177 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :
〜出版社『まきひと出版』〜
「なんだとてめぇ!?もう一回言って見やがれ・・・!!」
熱き編集長、『工藤はちぞう』の怒声が編集部内に鳴り響く。
「ええ、何回でも言いますよ・・・!!
こんな部数が伸び無い(レスが貰えない)雑誌、廃刊にすれば良いんですよ!!」
部下の編集者、『ぇり』がはちぞうに盾突いている。
「なんでだ、なんでそう思うんだ?」
工藤はちぞうは腕を組みながら尋ねた。
178 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 21:53:41 ID:EiL6sOL90
「『higher出版』が出してる雑誌は、俺等の記事より内容は薄いのに、 『さてと^^』
って書くだけで一定の購買層(レス貰う数)を得てるんですよ?」
ぇりは興奮し、更に怒りをぶつける。
「けど、俺等の雑誌なんて立ち読み(ROM、監視)する奴ばっかで…誰も買ってくれないじゃないですか!!
俺が担当した記事(小説)は、『売り上げ部数』(レス貰う数)って結果で現れないと、俺は嫌なんですよ!!」
ぇりは興奮しながら、そう言い終えた。
「(クワッ!!)ばっかやろぅぅぅぅおおおお!!!!!!!!!!!!!!」
工藤はちぞうは目を大きく開き、ぇりをぶっ飛ばした。
179 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 21:58:08 ID:EiL6sOL90
ぇりは吹っ飛んだ。
「く、工藤編集長、やり過ぎです!!!」
工藤はちぞうは、部下の運子と城島の制止を振り切り、マウントポジションになり、更に殴り続ける。
「てめぇ・・・ぇり・・・!!お前は『何の為』に『記事(レス)』を書いてるんだ?
『売れる為(レス貰う為)』か?違うだろぅがぁぁぁぁぁ!!!!!」
ドフッ!!ベキっ!!
180 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:03:50 ID:EiL6sOL90
「ぶ、ぶれる為じゃはきゃ、らんの為に書けっていうんれすか?」
ぇりは泣きながら、工藤編集長に訴えかけた。
・・・工藤は攻撃を止め、答えた。
「それは、『お前の記事を読んでくれる人がいるから』だ。
書き掛けの記事を途中で辞めたら、記事にも失礼だとおもわねぇのか!?」
工藤はちぞうはそう叫び、更に叫び続ける。
181 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:07:29 ID:EiL6sOL90
「 『売り上げ部数(レス貰う数)」が伸びない?』
『立ち読み(ROM=監視)』』だけで誰も買わない?
それがどうしたばっきゃろぉぉぉ!!!!!!
『立ち読み(ROM=監視)』だけでも良いじゃねーか、
『こんな雑誌買う価値(レスする価値ねぇよw)ねぇよw』って思われてもいいだろぅがあ!!!
お前が自分の記事に恥じてねぇならそれで良いだろぅがぉ!!!」
182 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:15:17 ID:EiL6sOL90
「ひ、ひれいごと言いやがって!!ろんな会社、辞めてやる!!」
ぇりはそう言い捨て、編集部から掛け合しで去って行った。
「へ、編集長・・・良いんですか?ぇり、やっと仕事にもなれてきたのに・・・」
部下の城島と運子が心配そうに声を掛けて来た。
「・・・ほっておけ!!それより茶だ、運子!!!!」
工藤はそう言い、腕を組んだまま机に座り込んだ。
「・・・(ちっ、目から鼻水が出て来るぜ全く・・・ぇりのバカがぁぁぁぁぁぁ!!!!)」
183 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:20:42 ID:EiL6sOL90
・・・その夜・・・
「この机ともオサラバか・・・へっ、清々するぜ!!!」
ぇりは自分のデスクを整理し、荷物を纏めていた。
「(『ハイヤー出版』のまぞっちさんに前から誘われてたんだよ・・・
もう何の未練もねーし、向こうで俺の才能は発揮するぜ!!)」
ぇりは前々からスカウトされていた『ハイヤー出版』に移籍する決意をしていた。
「(向こうの出版社はここの奴等と違って賢いし要領が良いから、
魚茶さんにしろ、まぞっちさんにしろ、『記事(レス)に情熱』なんて掛けなくても、馬鹿な読者(名無し)が買ってくれる方法が確立してるんだ・・・
雑誌は情熱より要領っすよ!!ってなもんだ!!)」
184 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:31:10 ID:EiL6sOL90
「さて、最後に盛大にクソでもして流さないで行ってやるかな、ケッケッケッw」
ぇりはトイレに行こうとしたが、トイレの中からは何やら異様な音が聞こえて来る。
・・・ドフッ!!ベキッ!!
「なんだぁ?城島が俺の変わりに編集長に〆られてるのかな?へっ、いい気味だぜw
つーかあの編集長、『記事(レス)』には情熱とか言っといて、俺を虐めたかっただけなんだろ!?」
ぇりは城島の無様な姿を一目見ようと、トイレの中を覗き込んだ。
所が!!!!!
185 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:34:07 ID:EiL6sOL90
「うぅ・・・城島・・・もっと・・・殴れ・・・」
なんと!!城島が工藤はちぞう編集長を殴っているではないか!?
