130 :
風雷坊:2006/01/05(木) 22:16:24 ID:???
その波形には現れない、或いは弱められ或いは抑えられた、小さな波がある。
表面に出される事のない、表れることを望まれない感情や欲望。
ふとした折にわずかにノイズとして走る、普段意識されない心。
“苦門竜”は、気まぐれのように屋上から地上を覗き込んでいた、時雨のそれを食したのだ。
ノイズを食われた者は、言ってしまえば、ためらいがなくなる。
時雨の場合は、単純な行動として表れた。何だ、死にたかったのか。彼は呆気に取られたものである。
だがどういうわけか、娘は死に損なったらしい。ノイズを食した相手の意識は、しばらくの間追跡できる。
暇つぶしのつもりで眺めていたが、何やら複雑な事になっているようだ。
「若いとは、いいものだな。」
誰の目にも止まらぬ現代の夜陰に潜む鬼は、感情のこもらない声で、そう呟いた。
131 :
風雷坊:2006/01/05(木) 22:22:34 ID:???
うむ、読みづらい。
あ、お気になさらずお先をどうぞ。
書きたかっただけですから。
132 :
風雷坊:2006/01/05(木) 22:37:27 ID:???
あ、いけね。
文中で触れ忘れましたが、時雨は“苦門竜”に気づいてません。
ノイズの捕食は密かに行ったものですし、意識の追跡も一方向です。
今のところ、登場人物の誰も彼を認識してない事になります。
亮太は先ほどの香織からの問の答えを探しながら時雨を見た。
時雨はすでに顔をあげているが、後ろを振り返らずに目のあたりに腕をあてている。
亮太が口を開かずに時がほんの少し経っていたが、亮太の返事が遅かったり、返事そのものがないことがあるのは、香織はよく知っていた。もっとも普段なら構わず一方的に話し続けるが…
「彼女は時雨。さきほど偶然出会い、相談に乗っていた。」
「はぁ?!」
亮太の返事に対してかんぱつ入れずに出た、香織のはぁ?!は年下がタメ口を使ったからではない。2人は奇妙な関係だ。
「なんで?」
香織の口から出たその一言は、自分の判断で先ほどまでのできごと語るべきではなかろう。と決めた亮太をまた沈黙させるのに充分な言葉だった。
時雨は、一つ――息を吸った。そして、意を決して振り返る。
年上、結構綺麗、服と髪型は似合ってる、センスもいい。一瞬で相対する女性の"評価"を終える。
恐らく向こうも同じように品定めしている。そう考えて、涙で緩んでしまった表情を出来る限り"臨戦態勢"に持って行く。
向こうから、一番綺麗に見える角度に自分の位置を調整して、少しだけ微笑んで、余裕を持って。
「この人は、誰?…亮太」
ピキッ。
時雨がわざと亮太を呼び捨てにした瞬間、空気が凍りついた。
「彼女は、天崎香織。俺の後見人代理だ」
微妙な雰囲気を読めているのか読めていないのか、変わらぬ口調で亮太が答える。
自分の質問に割り込まれた香織の方は、今まで以上に不機嫌な顔で睨んでいた。
「天崎……?初めまして『小母様』。私、志野原時雨といいます」
「おば…?!」
勿論、これもわざと言っている。暖かな雰囲気を邪魔されたこと、亮太に対して馴れ馴れしい態度がカチンと来る。
何より、本能的に"敵"だと直感した為、容赦が無い。
――ピキィィン。更に緊張感の糸が張る。
「いや、彼女は姓は同じだが、父の親友の娘で血縁関係は無い」
どうやら、凍りついた空気を少しは感じたのか、答える亮太の口調も若干訝しげになっている。
しかし、まだなんでそうなっているのかは理解していないようだ。
(コイツ、鈍い?)
