SEEDより面白いガンダム「ヴァルキュリア」書きます
1 :
まきひと ◇uoeCB.pYtA:
人類が、宇宙に居住するようになって一世紀が経とうとしていた・・・。
その過去は、安穏としたものではなかった。
常に、それまでの人の歴史を上回る戦争の繰り返しは、 人に命の尊さを教え、皮肉にも戦火に対する「慣れ」も人類に植え付けた。
人は、戦いを忘れられない生き物なのか?
人が、人に罰を与える事は許されるのか?
人という生き物は、永遠に戦争と火種を忘れる事は出来ないのかもしれない・・・。
宇宙世紀0106年・・・。
完全なる平和ではないにしても、人類は一応の落ち着きを取り戻していた。
しかし、戦火の牙はいつもそこにある。
そう、我々の、後ろに・・・・。
(゚-゚*)<2
3 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:28:48 ID:waLArx0z0
主題歌はガンダムSEEDデスティニーOPの「ignited(イグナイテッド)」
でよろしく。
エンディングテーマはガンダムSEEDエンディングテーマの「あんなに一緒だったのに・・・」でよろしく。
しっくり来ます。
>1のナレーションは、ガンダムSEEDの「コズミックイラ70…血のバレンタインの悲劇により…」ね。
4 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:30:38 ID:waLArx0z0
5 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:31:45 ID:waLArx0z0
>>4 地球から最も離れたサイド3にあるコロニーの一つ『ローレライ』。
緑豊かなこの人口の大地。
戦争と、戦火は本人達が意識しない所でいつも起こるものだ。
『彼女』たちも、そう・・・・その日、その時までは自分達が出会う事すらしらなかった。
『その日』運命は『彼女』たちの運命の歯車を変えたのは明らかであろう・・・。
6 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:32:51 ID:waLArx0z0
>>5 「おーい。リーン 今日のテストどうだった?」
スラリとした足を跳ね上げながら、少し神経質そうな顔をした少女が、少し遠目から彼女に声をかけた。
彼女の足には、今日もご自慢の星の形をした銀のアンクレットが見えていた。
友達に呼ばれ、少し憂鬱そうに彼女は振り返り、
「あぅ・・・。全然だめ。 ナゴミちゃんは?」
声をかけられた少女はうつむき加減に答え、追いついてきた友達と並ぶように歩き出した。
7 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:34:13 ID:waLArx0z0
>>6 「ぜーんぜんダメダメ。」
『ナゴミちゃん』と呼ばれた友達は、彼女と歩きながら二人はいつもの他愛も無い話で盛り上がる。
『隣のクラスの誰々は誰が好き』とか、
『あそこの角に新しいアイスクリーム屋が出来た』など他愛も無い話であるが、
それが彼女達には最上の娯楽であった。
大人びたナゴミと一緒に歩くのは、
少し幼く見える彼女にとってはコンプレックスを感じないわけではないが、
同じ年とは思えないナゴミの身体は、彼女にとっては憧れであり、目指す目標であった。
8 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:35:58 ID:waLArx0z0
>>7 『リンプ・オウカ』は親友の『ナゴミ・ラッセル』と日課の他愛も無い話に興じているその時も、
その日朝から鳴る『耳鳴り』に悩まされていた。
その日、彼女のハイスクールであったテストも、
朝から鳴る『耳鳴り』で集中する事が出来ず散々な結果に終わっている。
こんな事は初めてだった。
なんとも表現し難いこの感じ・・・。
『誰か』に呼ばれているような・・・そうじゃないような・・・
なんなの・・・?
