48 ID:x7Xvcqbi0
…
『ちょっ、何してるの?!』
洗面所から戻ってきた彼女が
僕を見て驚いた
「…何だろ」
彼女は泣き出し
僕の頬を殴った
さっきの店員が慌てた様子で僕の
近くに来て
次は僕を洗面所に連れていき手当てを
してくれた
手当てが終わりカウンターに戻ると
彼女はまだ泣いていた
515 :
自己:2013/02/21(木) 19:11:57.68 ID:x7Xvcqbi0
…
僕が彼女の隣りに座ると
『ごめんなさい…』
彼女は震える声で謝った
僕は彼女の肩に自分の肩をくっつけて
「二度としちゃいけないよ」
と、言って彼女の手の甲を見た
……
…
516 :
自己:2013/02/21(木) 19:17:03.84 ID:x7Xvcqbi0
…
>>508 「…痛かったな」
僕は手の甲の焼き印を見た
彼女は何故あの時あんな事をしたんだろう
僕は何故、彼女と同じ事をしたのか
自分でも分からない
その後、この件について2人で話すことはなく
彼女は僕の前から消えて
違う世界に行ってしまった
一つだけ言えるのは
僕と彼女が同じ感性を持つ人だった
ということ
…
517 :
自己:2013/02/21(木) 19:21:09.07 ID:x7Xvcqbi0
…
……
”学校についたら俺の席に来い”
早朝、同じクラスの男子から届いたメール
ちょっと気になる存在の男子
「…ちょっと、じゃないかなw」
私はその男子が好きだった
いつもふざけあって遊んでいるけど
時々ドキドキ意識していた
…
518 :
自己:2013/02/21(木) 19:28:03.43 ID:x7Xvcqbi0
…
学校について教室に入ると
その男子は自分の席に座って参考書を
読んでいた
私は邪魔しちゃいけないと思って
男子の席には行かずに
自分の席に行き机の上にカバンを置いた
なんとなく視線を感じて教室を見渡すと
その男子が
私を睨んでいることに気付いた
「どうしたの?」
私は男子の席に行き
私を睨んでる理由を聞いた
『…どうしたの?じゃねぇよ
俺の朝は、お前の笑顔を見ないと
始まらねぇんだよ
ほら、笑え』
519 :
自己:2013/02/21(木) 19:31:26.01 ID:x7Xvcqbi0
…
「…?何言ってるの?」
男子は私の手を取ると
私の手の平に油性ペンで字を書いた
ス・キ・ダ
私は自分の手の平に書かれた文字を見て
思わず笑った
「ばかっw」
終わり
520 :
自己:2013/02/21(木) 19:38:57.99 ID:x7Xvcqbi0
……
…
今の僕には何もないけど
いつか空から大切な物が落ちてきたら
片手で持てるぶんだけ拾って
もう片方の手で
大切なものを失わないようフタをしよう
いや…もういいか…
僕は何も持っていけない場所に
行くんだから
だけど、もしも一つ大切の物を貰えるのなら
僕は迷わず答える
あの人に会う時を下さい、と
521 :
自己:2013/02/23(土) 05:52:51.52 ID:JWj4Et3K0
…
……
俺はパソコンの画面にソッと触れた
彼女はパソコンの中にいる
2ちゃんの住人だった
もうすぐ雪解けの季節がくる
…
522 :
自己:2013/02/23(土) 05:59:01.12 ID:JWj4Et3K0
…
『Hさん?』
雪が散らつく休日の夕方
彼女は俺に自スレに舞い降りた
彼女は人を探していた
数年前に消えた固定を探して
馴れ合い板を彷徨っていた
探している固定と俺の口調が
似ている
そう感じた彼女は俺にスレに書き込んだ
『Hさんじゃないの?』
523 :
自己:2013/02/23(土) 06:02:44.42 ID:JWj4Et3K0
…
「違うよw」
俺の否定のレスに彼女は
落胆したようだった
間違えたことを謝り
去ろうとする彼女を俺は引きとめた
「よかったら教えてくれよ
君が何故その固定を探しているのか」
彼女はすぐにレスを返してきた
『好きだったの…
でも想いを伝える前に消えてしまったの』
524 :
自己:2013/02/23(土) 06:08:57.66 ID:JWj4Et3K0
…
「その固定が見付かるまで探し続けるのか?」
『…探し始めて数年になるし
もう2ちゃんには居ないような
気がするの
あと少しだけ探して見付からなかったら
辞めるつもり』
「そうか…
よかったらまた、このスレに来てくれ
俺のスレはいつも上げてるし
その固定がここを見た時に君がいたら
レスをくれるかも知れないしな」
『ありがとう』
彼女は俺のスレから出ていった
525 :
自己:2013/02/23(土) 06:15:09.47 ID:JWj4Et3K0
…
数日後、彼女はまたスレにきた
彼女は毎日たくさんのスレをロムして
消えた固定を探していた
でも最近は、探しはじめた頃よりも
少しずつ探す時間が減ってきたらしい
彼女の話を聞いていると
消えた固定に対する想いの深さが分かり
彼女が可哀想になってきた
俺はこのスレに彼女が訪れた時に
ホッとできるように
また楽しめるように
彼女がスレに来ると懸命に話をした
526 :
自己:2013/02/23(土) 06:21:32.63 ID:JWj4Et3K0
…
やがて春がきて
彼女は毎日俺のスレに来るようになった
俺のスレは
消えた固定を探し回った後に訪れる場所に
なっていた
そして夏が過ぎる頃
彼女と俺は何でも言い合える友達に
なった
俺のスレは消えた固定を探す前に
訪れる場所になっていた
月日は流れ街路樹が秋色に染まり
はじめたとき
俺は彼女を好きになっていた
消えた固定を探す時間より俺のスレに
いる時間のほうが、長くなっていた
527 :
自己:2013/02/23(土) 06:26:18.43 ID:JWj4Et3K0
…
春がきて夏が過ぎて
秋が終わり
彼女と出会った冬がまたきた時
彼女は俺の前から姿を消した
俺のスレに
俺と過ごした一年間のお礼の言葉を残して
消えてしまった
”2ちゃんを辞める前に
あなたと出会えてよかった
この一年間、本当に楽しかったよ
ありがとう、元気でね”
俺はパソコンの前で
声を出して泣いた
528 :