時雨は、今更ながら、亮太の朴念仁ぶりに呆れる。
「それで、アタシの質問にはいつ答えてくれるかな?亮太」
香織の怒りを湛えた声。無理に浮かべている笑みが怖い。
時雨は、亮太をそっと覗くように見る――まさか、言うんじゃ無いでしょうね?と。
「相談内容は時雨の許可が無い限り、口外することはしない。
香織姉さんの質問に答えると、相談内容に触れる可能性がある。その為、言うことは出来ない」
「くっ…そうね、亮太はそーいう性格よね。って、何で亮太まで彼女のこと呼び捨てにしてるのよ!?」
「"時雨"というのは、良い名前だからな。呼び易く解り易い」
「あー、はいはい。その辺りは男友達でもそーだったね」
時雨は、複雑な気持ちのまま亮太を見つめる。
――名前を誉められて嬉しい反面、香織との親しさも見せ付けられているようで悔しい。
(って、何考えてるの?別に私はこんなヤツ……そりゃ、不器用だけど優しい……のは本当みたいだけど)
三人称時雨視点にシフト。ザッピング小説ですねw
この辺りの女心はどうでしょう?テリィさんに意見を聞いてみたかったりします。
>風雷坊さん
鬼視点で眺めるのも中々。後々、その設定を生かす場面が出てくるかもしれません。
文章力はさすがです。
>のん太
亮太の「らしさ」が出ています。香織の性格の強調もイイ。
>>137 テリィさん
展開は急変ですからね。長編になりそうな気も…。
女性の心理描写としては…無理があったかなぁ、と思ってます。男性の書く萌えテンプレ通りなのでorz
ちなみに。明日の夜までに20話が投下されない時は、自分が書きます。
この先どうしよう…。
ぐっ、今日は書けません。他のを仕上げないと…OTL
「そうすると…ああ、こういう聞き方をすれば良かったんだ。
"亮太は時雨さんと恋愛関係にあるの?""相談は恋愛に関すること?"」
何故か、香織は質問を区切って聞いている。
「恋愛関係には無い。それは、時雨対して失礼な質問では無いかと思う。相談は恋愛に関してでは無い」
淡々と質問に答える亮太。
時雨は、その二人のやり取りを見て……――そういえば、『この島には嘘つきと正直者がいます。
さあ、正直者を見分けるにはどんな質問をしたらいいでしょう?』みたいな謎々を紹介された時、
こんな感じの問いかけが正解だったな。なんて考えていた。
この場合、絶対に亮太は正直者役だ。
「よろしい。なるほどね〜……亮太が"相談"に乗れるなんて成長したものね」
なぜか、香織がしみじみと言う。
「それはどういう意味だ?」
「そのまんま。あんた、人の相談に乗るのどうしょうも無く下手糞だったじゃない。
出てくるのは、容赦の無い正論と原則論。同情していてもそれを見せないし。他人が自分と同じくらい強い事を前提に話すでしょ?
それが…こんな可愛い『お嬢ちゃん』に胸で泣かれる位になるとはね〜」
「お嬢ちゃ……っ」
先程の"小母様"発言へのお返しなのだろう、時雨がきっと睨み付つけると、
香織はニヤニヤ笑いを浮かべたままひらひらと手を振ってみせる。先程までの余裕の無さはもう見られない。
「時雨は俺と同い年位だろう。その呼び方は適当では無いと思う。相談に関しては…返す言葉も無い」
時雨の小母様発言をいさめた時と同じ調子で亮太がフォローを入れる。
そしてバカ正直にしょぼんと自分への評価を受け入れてる。
その言葉に、亮太の融通の利かなさが表れているように思えて、時雨はクスッと笑ってしまう。
コイツ、本当にヘンなヤツ。
そろそろ物語を進行させないと。
でも、会話パートが楽しくて、なかなか進めません。
これから急に展開して、三人が異世界に飛ばされるとか。
その異世界には鬼が沢山いたりとか。
パズルの知識を使って異世界の謎を解くとか。
でもこんな急展開はアレでしょうか?
>>143 現代ファンタジーも入っているので、その展開でも大丈夫ですね。
異世界行って鬼たくさん、では永井豪の「手天童子」になってしまうよ
明日の夜までに21話の投下が無ければ自分が書きます。
そろそろ終盤へ転換させるかな?
