1 :
はじめまして名無しさん:
どっかの教会にある支柱のない螺旋階段とか
現代技術で解明できないらしい
2 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/11/21(水) 19:07:42.86 ID:k5z2ZdHC0
世界中の謎が多い場所に行きまくって携帯から各地の画像等をブログにアップしまくってる人(繋がるもんなんだね)がいて、
ひきこもりの少年は、そのブログを見るのだけが生き甲斐で、ある日衝動的にブログのメールフォームから、
自分がひきこもりである旨、自分も色んな世界を見たい旨を正直に伝えたら(氏名と住所も送って)、後日その冒険者の人が家まで迎えに来て、一緒に世界中の謎の場所を求めて旅立ったらしい。
【北電】
!hokuden
【東北】
!touhokuden
【東電】
!touden
【陸電】
!rikuden
【中電】
!chuden
【関電】
!kanden
【中国】
!chugokuden
【四電】
!yonden
【九電】
!kyuden
【沖電】
!okiden
東北電ヤバいだろ
テレビで何も言ってねーからシステムエラーかな
盗電も95以上
5 :
【東北電 101.5 %】 :2012/12/03(月) 18:06:32.42 ID:ndVlJjeQ0
でんき
>>3-5 そういう表示も信用してないし、ただの遊びだとおもってる
7 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 19:45:48.55 ID:0v8J0xPE0
世界が海と陸、2つに分かれていた頃。
『神の紋を持った固定』がこの世を救ったという。
その者には『神の紋』と言われる紋章が体に刻まれていたという。
後にその紋章は世界で何か危機が起こる毎に、人々の前に現れた。
誰かの体に刻まれて。
1つの紋章は6つの力を宿した6つの紋章になったという。
そして後に紋章は『お印』と呼ばれ、お印を持った者は、
『神固定』と呼ばれるようになった
8 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 19:47:49.53 ID:0v8J0xPE0
ここは、『2ちゃんねる』といわれる世界。
ここでは、昔から神話が伝えられ、神の像がどの村・町にも存在する。
そしてどの人々も『神固定』と呼ばれる神の力を宿した人々になりたがっていた。
紋章の能力は6つ。
『火』・『水』・『木』・『土』・『風』・『雷』に分かれ、
それぞれの紋を持つ者には『虹色神像』と呼ばれるモノが
産まれた時から付いているのだった。
9 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 19:50:43.39 ID:0v8J0xPE0
そして『ここ』に、その力を持って産まれた者が1人いる。
名を『千春』と言う。
千春はとても心優しい子だ。
人を傷付ける事を嫌い、 ましてや人が虐められていようモノなら身を挺してでも、守ろうとする。
彼女は女である。
なのに『神固定』に選ばれた事が 自己紹介町の男集の怒りを買ってよく虐められり、『悪戯』をされたりした……。
そして千春の紋の力は、『水』。
全てに安らぎを与え、癒す力。
千春は小さい時から力を、そのように使って来た。
10 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 19:54:03.50 ID:0v8J0xPE0
そんな千春には弟が1人。
名前は『工藤はちぞう』という。
工藤はちぞうは活発な子でとても剣技が得意だ。
剣を自由自在に扱い、いつも千春の手伝いをして来た。
『2ちゃんねる』には、昔から魔物がいる。
『行殺軍団』と言う悪の組織が束ねる魔物だ。
それらから村・町を守るのが、『神固定』たちの仕事なのだ。
魔物といっても、普通の魔物ではない。
ここに出て来る魔物は『機械』等だ……。
機械は人を襲い、そして命を奪って来た。
その機械に立ち向かえるのは『神固定』だけなのだった。
しかし千春は、機械を破壊する事さえも嫌がっていた。
壊す前、壊す時は絶対に「ごめんなさい……。ごめんね……」と言っている程だ。
12 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 19:57:21.00 ID:0v8J0xPE0
「はちぞう、今日は『水の祠』に行くけど、はちぞうも来る?」
千春は自分の家の2階にいる、弟はちぞうに話しかけた。
「えぇ? 行くのか? ちょっ、ちょっと待って! 俺も行く!」
はちぞうは上でバタバタと何かの準備をして降りて来た。
「おまたせ。行こう!」
「はちぞう。もっと慎重に動かないと……。お気に入りの剣は、いらないのかな?」
千春はニコッと笑ってはちぞうの頭をポンとさすって、言った。
「あっ、取って来るっ!」
はちぞうは慌てて自分の部屋にある剣を取りに行った。
その間千春はある写真に、
「行って来ますね。父上……。母上……」
と言って、優しい目で写真を見ていた。
13 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/03(月) 20:06:53.54 ID:0v8J0xPE0
千春とはちぞうの母親と父親は2人が幼い頃に『行殺軍団』のせいで亡くなっている。
その時、千春とはちぞうを庇った両親を殺した者の姿は、今でも目に焼きついている。
だが、千春は時々不思議に思う事がある。
(何故自分達は見逃されたのだろう?)と。
うろ覚えなのだが、
「ガキどもも殺して良いっしょ?? 俺は血が見たいんですよ!!」
と凶暴な男が上官風の者に尋ねた際に「子供を殺せとは、命令されて無い……」
等のやり取りがされていた。
千春の日課は、出かける前にこうやって写真に挨拶する事だ。
「お待たせえー」
はちぞうは出かける前に、もうフラフラになっていた。
「クスクス。それじゃ、行こうか」
千春はそう言って、自分の武器と荷物を持って扉を開けた。
うんこ
15 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:35:28.23 ID:6V5gqsmo0
この世界には町は6つ、村が町に隣接して6つある。
各町にはそれぞれ『祠』がある。
それぞれの祠の名は、
『炎の祠』・『水の祠』・『土の祠』・『雷の祠』・『緑の祠』・『風の祠』という。
後2つ砂漠にある『太陽の祠』と、湖にある『月の祠』の2つは何故か町では無く、自然の中にあった。
16 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:37:41.71 ID:6V5gqsmo0
「『水の祠』にいっつも行ってるけど、千春は何しにあそこに行くんだ?」
いつも聞かれないような事を、はちぞうに聞かれた千春は少し感嘆していた。
「ん? あぁ。あそこには『惹かれる何か』があるんだよ……。
それがなんなのか探しに行ってる、って所かな……」
はちぞうの顔を優しい表情で見て、千春は言った。
「ふぅ〜ん」
はちぞうは今ひとつわからないという表情で、千春の顔を見た。
「そのうち何なのか教えてあげるよ……」
千春はクスクス笑って言った。
17 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:38:57.91 ID:6V5gqsmo0
町を歩いていると近所の不良少年『30』と『信長のやぼんぬ』がこっちに向かって来た。
「よぉはちぞう。今日も千春にべったりだなぁ〜? このシスコン野郎!」
この近所の少年たちは、性格が悪く虐めっ子なので有名だ。
「あぁ? 今なんて言いやがった? もう一回言ってみろっ!」
『シスコン』この言葉は、はちぞうには禁句だ。
言ったら最後、言った人たちをボコボコにした事が何回かある。
18 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:41:45.39 ID:6V5gqsmo0
「アハハハ、キレやがったぜ? もう一回言ってやるよ!
この、シスコン野朗!!」
少年たちは笑いながら言った。
『ブオンッ』と少年たちの横に何かが通った。
「ぶった切ってやる! てめぇらぁぁぁぁっ!!」
はちぞうがそう言った瞬間、もうその場には、はちぞうはいなかった。
「はちぞう……! 駄目だよ……!!」
千春は止めようとするが、はちぞうは我を忘れていた。
「関西連合流:龍派連波っ……!!!!」
はちぞうが極めた剣技はいくつかあり、
『関西連合流』はその中で1番強い種類の流派だ。
19 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:43:22.51 ID:6V5gqsmo0
『ゴオン』と凄まじい音が少年たちに襲い掛かったその時、
「はちぞう、止めてっ……!!!!!」
千春は少年たちを庇うように立ち塞がり、はちぞうの技を止めた。
「千春!?」
はちぞうは正気を取り戻し千春に駆け寄った。
「大丈夫か? 千春。大変だ、血が……」
はちぞうが立てヒザ付いて千春を心配してオロオロしていたその時、
『パンッ』と、強烈な平手打ちがはちぞうの頬を打った。
20 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:46:20.43 ID:6V5gqsmo0
「はちぞう! 人を、人を傷付けようとするなんて……」
千春の嫌いなのは無益な殺生、無益な喧嘩等の争いごとだ。
それを自分の弟がしようとしたのが許せないらしい。
「ごめん。つい我を忘れてて……」
『パンッ』と、再び強烈な平手打ちがはちぞうの頬を打った。
「私に謝るより、先にこの子達に謝りなさい……!!」
千春は口から血を吐きながら言った。
「はい。ごめんなさい、これからむやみに攻撃しないようにします……」
はちぞうはしゅんとして少年達に言ったが、
「ハン! 最後まで攻撃しないで謝るなんて、お前本当に『神固定』の弟か?
バッカ見てぇ〜。行こうぜ〜!!」
少年たちは、はちぞうの反省を無下にして去って行った……。
21 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:49:06.19 ID:6V5gqsmo0
「千春、大丈夫……? あの技は一番強いやつだから……」
「ん? 大丈夫だよ。『神固定』は、強いからね……」
『少し悲しそう』に笑って返した千春の傷は、もう塞がりかけていた。
「ね? 私は……どんなに傷付いても、こうやって治癒出来るんだから……」
千春は寂しげにはちぞうにそう言った。
(千春……)
「さて、水の祠に行こう!」
千春は、はちぞうの肩をポンッと叩いて立ち上がり、先に歩いて行った。
「うん……、そうだね」
22 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/04(火) 19:51:47.48 ID:6V5gqsmo0
【 第2話 水の祠のりぉ 】
数10分後。
祠の中に入って神殿に行くと、 そこには、オコジョのような動物が動いていた。
「なぁ、千春。あれ何? いつもいないようなのが、いるぞ?」
はちぞうが指を指した先には確かに変な生き物が居た。
「本当だ……」
その瞬間『パァァ』と千春の手の甲にある『神固定』の御印が光り出した。
千春がその生き物に近付くにつれて、その光は増していった。
「パフゥ〜、ポフゥ〜」
その生き物は変な鳴き声だ。
目の色は千春と同じ綺麗な海のように深い青。
体の色はキラキラと光を反射している白色だ。
それに、首から何かをブラ下げている。
23 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 21:45:32.83 ID:mg4VqVkz0
「これは……」
千春がソッと手の上にその生き物を乗せた。
「これは、私が持っている『水宝石(すいほうせき)』と同じ……?」
ソッと手にその石を触ろうとすると謎の生き物は威嚇し始めた。
「ん? 触らせてくれないのね……? それじゃあ、君に聞くけど、君は一体誰なの?」
千春は動物に語りかけるのが得意だ。
24 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 21:47:42.78 ID:mg4VqVkz0
言っている事はわからないが、動物に話しかける事を好んでいる。
それと同じようにこの生き物にも話しかけた。
すると……。
[我が名は、『りぉ』。『神固定』の力となる者だ]
その生き物は、千春の心に直接語りかけて来た。
[りぉ……? 君は、私に何をするの…………?]