自己:2013/02/23(土) 06:32:51.32 ID:JWj4Et3K0
…
− この固定、彼女に似ている −
俺はパソコンの画面にソッと触れた
彼女はパソコンの中にいる
2ちゃんの住人だった
彼女は2ちゃんを辞めると言っていた
だけど、もしかしたら
どこかにいるかも知れない
どこかに現れるかも知れない
俺は消えた彼女を探すため
今日も明日も明後日も2ちゃんを
彷徨うだろう
窓の外で屋根に積もった雪が
落ちる音がした
もうすぐ雪解けの季節だ
彼女と出会った冬が終わろうとしている
終わり
529 :
まぞっち!:2013/03/01(金) 22:50:16.22 ID:???0
よっ!6年ぶりぐらいかな
あ
てすと
よお。クソ共。
俺が上沢晴雄だ
いいか?俺の中じゃ俺が世界一だ
俺の中で俺より上は居ない。つまり俺がルールなわけ
言ってる意味がわかる奴だけついてこい
俺には世界を変えるだけの力がある
親戚のコの引っ越しの手伝いだかで東京に行くことになった
たかみー(旧姓:高見沢)は、ついでにハイヤーと会うことにした
||ョ・д・。)..。oо(ぁ、この間
>>489妹ちゃんと来たケチンボの お兄ちゃんや)
(。・∀・。)ノ゙ 「いらさいませ−! 先日ゎ妹さんと御来店いただき ありがdでつ♪」
たかみー 「へぇ、ハイヤーって妹さん想いなんだね(o^−^o)」
higher 「まぁな^^」
(。・∀・)σ)Д`) 「今日ゎえらい べっぴんサンを お連れで…、手ぶらで帰るわけにゎいきませんね☆」
たかみー (ハイヤーを上目遣いで見つめる)
higher 「いずれオレの財布はお前の財布になるんだろ?今日はそのデモンストレーションだ^^」
…つづく
続きマダァ-?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
電力ちぇっく
538 :
名無し募集中。。。:2013/08/23(金) 16:43:16.00 ID:WducyEBb0
539 :
自己:2013/10/16(水) 09:01:05.22 ID:???0
…
>>534 私はお店のドアを静かに閉めた
― お兄ちゃんの恋が上手くいきますように ―
ドアを閉める時
風さんが私に気付いて、こっちを見たような
気がしたけど…
― 気のせいかな ―
私はドアから静かに離れて
駅がある方向に向かった
540 :
自己:2013/10/16(水) 09:05:29.36 ID:???0
…
『(。・∀・。)ちょっと待って』
自分を呼ぶ小さな声に振り向くと
風さんが立っていた
― やっぱり私に気付いてたんだ ―
「…こんにちは」
『(。・∀・。)ハイヤー3に会わなくてぃぃの?』
頷く私を見て風さんは
優しく微笑んだ
『(。・∀・。)もしかして、これからデート?』
「…はい」
541 :
自己:2013/10/16(水) 09:10:19.76 ID:???0
…
風さんは何も言わず
私の頭に手をのばすと
『(。・∀・。)髪の毛のつぃてたょ』
と言って
私の髪の毛のついていたものを
私に見せてくれた
サクラの花びらだった
『(。・∀・。)デート楽しんできてね』
「…ありがと」
これ以上話すと涙が出る
そう思った私は、何も言わずに風さんに頭だけ下げて
その場から離れた
542 :
自己:2013/10/16(水) 09:14:11.64 ID:???0
…
― やっぱり出てきた ―
駅に向かう道
涙が滲んできた
髪の毛のついたサクラ
お兄ちゃんの後ろ姿
― 今年は一緒に見れないだろうなぁ ―
駅につく
零れ落ちることのなかった涙にホッとして
ホームにいくと、鞄の中からスマホを取り出した
543 :
自己:2013/10/16(水) 09:18:36.10 ID:???0
…
そして
新しく受信していたメールを見たとき
スマホの画面に涙が落ちた
“明日、あけておけよ
サクラを見に連れていってやるよ^^“
お兄ちゃんの言葉に
私は泣き
私は笑い
私は助けられてきた
いつも
……
…
544 :
自己:2013/10/16(水) 09:24:52.63 ID:???0
…
……
僕を知る人からすると
意外に思うかも知れないが
僕はハイヤーさんのスレを毎日見ているわけじゃなく
2〜3日見ないときもあれば
一週間見ないときもあり
長い時で数ヶ月見なかったこともある
理由はここ数年の生活の変化と
体調を崩してネットを見る気力が
なくなっていたこと
この二点が、いま書ける理由
545 :
自己:2013/10/16(水) 09:35:18.69 ID:???0
この他にある理由は
僕がハイヤーさんに楯突いたことに繋がる
>>198 この内容については、どのように書こうか
迷ってる段階で
いずれは書こうと思っているけど
あれほどお世話になっているハイヤーさんに対して
どうして楯突いたのか
自分の気持ちが分からず整理できない
なので、今は別の話を
サクラの話の続きを書こう
>>543 2011年の春
…
546 :
自己:2013/10/16(水) 09:39:26.22 ID:???0
…
……
………
今から二年前
私はなれない仕事と人間関係に疲れていた
他人を頼ること、他人に愚痴ることを知らない私は
自分のストレスを誰にも悟られないようにしていた
けれど
そのストレスがギリギリのところ
まできたとき
私は新幹線に乗っていた
…
547 :
自己:2013/10/16(水) 09:46:33.78 ID:???0
…
『お前は、いつも突然だよな^^;』
怒ったような呆れたようなお兄ちゃんの表情を見て
私は急に
横浜まで会いに来た自分が恥ずかしくなった
「…ごめんなさい」
お兄ちゃんは溜め息をついた
『謝るな、バカ^^』
そして私の手から私の鞄を取ると
『ほら、行くぞ^^』
と言って
駐車場のほうに歩き出した
私はお兄ちゃんの少し後ろを歩きながら
ふと振り返って改札に大きく書かれた文字を見た
横浜駅
これで何度目になるだろう
お兄ちゃんを頼ってこの駅に来たのは
548 :
自己:2013/10/16(水) 09:51:48.20 ID:???0
…
『腹、減ってないか^^?』