「はい、りょーかい。……さて、それじゃアタシは帰ろうかな。先客アリじゃね。
まだ相談中だったんでしょ?あ、そーそー、くれぐれも、不純異性交遊は慎むようにね〜」
「なに、言ってるのよ!そ、そんな」
肩を竦めてから、ニヤリと笑う香織に、時雨は慌てて言い返す。
最初の"小母様"発言で得た優位は、あっという間に覆されて、いいようにからかわれてしまってる。
「そうだぞ。そのようなことする訳が無いだろう」
冷静に答える亮太。
(……そうハッキリ言われると、それはそれで頭に来るわね)
時雨はつい、亮太まで睨み付けてしまう。
「あはは、その分なら大丈夫そうだね。ま、今日は亮太を貸しておくよ。またね、時雨」
香織はそう言うと、手をひらひらと振ってから、玄関へ向かった。
パタンと扉の閉まる音と共に、再び静寂が戻ってくる。
「……なんか、にぎやかな人…ね」
勿論、また仕切り直し、と抱きつく訳にも行かず、時雨は少し顔を赤らめて話を振ってみる。
そうしないと、この無口男はずっと黙っていそうだし。
(って、何で私が気を使わなきゃならないのよ)
「ああ、全くだ。――さて、相談は…どうする?役に立てる事があれば協力もしよう。
しかし、香織姉さんが言っていたように、俺は相談者としては向いていない事も確かなのだが…」
生真面目な顔で時雨を見つめている亮太の瞳。それはとても真摯で……。
「あのさ。亮太……」
香織への対抗心で呼び捨ててしまった名前。
今度は、意識して――言って見る。
「なんだ?」
全く気にしていない亮太にほっとして、言葉を続ける。
「ありがと。まだ言ってなかったよね?」
「……ふむ」
「…あのねー、お礼を言ってるんだから、もうちょっと反応しなさいよ」
「了解した。どういたしまして」
「何、その定型文は」
「いや、そうは言われてもだな。こう返すのが普通だと思ったのだが」
「もっとアドリブ利かせなさいよー」
楽しい。
(なんだろ、こんなバカな会話出来るのが、なんだか……嬉しい)
はい、やっぱりあんまり進んでません。
次こそは驚愕の展開を…って、ふつーに導入部として第一部完とした方がいいかもしれません。
異世界に飛ばしたり、黒服の男達に教われたりするのも良いのですが。
黒服の男たちに教われた。
「お客さま、申し訳ありません。
そのようなお召し物でのご入店は、ご遠慮いただいております」
教われた。自分の格好は場違いなのだと。ダサいのだと。
>>150 あれ?トリップついていますよ?
それは置いといて。
誤変換でも別の意味で通ってしまうことありますね。
ところで、そこはどんなお店でしょう?w
明日の夜までに22話が投下されなければ、自分が書きます。
時間が無い〜 orz
ノシ
「んー。それじゃ、行きましょうか」
時雨は、ふっと息を吐いて立ち上がる。
もう、大丈夫。
なんでだろう?人に話しただけなのに、ただ泣いただけなのに。
――すごく重かったものが、軽くなったような気がする。
勇気が出てくる。ほんの少しだけだけど。
「……行く?」
亮太が不思議そうな顔をする。
そんな朴念仁に向かって、時雨はにっこりと笑ってみせる。
「相談はもういいよ」
「…む、そうか…」
何を誤解したのか、がっくりとした表情をみせる亮太。
ぱっと見はいつもの無表情。
けれど、彼は、瞳の色や僅かな仕草で、顔には表さないだけで、注意深く見れば
亮太なりに色々表現をしていたことが、今では少しだけ解るようになった。
「亮太はもう、私を助けてくれたから」
「――??」
顔をあげて、時雨を見つめる亮太の瞳の色は、本気で混乱しているようだった。
やっぱり表情はあまり変わってないけれど。
癪だから謎解きはしてあげない。
「でも、助けてくれるなら。一ついい?」
「……ああ、協力すると約束したからな」
頷いた亮太に、時雨は…。
>頷いた亮太に、時雨は…。
なんと言うんでしょう?w
とりあえず、いいところで止めるのはお約束。別名、後から考える。とも言います。
23話が落ちてこなければ、明日位に続きを書きまする〜。
何一つ思い浮かばないorz
今日書きます〜…たぶん
160 :
ぐっちょむ ◆0wiF6TwpVc :2006/01/28(土) 17:37:42 ID:7mcSnBKE
>テリィさん
実は、書いたはいいけど、自分も思いつかなかったりしますorz
「私ね――。パパとマ……え、と。両親に言おうと思うんだ。私の気持ちを素直に、全部」
亮太の前で宣言する。自分が逃げないように。
「ふむ」
案の定、亮太は、ただ相槌を打って頷くだけ。
それだけなのに、妙に力強くて、時雨はほっと息をついた。
そして、肝心な言葉を口にする。
「その時、亮太に一緒に来て欲しいんだけど…」
「……?!」
さすがに驚いたのか、鉄面皮にすらそれが微かに表れてる。
時雨は心の中で、クスリと笑って誤解を解く。
「勿論、途中まで。話すのも会うのも私一人。でも……話す前と話した後は、傍にいて。いい?」
まるで愛の告白のようで、頬が熱くなる。
そうじゃない。ただ、弱みを見せていい相手が亮太だけだっただけで…。
心の中で懸命に理由を挙げてみせる。
「了解した。…しかし、それだけで協力になるのか?」
不思議そうな朴念仁の表情に、時雨の心にわだかまっていた恥ずかしさが溶けてゆく。
混乱していても、誠実に対応しようとする亮太の態度は……心地いい。
打算の無い真っ直ぐな言葉は、それだけで時雨の心に芯を通すような力強さをくれる。
「それだけで、充分」
時雨は、とびきりの笑顔で微笑んで見せた。
162 :
ぐっちょむ ◆0wiF6TwpVc :2006/02/02(木) 20:51:32 ID:LIYkjQqo
時間を見つけて書きます(ぐったり)
163 :
はじめまして名無しさん:2006/02/05(日) 15:03:27 ID:LUcAKJzI
|ハ,_,ハ
|´∀`';/^l
|u'''^u;' | ダレモイナーイ
|∀ ` ミ イアイアスルナラ イマノウチ
| ⊂ :,
| ミ
| 彡
| ,:'
|''~''''∪
l^丶
| '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
ミ ´ ∀ ` ,:'
(丶 (丶 ミ いあ いあ
(( ミ ;': ハ,_,ハ ハ,_,ハ
;: ミ ';´∀`'; ';´∀`';, ,
`:; ,:' c c.ミ' c c.ミ
U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J
/^l
,―-y'"'~"゙´ | それ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ヽ ´ ∀ ` ゙':
ミ .,/) 、/) いあ いあ
゙, "' ´''ミ ハ,_,ハ ハ,_,ハ
(( ミ ;:' ,:' ´∀`'; ,:' ´∀`';
'; 彡 :: っ ,っ :: っ ,っ
(/~"゙''´~"U ι''"゙''u ι''"゙''u
書かないの?