千春は聞いた。
25 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 21:49:41.35 ID:mg4VqVkz0
[私は、あなたの武器になり盾となる。あなたの能力を完全に使えよう]
千春はりぉの言っている事が本当だと、何故か思った。
「あなたは、一体何者……?」
もう一度確認のためにりぉに問う。
[私は『最初の神固定』から受け継がれし者。水の御神精……]
御神精とは神が『神固定』に授けたと言われている妖精の事である。
「えっ……。御神精……」
[そうだ、私は『最初の神固定』が死す時に姿を消した……。
そして、新たな『神固定』の私を使える者が来るのを待っていたのだ……]
りぉの体には水色のオーラがまとい始めていた。
「なぁ、千春……。さっきから誰と喋ってるんだ?」
はちぞうが剣を磨きながら聞いて来た。
26 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 21:54:15.63 ID:mg4VqVkz0
「ん? この子とだよ……」
約20cm程の体のりぉを見せて、千春は笑った。
「それと、喋ってるの……!?」
はちぞうは当然ビックリした、そして心の中で、
(千春の頭がやばい……)
と思った。
[まきひと……?]
りぉは、はちぞうを見て急に驚愕し、そう呟いた。
[えっ、まきひと……?]
千春はキョトンした顔でりぉに尋ねた
[いや、私の勘違いだった……。気にするな……]
[(しかし、何故だ……。何故私はこの小僧を見て、まきひとを思い出したのだ……。まさか……)]
27 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 21:57:54.05 ID:mg4VqVkz0
「所でりぉ……。君の使い方を教えてくれない? そうじゃないと、君はただのペットだよ……」
千春は、機械を倒す為にいつも大変苦労していた。
しかし、りぉがいる事で、倒し難かった機械を『苦しめず』に、倒す事が出来ると思ったのだ。
[いいだろう。しかし、私の使い方は簡単だ……。
きっと戦闘になったら、無意識に使える事だろう……]
りぉはそういうとぴょんと手の平から飛び降りて、外へ千春とはちぞうを誘導して行った。
28 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/05(水) 22:03:44.99 ID:mg4VqVkz0
【 第3話 千春の力 】
祠から町の外に出たりぉと2人は、 行殺軍団の数匹の機械の群れが出来ているのを見つけた。
その機械たちは町の外壁を壊そうとしている。
外壁は機械の力では壊れないが4匹くらいいるので、かなり危ない。
元々今狙われている所は、ヒビが入っているので、 集団で攻撃を受けたら攻撃が防げず町が機械に襲われる。
「あははは、私が作った新型は凄い性能を発揮してるわっ!!」
「詩音、今回の任務はあくまでも、新型の性能テストだぞ?」
優男で堅物っぽい男がそう言った。
「わかってるわよ、特厨非FAN。でもさ……、町1つぐらい壊さないと、性能テストもクソも無いでしょ!?」
詩音と呼ばれたオカマ風の男はそう言って、遠隔装置を押した。
29 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:43:58.26 ID:vBD7OLOJ0
「あっあれは!」
はちぞうは剣を構えた。
「はちぞう。私に任せて下がっていて! はちぞうには危険すぎる……」
そう言って千春は水の力を使って宙に浮いて滑って行った。
りぉも千春の肩に乗って、機械の群れに向かった。
「チッ。『神固定』じゃなけりゃ、危ないってのか……!
俺だって……、俺だって、アシストぐらいは出来るのに……!!」
はちぞうはいつも機械と戦う時に、 自分を信頼して戦いに参戦させてくれた千春が、
「今日は危ないから」と言って、置いて行ったのがとても気に食わなかった。
それは、千春も何か『嫌な予感』がしていたからだ。
「りぉ! 合体よ!!」
千春の口が勝手に動いた。
御神精は『神固定』と合体する事によって、いつもより強く固い鎧と、とても鋭い武器と化す。
『イィィ』 何かが鳴る音がした
30 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:47:08.97 ID:vBD7OLOJ0
すると、りぉの体がメコメコと形を変え千春の体と一体化した。
「これは……」
[考えている暇は無いぞ。 もう機械はこっちに向かって攻撃して来ている]
りぉの使い方を、脳が体に伝える。
機械のミサイルがこっちに向かって来る。
「りぉっ! 甲化!!」
千春は叫んだ右手を前に出して力を入れるとそこから、
『ブゥオン』
と何か甲羅のような感じだが六角形に穴の開いた半透明のモノが出て来た。
それに当たったミサイルは、
『ドォン』
と言って爆発した。
その爆煙を利用して千春は機械の心臓部の核(コア)を、 水の両刃剣『ウォータークロード』で破壊した。
機械は崩れ破片が残った。
他の3体は、同時に攻撃して来たので
ガード出来ないと思った千春はヒラリヒラリと攻撃をかわし、
次々にコアを破壊して行った。
31 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:49:01.21 ID:vBD7OLOJ0
「あららー。新型ちゃん、全滅みたいですよ」
気楽そうな偵察員は、詩音にそう報告した。
「ぜ、全滅……? そんな、嘘でしょ、ちぇすたー……。貴方の報告が間違ってるのよ!!」
詩音は狂乱して、ちぇすたーと呼ばれた部下にそう言った。
「落ち着け詩音……。ちぇすたーが報告を間違えるはずは無いだろ……。
侮っていたんだ我々は、色んな意味でな。一旦退却するぞ……」
非FANは、詩音を厳しく諭した。
「わ、わかったわよ……。あの小便臭い娘……。私の可愛い機械達を……。絶対に許さないわ……」
32 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:50:45.76 ID:vBD7OLOJ0
「ごめんなさい……。機械たち……」
千春は謝って破片をたたずんで、見続けた。
[早く分裂しろ。慣れない体で合体状態が続くのはキツイぞ]
りぉは最初の頃に比べ、喋り方が現在のキツイ喋り方に近付いた。
「あっわかったよ……。分裂っ……!!」
すると千春が体からニュゥ〜っと形を変え、元の形に戻った。
33 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:53:13.09 ID:vBD7OLOJ0
「さて、りぉ君の事を詳しく教えてくれるかな……?」
千春は、はちぞうの方に歩きながら肩に乗っているりぉにそう言った。
[わかった。しかし、千春の家に行ってから話そう]
りぉは前を見ながら静かに落ち着いて言った。
「わかった」
千春は、はちぞうに手を振りながら了承した。
「はちぞう。お待たせ。機械に狙われてないよね? 怪我もしてないみたいだし、帰ろうか!」
千春は、はちぞうに微笑みかけて言ったが、はちぞうはふてくされたままだった……。
「はちぞう。今日は、ごめんね? いつもなら一緒に戦っているのに……。
でもこれからは、はちぞうが怪我をしないためにも、戦いには参加しないで欲しいの……」
千春はちょっと苦しそうに言って、先に行ってるからと言って歩いて行ったが、
その後、町の中に入って数10m行った所で急に千春は、『バタッ』と倒れてしまった……。
34 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/06(木) 19:54:59.72 ID:vBD7OLOJ0
【 第4話 千春の死 神固定まきひと はちぞうの決意、はちぞうの剣 】
「千春っ……!! 千春っ……!!!」
はちぞうは慌てて千春に走り寄って千春の顔を持ち上げた。
すると……、息をしていない。
「りぉ! お前、千春に何をした……!!」
はちぞうはりぉに剣を向けた。
だが、りぉはヒョイっと剣に乗り、
[そんなことをする暇があるならこいつを運んでやれ]
と言った。
りぉの声が初めてはちぞうに伝わった瞬間だった。
35 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:13:02.53 ID:DOUh6Lx90
千春の弟である、はちぞうも少しだけ術が使える。
『工藤家』は代々魔術師の一族として栄えて来たからだ。
「アロワ・アロオ・アロロウ……。アロワ・アロズ・アロウロ……ワロス……」
はちぞうの唱えた怪しげな言葉。これは魔術語である。
魔術を使うに当たって、とても大切なものだ。
はちぞうが唱えていくうちに千春の身体は宙に浮き、
そして家の方向へ浮きながら進んで行った。
「アロウロ……。召喚獣:クロサメ!」
はちぞうが召喚できる召喚獣2匹の1匹。クロサメ……。
音速と水を齎す召喚中だ。
「家へ向かえ! クロサメ!」
クロサメは、はちぞうの指示通り、はちぞうの体の横にくっついて家へ向かった。
りぉも、はちぞうの肩に乗って家へ向かった。
36 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:17:24.06 ID:DOUh6Lx90
同じ頃、行殺軍団本部。
「また失敗したのか詩音……。腐った蜜柑は不要だ……。消えろ……」
「こ、小麦様……。もう一度だけチャンスを……! チャンスをおおぉぉぉ……!!」
そう叫び、詩音はこの世から抹消された。
(あーあ、何回見ても胸糞悪いねー……)
ちぇすたーはその様子を楽観的に見物していた。
「葵、みおとイテ殺を呼べ。次はあの二人を差し向ける」
小麦は、葵と言う名の部下にそう伝えた。
「小麦様。しかし……。みおとイテ殺は……、」
非FANが小麦にそう言った。
「非FAN、私に逆らうのか? 行殺も、ちゅうも、私の機嫌1つで生死が決まるんだがね……?」
「くっ……。わかりました……」
非FANは、悔しそうに引き下がった。
37 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:20:20.83 ID:DOUh6Lx90
王室にやって来た、みおとイテ殺。
「小麦様ー。俺こんなガキと組むなんて、嫌ですよ?