駐車場に停めていた車に乗ると
お兄ちゃんは私を見て言った
「…うん」
お兄ちゃんは私の顔をじっと見たあと
何も言わず黙って車を出した
お兄ちゃん
考え方が子供っぽいって何度か言われたけど
あれから数年が経った今の私は
お兄ちゃんの目にどう見えるんだろう
やっぱり、今も子供っぽいって
思ってるのかな…
『着いたぞ^^』
549 :
自己:2013/10/16(水) 09:57:38.80 ID:???0
…
お兄ちゃんは車を停めると
私を見た
『今年はもうサクラ見たか^^?』
「…え?サクラって毎年見ないといけないものなの?」
『今、俺のこと爺くさいって思っただろ^^;?』
「……………ぅ…」
車を降りて、少し歩いていると
建物が見えてきた
「…水、再、生センター?」
550 :
自己:2013/10/16(水) 10:02:34.89 ID:???0
…
「…水再生センターに行くの?」
私が大きな建物の壁にかけられた看板に書かれた文字を読むと
お兄ちゃんは苦笑いした
『ここじゃねぇよ…そこを曲がったとこだ^^』
お兄ちゃんが指差した道を曲がると
そこは長く続く一本道だった
そして道沿いに続くサクラの木
『たまにはサクラもいいもんだろ^^?』
551 :
自己:2013/10/16(水) 10:08:23.94 ID:???0
…
「…桜吹雪はじめて見た」
春の風がサクラの花びらを遠くへと遠くへと運び
円を描きながら空に舞ったり
絹のカーテンのように、ゆるやかに
風に身を任せていた
『俺も初めて見た
風が吹いていい感じになったな^^』
お兄ちゃんはそう言うと私の頭に手をのばした
微かに感じるお兄ちゃんの指の感覚に
私は少し体をかたくした
552 :
自己:2013/10/16(水) 10:12:14.93 ID:???0
…
『ここのサクラをお前に見せてやりたかったんだ^^』
お兄ちゃんは私の頭から手を離すと
『髪の毛についてたぞ、サクラ^^』
と言って、サクラの花びらを私に見せた
「…ありがと」
お兄ちゃんは私を見て笑うと
サクラの木が続く一本道を歩き出した
553 :
自己:2013/10/16(水) 10:17:01.69 ID:???0
…
私はお兄ちゃんの少し後ろを歩きながら
こっそりお兄ちゃんを見ていた
“ …お兄ちゃんは格好いいな“
サクラの花びらが踊るなか
私の歩く速さに合わせてゆっくり
前を歩いてくれるお兄ちゃん
“ …お兄ちゃんから1人立ちできるよう頑張ろう“
私はお兄ちゃんの後ろ姿に誓った
554 :
自己:2013/10/16(水) 10:22:50.94 ID:???0
…
『今、俺のこと格好いいとか考えてたろ^^?』
お兄ちゃんは立ち止まって
サクラの木を見上げながら言った
『それから、俺に迷惑掛けないようにしようって
考えただろ^^?』
お兄ちゃんに自分の考えていたことを当てられて
恥ずかしさから私は慌てて否定した
「…え?考えてない、ない!
この道、自転車用の道みたいだけど
お兄ちゃんも自転車乗るのかなってウケてたとこっ」
…
555 :
自己:2013/10/16(水) 10:28:08.21 ID:???0
…
お兄ちゃんはサクラの木から
目をはなさず話を続けた
『ここに誰かを連れてきたのは初めてだ
これからも誰かを連れてくることはないだろう^^』
「…うん」
『あぁ、それから…これだけは忘れるな
悩みができたら1人で抱え込もうとするな
俺に悪いなんて遠慮しないで、いつでも頼れ^^』
「…うん」
お兄ちゃんは私を見て笑った
『ケーキでも食いに行くか^^?』
556 :
自己:2013/10/16(水) 10:31:56.00 ID:???0
…
車に乗り
お兄ちゃんはナビに次の行き先を入力した
『さてと、行くか^^』
そして
『今日からここは、俺とお前、2人だけの秘密の場所な^^?』
そう言うと、車を動かした
……
…
557 :
自己:2013/10/16(水) 10:37:12.58 ID:???0
…
その後
ケーキの美味しいお店に行き
私は悩み事と悩み事についての自分の考えを
一気に話した
お兄ちゃんは私の話を
時々コーヒーを飲みながら黙って聞いてくれた
そして
私を褒めてくれた
よく頑張ったなって褒めてくれた
そのあと悩み事に対しての助言をくれた
私の意見を尊重しながら
言葉を選び淡々と静かな口調で
…
558 :
自己:2013/10/16(水) 10:45:10.34 ID:???0
……
…
あの日から二年が経ち
私はある事情から関東に住むことになった
慣れない土地での生活に
自分は少し強くなった、そう思ってた
>>543“ 明日、あけておけよ
サクラ見に連れていってやるよ^^“
私はスマホの画面に落ちた涙を
指で拭った
― お兄ちゃん、ありがと ―
私はもっと強くなりたい
そう思った
559 :
自己:2013/10/16(水) 10:51:31.75 ID:???0
…
“ お兄ちゃん、ごめんなさい
明日は彼氏とデートなの、誘ってくれてあり…“
お兄ちゃんに返信メールをうっていると
電車がホームに入ってきた
私はメールをうつのを止めて
スマホを鞄に入れ電車に乗った
動く電車の窓からサクラの木が見えた
お兄ちゃんがサクラの花びらを取ってくれた
あの日がよみがえる
初めて会った日から今まで
お兄ちゃんが私に触れたのは、あの時だけだった
…
560 :
自己:2013/10/16(水) 10:54:35.58 ID:???0
…
彼氏の住む街に着くと
私は電車を降りて改札に向かった
改札の向こうの彼氏が立っていた
私に気付くと、彼氏は笑顔になり手を振った
『取りあえず、車まで行こうか』
…
561 :
自己:2013/10/16(水) 10:58:45.89 ID:???0
…
駅から駐車場までの道
私は並んで歩く彼氏を見て
ある疑問に気付いた
― お兄ちゃんは、いつも私の前を歩くけど
どうして私の歩く速さに合わすことが出来るんだろう ―
『……聞いてる?』
彼氏の声に私は我に返った
…
562 :
自己:2013/10/16(水) 11:05:36.31 ID:???0
…
「…ごめん、聞いてなかったっ」