165 :
はじめまして名無しさん:2006/02/13(月) 11:42:53 ID:NePLBLdF
ホシュ
166 :
ぐっちょむ ◆0wiF6TwpVc :2006/02/18(土) 14:26:14 ID:ddKhpsdh
もう少ししたら…orz
楽しみ!!
――二つの白い息。
亮太と時雨は夕方特有の僅かに赤味がかった日差しの中、揃って歩いている。
(どうして、こんなことになったのだろうな。……俺がいて何の意味が?)
表情を変えないまま、時雨の隣で亮太はむっつりと考え込んでいた。
彼女は、自分に両親の説得を頼むわけではないらしい。
それは自分のような若輩者の部外者が間に入るべき話ではない為、当然の判断だと思う。
(しかし、それでは何故だ?俺を連れて行くのは、どのような観点から考えても無意味だ)
解けないパズルを前に頭を絞っている。そんな気分で歩き続ける。
それでも、時雨の歩みに歩幅を合わせるのは忘れない。
これは、死んだ祖母と母に女性と一緒に歩くときの鉄則だと教わって以来の習慣だった。
レディーファーストという概念は全く理解できない亮太だが、一緒に歩く人間の歩幅に合わせることは、
一人では早足になる自分に必要な事だろうとは認めている。
その点で、祖母と母の価値観に同意しているのだ。
(そういえば、そこだけは褒められたな…)
「ね?亮太」
「……む?なんだ」
「来る時も思ったんだけど。あんたって、歩幅、私に合わせてくれてるよね?」
「――ああ。その方が、効率的かつ互いの総合的な疲労度が低い」
「やっぱ、そーいう理由か」
なぜか満足そうにクスクス笑う時雨。…やはり理解できない。
笑われるような事を言っただろうか?
再び無言で歩く時間。
40分程歩いたな。亮太がそう目算した時。
「さーて。もう少しで私の家だ」
時雨が立ち止まった。
そして、じっと亮太の顔を見て、小さく笑う。一瞬だけ…その表情に見惚れてしまう。
(確かに彼女は顔立ちが整っているな)
そういった感想しか思い浮かばないのが朴念仁の朴念仁たる所以なのだが、亮太は自覚していない。
「ここで待っていてね?絶対だよ?」
時雨が両手で、亮太の手を握る。
――冬の大気で冷やされたその指は華奢で冷たい。
しかし、握る力が強かったせいだろうか?熱さすら感じる感覚を覚えて、
はっと時雨の目を見る。
縋るようなその瞳に促されるように、亮太はゆっくり頷き言った。
「ああ。約束は守る」
171 :
ぐっちょむ ◆0wiF6TwpVc :2006/02/24(金) 19:37:07 ID:BB3l2vCV
明日辺り続きを書きます。
書けなかったorz
今日こそはー
174 :
ぐっちょむ ◆0wiF6TwpVc :2006/03/04(土) 08:59:15 ID:up3pq5dZ
>>173 ありがとう。頑張って書きます(><
あれ?リレー小説だった筈なのに(・・;
……落ちないように保守しますorz
176 :
はじめまして名無しさん:2006/03/10(金) 02:17:43 ID:2piwv+ng
期待age
40万部のベストセラー『嫌韓流』の第2弾
『嫌韓流2』発売中
意外とおもしれーぞ
結構日が経ってる…むぅ、時間を作らないと。
179 :
はじめまして名無しさん:
応援age