モラトの唄

【親子】
　息子を寝かしつける妻の横でビールを飲みながら、「あ・・・幸せだな。」と思う。
　この子が大きくなった頃にはどんな世の中になっているんだろう・・・
　今よりも良い未来が待っていると信じよう。
　息子が寝付いて安心したのか、妻も寝息を立て始めた。
　声に出さずおやすみを言い毛布をかけ、枕元のライトを消す。
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　さて、俺は子供を作らない主義だ。相手の有無はまぁ、この際置いといて。
　俺はペシミストだから世の中はどんどん悪くなっていく一方に見えるし、
　なんと言ってもこの通り、未だに思春期のまま。自分の事で手一杯。まったく余裕が無い。
　俺は大人になれないまま黄昏ている。

　子供を育てるのって本当に大変だと思う。金銭面、精神面・・・俺には資格が無い。
　
　しかし時々、こういうごくありきたりな、それでいて最高に幸せなビジョンが浮んで寂しくなる事がある。
　どこで道を踏み外したのだろう・・・
　過去を振り返ってもその分岐点はわからないが、多分、すでに修復不可能だ。

　来世に期待。