私の返事に彼氏は苦笑いした
『今日は泊まれるよね?って聞いたんだよ』
その時、サクラの花びらが目の前に落ちてきた
どこからか風と共に
一瞬、あの時の後ろ姿が浮かんだ
サクラの花びらが舞う道を歩く、お兄ちゃんの後ろ姿が
― お兄ちゃんにメールの返信しなきゃ ―
終わり
……
…
563 :
自己:2013/10/16(水) 11:11:09.91 ID:???0
…
道に捨てられていたタバコ
>>65 友達のタバコ
>>90 ふとした瞬間に
この2つが同じ銘柄であったことを思い出す
一説によると人間の脳は、見たものを全て記憶しているらしい
だけど、その中から取り出せる記憶はごく僅か
自分にとり必要な記憶、大切な記憶を
明確にいつでも思い出すことができれば
どんなにいいだろか
564 :
自己:2013/10/16(水) 11:14:35.22 ID:???0
サクラの話は創作だけど
ハイヤーさんからは感情を揺さぶられる言葉を
多くいただいた
2ちゃん外で、いただいた言葉については
ここへは書けない
ここに書くのは2ちゃん内でいただいた言葉
そして僕のイメージする彼が言いそうな言葉だけ
565 :
自己:2013/10/16(水) 11:23:41.06 ID:???0
>>529 僕が2ちゃんで悔やんでることの一つに
君の残した言葉の全てを思い出せない
ということがあります
それから、ありがとう
566 :
自己:2013/10/16(水) 11:26:15.82 ID:???0
>>530>>531 >>535>>536 2ちゃんで起こったことを思い出したとき
思い浮かぶ固定さん達や名無しさん達
その中に君たちがいるような気がする
ここでの出会いは幻だけど
必ずどこかに存在する君たちが
幸せを感じる状況にいるか
幸せを感じる状況に向かっていることを願います
567 :
自己:2013/10/16(水) 12:03:12.74 ID:???0
…
……
………
俺はスマホを見てつぶやいた
『なに言ってんだ、コイツ
>>532』
上沢晴雄
彼は自己板の有名人で筆頭の呼び声高い男
俺も名前だけは知っていたが
彼のレスを見たのは、これが初めてだった
568 :
自己:2013/10/16(水) 12:09:19.22 ID:???0
…
彼女との待ち合わせ場所に着き
時計を見ると、待ち合わせの時間まで30分あった
今から何処か行って時間を潰すには時間が少ない
俺は、2ちゃんのROMをして
彼女が来るのを待つことにした
“ この上沢って奴のスレを読んでみるか“
自己板のスレ一覧から上沢晴雄のスレを見つけて
スレを開こうとした、そのとき
ドンっという音とドサっという音がしたかと思うと
辺りは静寂に包まれた
569 :
自己:2013/10/16(水) 12:15:02.10 ID:???0
…
一瞬の出来事で、周りにいた人は
誰も動けずにいた
無表情で女を見下ろす男
地面に倒れてる女
恐らく男が女を突き飛ばしたんだろう
“ 痴話喧嘩か?“
女がゆっくり立ち上がろうとする
男はその女の肩辺りを蹴る
また倒れる女
その女を見下ろす男
ざわつき始める周りの人達
“ あれ、ガチだろ
止めに入ったほうがいいんじゃないか?“
570 :
自己:2013/10/16(水) 12:20:13.03 ID:???0
…
その時
誰かが俺の横を通り過ぎて
DV男と倒れてる女に近付くと
いきなりDV男の顔面を殴り
よろけたDV男を横蹴りした
横蹴りされたDV男は地面に倒れたが
すぐに起き上がり
自分を蹴った人を睨み付けた
…
571 :
自己:2013/10/16(水) 12:25:34.96 ID:???0
…
DV男がその場に崩れる
DV男を蹴った人は俺に背中を向けて立っていて
どんな人なのか見えない
また横蹴りのあと何が起こったのかも、よく見えなかったが
どうやら横蹴りのあと一発でDV男を倒したようだった
「お前なー、女を殴ったらアカンやろーが
女っちゅうもんわなー、男が守ってやらなアカン生き物なんやぞ?」
572 :
自己:2013/10/16(水) 12:28:59.06 ID:???0
…
その人はDV男に向かって怒りを含んだ声で言った
「二度とするなよ、ボケが」
辺りは歓声に包まれた
DV男に殴られた女は周りの人に介抱されていた
その中に俺の彼女がいた
573 :
自己:2013/10/16(水) 12:35:45.15 ID:???0
…
DV男を倒した人は女の前に歩いて行くと
ポケットから何かを取り出した
「大丈夫か?
君みたいな可愛い女の子は、もっとええ男と
付き合わなアカンでw俺みたいなな///」
そう言いながらポケットから取り出したものを
女に手渡した
「これ俺の名刺やねん♪いつでも連絡してや☆ミ
ホルモン焼き奢ったるでw」
574 :
自己:2013/10/16(水) 12:43:28.18 ID:???0
…
名刺を渡したあと
女の横にいた俺の彼女にも名刺を渡した
「こっちのお姉ちゃんも可愛いなー☆ミ
もう僕チン目移りしちゃうよwじゃあ連絡待ってるで♪」
そう言ったあと、その人は俺の横を通り過ぎて
路肩に停めている車に向かった
助手席に綺麗な女の子が座ってるのが見えた
DV男を倒した人が車に乗る時
その女の子に話し掛けてる声が聞こえた
「ナナコー♪おまた☆ミ」
…
575 :
自己:2013/10/16(水) 12:49:02.51 ID:???0
…
俺は車のほうに気を取られていて
俺の彼女が隣りに来ていることに彼女に声を掛けられるまで
気付かなかった
『格好良かったね、あの人』
俺はハッとして彼女を見た
『あ、あぁ…そうだな』
『殴られた女の人は帰ったよ。次はいい人と
出会ってほしいな』
『…そうだな』
『そだ、名刺もらったんだw
んーと…うえさわ…はれお…って読むのかな?』
576 :
自己:2013/10/16(水) 12:52:19.47 ID:???0
…
彼女が持ってる名刺を見ると
そこには「上沢晴雄」と書いてあった
俺は顔を上げて、車のほうを見た
しかし、そこにはもう車はなかった
『はるお…って読むんじゃないかな?