病院に行こうかと、本気で悩む。
9 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:37:41 ID:waLArx0z0
>>8 いつもの日常。
いつもの風景。
いつもの仲間 友達 声 音・・・・。
いつまでも続くと思っていたコロニー『ローレライ』の『日常』は文字どうり、
音を立てて崩れていく事になるこの日は、あまりにも穏やかに始まり、そして過ぎていった・・・。
10 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:39:16 ID:waLArx0z0
>>9 プロージュ・エイン少佐等の駆るモビルスーツ、
『リグ・ドーガ』は、ローレライの搬入ハッチに取り付いていた。
彼等の目的は『新型モビルスーツ』を奪取する事。
現行の連邦政府は、『シャア・アズナブルの反乱』以後、
自分達が最上という方針は変わらず、地球から宇宙を支配する形を取っていた。
11 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:40:58 ID:waLArx0z0
>>10 今更その『形』を気にする必要も無いが、
肝心なことは、支配する形を取っている連邦政府は、
宇宙での事には全く感心を示さない事にあった。
対岸の火事と言うヤツである。
コロニー間で問題が起ころうとも、介入する事はなく、
むしろ酔っ払いのケンカ程度にしか思っていなかった。
12 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:42:09 ID:waLArx0z0
>>11 中枢となる機関がそんな状態では、当然のことながらしばしばコロニー間での小競り合いも行われて当然といえば当然という状態だった。
政府がそんな状態であれば所属している連邦軍の状態も腐敗していたと言える。
地球至上主義は過去と変わらず、一部の地球出身の人間や、
政府の人間とつながりがある者たちがエリート集団と称して連邦軍を腐敗させている事も事実であった。
13 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:43:14 ID:waLArx0z0
>>12 「『シャア・アズナブル』の言葉は間違いじゃなかったな。
ヤツの言葉を借りるなら、『重力に魂を引かれた人々』・・・か・・・」
歴史は繰り返す・・・。
そんな言葉を思い出し、プロージュはその端正な顔の唇をゆがめた。
14 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:44:33 ID:waLArx0z0
>>13 プロージュ少佐は連邦軍に所属しているものの、
その精神はもっと崇高だった。
腐敗した政府高官や、軍部によって自分が動かされる事に我慢がならないと思える。
それほどに彼はプライドが高かった。
そんな彼を動かした人物・・・
それが『レオン・コーウェン』が提唱する現行連邦政府に対する『クーデター計画』だった。
15 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:45:32 ID:waLArx0z0
>>14 汚職や、賄賂の横行する腐敗し、堕落した現行の政府を瓦解し、
もっと崇高な意思の元に人類を導く存在が必要な時だと唱えるレオン・コーウェンの言葉は、
腐敗した政府の存在に唾棄したプロージュには、この上ないほどに胸躍るものだった。
そして、彼の指揮するクーデター計画に参加する事を決める。
レオンの生い立ちもプロージュの心を魅了した。
レオンの父親は、あの『ジョン・コーウェン』中将である。
16 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:46:19 ID:waLArx0z0
>>15 過去に、腐敗した連邦軍の中で芯の通った人だったとプロージュは聞いている。
しかし、その融通の聞かない性格と、彼の指揮する計画の失敗により彼は、
その職を追われ連邦軍を去る結果になった。
そして、連邦軍は『ティターンズ』と呼ばれる私兵組織となっていくのである。
17 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:49:37 ID:waLArx0z0
>>16 その息子であるレオンの下には、今の連邦政府に過去のティターンズと同じと感じ、それを打倒しようとする人間が集まっていた。
そして、彼らの現在の任務は、サイド7『ローレライ』で行われている『新型のモビルスーツの奪取』。
既に軍事コロニーとなりつつあるローレライだが、まだ民間の施設もある。
うかつな攻撃は出来ない。
18 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:50:48 ID:waLArx0z0
>>17 しかし、モビルスーツの性能テストが行われている以上は、多大な損害が出るかもしれない。
プロージュはリグ・ドーガのコクピットで何も知らないであろう民間人達の憐れな運命に同情したい気分だった。
19 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:53:01 ID:waLArx0z0
>>18 「ここまで簡単に未確認機の接近を許すとはな・・・。これが現在の連邦だという事か・・・」
すでに彼等が動いてからここまで小一時間程度だが、
ローレライの監視網は彼等に気がついた様子はなかった。
「怠惰だというほかは無いが・・・。自らの敵も見抜けんとはな。」
間の抜けた話であった。
彼等はコロニーに接近するまで一度も監視の目に引っかからなかった。
当然通常ならありえない。もしも彼等がモビルスーツではなく、
隕石などであったら、この時すでにローレライには穴があいていたであろう。
ただプロージュ達も穴を空けるつもりなのだから、
何も知らない住民にとって幸運なのかどうかはわからないが・・・。
20 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:55:30 ID:waLArx0z0
>>19 「何も知らない住民のことを思うと胸が痛みます・・・。」
リグ・ドーガのコクピットに僚機からの通信が入る。女性の声だった。
「気にするな・・・とはいえんな。俺達は大罪を犯そうとしている。今なら引き返せるんだぞ? ヒノ少尉。」
この作戦が行われる数時間前まで、『レイラ・ヒノ』は悩んでいた。
連邦の俗物達を政治の世界から排除するという自らの上官プロージュの考えに賛同したものの、
彼女にはそれほどの大望はない。
21 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:56:16 ID:waLArx0z0
>>20 むしろ、尊敬する上官と離れたくないからクーデター軍の方に居るだけだった。
しかし、その上官と組織がやろうとしているのは単なる虐殺ではないのか?