聞いた話だと、相手は小娘1人なんでしょ? 俺1人で十分ですって」
みおは自信満々に、小麦にそう言った。
「はぁ? アンタだってガキじゃん><」
イテ殺はそう言い返した。
「ジュラ」
「お前等、遠足じゃ無いんだぞ? 小麦様の命には黙って従え……」
生粋の武人『ジュラ10』と呼ばれる側近がそう言った。
みお&イテ殺「は〜い><」
38 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:23:41.90 ID:DOUh6Lx90
別館。
「非FAN、すまない……。私とちゅうと母上がこの館に幽閉されていなければ、
お前だって小麦なんかに従わずに済むのに……」
「いえ、私はあくまでも行殺閣下が『小麦に従え』と命を下されたので従ってるだけの話です故。
私が忠誠を誓うのは、あくまでも貴方だけです……」
真っ直ぐな目でそう伝える。
「非、迂闊な事は言うな……。狡い小麦の事だから、何処に盗聴器を仕掛けている事か……」
行殺は周囲を伺い、非にそう言い諭した。
「失礼致しました……」
「それと、イテ殺も駆り出された様だな……。本当に、すまない……」
「はいはい、愉しい面会の時間は終わりですよ〜!!」
嬉々として入って来たのは、
『小麦一派(正確には現在、全権は小麦が握っているので全員が小麦一派所属では在るのだが、事実上は行殺一派と小麦一派で分かれている)』の666だ。
「ああ、わかっている。今戻る……」
非は行殺に一礼し、部屋を出た。
「つーかさ、なんで今度の任務はイテ殺とみおみたいなガキなんだぁ!?
俺を選んで欲しかったよなぁ非ちゃん!? 血が、血が見てえんだよぉ!! 俺は!!!」
(コイツは、小麦への忠義は薄いな。後々利用価値が在るな……)
39 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:25:07.80 ID:DOUh6Lx90
「ねぇねぇ、オヤツは何円までだろ? バナナは、カウントされるの?」
出撃準備をしてるみおは、イテ殺にそう尋ねた。
「はぁ? バナナはカウントされないに決まってるでしょ><。馬鹿ぁw」
イテ殺は少し怒ってそう返した。
「やっぱそうだよな!! てか、お前生理用品持って行った方が良いぞ?」
「アホォ! そんなに長引くと思ってるの? 小娘一人ぐらい、次の生理までには倒して見せるってば!!」
40 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/07(金) 21:27:19.10 ID:DOUh6Lx90
家について、千春をベットに横にさせた。
それまでしていなかった息も、し始めているみたいだ。
「よかった……。死んだ訳じゃ、無かったのか……」
はちぞうは、一度に2つの術を発動させたことがなかったのでヘロヘロになってしまった。
[はちぞう、君は私の声が聞こえているね?]
りぉは、剣に乗って話しかけた。
「ん? うん。聞こえてる……。っておわぁぁ! イタチが、りぉが喋ってるっ……!!」
ついはちぞうは、大きな声を出してしまった。
これはひどい・・・
42 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 19:56:10.33 ID:33Blcw900
そのときポムッと、りぉの手がはちぞうの口を塞いだ。
[大きな声を出すと千春が目を覚ましてしまう。静かにしろ……!]
りぉは、はちぞうを叱った。
「あっ……。ご、ごめん……」
はちぞうはモゴモゴと謝った。
「んで? なんで千春は倒れたんだ……?」
一番聞きたかった事を思い切って一発目に聞いてみた。
[それは、御神精との合体のし過ぎだな]
「合体の、しすぎ……?」
はちぞうは、繰り返して聞いた。
[そうだ。慣れていない体で合体時間が長時間続いたため、体力と精神力を使い過ぎたのであろう……]
ため息に似たものをつきながら、りぉは答えた。
43 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 19:58:35.14 ID:33Blcw900
「合体のしすぎ……」
繰り返して、はちぞうはつぶやく。
[ そう、長時間の戦いは使用者に多大な疲労を齎すのだ。
千春が息をしていなかったのは生命が消えたのでは無い。
呼吸する体力すら残っていなかったのだろう……]
「そっか。よかった、生きてるんだね?」
[その通りだ]
りぉは、はちぞうに説明し、
はちぞうはそれを理解して緊張が解かれたようにクタァ〜っと、寝転がった。
44 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:03:05.50 ID:33Blcw900
同じ頃。
「ったく。あのシスコンにも困ったもんだよな、信長……?」
虐めっ子グループの30が、ガムを噛みながら信長にそう尋ねる。
「全くっすねww。更に言うなら、全くっすねwww」
「この町に間違いないんだね、みお?」
町の入り口に入って来たイテ殺がそう尋ねる。
「ああ、ちぇすたーさんが書いた地図の通りだから、間違いないんだろ。
ただ、何処の家かはわかんねぇな……」
みおはちぇすたーから書いて貰ったメモを読み直して、そう言い返した。
「そう……。じゃあ、1個1個、お邪魔する?
あ、あそこにいる男の子達に尋ねてみよっか」
45 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:06:56.74 ID:33Blcw900
「ねぇねぇ、君たちぃ……」
イテ殺は30と信長に近寄り、声をかけた。
「あぁ?」
30はイテ殺の方を振り向く。
「えっと……。千春? って子の自宅、知らない?」
「はぁ? 知ってても教えねえよ、ハゲがw」
信長はそう答えたが、 その時、30の身体に衝撃が走った。
(な、なんて可愛い子なんだ!!)
「知ってる、知ってるよ!! 僕が道案内してあげるよ」
30はそう言ってイテ殺の手を引っ張った。
「さ、30さん……。硬派じゃ無いっす……」
46 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:09:55.38 ID:33Blcw900
[今度は私からの質問だ。はちぞう、君は何故この剣を使っているのだ?
これは、千春が使う物のはずだが?]
りぉは、ジッとはちぞうを見つめて質問をした。
はちぞうはムクッと起き上がって、りぉを見つめた。
「この剣は、水の祠の中で見付けたんだ……。
岩に刺さってたのを、まず千春が引き抜こうとしたけど抜けなかった……。
次に俺が抜こうとしたらスポッて抜けたんだ……」
はちぞうは、ファ〜っと大きな欠伸をしながら言った。
[そうか、剣に選ばれたのは、はちぞうの方であったか。
もう1つ剣が刺さっていたであろう?
刀みたいなやつが……。あれはどうした?]
りぉは、剣の上でモソモソと丸まって聞いた。
「ん? あぁ、あれなら千春が引き抜いた。 俺では抜けなかったからね。だから、千春が使ってるよ……」
はちぞうは、りぉの姿をマジマジと眺めサラッと答えた。
[なっ!]
りぉは、今まで見せなかったようなビックリした表情で立ち上がった。
47 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:12:17.22 ID:33Blcw900
[それは、本当なのか? 剣の持ち主が、2つとも違うというのは……!!]
りぉは慌てた表情で、そう言った。
「違うよ? これは俺ので、刀は千春のだ」
はちぞうはキョトンとしている。
[そうか、それは不思議な事だ……]
りぉは、かなり困っているみたいだ。
「何かマズイ事でもあるのか?」
はちぞうは一層キョトンとしている。
[あぁ。2本の剣は所有者が同じでなければならない……。
そして、2本の剣は『神固定』を所有者に選ぶ。
なのに違うとなると、はちぞう、君にも『神固定』の素質があるのかも知れない……]
りぉは、どうしていいやらという感じの表情でため息をついた。
〔(だからか、だからコイツからは『アイツ』と同じオーラが……)〕
48 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:15:56.52 ID:33Blcw900
同じ頃。
「なんだこの辺境の地は。時空転移の魔法失敗してるじゃん、あの馬鹿」
「俺のみさとに馬鹿とか言うなよ、馬鹿な茶。
場所の若干のズレは仕方無いだろ。んじゃ『目的のアレ』を探しますかね……」
自己紹介町外れの森で、1人の青年と中年が何やら言い合っていた。
「なぁ、まきひと……。その前に腹減ったから、あそこの町で飯食わね?^^ これから先どうせ非常食ばっかなんだろ?」
「はぁ? だからお前はデブなんだよ。キッドなんだよ。まあ良いけど、食欲満たしたら性欲満たしたくなったって俺を襲わないでくれよ。
淀の写真で抜いてくれ」
49 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/08(土) 20:18:40.48 ID:33Blcw900
【 第五話 みおの戦う理由 悲しき瞳のイテ殺 】
「へー……、イテ殺ちゃんって言うんだ。可愛い名前だね……。ぼ、僕は30。よろしくね」
30は千春の自宅への道案内の最中、デレデレしながらイテ殺と談話している。
「うん、漏れ……。本当の名前はわからないんだけどね……」
「えっ?」
30が不思議そうな顔で返して来た。
「イテ……、そんな奴に余計な事はベラベラと喋るな!!」
みおが遮るように、そう言った。
「えっ、別に良いじゃん? 駄目なの? もしかして嫉妬してるの?w」
「あ、アホォか、そんなクズにベラベラ教える必要はないって意味だ。
お前も、それ以上追求するなよ……?」
みおは物凄い形相で30にそう言った。
「は、はい……」
(な、なんかこの人、怖い……)
30はアッサリと引き下がった。
「さ、30さん……。情けないっす……」
50 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 19:57:35.52 ID:4698IBy20
「さてと、食堂は何処かな〜?」
浮かれながら町を歩く中年。
その時、中年の身体に何か異変が起こった。
「ま、まきひと……!?」
魚茶は、急に叫んだ。
「ん?」
まきひとはキョトンとした顔で返した。
「向こうから、美少女の匂いがする。間違い無い! 俺様の美少女センサーがそう告げてるっ!!」
「あっそ……で?」
(帰ったら淀に報告してやる……。ククク……)
51 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:00:36.24 ID:4698IBy20
ムクッと寝ていたはずの千春が、目を覚まして起き上がった。
「あっ、千春! 目が覚めたんだね……?」
はちぞうはベットの横まで歩いて、千春に異常がないか確かめた。
「大丈夫そうだね……。良かった……」
はちぞうは寝ぼけ眼の千春に、冷たい水を飲ませた。
「はちぞう……。ありがとう……」
千春は、眠そうな声でお礼を言った。
〔……どうやら、姉弟の団欒は終わりの様だな……〕
りぉが、そう呟いた。
「えっ、りぉ……。どうしたの……?」
はちぞうが不思議そうな顔で、尋ねる。
〔客人の様だ……。それも、招かざるな……〕
52 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:02:58.99 ID:4698IBy20
「おぃテメェ等、滞納してる借金は何時返すんだよ? あ?」
それは、金融会社『何時もニコニコ名無し潜伏』の社員、『ぇり』だった。
「ほ、本当に招かざる客だ……。りぉ、どうしたら良い?」
はちぞうは困惑し、 りぉに泣き付いた。
「こればっかりは……私にも、どうしようも無い……」
「ねぇねぇ、こっちもこの家に用があるんだけど、後にしてくれないかなー?」
入り口前にやって来たイテ殺が、ぇりにそう言った。
「あ? ふざけんなよ小娘? こっちは生活がかかってるんだぞ? それとも、お前が身体で、」
最後まで言う前に、ぇりはこの世から亡き者となった。
53 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:05:06.65 ID:4698IBy20
「イテ殺に薄汚い手で触るなよ、雑魚が」
みおが隠し持っていた武器で、ぇりを抹消したのだ。
「みお! 殺す事……、なかったじゃん……」
イテ殺は少し悲しそうに、みおにそう言い諭した。
「ひ、ひぃぃぃ……」
30は腰が抜けている。部下の信長は「お、俺には関係ねぇ!!」と猛スピードで逃走した。
「ごめんね……。30……」
イテ殺は腰が抜けている30を見下ろしそう言い、みおと共に家の中に入った。
「千春さん……ですね。お命頂戴しに参りました。
そっちの男の子は関係ないので、何処かに行ってくれると助かるのですが?」
イテ殺は淡々とそう伝えた。
54 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:07:38.73 ID:4698IBy20
「なんだお前等!? ふざけんなよ! 千春は俺が守るんだよ!!」
はちぞうは慌てて剣を取り、構えた。
〔まずいな……。武将クラスが2人か……。おい、はちぞう。この2人は機械とは段違いだぞ?〕
りぉは、冷静にそう伝えた。
「ああ。見りゃ、なんとなくわかるよ……。だけど、負けるとわかってても戦わなきゃいけない時があるだろ?