うえさはるお』
577 :
自己:2013/10/16(水) 12:57:46.38 ID:???0
…
ゾロ目ナンバーの黒い車
DV男を倒した時の強さ
DV男はまだ倒れたままだ…
俺は名刺を見て呟いた
『何者なんだ、コイツ』
彼女は不思議そうに俺を見た
『え?どうしたの?』
俺は彼女から名刺を取ると
自分のシャツのポケットの入れた
『いや、面白い奴をみつけたなーって思ってなw』
終わり
…
578 :
自己:2013/10/16(水) 13:02:02.49 ID:???0
……
…
この場所に心を置くと
時にどうしようもない悲しみに
心が切り裂かれてしまう
好きな人との別れは
リアルであろうとネットであろうと
想いの深さが同じであれば
痛さは同じかも知れない
その想いが濁りのないものならば
…
579 :
自己:2013/10/16(水) 17:06:37.40 ID:???0
…
……
「ハイヤーさん今日はありがと」
彼女からの返信メールを読んで
俺はホッと胸を撫で下ろした
彼女のスレで彼女の悲しそうな書き込みを見て
俺はいてもたってもいられず、彼女に初めてメールをした
580 :
自己:2013/10/16(水) 17:11:24.55 ID:???0
…
彼女のアドレスはスレのテンプレに
以前から載せられていたが、メールをすることはなく
2ちゃん外で彼女と繋がりを持つなんて
考えてもなかった
いつも明るい彼女の
泣いてるかのような書き込みを見るまでは
俺は彼女を慰めたいという衝動にかられ
思いきって彼女にメールを送った
彼女が憧れてたハイヤーの名前を
騙って
…
581 :
自己:2013/10/16(水) 17:17:37.25 ID:???0
…
ハイヤーの名前を使うことに罪悪感はあったが
それ以上に
彼女を救いたい気持ちのほうが強く
それには俺がハイヤーに成りすまして彼女を慰めることが
彼女を元気つけれる1番の方法だと思った
思った通り
彼女は元気になった
俺は彼女とメールするのは
今回が最初で最後と思っていたが
時々メールをする関係になり
仲良くなるにつれ
俺は自分がハイヤーの成りすまし(偽者)だということを
言い出せなくなっていた
…
582 :
自己:2013/10/16(水) 17:22:07.94 ID:???0
…
彼女は俺をハイヤーだと信じて
色んな話をしてくれた
楽しかったこと、悲しかったこと
興味のあること
俺は彼女からメールが届くと
嬉しくて楽しくて
だけど
彼女は“俺“ではなく“ハイヤー“を頼りにしている
彼女が本当に必要としているのは
本物のハイヤーなんだ
583 :
自己:2013/10/16(水) 17:26:35.89 ID:???0
…
そう考えると
自己嫌悪に陥ったけど、彼女とのメールをやめることは
できなかった
“ ずっとこの楽しさが続いて欲しい“
そんな俺の思いは、ある日
彼女からのメールにかき消されることになる
「今度、横浜に行くから、ご飯一緒に食べようよ」
584 :
自己:2013/10/16(水) 17:31:23.64 ID:???0
…
断らないと…と思ったが
彼女に会いたいという気持ちと
これ以上、ハイヤーの偽者を続けてはいけない
という二つの気持ちが葛藤した
だけど
「ハイヤーさんの顔は知ってるし」
という彼女の言葉に
会うことを断念することにした
『悪いな…実は俺
最近ハゲて人前に出れる頭じゃないんだ^^;』
585 :
自己:2013/10/16(水) 17:36:21.96 ID:???0
…
「え?
じゃあ頭に何か乗せればいいじゃん」
『…そういう問題じゃないだろ^^;』
「私は気にならないよ
それより、いつからハゲたの?」
『…そういうこと聞く^^;?』
「じゃあ来週よろしくね!」
『…俺の話、聞いてねえだろ^^;』
メールを終えたあと
俺は彼女の前から消えることを決意した
…
586 :
自己:2013/10/16(水) 17:41:37.68 ID:???0
…
一週間後
彼女から送られてくるメールに
俺は返信をやめていた
「お仕事忙しいの?」
「どうして返信くれないの?」
後ろ髪ひかれるってこういう事を言うのか?
断腸の思いってこういう事を言うのか?
彼女からのメールの内容が
日に日に悲しい内容に変わっていくのを見て
俺は返信したい気持ちを抑えるのに
苦労した
587 :
自己:2013/10/16(水) 17:45:14.39 ID:???0
…
彼女を慰めるつもりで始めたメールが
今は彼女を苦しめている
俺は最低だ
返信しないと決めていたのに
彼女からの受信がないか気になり
1日に何度もスマホを見た
そのうち
彼女からのメールは届かなくなり
俺たちの関係は切れた
588 :
自己:2013/10/16(水) 17:49:37.06 ID:???0
…
頭の中から彼女を消すのは容易ではなく
暇さえあれば
俺は彼女のことを考えていた
彼女が今、どうしてるか
彼女が常駐している板を見ようと思ったけど
彼女への罪悪感から
2ちゃんを見ることができなかった
だけど
本物のハイヤーのスレに彼女がきて
メールのことを言うんじゃないか
そんな考えが浮かんできたとき
俺はハイヤーのスレを開いた
589 :
自己:2013/10/16(水) 17:56:46.47 ID:???0
…
1から順番にスレを読んでいくと
彼女のハンネが目に飛び込んできた
彼女と本物のハイヤーの会話をロムしたが
特に変わった感じはなく、2人は趣味の話をしていた
読み進めていくと
彼女は本物のハイヤーに、スレにメッセージを書いていいか
聞いていた
ハイヤーの了承をもらい書いた彼女のメッセージに
俺は目を見張った
“ この前までメールしていた人へ
優しくしてくれてありがとう
愚痴に付き合ってくれてありがとう
またいつでもメールして下さい“
…
590 :
自己:2013/10/16(水) 18:01:36.42 ID:???0
…
そうか…
彼女は俺が本物のハイヤーじゃないことを
知っていたんだ…
俺はスマホを掴むと
落ち着かない気持ちで彼女にメールをした
『返信しなくて悪かった
ハイヤーのスレのメッセージ見たぞ』
役一時間後
彼女からメールの返信が届いた
「そろそろ本当のハンネを教えて下さい
それとも、もしかして名無しさんかな?」
…
591 :
自己:2013/10/16(水) 18:05:56.14 ID:???0
…
俺は自分の本当のハンネを件名に書いて