本当にこのローレライで軍事要塞計画などあるのか?
彼女の頭の中は混乱していた。
プロージュも彼女のその心境は見抜いたのだろう。
この作戦に参加する事を強要はしなかった。
そして、彼女はプロージュがクーデターに参加する真意を聞いた。
まきひとってすげえオタクやな
23 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:57:37 ID:waLArx0z0
>>21 連邦軍がローレライを要塞化していること。
その要塞は宇宙に住むスペースノイドの脅威となること。
そして・・・・現連邦組織内に増えすぎた人口を大規模な間引きをする計画を持っている人間が居る事・・・・・。
間引き・・・・簡単な事である。
人間はスペースコロニーという不安定な空間で生活をしているのである。
少しだけ傷をつけることでコロニーに穴があく。
コロニーに空いた少しの穴が、そこで生活している人間にとっては生死を分けるのもになるのである。
24 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 19:59:10 ID:waLArx0z0
>>23 そして、要塞化されているコロニーで行われる新型モビルスーツの開発計画。
そのモビルスーツの強奪が彼等に下された命令であった。
接近自体は容易でも、奪取となれば話は別である。
恐らくは戦闘になるであろう事も予想される。
戦闘になれば、まだ何も知らない民間人達は逃げる事も出来ず、宇宙の塵となるのである。
それでもプロージュは自らの手を血で染める覚悟を持つ事を語り、
語るときに見せた涙をみて、ヒノもまた、覚悟を決めたのだった。
25 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:02:08 ID:waLArx0z0
>>22 ナイスです。
それは『CM』の『アイキャッチ』ですね?
ほら、『Zガンダム』では『ちゃちゃーんちゃら!ちゃーん』って奴あるじゃん?
ガンダムSEEDでは『ちゃらちゃーん、ちゃらちゃーん』って奴。
ガンダseed後半では『ちゃんちゃちゃん・・・・・・・・ちゃん・・・ちゃ〜ちーん』
って奴ね。
ってこれ伝わるのか・・・・・・・・・。
まあいいや。
とにかくこれは時代考証も入念に行った大作ですから、ガチで『小説版ガンダムseed』を越す気概です。
そもそもコズミックイラと宇宙世紀だから比較対照じゃないけどね・・・
だからって流石に富野監督の小説越せるなんて豪語出来ないしね・・・
26 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:04:48 ID:waLArx0z0
>>24 「少佐・・・・時間です。」
彼女は腕時計を見ながら、プロージュの乗る『赤いリグ・ドーガ』に伝えた。
「了解した!全機これより作戦行動に移る。」
淡々とプロージュの全機に作戦の開始を伝える。
「レイラ。無理はしないでくれ・・・。」
27 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:05:57 ID:waLArx0z0
>>26 接触回線を通し、ヒノだけにプロージュのその声は伝わった。
普段は上司と部下だが、こういうときに男に戻ってくれる。
その声だけで、ヒノはこれから起こるであろう凄惨な光景にも耐えれると思うのだった。
28 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:06:59 ID:waLArx0z0
>>27 時として混乱や混沌と言うのは、なんの前触れもなくやってくる事がある。
それも、突如起こった。
あまりに唐突過ぎるその混乱は、
最初になにが自分達に起こっているのかを理解する時間さえも人々に与えなかった。
自分達の上空(といってもコロニーはシリンダー型なので上空にも大地があるのだが、その中心部は雲もあり、昼と夜も設定されている。夜の時間になると星空まで投影されている。)
に、『モビルスーツ』が見えた。
戦闘による光も一瞬みえた。
29 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:08:03 ID:waLArx0z0
>>28 そして、警戒を継げる警報があたりを包んだ。
遠くからモビルスーツ同士の戦闘によるであろう爆音も同時に聞こえた。
「な・・・・なに・・・・・?」
30 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:09:07 ID:waLArx0z0
>>29 突然の非常事態には、人はすぐに対処するようには出来ていない。
ナゴミとリンプは辺りを見渡すが、
彼女達が見た光景は、今まで十数年生きて来た上での理解と常識を遥かに超えた光景だった。