それが……男ってものだ!!」
はちぞうは全く物ともせず、そう豪語した。
〔ふ……。そうだな。千春には、私が最後の力を振り絞って防衛の魔法をかけておく。
はちぞう、死ぬなよ……〕
55 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:09:16.55 ID:4698IBy20
それから何分が経過しただろうか。
もはや、はちぞうはそんな些細な事も考える余裕も無かった。
「ゲホッ……」
はちぞうは血反吐をはいている……。
「おいおい、もう降参しなよ? なんか俺たち、悪者みたいじゃん? ぎゃはは」
みおはニヤニヤしながら甚振り、あえて殺さず攻撃を続けている。
「みお、もう……楽にしてあげなよ……」
イテは「俺に一騎打ちでやらせてよ」と言って来たみおの気持ちを汲んで見届けている。
56 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:11:18.76 ID:4698IBy20
「こっちだ……! 間違いないぞ、まきひと!! こっちから美少女臭がぁぁ!!」
魚茶は、率先してまきひとを誘導している。
「お前、飯は……?」
その時、猛スピードで走って来た少年が魚茶に衝突した。
「なんだお前? 殺すぞ、この世に男はいらんしな」
魚茶は少年に対してそう言い睨んだが、反応する間もなく少年は物凄い形相で去って行った。
「なんだあの無礼な少年は……。全く、最近の若い者は」
魚茶はそう嘆いた。
「つか、最近も何もここ……、」
57 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:13:57.85 ID:4698IBy20
「もう辞めて! りぉっ……!! 早く、この防壁の魔法を解いてよ……。
はちぞうが、はちぞうが……っ!!!」
〔駄目だ……。今防壁の魔法を解いても、向こうの女にお前が殺されて終わりだ……。
いずれにしろ、はちぞうが殺されたら終わりだが……。信じろ、お前の愛する弟は……、
アイツの眼は、まだ諦めていない……。『神固定』の眼だ……〕
「そんな……。いや、はちぞう……はちぞう……!!」
イテ殺はそのやり取り(と言ってもりぉの声はイテ殺とみおには聴こえていないので実際には独り言)を、
少し申し訳なさそうに見ている。
58 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:15:50.33 ID:4698IBy20
「ねえねえ……。素直に『僕の命だけは助けてください』って、言いなよ?
僕等の目当ては千春?だけだから、君みたいな雑魚の生死はどうでも良いんだよ?」
みおは攻撃を緩め、そう挑発した。
「……だ……」
はちぞうは何かを呟いた
「はぁ???」
「俺は、昔から……『神固定』の千春に対して劣等感を抱いてた。
千春が、機械を壊す時に『ごめんなさい』って言ってるのも知ってたし、
自分が神固定に選ばれて重荷を感じてる事も……知ってた」
はちぞうは意識が残ってるのか無いのか謎だが、ぶつぶつ呟いてる。
「うん……。で?」
みおは虚仮にした態度で返した。
59 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/09(日) 20:17:39.15 ID:4698IBy20
「だけど、俺はやっと気付いたんだ……。
『神固定』ってのは選ばれてなるものじゃない……。
大事な人を、大事な場所を守りたいと思う気持ち、その心こそが、『神固定』なんだ……!!」
はちぞうは、そう豪語した。
「ぎゃははは。何その三文芝居? くっさー」
みおは嘲笑した。
その時だった。
「よく言ったぞ小僧。
『大事な人を、大事な場所を守りたいと思う気持ち、その心が、神固定』ね……。
ああ。俺も、そう思うぜ?」
入り口から、青年の声がした。
60 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 20:51:30.55 ID:fi8uODui0
「うおぉぉぉぉ! カワイ子ちゃんが、2人もいるぞ……!!
やはり俺のセンサーに間違いは無かった……!!」
千春の家に上がり込んで来た中年は嬉々としてそう言った。
「何々、オッサン達、何? 邪魔しないでくれる?」
みおは余裕全快でそう言った。
「オッサンだってさ」
「オッサンだってさ」
魚茶とまきひとは、互いに「俺じゃないよ」と言いたげだ。
「何……? この人達……」
はちぞうは何が起こったのか、事態が把握出来ていない。
〔まきひと……!? 何故、お前がここに……〕
りぉは、青年の姿を見て驚愕した。
61 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 20:56:48.91 ID:fi8uODui0
【 第六話 みおのプライド 魚茶とまきひと イテ殺と行殺 】
「りぉ兄……? おま、りぉ兄か……。なんでイタチなんだよ? みぃみとの、新たなプレイですか」
まきひとはりぉの変わり果てた姿を見て冗談交じりにそう言った。
〔だ、黙れ……。それより、何故お前等がその姿でこの時代に……?〕
りぉは、少し焦って問いただした。
「ま。つもる話は後にして、弱い者虐めしてる奴等にお仕置きしなきゃな?」
魚茶が割り込んで、そう言った。
(弱い……だと?)
はちぞうはその台詞が気に障ったが、怒る気力も残っていなかった。
「何勝手に話進めてんの……? まあ、雑魚には飽きてたし、アンタ等が代わりに遊んでくれるんだね!!」
みおは嬉しそうに魚茶に飛びかかった。
「おうおう、若い子は元気だねー。んじゃまきひと、そっちの美少女ちゃんは任せるけど、
くれぐれもやり過ぎるなよ? 美少女は、そう……世界遺産だぞ……!!」
魚茶はみおの攻撃を軽く捌き、まきひとにそう伝えた。
「ああ、はいはい」
まきひとは面倒臭そうに答えた。
62 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 21:01:29.63 ID:fi8uODui0
「えっ、嘘だろ……。俺が……。この俺の攻撃が……、」
みおは魚茶に軽くあしらわれ、初めて抱いた『恐怖』という感情に戸惑っていた……。
「ふむふむ、太刀筋は中々だが……。君、まだ敗北経験が無いだろ……? それじゃ成長しないな」
と、何故かまきひとに感慨深く視線を向けた後、
「ここらで1回負けとくか? ん??」
と続け、魚茶は軽くみおの武器を叩き落とした。
「お、俺が……負ける……。
母さん……なんで……。俺は……、負けられないんだよおぉぉおお……!!」
泣き叫びながら、素手で立ち向かう、みお。
63 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 21:04:19.75 ID:fi8uODui0
(なんだ……。この子の執念は……)
まきひとは驚愕していた。
圧倒的な実力差でイテ殺を翻弄してはいるものの、全く衰えないその気迫に、だ。
「も、漏れは負けられない……。漏れが負けたら、兄貴が……ちゅうが……!!」
イテ殺はそう叫び、まきひとに攻撃を続けた。
(何が、この子をここまで……)
(ああ。この子の、眼……。何処かで見たと思ったら……、)
と、今度はまきひとが何故か、りぉに意味深な視線を向けた。
64 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 21:06:37.69 ID:fi8uODui0
「うわぁぁぁ……!!」
イテ殺は最後の力を振り絞り、まきひとに決死の攻撃を仕掛けた。
「ちっ!!」
まきひとはイテ殺の短剣を手の平で受け止め、握り締めた。
まきひとの拳からは、血がドクドク流れる。
「あ、あ……」
まきひとの、予想だにしない行動にイテ殺もみお同様、恐怖を抱いた。
「もう、やめろ……。お前みたいな可憐な少女には、刃物より笑顔の方が似合うぞ」
65 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 21:10:49.58 ID:fi8uODui0
〔まきひと! 無茶をする……。お前は、『神固定』じゃないんだぞ!!〕
と、思わず叫ぶ、りぉ。
「えっ……」
それを聞いて、気力を取り戻す、はちぞう。
「こんなに凄い人が、『神固定』じゃ無い……?」
と、思わず口に出してしまった。
〔ああ。まきひとは、誰よりも努力し、神固定になりたがっていた。
だが、皮肉な事に……選ばれたのは、特に神固定に執着していなかった私と、そこの魚茶を含めた6人だった。
まきひとと私以外は、人格的には褒められたものでは無いのだがな……〕
車屋、絵が上手い女、??、???の、シルエットがりぉの脳裏を過ぎる。
66 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/10(月) 21:19:21.31 ID:fi8uODui0
「りぉ。くだらん話するなよ」
自分で自分の血を舐めながら、遮るまきひと。
『刃物より笑顔の方が似合うぞ』とか、プププ。
帰ったら、みさとちゃんに言い付けてやろうっと!!」
そのやり取りを黙って見物していた魚茶はまきひとを茶化して来た。
「アホか……。とりあえず、これ以上続けても、もう無駄だってわかっただろ……?
俺達に話してみろ……? お前等の、悲しい眼の理由を……」
まきひとは魚茶の冷やかしを軽く一蹴し、冷静にみおとイテ殺にそう伝えた。
〔まきひと〕
りぉは、まだ納得していないぞ?と言いたげに、割り込んで来た。
「一緒なんだよ……」
〔?〕
りぉは、疑問符を浮かべた。
「アンタと……、」
魚茶を気にするように見て、
「淀の……、眼と」
67 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/11(火) 21:52:53.79 ID:VT0f3a9R0
「おい、どういう意味だ? りぉと、淀と、その子の眼が一緒って? どう見てもみんな違ってみんないい、だぞ?」
と魚茶が真顔で訊くが、
「まあっ、バカはほっといて……」
再びイテ殺とみおに、強き眼を向ける、まきひと。
「べ、別に何もありません……。漏れ達の問題ですから。負けは認めます……」
イテ殺は淡々とそう返した。
「そう言う事だな……。勝者が敗者に同情してるんじゃねーぞ、オッサンども!