すぐに返信をした
『一つ教えて欲しいんだけど
いつから俺がハイヤーじゃないって分かったんだ?』
彼女からの返信を見て
俺は苦笑した
「最初から分かってたよん」
彼女のほうが
一枚上手だったんだ
…
592 :
自己:2013/10/16(水) 18:11:32.50 ID:???0
…
『ハイヤーの名前を騙ってすまなかった
反省してるよ』
俺の謝罪メールに
彼女はすぐに返信をくれた
「じゃあ今週末、あいてる?」
『何故そんなこと聞くんだ?』
そう俺が返信すると
彼女はキレた
「会うの?会わないの?どっち??」
俺はソッコー返信した
『会いたいです』
終わり
…
593 :
自己:2013/10/16(水) 18:19:07.73 ID:???0
……
…
人は時に自分にとり都合のいい言葉だけに反応して
他が見えなくなる場合がある
ネットで好きな人ができても
その人のいい言葉だけに反応して
その人のよくない言葉に目をつむってはいけない
特定の固定が自分の心に住み始めたら
僕はその固定のスレから離れるようにしている
これはハイヤーさんから教えてもらったことで
僕が感情の渦に巻き込まれないように守ってくれる
命綱になっています
― 1歩ひいて冷静になれば、見えてくるものがある ―
594 :
自己:2013/10/16(水) 20:52:41.84 ID:???0
……
…
この成りすましの話と似た話を書いたことがある
ずっとずっと前に
ある人を思いながら書いたんだっけ
悲しさ、辛さ、もどかしさ
そして申し訳なさ
ある人のハイヤーさんへの想いが
この胸を刺したあと
僕は絶句した
…
595 :
自己:2013/10/16(水) 20:57:01.26 ID:???0
…
寂しかった…とあの人は言った
あの人と僕は仲が良かったわけじゃない
話した記憶も殆どない関係
だけど
僕はあの人の言葉をつかんで
自分の胸に刺したんだ
― お前のことが好きなんだよ ―
…
596 :
自己:2013/10/16(水) 21:01:45.89 ID:???0
…
もう過去の話だ
あの人は自分の体と戦いながら
自分の選択した道を歩いている
時々ふと思い出す
あの時
僕がハイヤーさんに楯突いた時にいたあの人は
僕を覚えているだろうか
覚えてはいないだろう
もう終わった話なんだから
597 :
自己:2013/10/16(水) 21:05:18.16 ID:???0
…
「楯突いた」とばかり書くと
ハイヤーさんを悪者にしてしまいそうだ
あの人とハイヤーさんの争いに割って入った
このほうが、あの時の状況に近い
ような気がしてきた…
先にも書いたけど
ハイヤーさんからは多くのことを教わったというのに
…
598 :
自己:2013/10/16(水) 21:11:29.41 ID:???0
……
…
中学のとき
俺んちは母さんが朝早くから働いていたから
昼食はパンを買って食べていた
母さんは“お弁当作るよ“って言ったけど
6時に仕事に出掛ける母さんの大変さを思うと
“友達みんなパンだから俺もパンがいい“
って嘘をついた
俺は毎日1番安いパンを買っていた
599 :
自己:2013/10/16(水) 21:14:52.12 ID:???0
…
遠足の日
朝、起きるとキッチンの机の上に弁当が置いてあった
弁当の横にメモがあって
“ 遠足だから、お弁当作ったよ“
と書いてた
600 :
自己:2013/10/16(水) 21:20:54.09 ID:???0
…
俺は遠足の今日もパンだと思っていたから
嬉しくて思わず
『やった!』って声が出た
学校へ行き、バスに乗って遠足に出発
いつも一緒にいる仲のいい友達たちと遠足を楽しんだ
そして昼食
俺は嬉しくて口元がほころぶのを我慢しながら
リュックから弁当箱を出した
すると
「あれ?弁当なんだー」
「おぉ!」
「そっかっハハハ」
皆が笑いながら俺を見た
601 :
自己:2013/10/16(水) 21:26:40.53 ID:???0
…
『なに?』
俺は何故みんなが笑ったのか分からなかったが
その疑問はすぐに解けた
「おれ、コロッケパン」
「コンビ二のパンも旨いよな」
「俺はコンビニのおにぎりだよん」
『…お前ら、もしかして
俺がいつもパンだから今日もパンだと思って
俺に合わせてパンにしてくれたのか…?』
俺は涙が出そうになるのを我慢した
602 :
自己:2013/10/16(水) 21:31:43.63 ID:???0
…
「さあ、食おうぜ」
「腹減ったー」
「食おう食おう」
友達たちは、いつもと同じ調子で振舞っていた
俺は弁当を開けながら小声で言った
『……ありがとう……』
弁当の中は
おにぎりと鮭と玉子焼きとモヤシ炒め
赤いウィンナーが入っていた
“ あっ…これ…“
603 :
自己:2013/10/16(水) 21:37:22.00 ID:???0
…
小学校の遠足のとき
母さんが作ってくれた弁当に入っていた赤いウィンナーを
俺はすごく喜んだんだ
― 母さん、赤いウィンナー美味しかったよ!!―
きっと母さんは、小学生のときに言った俺の言葉を
覚えていてくれたんだろう
そのとき
「うわー、赤いウィンナー入ってるやん
ガキみたいやなー」
背後から声がした
604 :
自己:2013/10/16(水) 21:42:21.66 ID:???0
…
振り向くと
違うクラスの奴が、後ろから俺の弁当を
覗き込んでいた
俺は少し恥ずかしい気持ちになって
何も言い返すことができず苦笑いした
「お前のほうがガキやろ」
俺の前に座っていた友達が食べるのをやめて
違うクラスの奴を睨んだ
と同時に他の友達も食べるのをやめて
全員で違うクラスの奴を睨んだ
605 :
自己:2013/10/16(水) 21:48:42.54 ID:???0
…
「ウィンナーごときで何を怒ってるねん
お前ら、きもっ」
違うクラスの奴はそれだけ言うと
その場を離れていった
友達たちは、違うクラスの奴が見えなくなると
何事もなかったかのように、またパンを
食べ始めた
一瞬でも赤いウィンナーを“恥ずかしい“と思った俺は
自分が情けなくなった
そして
俺は友達たちの優しさと
俺の言葉を覚えていてくれた母さんに感謝した
…
606 :
自己:2013/10/16(水) 21:55:10.09 ID:???0
…
遠足が終わり、家に帰ると
母さんがキッチンで夕食の用意をしていた
母さんは俺に気付くと
「お帰り!遠足どうやった?
