自己紹介さえも利用する

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43まきひと ◆3XGnrNJSJE
夜。とある家では、不登校で車椅子の1人娘を男手ひとつで育ててる刑事が、
最近娘がパソコンで楽しそうなのを見て何かホッとしていた。

そして、とある所では。
(遂に、殺ってしまった……)
一軒家。死体を目の前にして、青年は震えている。
積年の恨みを晴らし『仇』を殺ってしまったのだ……。
法が裁いてくれないのなら、自分の手で憎き存在を殺したい……。
と日々苦しんでいる人は多いだろうが、彼もまた例外では無かったっ……。

殺されて当然の者とは言え、酌量余地される可能性はともかく、殺して免罪される法整備はされていないっ……。
逃亡先のネットカフェ。
(バレるのも、時間の問題だっ……)
明日自首しよう。明日自首しよう……。と思い続け現実逃避のチャットをする日々だった。
そこで仲良くなった『自称女子高生』の活発な少女と、オフをする事になってしまった。
『自分が殺人者』であるという事は、隠しっ……。

オフ当日。遊園地入り口に、目印を持って現れたのは、なんと……内気な『車椅子の女子小学生』だった。
「嘘をついててごめんなさい……。私のこと、きらいになっちゃいましたか……?」と女子小学生が恐る恐る尋ねるが、
「いや、別に……」と青年。互いに隠し事をしていたのだ。

「警部、現れましたよっ……?」ひょんな事から、殺人者の青年がこの日この場所に出現すると目星を付けていた刑事が、上司に逮捕を促す。
「いや、デートが終わるまでは、待ってやろう……」と、刑事の顔付きでは無く、父親の顔付きになり、複雑な面立ちで告げる、警部。