御託並べずに、早くトドメを刺しやがれ!!」
みおがそう続いた。
「可愛く無いガキどもだな……。
ま、そっちの小僧はともかく、女の子はもっと素直の方が可愛いぞ? ん??」
魚茶はイテ殺の頭をポンポン撫でてそう言った。
「素直になるつもりも、馴れ合うつもりもありません。
敗者には死を、それが行殺軍団のルールです……。早くトドメを願います」
68 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/11(火) 21:54:48.68 ID:VT0f3a9R0
「勝者が敗者の命を奪う権利があるなら、敗者を生かす権利もあるんだな?
なら、俺も魚茶も、お前等を生かす様、命令する」
まきひとはそう伝えた。
「うわー……。お前、良い所ばっか取るなよ。なんで名言名場面多いんだよ、お前。
『大事な人と大事場所を守る気持ちこそが神固定、同意だぜ(キリリ)』とかさ」
魚茶がまたしても茶化して来た。
「いや、別に、キリリとはして無いんですけど……」
69 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/11(火) 21:57:53.60 ID:VT0f3a9R0
「アイツ等、強かったな……。イテ……」
みおは千春の自宅からの帰り道の最中、イテ殺にそう言った。
不思議と、悔しそうでは無く何処か満足気だ。
「うん……。そうだね……」
――お前みたいな可憐な少女には、刃物より笑顔の方が似合うぞ
イテ殺は、まきひとの言葉を思い出し、ドキドキしていた。
(も、漏れ……どうしちゃったんだろ……。なんで、あの人の事がこんなに気になるの……)
イテ殺は高鳴る胸の鼓動に、戸惑いを隠せずにいた。
「どうした、イテ?」
みおがイテの異変を察し心配そうに声を掛けて来た。
「な、な、なんでもないよ!!」
イテ殺は慌ててそう答えた。
(あの人、まきひとって呼ばれてたな……)
70 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/11(火) 21:59:29.76 ID:VT0f3a9R0
その時だった。
「おっす、みお、イテちゃん♪ 失敗しちゃったんだね〜?」
行殺軍団の、666とプリンスが目の前に現れた。
「666! プリンス!! なんでお前等がここに?」
みおがそう言った。
71 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/11(火) 22:01:57.05 ID:VT0f3a9R0
【 第七話 炎の神固定 ジョルジ 】
自己紹介町から遠く離れた町、純愛町。
「も、もう駄目だ……。行殺軍団からの年貢の取立てが厳し過ぎるわい……」
村長のすぴろーは、頭を痛めていた。
「おい、ジジイ!! 今期の分はどうした? 紅茶きなこ様がお怒りだぞ!!」
この領土を治めている武将『紅茶きなこ』の手先、ステレオがやって来てそう言った。
「か、勘弁して下さい……。これ以上取り立てられたら、我々が生活出来なくなります……」
72 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 21:46:20.19 ID:9Z+d6Se90
「なんだと? だったら物では無く、者で勘弁してやろう! くくく……。これは上玉だ……。紅茶きなこ様もさぞかしお喜びになるだろう……。
その前に、毒が無いかどうか味見せねばな……」
そう言ってステレオは、奥に上がりこみ隠れていた娘を引っ張り出した。
「いや……。お父さん……!!」
娘は父に助けを求めた。
「うう……。ゅー……。すまない……」
すぴろーは、何も出来ない無力な自分を悔やんだ。
「おっと、そこまでだ!!」
美少年風の男が上がり込んで来た。
「なんだ……!? てめ……。邪魔すん……、」
最後まで言う前に、ステレオの息は途絶えた。
73 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 21:49:25.05 ID:9Z+d6Se90
「下品な男め……。お嬢さん、お怪我はありませんか?」
そう言って美少年は、ゅーに手を差し出した。
「は、はい……。ありがとうございました……」
ゅーは少し赤面しながら、手を出した。
「あ、ありがとうございました……。貴方は、一体?」
すぴろーが、そう言った。
「僕はジョルジ。反行殺軍団組織『デアイチュウ』の長、『炎の神固定』ジョルジです」
74 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 21:51:50.63 ID:9Z+d6Se90
「ほ、炎の神固定……? 貴方様が……? うう、ありがたやありがたや……」
すぴろーは、ジョルジを拝んでそう唱えた。
「ははは、大袈裟ですよ……。僕は当然の事をしたまでです……」
ジョルジは、謙虚にそう返した。
「な、何かお礼をさせて下さい……? 少ないですが、水と食料を……、」
すぴろーは台所に向かおうとした。
「いえ、結構です。もうお礼は既に頂いてます」
ジョルジは、屈託の無い笑顔で抑止した。
「は……? と、申されますと……??」
すぴろーは、不思議そうな顔でそう返した。
「貴方達の笑顔が……、僕にとっては最高のお礼ですから……」
75 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 21:56:39.94 ID:9Z+d6Se90
「な、なんと立派なお方じゃ……。で、では娘のゅーを妻として娶ってくだされ」
すぴろーは驚きの余り、思わずそう答えた。
「ははは、そんなぁ……。大袈裟ですよ……。ゅーさんだって、僕見たいな冴えないガキんちょより、他の男の方が良いんじゃないですかぁ?」
ジョルジは少し照れながらそう答えた。
「い、いえ……。私、ジョルジさんなら……、身も心も捧げます……」
ゅーは恥ずかしそうに答えた。
(くくく……。馬鹿なジジイと娘だ……。すっかり騙されて……)
ジョルジは、心の中でそう嘲笑っている。
(このまま俺が本当の『炎の神固定』としてなりすましてやるさ……)
(俺がいれば、行殺軍団なんて全員倒せる。『神固定』なんていなくても……。
そして、世界の女の子全員俺のモノ)
彼は、実は単なる凄腕の剣士であった。
「自分さえいれば行殺軍団を全滅出来る」と信じて疑っていなかった。
確かにステレオは撃破出来たものの、まだ世界の広さを知らなかった……。
76 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 21:59:05.39 ID:9Z+d6Se90
【 第八話 土の神固定 加藤しねよん 】
「宇部、止めても無駄だぞ!
俺はもう決めたんだ!! これ以上アイツ等の言いなりになってたまるかよってな!!!」
同じ頃、甲子園町では1人の青年が何やら興奮していた。
「駄目よしねよん……。幾ら貴方が町一番の体術の使い手だからって……、
1人で、行殺軍団に勝てる訳無いじゃない?」
77 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/12(水) 22:02:21.56 ID:9Z+d6Se90
「止めるんじゃねー、宇部!!」
しねよんは宇部の制止を振り切り、
この領地の主『坂下のし』の駐屯地まで向かい出して行った。
「しねよん! しねよん!!」
「ぜぇ……。ぜぇ……。待ってろよ、坂下のし……! 俺がぶっ潰してやるからな!!」
しねよんが向かう道中、『行殺軍団』の下っ端が数人、何やら不穏な動きをしていた。
(ちっ……! まあ、雑魚どもなら、何人いたって……。にしても、アイツ等、何やってんだ?)
下っ端達に近付き様子を確認すると、1匹の『猫』を虐待していた。
78 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:02:47.97 ID:LGqUImo/0
「貴様等ぁぁぁ!!!」
しねよんは激怒し、瞬時に兵隊達をボコボコにした。
兵隊達は「お、覚えとけよ! 坂下のし様に言い付けてやる!!」とお決まりの捨て台詞を吐き、去って行った。
「ったく、猫ちゃん虐めやがって……。大丈夫か?」
しねよんは猫を抱き抱え、そう呟いた。
[ふーん……。結構強いみたいだけど、それじゃ坂下のしとかって奴には勝てないと思うよ?]
しねよんの脳裏に『誰か』の声が響く。
79 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:05:09.74 ID:LGqUImo/0
「おいおい、殺すなよ……! 折角の玩具なんだからなぁ……」
兵隊の1人が嘲笑いながら、そう言った。
「わかってますって。こちとら身体が鈍って仕方無いんですよ。 にしても、この奇声は何度聞いても溜まりませんなー」
兵隊達は猫を甚振りストレス解消していた。
「貴様等ぁぁぁ!!!」
しねよんは激怒し、瞬時に兵隊達をボコボコにした。
兵隊達は「お、覚えとけよ! 坂下のし様に言い付けてやる!!」とお決まりの捨て台詞を吐き、去って行った。
「ったく、猫ちゃん虐めやがって……。大丈夫か?」
しねよんは猫を抱き抱え、そう呟いた。
[ふーん……。結構強いみたいだけど、それじゃ坂下のしとかって奴には勝てないと思うよ?]
しねよんの脳裏に『誰か』の声が響く。
80 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:07:27.38 ID:LGqUImo/0
「だ、誰だ!?」
しねよんは、辺りを見回す。
[クスクス。今抱えてるじゃん]
猫は爪でしねよんを叩き、合図した。
「お、お前が俺に語りかけてたのか……!? お前は一体?」
[私は運子。『最初の神固定』から受け継がれし、地の御神精]
御神精とは、神が『神固定』に授けたと言われている妖精の事だ。
「ご、御神精……? そうなのか……。とりあえずさ、俺先急ぐから、行ってもいい?」
しねよんは納得したのかして無いのか謎だが、当初の目的を思い出し、そう伝えた。
[クスクス。だから〜。今のまま言っても返り討ちは目に見えてるってば、『地の神固定』君]
まきぐそは文章は長いが動画は短い
82 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:11:48.66 ID:LGqUImo/0
「ち、地の神固定……? 俺が……??」
しねよんは驚き、そう尋ねた。
[やっぱり、水の神固定の小便臭い娘と違って、自覚無かったのね]
運子は呆れ、そう言った。
「だけど、そんな事は今関係ねぇんだよ!!