まだ仕事があるから夕食できたら、また出掛けるね」
と笑顔で言った
俺は母さんに
『……次の遠足の時も、今日の弁当と同じオカズにしてくれよな』
と言って空になった弁当箱を渡した
終わり
…
607 :
自己:2013/10/19(土) 17:37:09.02 ID:???0
……
…
『………いっ…た…っ……』
目の中にソファーの柄が入ってきた
ボーっとしたなか、ハッキリと分かる胸の痛み
いつの間にか眠っていたようだ
それが痛みによって妨げられたんだ
うつぶせの状態から仰向けに体を動かす、ゆっくりと
天井の照明がきつく感じる
僕は目を閉じて
痛みが和らぐことを祈った
608 :
自己:2013/10/19(土) 17:42:14.04 ID:???0
そうか…
臓器が水槽の中でもがいている
これが今回の痛みに対する形容
苦しい
もう…
いいんじゃないかな
痛みに耐えることに疲れたよ
ふいに、あの自然の轟きに巻き込まれた
あの人の顔が浮かんできた
普段思い出そうとしても
霞がかかったように朧気なのに
こんな時に限って
どうしてハッキリと思いだすんだろう
609 :
自己:2013/10/19(土) 17:44:42.69 ID:???0
助けて
助けて
助けて
早く僕を迎えにきて
君の居る場所に連れていって
この苦しみから
僕を解放して
こんなループはもう真っ平だ
…
610 :
自己:2013/10/19(土) 17:49:02.67 ID:???0
…
……
『母ちゃん…俺…本当はさ…』
俺は棺桶の中で眠っている母ちゃんに
話しかけた
俺を女手一つで育ててくれた母ちゃん
いつも笑顔だった母ちゃん
就職が決まり
これから母ちゃんに、親孝行できるって思った矢先
母ちゃんは事故で、この世を去ってしまった
…
611 :
自己:2013/10/19(土) 17:52:56.95 ID:???0
…
俺は
自分の手に持っているプリンを見た
母ちゃんとの生活は貧乏だった
小さい頃の贅沢は、パン屋で売っているプリンを
給料日に買ってきて二人で食べることだった
一個250円のプリンを二つ
母ちゃんと「美味しいね」って言いながら食べるのが
贅沢だった
…
612 :
自己:2013/10/19(土) 18:00:15.32 ID:???0
…
母ちゃんは時々
俺を喜ばせようと、お菓子を作ってくれた
店で買うより家で作るほうが安いからって
店で売ってるような生クリームで飾られた
綺麗なケーキではなかったけど
丸くないドーナツ、焦げたホットケーキ、フライパンで作った変な形の飴…
俺にとってはご馳走だった
その中のひとつに手作りのプリンがあった
「やっぱりパン屋のプリンのほうが美味しいね
上手に作れなくてごめんね」
母ちゃんは自分の作ったプリンを食べながら
俺に謝ったことが、あったっけ
…
613 :
自己:2013/10/19(土) 18:05:58.80 ID:???0
…
『……でもな…母ちゃん……俺……本当はさ…
母ちゃんの作ったプリンのほうが好きだったよ……』
― あの時、言えばよかった
母ちゃんが生きてるときに言えばよかった ―
俺は手に持っていた母ちゃんが作った最後のプリンを見て泣いた
終わり
…
614 :
自己:2013/10/19(土) 18:10:13.78 ID:???0
……
…
この話は前にハイヤーさんのスレに
少し書いたっけ
― 後悔しても、やり直しのきかないことがある ―
僕の意識の中に眠っていた彼の言葉が
よみがえる
痛みが治まったら
今までお世話になった人達に
感謝の気持ちを手紙に書こう
…
615 :
自己:2013/10/23(水) 09:01:51.39 ID:???0
…
……
地下鉄の改札を出て地上に出ると
雨が降っていた
― ついてないな ―
どしゃ降りの雨のなか灰色に染まる街
地面を叩きつける雨を見ながら
俺は小雨になるまでここで待つか、どしゃ降りのなか
走って帰るか考えていた
…
616 :
自己:2013/10/23(水) 09:05:38.53 ID:???0
…
― なれないことは、するもんじゃないな ―
俺は右手に持った紙袋を見た
すると
『あっ!ママ見て!雨だー!』
子供の声に振り向くと
地下からの階段を親子が上がってきていた
『ほんとだ、雨だね、傘持ってきて良かったね』
…
617 :
自己:2013/10/23(水) 09:12:57.99 ID:???0
階段を上がりきると
母親は子供に自分が持っていた二本の傘のうち
一本の傘を渡した
『ママありがとー!どうして雨が振るって分かったの?』
『天気予報で雨が降る確率が40%だったから
降らないかなーって思ったけど、念のために傘を持ってきたの』
親子の会話を聞きながら
俺は朝、出掛ける時に言われた母親の言葉を思い出した
“雨が降るかも分からないから念の為に
折り畳み傘を持っていきなさい“
…
618 :
自己:2013/10/23(水) 09:24:03.74 ID:???0
…
そしてまた…思い出す母親の言葉
“挨拶はちゃんとしないとダメよ
そんな小さい声じゃあ相手に聞こえないわよ“
『○○ちゃんと○○ちゃんのママに会ったら
大きな声でご挨拶しようね』
『うん!』
『どっちのほうが、ちゃんとご挨拶できるか
ママと競争だよ』
『分かった!…え?なに?』
『その傘ね、少し小さいから、濡れないように
レインコートの変わりだよ』
母親は自分が着ていたカーディガンを脱ぐと
それを、子供の背中から肩に掛けて
両袖を子供の胸の辺りで結んだ
…
619 :
自己:2013/10/23(水) 09:33:13.80 ID:???0
…
『これでバッチリ』
両袖の結び目を確認すると
母親は、ふと俺を見た
俺は親子から目線をそらして
なんとなく足元に目線を落とした
『……確か…あった…は…ず……あった
…あの』
母親の声に顔を上げると
手に持っている傘を俺に差し出していた
『これ、使って下さい』
俺は驚いた
「いえ、いいです、いいです
有難う御座います、大丈夫ですので
…折り畳み傘を持ってたのを今、思い出して…」
そう言いながら、俺は自分の鞄の中から
折り畳み傘を出した
…
620 :
自己:2013/10/23(水) 09:38:43.57 ID:???0
…
子供が笑顔で俺を見ていた
母親は俺の出した折り畳み傘を見て
『あっ、ごめんなさい…傘ないと思って…』
と頭を下げて
自分の折り畳み傘をまたカバンの中に入れた
母親は子供に傘を開かせて
『しっかり持ってね』
と言ったあと、自分の傘を開き
『さあ、行こう!』
と、雨の中を並んで歩き出した
…
621 :
自己:2013/10/23(水) 09:44:17.92 ID:???0
…
俺は思わず
「お気遣い有難う御座いました!」
雨の音に負けないように
大きな声でお礼を言った
俺の声が聞こえたのか
親子は振り向いて俺を見た
俺が頭を下げると
母親も頭を下げ
子供は手を振ってきた
― 帰ろう ―
親子の姿が見えなくなると
俺は手に持っている紙袋を見た
そして傘を開いて
帰路についた
…
622 :
自己:2013/10/23(水) 09:50:47.65 ID:???0
…
家に着いて玄関ドアを開けると
洗面所から俺の母親がタオルを持って出てきた
「凄い雨だったでしょ、これで早く拭いて」
母親は俺にタオルを差し出した
俺は傘を傘入れに入れると、タオルを受け取り
「…これ」
もう片方の手に持っていた紙袋を
母親に渡した
「なんだろ?あっ、サダハ〇のマカロン?