「せん・・・・そ・・・・う・・・・?」
うつろにつぶやくと、二人は同時に走り出した。
31 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:09:58 ID:waLArx0z0
>>30 「コロニーの中なのに!?」
ナゴミは走りながら、モビルスーツという存在そのものに唾棄する思いで言い捨てた。
元来密封された空間のコロニーのという建造物のなかでビームを使うのは禁忌とされていた。
コロニーの壁自体は数層にもあり、一見安定しているようにも見えるが、その実とても不安定な物だった。
もし、ビームによりコロニーの壁に穴でも空けようものなら、その中に住む数百万の住民は宇宙の塵となる。
コロニー内部でモビルスーツ同士の戦闘など、行ってはいけないものだった。
なのに、上空に見えるモビルスーツ群は禁忌とされている戦闘を行っている。
そのビームが壁に穴をあけることが無い事を祈るしかなかった。
32 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:10:39 ID:waLArx0z0
>>31 「ビーム・・・? 戦争・・・? なに? 一体何がおこってるの?」
リンプは混乱した頭を抱えながら必死に走った。
33 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:12:49 ID:waLArx0z0
>>32 何の疑いもなく信じていた日常は、一瞬のうちに崩れ去った・・・。
炎に包まれる見なれた大地。立ち上がる白い巨体?
リンプとナゴミは何を思うのか・・・?
次回、機動戦士ガンダムヴァルキュリア
第二話
【壊された平和】
戦火の大地に蘇れガンダム。
34 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:23:14 ID:waLArx0z0
>>8 >>その日朝から鳴る『耳鳴り』に悩まされていた。
>>13 >>「『シャア・アズナブル』の言葉は間違いじゃなかったな。
>>ヤツの言葉を借りるなら、『重力に魂を引かれた人々』・・・か・・・」
>>26 >>プロージュの乗る『赤いリグ・ドーガ』に伝えた。
>>17 >>彼らの現在の任務は、サイド7『ローレライ』で行われている『新型のモビルスーツの奪取』。
とりあえずここら辺は『リスペクト・富野』だからよろしく。
こんな風にリスペクト、もとい『耳鳴り=ニュータイプフラグ』『ガンダム奪取』とか『赤いモビルスーツw』
『ありきたりな設定』パクリ・・・と思わせといて、
最終的には富野のガンダムも越すつもりだからよ。
富野監督、と『ガンダム00の監督』覚悟しといてください。
次のテレビ放映ガンダムは『ヴァルキュリア』で決まりですからw
主人公が女のテレビ放送ガンダムも無かったし・・・新しい風を吹き込むって事でサンライズに売り出そうぜ、これ。
35 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:25:21 ID:waLArx0z0
人類が、宇宙に居住するようになって一世紀が経とうとしていた・・・。
その過去は、安穏としたものではなかった。
常に、それまでの人の歴史を上回る戦争の繰り返しは、 人に命の尊さを教え、皮肉にも戦火に対する「慣れ」も人類に植え付けた。
人は、戦いを忘れられない生き物なのか?
人が、人に罰を与える事は許されるのか?
人という生き物は、永遠に戦争と火種を忘れる事は出来ないのかもしれない・・・。
宇宙世紀0106年・・・。
完全なる平和ではないにしても、人類は一応の落ち着きを取り戻していた。
しかし、戦火の牙はいつもそこにある。
そう、我々の、後ろに・・・・。
36 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:27:41 ID:waLArx0z0
37 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:30:50 ID:waLArx0z0
>>36 走り抜ける彼女達の後ろには、怒号とも悲鳴とつかない声があふれていた。
「モビルスーツをコロニーの中で使うのかよ!」
「いやぁぁぁ!わたしの赤ちゃんがっ!」
「どこの部隊だっ!? コロニーの中で戦闘なんてっ・・・!」
様々な声があたりにこだます。
38 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:43:30 ID:waLArx0z0
>>37 次の瞬間には、流れ弾が彼らのすぐ側に落ち、
彼等のうちの数人はビームの光のなかに蒸発していき、
ビームが落ちたすぐ周囲にいた人間は爆炎と、衝撃波により肉の塊となっていった。
遠くに見えるビルにモビルスーツが倒れこむのが見えた。
その下のいるであろう人々はどうなったのだろうか?