俺が神固定だろうが、なかろうが、俺のやる事に違いはねえだろうが!!」
しねよんはそう豪語し、坂下のしの元に向かおうとしたが、運子に飛び掛れ、爪で引っ掛けられた。
「なんだよ、邪魔すんなよ!! 今の、名言だろうが」
しねよんは振り解き、そう叫んだ。
「血気盛んなのは良いけど、無駄死にするのを黙って見届ける訳には行かないわ」
運子は冷静にそう伝えた。
「無駄死に……だと?」
腕に自信があったしねよんは、無駄死にされると断言された事に腹を立てた。
「そうよ、暫くしたら『炎の神固定』と『水の神固定』がこの街に訪れるわ。
貴方はその2人と協力して坂下のし……。ひいては、行殺を倒すのよ」
「ふざけんな! 待ってられるかよ……!! 俺は1人でも行くぜ!!」
しねよんはそう叫び、向かおうとした。
「その自意識過剰さは神固定の条件とも言えるけど……もっと、強くなりたくないの?」
83 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:15:26.59 ID:LGqUImo/0
「……どう言う意味だ?」
しねよんは「強くなりたくないの?」と言う台詞に反応し、振り向かずに尋ねた。
「今のままじゃ貴方が他の神固定たちの足手まといになるのは目に見えてるし、
私が鍛えてあげる。3日で良いから、私に預けてみない? 貴方の全てを……」
運子はしねよんにそう伝えた。
「3日で……良いんだな? それ以上は待たないからな!?」
暫くの沈黙の後、しねよんはそう答えた。
84 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/13(木) 21:19:00.29 ID:LGqUImo/0
「そうと決まったら、もうこの姿にも飽きたわ……」
運子の声は二重に重なり低く重くしねよんの脳裏に響いた。
「な、なんだ……?」
光は徐々に強さを弱めていった。
『ゴォォォ』っと音を立ててしねよんの前に現れたのは、美しい姿をした絶世の美女であった。
「お、お前が……。さっきの猫……?」
しねよんは驚きを隠せず、そう尋ねた。
「そうよ。詳しい話は貴方の家に着いてからにしましょう」
運子はそう答え、しねよんの自宅へと向かった。
85 :
魅愚 ◆WMF0EHhGRo :2012/12/14(金) 13:00:31.08 ID:eYmvWamzO
いつ行っても客が少なくて静かな事だけが特徴の地元のBARに、俺は月に1度だけ通っていた。
たいして期待してはいなかったのだが、幸運にもお気に入りのバーボンを置いていたので、それをボトル買いしてキープをしていた。
保管期限は1年。
中々良心的な店だが、だいたいボトルは3ヶ月で空になった。
いつも月末の金曜日、終電近くの時間に店に寄り、ロックのダブルを2杯飲んで帰るのがパターンだった。
あるとき珍しく友人に誘われ、4人で飲みに行った。
新品のボトルを開け、みんなで仲良くロックのダブルを3杯ずつ飲んでボトルを空にしてやった。
俺はご機嫌な足取りで家路についた。
86 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:03:15.99 ID:dqoUJiVQ0
「あ、しねよん……。帰って来てくれたのね……!!」
自宅に入って来たしねよんと運子を嬉々として出迎えた、宇部。
「いや、実はな。宇部……、」
最後まで言う前に、宇部は運子の姿を視覚した。
「な、何よその女……! しねよんの馬鹿!!」
宇部はしねよんに平手打ちし、泣きながら家から出て行った。
87 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:05:54.18 ID:dqoUJiVQ0
「な、なんだアイツぅ……。何怒ってるんだ?」
しねよんはキョトンとし、その様子を見送った。
(こ、コイツ……。まきちゃん以上に鈍感なのね……。
可愛いわ、食べちゃおうかな……。クスクス)
(ああ、まきちゃん、私がこのしねよんを、千春とかいう小娘以上にものにして鍛えるから、褒めてね……)
88 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:10:23.98 ID:dqoUJiVQ0
「うっ……」
千春の自宅で、イテ殺とみおとの戦後処理として掃除をしているまきひとは、悪寒がした。
「ど、どうしたまきひと?」
魚茶は、まきひとの異変を察知し、声をかけた。
「い、いや……。急に悪寒が……、」
89 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:11:53.06 ID:dqoUJiVQ0
【 第九話 イテ殺への愛 風の神固定みお 】
自己紹介街から離れた、崖の上。
「それで、なんでお前等がわざわざお出迎えに……?」
みおは皮肉風に、666とプリンスに尋ねた。
「わかってる癖に、みおちゃんったら♪」
666は嬉しそうに返した。
(やっぱりか……。しかし、武将クラスを2人も差し向けるとは……)
みおは何かを決意した。
(だけど、愛するイテ殺だけは俺が守る!!)と。
90 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:15:27.15 ID:dqoUJiVQ0
王都クソコテガルド。
「蝶騎士団 御帰還です!!」
兵士の声が、宮廷に鳴り響く。
「蝶よ、娘は……、リズリサは……まだ見付からんか?」
国王が騎士団長の蝶に飛びつき、そう訪ねた。
(王……痩せられたな……)
「はい、ひとでとデンデンの隊も導入し、捜索の手を広げていますが、いまだ手掛りの1つも見付かりません」
蝶は国王にそう答えた。
「ぅう……。リズリサ……」
国王は落胆し、娘の名を呟いている。
91 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/14(金) 21:18:19.52 ID:dqoUJiVQ0
「全く……。毎日毎日小娘の捜索で、これって騎士団の仕事なんですか……?」
兵士の1人が食堂でぼやいている。
「迂闊な事は言うな、国王の勅命だぞ?」
騎士のひとでが、部下を諭した。
ひとでは蝶の右将軍、デンデンは左将軍だ。
「ひとで、ご苦労だったな……。私は暫くしたら再び指揮に戻る……」
蝶は部下達を労いながら、ひとでの隣の椅子に腰掛けた。
「蝶様、リズリサ姫の行方が気にかかるのはわかりますけど、暫く休息されては?」
ひとでが心配そうに声をかける。
「私なら大丈夫だ……。ひとで、お前の方こそ、しばし休暇をとれ、これは命令だ」
蝶はそう返した。
「そんな……! 自分ばかり休む訳にはいきません……!!
蝶様、『婚約者』のリズ姫が心配なのはわかりますが、ご自分の御身体を大事にして下さい!!」
ひとでは蝶にそう言い諭した。
(いや、寧ろ私が心配しているのは、姫の魔力の暴発だ……)
92 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:17:04.19 ID:cK6odMdE0
「ははは! 血がドクドク出てる、たまんねぇ!!」
666は身を挺してイテ殺を庇い続けてるみおを痛め付け、みおの血を舐めている。
「666、遊び過ぎだぞ。そろそろ片付けろ……」
その様子を黙って見物しているプリンスが告げる。
「みお……。漏れは大丈夫だから、もうどいて! 2人でかかれば、勝ち目だって……」
「駄目だ……。惚れた女1人守れなきゃ、男として、格好付かないだろ……」
みおはそう呟き、イテ殺をギュッと抱きしめた。
「えっ……みお……」
イテ殺は少し赤面し、そう答えた。
「イテ、俺……。前からお前の事が好きだったんだ……。お前は……ゲホッ、俺の事、どう思って……、」
みおは血反吐を吐きながら、イテ殺に尋ねた。
93 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:29:31.63 ID:cK6odMdE0
「も、漏れは……」
――もう、やめろ……。お前みたいな可憐な少女には、刃物より笑顔の方が似合うぞ
イテ殺の脳裏に、まきひとの言葉が浮かぶ。
「うん……。漏れも、好きだったよ……」
暫く沈黙が続いた後、そう答えた。
「ははは……。嘘が……下手だな……。でも、ありがとな……」
みおは微笑んで、そう返した。
「みお……。ごめん、漏れ……、」
94 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:31:36.10 ID:cK6odMdE0
「おいおい、何ラヴシーン展開させてんだよ? キメェんだよ……! 続きは天国で、気がすむまでやりな!!」
666は緩めていた攻撃を止め、本腰を入れて攻撃して来た。
(ははは……。この展開……何処かで見た事あるな……)
みおは観念し、何かを思い出していた。
(そうだ。はちぞうとか言う奴を、俺が同じ様に痛め付けたんだっけ……)
みおは、工藤はちぞうとの対決を思い出していた。
(その後、変なオッサンが来て……、俺、ボロ負けしたんだよな……。
俺が『神固定』だったらこんな事にはならなかったのかな……)
95 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:33:23.65 ID:cK6odMdE0
[ だけど、俺はやっと気付いたんだ……。
『神固定』ってのは選ばれてなるものじゃない……。
大事な人を、大事な場所を、守りたいと思う気持ち……。その心こそが、『神固定』なんだ……!!]
工藤はちぞうの言葉が、みおの脳裏を過ぎる。
「ははは……。はっ、ははははははははは!!!!!!!!!」
みおは急に笑い出した。
「観念して狂ったか。死ねよ……。ゴミが……!!」
666はとどめの一撃と言わんばかりに、武器を振り下ろした。
96 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:35:27.24 ID:cK6odMdE0
すると、666の目の前からみおとイテ殺の姿が消えた。
「なっ……!? どっ、何処だ!?」
みおは666の背後に立っていた。
(さっきまで目の前に立っていたみおが、何故俺の隣に!?)
666は反応する間も無く、みおの槍によって突かれた。
「お、お母ちゃん……」
666はそう呟き、恐らく絶命した。
97 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:37:25.59 ID:cK6odMdE0
「666〜……!!!!」
プリンスが駆け寄る。
が、666の死体についた時には、プリンスも絶命した。
プリンスも、目にも見えない速さでみおに攻撃されていたのだ。
「み、みお……?」
イテ殺は驚愕し、事態を把握出来ていない。
「イテ、大丈夫だ……。お前は俺が守る……。『風』が、力をくれたんだ……」
イテ殺には風の防壁が施されている。
98 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/15(土) 21:39:03.31 ID:cK6odMdE0
「『風の神固定みお』か……。ふふふ。役者が、揃って来たな……」
その様子を遠巻きに見物し、謎の人物は嘲笑っていた。
●自己板物語
【 第11話 最初の神固定ぼうし はちぞう出生の秘密 】
100 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/16(日) 21:34:44.94 ID:Q3TGPUMJ0
「そうか……。みおが、風の神固定……」
小麦はちぇすたーからの報告書を読みながら、難しい顔をしていた。
「はい、そうみたいですね……。どうしますぅ……?」
ちぇすたーは何時もの如く、気楽に尋ねた。
「行殺とちゅうがこちらにいる以上は、迂闊に手は出せないだろうが……。
神固定には神固定をぶつけるしかなかろう?
『木の神固定』を呼び出せ」
小麦は、部下の葵にそう命じた。
つまんね
102 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/16(日) 21:38:02.87 ID:Q3TGPUMJ0
「さて……。それじゃ、そろそろ行くかまきひと? 千春ちゃん、またねー」
千春の自宅の清掃を終えた魚茶はまきひとにそう言った。
「おい、待て……。お前達、なんでこの時代にいるのか、説明しろ? 事と次第によっては……、」
りぉが遮るようにそう言った。
「うん。『用』があって来たんだよ。『禁忌』を犯してまで、未来観光しに来ると思うか?」
まきひとはそう答えた。
「だから、その『用』とやらを尋ねているのだ!!」
りぉは、少し怒りながらそう答えた。
103 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/16(日) 21:40:19.29 ID:Q3TGPUMJ0
「だから……、『用』があって来たんだよ。りぉ……」
まきひとはりぉの眼を直視し、そう繰り返した。
(!?)
