あの固定に『逝紙(イキガミ)』が届いたら…二通目

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81まきひと ◆uoeCB.pYtA
「へー・・・俺に・・・ま、こんな腐った世の中に未練なんて無いけどさ・・・」

熊本に住む彼は、先程配達された『逝紙(いきがみ)』を俯瞰しながら見詰めながら呟いている。

「・・・いや、一つだけ・・・あるか、気掛かりが・・・」

彼の脳裏に過ぎったのは、馴れ合い掲示板で某女固定ハンドル。

「何故だろう…なんであんな糞ガキの事がこんなに気になるんだ…くそ・・・俺とした事が・・・」

最初の内はほんのお遊び気分でメールしていた彼、飽きたら何時もの如く、その掲示板の暗黙のルールに従って玩具の様に捨てるつもりだった。
しかし、彼は知ってしまったのだった・・・『真実』を・・・

「・・・余命、23時間・・・か・・・いまから行けば・・・間に合う・・・か?」

彼は決意した、今から大阪に向かう事を・・・
幸い『イキガミ』さえあれば全ての交通機関も無料なのだ。
82まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/30(火) 13:07:29 ID:ADfc9bVt0
>>81

しかし、自分が行った所でどうしようも無い事は分かっている。

あの子の苦しみを救えない事も・・・。

「それでもいい・・・ただ、抱き締めてナデナデ出来れば・・・」

この先、俺なんかでは想像も付かない程の苦しみが彼女の人生を襲うだろう・・・。
慰めの言葉なんて無意味だ、気休めなんて無意味だ、
だけど、だけどせめて・・・一瞬だけでも不安を忘れさせてあげたい・・・

「じゃなきゃ、俺の頭脳は・・・なんの為に存在するんだよ・・・」

そう、彼は此処最近葛藤していたのだ・・・。
固定ハンドルがのべ500人は集まる彼の常駐板。
その中において「板内で随一の頭脳」と評された彼、しかし・・・。



「俺は、この機械化した板を救おうとしてるのに…目の前の苦しんでる少女一人救えないなんてお笑い種だからな・・・」
83まきひと ◆uoeCB.pYtA :2008/09/30(火) 13:18:35 ID:ADfc9bVt0
>>82
「それにしても・・・また大阪か・・・」

彼は大阪行きの新幹線の中で苦笑いしていた。
二年前・・・馴れ合い掲示板で出会った女固定の為に大阪に向かった淡い思い出を回顧していた。

しかし・・・あの時とは明らかに状況が違う・・・。

あの時は手掛かりも、時間も、嫌って程存在した。

しかし今回は手掛かりも皆無に等しい、そして、『イキガミ』により時間も制限されている・・・。

そして何よりも、ストーカーまがいの、いや、正真正銘のストーカー行為をしたあの時と異なるのは・・・、

悪意では無く、純粋に、どうにかしてあげたいと思ってる事だ。

もっとも、『思い』だけで何かを救ってあげられるなら・・・最初から常駐板に機械は存在しない・・・