それを気にする余裕は、リンプとナゴミにもなかった。
彼女達が走る大通りのすぐ上空でも、花火のような閃光が瞬き、爆炎がみえる。
しかし、その閃光は花火のように安全な物ではない。
数千度に達するビームの閃光なのだ。
39 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 20:46:33 ID:waLArx0z0
>>38 もし、あれが直撃すれば、自分達は痛みを感じる間もなく、
この世から消し飛ぶ事になるだろう。
それは、恐怖だった。
さきほどまでは、普段どおり人々が笑いあい、
笑顔に満ちていた大通りも、今は人々の恐怖と、
怒声のなかで阿鼻叫喚に満ち満ちていた。
母を捜す少年。
上空を飛ぶモビルスーツに対し、怒声を浴びせるもの。
これ幸いと店の商品や金品を強奪するもの。
路上の隅にしゃがみこみ、念仏を唱えている老婆もいた。
40 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:00:59 ID:waLArx0z0
>>39 再び遠くから爆音が聞こえる。
「今度はどこが壊れたんだろう・・・」
漠然とリンプの頭にはそんな言葉が浮かんでいた。
「リン!ここまがって!」
ナゴミがリンプを案内し連れて行こうとしていたところは、
コロニー内部に設置されているシェルターの一つだった。
41 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:02:31 ID:waLArx0z0
>>40 スペースコロニーには、必ずシェルターがいくつか設置されている。
緊急時にはシェルターはコロニーの回転運動によりコロニー外部に射出され、
救命ボートとしても機能するものである。
しかし、コロニー内部の人口に対し、
救命ボートの数は圧倒的に少ないのが現状であった。
明らかに定員オーバー気味のシェルターの前で彼女達は立ち止まった。
上空ではまだ戦闘が続いている。
報道管制が敷かれているのか、テレビもラジオもいつもと変わらないものが流れていた。
それが、地獄ともいえるコロニーの内部の光景に対し、
あまりにも滑稽でむなしく見えたのだった・・・。
42 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:03:38 ID:waLArx0z0
>>41 シェルターの前についたリンプ達は、ここでまた己の不幸を呪う事になった。
すでに、定員を超えているシェルターに更に入ろうと人々は押しかけているのである。
「俺もなかにいれてくれぇっ!」
「死にたくないっ!死にたくないっ!」
「お願いします!この子だけでもっ!」
彼等も必死なのだろう。
平素は穏やかそうな人でさえ、今はその面影も無いほど、その顔は鬼気迫るものがあった。
「ここも・・・ダメだね・・・。」
途方に暮れて、リンプはつぶやいた。
43 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:04:27 ID:waLArx0z0
>>42 「諦めないで!きっと助かるから!」
元来勝気な性格のナゴミはリンプを懸命に励まそうとした。
リンプがふとナゴミの足元を見ると、
いつも彼女が自慢していたアンクレットも泥やほこりにまみれ、その輝きをなくしていた。
「リンプ!そっちは、ナゴミか?」
このような状況で知った声に出会えたという事が、
どんなに人の心を安心させるものだろう。
彼女達は同じハイスクールの級友『ケン・ヨコヤマ』の顔を見つけた。
44 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:05:04 ID:waLArx0z0
>>43 「ここ!もう入れないの?」
辺りの叫び声に負けないようにナゴミは精一杯の声でケンに聞いた。
「ここはもう無理だ!」
ケンもナゴミの声にあわせるように声を張り上げて答える。
「せっかくここまで来たのに・・・・」
ナゴミは意気消沈し、肩を落とした。
その時ナゴミの携帯電話に、着信が入る。
45 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:05:44 ID:waLArx0z0
>>44 「こんな時に・・・・。」
ナゴミは神経質そうな顔を見せて自分の携帯電話を手に取った。
こんな時にでも、電話が使えることはありがたかった。
少しでも日常に触れていられる事で、この狂いそうになる世界の中自分を保てる。
着信を見ると、驚いた事にケンからだった。
46 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:06:33 ID:waLArx0z0
>>45 ケンが、周りの喧騒でも会話が出来るようにと気を使ってくれたのだろうとナゴミは理解した。