「そうか……。わかった……。くれぐれも、気をつけてな」
暫くの沈黙の後、りぉはまきひとにそう告げた。
(こ、この2人……言葉なんて交わさなくても、互いの考えがわかるのか……。すげー……)
りぉとまきひとの信頼関係を見て、はちぞうは驚嘆した。
104 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/16(日) 21:42:37.88 ID:Q3TGPUMJ0
「それで……ハイヤーはどうした? 一緒じゃないのか? 何故、魚茶……」
りぉは、千春の家から出て行こうとするまきひとと魚茶にそう尋ねた。
「ああ、ハイヤーの奴、『お前たちと組むぐらいなら俺1人で行動した方が効率的だぜ』
とか言って、単独行動しやがってるんだよ」
魚茶がそう答えた。
「ふっ、相変わらず……、と言うのも可笑しいが、協調性の無い奴だな」
りぉは少し嬉しそうにそう返した。
(ハイヤー?)
はちぞうは、何故かその人物が、後々自分に多大なる影響を与えると予感した。
そしてその予感は、的中する事になるのだが、まだ先の話である。
105 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/16(日) 21:46:30.73 ID:Q3TGPUMJ0
「それじゃ、行くぜ……。じゃあな……」
「あ、あの……」
はちぞうは、まきひとに声をかけた。
「ん?」
まきひとは振り向いて答えた。
「また……会えますか?」
はちぞうは、まきひとにそう尋ねた。
「ああ。運命の導きがあれば、きっとまた会えるさ……」
まきひとはそう答え、魚茶と共にこの場を後にした。
千春たち神固定、はちぞうにとって、
最後の強敵は行殺でも、小麦でも無く、この『まきひと』である事には、
この時のはちぞうは知る由も無かった。
そして、皮肉な事に、この時のりぉも、気付けなかったのだ。
『実はまきひとが一番悲しい眼をしていた』という事に。
106 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/17(月) 21:44:32.03 ID:u2wQjoRM0
[さて、ではここで本題に入ろうか]
りぉは、いきなり切り出した。
「本題?」
はちぞうは、なにそれ?っという感じでりぉを見つめている。
[そうだ、まず2つの剣の話をしよう]
りぉは、そう言って語り出した。
[最初の『神固定』は、いくつかの武器を持っていた。
その中の2つが君たちが所有している剣だ。
各武器はそれぞれ所有者を選ぶ。と言っても、その剣の能力と一致する神固定しか選ばない……]
その言葉に、はちぞうが反応した。
「ちょっと待って? それじゃあ俺は神固定でもないのに、なんで剣を使えてるんだ?」
はちぞうは、早く答えを言って欲しそうに尋ねた。
[そう。それが問題なんだ……]
りぉは話を続けた。
107 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/17(月) 21:47:48.66 ID:u2wQjoRM0
[はちぞうがその剣を使えているという事は、『水の神固定』の素質があるという事だ。
千春がもう一本の剣を使えているのは、勿論神固定だから。
ここまでは、簡単であろう?]
時々素の喋り方に戻ったりしながら、りぉは話を続ける。
[君たちは、自分の先祖が誰だかわかるか……?]
「いや、3代前のおじいちゃんの所までしかわからない」
はちぞうは、考えながら答えた。
[だろうな……。それじゃあ、最初の神固定の名前は知っているかな……?]
りぉは、少し面倒臭そうに言った。
「それも、知らない……」
千春は、何も知らない自分にちょっとショックを受けていた。
108 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/17(月) 21:52:07.11 ID:u2wQjoRM0
[そうか。最初の神固定の名は、『工藤ぼうし』。 君たち、工藤一族の者だ……]
りぉの言った事に、千春もはちぞうも、とてもビックリしていた……。
「そっ、そんな!!」
「ハハハ。まさか、皆の憧れの『最初の神固定』が俺たちの一族だなんて……」
[驚くのも無理はないだろうな。
御神精が工藤家から生まれた神固定に教えるのが決まりだからな……]
りぉは、千春に水をくれるように頼んで言った。
[そして、私がこれを2人に言ったのは、2人とも神固定の素質を持っているからだ……。
千春は神固定だし、はちぞうはこの剣を使える……]
りぉは、水を飲みながら続けた。
109 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/18(火) 21:45:18.29 ID:4UNU4sFC0
[君たちは、私がこんなイタチの姿をしているのに、疑問を抱かないのかな……?]
りぉは、ちょっと怖い笑みで言った。
「抱くに決まってるでしょ? だって変だもん!」
千春がそう言うと、りぉが鋭い爪でザシュッと顔を引っかいた。
[もう一回言ったら、もっと酷い目にあわすからな……?]
りぉは爪を光らせながら言った。
「は、ハイ……」
千春は、震えて答えた。
110 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/18(火) 21:49:38.49 ID:4UNU4sFC0
[そもそも御神精は精霊だが、元は生き物の形だ。 このような姿は偽りの姿でしかないのだ。
我ら御神精は、とても力が強力なため、このように体を小さくして力を抑えているのだ]
「へぇ、大変なんだ」
はちぞうは、千春と顔を見合わせて言った。
[まぁそういうことだ。そして御神精は、
龍・獅子・熊・鷲・蛇・狼で構成されている。
各御神精は、神固定と同じ能力を持っていて 自分と同じ力を持った神固定の御神精となるのだ]
りぉがそう言うと、りぉの首についている、 宝石が光りだした。『イイイイイイ』と、
光は音を放って、りぉを包み込んで行った。
[ウオオオオオ]
りぉは唸りを上げる。光は帯を成し蒼く眩しく光を強めた。
「何? 変身するのか?」
はちぞうは大人しく座っている千春と違って、状況を判断するのが苦手みたいだ。
111 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/19(水) 21:43:35.32 ID:67rJbHMP0
[『はちぞう、そう騒ぐな。座っていろ』]
りぉの声は、二重に重なり低く重く部屋中に響いた。
光は徐々に強さを弱めていった。
『ゴォォォ』っと音を立てて2人の前に現れたのは、美しい深い蒼い姿をした龍であった。
「かっ、カッコいい……」
はちぞうはその姿に惚れ惚れとしていた。
一方千春は声も出ない程に、何か凄いモノを見たときのような顔になっている。
[2人ともそう驚くな。これが私の真の姿]
りぉは前と違って低く重いが その中に美しさと優しさを秘めた声で言った。
「り、りぉ……。あなたは……、」
千春は、口をパクパクさせて何かを言いたそうに口を開いていた。
[私の正式な名は、りぉ・ブルーフォース・工藤ドラゴン。長いであろう?]
りぉは、長い体を、とぐろを巻きながらクスクス笑って言った。
112 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/19(水) 21:47:59.14 ID:67rJbHMP0
「工藤……。私たちの名字と、同じ……」
[そう、答えは簡単だ。最初の神固定、お前たちの祖先がくれた名だ]
千春の言葉に反応して、りぉは答えた。
[私たち御神精は、最初の神固定ぼうしの手により誕生した。
誕生してから今まで神固定に仕え、そして神固定の最後を見届けて来た。
ぼうしは、私たちを愛しそして大切な仲間として育ててくれたが、
ぼうしがこの世を去ってから仲間たちはそれぞれの祠に封印されて来たのだ]
りぉは、悲しそうな表情で下を向いて喋った。
「りぉっ……。貴方たちは神固定が現れるごとに 封印を解かれていたって事……?」
千春は、慎重に尋ねた。
[そうだ。神固定が祠に入ると封印は解かれるが、
神固定が私たちを見つけてくれるまでその場を動けないのだ。
いつ探し出してくれるのか、私達はいつも希望を持って待っていた……]
りぉはいきなり嬉しそうになって、話を続けた。
113 :
魅愚 ◆WMF0EHhGRo :2012/12/20(木) 18:09:16.84 ID:ttkKfDTdO
【うちの学校の七不思議】
@時々真夜中に音楽準備室の電気が勝手に点いたりする
A時々真夜中に保健室から変な声が聞こえる
B時々担任の先生と音楽の先生が神隠しにあう
C時々宿直室からジャラジャラという変な音が聞こえる
D時々壁に刺さってた画鋲が僕の椅子に移動する
E時々僕の上履きが消える
F時々僕の給食費が消える
114 :
魅愚 ◆WMF0EHhGRo :2012/12/20(木) 18:54:40.52 ID:ttkKfDTdO
【とある家庭の七不思議】
@時々平日の日中に知らないおじさんが家に遊びに来る
A時々お兄ちゃんの部屋があかずの間になる
B時々近所のお兄ちゃんがおこずかいをくれて、妹の面倒をみてくれる
C突然お母さんが消えた
D突然新しいお母さんができた
E突然お父さんと新しいお母さんが消えた
F突然学校みたいなところが僕の家になって家族がいっぱいできた
115 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/20(木) 21:48:12.00 ID:f4HYJCEc0
[そして、君が来てくれたんだよ、千春!
君は懐かしい香をしていた……。まるで千年前の頃のような香りがした。
その時私は、ぼうしが生き返って迎えに来てくれたのかと思った。
実際は違ったが、ぼうしの血縁のある同じ名字の者が来てくれた。
私はとても嬉しかった。
君の喋り方は何処となくぼうしに似ていて、昔を思い出させてくれる……]
りぉの顔は、涙を流しながら笑っているように見えた。
「龍……。りぉは、この町の像の龍神だったの……?」
やっと言えたかのように、千春は尋ねた。
[あぁ、祠が出来てから、行殺軍団からこの町を守ってきた]
りぉは、遠くを見ながら答えた。
「みんなが崇め、尊敬してきた龍神様がりぉ……。そして今、私たちの目の前にいる……」
千春はすごく感動しているようだ。
116 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/20(木) 21:51:43.01 ID:f4HYJCEc0
[千春、今から『水の祠』に行ってくれないだろうか? もちろん私も一緒に行くが……]
千春はニコッと笑ってうなずき、出かける準備をした。
はちぞうも付いていくために出かける準備を済ませた。
[それでは、行こう。2人とも私に乗りなさい]
りぉの言葉に従って2人はりぉに乗り、りぉは空高く飛んで水の祠へと向かった。
つまんね
118 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/20(木) 21:54:32.13 ID:f4HYJCEc0
【 第12話 千春の試練 そして旅立ちへ 】
過去。
「ああ、夜式……。離して! やっぱり、私も行く……!!
