しし丸と話をしよう@カルテット

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844はじめまして名無しさん
男はふと風の中に顔を上げた。まだかすかな、だがいずれ激しいものになる便意を感じ取ったからだ。
荷を下ろして急坂を駆けおり、せせらぎの岩場を目指した。

むらくものように膨れあがる便意に苛まれ、男はよちよち歩きをはじめた乳飲み子の速度で、しかし必死に急いでいた。
この国の男たちにとって、便を漏らすことは即ち人としての死であった。

草を払いのけつつベルトを外し、5歩のうちにずぼんを下げ切ってちょうど岩場に立っていた。
ぱんつを下ろすのに合わせて便が顔を覗かす、それが男が経験にもとづいて予測する未来だ。

男の左手がぱんつの布地を掴む、掴んだ布を引き下ろす。流れるような手つき。だが、男は強く引きすぎた。
ゴムの縫い目が裂け、脱げたのは手で掴んでいた左半分のみ。右半分はまだ尻たぶを覆ったままだったのだ。
軟便が降り注ぎ、男には予期しなかった未来が訪れていた。

だが男は下痢に敗れたのではない。敗れたのはぱんつである。その瞬間、ぱんつはぱんつたりえるものではなくなった。
ぱんつではないものが、どのような色やフレーバーに染まったとしても、それは「漏らした」ことにはなりえない。
男はそのように自己評価を下し、事を終えた。

―――そして、左手に便が付着していないか確かめるために、