「お前ら・・・どちらかが俺の代わりにここに入れ。でも、どっちかだ。ここには二人一緒には入れない。どっちかはここに入り、残った方は俺と他のシェルターを探す!」
電話に出るとケンはまくし立てるようにそういった。
普段は気の弱いと思われていたケンの声は、意外にもしっかりとしたものだった。
47 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:07:21 ID:waLArx0z0
>>46 「そんな・・・あんたいいの?せっかく入れたのに?」
ケンの意外な言葉に、ナゴミは思わず聞き返した。
「お前ら、ここまで逃げてきたんだろう?女二人でこれ以上逃げるのは危険だし、一応俺も男だからな。」
最後の方は照れているのか、あまりはっきりとは聞こえなかった。
「ふふ・・。ありがと。少しリンプと話してみるね。時間は取らせないから。」
ナゴミはそういうと電話を切った。
48 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:08:03 ID:waLArx0z0
>>47 そして、リンプの方を振り向くと、固い決意を見せて、
「ケンがここのシェルターの場所、譲ってくれるって。あんたはここに入りなさい。」
それは反論を許さないほどの強い言葉に聞こえた。
「でも・・・イヤだよ。ナゴミちゃんと一緒がいいよ!」
まるで子供が母親に駄々をこねるようにリンプに対してナゴミはというと、
「このまま言い合っててもみんなが危険になるし、いい事なんかないから!あんたはケンのところに行って!早く!」
普段はやさしいナゴミからは想像も出来ないほどの迫力をもった言い方だった。
『美人が本気で怒ると怖い』という言葉をリンプは思い出していた。
49 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:08:43 ID:waLArx0z0
>>48 そして、その後とても優しく、姉が妹を諭すように
「あんたはトロイんだから・・・ ここは譲ってあげるから今度アイスでもおごるんだぞ・・・!」
そういうと、ナゴミはリンプの身体を強く押し出した。
50 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:09:22 ID:waLArx0z0
>>49 「あ・・・・」
押し出され、たたらを踏んでケンの方に押し出されながら、
リンプは懸命にナゴミに手を伸ばした。
っと同時に、差し出した手とは逆の手をケンにつかまれた。
「リンプ。安心しな!ナゴミは俺が守るからさ。」
笑顔を見せてリンプ自分の場所を差し出すと、
ケンはナゴミのほうに駆け出した。
51 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:10:01 ID:waLArx0z0
>>50 「ケン!ナゴミちゃん!」
力の限りリンプが叫ぶと、それに答えるように彼等は笑顔を見せて、
他のシェルターの場所を探すため駆け出して行った。
その二人の背中を見送るリンプの目には涙があふれていた。
52 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:10:34 ID:waLArx0z0
>>51 ケンとナゴミは他のシェルターを探すため、再び大通りに差し掛かった。
「あんた・・・かっこいいじゃん。見直したよ。」
笑顔を見せてナゴミはケンに素直な心境を伝えた。
「あんた、リンプのこと好きなんでしょ?」
からかうようにナゴミは思ったことを聞いてみた。
53 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:11:21 ID:waLArx0z0
>>52 「ババババババ、バカ言うなよ!俺は男としてだな・・・・」
動揺し、顔を赤らめながらケンは答えようとした。
だが、彼がそれに答える事は出来なかった・・・。
54 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:12:03 ID:waLArx0z0
>>53 次の瞬間『彼等』はその身を数千度のビームに焼かれ・・・、
自らの存在が消えた事もわからぬまま、その生涯を終えたのだから・・・
55 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/16(火) 21:14:28 ID:waLArx0z0
>>54 「ナゴミちゃん・・・?ケン・・・?」
友の死・・・それは、すぐには受け入れられない現実。
当たり前の平和が、当たり前の日常が壊され、リンプは何を思うのか。
「許さなぃ・・・あのモビルスーツ・・・絶対に・・・許せなぃ・・・許せなぃ・・・」
上空に舞う『戦乙女』その名は忌まわしき呪いの機体『ガンダム』・・・。
リンプはそのモビルスーツの姿を脳裏に焼き付け、
誓うのは復讐か・・・それとも・・・