これ、食べたかったんだよね!」
…
623 :
自己:2013/10/23(水) 09:57:29.72 ID:???0
…
母親は紙袋を大切そうに持つと
「ありがとう」
と俺を見た
俺は照れくさくて母親の顔を見ることができず
タオルで顔を拭く振りをして顔を隠した
「靴下とか濡れたんじゃない?
洗面所で脱いだらリビングに来てね、温かい飲み物いれるよ」
そう言うと母親はリビングに行こうとした
「…ありがとう」
俺の声に母親は立ち止まり
俺を見た
…
624 :
自己:2013/10/23(水) 10:01:47.74 ID:???0
…
「ちょうど母さんも、温かい飲み物を
飲みたかったとこなのよ」
「いや、飲み物もだけど…タオルありがとう」
タオルから顔を離すと母親と目があった
笑顔の母親がそこにいた
― 母さんの顔をじっくり見るのは久しぶりだな ―
…
625 :
自己:2013/10/23(水) 10:08:14.30 ID:???0
…
その時、俺は気付いた
俺の年齢と同じ年月
母親は年を取り、死に近付いているということに
俺が生まれた時から
ずっと俺を心配してくれていたということに
― 明日から「行ってきます」「ただいま」「ありがとう」を
ちゃんと言おう
それから…
優しくしよう… ―
これからは、俺が母親の心配をする番だ
終わり
…
626 :
自己:2013/10/23(水) 10:14:12.19 ID:???0
……
…
ふと思った
例外もあるだろうが
子供が20歳になろうと
30歳になろうと40歳になろうと
子供の心配をし続ける
そういうものではないだろうか
親という人達は
“ 親に感謝しろよ“
心に残っていた彼の言葉に僕は問う
― あなたは、どんな親孝行をしていますか? ―
…
627 :
自己:2013/11/26(火) 09:42:51.51 ID:???0
……
…
僕は君を殺せるよ。
僕をじーっと見つめてる君。
僕の前に来たってことはさ、死にたいってことでしょ?
分かってるよ。
絶対に殺してあげるから。約束する。
だから早く…
…
628 :
自己:2013/11/26(火) 09:47:39.11 ID:???0
…
……
”これでいいのかなぁ”
私は棚に並んでる白いロープを見た
ここはスーパーの日用品売り場
ロープを買いに来た
何でって? 死ぬためだよ
棚から白いロープ取る
”うーん、楽に死ねるのかなぁ………”
私は白いロープを棚に戻して
カバンからスマホを出した
”調べてみよう”
…
629 :
自己:2013/11/26(火) 09:51:41.92 ID:???0
…
だから早く…。
あっ…。
僕を掴んだね。買うんだね。
僕は途中で切れたりしないからね。必ず死なせてあげる。
え?え? え?…どうして戻すんだい??
あぁ。スマホなんか見てるよ…。
こういうのは勢いが大切なのに何をしているんだろう。
この子は。
…
630 :
自己:2013/11/26(火) 09:59:14.57 ID:???0
…
”えーっと、楽な死に方、で検索”
検索すると、たくさんHITした
上から順番に開いてみる
”うーん、人によって言うことが違う
なんだか、ぜんぶ苦しいみたいだなぁ………”
私は想像した、自分の最後を、楽な死に方を
”……やっぱり、もう少し考えてみよう”
何も買わずにスーパーを出た
空を見上げた
色がない
”生きていたら、いつか空を見上げて『綺麗だな』って
思える日がくるのかなぁ”
私はフードを被ると
いつもと同じように背中を丸めて、うつむき加減に歩き出した
…
631 :
自己:2013/11/26(火) 10:15:20.81 ID:???0
…
イライラする…いつまでスマホを見るつもりなんだい?
え?
ちょっと待って…。
帰るのか…僕を買わずに…。
はぁ………ちゃんと殺してあげたのに…。
僕が落胆の溜め息をつくと
隣りにいた黄色いロープがクスクス笑い出した。
『また、お客さんを"違う死に方"に取られちゃったねw』
…………………まだ、分からないさ。
あのこは、また僕の前に戻ってくる。そんな気がする。
つづく
632 :
自己:2013/11/26(火) 10:18:14.33 ID:???0
…
あの時死ななくて良かった
そう思える日がくるのだろうか
あの時死んどけば良かった
そう思う日がくることはありそうだ
僕の最後はそう
胸の中を握り締められるような感覚に
苦しみながら思うんだ
あの時死んどけば良かった
って
633 :
自己:2013/11/26(火) 10:22:26.78 ID:???0
…
次に襲う大きな発作が怖い
この体を縛る見えない鎖が怖い
いつも笑っている自分が怖い
ー 自分を守れるのは自分しかいないんだ ー
また、あの人の言葉を思い出す
分かってる
あなたの言いたいこと
だけど僕が自分を守ろうとしたら
何もかもメチャクチャにしてから死ぬしかないんだよ
きっと僕は笑ってる
そんな時でさえ笑ってる
>>565 誰と何を話したかなんてそうそう覚えてないもんだよ
キャッチボール誘われたの覚えてるけどww
635 :
ドザえもん ◆DOR1y/DOZA :
だいじょうぶですか