何か、何か……。嫌な予感がするのよ!!」
1人の女性が、何やら興奮していた。
「駄目だみさと……。3人行くだけでも禁忌を犯してるのに、
この上お前まで行ったら、未来世界が滅茶苦茶になってしまう……」
『夜式』と呼ばれた男は、みさとを必至に抑止している。
119 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/20(木) 21:56:31.52 ID:f4HYJCEc0
その日の夜。
「淀ちゃん……」
みさとは、魚茶の恋人の淀の寝室に来ていた。
「わ、わ、ど、どうしたんですかみさとさん……!?
女同士で駄目ですよぉ……。幾らまきひと不在で、欲求不満だからってぇ……」
淀は冗談交じりにそう言った。
「淀ちゃん……。何か嫌な予感がするの……。
まきちゃんが心配で……。お願い、私と一緒に未来に行って!! 淀ちゃんの剣術があれば、心強いし……」
みさとは淀にそう懇願した。
「ぇえ!? 駄目ですよ……。てか、ウオさんもいるから大丈夫ですよ!!
第一、みさとさんがまきひとを信じてあげなくてどうするんですか!?」
淀を力強くみさとを励ました。
120 :
加藤:2012/12/20(木) 22:03:19.74 ID:VF+Rn8e2O
先入観消して第三者として頑張って読んでも全く面白く無いんだけれど。
読みづらいよ
うんこだな
読める物じゃない
もっと勉強してから書き直しなさい
キミの長文は量はあるけど中身とか魂といったものはない
ぜーんぜんダメ
122 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/21(金) 21:35:11.60 ID:xKOy7/hA0
「そうじゃないのよ……」
みさとは、少し戸惑いながら答えた。
「ほぇ?」
淀は、困惑しながら尋ねた。
「私が不安なのは、『未来への用件』の成否じゃなくて……。
まきちゃんが、未来の女と浮気しないかどうかなのよ!」
みさとはそう豪語した。
「は、はは……。そ、そうですか……」
淀は、少し呆れながらそう答えた。
123 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/21(金) 21:38:15.76 ID:xKOy7/hA0
「淀ちゃんは不安じゃ無いの……? 魚茶さんが、浮気とかしないか……」
みさとは淀にそう尋ねた。
「不安なんてないですよ。ウオさんは、私一筋ですから」
淀は間髪入れずにそう返した。
「でも……。でも、あんなに魅力的な人を、 他の女の子がほっとくと思う!? きっと迫られてるわよ……!?」
みさとは淀にそう言った。
「あうー……。いや、でも……」
……。
「い、行きましょう……。未来に!!」
淀はしばしの沈黙の後、そう答えた。
日記でやれ
125 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/21(金) 21:42:57.15 ID:xKOy7/hA0
[ついたぞ。さぁ付いて来てくれ]
りぉは、龍の姿からいたちの姿に戻り2人を誘導した。
2人が連れて来られたのは、水の扉の前。
ここに一体何があるのか、2人とも検討が付かなかった。
「ここに、何があるって言うの……?」
千春は、りぉを肩に乗せながら聞いた。
[千春。この中に入れた事はあるか……?]
りぉは厳しい口調で聞いた。
「いや、ないよ……。この先は何かに守られてる聖域だから……」
りぉはぴょんと肩から飛び降り、また元の龍に戻った。
「何をする気なの……?」
千春は、恐る恐る聞いてみた。
126 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/21(金) 21:47:36.23 ID:xKOy7/hA0
[千春よ、君はこの中に入る義務がある……。
いや、入らなければならないのだよ……]
「どういう事……?」
[君は、選ばれし神固定だ! それを他の御神精にも知って貰わなければならない。
私は他の神固定を知っている。
だから今度は君を、私が紹介する番なのだ]
りぉはそう言いながら蒼い光を体に纏い、言った。
「紹介? どうして?」
[神固定は御神精の全員に会わない限り神固定として認められない]
りぉの光は増し、目が開けていられない程眩しい。
そして……。水のカーテンは消え、そこには光に満ちた部屋があった。
[さぁ、入りたまえ……]
りぉは鼻でズイッと、
千春の背中を押して半ば強制的に部屋の中に入れた。
127 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/21(金) 21:50:13.12 ID:xKOy7/hA0
はちぞうはそれについて行こうとしたが、
りぉに 服を捕まって、入る事を許されなかった。
[はちぞう。お前はここで待っていろ……。
お前はあの中に入る事を許されていない。
扉の前で、弾き飛ばされるぞ……]
そう言ってりぉは、はちぞうの服を離した。
「ちぇっ、神固定以外、侵入禁止かよ……」
はちぞうはボソッと、悔しそうに言った。
128 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:34:46.21 ID:BqERQDjU0
「ここは……」
中に入った千春は、体を包むような光を浴びながら中へ中へと進んで行く。
[千春……。一番奥の、水晶の所まで進んで行け]
りぉの声が、何処からか部屋の中に木霊した。
千春は辺りを見渡しながら、一番奥にある水晶の所まで辿り着いた。
「この水晶……」
またポツリと千春は呟いた。
「水宝石で、出来ているのか……」
千春はその水宝石に触れてみた。
すると水宝石は光を発し、千春の持っている水宝石と一緒に輝き始めた。
「うわっ! 私の水宝石まで光を帯びている……」
眩しくて目が、チカチカする中で光の中から声がした。
129 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:38:51.24 ID:BqERQDjU0
『りぉに選ばれし神固定、千春か……』
〔この神固定に、世界を救う力があるのか今試そう……〕
≪しかし、彼女に出来ようか?≫
<女だからと言って手を緩めること無し……>
《この者の実力は、あのりぉが認めるもの……。 さぞ見ごたえがあるであろう》
5つの声は部屋に木霊し、そして千春の後ろに5体の機械と思われる者が居た。
機械たちはいきなり千春に襲いかかって来た。
〔若き神固定よ。御神精の力を借りずして、体の機械たちを倒してみせよ〕
≪機械を倒せたのなら真の神固定と認めよう≫
<さぁ戦え己の力を我らに見せよ>
3つの声は、千春に戦いをするよう告げた。
「まさか機械と戦う事になるなんてね……」
千春は攻撃をかわしながら、剣を抜き戦闘の構えに入った。
130 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:40:58.01 ID:BqERQDjU0
「水よ……。我が力となれ!」
左手を宙に千春が翳すと、左手に水が集まり形を変え剣になった。
「水の剣:水龍……!」
そう言うと2つの剣を使って、攻撃をかわしながら機械に向かって行く……。
「水の二刀流奥義:一次解放水煙斬!!」
そう言って千春が飛んで宙から宙を切ると、剣から水が刃ごとく表れ煙のように周りを包んだ。
その水の煙の中では、機械たちが刃で切られているのがわかる。
131 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:42:21.94 ID:BqERQDjU0
「二次解放水龍演舞……!!」
水の煙の中に千春は飛び込み、龍の如く中に閉じ込められている機械を切った。
煙が消えると機械は、バラバラになっていた。
コアも壊され、もう動く事は無さそうだ。
「ごめんなさい……。機械たち……」
そう言って千春は手を合わせ、再び水晶の元に歩いて行った。
132 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:46:22.86 ID:BqERQDjU0
〔ほぉ……。あの機械たちを意図も簡単に倒すとは……〕
<確かに……。ほんの3分ほどで>
コンスコンも真っ青。
≪この神固定は、他の神固定以上の才能を秘めているのか……?≫
《危ないな……。この者は自分の強さに気付いておらぬ様だ……》
[そうだろうな。だが実力がこれ程あれば、問題はなかろう?]
他の御神精たちの話に割って入ってきたのは紛れも無い、りぉの声だった。
[千春は、我らの創造主の血を同じとする者。他の神固定より力があっておかしくは無い……]
〔だがな、りぉよ。他の神固定も創造主と同じ血の者なのだぞ?〕
[そうだな。しかし千春は、創造主の直系の者。
この神固定を認めるべきであろう? 神固定は強き者の方がいいであろう]
133 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:50:38.31 ID:BqERQDjU0
≪それではこの神固定の賛否を取ろう≫
御神精側は何やら揉めている様だったが、結果は、千春を真の神固定として認める事となった。
神固定として認められてから一週間が経過した。
そろそろ神固定として旅に出ることにした千春は、荷物をまとめていた。
はちぞうも着いて行く事にしたらしく、荷物整理をしている。
≪神固定よ、これよりそなたを真の神固定と認定する。そして一週間後、『月の祠』を目指して旅に出よ≫
[もちろん私も動向するぞ、千春よ]
こう言われてから一週間、千春はこの町にもう未練はなかった。
134 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:52:10.01 ID:BqERQDjU0
「お、おーい……! 待て……。待ってくれ……」
町の入り口に、旅支度をした、30が走って来た。
「30……? どうしたんだ……?」
はちぞうは尋ねた。
「俺も……。俺も連れてってくれ!!」
30には、以前の虐めっ子だった頃の面影は、消えている。
「ええー……。ど、どうする、千春?」
はちぞうは少し困惑しながら、千春に尋ねた。
135 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:54:53.76 ID:BqERQDjU0
「うーん……。りぉ、どう思う?」
千春は、りぉに尋ねた。
〔ふっ……。この旅のリーダーはお前だぞ。これから先、大事な選択はお前が決めるのだよ、千春……〕
りぉは、そう答えた。
「わかった……。でも30、これは遊びじゃないのよ……? わかってる……?」
千春は、30に向かってそう尋ねた。
「ああ……。わかってる……!!」
30はそう豪語した。
(あの子、イテ殺って言ったよな……。はちぞう達に付いていけば、もう一度会えるかも……)
136 :
まきひと ◆3XGnrNJSJE :2012/12/22(土) 21:57:13.01 ID:BqERQDjU0
「さぁ行くよ、はちぞう。30!」
「わかった!!」
こうして、千春とはちぞうの長き旅の物語が幕を開ける。
目的地は、月の祠のあるフローネルの森の中にある月光の湖。
〜 第一部・完 〜
永久に終了
かっ、加藤さんと同意見かな
139 :
【東北電 75.4 %】 :2013/01/06(日) 16:33:29.82 ID:hhZp3y790
あああ
140 :
マフティ:2013/01/06(日) 18:00:34.22 ID:WzyM1EBx0
マフティだ
もちろんこんなスレなんて、要開かなければならないスレタイなので開いて、
他の人々も必死に見てないフリをしているので迎合して必死に見てないフリをする
「自分だけ」が必死じゃない安心感は、皆「必死に見て見ぬフリ」の感情の共有は筆舌に尽くし難い
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登場してない死にたい・
321ちゃんねるでやってる