そして、宇宙からリンプを呼ぶ声は、耳鳴りは・・・『宇宙の面影』か。
次回、第三話
【リンプを呼ぶ声】
崩壊の大地。迫り来る脅威を、撃てガンダム。
56 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/17(水) 12:50:46 ID:7tCYHHDW0
【登場人物(コロニー・ローレライ)】
・ナゴミ・ラッセル
16歳。女。コロニー「ローレライ」に暮らす学生。
勝気で活発な性格をしている。好物はアイスクリーム。
リンプにとっては憧れであり、目指す目標でもある。
コロニーが地球連邦に攻撃され、逃亡の際に定員直前のシェルターにリンプを押し込み、自身は・・・
・リンプ・オウカ
16歳。女。コロニー「ローレライ」に暮らす学生。
ナゴミとは対照的に内気な性格をしている。
ナゴミに比べると少し幼く見える彼女にとってはコンプレックスを感じない分けでは無いが、ナゴミの事を尊敬し、何時もナゴミの傍に付いている。
搭乗機は、『量産期(暫定的)』、『RX-ヴァルキュリア』。
「耳鳴り」に苦しまれていた彼女。
その正体は、『宇宙の面影』だった・・・
・ケン・ヨコヤマ
15歳。男。コロニー「ローレライ」に暮らす学生。
コロニーが地球連邦に攻撃され、自身が入り込もうとしていた定員直前のシェルターに、学友のナゴミとリンプがやって来たのでリンプに譲り、ナゴミと共に別のシェルターに向かうのだが・・・。
普段は気弱な性格だが、有事の際には頼れる一面を見せる。
リンプに恋心を抱いている。
57 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/17(水) 12:52:58 ID:7tCYHHDW0
【登場人物(連邦政府)】
・プロージュ・エイン
25歳。男。連邦政府所属の少佐。
腐敗した連邦軍に所属しているものの、その精神は崇高。
レオン・コーウェンが提唱する「クーデター計画」に賛同し、参加を決意。
サイド7「ローレライ」で行われている「新型モビルスーツの奪取」の任務の指揮を取る事に。
性格は生真面目で融通が利かない。
搭乗機は『リグ・ドーガ(エース専用機)。』
・レイラ・ヒノ
22歳。女。
連邦の俗物達を政治の世界から排除するという自らの上官プロージュの考えに賛同したものの、彼女にはそれほどの大望はない。
寧ろ「尊敬する上官と離れたくないから」その一心で、クーデター軍の方に居るだけだった。
搭乗機は『リグ・ドーガ(量産機)』。
・レオン・コーウェン
現行連邦政府に対する「クーデター計画」を提唱した張本人。
58 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/17(水) 13:33:07 ID:7tCYHHDW0
【ガンダム ヴァルキュリア】
型式番号: (RX-ヴァルキュリア)
所属:地球連邦軍
建造:サナリィ
生産形態:試作機
頭頂高 14.1m
本体重量 7.1t
全備重量 19.1t
ジェネレーター出力 4,150kW
スラスター推力 11,530kg×2
4,380kg×4
スラスター総推力 66,400kg
アポジモーター数 41 (8)
装甲材質 ガンダリウム合金セラミック複合材
【武装】
バルカン砲×2
ビームサーベル×2
ビームライフル
【主な搭乗者】
・???
・リンプ・オウカ
59 :
まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/17(水) 13:37:00 ID:7tCYHHDW0
【量産機 ジェガンプラス】
型式番号:RGM-89
所属:地球連邦軍
建造:アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態:量産機
頭頂高:19.0m
全高:20.4m
本体重量:21.3t
全備重量:47.3t
ジェネレーター出力:1,870kw
スラスター総推力:61,400kg
センサー有効半径:14,200m
装甲材質:チタン合金セラミック複合材
【武装】
頭部バルカン砲
シールド内蔵式2連ミサイルランチャー×2
グレネードランチャー
ビームサーベル
ビームライフル
【主な搭乗者】
・地球連邦軍一般兵 他
・リンプ・オウカ
人類が、宇宙に居住するようになって一世紀が経とうとしていた・・・。
その過去は、安穏としたものではなかった。
常に、それまでの人の歴史を上回る戦争の繰り返しは、 人に命の尊さを教え、皮肉にも戦火に対する「慣れ」も人類に植え付けた。
人は、戦いを忘れられない生き物なのか?
人が、人に罰を与える事は許されるのか?
人という生き物は、永遠に戦争と火種を忘れる事は出来ないのかもしれない・・・。
宇宙世紀0106年・・・。
完全なる平和ではないにしても、人類は一応の落ち着きを取り戻していた。
しかし、戦火の牙はいつもそこにある。
そう、我々の、後ろに・・・・。
62 :
つまんね:
ツマンネ