「な、何やってるんだ・・・コイツ等???」
ぇりは、その信じられない惨状を見て、我が目を疑っている。
186 :
桜井:2007/08/22(水) 22:38:26 ID:h5FpnZG7O
まきひとの書き物
プレイバイメイルゲームの小説に似てる
さーびす精神あるねー
187 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:45:51 ID:EiL6sOL90
「へ、編集長、これ以上やったら・・・」
城島は何やら戸惑っている。
「いいから、殴れ・・・俺は大事な、愛する部下のぇりを殴っちまった・・・
だから、俺も同じ痛みを味わわなきゃ筋がとおらねぇんだよぉ!!!!!」
工藤はちぞう編集長はそう叫んだ。
188 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:49:01 ID:EiL6sOL90
がび〜ん!!!!
ぇりの背景は黒くなり、ショックの余り持っていた荷物を落とした。
「(へ、へんじゅうぢょう・・・)」
189 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 22:52:00 ID:EiL6sOL90
「城島・・・俺の家はな、貧乏な家庭だったんだ・・・
欲しい本があっても、買う事(レスする事)も出来なかった・・・」
工藤はちぞうは昔の自分を語り始めた。
「ある日、立ち読み客が多過ぎる現状に業を煮やした店員が、
俺が愛読してた雑誌にビニール袋を掛けたんだ・・・でも俺はどうしても読みたかった・・・だから、破って読んじゃったんだ・・・」
はちぞうは少し虚ろになり、語りつづけている。
190 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:00:24 ID:EiL6sOL90
「その時店員にバレて、ボコボコにされて、殺されそうに成った時に来てくれたのが、
前代編集長の『まきひと』さんだったんだ・・・」
〔本は、本は・・・『読む人の為』にあるんですよ。
だから立ち読みしても良いんですよ〕
「まきひとさんは、そう言って俺を庇ってくれたんだ・・・」
ぇりと城島の目からは『汗』が流れている。
191 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:08:08 ID:EiL6sOL90
「城島・・・前代編集長まきひとさんが作った記事『固定wiki』って知ってるか?」
工藤はちぞう編集長は顔を上げ、尋ねた。
「『固定wiki』…ああ、知ってます…『立ち読み(監視=ROM)』の層を飛躍的に増やしたけど、
『購買層(レス貰う数)』には繋げなかった、あの伝説の記事ですね?
城島は涙を拭い、答えた。
192 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:10:58 ID:EiL6sOL90
「そうだ・・・その記事に付いてな、まきひとさんに尋ねたんだよ・・・」
工藤はちぞうはまきひととの遣り取りを思い出していた。
〔まきひとさん、なんで『立ち読み(監視=ROM)』だけって分かってるのに、
何時も嬉しそうなんですか?満足気なんですか?〕
若かりし頃の工藤はちぞうは、まきひとに尋ねていた。
193 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:13:25 ID:EiL6sOL90
〔工藤、昔な・・・ある子供達がこの会社に訪ねて来てくれたんだよ・・・〕
まきひとは遠い目をしながら、そう答えた。
〔は、はあ・・・それが?〕
工藤はちぞうは不可解な表情をしながら答えた。
194 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:17:26 ID:EiL6sOL90
〔そしてなー・・・子供達が言うんだよ・・・
『ボクたち、雑誌買うお金はありませんけど、固定wiki≠フコーナーはいつもよんでます』〕
〔『あのコーナーを作った人にいつもごくろうさまです≠チてつたえてください』〕
〔ってな・・・その子達、10キロも掛けて水筒ぶら下げて来てくれたんだよ・・・・
俺は思ったね・・・ああ、見てくれる人はちゃんと見てくれてるんだな・・・≠チて・・・
俺はそれから決意したね、売れる雑誌≠カゃなくて人に感動を与える雑誌≠作ろうと・・・〕
195 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:22:02 ID:EiL6sOL90
「・・・って分けなんだ・・・」
工藤はちぞうは語り終えた。
「ぅぅ・・・ぶひっ・・・ぐすっ・・・」
城島の目からは、大量の『汗』が流れている。
196 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:29:24 ID:EiL6sOL90
「だから俺は、まきひとさんの意思を次いで今の意地≠貫きたいんだ!!
城島、付いて来てくれるか・・・?」
工藤はちぞうは城島の手をガシっ!!
と握り締め、そう伝えた。
「はい・・・へんじゅうちょう・・・付いて行きます・・・!!」
197 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:31:29 ID:EiL6sOL90
「へんじゅうぢょう・・・ぼくも、ぼくも、ついていかせてください・・・」
その遣り取りを見ていたぇりが入って来て、そう伝えた。
「ぇり・・・ああ、勿論だ・・・!!
こんな辞表は、トイレに流しちまおうぜ!!!!!」
工藤はちぞうはそう叫び、ぇりの手をガシ!!っと握り締めた。
「こりゃあ、暫く給料上がりそうに無いわね・・・全く男って奴は・・・」
運子はその様子を微笑ましく見守っていた。
198 :
まきひと ◆IuTqvUGzL. :2007/08/22(水) 23:36:20 ID:EiL6sOL90
・・・後日・・・
「編集長、ボクの担当小説、入稿です!!」
ぇりが嬉々として工藤はちぞうに報告する。
「おう・・・!!!その記事(レス)は『自分の意地、魂』には恥じて無いな?」
工藤はちぞうはそう返した。
「はいっ!!!!!今回も『意地』を貫き通しました!!!!」
ぇりは間髪いれずに即座に迷いの無い真っ直ぐな眼でそう返した。
・・・『まきひと出版』・・・
今日も彼等は、『売れる記事(レス貰う)』は作れない(作らない)ものの、
『立ち読み(ROM=監視)』だけする、立ち読みだけしか出来ない読者の為に頑張っているのだった・・・